JP2020158747A - ポリエステル樹脂 - Google Patents

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勝則 小野
文雄 浅井
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Abstract

【課題】突刺強力、ヒートシール性に優れるとともに、高温環境下で長期間使用しても、突刺強力、ヒートシール強力を保持することができるシーラントフィルムを得ることができるポリエステル樹脂の提供。【解決手段】全酸成分の合計量を100mol%としたとき、テレフタル酸を80〜100mol%含有し、全グリコール成分の合計量を100mol%としたとき、1,4−ブタンジオールを10〜90mol%含有し、ガラス転移温度が30〜70℃、結晶融点が165〜210℃、かつ、テトラヒドロフランの含有量が50ppm以下である、ポリエステル樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、シーラントフィルム用途に好適なポリエステル樹脂に関するものである。
従来、食品をはじめ、医薬品、工業製品におよび様々な流通物品に使用されている軟包装の構成は、延伸フィルムを基材フィルムとし、シーラントフィルムとしてヒートシール層を押出し、又は未延伸フィルムをラミネートして得られた積層フィルムである。
シーラントフィルム用に用いる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、ヒートシール強力や材質そのものの強度が高いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂が好ましいとされ、広く使用されている。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラントフィルムは、突刺強力が低いという問題点がある。通常、この突刺強力は、複合化することで、基材フィルムが補っているが、非食品分野、例えば真空断熱材に使用する軟包装としては、断熱材を包装後、内部を真空状態にすることから、シーラントにも突刺強力が求められる場合があり、ポリオレフィン系樹脂では不十分なことがある。また油脂や香料等の有機化合物からなる成分を吸着しやすい欠点があり、このため、医薬品、医薬部外品、化粧品、一般化学物質(洗剤等)の包装に、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層を最内層として使用するのは適さない場合がある。
このような問題を解決するものとして、特許文献1には有機化合物の非吸着性をもったシーラント用途のポリエステル系フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1のポリエステル系フィルムは、熱収縮率が高く、高温環境下に放置すると、シーラントフィルムが収縮することによって元の形状を保てないという問題があった。
特許文献2では、高温環境下でも収縮が少なく、厚み精度、透明性、衛生性に優れたシーラント用途のポリエステル系フィルムが開示されている。しかしながら、このポリエステル系フィルムにおいても100℃を超えるような高温環境下で長期間使用した際に突刺強力、ヒートシール強力を十分に保持することができなかった。
現在、非食品分野において、真空断熱材は、例えば建材や生活家電等の民生用、また、自動車や自販機等の業務産業用など、幅広く需要がある。この真空断熱材は、多孔質構造の芯材をラミネートフィルムで被覆した後、内部を減圧して封止するという工程で製造される。真空断熱材は、このように真空包装するため、シーラントフィルムには、突刺強力が求められる。さらには、断熱材の使用環境から、高温環境下で長期間使用に耐えられる、フィルムの突刺強力と、ヒートシール強力の保持が重要になっている。しかしながら、このような要求に応えることができるシーラントフィルムは未だ提案されていない。
国際公開第2014/175313号 特開2017−165059号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、突刺強力、ヒートシール性に優れるとともに、高温環境下で長期間使用しても、突刺強力、ヒートシール強力を保持することができるシーラントフィルムを得ることが可能となるポリエステル樹脂を提供するものである。
本発明者等は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の組成、特性値を有する共重合ポリエステル樹脂を用いて得られるシーラントフィルムは、上記目的を達成することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)を要旨とするものである
