以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置1の外観を示す斜視図である。図2は、画像形成装置1の内部構成を示す図である。画像形成装置1は、電子写真法を用いてカラー画像を形成するプリンタである。
図2に示すように、画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを供給する媒体供給部110と、トナー像(現像剤像)を形成する画像形成部100と、画像形成部100で形成したトナー像を媒体Pに転写する転写ユニット120と、トナー像を媒体Pに定着する定着装置130と、媒体Pを排出する媒体排出部140と、これらを収容する筐体101とを備える。
媒体供給部110は、媒体Pを収容する給紙トレイ111と、給紙トレイ111に収容された媒体Pに当接するように配置されたピックアップローラ112と、ピックアップローラ112に隣接して配置されたフィードローラ113と、フィードローラ113に対向するように配置されたリタードローラ114とを有する。
給紙トレイ111は、印刷用紙等の媒体Pを積載状態で収容する。ピックアップローラ112は、給紙トレイ111の媒体Pに当接して回転し、給紙トレイ111から媒体Pを繰り出す。フィードローラ113は、ピックアップローラ112によって繰り出された媒体Pを搬送路に送り出す。リタードローラ114は、フィードローラ113による送り出し方向とは逆方向に回転し、媒体Pに搬送抵抗を付与して重送を防止する。
媒体供給部110は、また、媒体Pの搬送路に沿って、搬送ローラ115および搬送ローラ118を有する。搬送ローラ115は、レジストローラ116と、これに当接するピンチローラ117とで構成され、媒体Pの先端が両ローラのニップ部に当接してから所定のタイミングで回転を開始することにより、媒体Pのスキューを矯正して搬送する。搬送ローラ118は、搬送ローラ115からの媒体Pを画像形成部100に搬送する。
画像形成部100は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナー像を形成する画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット10K,10C,10M,10Yを有する。プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの各感光体ドラム11(後述)に対向するように、露光装置としての印刷ヘッド13K,13C,13M,13Yが配置されている。
プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、媒体Pの搬送方向(ここでは図中右から左)に沿って、この順に配列されている。プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、特に区別する必要がない場合には、「プロセスユニット10」と称する。また、印刷ヘッド13K,13C,13M,13Yは、特に区別する必要がない場合には、「印刷ヘッド13」と称する。
プロセスユニット10は、トナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム11と、帯電部材としての帯電ローラ12と、現像剤担持体としての現像ローラ14と、供給部材としての供給ローラ15と、現像剤規制部材としての現像ブレード16と、これらを収容するユニットフレーム30とを有する。
感光体ドラム11は、導電性の基体の表面に感光層(電荷発生層および電荷輸送層)を設けた円筒状の部材であり、駆動モータ17(図18)により図中時計回りに回転する。
帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面に当接するように配置され、感光体ドラム11の回転に追従して回転する。帯電ローラ12は、帯電電圧電源202(図18)により帯電電圧を印加され、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体ドラム11の表面には、印刷ヘッド13の光照射によって静電潜像が形成される。
現像ローラ14は、感光体ドラム11の表面に当接するように配置され、感光体ドラム11と逆方向(図中反時計回り)に回転する。現像ローラ14は、現像電圧電源203(図18)により現像電圧を印加され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。
供給ローラ15は、現像ローラ14の表面に当接または対向するように配置され、現像ローラ14と同方向に回転する。供給ローラ15は、供給電圧電源204(図18)により供給電圧を印加され、現像ローラ14にトナーを供給する。
現像ブレード16は、現像ローラ14の軸方向に長い金属製のブレードであり、現像ローラ14の表面に押し当てられるように配置されている。現像ブレード16は、現像ローラ14の表面に形成されるトナー層の厚さを規制する。
プロセスユニット10において、現像ローラ14、供給ローラ15および現像ブレード16を含む部分、すなわち静電潜像の現像に寄与する部分は、現像ユニットを構成する。
プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの上方には、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yにトナーを供給する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yが設けられている。トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yは、後述するトップカバー102に着脱可能に取り付けられている。
トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yは、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーをそれぞれ収容している。トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yは、特に区別する必要がない場合には、「トナーカートリッジ20」と称する。
印刷ヘッド13は、例えば、LED(発光ダイオード)等の発光素子を配列した発光素子アレイと、発光素子の出射光を感光体ドラム11の表面に集光させるレンズアレイとを有する。印刷ヘッド13は、ヘッド制御部206(図18)によって駆動され、感光体ドラム11の表面を露光して静電潜像を形成する。
転写ユニット120は、転写体としての無端状の転写ベルト122と、転写ベルト122が張架された駆動ローラ123およびアイドルローラ124と、転写ベルト122を介してプロセスユニット10K,10C,10M,10Yのそれぞれの感光体ドラム11に対向配置された転写ローラ121とを有する。
転写ベルト122は、その表面に媒体Pを静電気力により吸着保持して走行する。駆動ローラ123は、ベルトモータ125(図18)により回転し、転写ベルト122を走行させる。アイドルローラ124は、転写ベルト122に張力を付与する。転写ローラ121は、転写電圧電源205(図18)により転写電圧を印加され、各感光体ドラム11上のトナー像を媒体Pに転写する。
定着装置130は、媒体Pの搬送方向において画像形成部100の下流側に配置されている。定着装置130は、例えば、定着ローラ131と、この定着ローラ131に押圧される加圧ローラ132とを有する。定着ローラ131は、熱源としてヒータ133(図18)を内蔵し、定着モータ135(図18)によって回転する。定着ローラ131および加圧ローラ132は、媒体Pに転写されたトナー像に熱と圧力を加え、媒体Pに定着する。
媒体排出部140は、媒体Pの搬送方向において定着装置130の下流側に配置されており、2対のローラ対である排出ローラ141,142を備える。排出ローラ141,142は、定着装置130から送り出された媒体Pを排出搬送路に沿って搬送し、画像形成装置1の外部に排出する。画像形成装置1の上部には、排出ローラ141,142によって排出された媒体を積載するスタッカ部143が設けられている。
画像形成装置1には、両面印刷のため、表面にトナー像が定着した媒体Pを反転させて、上述した搬送ローラ115まで搬送する再搬送機構150が備えられている。また、定着装置130の下流側には、定着装置130から送り出された媒体Pを、媒体排出部140または再搬送機構150に案内する切り替えガイド136が設けられている。
再搬送機構150は、媒体Pを退避路R3に一旦送り込んで前後を入れ替える搬送ローラ151,153および切り替えガイド152と、媒体Pを戻り搬送路R4に沿って搬送する搬送ローラ154,155,156を有する。戻り搬送路R4は、搬送路R1における搬送ローラ118の上流側に合流する。戻り搬送路R4の出口近傍には、レジストローラ116に、ピンチローラ117と反対側から当接するピンチローラ157が設けられている。
搬送ローラ154,155,156によって戻り搬送路R4を搬送された媒体Pは、レジストローラ116とピンチローラ157とからなるローラ対により、搬送路R1における搬送ローラ118の上流側に搬送される。なお、画像形成装置1が両面印刷機能を有さない場合は、再搬送機構150は不要である。
画像形成装置1は、また、筐体101の上部に取り付けられた開閉可能なトップカバー102と、筐体101の前部に取り付けられた開閉可能なフロントカバー103とを有する。トップカバー102には、操作パネル等の操作部104(図1)が設けられている。また、上述したトナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yは、トップカバー102に取り付けられている。
図2において、感光体ドラム11の回転軸の方向を、X方向とする。X方向は、媒体Pの幅方向である。上述した各ユニットの各ローラの軸方向は、X方向と平行である。X方向に直交する、画像形成装置1の奥行方向(図2の左右方向)を、Y方向とする。XY面は、ここでは水平面である。また、XY面に直交する方向、ここでは鉛直方向を、Z方向とする。また、Y方向に関しては、フロントカバー103側を−Y方向とし、その反対側を+Y方向とする。
図2では、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、Y方向に対して傾斜した方向に配列されている。以下では、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの配列方向を、ユニット配列方向(略Y方向)と称する。なお、ユニット配列方向は、必ずしもY方向に対して傾斜した方向である必要はなく、Y方向と平行であってもよい。
