JP2020159629A - 凍結乾燥方法及び凍結乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自己凍結法により液状の被乾燥物を確実に凍結することができる凍結乾燥方法及び凍結乾燥装置を提供する。【解決手段】真空ポンプ3が接続された凍結乾燥室1内に、液状の被乾燥物Sを充填した容器4をセットし、被乾燥物を凍結させる凍結工程と、この凍結した被乾燥物を減圧下で乾燥させる乾燥工程とを含む凍結乾燥方法において、凍結工程は、大気圧下で棚板からの伝熱で液状の被乾燥物を過冷却する第1工程と、凍結乾燥室内を減圧することで過冷却された被乾燥物を自己凍結させる第2工程とを含む。第2工程は、減圧時に発生する特定のガスの分圧を測定し、この分圧が所定範囲内に維持されるように真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を制御しながら凍結乾燥室内を減圧して容器内の被乾燥物の昇華面S1に核Snを形成させ、更に凍結乾燥室内を更に低圧に減圧することで被乾燥物を自己凍結させる。【選択図】 図2

Description

本発明は、凍結乾燥方法及びこの凍結乾燥方法の実施が可能な凍結乾燥装置に関し、より詳しくは、液状の被乾燥物を凍結乾燥するものに関する。
注射用医薬品等の無菌製剤の中には、薬剤を安定化させ、投与直前に元の状態に戻すことができるように、水溶液に溶解した薬剤(液状の被乾燥物)をガラスバイアル等の容器に充填し、低温(例えば−60℃)で凍結乾燥させたものがある。このような無菌製剤の製造に利用できる凍結乾燥方法は例えば特許文献1で知られている。
このものは、真空ポンプが接続された凍結乾燥室内に設けた棚板に、液状の被乾燥物を充填した容器を載置(セット)し、凍結乾燥室の大気圧下で被乾燥物を冷却して凍結させる凍結工程と、凍結乾燥室の減圧下でこの凍結した被乾燥物を乾燥させる乾燥工程とを含む。凍結工程は、被乾燥物をセットした凍結乾燥室内を大気圧以上に一旦加圧し、この状態で主として棚板からの伝熱や対流で被乾燥物を過冷却し(第1工程)、その後に、凍結乾燥室を減圧することでこの過冷却された被乾燥物に核を形成させ、更に棚板からの伝熱で被乾燥物を冷却することで被乾燥物が完全に凍結される(第2工程)。
ところで、例えば野菜や果物等の固形物を凍結乾燥する方法として、被乾燥物が収容される凍結乾燥室を急速に減圧し、水分の蒸発潜熱を利用して被乾燥物を急速凍結させる自己凍結法が知られている。そこで、液状の被乾燥物を凍結乾燥する際にも、その凍結工程の短縮化のために、上記第2工程に自己凍結法を適用することが考えられる。然し、固形物の自己凍結と異なり、大気圧下(または加圧下)で液状の被乾燥物を過冷却した後に、凍結乾燥室を急速に減圧すると、突沸やフラッシュガスが発生してしまい、効率よく自己凍結できないという問題があった。このような問題の解決策として、容器内の被乾燥物の昇華面の温度を測定しながら被乾燥物を自己凍結することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、実質的に被乾燥物の昇華面の温度から突沸やフラッシュガスの発生を抑制することは困難であった。
特許第5090374号 特許第5847919号