(1)全酸成分の合計量を100mol%としたとき、テレフタル酸を80〜100mol%含有し、全グリコール成分の合計量を100mol%としたとき、1,4−ブタンジオールを10〜90mol%含有し、ガラス転移温度が30〜70℃、結晶融点が165〜210℃、かつ、テトラヒドロフランの含有量が50ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
(2)結晶融点より20℃高い温度で5分保持した後、周波数10Hzで測定したときの動的複素粘性率Gが10〜10Pa・sである、(1)記載のポリエステル樹脂。
本発明のポリエステル樹脂は、特定の組成、特性値を満足するものであるため、低融点でありながら結晶性に優れており、かつフィルムを製造する工程における製膜性に優れるため、本発明のポリエステル樹脂より得られるポリエステルフィルムは、シーラントフィルムとして用いると、突刺強力及びヒートシール性に優れ、高温環境下で長期間使用しても突刺強力及びヒートシール強力を保持することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂は、全酸成分の合計量を100mol%としたとき、テレフタル酸を80〜100mol%含有していることが必要である。テレフタル酸の含有量が80mol%未満では、得られるポリエステル樹脂の結晶性が低下するため、このポリエステル樹脂から得られるフィルムは突刺強力が不十分となる。また、ポリエステル樹脂の充分な乾燥が困難となり、テトラヒドロフランの含有量が多くなり、製膜工程上のトラブルが生じることもある。
本発明のポリエステル樹脂における、テレフタル酸以外の酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。これらの共重合成分は2種以上併用してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂は、全グリコール成分の合計量を100mol%としたとき、1,4−ブタンジオールを10〜90mol%含有していることが必要であり、中でも30〜70mol%含有していることが好ましい。1,4−ブタンジオールの含有量が、10mol%未満、または90mol%を超えると、得られるポリエステル樹脂は結晶融点が高くなるため、該樹脂より得られるポリエステルフィルムは、熱融着させることが困難となりやすく、また、ヒートシール強力が不十分となる。
本発明のポリエステル樹脂における、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコールなどが挙げられる。グリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。また、ヒドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、2,5−ナフタレンジオールなどのフェノール類が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、30℃〜70℃であることが必要であり、中でも40〜60℃であることが好ましい。ポリエステル樹脂のガラス転移温度が30℃未満では、フィルム製造時の製膜性が悪化したり、フィルムを延伸する際にもフィルムの物性が経時で変化しやすく、ロール状で保管するとブロッキングが生じることがある。一方、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が70℃を超えると、常温での貯蔵弾性率が高くなり、得られるポリエステルフィルムは、ヒートシール強力が低下する。
なお、本発明のポリエステル樹脂において、ガラス転移温度を調整するには、ポリエステル樹脂の共重合成分を種々変更することにより可能である。
また、本発明のポリエステル樹脂は、テトラヒドロフランの含有量が50ppm以下であり、中でも30ppm以下であることが好ましい。テトラヒドロフランの含有量が50ppmを超えると、フィルムの製膜時にガスが発生し、得られるフィルムは厚みムラが生じて、突刺強力やシール強力が低下する原因となる。さらには、ガスの発生により生産産が低下したり、製造装置に付着して汚染や腐食を起こすことがある。
本発明においては、後述するような製造方法を採用することにより、ポリエステル樹脂中のテトラヒドロフランの含有量を50ppm以下にすることが可能となる。
また、本発明のポリエステル樹脂は、結晶融点を有するものであり、結晶融点の範囲は、165〜210℃であり、中でも175〜205℃であることが好ましい。
結晶融点が165℃未満であると、得られるポリエステルフィルムは、高温環境下で長期間使用すると、突刺強力、ヒートシール強力を保持することが困難となる。
一方、結晶融点が210℃を超えると、得られるポリエステルフィルムは、ヒートシール処理時の温度を高温とする必要があり、コスト的に不利となる。
さらには、本発明のポリエステル樹脂は、結晶融点より20℃高い温度で5分保持したあと、周波数10Hzで測定したときの動的複素粘性率Gが10〜10Pa・sであることが好ましく、中でも200〜850Pa・sであることが好ましい。