<トナーカートリッジからプロセスユニットへのトナー搬送>
図3は、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yとトナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yとの位置関係を示す模式図である。
プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、いずれもX方向に長い形状を有し、上述したユニット配列方向(略Y方向)に一列に配列されている。一方、トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yは、いずれもユニット配列方向に長い形状を有し、X方向に配列されている。
トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yと、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yとの間には、トナー搬送路であるトナーダクト22K,22C,22M,22Yがそれぞれ設けられている。
トナーダクト22K,22C,22M,22Yは、トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yに連結される連結部21K,21C,21M,21Yと、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yに接続される接続部23K,23C,23M,23Yとを有する。
この例では、連結部21K,21C,21M,21Yは、互いに同じY方向位置に配置されている。また、接続部23K,23C,23M,23Yは、互いに同じX方向位置に配置されている。但し、このような配置に限定されるものではない。
これらトナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yとトナーダクト22K,22C,22M,22Yとにより、トナー供給ユニット2が構成される。トナー供給ユニット2はトップカバー102に取り付けられている。
トナーダクト22K,22C,22M,22Yは、特に区別する必要がない場合には、「トナーダクト22」と称する。連結部21K,21C,21M,21Yは、特に区別する必要がない場合には、「連結部21」と称する。接続部23K,23C,23M,23Yは、特に区別する必要がない場合には、「接続部23」と称する。
図4(A)は、トナー供給ユニット2とプロセスユニット10K,10C,10M,10YとのYZ面内の位置関係を示す図である。トナーダクト22は、図4(A)では1本のように示されているが、実際には、図3に示したように4本のトナーダクト22K,22C,22M,22Yが設けられている。
トナーカートリッジ20に収容されたトナーは、連結部21からトナーダクト22内に落下供給される。各トナーダクト22の内部には、トナーを搬送するための搬送部材としての搬送スパイラル25(図4(B))が設けられている。搬送スパイラル25は、トナーダクト22に沿って、連結部21から接続部23までトナーを搬送する。トナーダクト22内を接続部23まで搬送されたトナーは、プロセスユニット10に落下供給される。
図4(B)は、トナーダクト22内の搬送スパイラル25を示す図である。搬送スパイラル25は、トナーダクト22の長手方向の概ね全域に亘って配置され、トナーダクト22の長手方向の回転軸を中心として回転する。搬送スパイラル25は、トナー供給モータ26によって駆動される。トナー供給モータ26は、ここでは搬送スパイラル25毎に設けられている。但し、共通のトナー供給モータ26の駆動力を、クラッチを介して個々の搬送スパイラル25に伝達するようにしてもよい。
図5は、画像形成装置1のトップカバー102およびフロントカバー103を開放した状態を示す図である。トップカバー102は、筐体101に設けられたX方向の揺動軸C1により、揺動可能に支持されている。揺動軸C1は、筐体101の+Y方向の端部で且つ+Z方向の端部に設けられている。トップカバー102を、揺動軸C1を中心として揺動させることにより、図5に矢印Aで示すようにトップカバー102を開放することができる。
フロントカバー103は、筐体101に設けられたX方向の揺動軸C2により、揺動可能に支持されている。揺動軸C2は、筐体101の−Y方向の端部で且つ−Z方向の端部に設けられている。フロントカバー103を、揺動軸C2を中心として揺動させることにより、図5に矢印Bで示すようにトップカバー102を開放することができる。
上記の通り、トナー供給ユニット2(すなわち、トナーカートリッジ20K,20C,20M,20Yおよびトナーダクト22K,22C,22M,22Y)は、トップカバー102に支持されている。そのため、トップカバー102が開放されると、トナー供給ユニット2も矢印Aで示す方向に揺動する。
また、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、トップカバー102と一体となって揺動するバスケットフレーム107に取り付けられている。各プロセスユニット10には感光体ドラム11等の回転部材があり、筐体101側から駆動力が伝達される。
そのため、トップカバー102の開放前にフロントカバー103の開放が行われ、フロントカバー103の開放動作と機械的に連動して、各プロセスユニット10への駆動力伝達が遮断される。各プロセスユニット10への駆動力伝達については、後述する。
トップカバー102と共にプロセスユニット10K,10C,10M,10Yが開放されるため、転写ユニット120の上部が外部からアクセス可能となり、ジャムを生じた媒体Pを容易に除去することができる。なお、トナーカートリッジ20の交換は、フロントカバー103を開放した状態で行うことができる。
図6は、プロセスユニット10を示す斜視図である。プロセスユニット10は、X方向に長いユニットフレーム30と、そのX方向の両端に形成されたサイドフレーム31,32とを有する。ユニットフレーム30は、感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ14、供給ローラ15および現像ブレード16を収容する。ユニットフレーム30の上部には、トナーダクト22からのトナーを受け入れるトナー受入口30aが形成されている。
プロセスユニット10は、現像ローラ14を回転させるための駆動力を受ける駆動力受け部(第1の駆動力受け部)としての現像ローラ結合部33と、感光体ドラム11を回転させるための駆動力を受ける駆動力受け部(第2の駆動力受け部)としての感光体ドラム結合部34とを有する。
現像ローラ結合部33は、現像ローラ14のシャフトに固定されている。感光体ドラム結合部34は、感光体ドラム11のシャフトに固定されている。サイドフレーム31には、現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34をそれぞれ露出させるための開口部31a,31bが形成されている。
また、サイドフレーム31には、後述する送風口53から送風される風(すなわち冷却風)をプロセスユニット10内に導入する開口部35が設けられている。
プロセスユニット10では、現像ローラ14と現像ブレード16との接触部での発熱が比較的大きいため、サイドフレーム31の開口部35(および後述する送風口53)は、現像ローラ14と現像ブレード16との接触部にX方向に対向する位置にあることが望ましい。但し、この位置に限定されるものではない。
図7は、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yと筐体101の筐体側部105とを示す斜視図である。各プロセスユニット10に駆動力を伝達する駆動力伝達部6(図12)は、筐体101の+X方向の側部(筐体側部)105に設けられ、内側カバー106によって覆われている。
図8は、駆動力伝達部6の一部を示す斜視図である。図8では、図7に示した内側カバー106を省略している。駆動力伝達部6は、プロセスユニット10の現像ローラ結合部33に係合する係合部(第1の係合部)としての現像ローラ用カップリング41と、感光体ドラム結合部34に係合する係合部(第2の係合部)としての感光体ドラム用カップリング42とを有する。これらのカップリング41,42は、筐体101に、X方向の回転軸を中心として回転可能に取り付けられている。
現像ローラ用カップリング41は、オルダムカップリング機構を内部に備え、現像ローラ結合部33との間に僅かな軸ずれがあっても、軸ずれを吸収して駆動力を伝達できるように構成されている。同様に、感光体ドラム用カップリング42は、オルダムカップリング機構を内部に備え、感光体ドラム結合部34との軸ずれを吸収して駆動力を伝達できるように構成されている。
現像ローラ用カップリング41は、−X方向の端部に、現像ローラ結合部33に係合する係合軸部411を有する。また、現像ローラ用カップリング41の回転軸であるシャフト413には、駆動モータ17(図9)からの駆動力が伝達されるギア412が取り付けられている。
感光体ドラム用カップリング42は、−X方向の端部に、感光体ドラム結合部34に係合する係合軸部421を有する。また、感光体ドラム用カップリング42の回転軸であるシャフト423には、駆動モータ17からの駆動力が伝達されるギア422が取り付けられている。
図9は、駆動力伝達部6の一部を示す斜視図である。プロセスユニット10K,10C,10M,10Yのそれぞれに対応する現像ローラ用カップリング41を、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yと称する。同様に、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yのそれぞれに対応する感光体ドラム用カップリング42を、感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Yと称する。
駆動モータ17の駆動力は、ギア列を有する伝達機構18を介して、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yの各ギア412および感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Yの各ギア422に伝達される。