本発明は、以上の点に鑑み、自己凍結法により液状の被乾燥物を確実に凍結することができる凍結乾燥方法及び凍結乾燥装置を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、真空ポンプが接続された凍結乾燥室内に液状の被乾燥物を充填した容器をセットし、被乾燥物を凍結させる凍結工程と、この凍結した被乾燥物を減圧下で乾燥させる乾燥工程とを含む本発明の凍結乾燥方法は、凍結工程が、大気圧下で液状の被乾燥物を過冷却する第1工程と、凍結乾燥室内を減圧することで過冷却された被乾燥物を自己凍結させる第2工程とを含み、第2工程は、凍結乾燥室の減圧に伴って被乾燥物の昇華面から発生する特定のガスの分圧を測定し、この分圧が所定範囲内に維持されるように真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を制御しながら凍結乾燥室内を減圧することで容器内の被乾燥物の昇華面に核を形成させ、更に凍結乾燥室内を低圧に減圧することで被乾燥物を自己凍結させることを特徴とする。
ここで、本願発明者らは、鋭意研究を重ね、凍結乾燥室の大気圧下で、例えば水溶液に溶解した薬剤である液状の被乾燥物を過冷却し、その後に凍結乾燥室を減圧して自己凍結させる過程において、容器内の被乾燥物の昇華面に核(純氷)が先ず形成され、この状態で凍結乾燥室を更に低圧に減圧すれば(言い換えると、一旦核が形成されると)、急激に凍結乾燥室を減圧しても突沸やフラッシュガスが発生することなく、この核(純氷)が起点となって被乾燥物が、昇華面から鉛直方向下方に向けて瞬時に凍結すること及び、凍結乾燥室の減圧を開始するとほぼ同時に、被乾燥物から特定のガス(水蒸気)が凍結乾燥室内に放出されることを知見するのに至った。そして、過冷却された被乾燥物を自己凍結させるとき、減圧時に発生する特定のガス(水蒸気)の分圧を測定し、これを基に、真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を調整すれば、突沸やフラッシュガスが発生することなく、容器内の被乾燥物の昇華面に核が形成できることを見出した。
このように本発明では、減圧時に被乾燥物の昇華面に発生する特定のガスの分圧を測定し、この分圧が所定範囲内に維持されるように真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を制御しながら凍結乾燥室内を減圧して容器内の被乾燥物の昇華面に核を形成させるという構成を採用することで、被乾燥物の突沸やフラッシュガスの発生を抑制しながら、自己凍結法により液状の被乾燥物を確実且つ迅速に凍結することができる。そして、このようにして被乾燥物が自己凍結されると、その後の乾燥工程においても乾燥時間を短縮できることが確認された。これは、被乾燥物が例えば水溶液に溶解した薬剤であるような場合、昇華面から鉛直方向下方に向けて瞬時に凍結させることで、凍結したものに濃度分布が生じないことに起因するものと考えられる。
ところで、凍結乾燥室を減圧することで昇華面に核(純氷)が形成されると、これに起因して特定のガス(水蒸気)の蒸発量が変化(増加)する。そこで、本発明においては、前記第2工程にて、前記特定のガスの分圧が所定範囲内に維持されるように前記真空ポンプによる前記凍結乾燥室の排気速度を制御しながら減圧する間で、前記分圧が所定値に変化したときに前記昇華面に核が形成されたと判断し、真空ポンプによる凍結乾燥室内の排気速度を高める工程を更に含むことが好ましい。これによれば、上記従来例のような昇華面温度の測定に依らず、昇華面に核(純氷)が形成されたことを確実に判断でき、有利である。
また、上記課題を解決するために、真空ポンプが接続される凍結乾燥室と、この凍結乾燥室に連設される、被乾燥物から発生した水蒸気を凝結して捕集するコールドトラップを内蔵した捕集室とを備え、凍結乾燥室内に、液状の被乾燥物を充填した容器をセットした後に、凍結乾燥室の大気圧下でこの被乾燥物を凍結させ、凍結乾燥室の減圧下で捕集室内のコールドトラップによって水蒸気を捕集しながらこの凍結した被乾燥物を乾燥させる本発明の凍結乾燥装置は、凍結乾燥室に、測定ガスの種類による測定指示値の影響を受けない全圧測定可能な第1の真空計と、熱伝導を利用する全圧測定可能な真空計で且つ測定ガスの種類によって測定指示値に差が生ずる第2の真空計とが取り付けられ、真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を調整する排気速度調整手段と、第1及び第2の両真空計での測定指示値の差分から排気速度調整手段を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする。
