JP2020163317A - 下水汚泥発酵原料 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期の好気発酵の進行を早めるとともに、高密度化を抑制して、好気発酵を安定的に行うことができる、下水汚泥発酵原料を提供すること。【解決手段】本発明の下水汚泥発酵原料は、下水汚泥と、肉骨粉とを含み、好気発酵処理に用いられる。通気助材を含むことも好適である。肉骨粉を、下水汚泥100質量部に対して10質量部以上100質量部以下含むことも好適である。通気助材を、下水汚泥100質量部に対して5質量部以上100質量部以下含むことも好適である。【選択図】なし

Description

本発明は、下水汚泥を好気発酵させるための原料に関する。
下水汚泥は、有機物及び水を含む泥状の物質であり、生活活動に伴う下水処理の過程で不可避的に排出されるものである。下水汚泥は、その排出量が下水処理量の増加に伴って増えており、都市ゴミと同様に、その処理が問題となっている。下水汚泥を処理するために、例えば該汚泥を焼却処理して、その際に生じた熱をエネルギー源として利用する試みが行われているが、更なる効率的な焼却処理を行うために、下水汚泥の含水率を下げることが望まれている。
下水汚泥の含水率を安価に低下させる技術として、下水汚泥を好気発酵させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、有機性廃棄物の堆積物を撹拌して、所定の空間率を有する状態で発酵処理した有機性廃棄物の処理方法が開示されている。また特許文献2には、好気発酵における空気の流通を確保するために、空気取出口及び吸引口を設けて、処理対象を撹拌させながら発酵可能にする、有機質材料の発酵処理装置が開示されている。
また特許文献3ない5には、脱水効率の向上及び悪臭防止等のために、有機汚泥と、フライアッシュとを混合して発酵する方法も開示されている。
特開2010−284608号公報 特開2012−20224号公報 特開昭63−185881号公報 特開平09−074899号公報 特開平11−228267号公報
ところで、好気発酵を安定的に行うためには、一般的に、通気量の他に、処理対象物に含まれる微生物の栄養源となる栄養素及び水の量や、発酵温度などの各種条件の最適化が必要である。特に、悪臭などの環境汚染防止の観点から、発酵槽の上部から処理対象物を供給して該処理対象物を発酵させ、その発酵物を該発酵槽の下部から排出する構成を有する縦型発酵槽を用いて、密閉条件で好気発酵を行う場合、処理対象物の堆積に起因する質量増加によって、発酵槽内部の処理対象物が圧縮されて密度が高くなってしまい、発酵槽内での通気量が十分なものとならない。その結果、処理対象物の安定的な好気発酵を行うことができなかった。
この点に関して、特許文献1及び2に記載の技術は通気量の向上に寄与すると考えられるが、これらはいずれも装置上の工夫であり、下水汚泥又は該汚泥を含む処理対象物の組成及び性状等が変動した場合に、安定的な好気発酵が十分に行えないことがあった。また特許文献3ないし5では、密閉時での発酵条件及び圧密時の発酵の進行に関しては何ら検討されていない。
そこで本発明は、初期の好気発酵の進行を早めるとともに、高密度化を抑制して、好気発酵を安定的に行うことができる下水汚泥発酵原料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、下水汚泥に特定の材料を添加すると、非圧密状態(圧縮されていない状態)と圧密状態(圧縮された状態)とにおいて、発酵対象物である下水汚泥の発酵挙動の変化が小さくなることを見出した。そして、圧密による発酵の悪影響を緩和するためには、投入した原料が圧密化を受ける前に、下水汚泥の好気発酵を進行させやすくする材料を添加したり、圧密時に下水汚泥の好気発酵を抑制しない材料を添加したり、あるいはこれらを組み合わせて行うことが重要であることを知見し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、下水汚泥と、肉骨粉とを含む、好気発酵処理用の下水汚泥発酵原料を提供するものである。
また本発明は、肉骨粉を、下水汚泥100質量部に対して10質量部以上100質量部以下含む、好気発酵処理用の下水汚泥発酵原料を提供するものである。
また本発明は、通気助材を更に含む、好気発酵処理用の下水汚泥発酵原料を提供するものである。