図10は、筐体側部105に配置されたサイドプレート55と、これに取り付けられた送風ダクト50とを示す斜視図である。図11は、サイドプレート55をプロセスユニット10側から見た図である。図10に示すように、サイドプレート55は、板状の部材を折り曲げて形成したものである。
サイドプレート55の上端部(+Z方向の端部)には、送風ファン56を取り付けるモータ支持部55aが形成されている。送風ファン56は、モータ支持部55aの+X側(プロセスユニット10とは反対の側)に取り付けられている。
サイドプレート55には、モータ支持部55aの+Y側に隣接して、送風部としての送風ダクト50が取り付けられている。送風ダクト50は、送風ファン56から送られた冷却風を各プロセスユニット10に送風する送風路を構成する。送風ダクト50は、ユニット配列方向(略Y方向)に延在して送風路の主部をなすメインダクト51と、メインダクト51から分岐する4つの分岐ダクト52とを有する。
4つの分岐ダクト52は、メインダクト51から略−Z方向に延在し、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの各サイドフレーム31(図6)に対向している。各分岐ダクト52の先端には、プロセスユニット10に向けて冷却風を送り出す送風口53が形成されている。送風口53は、上述した開口部35(図6)に対向する位置に形成されている。
分岐ダクト52の先端には、メインダクト51から略−Z方向に流れてきた冷却風を送風口53から−X方向に送り出すように傾斜した傾斜壁54が形成されている。
また、サイドプレート55は、後述するカバー部材80(図15)を固定する複数の固定部55bと、各プロセスユニット10の現像ローラ用カップリング41のシャフト413(図8)を通過させる4つの穴部55c(図11)とを有する。
図12は、駆動力伝達部6をプロセスユニット10側から見た図である。駆動力伝達部6は、現像ローラ用カップリング41Kおよび感光体ドラム用カップリング42KをX方向に移動させる第1スライダ60と、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yおよび感光体ドラム用カップリング42C,42M,42YをX方向に移動させる送風量変更部(可動部)としての第2スライダ70とを有する。
第1スライダ60および第2スライダ70は、いずれもユニット配列方向(略Y方向)に長く、ユニット配列方向に直進移動する。第1スライダ60および第2スライダ70は、駆動力伝達部6における駆動力の伝達経路を切り替える切り替え機構を構成する。図12に示す第1スライダ60および第2スライダ70の位置を、基準位置(第1の位置)とする。
図12に示すように、第1スライダ60は、現像ローラ用カップリング41Kの係合軸部411を通過させる開口部61と、感光体ドラム用カップリング42Kの係合軸部421を通過させる開口部62とを有する。開口部61,62は、いずれも第1スライダ60の長手方向に長い形状を有する。
第1スライダ60が基準位置にあるときには、現像ローラ用カップリング41Kの係合軸部411が開口部61の−Y方向端部に位置し、感光体ドラム用カップリング42Kの係合軸部421が開口部62の−Y方向端部に位置している。
第1スライダ60の−Y方向の端部には、筐体101に設けられた揺動レバー108と連結されたレバー連結部64が形成されている。
第2スライダ70は、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yの各係合軸部411を通過させる開口部71と、感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yの各係合軸部421を通過させる開口部72とを有する。開口部71,72は、いずれも第2スライダ70の長手方向に長い形状を有する。
第2スライダ70が基準位置にあるときには、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yの係合軸部411が開口部71の−Y方向端部に位置し、感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yの係合軸部421が開口部72の−Y方向端部に位置している。
図13(A)は、駆動力伝達部6の第1スライダ60および第2スライダ70がいずれも基準位置(第1の位置)にある状態を示す上面図である。第1スライダ60は、現像ローラ用カップリング41Kに当接する当接部として、凹部60aと傾斜部60bと凸部60cとを有する。凹部60aと傾斜部60bと凸部60cとは、+Y方向にこの順に配列されている。凸部60cは、凹部60aに対して+X方向に突出し、傾斜部60bは、凹部60aと凸部60cとをつなぐように延在する。
現像ローラ用カップリング41Kは、スプリング等の付勢部材63(図14(A))により−X方向に付勢され、第1スライダ60の凹部60a、傾斜部60bおよび凸部60cの何れかに当接している。
図13(A)では、現像ローラ用カップリング41Kは、凹部60aに当接している。すなわち、現像ローラ用カップリング41Kは、その移動範囲の−X方向の端部(すなわちプロセスユニット10に最も近い位置)にある。
図13(B)は、駆動力伝達部6の第1スライダ60および第2スライダ70が−Y方向に移動した状態を示す上面図である。第1スライダ60が−Y方向に移動すると、現像ローラ用カップリング41Kは、凹部60aから傾斜部60bを経て凸部60cに当接する。これにより、現像ローラ用カップリング41Kは+X方向(すなわちプロセスユニット10から離れる方向)に移動する。
図13(A)に戻り、第2スライダ70は、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yのそれぞれに当接する当接部として、凹部70aと傾斜部70bと凸部70cとを有する。凹部70aと傾斜部70bと凸部70cとは、+Y方向にこの順に配列されている。凸部70cは、凹部70aに対して+X方向に位置する。傾斜部70bは、凹部70aと凸部70cとをつなぐように延在している。
現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、いずれも、スプリング等の付勢部材73(図14(A))により−X方向に付勢され、第2スライダ70の凹部70a、傾斜部70bおよび凸部70cの何れかに当接している。
図13(A)では、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、いずれも凹部60aに当接している。すなわち、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、それぞれの移動範囲の−X方向の端部(すなわちプロセスユニット10に最も近い位置)にある。
図13(B)に示すように、第2スライダ70が−Y方向に移動すると、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、いずれも凹部70aから傾斜部70bを経て凸部70cに当接する。これにより、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、いずれも+X方向(すなわちプロセスユニット10から離れる方向)に移動する。
なお、図13(B)に示す第1スライダ60および第2スライダ70の位置を、遮断位置(第2の位置)と称する。
図14(A)〜(C)は、第1スライダ60および第2スライダ70の動作を説明するための模式図である。
図14(A)は、第1スライダ60および第2スライダ70が、いずれも基準位置にある状態を示す。
図14(B)は、第1スライダ60および第2スライダ70が、いずれも基準位置から−Y方向に移動して遮断位置にある状態を示す。
図14(C)は、第1スライダ60が基準位置にあり、第2スライダ70が基準位置から−Y方向に移動して遮断位置にある状態を示す。
第1スライダ60の+Y方向端部には、当接部66が形成されている。第2スライダ70の−Y方向端部には、当接部76が形成されている。第1スライダ60の当接部66と、第2スライダ70の当接部76とは、互いに当接可能に構成されている。
図14(A)に示した状態では、第1スライダ60および第2スライダ70がいずれも基準位置(第1の位置)にある。そのため、現像ローラ用カップリング41Kが第1スライダ60の凹部60aに位置し、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yが第2スライダ70の凹部70aに位置する。
そのため、現像ローラ用カップリング41Kは、プロセスユニット10Kの現像ローラ結合部33に係合する。また、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33に係合する。すなわち、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14に駆動力が伝達される。
図14(B)に示した状態では、第1スライダ60および第2スライダ70がいずれも基準位置から−Y方向に移動し、遮断位置(第2の位置)に達している。このスライダ60,70の動作は、ユーザによるフロントカバー103の開放によって行われる。
すなわち、ユーザがフロントカバー103(図5)を開くと、フロントカバー103に連結された揺動レバー108が回動し、レバー連結部64(図12)の作用により第1スライダ60が−Y方向に移動する。そして、当接部66,76の当接により、第2スライダ70が第1スライダ60に追従して−Y方向に移動する。
これにより、現像ローラ用カップリング41Kは第1スライダ60の傾斜部60bを経て凸部60cに移動し、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは第2スライダ70の傾斜部70bを経て凸部70cに移動する。
そのため、現像ローラ用カップリング41Kは、プロセスユニット10Kの現像ローラ結合部33から離間する。また、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33から離間する。すなわち、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14への駆動力伝達が遮断される。
図14(C)に示す状態では、第1スライダ60は基準位置のまま、第2スライダ70が基準位置から−Y方向に移動し、遮断位置に達している。この第2スライダ70の動作は、図12に示した切り替えモータ48によって行われる。