動的複素粘性率は、溶融時のポリマーの柔らかさを表し、この値が大きいほど樹脂は硬く流動しにくく、この値が小さいほど樹脂が柔らかく流動しやすいものとなる。
ポリエステル樹脂の動的複素粘性率が10Pa・s未満では、溶融時に樹脂が流動しやすく、フィルムの製膜性が悪化することがある。また、得られるポリエステルフィルムは、突刺強力に劣るものとなりやすい。
一方、ポリエステル樹脂の動的粘性率が10Pa・sを超える場合は、樹脂の流動性が低すぎるため、押出機に負荷がかかり、製膜が難しい。また、製膜できた場合であっても、得られるポリエステルフィルムは、厚み斑が生じたものとなり、ヒートシール強力に劣るものとなりやすい。
本発明のポリエステル樹脂は、必要に応じて、その特性を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、防腐剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上添加してもよい。これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、本発明のポリエステル樹脂を用いてフィルムを製造する際の工程通過性をよくするため、有機系滑剤や、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機系滑剤を少量添加してもよく、中でもシリカを添加することでフィルム表面にスリップ性を付与することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、従来公知のポリエステルの合成方法によって製造することができるが、ポリエステル樹脂のテトラヒドロフラン含有量、動的複素粘性率を上記したような本発明の範囲内のものとするには、以下に示すような製造方法を採用することにより可能となる。
まず、前記のような酸成分とグリコール成分を原料とし、溶融重合反応と固相重合反応を特定範囲の温度と時間で行うことが重要である。溶融重合反応は、220℃〜245℃の低温で、1〜5時間反応させることが好ましい。溶融重合反応時の温度が高い、または反応時間が長いと、副生するテトラヒドロフランの含有量が増えることがあり好ましくない。
次に、溶融重合反応後のポリエステル樹脂を、結晶融点(溶融重合反応後のポリエステル樹脂より測定する)より20〜100℃低い温度で、5〜15分間乾燥熱処理を行い、結晶化させた後、固相重合反応を行う。
乾燥熱処理工程の後に行う固相重合反応は、減圧下あるいは窒素などの不活性ガス流通下にて、ポリエステル樹脂の結晶融点(溶融重合反応後のポリエステル樹脂より測定する)より10〜30℃低い温度で、1〜5時間反応器内にてポリエステルを反応させることにより行うことが好ましい。
溶融重合反応は、通常、重縮合触媒の存在下で行われ、従来一般にチタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ、コバルト等の金属化合物が用いられるが、中でもチタン化合物が好ましい。
次に、本発明のポリエステル樹脂を用いたポリエステルフィルムについて説明する。本発明におけるポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂を60質量%以上含有していることが好ましく、中でも75質量%以上、さらには90質量%以上含むものであることが好ましい。ポリエステル樹脂の含有量が60質量%未満であると、ヒートシール強力が不十分なシーラントフィルムとなりやすい。
次に、本発明のポリエステル樹脂を(100質量%)用いて、ポリエステルフィルムを製造する方法について説明する。
本発明のポリエステル樹脂を溶融押出機に供給し、溶融押し出しし、冷却ロールなどにより冷却固化させて、未延伸フィルムを製造するか、もしくは、円形ダイより押し出して水冷あるいは空冷により固化させて未延伸フィルムを得る。
次に、テンター式同時2軸延伸法または逐次2軸延伸法あるいはインフレーション法を用いて延伸する。フィルムの機械的特性や厚み均一性などの性能面からはTダイによるフラット式製膜法とテンター延伸法を組み合わせた方法が最も好ましい。延伸後、熱セット温度を120〜180℃、より好ましくは、130〜160℃とすることが望ましい。120℃より低い温度では結晶化温度以下であり、結晶化が進まず、フィルムの収縮率が著しく高くなってしまう。また、フィルムの突刺強力も十分得られないため好ましくない。また180℃を超えると、結晶融点に近くフィルムが溶断するなど製造工程のトラブルも起こるため好ましくない。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例における、ポリエステル樹脂、ポリエステルフィルムの特性値の測定や評価は次の通りに行った。
A.ポリエステル樹脂の組成
日本電子社製ECZ400R型NMR装置にて、H−NMRを測定し、得られたチャートの各共重合成分のプロトンのピーク積分強度比から求めた。
