JP5633102B2 - 含水有機廃棄物の燃料化方法 - Google Patents
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Description
この家畜排泄物は、含水率が35質量%以下の低含水率状態では高位の発熱量を有するものの、総体的にはエネルギーとしての利用は進んでいない。
従来における家畜排泄物をエネルギー利用した例としては、鶏糞をバイオマス発電設備やバイオマスボイラー等の燃料として用いる例、牛糞や豚糞を発酵させた発酵品を固形燃料として用いる例、牛糞や豚糞を発酵させてメタンガス等のバイオガスを発生させ、このバイオガスを燃料として用いる例等がある。
例えば、畜舎から排出される糞尿汚水(床洗浄水を含む)を脱水処理して固液分離する処理方法(特許文献1)、家畜糞その他の含水廃棄処理物に乾燥炭化炉を用いて乾燥炭化処理を施し、この乾燥炭化処理過程で発生した蒸気を再加熱して高温蒸気とし、この高温蒸気を乾燥炭化炉の乾燥熱源とする方法(特許文献2)、家畜排泄物に固液分離を助長する繊維性の助材を添加混錬し、得られた混錬物を静置し、この混錬物の液体成分の一部を除液し、この除液により残渣した湿潤固体成分を発酵させ、固形化する方法(特許文献3)等である。
例えば、豚舎等から排出される洗浄水や尿が混入している高含水率の有機廃棄物は、含水率が85%〜95%と高く、塩素含有量も高く、この高含水率の有機廃棄物を従来の堆肥化のための処理方法や処理システム等で処理した場合、得られた処理物の含水率も40%〜60%と高くなる。したがって、この処理物を燃料として用いた場合、燃焼時に発生する熱エネルギーが処理物に含まれる水分の蒸発潜熱に奪われてしまい、燃料としてのエネルギーの有効利用を図ることが難しいという問題点があった。
また、豚や牛の糞尿を発酵させたものについては、含水率は低下しているものの、得られた発酵品の品質にバラツキがあり、一定の品質の発酵品を得るまでには至っていない。
以上の理由により、豚や牛の糞尿のエネルギー利用については、進捗がはかばかしくないのが現状である。
このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、塩素濃度が極めて低くかつ高位の発熱量を有しており、燃焼効率が高いバイオマス燃料として有効利用することが可能である。
また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメント焼成設備に燃料として投入した場合においても、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。
また、繊維質の水分調整材を上記の脱塩素有機廃棄物に添加することにより、この繊維質の水分調整材の有する異方性により、脱塩素有機廃棄物中に空隙が形成され、通気性が確保される。これにより、この脱塩素有機廃棄物の発酵が進行する。
このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、塩素濃度が極めて低くかつ高位の発熱量を有しており、燃焼効率が高いバイオマス燃料として有効利用することが可能である。
また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメント焼成設備に燃料として投入した場合においても、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。
この高含水率有機廃棄物に脱水処理を施すことにより、この高含水率有機廃棄物に含まれる塩素および/または塩素化合物が効率的に除去され、低塩素濃度の脱塩素有機廃棄物が得られる。
脱塩素有機廃棄物は、乾燥または加熱乾燥した後では、通常、球状、塊状(ブロック状)、板状等、比較的大きな形状を有している。そこで、乾燥または加熱乾燥した脱塩素有機廃棄物に対して、分級、粉砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行うことにより、燃焼効率の高い所望の形状の粉粒体とすることが可能である。
また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装置等においても腐食や配管等の閉塞等のトラブルが発生する虞がなく、また、セメント焼成設備に投入した場合においても、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。
また、この乾燥脱塩素有機廃棄物をセメント焼成設備に燃料として投入した場合においても、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態の含水有機廃棄物の燃料化方法に用いられる脱塩・燃料化設備を示す模式図であり、高繊維質の家畜排泄物を含有する含水有機廃棄物を燃料化するための設備である。