第2スライダ70の+Y方向端部にはラックギア部75(図12)が設けられ、このラックギア部75には切り替えモータ48よって回転するギア49が噛み合っている。第2スライダ70は、ラックギア部75とギア49との噛み合いにより、ユニット配列方向(略Y方向)に直進移動する。一方、第1スライダ60は、移動しない。
これにより、現像ローラ用カップリング41Kが第1スライダ60の凹部60aに位置したまま、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yが第2スライダ70の傾斜部70bを経て凸部70cに移動する。
そのため、現像ローラ用カップリング41Kは、プロセスユニット10Kの現像ローラ結合部33に係合し、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yは、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33から離間する。すなわち、プロセスユニット10Kの現像ローラ14には駆動力が伝達されるが、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ14への駆動力伝達は遮断される。
ここでは、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yの移動について説明したが、図14(A)〜(C)に示したスライダ60,70の動作により、感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Yも、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yと同様に移動する。
そのため、図14(A)に示した状態では、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14および感光体ドラム11に駆動力が伝達される。言い換えると、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、いずれも画像形成状態(第1の状態)にある。この状態で、カラー印刷が行われる。
また、図14(B)に示した状態では、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14および感光体ドラム11に対する駆動力伝達が遮断される。言い換えると、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、いずれも非画像形成状態(第2の状態)にある。この状態で、トップカバー102の開閉が行われる。
また、図14(C)に示した状態では、プロセスユニット10Kの現像ローラ14および感光体ドラム11には駆動力が伝達され、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ14および感光体ドラム11に対する駆動力伝達が遮断される。言い換えると、プロセスユニット10Kは画像形成状態にあり、プロセスユニット10C,10M,10Yは非画像形成状態にある。
この状態で、プロセスユニット10Kによるモノクロ印刷が行われる。そのため、モノクロ印刷時には、印刷に使用しないプロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ14および感光体ドラム11を停止させておくことができる。
なお、駆動力伝達部6は、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの画像形成状態と非画像形成状態とを切り替えることができるため、切り替え部(あるいは状態変更部)とも称する。
図15は、筐体101の筐体側部105をプロセスユニット10側から見た図である。図9に示した現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Y、感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Y、第1スライダ60および第2スライダ70は、カバー部材80に覆われている。カバー部材80は、サイドプレート55の固定部55b(図10)に固定される。
カバー部材80は、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yの各係合軸部411を挿通する穴部81と、感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Yの各係合軸部421を挿通する穴部82と、送風口53からの冷却風を通過する開口部83とを有する。
図16は、第1スライダ60および第2スライダ70が図14(C)に示した状態にあるとき(すなわちモノクロ印刷時)の駆動力伝達部6を、プロセスユニット10側から見た図である。
第2スライダ70が図14(C)に示した遮断位置にあるときには、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yの各係合軸部411は、各開口部71の+Y方向端部に位置する。また、感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yの各係合軸部421は、各開口部72の+Y方向端部に位置している。
さらに、第2スライダ70が図14(C)に示した遮断位置にあるときには、送風ダクト50の4つの送風口53のうち、プロセスユニット10C,10M,10Yに対応する3つの送風口53が第2スライダ70によって閉鎖されている(そのため、図16では第2スライダ70に隠れている)。第2スライダ70のうち、3つの送風口53を閉鎖している部分を、閉鎖部と称する。一方、ブラックのプロセスユニット10Kに対応する送風口53は、第1スライダ60に閉鎖されておらず、開放されている。
図17は、モノクロ印刷時の筐体側部105をプロセスユニット10側から見た図である。プロセスユニット10側から見ると、カバー部材80の4つの開口部83のうち、ブラックのプロセスユニット10Kに対応する送風口53は開口部83から露出しているが、他のプロセスユニット10C,10M,10Yに対応する3つの送風口53は隠れている。
このように構成されているため、モノクロ印刷時には、送風部としての送風ダクト50を通って送られてきた冷却風が、一つの送風口53からブラックのプロセスユニット10Kに集中的に送風される。
すなわち、感光体ドラム11および現像ローラ14が回転しない(すなわち非画像形成状態にある)プロセスユニット10C,10M,10Yには冷却風が送風されず、感光体ドラム11および現像ローラ14が回転する(すなわち画像形成状態にある)プロセスユニット10Kに冷却風が集中的に送風される。そのため、プロセスユニット10Kに効率よく冷却風を送風し、効率よく冷却することができる。
<画像形成装置の制御系>
次に、画像形成装置1の制御系について説明する。図18は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御装置200と、I/F(インタフェース)制御部221と、受信メモリ222と、画像データ編集メモリ223と、操作部104と、センサ群225とを有する。
画像形成装置1は、また、電源制御部201と、ヘッド制御部206と、駆動制御部207と、ベルト駆動制御部208と、定着制御部209と、定着駆動制御部210と、給紙搬送制御部211とを備える。
制御装置200は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート、タイマ等を有する。制御装置200は、上位装置からI/F制御部221を介して印刷データおよび制御コマンドを受信し、画像形成装置1の動作を制御する。
受信メモリ222は、上位装置からI/F制御部221を介して入力された印刷データを一時的に記憶する。画像データ編集メモリ223は、受信メモリ222に記憶した印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理することによって形成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
操作部104は、画像形成装置1の状態を表示する表示部(例えばLED)および操作者が指示を入力するスイッチ等を備える。センサ群225は、画像形成装置1の動作状態を監視するための各種センサ、例えば、プロセスユニット10内のトナー残量を検知するトナー残量センサ、トナーカートリッジ20内のトナー残量を検知するトナー残量センサ、媒体Pの搬送位置を検出する媒体位置センサを含む。
電源制御部201は、帯電ローラ12に帯電電圧を印加する帯電電圧電源202、現像ローラ14に現像電圧を印加する現像電圧電源203、供給ローラ15に供給電圧を印加する供給電圧電源204、および転写ローラ121に転写電圧を印加する転写電圧電源205を制御する。ヘッド制御部206は、画像データ編集メモリ223に記録されたイメージデータを印刷ヘッド13に送り、印刷ヘッド13の発光を制御する。
駆動制御部207は、各プロセスユニット10の現像ローラ14および感光体ドラム11を回転させる駆動モータ17を制御する。なお、帯電ローラ12は感光体ドラム11の回転に追従して回転し、供給ローラ15は現像ローラ14または感光体ドラム11からの回転伝達により回転する。ベルト駆動制御部208は、転写ベルト122を駆動するためのベルトモータ125を制御する。
定着制御部209は、温度調節回路を有し、定着装置130のサーミスタ134の出力信号に基づき、ヒータ133に電流を供給する。定着駆動制御部210は、定着装置130の定着ローラ131(図1)を回転させる定着モータ135を制御する。なお、排出ローラ141,142は、定着モータ135からの回転伝達により回転する。
給紙搬送制御部211は、ピックアップローラ112およびフィードローラ113を回転させる給紙モータ212と、搬送ローラ115,118を回転させる搬送モータ213とを制御する。
また、制御装置200は、各プロセスユニット10にトナーカートリッジ20からトナーを供給するため、搬送スパイラル25を駆動するトナー供給モータ26を制御する。
また、制御装置200は、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達の接続および遮断を切り替える切り替えモータ48、および、送風ダクト50を介して冷却風を送風する送風ファン56を制御する。
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1による印刷動作(画像形成動作)について、図2および図18を参照して説明する。画像形成装置1の制御装置200は、上位装置からI/F制御部221を介して印刷コマンドと印刷データを受信すると、印刷動作を開始する。
