以下、図1〜図11を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1に示すように、装置本体である金属製の腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側との各側部には、バンド取付部2がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、4時側、および8時側には、それぞれ押釦スイッチ3が設けられている。
この腕時計ケース1の上部開口部には、図1〜図4に示すように、時計ガラス4がガラスパッキン4aを介して設けられている。また、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋5が防水リング5aを介して取り付けられている。さらに、この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール6が中枠7を介して設けられている。
この場合、時計モジュール6の上部には、文字板(図示せず)が設けられており、この文字板上の外周には、図2および図3に示すように、見切り部材8が配置されている。時計モジュール6は、図示しないが、指針を文字板の上方で運針させる時計ムーブメント、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネル、これらを電気的に駆動する回路部などの時計機能に必要な各種の部品を備えている。
ところで、装置本体である腕時計ケース1の上部における外周には、図1〜図4に示すように、回転装置10が設けられている。この場合、腕時計ケース1の上部における外周には、切欠き部9が全周に亘って設けられている。回転装置10は、腕時計ケース1の切欠き部9に配置される回転部材である回転ベゼル11と、この回転ベゼル11の回転位置をそれぞれ規制する第1、第2回転規制部材12、13と、回転ベゼル11を支持する第1〜第3支持部材14〜16と、を備えている。
回転ベゼル11は、図1〜図4に示すように、チタンやステンレスなどの金属または硬質の合成樹脂によってリング状に形成されている。この回転ベゼル11は、腕時計ケース1の上部に位置する外周の切欠き部9にリング状のパッキン17を介して回転自在に取り付けられている。
すなわち、回転ベゼル11の内周面には、図2および図3に示すように、パッキン17が装着する装着凹部11aが設けられている。この装着凹部11aの下部に位置する回転ベゼル11の内周面には、腕時計ケース1の切欠き部9内の周面に設けられた係止突起9aに係合する係合部11bが設けられている。
このため、回転ベゼル11は、図2および図3に示すように、装着凹部11aにパッキン17を装着させた状態で、腕時計ケース1の上部に位置する外周の切欠き部9にその上方から嵌め込まれて、係合部11bを腕時計ケース1の切欠き部9の係止突起9aに係合させるように構成されている。これにより、回転ベゼル11は、腕時計ケース1の上方に抜け出すことなく、腕時計ケース1の上部外周の切欠き部9に回転可能に取り付けられている。
また、この回転ベゼル11の下面、つまり回転ベゼル11の中心軸に対して直交する回転面である下面には、図2〜図4、および図6に示すように、複数の係合凹部18が円周に沿って等間隔で、例えば60個設けられている。これら複数の係合凹部18それぞれは、断面がほぼ台形状に形成されている。
すなわち、係合凹部18は、図6(b)〜図6(d)に示すように、回転ベゼル11の一方向(矢印X方向)への回転方向と反対側に位置する内面に第1傾斜部18aが設けられ、回転ベゼル11の一方向への回転方向に位置する内面に第2傾斜部18bが設けられ、これら第1傾斜部18aと第2傾斜部18bとの間に底部18cが設けられた構成になっている。
この場合、第1傾斜部18aは、図6(d)に示すように、回転ベゼル11の下面からその一方向(矢印X方向)への回転方向に向けて約40°の角度で傾斜して設けられている。これにより、第1傾斜部18aは、回転ベゼル11が一方向に回転する際に、第1、第2回転規制部材12、13の後述する各規制片20が接触してスライドすることにより、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20を押し下げるように構成されている。
また、第2傾斜部18bは、図6(d)に示すように、回転ベゼル11の下面からその一方向(矢印X方向)への回転方向と反対方向に向けて約70°の角度で傾斜して設けられている。これにより、第2傾斜部18bは、第1、第2回転規制部材12、13が係合凹部18に交互に挿入した際に、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20が接離可能に当接することにより、回転ベゼル11の一方向と反対方向への回転を規制するように構成されている。
第1、第2回転規制部材12、13それぞれは、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の回転を規制する規制片20と、この規制片20を回転ベゼル11の回転面である下面に押し当てる方向に付勢するコイルばねである規制ばね21と、を備えている。規制片20は、回転ベゼル11の回転面である下面に設けられた複数の係合凹部18のいずれかに出没可能に挿入する突起部22と、この突起部22が上面に設けられる台座部23と、この台座部23の下面に設けられて規制ばね21をガイドするガイド軸24と、を備え、これらが滑り性を有する硬質の合成樹脂によって一体に形成されている。
この場合、第1、第2回転規制部材12、13それぞれは、図2、図5および図7に示すように、腕時計ケース1の切欠き部9の底面における所定箇所に設けられた第1、第2収納穴部25、26内にそれぞれ配置されるように構成されている。これら第1、第2収納穴部25、26のうち、第1収納穴部25は、腕時計ケース1の切欠き部9の底面において、押釦スイッチ3を避けた箇所、例えば7時側に位置する箇所に設けられている。これと同様に、第2収納穴部26は、例えば11時側に位置する箇所に設けられている。