また本発明は、通気助材を、下水汚泥100質量部に対して5質量部以上100質量部以下含む、好気発酵処理用の下水汚泥発酵原料を提供するものである。
本発明の下水汚泥発酵原料によれば、下水汚泥に特定の材料を添加するという簡便な操作のみで、初期の好気発酵の進行を早めることや、圧密に起因する好気発酵の悪影響を緩和することを実現でき、処理対象物が圧縮された場合でも、下水汚泥を安定して発酵させることができる。これにより、セメント工場のような工業地域や住宅に隣接する地域でも、性状の異なる下水汚泥を大量に発酵処理することができ、資源の有効利用に繋げることができる。
図1(a)は、実施例及び比較例における好気発酵評価に用いた発酵容器の外観及び寸法を示す斜視図であり、図1(b)は温度測定時における各部材の配置位置を示した断面図である。
本発明の好適な実施形態を以下に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の下水汚泥発酵原料は、その材料として、下水汚泥と、肉骨粉とを含む。この下水汚泥発酵原料は、好気発酵処理に好適に用いられるものである。
本発明に用いられる下水汚泥は、排水処理又は下水処理の過程で生じる廃棄物であり、有機物、無機物及び水を含む泥状の物質である。このような下水汚泥としては、例えば一般下水汚泥、工業下水汚泥などが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて用いることができる。下水汚泥は、未消化汚泥としてそのまま用いてもよく、あるいは、脱水汚泥、消化汚泥などの下水汚泥の自己発酵処理物を用いてもよい。
本発明に用いられる肉骨粉は、好気発酵に寄与する微生物の栄養源を供給することを主な目的とする栄養助材の一種である。肉骨粉は、牛・豚・鶏から食肉を除いた後に、内蔵や屑肉等とともに加熱処理されたものであり、好ましくは粉末状に粉砕されたものである。肉骨粉を含むことによって、下水汚泥の初期の発酵を極めて効率よく促進させることができ、その結果、十分な好気発酵を安定的に行うことができる。特にこの点は、例えば後述する縦型発酵槽を用いて発酵する場合であっても、好気発酵を安定的かつ効果的に進行させることができる点で有利である。下水汚泥の発酵を効率よく促進させる観点から、肉骨粉の発熱量は3500kcal/kg以上であることが好ましい。
肉骨粉の含有量は、下水汚泥100質量部に対して、好ましくは10質量部以上100質量部以下、より好ましくは12質量部以上80質量部、更に好ましくは15質量部以上60質量部以下である。このような範囲にあることによって、下水汚泥の処理量を増加させて、安定的に発酵処理することができる。このとき、基準となる下水汚泥の質量は、含水状態での質量とする。
肉骨粉を下水汚泥の発酵処理に用いることによって、初期の時点から好気発酵を安定的に進行させることができる理由は明らかではないが、本発明者は、(i)下水汚泥と肉骨粉を混合した際の栄養成分のバランス(例えば、油脂、たんぱく質、炭素、窒素等の各栄養源の比率など)が好気性微生物の活動に最適な条件となるため、(ii)下水汚泥と肉骨粉との混合物の粘性を下げることができるとともに、その通気性が確保されやすくなり、好気発酵が進行しやすくなるため、と推測している。
本発明においては、さらに通気助材を含むことが好ましい。通気助材は、通気性を向上させて下水汚泥の好気発酵を促すことを主な目的とする材料である。通気助材としては、例えば、稲わら、もみがら、木屑などの有機系通気助材や、パーライト、ゼオライト、珪藻土、フライアッシュなどの無機系通気助材等があり、これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。
通気助材を含むことによって、下水汚泥発酵原料の圧縮の状態に依存せず、下水汚泥発酵原料中の通気性を改善することができ、下水汚泥の好気発酵を安定的に行うことができる。特に、例えば後述する縦型発酵槽を用いて好気発酵する場合、下水汚泥発酵原料の堆積に起因して発酵槽内の下水汚泥発酵原料が圧密化され、下水汚泥の好気発酵が進行しづらくなるところ、通気助材を含むことによって、過度の圧密状態となることを抑制しつつ通気性を確保することができ、下水汚泥の好気発酵を安定的かつ効果的に進行させることができる点で有利である。