図において、1は高繊維質の家畜排泄物を含む含水有機廃棄物を排出する排出源、2は含水有機廃棄物の脱塩設備、3は燃料化設備である。
このスラリーとしては、例えば、牛糞尿等の高繊維質の畜糞尿を所定量の水に投入し、撹拌したスラリーが好適である。
また、洗浄処理水としては、例えば、牛舎等の畜舎を水洗により洗浄した際に排出される牛糞尿等の畜糞尿と多量の洗浄水とを含む排泄物含有処理水等が挙げられる。
これらは、その用途や必要に応じて、1種のみ、または2種以上を混合して用いることができる。
これらの施設から排出される含水有機廃棄物、あるいは含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水は、その用途によっては、2種類以上を混合してもよい。
ここで、自然エネルギーを用いた乾燥とは、風力による乾燥等であり、また、自然エネルギーを用いた加熱乾燥とは、太陽熱による加熱乾燥、太陽熱及び風力を併用した加熱乾燥等である。
この直線型開放式発酵槽は、含水率を85質量%以下に調整した脱塩素有機廃棄物を貯留する開放式の発酵槽と、この脱塩素有機廃棄物を撹拌・混合する撹拌機とを備えている。
この直線型開放式発酵設備は、含水率を85質量%以下に調整した脱塩素有機廃棄物を撹拌しながら発酵させ、この発酵に伴う発熱により乾燥して含水率が低くなった脱塩素有機廃棄物とすることにより、脱塩素有機廃棄物の発酵の促進及び含水率の調整を行うようになっている。
排出源1から排出される上記の含水有機廃棄物、あるいは上記の含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水を脱塩設備2の1次槽11に一旦貯留した後、1次固液分離器12に投入し、この含水有機廃棄物、あるいは、この含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水をケーキ(固形分)と1次スラリー(水溶液)に固液分離する。次いで、この固液分離により生じた1次スラリーを調整槽13に投入して一旦貯留した後、1次曝気槽14に導入し、この1次スラリーに1次曝気処理を施す。
この膜浸漬槽17及び脱水処理装置18から排出される処理水は、処理水受槽19に一旦貯留された後、放流される。
繊維質の水分調整材は、それ自体が吸水性に富んでおり、脱塩素有機廃棄物に添加・混合した場合、この脱塩素有機廃棄物中の水分を吸収するとともに、この脱塩素有機廃棄物の粒子間に空隙を形成し、通気性を確保することにより、発酵を促進する発酵促進材としての機能を有する。
発酵設備22として直線型開放式発酵槽を用いた場合、脱塩素有機廃棄物を撹拌しながら発酵させることにより、この発酵熱により乾燥し、含水率が低下する。 所定時間、撹拌を行った後、この低含水率の脱塩素有機廃棄物に、さらに、含水率を85質量%以下に調整した新たな脱塩素有機廃棄物を投入し、撹拌しながら発酵させる。
これにより、発酵設備22に貯留された脱塩素有機廃棄物は、撹拌・混合により水分調整が行われ、その結果、発酵が促進されることとなる。
以上により、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水率が35質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物が得られる。
発酵設備22または粉砕機24から取り出される乾燥脱塩素有機廃棄物は、保管庫25に搬入され、仕様別や品種別に選別され、保管される。
このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、高位の発熱量を有しているので、セメント焼成設備のセメントキルンの窯尻部等に投入することによりセメント焼成用燃料として有効利用することができる。
また、含水率は35質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
なお、この乾燥脱塩素有機廃棄物を、例えば、ニーダー、ロールミル等の解砕手段を用いて直径10mm以下の粒子状に解砕すれば、燃焼効率が向上するので好ましい。
また、塩素濃度が極めて低いので、燃焼装置等においても腐食や配管等の閉塞等のトラブルを防止することができる。また、この脱塩素有機廃棄物をセメント焼成設備に投入したとしても、セメントの操業や品質に悪影響を及ぼす虞が無い。
図2は、本発明の第2の実施形態の含水有機廃棄物の燃料化方法に用いられる脱塩・燃料化設備を示す模式図であり、図1と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