ここで、過冷却された被乾燥物を自己凍結させる工程にて、減圧時に被乾燥物の昇華面から発生する特定のガス(水蒸気)の分圧を測定しようとする場合、例えば、質量分析計を使用することが考えられるが、このような質量分析計は高価であるばかりか、作動排気して特定のガスを質量分析計のセンサ部に導く必要があるため、装置構成が複雑になってしまう。それに対して、本発明では、安価な第1の真空計(例えば、隔膜真空計)と第2の真空計(例えば、ピラニ真空計)とを用い、第1及び第2の両真空計の差分を取ることで、簡単な構成で、減圧時に発生する特定のガスの変化(水蒸気の分圧)を確実に検出でき、有利である。
本発明の実施形態の凍結乾燥装置の模式断面図。 (a)は冷却された液状の被乾燥物の状態、(b)は被乾燥物に核が形成された状態、(c)は凍結した被乾燥物の状態を示した図。 凍結時の測定指示値の差分の変化と被乾燥物の温度変化とを概念的に示すグラフ。
以下、図面を参照して、液状の被乾燥物Sをラクトース水溶液とし、これを容器に充填して被乾燥物Sを凍結乾燥する場合を例に本発明の凍結乾燥方法及び凍結乾燥装置の実施形態を説明する。
図1を参照して、FMは、本実施形態の凍結乾燥装置である。凍結乾燥装置FMは、凍結乾燥室1と、この凍結乾燥室1に仕切弁2aを介して連設される捕集室2とを備える。仕切弁2aは、互いに連通するように凍結乾燥室1と捕集室2とに開設された透孔を捕集室2側から閉塞するように配置され、図外の駆動手段によりその開閉が行われるようになっている。凍結乾燥室1にはまた、真空ポンプ3に通じる排気管31が接続され、凍結乾燥室1内を大気圧以下の所定圧力に減圧できるようになっている。真空ポンプ3は、例えば、メカニカルブースターポンプ33とその背圧側のロータリーポンプ34とで構成される。排気管31には、コンダクタンスバルブCvが介設され、この排気速度調整手段としてのコンダクタンスバルブCvの開度を調整することで真空ポンプ3による凍結乾燥室1内の排気速度を可変にしている。また、コンダクタンスバルブCvの下流側に位置する排気管31の部分からは、捕集室2に通じる排気管32が分岐され、真空ポンプ3の作動に伴って捕集室2内を減圧できるようにしている。以下において、「上」「下」といった方向は図1を基準に説明する。
凍結乾燥室1内には、被乾燥物Sが充填された容器4の複数個が載置される棚板5が上下方向に間隔を存して複数設置されている。各棚板5には、特に図示して説明しないが、加熱冷却機構が組み込まれ、棚板5を加熱又は冷却することで、棚板5からの伝熱によって容器4に充填された被乾燥物Sを加熱又は冷却できるようにしている。加熱冷却機構としては、抵抗加熱式等のヒータや冷媒循環路といった公知のものを利用することができるため、ここでは詳細な説明を省略する。凍結乾燥室1にはまた、測定方式の異なる第1の真空計6aと第2の真空計6bとが取り付けられている。第1の真空計6aとしては、例えば、1Pa〜1000Pa程度の圧力範囲で全圧計測可能であり、測定ガスの種類による測定指示値の影響を受けない隔膜真空計(キャパシタンスマノメータ)が用いられる。第2の真空計6bとしては、1Pa〜1000Pa程度の圧力範囲で熱伝導を利用して全圧測定可能なもので且つ測定ガスの種類によって測定指示値に差が生ずるピラニ真空計が用いられる。捕集室2内には、コールドトラップ7が設けられている。コールドトラップ7は、凝縮管71と、凝縮管71内に冷媒を循環させる冷凍機72とを備える。凝縮管71を一定の温度(例えば、−50℃程度)に冷却することで、凍結した被乾燥物Sから発生(昇華)する水蒸気を凝結して捕集できるようになっている。