通気助材の含有量は、下水汚泥100質量部に対して、好ましくは5質量部以上100質量部以下、より好ましくは7質量部以上70質量部、更に好ましくは8質量部以上50質量部以下である。このような範囲にあることによって、下水汚泥の処理量を増加させて発酵処理することができる。また、フライアッシュも下水汚泥と同様に廃棄物として扱われるところ、フライアッシュを下水汚泥とともに再利用することによって、資源の有効利用及び環境保護に寄与するという利点も奏される。このとき、基準となる下水汚泥の質量は、含水状態での質量とする。
上述した通気助材のうち、フライアッシュを含むことが更に好ましいフライアッシュは、石炭の燃焼によって生成した石炭灰の一種であり、例えば、石炭火力発電所にて微粉石炭を燃焼した際に生成する石炭灰であって、電気集塵機等で回収されるものが挙げられる。フライアッシュは、その嵩密度が好ましくは0.2g/cm以上1.5g/cm以下、ブレーン比表面積が好ましくは1000cm/g以上20000cm/g以下のものであり、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム等を含む。
フライアッシュを下水汚泥の発酵処理に用いることによって、初期の時点から好気発酵を安定的に進行させることができる理由は明らかではないが、フライアッシュ自体が比較的微細な粒子であることに起因して分散性が高いこと、及びフライアッシュに含まれるCaO成分によって下水汚泥の粒子が凝集しフロックを形成しやすくなり、下水汚泥発酵原料の密度を低下しやすくするため、と推測している。
下水汚泥発酵原料には、下水汚泥、肉骨粉及び通気助材以外の材料として、本発明の効果を阻害しない範囲で他の資材(以下、これを単に「資材」ともいう。)が含まれていてもよい。資材としては、例えば、下水汚泥発酵原料を発酵に供する際に安定的な好気発酵を促すための材料が挙げられ、具体的には、下水汚泥の含水率を低減させたり、好気発酵に寄与する微生物の栄養源となる易分解性有機分を供給したりする等を目的とした材料が挙げられる。
好気発酵に寄与する微生物の栄養源を供給するための材料としては、例えば肉骨粉以外の栄養助材が挙げられる。このような栄養助材の具体例としては、食品汚泥、廃白土、製紙スラッジ、廃食油、生ごみ、し尿、畜糞、堆肥等が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いることができる。資材を含む場合、下水汚泥100質量部に対する資材の総質量部は、好ましくは1質量部以上180質量部以下、更に好ましくは5質量部以上100質量部以下とすることができる。このとき、基準となる下水汚泥の質量は、含水状態での質量とする。
上述した肉骨粉及び通気助材、並びに必要に応じて含まれる資材の形状は特に制限はなく、例えば、固形状、顆粒状、粉末状、ペースト状、流動状、液状等の形状としてもよい。肉骨粉、通気助材及び資材の合計総含有量は、用いられる材料の物性や目的に応じて適宜調整できるが、下水汚泥100質量部に対する肉骨粉、通気助材及び資材の合計総質量部を、好ましくは15質量部以上200質量部以下、更に好ましくは20質量部以上150質量部以下とすることができる。このとき、基準となる下水汚泥の質量は、含水状態での質量とする。
発酵初期の時点から好気発酵を安定的に進行させるために十分な水分量を確保する観点から、下水汚泥発酵原料の含水率は、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。含水率は、例えば市販の赤外線水分計又はハロゲン水分計を用いて、100℃〜120℃の加熱温度で乾燥したときの乾燥前後の質量の差に基づいて測定することができる。またこれに代えて、JIS A 1203「土の含水比試験方法」に準じて測定することができる。下水汚泥発酵原料の含水率は、例えば、所望の含水率となるように原材料を選択したり、原材料又は下水汚泥発酵原料に対して、水を添加したりすることによって適宜調整することができる。
このような材料を含む下水汚泥発酵原料は、例えば、下水汚泥及び肉骨粉、あるいは下水汚泥、肉骨粉及び通気助材と、必要に応じて資材とを、混合するか又は堆積させて、混合物又は堆積物として製造することができる。詳細には、下水汚泥及び肉骨粉と、あるいは下水汚泥、肉骨粉及び通気助材と、必要に応じて資材とを混合して下水汚泥発酵原料を得る方法や、又は、屋内若しくは屋外で、各材料を堆積させた堆積物として下水汚泥発酵原料を得る方法が挙げられる。あるいは、材料のうちいずれかを容器に供給し、次いで他の原料を任意の順序で容器内に供給して、容器内で各原料を交互に若しくはランダムに堆積させた堆積物とし、これをそのままで、又はこれに加えて、該堆積物を容器内で混合した混合物として、下水汚泥発酵原料を得る方法が挙げられる。