カラー印刷時には、第1スライダ60および第2スライダ70をいずれも基準位置(図12,13)に位置させた状態で、印刷動作を行う。そのため、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34(図6)に、現像ローラ用カップリング41K,41C,41M,41Yおよび感光体ドラム用カップリング42K,42C,42M,42Y(図9)が係合している。これにより、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14および感光体ドラム11に駆動力が伝達される。言い換えると、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、全て画像形成状態にある。
また、第1スライダ60および第2スライダ70がいずれも基準位置にあるため、送風ダクト50の送風口53(図10)の全てが開放されている。そのため、送風ファン56から送風ダクト50を経由して送られた冷却風は、4つの送風口53からプロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全てに送風される。
印刷開始時には、制御装置200は、媒体供給部110による媒体Pの供給を開始する。具体的には、給紙搬送制御部211により給紙モータ212を駆動し、ピックアップローラ112およびフィードローラ113を回転させる。ピックアップローラ112は、給紙トレイ111に収容された媒体Pを繰り出し、フィードローラ113は繰り出された媒体Pを搬送路に送り出す。また、搬送モータ213により搬送ローラ115,118が回転し、搬送路に送り出された媒体Pを画像形成部100に搬送する。
制御装置200は、さらに、ベルト駆動制御部208によりベルトモータ125を駆動し、駆動ローラ123を回転させて転写ベルト122を走行させる。転写ベルト122は、媒体Pを吸着保持して搬送する。媒体Pは、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの順に通過する。
そして、制御装置200は、電源制御部201により、各プロセスユニット10の帯電ローラ12、現像ローラ14および供給ローラ15に、帯電電圧、現像電圧および供給電圧をそれぞれ印加する。
制御装置200は、また、駆動制御部207により、各プロセスユニット10に対応する駆動モータ17をそれぞれ回転させ、現像ローラ14および感光体ドラム11を回転させる。これらの回転に伴って、帯電ローラ12および供給ローラ15も回転する。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
制御装置200は、さらに、各色のイメージデータに基づき、ヘッド制御部206により印刷ヘッド13を発光制御する。印刷ヘッド13は、感光体ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。
各プロセスユニット10では、供給ローラ15によって現像ローラ14にトナーが供給され、現像ブレード16によって現像ローラ14の表面にトナー層が形成される。感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ14の表面のトナーによって現像され、トナー像となる。感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像は、電源制御部201から転写ローラ121に印加される転写電圧によって、転写ベルト122上の媒体Pに転写される。
このように、各プロセスユニット10K,10C,10M,10Yで形成された各色のトナー像が媒体Pに順次転写され、重ね合わされる。各色のトナー像が転写された媒体Pは、転写ベルト122によってさらに搬送され、定着装置130に到達する。
定着装置130では、定着ローラ131がヒータ133によって定着温度まで加熱され、定着モータ135によって回転している。定着装置130に搬送された媒体Pは、定着ローラ131と加圧ローラ132との間で加熱および加圧され、トナー像が媒体Pに定着される。
トナー像が定着した媒体Pは、媒体排出部140の排出ローラ141,142により排出搬送路に沿って搬送され、画像形成装置1の外部に排出される。排出された媒体Pは、スタッカ部143上に積載される。これにより、媒体Pへの印刷動作が完了する。
一方、モノクロ印刷時には、制御装置200は、切り替えモータ48を駆動して、第2スライダ70を図14(C)に示した遮断位置に移動する。そのため、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34には、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yおよび感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yが係合しない。
従って、プロセスユニット10Kの現像ローラ14および感光体ドラム11には駆動力が伝達され、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ14および感光体ドラム11には駆動力が伝達されない。言い換えると、プロセスユニット10Kは画像形成状態にあるが、プロセスユニット10C,10M,10Yは非画像形成状態にある。
また、第1スライダ60および第2スライダ70が図14(C)に示した位置にあるため、図16に示したように、プロセスユニット10Kに対応する送風口53が開放され、他の送風口53は第2スライダ70によって閉鎖される。そのため、プロセスユニット10Kに、送風ダクト50からの冷却風が集中的に送風される。
この状態で、制御装置200は、電源制御部201により、プロセスユニット10Kの帯電ローラ12、現像ローラ14および供給ローラ15に、帯電電圧、現像電圧および供給電圧をそれぞれ印加する。
制御装置200は、また、駆動制御部207により、プロセスユニット10Kの駆動モータ17を回転させ、現像ローラ14および感光体ドラム11を回転させる。これらの回転に伴って、帯電ローラ12および供給ローラ15も回転する。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を一様に帯電させる。
制御装置200は、さらに、ブラックのイメージデータに基づき、ヘッド制御部206により、プロセスユニット10Kに対応する印刷ヘッド13を発光制御する。印刷ヘッド13は、感光体ドラム11の表面を露光し、静電潜像を形成する。
感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ14の表面のトナーによって現像され、トナー像となる。そして、電源制御部201から転写ローラ121に印加される転写電圧によって、転写ベルト122上の媒体Pに転写される。
このようにして、ブラックのトナー像が媒体Pに転写される。その後、カラー印刷時と同様に、トナー像の定着および媒体Pの排出が行われる。
<作用>
次に、本実施の形態の作用について説明する。プロセスユニット10内では、感光体ドラム11、帯電ローラ12、現像ローラ14および供給ローラ15が互いに接触しながら回転するため、熱が発生する。特に、現像ローラ14の表面には現像ブレード16が押し当てられており、摩擦による熱が発生する。これらの熱によって感光体ドラム11の表面温度が上昇すると、画像品質の低下につながる。
送風ファン56から送風口53を介して各プロセスユニット10内に送風することにより、プロセスユニット10内を冷却することができる。これにより、感光体ドラム11の表面温度の上昇を抑え、画像品質を向上することができる。
画像形成装置1では、一般に、カラー印刷よりもモノクロ印刷が高い頻度で行われる。そのため、ブラックのトナーカートリッジの容量を他のトナーカートリッジよりも大きくしている機種、あるいは、モノクロ印刷時の印刷速度をカラー印刷時よりも速くしている機種もある。
そのため、ブラックのプロセスユニット10Kは、他のプロセスユニット10C,10M,10Yよりも温度が上昇し易く、ブラックのプロセスユニット10Kの冷却効率の向上が課題となっている。
第1の実施の形態の画像形成装置1では、モノクロ印刷時には、プロセスユニット10Kに対応する送風口53を開放し、プロセスユニット10C,10M,10Yのそれぞれに対応する送風口53を閉鎖する。そのため、送風ファン56によって送られた冷却風は、プロセスユニット10Kに集中的に送風され、プロセスユニット10Kの冷却効率が向上する。
また、プロセスユニット10Kの冷却効率が向上するため、温度上昇を抑える目的で印刷速度を低下させる必要が無く、従って印刷処理に要する時間を短縮することができる。
また、モノクロ印刷時には、プロセスユニット10C,10M,10Yに、現像ローラ14および感光体ドラム11を回転させる駆動力が伝達されない。そのため、プロセスユニット10C,10M,10Y内での熱の発生はなく、冷却風が送風されないことによる温度上昇は生じない。
また、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達の切り替えと機械的に連動して(すなわち第2スライダ70の移動によって)送風口53が開閉されるため、簡単な構成で、モノクロ印刷時にブラックのプロセスユニット10Kに集中的に冷却風を送風する動作を実現することができる。
特に、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達を切り替える第2スライダ70によって送風口53を開閉するため、送風口53を開閉するための独立した機構あるいは独立したシャッタを設ける必要が無く、画像形成装置1の構成を簡単にし、製造コストを低減することができる。
なお、ユーザがフロントカバー103を開放すると、上述したように第1スライダ60および第2スライダ70が図14(B)に示した遮断位置に移動するが、この場合には、プロセスユニット10Kに対応する送風口53が第1スライダ60により閉鎖され、プロセスユニット10C,10M,10Yのそれぞれに対応する送風口53が第2スライダ70により閉鎖される。そのため、送風ダクト50内への異物の侵入が防止される。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、プロセスユニット10C,10M,10Yに向けて送風する送風ダクト50(送風部)と、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達の切り替え(すなわち、プロセスユニット10C,10M,10Yの画像形成状態と非画像形成状態との切り替え)と機械的に連動して送風ダクト50からの送風量を変更する第2スライダ70(送風量変更部)とを有する。
