JP2020155223A - リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、及びリチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、及びリチウムイオン二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高レート特性を向上させることが可能なリチウムイオン二次電池用正極材料を提供する。【解決手段】 リチウムイオン二次電池用正極材料であって、粒子状である正極活物質;結着剤;及び表面に平均孔径1μm以上5μm以下である複数の孔を有する酸化グラフェンと、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブとを含む導電助剤;を含み、導電助剤は、当該リチウムイオン二次電池用正極材料の総量に対して、複数の孔を有する酸化グラフェンを0.4質量%以上5.0質量%以下、及びカーボンナノチューブを0.2質量%以上1.0質量%以下含み、正極活物質及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数のカーボンナノチューブが互いに接触して担持されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極材料。【選択図】 図3

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、及びリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、現在実用化されている二次電池において、最も高いエネルギー密度を有する高性能二次電池であり、携帯電話やノート型パーソナルコンピュータのような携帯電子機器、電気自動車等の電源として搭載されている。リチウムイオン二次電池は、これらの電源として高容量化、高性能化、高安全性、長寿命化等が求められている。
このようなリチウムイオン二次電池は、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させて充放電を行なう。正極は、例えば、正極活物質、導電助剤、及び結着剤を含む正極層と、正極層を担持する正極集電体を備える。正極活物質としては、現在、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムを含む金属酸化物又は金属リン酸化物が実用化され、又は商品化を目指して開発が進められている。負極は、例えば、負極活物質、導電助剤、及び結着剤を含む負極層と、負極層を担持する負極集電体を備える。負極活物質としては、グラファイト等の炭素材料や、リチウムチタン酸化物(LiTi12)が用いられている。正極集電体及び負極集電体には、一般的に、それぞれアルミニウム箔及び銅箔が用いられている。
前記リチウムイオン二次電池は、更に正極と負極の間にセパレータが介在されている。セパレータは、一般的にポリオレフィンからなる微孔性薄膜が使用されている。正極、負極及びセパレータを含む極板群は、電池容器内に非水電解質とともに収納されている。非水電解質は、非水溶媒にリチウム塩等の電解質を溶解した非水電解液が一般的に使用されている。その他の非水電解質としては、ゲル状電解液又は固体電解質も注目されている。
このようなリチウムイオン二次電池は、近年、体積エネルギー密度を増加させるため、正極層に含まれる導電助剤や結着剤の割合を減少させ、正極活物質の割合を増加させることが検討されている。しかしながら、正極層に含まれる導電助剤の割合を減少させると、リチウム二次電池から大きな電流を取り出すこと、すなわち高レート特性が劣化するという問題がある。
このような問題を解決するため、少ない添加量で正極層に高い導電性を与えることができる新規のリチウムイオン二次電池用導電助剤として、グラフェン−カーボンナノチューブ複合材料が検討されている(特許文献1〜2)。
グラフェンとは、SP2結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ層状構造を有するシート状の物質である。カーボンナノチューブ(CNT)とは、グラフェンシートを、例えば直径0.4nm〜50nm程度の管状とした物質である。カーボンナノチューブは、単層のグラフェンシートからなる単層カーボンナノチューブ、及び同軸管状の多層のグラフェンシートからなる多層カーボンナノチューブがある。
グラフェン及びカーボンナノチューブは、高熱的・化学的安定性、高強度、高導電性、高熱伝導性、高比表面積等の優れた特性を有するため、単体でも優れた導電助剤として機能することができる。一方、グラフェン及びカーボンナノチューブは、比表面積が大きく、表面エネルギーが高いため、そのまま正極層に導電助剤として用いると、当該グラフェン及びカーボンナノチューブ同士が凝集するという問題がある。導電助剤の凝集は、導電助剤が正極層全体に均一に分散している場合と比較して十分な導電性を正極層に付与することができない。
特許文献1には、グラフェン誘導体の凝集と積層形成を同時に防ぐことのできる、グラフェン誘導体とカーボンナノチューブ複合体の作製方法が記載されている。この作製方法は、グラフェン誘導体とカーボンナノチューブをアルコール分散剤に加え、120〜150分間、超音波分散を行った後、真空乾燥箱中において、50℃〜80℃の温度で48時間〜56時間放置し、室温に冷却することで、グラフェン誘導体−カーボンナノチューブ複合材料を得ている。
特許文献2には、電気二重層キャパシタとしてのキャパシタ特性を更に向上させることのできる、グラフェンとカーボンナノチューブの積層体を製造する方法が記載されている。具体的には、MOH溶液にグラフェンを分散し、グラフェンにMOHを吸着させた後、当該グラフェンを、不活性雰囲気中、400℃以上900℃以下の温度範囲で加熱し、当該グラフェンに細孔径が10nm以下の細孔を形成する。次いで、当該細孔を有するグラフェン及びカーボンナノチューブを分散媒に分散させ、グラフェンとカーボンナノチューブとを積層させることで、グラフェンとカーボンナノチューブの積層体を得ている。