図において、31は家畜排泄物を含む含水有機廃棄物を排出する排出源、32は燃料化設備である。
この含水有機廃棄物は、スラリーまたは洗浄処理水の状態としても用いることができる。
このスラリーとしては、例えば、豚糞尿、鶏糞等の畜糞尿を所定量の水に投入し、撹拌したスラリーが好適である。
また、洗浄処理水としては、例えば、豚舎、鶏舎等の畜舎を水洗により洗浄した際に排出される豚糞尿、鶏糞等の畜糞尿と多量の洗浄水とを含む排泄物含有処理水等が挙げられる。
これらは、その用途や必要に応じて、1種のみ、または2種以上を混合して用いることができる。
これらの施設から排出される含水有機廃棄物、あるいは含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水は、その用途によっては、2種類以上を混合してもよい。
ここで、自然エネルギーを用いた乾燥とは、風力による乾燥等であり、また、自然エネルギーを用いた加熱乾燥とは、太陽熱による加熱乾燥、太陽熱及び風力を併用した加熱乾燥等である。
排出源31から排出される上記の含水有機廃棄物、あるいは上記の含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水を、脱塩設備2に投入して脱塩処理を施し、塩素濃度が4000ppm以下、好ましくは3000ppm以下であり、かつ含水率が90質量%以下の脱塩素有機廃棄物とする。
この脱塩設備2による脱塩処理は、第1の実施形態と全く同様である。
この水分調整材の塩素濃度は特に限定するものではないが、塩素濃度が4000ppm以下であれば、燃料として用いる場合に塩素濃度低減効果があるので好ましい。
この発酵工程以降は、第1の実施形態と全く同様である。
このようにして得られた乾燥脱塩素有機廃棄物は、高位の発熱量を有しているので、セメント焼成設備のセメントキルンの窯尻部等に投入することによりセメント焼成用燃料として有効利用することができる。
また、含水率は35質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
なお、この乾燥脱塩素有機廃棄物を、例えば、ニーダー、ロールミル等の解砕手段を用いて直径10mm以下の粒子状に解砕すれば、燃焼効率が向上するので好ましい。
しかも、脱塩素有機廃棄物に繊維質の水分調整材を添加して撹拌することにより、発酵を促進させることができる。
含水率90質量%、塩素濃度8000ppmの牛糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水100Lを含むスラリーを、脱水機を用いて脱水し、含水率75質量%、塩素濃度1260ppmのケーキ状の脱塩素牛糞40kgを得た。
次いで、この脱塩素牛糞を直線型開放式発酵槽に投入し、発酵熱を用いて乾燥し、乾燥脱塩素牛糞を得た。この乾燥脱塩素牛糞の塩素濃度は1260ppm、含水率は20質量%であった。
また、この乾燥脱塩素牛糞をセメント焼成設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み、燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下することはなく、セメントの操業や品質に影響は無かった。
含水率95質量%、塩素濃度7000ppmの牛糞100kgを、脱水機を用いて脱水し、含水率75質量%、塩素濃度1100ppmのケーキ状の脱塩素牛糞20kgを得た。
次いで、この脱塩素牛糞を直線型開放式発酵槽に投入し、発酵熱を用いて乾燥し、乾燥脱塩素牛糞を得た。この乾燥脱塩素牛糞の塩素濃度は1100ppm、含水率は25質量%であった。
含水率90質量%、塩素濃度6500ppmの豚糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水50Lを含むスラリーを、脱水機を用いて脱水し、含水率80質量%、塩素濃度1860ppmのケーキ状の脱塩素豚糞50kgを得た。
次いで、この脱塩素豚糞に、水分調整材として粉砕処理バーク材(含水率45%)10kgを撹拌・混合し、含水率74質量%、塩素濃度1200ppmの脱塩素豚糞60kgを得た。
次いで、この脱塩素豚糞を直線型開放式発酵槽に投入し、発酵熱を用いて乾燥し、乾燥脱塩素豚糞を得た。この乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は1200ppm、含水率は40質量%であった。