すなわち、これら第1、第2収納穴部25、26それぞれは、図2、図5および図7に示すように、その上下方向における上部側に位置する箇所に設けられて第1、第2回転規制部材12、13の各台座部23が上下方向に移動可能に配置される大径穴部27と、下部側に位置する箇所に設けられて第1、第2回転規制部材12、13の各ガイド軸24が規制ばね21と共に配置される小径穴部28と、を備えている。
大径穴部27は、図2、図5、図7に示すように、その外形が台座部23の外形よりも少し大きく、その形状が台座部23の形状と同じほぼ楕円形状などの非円形状に形成されている。これにより、第1、第2回転規制部材12、13は、各ガイド軸24を中心に第1、第2収納穴部25、26内で回転しないように構成されている。
小径穴部28は、図2、図5および図7に示すように、規制ばね21の外径よりも少し大きく、且つ台座部23の外径よりも小さい円形状に形成されている。このため、規制ばね21は、ガイド軸24と共に小径穴部28内に収納された際に、規制ばね21の上端部が台座部23の下面に弾接し、下端部が小径穴部28の底部に弾接するように構成されている。
これにより、規制ばね21は、図7に示すように、台座部23を第1、第2収納穴部25、26の上方に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。この場合、規制ばね21は、そのばね力によって突起部22を第1、第2収納穴部25、26の上方に向けてそれぞれ押し出した際に、台座部23の上部側が第1、第2収納穴部25、26の上方に突出しても、台座部23の下部側が第1、第2収納穴部25、26の大径穴部27内に配置された状態を維持する程度のばね力に設定されている。
一方、第1、第2回転規制部材12、13における各規制片20の突起部22は、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の係合凹部18に出没可能に挿入する山形形状に形成されている。すなわち、この突起部22は、回転ベゼル11の係合凹部18における第1傾斜部18aのスライドに応じて押し下げられるスライド部22aと、係合凹部18の第2傾斜部18bに対して接離可能に当接する当接部22bと、を備えている。
この場合、突起部22は、図2および図7に示すように、その山形形状の高さ、つまり台座部23から回転ベゼル11に向けて突出する長さが、回転ベゼル11の係合凹部18の深さとほぼ同じか、それよりも少し長く形成されている。これにより、突起部22は、係合凹部18に挿入された際に、山形形状の上端部22cが係合凹部18の底部18cに当接するように構成されている。
この場合、スライド部22aは、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の係合凹部18の第1傾斜部18aとほぼ平行に形成されている。また、当接部22bは、係合凹部18の第2傾斜部18bとほぼ平行に形成されている。さらに、突起部22の上端部22c、つまり山形形状の上端部22cは、円弧状に形成されている。
これにより、突起部22は、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の係合凹部18に挿入されて、山形形状の上端部22cが係合凹部18の底部18cに当接した際に、スライド部22aが係合凹部18の第1傾斜部18aに隙間をもって対面し、当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bに対面して当接するように構成されている。
この場合、第1、第2回転規制部材12,13の各台座部23は、図7に示すように、その外形がほぼ楕円形状などの非円形状に形成され、第1、第2収納穴部25、26の各大径孔部27に挿入された際に、各ガイド軸24を中心に第1、第2収納穴部25、26内で回転しないように構成されている。
また、台座部23は、図2および図7に示すように、突起部22が回転ベゼル11の係合凹部18に挿入された際に、台座部23の上面と回転ベゼル11の下面との間に僅かな隙間をもって、回転ベゼル11の下側に配置され、かつ台座部23の上面が第1、第2収納穴部25、26の上端部に位置する腕時計ケース1の切欠き部9の底面とほぼ同じ平面上に配置されるように構成されている。
また、突起部22は、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の係合凹部18に挿入された状態で、図6(d)に示すように、回転ベゼル11を一方向(矢印X方向)に回転させた際に、係合凹部18の第1傾斜部18aがスライド部22aに接触した状態でスライドすることにより、スライド部22aが規制ばね21のばね力に抗して徐々に押し下げられるように構成されている。
また、この突起部22は、図2および図7に示すように、スライド部22aが規制ばね21のばね力に抗して徐々に押し下げられる際に、当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bから徐々に離れることにより、山形形状の上端部22cが係合凹部18の第1傾斜部18aを乗り越えて、係合凹部18内から下側に抜け出すように構成されている。
この場合、規制ばね21は、図2および図7に示すように、突起部22の上端部22cが係合凹部18の第2傾斜部18bを乗り越える際に、台座部23によって圧縮されることにより、回転ベゼル11の回転力を重くし、突起部22が隣接する係合凹部18に挿入する際に、圧縮した規制ばね21が伸びて回転ベゼル11の回転力を急激に軽くすることにより、回転ベゼル11にクリック感を付与するように構成されている。