特表2014−505650号公報 国際公開第2017/163464号
特許文献1及び特許文献2に開示されるグラフェン−カーボンナノチューブ複合材料は、導電助剤として正極活物質と共に正極層に含有されて正極を構成することができる。しかしながら、このような正極を備えたリチウムイオン二次電池は、十分な高レート特性を得ることができない問題があった。すなわち、当該リチウムイオン二次電池を大電流(例えば、30C)にて充放電を行った場合、著しく放電容量が劣化する。
また、特許文献1に開示されるグラフェン誘導体−カーボンナノチューブ複合材料の作製方法では、合成に多くの工程と、時間を要するため、作製が煩雑である。特許文献2に開示されるグラフェンとカーボンナノチューブの積層体の製造方法では、合成においてグラフェンにMOHを吸着させ、400℃以上900℃以下の高温で加熱処理を行う等、作製が煩雑である上、高温加熱処理が必要である。
従って、本発明は上記課題を解決し、高レート特性を向上させることが可能なリチウムイオン二次電池用正極材料を提供するものである。
更に、本発明は上記課題を解決し、上述したリチウムイオン二次電池用正極材料を含む正極を備えるリチウムイオン二次電池を提供するものである。
また、本発明は前記課題を解決し、煩雑な工程を経ずにできるリチウムイオン二次電池用正極材料の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は前記課題を解決し、煩雑な工程を経ずにできるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明によると、リチウムイオン二次電池用正極材料は粒子状である正極活物質、及び表面に平均孔径1μm以上5μm以下である複数の孔を有する酸化グラフェンと、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブとを含む導電助剤、を含む。導電助剤は、当該正極材料の総量に対して、複数の孔を有する酸化グラフェンを0.4質量%以上5.0質量%以下、及びカーボンナノチューブを0.2質量%以上1.0質量%以下含む。正極活物質及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数のカーボンナノチューブが互いに接触して担持されている。
また、本発明によると、上述したリチウムイオン二次電池用正極材料を含む正極、負極、セパレータ及び非水電解質を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池が提供される。
また、本発明によると、酸化グラフェンの分散液を湿式ボールミル処理し、酸化グラフェンを表面に平均孔径1μm以上5μm以下の複数の孔を有する酸化グラフェンに変換する工程と、湿式ボールミル処理した酸化グラフェンの分散液を凍結乾燥する工程と、正極活物質、結着剤、複数の孔を有する酸化グラフェン、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブ、及び溶剤を混合し、正極スラリーを調製する工程と、正極スラリーを正極集電体の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥して正極層を形成する工程と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法が提供される。
更に、本発明によると、上述したリチウムイオン二次電池用正極の製造方法で作製された正極、負極、セパレータ及び非水電解質を使用して、リチウムイオン二次電池を組み立てる工程と、リチウムイオン二次電池を、初回放電して、正極層中の複数の孔を有する酸化グラフェンの一部を還元処理する工程と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。
本発明によれば、高レート特性を向上させることが可能なリチウムイオン二次電池用正極材料を提供できる。
また、本発明によれば、上述したリチウムイオン二次電池用正極材料を含む正極を備えるリチウムイオン二次電池を提供できる。
更に、本発明によれば、煩雑な工程を経ずにできるリチウムイオン二次電池用正極材料の製造方法を提供できる。
更に、本発明によれば、煩雑な工程を経ずにできるリチウムイオン二次電池の製造方法を提供できる。
図1は、酸化グラフェンの走査型電子顕微鏡写真である。 図2は、本発明に係る正極材料が含む複数の孔を有する酸化グラフェンの走査型電子顕微鏡写真である。 図3は、実施形態に係るコイン型のリチウムイオン二次電池の一例を示す断面図である。 図4は、本発明に係る正極材料の一部を示す走査型電子顕微鏡写真である。 図5は、図4の一部を拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 図6は、正極10が含む正極材料の一部を示す走査型電子顕微鏡写真である。 図7は、実施例1、比較例2及び比較例3の試作電池のインピーダンス測定の結果を示すCole−Cole−プロット図である。 図8は、比較例1の試作電池のインピーダンス測定の結果を示すCole−Cole−プロット図である。
以下、実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料を詳細に説明する。
<正極材料>
実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極材料は、粒子状である正極活物質、及び表面に平均孔径1μm以上5μm以下である複数の孔を有する酸化グラフェンと、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブとを含む導電助剤、を含む。