上述の下水汚泥発酵原料は、堆積物及び混合物のいずれの形態であっても、下水汚泥の好気発酵処理の用途に適したものとなる。下水汚泥発酵原料は、これをそのまま屋外又は屋内に配するか、あるいはこれを堆積物又は混合物として容器に供給して、下水汚泥の好気発酵処理を行うことができる。詳細には、下水汚泥発酵原料は、これを堆肥舎内に堆積させたり、これを開放系又は密閉系の発酵槽に供給したりして、下水汚泥を好気発酵させることができる。下水汚泥発酵原料を発酵槽に供給して好気発酵処理に供する場合、発酵槽内の撹拌設備の有無あるいは撹拌方法は問わず、安定的に好気発酵を行うことができる。悪臭などの周囲環境への汚染を低減する観点から、下水汚泥発酵原料中の下水汚泥を好気発酵処理させる場合、密閉系の発酵槽内で好気発酵させることが好ましい。密閉系とは、好気発酵時において固体及び液体の進入が防止され、且つ空気等の気体の進入が妨げられない反応系を指し、開放系とは、好気発酵時において固体、液体及び気体の進入が妨げられない反応系を指す。
特に、本発明の下水汚泥発酵原料は、密閉可能且つ縦型の発酵槽(以下、これを「密閉式縦型発酵槽」ともいう。)を用いて好気発酵させた場合であっても、下水汚泥の好気発酵を安定的に進行させることができるので好適である。つまり、下水汚泥を発酵処理する方法として、下水汚泥及び肉骨粉、あるいは下水汚泥、肉骨粉及び通気助材を、これらを任意の順序で縦型の発酵槽内に供給するか、あるいはこれらの原料を含む混合物を縦型の発酵槽内に供給して、好気発酵させる工程を有することが好ましく、当該工程は密閉系で行われることが更に好ましい。
一般的に、密閉式縦型発酵槽は、設置面に対して鉛直方向に延びる筒状の槽を有し、その上部に、下水汚泥、肉骨粉、通気助材及び資材、又はこれらの混合物を発酵槽に投入可能な投入口と、該発酵槽の下部に、好気発酵処理された下水汚泥発酵原料を排出可能な排出口とを備えている。投入口及び排出口はともに蓋などの開閉又は脱着可能な部材が設けられ、発酵槽を密閉可能に構成されている。つまり、密閉式縦型発酵槽は密閉系で下水汚泥の好気発酵を行うことができるものである。また、密閉式縦型発酵槽は断熱構造を有し、必要に応じて、発酵槽内の原料を混合するための撹拌設備や、発酵槽内へ酸素を供給するための空気流通設備や排気口が備えられている。下水汚泥発酵原料は、投入口から連続的又は断続的に発酵槽内に供給し、下水汚泥発酵原料を発酵槽内で2週間程度好気発酵させて、その後、発酵した下水汚泥発酵原料を汚泥発酵物として排出口から排出する。
密閉式縦型発酵槽は、周囲環境への悪臭の流出を低減する観点、及び設備の省スペース化の観点から、下水汚泥の発酵処理に好ましく用いられる。一方で、縦型発酵槽を用いて好気発酵を行う場合、発酵槽内の下水汚泥発酵原料は、発酵槽の上部から下部へと移行するにしたがって、下水汚泥発酵原料の自重によって下水汚泥発酵原料が圧縮されて圧密状態となり、下水汚泥の好気発酵が進行しづらくなる。この点に関して、本発明の下水汚泥発酵原料は、非圧密状態であっても、あるいは圧密状態であっても、下水汚泥の好気発酵を行うことができる程度の十分な栄養源及び通気性を確保することができ、その結果、下水汚泥の好気発酵を十分に且つ安定的に行うことができる。
下水汚泥発酵原料を発酵に供することで生成される汚泥発酵物は、例えば肥料、土壌改良材、園芸用土壌等の緑農地材料、セメントクリンカー原料、固形燃料等の用途に用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。なお、以下に示す含水率の測定は、ハロゲン水分計(アズワン株式会社製、HM1105)を用いて120℃の加熱温度で乾燥したときの乾燥前後の質量差から算出した。
〔1.下水汚泥発酵原料の調製〕
〔実施例1〕
以下の(1)〜(3)に示す下水汚泥、肉骨粉及び資材を、以下の表1に示す含有割合でそれぞれ混合して、下水汚泥及び肉骨粉を含む下水汚泥発酵原料を調製した。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は47.0質量%であった。
(1)下水汚泥:下水処理場から入手した未消化汚泥(含水率79.5質量%、固形分発熱量5010kcal/kg)。
(2)肉骨粉:肥料用肉骨粉(含水率5.1質量%、密度0.78g/cm、発熱量3900kcal/kg)。