さらに、この突起部22は、図2および図7に示すように、回転ベゼル11の係合凹部18に挿入された状態で、図6(d)に示すように、回転ベゼル11を一方向(矢印X方向)と反対方向に回転させる際に、当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bに当接した状態を維持することにより、回転ベゼル11の逆方向への回転を阻止するように構成されている。
ところで、第1、第2回転規制部材12、13は、図9および図10に示すように、回転ベゼル11に設けられた複数の係合凹部18のいずれかに位相がずれた状態で出没可能に係合して回転ベゼル11の回転位置を規制するように構成されている。すなわち、これら第1、第2回転規制部材12、13は、第1回転規制部材12の規制片20が複数の係合凹部18のいずれかに係合しているときに、第2回転規制部材13の規制片20が複数の係合凹部18の何れにも係合せずに係合凹部18から離脱するように構成されている。
また、図9および図10に示すように、第1回転規制部材12の規制片20、第2回転規制部材13の規制片20は、回転ベゼル11の係合凹部18から離脱しているときに、規制片20の突起部22の上端部22cが、回転ベゼル11の下面の複数の係合凹部18の間にある平面部に接するように構成されている。よって、回転ベゼル11を安定して回転させ操作性が向上するように構成されている。
この場合、第1、第2回転規制部材12、13は、図9および図10に示すように、回転ベゼル11の回転面である下面に複数の係合凹部18が円周方向に沿って等間隔で60個設けられ、互いに隣接する係合凹部18の間隔つまり開き角度が6°である場合、この開き角度を2分割した開き角度つまり3°の角度の位相差をもって配置されている。
これにより、回転ベゼル11は、図6(b)に示すように、その円周方向に沿って複数の係合凹部18が60分割されていても、回転ベゼル11が3°の角度で回転するごとに、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20が交互に係合凹部18に係合して、回転ベゼル11の回転位置が規制されるように構成されている。
このため、回転ベゼル11は、図6(b)に示すように、円周方向に沿って複数の係合凹部18が60分割されていても、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20によって回転ベゼル11が1回転するごとに120回位置規制されるように構成されている。これにより、第1、第2回転規制部材12、13は、係合凹部18の配列数を増やさずに回転ベゼル11の回転角度を細かく規制するように構成されている。
この場合、回転ベゼル11は、その素材によって係合凹部18の配列数が制約されている。例えば、回転ベゼル11が剛性の高いステンレスで形成されている場合には、係合凹部18を120個配列させても係合凹部18の摩耗が少ないため、1つの回転規制部材によって回転ベゼル11を1回転させるごとに120回位置規制することができる。これに対して、ステンレスよりも剛性の低いチタンや硬質の合成樹脂によって回転ベゼル11を形成した場合には、係合凹部18を120個配列させると、係合凹部18の摩耗が大きいため、60個の配列が限界である。
このため、この実施形態では、回転ベゼル11がステンレスよりも剛性の低いチタンなどの素材で形成され、係合凹部18が60個配列されていても、第1、第2回転規制部材12、13を備えていることにより、これら第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20の位相差によって回転ベゼル11を1回転させるごとに120回位置規制することが可能になり、回転ベゼル11をステンレスで形成して、1個の回転規制部材で回転位置を規制する場合と同じになる。
一方、第1〜第3支持部材14〜16は、図3、図4、図8および図11に示すように、回転ベゼル11の中心軸に対して直交する回転面である回転ベゼル11の下面を3点で摺動可能に支持するように構成されている。すなわち、第1〜第3支持部材14〜16それぞれは、回転ベゼル11の回転面である下面に弾力的に接触して支持する支持片30と、この支持片30を回転ベゼル11の回転面である下面に向けて押し当てる方向に付勢するコイルばねである支持ばね31と、を備えている。
第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30は、図3および図8に示すように、回転ベゼル11の下面に弾力的に接触して摺動する支持頭部32と、この支持頭部32の下面に設けられて支持ばね31をガイドするガイド軸33と、を備え、これらが滑り性を有する硬質の合成樹脂によって一体に形成されている。
これら第1〜第3支持部材14〜16は、図3〜図5、図8に示すように、腕時計ケース1の切欠き部9の底面における所定箇所に設けられた第1〜第3保持穴部34〜36内にそれぞれ配置されるように構成されている。これら第1〜第3保持穴部34〜36のうち、第1保持穴部34は、腕時計ケース1の切欠き部9の底面において、押釦スイッチ3を避けた箇所、例えば1時側に位置する箇所に設けられている。
同様に、第2保持穴部35は、図5に示すように、腕時計ケース1の切欠き部9の底面において、押釦スイッチ3を避けた箇所、例えば5時側に位置する箇所に設けられている。また、第3保持穴部36は、腕時計ケース1の切欠き部9の底面において、押釦スイッチ3を避けた箇所、例えば9時側に位置する箇所に設けられている。
すなわち、これら第1〜第3保持穴部34〜36それぞれは、図3、図5および図8に示すように、その上下方向における上部側に位置する箇所に設けられて第1〜第3支持部材14〜16の各支持頭部32が上下方向に移動可能に配置される大径穴部37と、下部側に位置する箇所に設けられて第1〜第3支持部材14〜16の各ガイド軸33が支持ばね31と共に配置される小径穴部38と、を備えている。