上記凍結乾燥装置FMは、マイクロコンピュータ、シーケンサーやメモリーなどを有する制御手段8を備え、真空ポンプ3、コンダクタンスバルブCv、第1及び第2の両真空計6a,6bや冷凍機72の作動等を統括制御するようになっている。制御手段8はまた、第1及び第2の両真空計6a,6bのセンサ部からの入力を受けてそのときの凍結乾燥室内の全圧を指示する(即ち、圧力指示値を算出する)コントローラとしての役割も果たすようになっている。そして、制御手段8は、例えば、第1及び第2の両真空計6a,6bの測定指示値の差分と予め実験的に求めた値とに基づいてコンダクタンスバルブCvの開度を調整して真空ポンプ3による凍結乾燥室1の排気速度を制御するようになっている。以下に、図2及び図3を参照しつつ、上記凍結乾燥装置FMを用い、被乾燥物Sを凍結させる凍結工程とこの凍結した被乾燥物S(Si)を減圧下で乾燥させる乾燥工程とを経て被乾燥物Sを凍結乾燥する本発明の凍結乾燥方法の実施形態について具体的に説明する。
被乾燥物Sが充填された容器4の複数個を凍結乾燥室1内の各棚板5に載置(セット)する。このとき、仕切弁2aが閉弁されて凍結乾燥室1と捕集室2とは互いに隔絶され、また、冷凍機72が作動される。そして、各棚板5に各容器4が載置されると、凍結乾燥室1の大気圧下で、各棚板5に内蔵される加熱冷却機構を作動させて棚板5を冷却する。このときの棚板5の冷却温度は、被乾燥物Sが凍結することなく、−3.5〜−5.7℃まで過冷却された状態となるように適宜設定される。これにより、冷却された各棚板5からの伝熱や凍結乾燥室1内の対流により被乾燥物Sが冷却されて過冷却された状態になる(第1工程:図2(a)参照)。
次に、真空ポンプ3を作動させて凍結乾燥室1内の減圧を開始する。この場合、当初は、コンダクタンスバルブCvを全閉状態とし、真空ポンプ3の実行排気速度が略一定になる(または、真空ポンプ3の作動開始から所定時間経過する)と、コンダクタンスバルブCvの開度を徐々に上げる。これにより、凍結乾燥室1内が減圧され、このとき、第1及び第2の両真空計6a,6bにより凍結乾燥室1内の圧力が夫々測定され、制御手段8は、第1及び第2の両真空計6a,6bの圧力指示値を夫々算出する。この場合、凍結乾燥室1内の減圧に伴って被乾燥物Sの昇華面S1からは、水分子が優先的に蒸発するようになる。
凍結乾燥室1の減圧に伴って被乾燥物Sの昇華面S1から水分子が蒸発すると、凍結乾燥室1内の水蒸気の分圧が上昇する。このとき、第1の真空計6aは、測定ガスの種類によって測定指示値の影響を受けないため、一定の傾きで直線的にその測定指示値が低下していくが、第2の真空計6bは、測定ガスの種類によって測定指示値に差が生じるため、測定ガスとしての水蒸気を含有する凍結乾燥室1内の圧力を測定していると、昇華面S1での水分子の蒸発量(即ち、凍結乾燥室1内の水蒸気分圧)に応じてその測定指示値の低下量が鈍化し、その結果、第1及び第2の両真空計6a,6bの間で測定指示値に差が生ずる。このため、第1及び第2の両真空計6a,6bの測定指示値の差分を取れば、減圧時に被乾燥物Sの昇華面S1から優先的に蒸発して凍結乾燥室1内に放出された水蒸気分圧を実質的に検出できる。
