JP2010084082A - バイオマス燃料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】家畜排泄物、食品廃棄物のいずれか一方または双方を含有する高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去した脱塩素有機廃棄物に、水分調整剤として木質系廃棄物を添加した後、発酵させてなるバイオマス燃料であって、前記木質系廃棄物が前記バイオマス燃料全体に対して、乾燥時で10質量%以上かつ70質量%以下の範囲で含まれるとともに、塩素濃度が4000ppm以下、含水率が40質量%以下であることを特徴とするバイオマス燃料。
【選択図】なし
Description
(1)脱塩素有機廃棄物を、天日乾燥やドライヤー乾燥などによって乾燥させ、含水率を下げる方法(例えば、特許文献1、2参照)。
(2)脱塩素有機廃棄物に対して、おが屑、籾殻、バーク材等を混合させて含水率を下げる方法。
また、脱塩素有機廃棄物をドライヤー乾燥など乾燥機を用いてて乾燥させる方法では、化石燃料や多量の電力が必要となるため、製造コストが高くなるという問題点があった。また、温室効果ガスの排出量が増加して環境にも好ましくない。
一方、脱塩素有機廃棄物に対して、おが屑、籾殻、バーク材等を混合させる方法は、近年、これらの材料の発生量が減少した結果、こうしたおが屑、籾殻、バーク材等を低コストで大量に入手することが困難になりつつあり、製造コストが高くなるという問題点があった。
すなわち、本発明のバイオマス燃料は、家畜排泄物、食品廃棄物のいずれか一方または双方を含有する高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去した脱塩素有機廃棄物に、水分調整剤として木質系廃棄物を添加した後、発酵させてなるバイオマス燃料であって、前記木質系廃棄物が前記バイオマス燃料全体に対して、乾燥時で10質量%以上かつ70質量%以下の範囲で含まれるとともに、塩素濃度が4000ppm以下、含水率が40質量%以下であることを特徴とする。
前記木質系廃棄物は、含水率が50質量%以下であるのが好ましい。
前記木質系廃棄物は、含水率が50質量%以下であることが好ましい。
前記木質系廃棄物は、平均粒径が100mm以下であることが好ましい。
前記脱塩素有機廃棄物を発酵させた後に、更に、分級、粉砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行い、粒度を調整することが好ましい。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明のバイオマス燃料は、家畜排泄物、食品廃棄物のいずれか一方または双方を含有する高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去した脱塩素有機廃棄物に、水分調整剤として木質系廃棄物を添加した後、発酵させてなるバイオマス燃料であって、前記バイオマス燃料全体に対して、前記木質系廃棄物を10質量%以上かつ70質量%以下の範囲で含むとともに、塩素濃度が4000ppm以下、含水率が40質量%以下であることを特徴とする。
図1は、本発明のバイオマス燃料の製造方法に用いられるバイオマス燃料の製造設備の構成を示す概略構造図である。
図1において、1は高含水率有機廃棄物を排出する排出源、2は高含水率有機廃棄物の脱塩設備、3は燃料化設備である。
これらの各施設から排出される高含水率有機廃棄物は、その用途によっては、2種類以上を混合してもよい。
図2に示すように、排出源1から排出される上述した排泄物含有処理水、食品廃棄物含有処理水等の高含水率有機廃棄物を脱塩設備2の1次槽11に一旦貯留し、送液ポンプ(図示略)等を用いて1次固液分離器12に投入し、この高含水率有機廃棄物をケーキ(固形分)と1次スラリー(水溶液)に固液分離する(ステップS1)。次いで、この固液分離により生じた1次スラリーを調整槽13に投入して貯留し、この1次スラリーを調整槽13の計量槽等の定量供給装置を介して1次曝気槽14に導入し、この1次スラリーに1次曝気処理を施す。
この膜浸漬槽17及び脱水処理装置18から排出される処理水は、処理水受槽19に一旦貯留された後、放流される。
まず、この脱塩素有機廃棄物と木質系廃棄物25とを水分調整設備21に投入する。そして、水分調整設備21で脱塩素有機廃棄物と、水分調整剤としての木質系廃棄物25とを均一に混合する(ステップS3)。これによって、水分調整設備21に投入される前の含水率が90質量%以下の脱塩素有機廃棄物を、木質系廃棄物25との混合により、次工程の発酵に適した含水率である50〜70質量%程度に調整させる。例えば、含水率が90質量%程度の脱塩素有機廃棄物の含水率を50〜70質量%程度に低減するようにするには、含水率が50質量%以下の木質系廃棄物を脱塩素有機廃棄物に対して10質量%以上かつ230質量%以下の割合で添加させれば良い。
以上の工程で得られたバイオマス燃料は、保管庫26に搬入され、仕様別や品種別に選別され、保管され、必要に応じて取り出される。
また、脱塩素有機廃棄物をドライヤー乾燥など乾燥機を用いてて乾燥させる方法と比較して、化石燃料や多量の電力が不要であり、低コストでバイオマス燃料を製造することができる。また、水分調整剤として木質系廃棄物を用いる事により、木材を含む建築廃材などの木質系廃棄物の有効活用が促進され、環境対策の面からも優れている。
(実施例1)
含水率90質量%、塩素濃度6500ppmの豚糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水50Lを含む高含水率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含水率82質量%、塩素濃度2100ppmのケーキ(脱塩素豚糞)55kgを得た。