大径穴部37は、図3、図5、図8に示すように、その外径が支持頭部32の外径よりも少し大きい円形状に形成されている。小径穴部38は、支持ばね31の外径よりも少し大きく、且つ支持頭部32の外径よりも小さい円形状に形成されている。このため、支持ばね31は、ガイド軸33と共に小径穴部38内に収納された際に、支持ばね31の上端部が支持頭部32の下面に弾接し、下端部が小径穴部38の底部に弾接するように構成されている。
これにより、支持ばね31は、図8および図11に示すように、支持頭部32を第1〜第3保持穴部34〜36の上方に向けてそれぞれ押し出す方向に付勢するように構成されている。この場合、支持ばね31は、そのばね力によって支持頭部32を第1〜第3保持穴部34〜36の上方に向けて押し出した際に、支持頭部32の上部側が第1〜第3保持穴部34〜36の上方に突出しても、支持頭部32の下部側が第1〜第3保持穴部34〜36の大径穴部37内に配置された状態を維持する程度のばね力に設定されている。
また、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30の支持頭部32は、図3、図8および図11に示すように、その外径が回転ベゼル11の係合凹部18の開口面、つまり係合凹部18の径方向の長さと円周方向の長さとのいずれかよりも大きい円柱状に形成されている。すなわち、この支持頭部32は、回転ベゼル11の下面に対向する対向面である上端面が、係合凹部18の開口面における径方向の長さと円周方向の長さとのいずれかよりも大きく形成されている。
この場合、支持頭部32は、図3、図8および図11に示すように、回転ベゼル11の下面に対向する対向面である上端面が、曲率半径の大きい円弧面32aに形成されている。これにより、支持頭部32は、係合凹部18内に落ち込むことなく、上端部の円弧面32aが回転ベゼル11の回転面である下面に点接触状態で弾接して摺動するように構成されている。
すなわち、第1〜第3支持部材14〜16の各支持頭部32は、図3、図8および図11に示すように、円弧面32aが係合凹部18に対応したときに、円弧面32aが係合凹部18の開口部の縁部に2点で接触し、円弧面32aが係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱しているときに、円弧面32aが回転ベゼル11の下面に1点で接触するように構成されている。
ところで、第1〜第3支持部材14〜16は、図5に示すように、これらの開き角度がそれぞれ90°よりも大きい角度で腕時計ケース1に配置されている。すなわち、第1支持部材14と第2支持部材15とは、その開き角度が90°よりも少し大きい角度、例えば95°〜100°の角度範囲で配置されている。第2支持部材15と第3支持部材16とは、その開き角度が130°前後の角度で配置されている。同様に、第1支持部材14と第3支持部材16とは、その開き角度が130°前後の角度で配置されている。
これにより、第1〜第3支持部材14〜16は、図5に示すように、1時側、5時側、9時側を結ぶほぼ2等辺三角形の各角部に位置する3点で回転ベゼル11を支持することにより、回転ベゼル11を安定した状態で支持すると共に、回転ベゼル11の回転に伴って第1、第2回転規制部材12,13が交互に係合凹部18に係合しても、回転ベゼル11の上下方向のがたつきを防いで、回転ベゼル11の回転を安定させるように構成されている。
次に、このような腕時計の回転装置10の作用について説明する。
この回転装置10を組み立てる場合には、まず、腕時計ケース1の上部外周に位置する切欠き部9の底部に設けられた第1、第2収納穴部25、26内に、第1、第2回転規制部材12、13を配置する。このときには、第1回転規制部材12を腕時計ケース1の7時側に設けられた第1収納穴部25に配置し、第2回転規制部材13を腕時計ケース1の11時側に設けられた第2収納穴部26に配置する。
すなわち、第1、第2回転規制部材12、13を腕時計ケース1に設けられた第1、第2収納穴部25、26に配置する場合には、まず、第1、第2回転規制部材12,13の各規制片20の台座部23の下面に設けられたガイド軸24を規制ばね21にそれぞれ挿入させて、規制ばね21をそれぞれガイド軸24の外周に配置する。
この状態で、規制ばね21とガイド軸24とを腕時計ケース1の第1、第2収納穴部25、26内にその上方から挿入させて第1、第2収納穴部25、26の各小径穴部28内にそれぞれ配置させる。この状態では、図7(a)に示すように、規制ばね21の下端部が第1、第2収納穴部25、26の各底部に弾接し、規制ばね21の上端部が台座部23の下面に弾接した状態で、規制ばね21が自然状態に伸びる。
この状態では、台座部23の上部側が突起部22と共に第1、第2収納穴部25、26から上方に突出し、台座部23の下部側が第1、第2収納穴部25、26の各大径穴部27内にそれぞれ配置された状態になる。このため、第1、第2回転規制部材12、13は、その各突起部22が第1、第2収納穴部25、26の上方にそれぞれ突出していても、台座部23の下部側が第1、第2収納穴部25、26内に配置されていることにより、第1、第2収納穴部25、26内に安定した状態で配置される。
この場合には、台座部23の外形がほぼ楕円などの非円形状に形成され、第1、第2収納穴部25、26の各内形が台座部23と同じ形状であることにより、台座部23が第1、第2収納穴部25、26の各大径孔部27内で各ガイド軸24を中心に回転することなく配置される。このため、第1、第2回転規制部材12、13は、その各規制片20が第1、第2収納穴部25、26内で回転しないように配置される。
また、このときには、腕時計ケース1の上部外周に位置する切欠き部9の底部に設けられた第1〜第3保持穴部34〜36内に、第1〜第3支持部材14〜16をそれぞれ配置する。このときには、第1支持部材14を腕時計ケース1の1時側に設けられた第1保持穴部34に配置し、第2支持部材15を腕時計ケース1の5時側に設けられた第2保持穴部35に配置し、第3支持部材16を腕時計ケース1の9時側に設けられた第3保持穴部36に配置する。