真空ポンプ3を作動させると共に、コンダクタンスバルブCvの開度を上げて凍結乾燥室1内を減圧する間、制御手段8は、第1及び第2の両真空計6a,6bの測定指示値の差分(実質的には、凍結乾燥室1内の水蒸気分圧)を基に、この差分が所定範囲内に維持されるようにコンダクタンスバルブCvの開度(即ち、真空ポンプ3による凍結乾燥室1の排気速度)を調整する。この場合の「所定範囲」とは、凍結乾燥室1の減圧時、被乾燥物Sの昇華面S1での突沸やフラッシュガスの発生を抑制できる範囲をいい、例えば予め実験的に求められる。そして、コンダクタンスバルブCvの開度を調整しながら凍結乾燥室1内を減圧すると、被乾燥物Sの昇華面S1に(氷)核Snが形成される(第2工程:図2(b)参照)。このとき、図3中、一点鎖線で示すように、過冷却された被乾燥物Sの昇華面S1の温度は0℃付近まで上昇し、これに伴って、図3中、実線で示すように、第1及び第2の両真空計6a,6bの測定指示値の差分が変曲点を示して変化(図3中では、上昇)する。このように変曲点を示すと、制御手段8は、両真空計6a,6bの測定指示値の差分から水蒸気分圧が所定値に変化したことで、昇華面S1に核Snが形成されたと判断する。なお、昇華面S1に核Snが形成されたときの第1及び第2の両真空計6a,6bの測定指示値の差分を予め実験的に求めておき、この求めた所定値に差分が達したときに、昇華面S1に核Snが形成されたと判断するようにしてもよい。
次に、制御手段8は、昇華面S1に核Snが形成されたと判断すると、コンダクタンスバルブCvの開度を最大にして真空ポンプ3による凍結乾燥室1からの排気速度を高める。これにより、凍結乾燥室1内が急激に減圧されることで、被乾燥物Sは自己凍結により凍結される(第2工程:図2(c)参照)。そして、凍結乾燥室1内の圧力が所定値(例えば10Pa)まで減圧されると、乾燥工程を開始する。
乾燥工程では、仕切弁2aを開弁して、凍結乾燥室1と捕集室2とを連通させる。それと同時に、各棚板5に内蔵される加熱冷却機構を作動させて棚板5の上面を加熱する。棚板5の加熱温度は、凍結した被乾燥物Sの水分の昇華温度に応じて適宜設定され、例えば、被乾燥物Sがラクトース水溶液である場合、5℃〜40℃に設定される。各棚板5により被乾燥物Sが加熱されて被乾燥物Sから昇華(気化)した水蒸気は、捕集室2内の凝縮管71によって凝縮されて、凍結した被乾燥物Sが乾燥される。
以上の実施形態によれば、第2工程において、凍結乾燥室1内の水蒸気分圧が所定範囲内に維持されるように真空ポンプ3による凍結乾燥室1の排気速度を制御しながら凍結乾燥室1内を減圧して被乾燥物Sの昇華面S1に核Snを形成した後、凍結乾燥室1内を更に急激に減圧することで、被乾燥物の突沸やフラッシュガスを発生させることなく、自己凍結法により液状の被乾燥物Sを確実に凍結することができる。その上、凍結した被乾燥物Sには濃度分布が生じないため、乾燥工程において乾燥時間を短縮することができる。また、凍結乾燥室1に取り付けた第1及び第2の両真空計6a,6bの差分から、凍結乾燥室1の減圧時に被乾燥物Sの昇華面S1から優先的に蒸発する特定のガス(水蒸気)の分圧を実質的に検出し、その上で、差分の変曲点から、被乾燥物Sの昇華面S1に核Snが形成されたことを判断する構成を採用したことで、上記従来例のような昇華面温度の測定に依らず、昇華面に核(純氷)が形成されたことを確実に判断でき、しかも、簡単な構成で、減圧時に発生する特定のガスの変化(水蒸気の分圧)を確実に検出でき、有利である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変形が可能である。上記実施形態では、液状の被乾燥物Sをラクトース水溶液とし、凍結乾燥室1の減圧時に被乾燥物Sの昇華面S1から優先的に水蒸気が蒸発するものを例にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、tert−ブチルアルコール等の揮発性物質を含有する液状の被乾燥物Sにも本発明は適用可能である。