(3)資材:堆肥(宇部セメント工場内試製品、下水汚泥発酵堆肥化物、含水率28.1質量%、発熱量3480kcal/kg)。
〔比較例1〕
前記(2)肉骨粉を用いなかった他は、実施例1と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を以下の表1に示す。本比較例の下水汚泥発酵原料の含水率は58.0質量%であった。
〔比較例2〕
前記(2)肉骨粉に代えて、前記(1)〜(3)以外の材料(以下、これを「その他の材料」ともいう。)として活性汚泥(化学工場由来、含水率90質量%、密度0.51g/cm)を用いた他は、実施例1と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を以下の表1に示す。本比較例の下水汚泥発酵原料の含水率は66.0質量%であった。
〔比較例3〕
前記(2)肉骨粉に代えて、その他の材料として廃棄物固形燃料(RDF、含水率5質量%未満、密度0.30g/cm)を用いた他は、実施例1と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を以下の表1に示す。本比較例の下水汚泥発酵原料の含水率は47.0質量%であった。
〔比較例4〕
前記(2)肉骨粉に代えて、その他の材料として焼酎粕(含水率90質量%以上、密度1.09g/cm)を用いた他は、実施例1と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を以下の表1に示す。本比較例の下水汚泥発酵原料の含水率は66.0質量%であった。
〔比較例5〕
前記(2)肉骨粉に代えて、その他の材料としてスカム(含水率90質量%以上、密度0.97g/cm)を用いた他は、実施例1と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を以下の表1に示す。本比較例の下水汚泥発酵原料の含水率は66.0質量%であった。
〔2.好気発酵時の温度変化の測定(1)〕
好気発酵を安定的に行うためには、前述のとおり、初期の好気発酵の進行や、圧密に起因する好気発酵に対する悪影響の緩和を実現させる必要がある。ここではまず、初期の好気発酵の進行度合を検討するために、実施例1及び比較例1〜5の下水汚泥発酵原料について、調製直後のものをそのまま好気発酵処理に供して、非圧密状態での下水汚泥の好気発酵の進行度合を温度変化として経時的に評価した。発酵容器として500mL容量のポリビーカーと、該ビーカーの側面及び底面を覆う発泡スチロール製の簡易断熱容器と、開口を有する発泡スチロール製の蓋を用いた。これらの配置位置及び寸法は、図1(a)に示すとおりとした。実施例1及び比較例1〜5の下水汚泥発酵原料を、図1(b)に示すようにポリビーカーに約400mLずつ収容して、測定対象の中心部にT型熱電対(アズワン社製)を挿入し、データロガーで温度を連続的に計測可能な状態で好気発酵に供した。実験は20℃に設定した室内で行い、温度変化の測定は、測定開始から90時間までとした。初期の好気発酵の進行度合は、最大到達温度(ピーク温度)が高いほど良好に進行していると評価した。結果を以下の表1に示す。
表1に示すように、肉骨粉を含む実施例1の下水汚泥発酵原料は、肉骨粉を含まない比較例1〜5の下水汚泥発酵原料と比較して、非圧密状態において、最大到達温度(ピーク温度)が高くなった。したがって、実施例1の下水汚泥発酵原料は、下水汚泥の初期の好気発酵が十分に進行することが判る。
〔実施例2〕
上述の(1)〜(3)に示す下水汚泥、肉骨粉及び資材を、以下の表2に示す含有割合でそれぞれ混合して、下水汚泥及び肉骨粉を含む下水汚泥発酵原料を調製した。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は50.0質量%であった。
〔実施例3〕
上述の(1)〜(3)に示す下水汚泥、肉骨粉及び資材に加えて、通気助材として以下の(4)に示すフライアッシュを以下の表2に示す含有割合で混合した他は、実施例2と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は41.4質量%であった。
(4)フライアッシュ:石炭火力自家発電所より採取したもの(宇部興産株式会社製、密度0.49g/cm)。
〔実施例4〕