そのため、プロセスユニット10C,10M,10Yが使用されない運転モード(モノクロ印刷)では、プロセスユニット10Kに集中的に送風を行い、プロセスユニット10Kを効率よく冷却することができる。
特に、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達が接続されている状態では送風口53が開放されており、駆動力伝達が遮断されている状態では送風口53が閉鎖される。そのため、プロセスユニット10C,10M,10Y内で発熱がある場合にのみ送風を行うことができ、冷却効率を向上することができる。
また、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達を切り替える第2スライダ70(可動部)が送風口53を開閉するため、送風口53を開閉するための独立した機構あるいは独立したシャッタを設ける必要が無く、画像形成装置1の構成を簡単にし、製造コストを低減することができる。
また、プロセスユニット10C,10M,10Yは、現像ローラ結合部33と感光体ドラム結合部34とを有し、これらの結合部33,34にカップリング41,42が係合することでプロセスユニット10C,10M,10Yに駆動力が伝達される。第2スライダ70は、カップリング41,42を結合部33,34に対して接近および離間する方向に移動させるものであり、その際に送風口53を開閉する。そのため、より簡単な構成で、送風口53の開閉を行うことができる。
また、使用頻度の高いブラックのプロセスユニット10Kに効率よく送風を行うことにより、プロセスユニット10Kの温度上昇を抑制し、画像品質を向上することができる。
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態では、第2スライダ70によってプロセスユニット10C,10M,10Yのそれぞれに対応する送風口53を開閉した。これに対し、第2の実施の形態では、開閉扉90によって送風口53を開閉する。
プロセスユニット10K,10C,10M,10Yへの駆動力伝達を切り替える構成は、第1の実施の形態で説明した構成とほぼ同様である。但し、第2スライダ70の開口部71(図12)は、第1の実施の形態よりも長く、第2スライダ70が図16に示した位置にあるときにも送風口53を閉鎖しないように構成されている。
図19は、送風ダクト50、開閉扉90および現像ローラ用カップリング41をプロセスユニット10側から見た図である。図20は、送風ダクト50および開閉扉90をプロセスユニット10側から見た図である。
図19,20に示した開閉扉90は、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yに対応する送風口53の全てに設けられ、現像ローラ用カップリング41と連動して動作する。図19,20および後述する図21〜図29では、簡単のため、送風ダクト50の延在方向(第1の実施の形態で説明したユニット配列方向)を、Y方向として説明する。
開閉扉90は、現像ローラ用カップリング41に対して+X方向(すなわちプロセスユニット10とは反対側)に配置されている。図19および図20では、現像ローラ用カップリング41は、現像ローラ結合部33(図6)に係合する係合位置にある。現像ローラ用カップリング41の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
図20に示すように、分岐ダクト52の先端部の送風口53には、送風口53を開閉する開閉扉90が設けられている。開閉扉90は、Z方向を軸方向とする回動軸91を有する。回動軸91は、送風口53に対して−Y方向に配置されており、分岐ダクト52に設けられた支持部によって支持されている。
図21は、開閉扉90をプロセスユニット10側から見た図である。図22(A)および(B)は、開閉扉90を示す斜視図である。図23は、開閉扉90を示す上面図である。開閉扉90は、回動軸91と、回動軸91から径方向外側に延在する第1壁部92と、第1壁部92に対して回動軸91を中心として略90度の位置に形成された第2壁部95とを有する。
第1壁部92は、送風口53を塞ぐ壁部である。第1壁部92の表面には、Z方向(すなわち回動軸91の軸方向)に対して傾斜する傾斜部93が形成されている。傾斜部93は、第1壁部92が送風口53を開放している状態で、分岐ダクト52の傾斜壁54の開口部52c(図26)を塞ぐ。傾斜部93は、分岐ダクト52内を−Z方向に流れてきた冷却風(図19に矢印Wで示す)を、+X方向すなわちプロセスユニット10側に向ける。
開閉扉90の第2壁部95は、第1壁部92が送風口53を閉鎖している状態(図29)で、分岐ダクト52の−Y方向の端部52bを塞ぐ。第1壁部92と第2壁部95との間には、Z方向に対して傾斜する傾斜部94が形成されている。傾斜部94は、第1壁部92が送風口53を閉鎖している状態で、分岐ダクト52の傾斜壁54の開口部52c(図29)を塞ぐ。
図24は、送風ダクト50、開閉扉90および現像ローラ用カップリング41を示す下面図である。図25は、送風ダクト50、開閉扉90およびカップリング41,42を+Y側から見た図である。図26は、送風ダクト50および開閉扉90を示す斜視図である。
これらの図24〜26では、現像ローラ用カップリング41のシャフト413(図8)および感光体ドラム用カップリング42のシャフト423(図8)は、省略している。現像ローラ用カップリング41は、現像ローラ結合部33(図6)に係合する係合位置にある。
図24に示すように、開閉扉90の第2壁部95の先端には、現像ローラ用カップリング41に当接する腕部95aが形成されている。開閉扉90を付勢するため、付勢部材としてのトーションスプリング98が設けられている。トーションスプリング98の中心は、回動軸91を囲むように巻かれている。
トーションスプリング98の一端は、分岐ダクト52の下面に突出形成された凸部58(図19)に当接し、他端は、開閉扉90の第2壁部95の下端に突出形成された当接ピン96に当接している。開閉扉90は、トーションスプリング98により、腕部95aが現像ローラ用カップリング41の+X側の端面に当接するように付勢されている。
送風ダクト50の分岐ダクト52は、+Y方向の端部に壁部52a(図26)を有し、−X方向の端部に送風口53を有する。図26に示すように、開閉扉90の回動動作を可能にするため、分岐ダクト52の傾斜壁54には、上述した開口部52cが形成されている。この開口部52cは、開閉扉90の上述した傾斜部93によって塞がれている。
上記の図19〜20および図24〜26に示すように、現像ローラ用カップリング41が係合位置にあるときには、現像ローラ用カップリング41は開閉扉90の腕部95aを付勢していない。この状態では、開閉扉90の第1壁部92は、送風口53を塞いでいない。すなわち、送風口53は開放されている。
そのため、送風ファン56(図10)から送風ダクト50を通って送られてきた冷却風は、分岐ダクト52を経て、送風口53からプロセスユニット10に送風される。
図27および図28は、現像ローラ用カップリング41が、現像ローラ結合部33(図6)から+X方向に離間した状態を示す図である。図27は、送風ダクト50、開閉扉90および現像ローラ用カップリング41をプロセスユニット10側から見た図であり、図28は、送風ダクト50、開閉扉90および現像ローラ用カップリング41を示す下面図である。
現像ローラ用カップリング41が、現像ローラ結合部33(図6)から+X方向に離間すると、現像ローラ用カップリング41が開閉扉90の腕部95aに当接し、開閉扉90が回動軸91を中心として回動する。これにより、開閉扉90の第1壁部92が送風口53を閉鎖する。
そのため、送風ファン56(図10)から送風ダクト50を通って送られてきた冷却風は、送風口53からプロセスユニット10に送風されない。
また、分岐ダクト52の−Y方向の端部52b(図28)は、開閉扉90の第2壁部95によって塞がれ、傾斜壁54の開口部52cは、開閉扉90の傾斜部94によって塞がれる。そのため、送風ダクト50からの冷却風が周囲に流出することが防止される。
カラー印刷時には、第1の実施の形態と同様、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34(図6)にカップリング41,42が係合する。そのため、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yのそれぞれに対応する送風口53が開閉扉90によって全て開放され、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全てに冷却風が送風される。
一方、モノクロ印刷時には、第1の実施の形態と同様、プロセスユニット10Kの現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34(図6)にはカップリング41,42が係合し、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34(図6)にはカップリング41,42が係合しない。
そのため、プロセスユニット10Kに対応する送風口53は開閉扉90によって開放され、プロセスユニット10C,10M,10Yのそれぞれに対応する送風口53は開閉扉90によって閉鎖される。従って、プロセスユニット10Kに集中的に冷却風が送風される。
このように、第2の実施の形態では、現像ローラ用カップリング41に連動して開閉扉90が送風口53を開閉するため、第1の実施の形態と同様、モノクロ印刷時にはプロセスユニット10Kに集中的に冷却風を送風することができる。これにより、プロセスユニット10Kを効率よく冷却し、画像品質を向上することができる。
また、開閉扉90が、現像ローラ用カップリング41に当接することにより送風口53を開閉するため、送風口53を開閉するための独立した機構を設ける必要が無く、画像形成装置1の構成を簡単にし、製造コストを低減することができる。
なお、ここでは、開閉扉90が、現像ローラ用カップリング41に当接して送風口53を開閉する構成について説明したが、開閉扉90が、感光体ドラム用カップリング42に当接して送風口53を開閉するようにしてもよい。
第3の実施の形態.