すなわち、第1〜第3支持部材14〜16を腕時計ケース1に設けられた第1〜第3保持穴部34〜36にそれぞれ配置する場合には、まず、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30の支持頭部32の下面に設けられたガイド軸33を支持ばね31にそれぞれ挿入させて、支持ばね31をそれぞれガイド軸33の外周に配置する。
この状態で、支持ばね31とガイド軸33とを腕時計ケース1の第1〜第3保持穴部34〜36内にその上方から挿入させて第1〜第3保持穴部34〜36の各小径穴部38内にそれぞれ配置させる。この状態では、図8(a)に示すように、支持ばね31の下端部が第1〜第3保持穴部34〜36の各底部に弾接し、支持ばね31の上端部が支持頭部32の下面に弾接した状態で、支持ばね31が自然状態に伸びる。
この状態では、支持頭部32の上部側が第1〜第3保持穴部34〜36から上方に突出し、支持頭部32の下部側が第1〜第3保持穴部34〜36の各大径穴部37内にそれぞれ配置された状態になる。このため、第1〜第3支持部材14〜16は、その各支持頭部32が第1〜第3保持穴部34〜36の上方にそれぞれ突出していても、支持頭部32の下部側が第1〜第3保持穴部34〜36内に配置されていることにより、第1〜第3保持穴部34〜36内に安定した状態で配置される。
この状態で、腕時計ケース1の上部外周に回転ベゼル11を取り付ける。このときには、予め、回転ベゼル11の内周面に設けられた装着凹部11a内にパッキン17を装着させる。そして、この回転ベゼル11を腕時計ケース1の切欠き部9にその上方から嵌め込んで、回転ベゼル11の係合部11bを腕時計ケース1の切欠き部9の係止突起9aに係合させる。
これにより、回転ベゼル11は、腕時計ケース1の上方に抜け出すことなく、腕時計ケース1の外周に切欠き部9によって回転可能に取り付けられる。このときには、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20が回転ベゼル11の回転面である下面によって押し下げられると共に、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30が回転ベゼル11の回転面である下面によって押し下げられる。
この場合、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20が回転ベゼル11の下面によって押し下げられた際には、第1、第2回転規制部材12、13の各規制ばね21が少し圧縮されて、各台座部23の上部側が第1、第2収納穴部25、26の各大径穴部27内にそれぞれ押し込まれる。
このときには、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20のうち、いずれか一方の規制片20の突起部22が回転ベゼル11の下面に設けられた係合凹部18内に挿入され、いずれか他方の規制片20の突起部22が係合凹部18内に挿入されずに回転ベゼル11の下面に押し当てられる。
このように、規制片20の突起部22が回転ベゼル11の下面に設けられた係合凹部18内に挿入された際には、突起部22のスライド部22aが係合凹部18の第1傾斜部18aに隙間をもって平行な状態で対面し、突起部22の当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bに平行な状態で対面し、突起部22の上端部22cが係合凹部18の底部18cに当接する。
このときには、規制片20の突起部22の高さ、つまり台座部23から回転ベゼル11に向けて突出する突起部22の長さが、回転ベゼル11の係合凹部18の深さとほぼ同じか、それよりも少し長く形成されている。このため、突起部22が係合凹部18に挿入されて、その上端部22cが係合凹部18の底部18cに当接した際には、台座部23が腕時計ケース1の第1、第2収納穴部25、26内に押し込まれる。
この状態では、第1、第2回転規制部材12、13の各台座部23が、その上面と回転ベゼル11の下面との間に僅かな隙間をもって回転ベゼル11の下側に配置されると共に、台座部23の上面が第1、第2収納穴部25、26の上端部に位置する腕時計ケース1の底面とほぼ同じ平面上に配置される。これにより、第1、第2回転規制部材12、13の台座部23は、回転ベゼル11の下面に接触しない状態で配置される。
また、このときは、第1〜第3支持部材14〜16の各支持ばね31が少し圧縮されて、各支持頭部32の上端の円弧面が回転ベゼル11の下面に押し当てられる。すなわち、このときには、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30のうち、いずれかの支持片30の支持頭部32が回転ベゼル11の下面に設けられた係合凹部18に対応し、他方の支持片30の支持頭部32が係合凹部18に対応せずに回転ベゼル11の下面に押し当てられる。
このように、支持片30の支持頭部32が回転ベゼル11の下面に設けられた係合凹部18に対応した際には、支持頭部32の上端部が曲率半径の大きい円弧面32aであるから、この円弧面が係合凹部18の開口部の縁部に2点で点接触して当接することにより、支持頭部32が腕時計ケース1の第1〜第3保持穴部34〜36内に押し込まれる。
また、支持片30の支持頭部32が回転ベゼル11の係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離れている場合には、支持頭部32の上端部の円弧面32aが回転ベゼル11の下面に1点で点接触して当接することにより、支持頭部32が腕時計ケース1の第1〜第3保持穴部34〜36内に押し込まれる。