前記(4)フライアッシュに代えて、通気助材として調湿建材破砕物(宇部興産建材株式会社製、珪藻土からなる板状物を破砕して5〜10mmの粒度に調製したもの、密度0.29g/cm)を用いて、下水汚泥100質量部に対して27.4質量部混合した他は、実施例2と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を表2に示す。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は44.6質量%であった。
〔実施例5〕
前記(4)フライアッシュに代えて、通気助材としてクリンカアッシュ(宇部興産株式会社製、石炭火力自家発電所の石炭燃焼ボイラ落下採取物、密度0.59g/cm)を用いて、下水汚泥100質量部に対して56.4質量部混合した他は、実施例2と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を表2に示す。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は46.6質量%であった。
〔実施例6〕
前記(4)フライアッシュに代えて、通気助材として木屑(宇部興産セメントサービス株式会社製、4.75mm以下調整品、密度0.20g/cm)を用いて、下水汚泥100質量部に対して19.2質量部混合した他は、実施例2と同様に下水汚泥発酵原料を調製した。配合割合を表2に示す。本実施例の下水汚泥発酵原料の含水率は46.1質量%であった。
〔3.好気発酵時の温度変化の測定(2)〕
次に、圧密に起因する好気発酵に対する悪影響の緩和度合を検討するために、実施例2〜5の下水汚泥発酵原料について、非圧密状態と圧密状態とでの下水汚泥の好気発酵の進行度合を温度変化として経時的に評価した。非圧密状態の好気発酵の進行度合は、実施例2〜5の調製直後の各下水汚泥発酵原料をそのまま好気発酵処理に供して、上述の〔3.〕項に記載した方法と同様に評価した。
また、圧密状態での好気発酵の進行度合の評価は、以下の方法で行った。まず、図1(a)に示す発酵容器のポリビーカーに実施例2〜5の下水汚泥発酵原料を約400mLずつ収容した。次いで、JIS A 1109:2006又はJGS 1611に規定される突き棒を、ポリビーカー上端の50mm上方から測定試料の上面に20回自由落下させて、下水汚泥発酵原料の高さが均一(高さが変化しなくなる状態)となるようにまんべんなく押し固めた。その後、図1(b)に示すように、押し固めた状態の測定対象の中心部に前記T型熱電対を挿入し、上述の〔3.〕項の方法と同様に温度変化を測定した。非圧密状態及び圧密状態での最大到達温度(ピーク温度)と、これらの温度の差とをそれぞれ表2に示す。非圧密状態及び圧密状態の最大到達温度の差が小さいほど、圧密状態でも好気発酵が良好に進行し、圧密に起因する好気発酵に対する悪影響を緩和できることを示している。
表2に示すように、実施例2〜5の下水汚泥発酵原料はいずれも、非圧密状態及び圧密状態のいずれの状態でも、下水汚泥の好気発酵が良好に進行していることが判る。また、通気助材を含む実施例3〜5の下水汚泥発酵原料は、圧密状態であっても好気発酵がより良好に進行し、圧密に起因する好気発酵に対する悪影響をより緩和できており、特に通気助材としてフライアッシュを用いた実施例3は圧密に起因する好気発酵に対する悪影響をより一層緩和できることが判る。このことは、本発明の下水汚泥発酵原料を密閉式縦型発酵槽内で発酵した場合であっても、発酵処理の全ての期間にわたって、下水汚泥の好気発酵を良好に且つ安定的に進行させることができることを示している。
以上のとおり、下水汚泥に特定の材料を添加するという簡便な操作のみで、初期の好気発酵の進行と、圧密に起因する好気発酵の影響の緩衝とを両立でき、処理対象物が圧縮された場合でも、下水汚泥を安定して発酵させることができる。これにより、セメント工場のような工業地域や住宅に隣接する地域でも、性状の異なる下水汚泥を大量に発酵処理することができ、資源の有効利用に繋げることができる。

Claims (4)

  1. 下水汚泥と、肉骨粉とを含む、好気発酵処理用の下水汚泥発酵原料。
  2. 前記肉骨粉を、前記下水汚泥100質量部に対して10質量部以上100質量部以下含む、請求項1に記載の下水汚泥発酵原料。
  3. 通気助材を更に含む、請求項1又は2に記載の下水汚泥発酵原料。
  4. 前記通気助材を、前記下水汚泥100質量部に対して5質量部以上100質量部以下含む、請求項3に記載の下水汚泥発酵原料。
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