B.ガラス転移温度(Tg)・結晶融点(Tm)
得られたポリエステル樹脂を、パーキンエルマー社製、示差走査熱量計(Diamond DSC)を用いて、昇温速度20℃/minで測定した。
なお、溶融重合反応後のポリエステル樹脂の融点についても、上記と同様にして測定した。
C.テトラヒドロフランの測定
ポリエステル樹脂を0.5g採取し、ヘッドスペース中で125℃30分間加熱した後、発生したガスを、ヘッドスペース−ガスクロマトグラフ−質量分析計(Agilent Technologies社製、6890/5973N)にて測定し、試料の重量に対して発生ガスの重量をppmで示した。
D.動的複素粘性率(G
得られたポリエステル樹脂を、結晶融点より20℃高い温度で5分間保持した後、ユービーエム社製、レオメーター(RheosolG−5000)を用いて、歪み0.1%、周波数10Hz、降温速度2℃/min、温度範囲:100〜240℃で測定した。
なお、結晶融点を有していないポリエステル樹脂においては、200℃で5分保持した後、測定を行った。
E.突刺強力(N/μm)
得られたポリエステルフィルムを、引張試験機AG−IR(島津製作所社製)により、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を用いて、試験速度100mm/min、23℃×50%RH条件にて、突刺強力を測定し、各厚みで割ることにより、1μmあたりの突刺強力(N/μm)を得た。
F.150℃×1週間後の突刺強力
得られたポリエステルフィルムを、熱風乾燥機FC−62(東洋精機製作所製)を用いて150℃条件で1週間保管後、F.と同様の方法により突刺強力を測定し、1μmあたりの突刺強力(N/μm)を得た。
G.ヒートシール強力
[積層サンプル作製]
まず、ナイロンフィルム〔ユニチカ社製ON−25(厚み25μm)〕にドライラミネート用エステル系接着剤(DIC株式会社製ディックドライ LX−401A/SP−60)を塗布量が4g/mとなるように塗布し、80℃で10秒間乾燥した。その接着剤塗布面に、ポリエステルフィルム〔ユニチカ社製PET−12(厚み12μm)〕を貼り合わせ、巻き取った。次にこの積層体のナイロンフィルム側に同種の接着剤を同様の条件で塗布し、得られたポリエステルフィルムを貼り合わせ、40℃、2日間養生して接着剤層を硬化させ、「PET−12/ON−25/得られたポリエステルフィルム(シーラントフィルム)」の順に積層された積層サンプルを得た。
[ヒートシール方法]
得られた積層サンプルを2枚用意し、シーラントフィルム面同士をヒートシールテスター(TP−701G;テスター産業社製)にて、シール温度200℃、シールバー圧力1kg/cm、シール時間2秒の条件で熱融着させ、ヒートシールサンプルを得た。
[測定方法]
ヒートシールサンプル作成後、23℃×50%RH条件にて24時間放置した後、JIS Z 0238に従って、得られたヒートシールサンプルを15mm幅の試験片に切り出し、ヒートシール部を中央にして180°に開き、チャック間距離を50mmとして、引張試験機AG−IR(島津製作所社製)に取り付けた。そして23℃×50%RH条件にて、ヒートシール部が破断するまで引張荷重を加え、その間の最大荷重を求めてヒートシール強力とした。
H.150℃×1週間後のヒートシール強力
G.と同様に積層サンプルを得、ヒートシールサンプルを得た後、ヒートシールサンプルを熱風乾燥機FC−62(東洋精機製作所社製)を用いて、150℃条件で1週間保管後、G.と同様の測定方法により、ヒートシール強力を測定した。
実施例1
ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及びそのポリエステル低重合体の存在するエステル化反応缶にテレフタル酸(以下、TPA)とエチレングリコール(以下、EG)のEG/TPAのモル比1.5としたスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、反応率95%のエステル化反応物(以下、PETオリゴマー)を連続的に得た。
このPETオリゴマー1657.2質量部を重縮合反応缶に移送し、1,4−ブタンジオールを、反応缶内容物の温度が180〜200℃になるように調整しながら482.9質量部添加した。次いで、重縮合触媒としてテトラブチルチタネートを1.1質量部添加した。添加が終了してから、10分間攪拌した後、反応缶内の温度を240℃に昇温しつつ、圧力を徐々に減じて90分後に1.2hPa以下にした。この条件下で攪拌しながら重縮合反応(溶融重合反応)を2時間行い、ポリエステル樹脂を得た(結晶融点は180℃であった)。次に、得られたポリエステル樹脂を結晶化装置に連続的に供給し、140℃で10分間、乾燥熱処理を行い、結晶化をさせた後、固相重合機へ供給した。次に、窒素ガス下にて固相重合反応を160℃で2時間行い、複素粘性率が660Pa・sのポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂を温度200℃で溶融し、Tダイからシート状に押し出し、表面温度20℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ250μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機に供給し、予熱温度60℃、延伸温度70℃、延伸速度20m/minの条件にてMD方向に3倍、TD方向に3.3倍の延伸倍率で同時二軸延伸し、140℃熱セット後、冷却して巻き取り、厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例2〜13、比較例1〜10