この状態では、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30が回転ベゼル11の下面を3点で支持する。すなわち、第1〜第3支持部材14〜16は、図5に示すように、1時側、5時側、9時側を結ぶほぼ2等辺三角形の各角部に位置する3点で回転ベゼル11を支持する。このため、回転ベゼル11は第1〜第3支持部材14〜16によって安定した状態で支持され、回転ベゼル11の上下方向のがたつきが防げる。
次に、この回転装置10の動作について説明する。
この場合には、例えば第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20のうち、例えば第1回転規制部材12の規制片20の突起部22が回転ベゼル11の下面に設けられた係合凹部18内に挿入され、第2回転規制部材13の規制片20の突起部22が係合凹部18に対応せずに回転ベゼル11の下面に当接し、回転ベゼル11が第1〜第3支持部材14〜15によって回転可能に支持されている。
この状態で、回転ベゼル11を一方向(矢印X方向)に回転させると、この回転ベゼル11の回転に伴って、回転ベゼル11の係合凹部18が回転方向(矢印X方向)に移動する。このときには、図9に示すように、係合凹部18の第1傾斜部18aが係合凹部18内に挿入された第1回転規制部材12の規制片20における突起部22のスライド部22aに接触した状態でスライドし、この第1傾斜部18aのスライドに応じてスライド部22aが規制ばね21のばね力に抗して徐々に押し下げられる。
このため、図9に示すように、第1回転規制部材12の規制片20における突起部22の当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bから徐々に離れて、突起部22の上端部22cが第1傾斜部18aを乗り越えて係合凹部18の下部側に押し出される。このときには、規制ばね21が台座部23によって圧縮されるので、回転ベゼル11の回転力が重くなる。
この状態で、回転ベゼル11を更に一方向(矢印X方向)に回転させると、第1回転規制部材12の規制片20における突起部22の上端部22cが回転ベゼル11の下面に弾接すると共に、第2回転規制部材13の規制片20における突起部22の上端部22cが回転ベゼル11の下面に弾接した状態で、回転ベゼル11が回転する。
そして、回転ベゼル11が3°回転すると、図10に示すように、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20のうち、係合凹部18に対応せずに回転ベゼル11の下面に当接していた第2回転規制部材13の規制片20の突起部22が係合凹部18に対応する。すると、第2回転規制部材13の規制片20の突起部22が係合凹部18に挿入する。
このときには、図10に示すように、第2回転規制部材13の圧縮した規制ばね21のばね力によって規制片20の突起部22の上端部22cが、係合凹部18の第2傾斜部18bに沿って急激に押し上げられる。これにより、第2回転規制部材13の突起部22のスライド部22aが係合凹部18の第1傾斜部18aに対面し、突起部22の当接部22bが係合凹部18の第2傾斜部18bに対面し、突起部22の上端部22cが係合凹部18の底部18cに当接する。
このように、第2回転規制部材13の規制片20の突起部22が係合凹部18に挿入する際には、第2回転規制部材13の圧縮した規制ばね21がその弾性復帰力によって伸びるので、回転ベゼル11の回転力が急激に軽くなる。このため、回転ベゼル11にクリック感が付与されて、回転ベゼル11の回転位置が規制される。
これにより、第1、第2回転規制部材12、13は、回転ベゼル11が3°回転するごとに、第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20が交互に回転ベゼル11の係合凹部18に係合することにより、回転ベゼル11が3°回転するごとに位置規制される。すなわち、第1、第2回転規制部材12、13は、回転ベゼル11の係合凹部18の配列数が60個であっても、回転ベゼル11が1回転する間に回転ベゼル11を120回位置規制する。
また、このように、回転ベゼル11が第1、第2回転規制部材12、13のいずれかの規制片20の突起部22が係合凹部18に挿入した状態で、回転ベゼル11を一方向(矢印X方向)と反対方向に回転させる際には、突起部22の当接部22bに係合凹部18の第2傾斜部18bが当接することにより、回転ベゼル11の逆回転が阻止される。このため、この回転ベゼル11は、一方向(矢印X方向)のみに回転する。
このように、回転ベゼル11が回転する際には、回転ベゼル11が第1〜第3支持部材14〜16によって3点で支持されていることにより、回転ベゼル11が第1〜第3支持部材14〜16によって安定した状態で支持される。このため、第1、第2回転規制部材12、13が回転ベゼル11の係合凹部18に係合する際、および離脱する際の係脱動作時における回転ベゼル11の上下方向のがたつきが防げる。
このように、この腕時計の回転装置10によれば、装置本体である腕時計ケース1の外周に回転可能に設けられた回転部材である回転ベゼル11と、この回転ベゼル11の中心軸に対して直交する回転面である回転ベゼル11の下面を3点で摺動可能に支持する第1〜第3支持部材14〜16と、を備えていることにより、回転ベゼル11を安定させた状態で回転させることができると共に、腕時計ケース1の小型化を図ることができる。
すなわち、この腕時計の回転装置10では、回転ベゼル11の下面を第1〜第3支持部材14〜16によって3点で摺動可能に支持するので、回転ベゼル11を安定させた状態で保持することができると共に、回転ベゼル11を安定させた状態で回転させることができ、かつ第1〜第3支持部材14〜16が回転ベゼル11の下面を支持しているので、回転装置10全体の外径が大きくならないようにすることができ、これにより腕時計全体の小型化を図ることができる。