また、上記実施形態では、第1及び第2の両真空計6a,6bを用いたものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば質量分析計によって、減圧時に被乾燥物の昇華面から発生する特定のガス(水蒸気)の分圧を直接測定することもできる。このような場合には、昇華面に核(純氷)が形成されたときの特定のガス(水蒸気)の分圧の変化量を予め実験的に求めておき、それが所定値に達すると、昇華面に核(純氷)が形成された判断すればよい。更に、上記実施形態では、排気管31に介設したコンダクタンスバルブCvで真空ポンプ3による凍結乾燥室1内の排気速度を可変にするものを例に説明したが、第2工程にて凍結乾燥室1内を減圧するときに、凍結乾燥室1内の特定ガスの分圧が所定範囲内に維持できるものであれば、これに限定されるものではない。
FM…凍結乾燥装置、1…凍結乾燥室、2…捕集室、3…真空ポンプ、4…容器、5…棚板、6a…キャパシタンスマノメータ(第1の真空計)、6b…ピラニ真空計(第2の真空計)、7…コールドトラップ、8…制御手段、Cv…コンダクタンスバルブ(排気速度調整手段)、S…被乾燥物、S1…昇華面、Sn…核(氷)。

Claims (3)

  1. 真空ポンプが接続された凍結乾燥室内に液状の被乾燥物を充填した容器をセットし、被乾燥物を凍結させる凍結工程と、この凍結した被乾燥物を減圧下で乾燥させる乾燥工程とを含む凍結乾燥方法において、
    凍結工程は、大気圧下で液状の被乾燥物を過冷却する第1工程と、凍結乾燥室内を減圧することで過冷却された被乾燥物を自己凍結させる第2工程とを含み、
    第2工程は、凍結乾燥室の減圧に伴って被乾燥物の昇華面から発生する特定のガスの分圧を測定し、この分圧が所定範囲内に維持されるように真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を制御しながら凍結乾燥室内を減圧することで容器内の被乾燥物の昇華面に核を形成させ、更に凍結乾燥室内を低圧に減圧することで被乾燥物を自己凍結させることを特徴とする凍結乾燥方法。
  2. 前記第2工程にて、前記特定のガスの分圧が所定範囲内に維持されるように前記真空ポンプによる前記凍結乾燥室の排気速度を制御しながら減圧する間で、前記分圧が所定値に変化したときに前記昇華面に核が形成されたと判断し、真空ポンプによる凍結乾燥室内の排気速度を高める工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の凍結乾燥方法。
  3. 真空ポンプが接続される凍結乾燥室と、この凍結乾燥室に連設される、被乾燥物から発生した水蒸気を凝結して捕集するコールドトラップを内蔵した捕集室とを備え、凍結乾燥室内に液状の被乾燥物を充填した容器をセットした後に、凍結乾燥室の大気圧下でこの被乾燥物を凍結させ、凍結乾燥室の減圧下で捕集室内のコールドトラップによって水蒸気を捕集しながらこの凍結した被乾燥物を乾燥させる凍結乾燥装置において、
    凍結乾燥室に、測定ガスの種類による測定指示値の影響を受けない全圧測定可能な第1の真空計と、熱伝導を利用する全圧測定可能な真空計で且つ測定ガスの種類によって測定指示値に差が生ずる第2の真空計とが取り付けられ、真空ポンプによる凍結乾燥室の排気速度を調整する排気速度調整手段と、第1及び第2の両真空計での測定指示値の差分から排気速度調整手段を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする凍結乾燥装置。
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