ポリエステル樹脂を構成する酸成分とジオール成分を表1に示すものとなるように変更し、また、溶融重合反応と固相重合反応の温度と時間を表1に示す時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
その後、シート状に押し出す前の温度を、各樹脂の融点より20℃高い温度とした以外は、実施例1と同様にして未延伸シートを得た。次に、予熱温度を各樹脂のTgより10℃高い温度とし、延伸温度を各樹脂のTgより20℃高い温度とした以外は実施例1と同様にして同時二軸延伸を行い、厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜13、比較例1〜10で得られたポリエステル樹脂の組成と特性値、得られたポリエステルフィルムの突刺強力、ヒートシール強力を表1に示す。
Figure 2020158747
表1から明らかなように、実施例1〜13で得られたポリエステル樹脂は、本発明で規定する特性値を満足するものであったため、これらのポリエステル樹脂より得られたシーラントフィルムは、テトラヒドロフランの発生による生産性や製造工程への影響が小さく、常温、高温環境下においても突刺強力、ヒートシール強力ともに優れていた。
一方、比較例1のポリエステル樹脂は、TPAの含有量が80mol%未満であったため、結晶性が低下した。このため、得られたポリエステルフィルムは、常温、高温雰囲気下ともに突刺強力が低いものとなった。
比較例2のポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールの含有量が90mol%を超えるため、また、比較例3のポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールの含有量が10mol%未満であるため、ともに結晶融点が高かった。このため、得られたポリエステルフィルムは、200℃条件でのヒートシールが十分に行えず、ヒートシール強力に劣るものであった。
比較例4のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が70℃を超えていたため、得られたポリエステルフィルムは、200℃条件でのヒートシールが十分に行えず、ヒートシール強力に劣るものであった。比較例5のポリエステル樹脂は、ガラス転移温度が30℃未満であるため、フィルムの製膜時にトラブルが多発した。延伸することができたフィルムは、経時で物性変化が生じ、ロール状で保管するとブロッキングが生じた。ただし、延伸直後の物性は、突刺強力、ヒートシール強力ともに十分なものであった。比較例6は、融点が165℃未満であるため、得られるポリエステルフィルムは、高温で保管すると、突刺強力とヒートシール強力が大きく低下した。
比較例7、9は、固相重合反応を行わなかったため、得られたポリエステル樹脂は、THFの含有量が50ppmを超えるものであった。このため、これらのポリエステル樹脂より得られたポリエステルフィルムは、突刺強力、ヒートシール強力ともに劣っていた。また、製膜時にガスが発生し、生産性にも劣るものであった。比較例8、10は、溶融重合反応時と固相重合反応時の反応温度が適切でなかったため、得られたポリエステル樹脂は、THFの含有量が50ppmを超えるものであった。このため、これらのポリエステル樹脂より得られたポリエステルフィルムは、突刺強力、ヒートシール強力ともに劣っていた。また、製膜時にガスが発生し、生産性にも劣るものであった。

Claims (2)

  1. 全酸成分の合計量を100mol%としたとき、テレフタル酸を80〜100mol%含有し、全グリコール成分の合計量を100mol%としたとき、1,4−ブタンジオールを10〜90mol%含有し、ガラス転移温度が30〜70℃、結晶融点が165〜210℃、かつ、テトラヒドロフランの含有量が50ppm以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
  2. 結晶融点より20℃高い温度で5分保持した後、周波数10Hzで測定したときの動的複素粘性率Gが10〜10Pa・sである、請求項1記載のポリエステル樹脂。
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