また、この腕時計の回転装置10では、回転ベゼル11の回転面である下面にその円周方向に沿って等間隔で設けられた複数の係合凹部18のいずれかに係脱可能に係合して回転ベゼル11の回転位置を規制する第1、第2回転規制部材12、13を備えていることにより、第1〜第3支持部材14〜16によって安定した状態で保持された回転ベゼル11の回転位置を第1、第2回転規制部材12、13によって確実にかつ良好に規制することができる。
すなわち、第1、第2回転規制部材12、13それぞれは、回転ベゼル11の回転面である下面に設けられた複数の係合凹部18のいずれかに出没可能に係合して回転ベゼル11の回転を規制する規制片20と、この規制片20を回転ベゼル11の回転面である下面に押し当てる方向に付勢するコイルばねである規制ばね21と、を備えていることにより、回転ベゼル11の回転に応じて第1、第2回転規制部材12、13の各規制片20を複数の係合凹部18のいずれかに規制ばね21のばね力によって確実にかつ良好に係合させることができる。
この場合、第1、第2回転規制部材12、13は、互いに隣接する係合凹部18の間隔つまり開き角度を2分割した角度の位相差をもって配置されていることにより、第1回転部材12の規制片20が係合凹部18のいずれかに係合しているときに、第2回転規制部材13の規制片20を係合凹部18に対応させずに係合凹部18から離脱させることができる。
このため、この回転装置10では、回転ベゼル11の回転面である下面に係合凹部18が例えば60個等間隔で設けられている場合、第1、第2回転規制部材12、13が交互に係合凹部18に係合して回転ベゼル11の回転位置を規制するので、回転ベゼル11が1回転するごとに回転ベゼル11を120回位置規制することができる。これにより、係合凹部18の配列数が少なくても、第1、第2回転規制部材12、13によって係合凹部18の配列数の2倍だけ、回転ベゼル11の回転位置を細かく規制することができる。
また、この腕時計の回転装置10では、第1〜第3支持部材14〜16それぞれが回転ベゼル11の回転面である下面に弾力的に接触して回転ベゼル11を支持すると共に、回転ベゼル11の下面に対向する第1〜第3支持部材14〜16の各対向面である支持頭部32の上端面が係合凹部18の開口面よりも大きく形成されていることにより、支持頭部32の上端面が係合凹部18に落ち込むことなく、回転ベゼル11の下面を摺動可能に支持することができ、これにより回転ベゼル11を円滑に回転させることができる。
すなわち、第1〜第3支持部材14〜16それぞれは、支持ばね31によって回転ベゼル11の下面に向けて弾力的に押し付けられる支持片30が、支持頭部32とガイド軸33とを備え、支持頭部32の上端面が支持ばね31のばね力によって回転ベゼル11の下面に向けて弾力的に押し付けられているので、回転ベゼル11の回転に応じて第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30における支持頭部32の上端面を滑らかに摺動させることができる。
この場合、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30における支持頭部32の上端面は、曲率半径の大きい円弧面32aに形成されていることにより、回転ベゼル11の下面を点接触状態で支持することができ、これにより回転ベゼル11の回転動作を妨げることなく、回転ベゼル11を円滑にかつ良好に回転させることができる。
すなわち、これら第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30における支持頭部32の円弧面32aが係合凹部18に対応しているときには、2点接触状態で回転ベゼル11の下面を支持することができると共に、係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱しているときには、1点接触で回転ベゼル11の下面を支持することができるので、回転ベゼル11の回転動作を妨げることなく、回転ベゼル11を円滑にかつ良好に回転させることができる。
この場合、第1〜第3支持部材14〜16は、これらの開き角度がそれぞれ90度よりも大きいことにより、回転ベゼル11を安定させた状態で確実にかつ良好に保持することができる。すなわち、第1〜第3支持部材14〜16は、第1支持部材14と第2支持部材15との開き角度が90°よりも少し大きい角度で配置され、第2支持部材15と第3支持部材16との開き角度、および第1支持部材14と第3支持部材16との開き角度が、それぞれ130°前後の角度で配置されているので、第1〜第3支持部材14〜16をほぼ2等辺三角形の各角部に対応する位置に配置させることができる。
これにより、第1〜第3支持部材14〜16は、ほぼ2等辺三角形の各角部に位置する3点で回転ベゼル11を支持することができるので、より一層、回転ベゼル11を安定した状態で支持することができると共に、回転ベゼル11の回転に伴って第1、第2回転規制部材12、13が交互に係合凹部18に係合しても、回転ベゼル11の上下方向のがたつきを確実にかつ良好に防ぐことができ、これにより回転ベゼル11の回転を安定させることができる。
なお、上述した実施形態では、回転規制部材として、第1、第2回転規制部材12、13を備えている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば1個の回転規制部材を備えていても良く、また3個以上の回転規制部材を備えていても良い。3個以上つまりn個の回転規制部材を備えている場合には、互いに隣接する係合凹部18の間隔つまり開き角度をn分割した角度の位相差をもって、n個の回転規制部材が配置されていれば良い。
この場合には、n個の回転規制部材によって回転ベゼル11が1回転する間で係合凹部18の配列数のn倍の数だけ、回転ベゼル11の回転位置を規制することができるので、係合凹部18が少ない配列数であっても、回転ベゼル11の回転角度を、より一層、細かく規制することができる。