また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み、燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下することはなく、セメントの操業や品質に影響は無かった。
含水率80質量%、塩素濃度8000ppmの豚糞100kg及び脱塩処理を施した上水道水300Lを含むスラリーを、脱水機を用いて脱水し、含水率95質量%のケーキ状の脱塩素豚糞を得た。
次いで、この脱塩素豚糞を、乾燥器に搬入し、太陽熱及び風力を用いて天日乾燥を行った。得られた乾燥脱塩素豚糞の塩素濃度は5200ppm、含水率は50質量%であった。
また、この乾燥脱塩素豚糞をセメント焼成設備のセメントキルンの窯前部の燃焼バーナーより吹き込み、燃焼させたところ、セメントキルンの燃焼効率が低下し、得られたセメントの塩素濃度も高く、セメントの操業や品質に大きな影響があった。
2 脱塩設備
3 燃料化設備
11 1次槽
12 1次固液分離器
13 調整槽
14 1次曝気槽
15 2次固液分離器
16 2次曝気槽
17 膜浸漬槽
18 脱水処理装置
19 処理水受槽
21 水分調整設備
22 発酵槽
23 乾燥装置
24 粉砕機
25 保管庫
31 排出源
32 燃料化設備
33 水分調整設備
Claims (4)
- 牛糞を含有する含水有機廃棄物を燃料化するための方法であって、
前記含水有機廃棄物、あるいは前記含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水に、脱水処理を施すことにより、前記含水有機廃棄物に含まれる塩素、塩素化合物のうちのいずれか一方または双方を除去して、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水率が90質量%以下の脱塩素有機廃棄物とし、
次いで、この脱塩素有機廃棄物を発酵させ、発酵過程にて発生する発酵熱により前記脱塩素有機廃棄物を乾燥させ、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水率が35質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とし、
前記脱水処理は、前記含水有機廃棄物、あるいは前記含水有機廃棄物を含むスラリーまたは前記洗浄処理水を固形分と1次スラリーとに固液分離する1次固液分離と、
前記1次スラリーを曝気処理した後、固形分と2次スラリーとに固液分離する2次固液分離と、
前記2次スラリーを曝気処理した後、汚泥と処理水とに固液分離し、得られる前記汚泥をさらに脱水する処理と、を含み、
前記1次固液分離における固形分と、前記2次固液分離における固形分と、脱水した前記汚泥とを混合して、前記脱塩素有機廃棄物とすることを特徴とする含水有機廃棄物の燃料化方法。 - 豚糞を含有する含水有機廃棄物を燃料化するための方法であって、
前記含水有機廃棄物、あるいは前記含水有機廃棄物を含むスラリーまたは洗浄処理水に、脱水処理を施すことにより、前記含水有機廃棄物に含まれる塩素、塩素化合物のうちのいずれか一方または双方を除去して、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水率が90質量%以下の脱塩素有機廃棄物とし、
次いで、この脱塩素有機廃棄物に繊維質の水分調整材を添加することにより、含水率を74質量%以上かつ85質量%以下に調整し、
次いで、この含水率を調整した脱塩素有機廃棄物を発酵させ、発酵過程にて発生する発酵熱により前記脱塩素有機廃棄物を乾燥させ、塩素濃度が4000ppm以下かつ含水率が35質量%以下の乾燥脱塩素有機廃棄物とし、
前記脱水処理は、前記含水有機廃棄物、あるいは前記含水有機廃棄物を含むスラリーまたは前記洗浄処理水を固形分と1次スラリーとに固液分離する1次固液分離と、
前記1次スラリーを曝気処理した後、固形分と2次スラリーとに固液分離する2次固液分離と、
前記2次スラリーを曝気処理した後、汚泥と処理水とに固液分離し、得られる前記汚泥をさらに脱水する処理と、を含み、
前記1次固液分離における固形分と、前記2次固液分離における固形分と、脱水した前記汚泥とを混合して、前記脱塩素有機廃棄物とすることを特徴とする含水有機廃棄物の燃料化方法。 - 前記含水有機廃棄物は、含水率が60%以上の高含水率有機廃棄物であることを特徴とする請求項1または2記載の含水有機廃棄物の燃料化方法。
- 前記脱塩素有機廃棄物を乾燥させた後に、分級、粉砕、解砕のいずれか1つまたは2つ以上を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の含水有機廃棄物の燃料化方法。
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