ついで、このケーキに水分調整材として平均粒径30mmの木質系建設廃材(含水率30質量%)20kgを添加・混合して、含水率63質量%、塩素濃度670ppmの脱塩素豚糞65kgを得た。
ついでこの脱塩素豚糞を横型開放式堆肥舎に搬入し、発酵熱を用いて乾燥させ乾燥脱塩豚糞30kgを得た。この乾燥脱塩豚糞の塩素濃度は670ppm、含水率は20質量%であった。
この乾燥豚糞をセメント製造設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下することはなく、セメントキルンの操業やセメントの品質に影響はなかった。
含水率92質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水50Lを含む高含水率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含水率82質量%、塩素濃度2030ppmのケーキ(脱塩素豚糞)44kgを得た。
ついで、このケーキに水分調整材として平均粒径30mmの木質系建設廃材(含水率25質量%)20kgを添加・混合して、含水率64質量%、塩素濃度700ppmの脱塩素豚糞64kgを得た。
ついでこの脱塩素豚糞を縦型発酵機に搬入し、発酵熱を用いて乾燥させ乾燥脱塩豚糞31kgを得た。この乾燥脱塩豚糞の塩素濃度は700ppm、含水率は25質量%であった。
この乾燥豚糞をセメント製造設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下することはなく、セメントキルンの操業やセメントの品質に影響はなかった。
含水率92質量%、塩素濃度6000ppmの豚糞100kgを、脱水機を用いて脱水し、含水率82質量%、塩素濃度2350ppmのケーキ(脱塩素豚糞)44kgを得た。
ついで、このケーキに水分調整材として平均粒径30mmの木質系建設廃材(含水率30質量%)15kgを添加・混合して、含水率69質量%、塩素濃度1020ppmの脱塩素豚糞59kgを得た。
ついでこの脱塩素豚糞を横型開放式堆肥舎に搬入し、発酵熱を用いて乾燥させ乾燥脱塩豚糞23kgを得た。この乾燥脱塩豚糞の塩素濃度は1020ppm、含水率は20質量%であった。
この乾燥豚糞をセメント製造設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下することはなく、セメントキルンの操業やセメントの品質に影響はなかった。
含水率92質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水50Lを含む高含水率有機廃棄物を、脱水機を用いて脱水し、含水率82質量%、塩素濃度2030ppmのケーキ(脱塩素豚糞)44kgを得た。
ついで、このケーキを縦型発酵機に搬入し、発酵熱を用いて乾燥させ乾燥脱塩豚糞15kgを得た。この乾燥脱塩豚糞の塩素濃度は2030ppm、含水率は45質量%であった。
この乾燥豚糞をセメント製造設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下し、セメントキルンの操業やセメントの品質に悪影響があった。
3 燃料化設備
21 水分調整設備
22 発酵設備
24 粉砕機
25 木質系廃棄物。
Claims (8)
- 家畜排泄物、食品廃棄物のいずれか一方または双方を含有する高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去した脱塩素有機廃棄物に、水分調整剤として木質系廃棄物を添加した後、発酵させてなるバイオマス燃料であって、
前記木質系廃棄物が前記バイオマス燃料全体に対して、乾燥時で10質量%以上かつ70質量%以下の範囲で含まれるとともに、塩素濃度が4000ppm以下、含水率が40質量%以下であることを特徴とするバイオマス燃料。 - 前記木質系廃棄物は、平均粒径が100mm以下であることを特徴とする請求項1記載のバイオマス燃料。
- 前記木質系廃棄物は、含水率が50質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のバイオマス燃料。
- 家畜排泄物、食品廃棄物のいずれか一方または双方を含有する高含水率有機廃棄物を燃料化するための方法であって、
前記高含水率有機廃棄物に脱水処理を施すことにより、この高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物を除去して脱塩素有機廃棄物とし、
次いで、この脱塩素有機廃棄物に、含水率が50質量%以下の木質系廃棄物を水分調整剤として添加した後、発酵を行うことにより、
塩素濃度が4000ppm以下、含水率が40質量%以下のバイオマス燃料を得ることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。 - 前記木質系廃棄物は、前記脱塩素有機廃棄物に対して、乾燥時で10質量%以上かつ230質量%以下の範囲で添加されることを特徴とする請求項4記載のバイオマス燃料の製造方法。
- 前記木質系廃棄物は、含水率が50質量%以下であることを特徴とする請求項4または5記載のバイオマス燃料の製造方法。
- 前記木質系廃棄物は、平均粒径が100mm以下であることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項記載のバイオマス燃料の製造方法。
- 前記脱塩素有機廃棄物を発酵させた後に、更に、分級、粉砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行い、粒度を調整することを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項記載のバイオマス燃料の製造方法。
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