また、この発明は、上述した変形例に限らず、例えば回転規制部材が4個以上設けられている場合には、いずれか1個の回転規制部材が係合凹部18に係合しているときに、係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱している少なくとも3個の回転規制部材がそれぞれ90度の開き角度をもって配置されるように構成しても良い。
このように構成した場合には、4個以上の回転規制部材のうち、いずれか1個の回転規制部材によって回転ベゼル11の回転位置を規制することができると共に、他のいずれか3個の回転規制部材によって上述した第1〜第3支持部材14〜16の機能をもたせて回転ベゼル11を安定させて支持することができる。
また、上述した実施形態では、複数の支持部材として、第1〜第3支持部材14〜16を備えている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば4個以上の支持部材を備えていても良い。
また、上述した実施形態では、第1〜第3支持部材14〜16の各支持片30における支持頭部32の上端部が曲率半径の大きい円弧面32aに形成されている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、支持頭部32の上端部を平坦面に形成しても良い。この場合には、係合凹部18の開口部の縁部に対するかじりを防ぐために、支持頭部32の平坦面における外周に面取り部を設ければ良い。
また、上述した実施形態では、複数の支持部材として、第1〜第3支持部材14〜16は,図11に示すように、円弧面32aが回転ベゼル11の係合凹部18に対応したときに、円弧面32aが係合凹部18の開口部の縁部に2点で接触し、円弧面32aが係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱しているときに、円弧面32aが回転ベゼル11の下面に1点で接触するように構成されているが、第1、第2回転規制部材12、13それぞれが回転ベゼル11の係合凹部18に係合しているとき、離脱しているときの状態に合わせて、第1〜第3支持部材14〜16の円弧面32aが係合凹部18に対応したとき、対応せずに離脱しているときの状態を対応させた構成としても良い。
図9に示すように、第1回転規制部材12が、回転ベゼル11の係合凹部18に係合しているときは、図5に示すように対向する位置にある第1支持部材14は、円弧面32aが回転ベゼル11の係合凹部18に対応して円弧面32aが係合凹部18の開口部の縁部に2点で接触し、図9に示すように、第2回転規制部材13が回転ベゼル11の係合凹部18から離脱しているときは、図5に示すように対向する位置にある第2支持部材15は、円弧面32aが回転ベゼル11の係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱して円弧面32aが回転ベゼル11の下面に1点で接触し、第3支持部材16は、第1支持部材14または第2支持部材15と同じ状態となるように構成すれば良い。
図10に示す場合も同様である。つまり、回転規制部材が回転ベゼル11の係合凹部18に係合しているときは支持部材も係合凹部18に対応し、回転規制部材が回転ベゼル11の係合凹部18から離脱しているときは支持部材も係合凹部18に対応せずに係合凹部18から離脱することで、さらに、回転ベゼル11の上下方向のがたつきを確実にかつ良好に防ぐことができ、回転ベゼル11の回転を安定させることができる。
また、上述した実施形態では、回転規制部材として、第1、第2回転規制部材12、13が回転ベゼル11の係合凹部18に係合した際に、回転ベゼル11を一方向のみに回転可能にし、逆方向への回転を規制するようにしたが、これに限らず、例えば、回転ベゼル11の係合凹部18には同じ角度の傾斜部を設け、第1、第2回転規制部材12、13の突起部22は、係合凹部18の傾斜部に対応する形状とし、逆方向への回転を規制しないようにしても良いし、回転ベゼル11の係合凹部18の形状を円形状にして突起部22を対応する円形状や球状などにして逆方向への回転を規制しないようにしても良い。
さらに、上述した実施形態およびその各変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、装置本体の外周に回転可能に設けられた回転部材と、前記回転部材の中心軸に対して直交する回転面を少なくとも3点以上で摺動可能に支持する複数の支持部材と、を備えていることを特徴とする回転装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転装置において、前記回転部材の前記回転面にその円周方向に沿って等間隔で設けられた複数の係合凹部のいずれかに係脱可能に係合して前記回転部材の回転位置を規制する回転規制部材を備えていることを特徴とする回転装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の回転装置において、前記複数の支持部材は、前記回転部材の前記回転面に弾力的に接触して前記回転部材を支持すると共に、前記回転面に対向する前記支持部材の対向面が、前記回転部材の前記回転面に設けられた係合凹部の開口面よりも大きく形成されていることを特徴とする回転装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の回転装置において、前記複数の支持部材の前記対向面は、円弧状に形成されていることを特徴とする回転装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の回転装置において、前記複数の支持部材のうち、少なくとも3点で支持する3個の支持部材は、これらの開き角度がそれぞれ90度よりも大きいことを特徴とする回転装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された回転装置を備えていることを特徴とする時計である。