上述した各実施の形態では、プロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達の切り替えと機械的に連動して送風口53を開閉する構成について説明した。しかしながら、プロセスユニット10C,10M,10Yの画像形成状態と非画像形成状態との切り替えと機械的に連動して送風量を変更する構成であれば、他の構成を採用してもよい。
第3の実施の形態では、プロセスユニット10C,10M,10Yを転写ユニット120に対して接近および離間する方向に移動させるリフトアップ機構(離間機構)300と機械的に連動して、送風口53を開閉する。リフトアップ機構300は、切り替え部(あるいは状態変更部)とも称する。
図30(A),(B)は、リフトアップ機構300を説明するための模式図である。図30(A)に示すように、画像形成部100は、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yを有する。カラー印刷時には、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの各感光体ドラム11は、転写ユニット120の転写ベルト122に接している。
このように、プロセスユニット10C,10M,10Yの感光体ドラム11が転写ユニット120の転写ベルト122に接している状態を、プロセスユニット10C,10M,10Yの画像形成状態(第1の状態)と称する。
一方、モノクロ印刷時には、図30(B)に示すように、リフトアップ機構300が、プロセスユニット10C,10M,10Yを持ち上げ、転写ユニット120から離間させる。
このようにプロセスユニット10C,10M,10Yの感光体ドラム11が転写ユニット120の転写ベルト122から離間した状態を、プロセスユニット10C,10M,10Yの非画像形成状態(第2の状態)とする。
第3の実施の形態では、リフトアップ機構300によるプロセスユニット10C,10M,10Yの画像形成状態と非画像形成状態との切り替えと連動して、送風口53の開閉が行われる。
図31は、リフトアップ機構300とその周囲を示す斜視図である。リフトアップ機構300は、第1の実施の形態で説明したユニット配列方向(略Y方向)に移動可能な移動体としてのリフトアップスライダ301を有する。リフトアップスライダ301は、図15を参照して説明したカバー部材80の−X側(プロセスユニット10側)に配置されている。
リフトアップスライダ301は、カバー部材80に接するように配置された側板部302と、側板部302の−X側に設けられた、プロセスユニット10C,10M,10Yを昇降させるための3つの昇降部310とを有する。
各昇降部310は、底部311と傾斜部312と頂部313とを有する。頂部313は、底部311に対して+Z方向に突出し、傾斜部312は、底部311と頂部313とをつなぐように延在している。底部311と傾斜部312と頂部313とは、+Y方向にこの順に一列に配列されている。
それぞれの昇降部310は、プロセスユニット10C,10M,10Yのサイドフレーム31(図6)の下面に設けられた当接面38に当接する。当接面38は、例えば円弧状の湾曲面であるが、これに限定されるものではない。
リフトアップスライダ301が図31に示した基準位置(第1の位置)にあるときは、プロセスユニット10C,10M,10Yの各当接面38が、底部311に対向する。この状態では、プロセスユニット10C,10M,10Yは、図30(A)に示すように各感光体ドラム11が転写ベルト122に接する位置(すなわち転写位置)にある。
一方、リフトアップスライダ301が−Y方向に移動して後述するリフトアップ位置(第2の位置:図36)に達すると、プロセスユニット10C,10M,10Yの各当接面38が、頂部313に当接して+Z方向に押し上げられる。その結果、図30(B)に示すように、プロセスユニット10C,10M,10Yは、各感光体ドラム11が転写ベルト122から+Z方向に離間した位置(すなわち離間位置)に達する。
リフトアップスライダ301の側板部302は、プロセスユニット10C,10M,10Yに対応する感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yを貫通させる3つの開口部304を有する。開口部304は、ユニット配列方向(略Y方向)に長い長穴である。
リフトアップスライダ301の側板部302の上側(+Z側)には、プロセスユニット10C,10M,10Yに対応する3つの送風口53を閉鎖する閉鎖部(蓋部)303が形成されている。
リフトアップスライダ301が基準位置(図31)にあるときは、3つの閉鎖部303はいずれも送風口53に重なり合う位置になく、送風口53は開放されている。一方、リフトアップスライダ301が−Y方向に移動してリフトアップ位置(図36)に達すると、3つの閉鎖部303がそれぞれ送風口53を閉鎖する。
図32は、リフトアップスライダ301とその周囲を、後述する支持板160を取り除いて示す図である。リフトアップスライダ301は、昇降部301の下面(−Z方向の面)に、駆動伝達部としてのラックギア305を有する。
ラックギア部305と噛み合う位置には、ピニオン306が設けられている。ピニオン306は、駆動源である昇降モータ320に、ギア列307(減速ギア、アイドルギア等を含む)を介して連結されている。昇降モータ320の駆動力は、ギア列307およびピニオン306を介してラックギア305に伝達され、リフトアップスライダ301がユニット配列方向(略Y方向)に直進移動する。
図31に戻り、リフトアップスライダ301の−X側(プロセスユニット10側)には、カバー部材80と平行な支持板160が配置されている。リフトアップスライダ301は、カバー部材80と支持板160との間で保持されている。
支持板160は、各プロセスユニット10のサイドフレーム31に設けられた位置決め部36(図6)に係合する4つの溝部161を有する。溝部161は、略Z方向に延在し、上端(+Z方向の端部)が開放されている。
カバー部材80は、各プロセスユニット10のサイドフレーム31に設けられた位置決め部37(図6)に係合する4つの溝部85を有する。溝部85は、略Z方向に延在し、上端(+Z方向の端部)が開放されている。
図33は、サイドフレーム31を示す斜視図である。図34は、図33に示す線分34−34における断面図である。図35は、図34に示す線分35−35における断面図である。
図33に示すように、サイドフレーム31の下端(−Z方向の端部)には、位置決め部36が取り付けられている。位置決め部36は、サイドフレーム31のX方向内側に、小径の軸部36aを有する。位置決め部36の軸部36aは、図34および図35に示すように、支持板160の溝部161に係合する。
また、サイドフレーム31の上端(+Z方向の端部)には、位置決め部37が取り付けられている。位置決め部37は、サイドフレーム31から+X方向に突出する略円筒状の部分である。位置決め部37は、図34および図35に示すように、カバー部材80の溝部85に係合する。
サイドフレーム31の位置決め部36,37が、支持板160の溝部161およびカバー部材80の溝部85にそれぞれ係合することにより、リフトアップ動作時におけるプロセスユニット10C,10M,10Yの姿勢が保たれる。
なお、図31に示すように、支持板160は、基準位置にあるリフトアップスライダ301の3つの底部311にそれぞれ対応する位置に、底部311よりも高さ(すなわちZ方向位置)の高い凹部162を有する。プロセスユニット10C,10M,10Yの各当接面38(図33)がリフトアップスライダ301の底部311に対向しているときには、各当接面38は支持板160の凹部162に当接して保持される。
図36は、リフトアップスライダ301が基準位置(図31)から−Y方向に移動して、リフトアップ位置に達した状態を示す斜視図である。図36では、リフトアップスライダ301の頂部313が、プロセスユニット10C,10M,10Yの各当接面38(図6)に当接して+Z方向に付勢する。
これにより、プロセスユニット10C,10M,10Yが+Z方向に持ち上げられ、図30(B)に示すように、プロセスユニット10C,10M,10Yの各感光体ドラム11が、転写ベルト122から離間する。
また、リフトアップスライダ301が−Y方向に移動すると、リフトアップスライダ301の閉鎖部303が、プロセスユニット10C,10M,10Yに対応する送風口53を閉鎖する。プロセスユニット10Kに対応する送風口53は開放されているため、送風ダクト50を流れる空気はプロセスユニット10Kに集中的に送風される。
なお、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yへの駆動力伝達を切り替える構成は、第1の実施の形態で説明した構成とほぼ同様である。第1スライダ60および第2スライダ70(図12)は、第1の実施の形態と同様、カバー部材80の+X方向に配置されているため、図31,32,35.36ではカバー部材80に隠れている。
また、第2の実施の形態でも説明したように、第2スライダ70の開口部71(図12)は、第1の実施の形態よりも長く、第2スライダ70がユニット配列方向(略Y方向)に移動しても第2スライダ70が送風口53を閉鎖しないように構成されている。
図37は、第3の実施の形態の画像形成装置の制御系を示すブロック図である。図37に示すように、第3の実施の形態の画像形成装置の制御系では、第1の実施の形態の画像形成装置1の制御系(図18)に、リフトアップスライダ301(リフトアップ機構300)を駆動するための昇降モータ(離間機構用モータ)320を加えたものである。
制御装置200は、モノクロ印刷を行う場合には、切り替えモータ48を駆動してプロセスユニット10C,10M,10Yへの駆動力伝達を遮断し、その後、昇降モータ320を駆動してプロセスユニット10C,10M,10Yを転写位置から離間位置に移動させる。第3の実施の形態の他の構成は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
第3の実施の形態の画像形成装置の動作は、以下のとおりである。カラー印刷時には、リフトアップスライダ301は基準位置(図31)にある。リフトアップスライダ301が基準位置にあるときには、リフトアップスライダ301の底部311がプロセスユニット10C,10M,10Yの当接面38(図6)に対向している。
そのため、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、転写位置(すなわち感光体ドラム11が転写ベルト122に当接する位置)に位置している。言い換えると、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yは、いずれも画像形成状態にある。
また、このとき、リフトアップスライダ301の3つの閉鎖部303は、送風口53を閉鎖する位置にはない。そのため、送風ダクト50の4つの送風口53から、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yに冷却風が送風される。
第1スライダ60および第2スライダ70は、いずれも図12に示す位置にあり、第1の実施の形態で説明したように、プロセスユニット10K,10C,10M,10Yの全ての現像ローラ14および感光体ドラム11に駆動力が伝達される。この状態で媒体供給部110(図2)から媒体Pが供給され、第1の実施の形態で説明したようにカラー画像の形成が行われる。
一方、モノクロ印刷時には、制御装置200は、切り替えモータ48を駆動して、第2スライダ70を図14(C)に示した遮断位置に移動する。これにより、プロセスユニット10C,10M,10Yの現像ローラ結合部33および感光体ドラム結合部34(図6)から、現像ローラ用カップリング41C,41M,41Yおよび感光体ドラム用カップリング42C,42M,42Yが離間する。
次いで、制御装置200は、昇降モータ320を駆動して、リフトアップスライダ301を基準位置(図31)からリフトアップ位置(図36)に移動させる。これにより、リフトアップスライダ301の頂部313がプロセスユニット10C,10M,10Yの当接面38(図6)に当接し、プロセスユニット10C,10M,10Yを+Z方向に持ち上げる。
そのため、プロセスユニット10C,10M,10Yは、離間位置(すなわち感光体ドラム11が転写ベルト122から離間した位置)に位置し、プロセスユニット10Kのみが転写位置に位置する。言い換えると、プロセスユニット10C,10M,10Yが、画像形成状態から非画像形成状態に切り替えられる。
また、このとき、リフトアップスライダ301の3つの閉鎖部303は、図36に示すように送風口53を閉鎖する。そのため、プロセスユニット10C,10M,10Yに対応する送風口53が閉鎖され、プロセスユニット10Kに対応する送風口53だけが開放された状態となる。そのため、プロセスユニット10Kには、送風ダクト50からの冷却風が集中的に送風される。この状態で媒体供給部110(図2)から媒体Pが供給され、第1の実施の形態で説明したようにモノクロ画像の形成が行われる。
このように、第3の実施の形態では、リフトアップ機構300によるプロセスユニット10C,10M,10Yの昇降と連動して、プロセスユニット10C,10M,10Yの送風口53が開閉される。そのため、プロセスユニット10C,10M,10Yの未使用時(モノクロ印刷時)にはこれらの送風口53を閉鎖し、プロセスユニット10Kに集中的に冷却風を送風することができる。これによりプロセスユニット10Kを効率よく冷却し、画像品質を向上することができる。
また、リフトアップスライダ301の移動によってプロセスユニット10C,10M,10Yの送風口53が開閉されるため、簡単な構成で、プロセスユニット10C,10M,10Yの状態変化に応じてこれらの送風口53を開閉することができる。
また、リフトアップスライダ301がプロセスユニット10C,10M,10Yの送風口53を開閉する閉鎖部303を有するため、独立したシャッタを設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができる。
また、モノクロ印刷時にリフトアップ機構300によりプロセスユニット10C,10M,10Yを離間位置に移動させることで、感光体ドラム11、転写ベルト122等の部品の不要な摺動を無くし、これらの摩擦を抑制することができる。
変形例.
次に、第3の実施の形態の変形例について説明する。図38は、第3の実施の形態の変形例におけるリフトアップスライダ301とその周囲を示す斜視図である。変形例のリフトアップスライダ301は、プロセスユニット10C,10M,10Yの送風口53に対応する3つの閉鎖部303に、冷却風を通過させる穴部308を有する。
穴部308は、閉鎖部303が送風口53を閉鎖しているときに、冷却風を通過させる部分である。穴部308の形状は、図38では円形であるが、他の形状であってもよい。
変形例の画像形成装置では、モノクロ印刷時に、リフトアップスライダ301が図38に示した基準位置から−Y方向に移動し、図36に示したリフトアップ位置に達する。これにより、リフトアップスライダ301の各閉鎖部303は、プロセスユニット10C,10M,10Yの各送風口53をほぼ塞ぐ。
但し、閉鎖部303が穴部308を有するため、プロセスユニット10C,10M,10Yの各送風口53は完全には閉鎖されない。言い換えると、プロセスユニット10C,10M,10Yの各送風口53は、それぞれ一部が閉鎖される。すなわち、モノクロ印刷時には、送風口53および穴部308を通じて、プロセスユニット10C,10M,10Yに少量の冷却風が送風される。
モノクロ印刷時には、プロセスユニット10C,10M,10Yへの送風量は、カラー印刷時よりも少なくなる。そのため、プロセスユニット10Kに集中的に冷却風が送風される一方、プロセスユニット10C,10M,10Yにも少量の冷却風が送風される。
モノクロ印刷時には、プロセスユニット10C,10M,10Yの感光体ドラム11および現像ローラ14等は回転しないが、カラー印刷時の熱が残っている場合がある。プロセスユニット10C,10M,10Yに少量の冷却風を送風することで、冷却効果を高めることができる。
変形例の画像形成装置の構成は、リフトアップスライダ301の閉鎖部303に穴部308が形成されていることを除き、第3の実施の形態の画像形成装置と同様である。
また、変形例の画像形成装置の動作は、モノクロ印刷時にプロセスユニット10C,10M,10Yに少量の冷却風が送風されることを除き、第3の実施の形態の画像形成装置と同様である。
以上説明したように、この変形例によれば、モノクロ印刷時にプロセスユニット10C,10M,10Yへの送風量を減少させることにより、プロセスユニット10Kを効率よく冷却すると共に、プロセスユニット10C,10M,10Yも少量の冷却風によって冷却することができる。
なお、ここでは、リフトアップスライダ301の閉鎖部303に穴部308を設けたが、モノクロ印刷時にプロセスユニット10C,10M,10Yへの送風量を減少させる構成であればよい。例えば、モノクロ印刷時に、リフトアップスライダ301の閉鎖部303が、送風口53の一部(例えば半分)を閉鎖する構成であってもよい。
また、モノクロ印刷時にプロセスユニット10C,10M,10Yへの送風量を減少させる構成は、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態の画像形成装置に適用してもよい。この場合、例えば、図12に示した第2スライダ70に、変形例の穴部308と同様の穴部を設けてもよい。また、図22(A)に示した開閉扉90の第1壁部92に、変形例の穴部308と同様の穴部を設けてもよい。
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、送風ダクト50の送風口53を開閉する(または開口面積を変化させる)構成を採用したが、送風口53に限らず、送風ダクト50からプロセスユニット10C,10M,10Yに送風される冷却風の送風量を変化させる構成であればよい。
また、上述した第1〜第3の実施の形態では、送風ダクト50の一部である送風口53を開閉したが、送風ダクト50とは別に設けられた送風口を開閉してもよい。例えば、冷却風を通過させるカバー部材80(図15)の開口部83を開閉してもよい。すなわち、冷却風をプロセスユニット10に向けて送り出す送風路に設けられた送風口を開閉すればよい。
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形または改変が可能である。
本発明は、電子写真方式を利用して媒体に画像を形成する画像形成装置(例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等)に利用することができる。