正極活物質及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、平均長さ1μm以上の複数のカーボンナノチューブが互いに接触して担持されている。より具体的には、当該正極材料中には、粒子状である正極活物質と、複数の孔を有する酸化グラフェンと、カーボンナノチューブとが全体的に分散されている。そのため、複数の正極活物質の粒子の表面上には、複数の孔を有する酸化グラフェン及びカーボンナノチューブがそれぞれ接触している。更に、複数の正極活物質の粒子及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数のカーボンナノチューブが覆い、互いに接触して絡み合ってネットワークを形成している。
前述した粒子状の正極活物質、及び特定の平均孔径の孔を複数有する酸化グラフェンと特定の長さを有するカーボンナノチューブとを含む導電助剤、を含む正極材料を正極集電体の少なくとも一方の面に正極層として形成し、正極を作製すると、当該カーボンナノチューブは、隣接する他のカーボンナノチューブ、酸化グラフェン及び正極活物質と相互に電気的に接続する。すなわち、当該カーボンナノチューブは、正極層内及び正極集電体との界面において酸化グラフェン及び正極活物質と相互に電気的に接続する電子伝導性の高い導電ネットワークを形成することができる。その結果、当該導電ネットワークによって、正極層内の正極活物質間の電子伝導性及び正極活物質と正極集電体の間の電子伝導性(導電性)を高めることができるため、当該正極を備えたリチウムイオン二次電池の高レート特性を向上することができる。
カーボンナノチューブは、平均長さ1μm以上と長いため、1本でより広い領域に導電ネットワークを形成できる。その結果、当該カーボンナノチューブによれば、少ない添加量でも、導電ネットワークを十分に形成することができ、正極層に高い導電性を付与することができる。一方、カーボンナノチューブの平均長さが1μm未満であると、1本で電気的に接続できる領域が狭いため、少ない添加量では導電ネットワークを十分に形成できず、正極層に十分な導電性を付与することができない。
なお、単層カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブと比較して、導電性が高く、より好ましい。
導電助剤の一つ目の成分であるカーボンナノチューブは、当該リチウムイオン二次電池用正極材料の総量に対して、0.2質量%以上1.0質量%以下含む。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブの場合、0.2質量%以上0.4質量%未満含むことが好ましい。カーボンナノチューブが0.2質量%未満であると、前記導電ネットワークを正極層に十分に形成できず、正極層内の正極活物質間、及び正極活物質と正極集電体の間に高い導電性を付与することができない。なお、上記「0.2質量%未満」は、0質量%を含む。一方、カーボンナノチューブが1.0質量%を超えると、カーボンナノチューブが凝集しやすくなる。
いくつかの実施形態において、単層カーボンナノチューブは、例えば、直径1nm〜2nmを有する。多層カーボンナノチューブは、例えば、直径5nm〜11nmを有する。カーボンナノチューブの平均長さは、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは5μm以上10μm以下である。カーボンナノチューブの平均長さが1μm未満であると、カーボンナノチューブ同士の導電ネットワークを形成しにくい。
酸化グラフェンは、その表面にカルボニル基、水酸基、及びカルボキシル基等の官能基を有するグラフェンである。酸化グラフェンは、例えば、酸素含有率が20原子%以上50原子%以下であり、好ましくは酸素含有率が20原子%以上40原子%以下である。酸化グラフェンは、上記官能基を有しないグラフェンと比較して、リチウムイオン二次電池の非水溶媒との親和性が高い。そのため、正極集電体に正極材料からなる正極層を形成した場合、酸化グラフェンは、正極層内に多くの非水電解液を含浸させることができ、正極活物質と非水電解液との接触面積を向上させることができる。また、当該酸化グラフェンは、上述するように特定の孔径の複数の孔を有するため、表面積が大きく、複数の孔を有しない酸化グラフェンと比較して正極層内により多くの非水電解液を含侵させることができる。
また、複数の孔を有する酸化グラフェンでは、正極集電体に正極材料からなる正極層を形成して正極とした場合、正極層内に含侵された非水電解液中のリチウムイオンが、当該複数の孔を通じて容易に移動できる。そのため、当該複数の孔を有する酸化グラフェンによれば、正極層内をリチウムイオンが拡散する移動経路を確保でき、正極活物質の表面上におけるリチウムイオンの挿入・脱離反応を円滑に行うことができる。従って、当該正極を備えたリチウムイオン二次電池の高レート特性を向上することができる。
酸化グラフェンが有する複数の孔の平均孔径が1μm未満であると、大電流で充放電を行った場合、正極層内のリチウムイオンの拡散移動経路を十分に確保できないため、リチウムイオン二次電池の高レート特性を向上させることが困難になる。一方、酸化グラフェンが有する複数の孔の平均孔径が5μmを超えると、製造が困難であると共に、酸化グラフェンの強度が低下し微粉化して凝集する虞がある。また、酸化グラフェンが有する複数の孔の平均孔径が5μmを超えると、酸化グラフェンの表面積が相対的に小さくなるため、正極層内に含侵される非水電解液の量が低下し、正極活物質と非水電解液との接触面積が低下する虞がある。なお、酸化グラフェンが有する複数の孔の平均孔径は、Micromeritics Instrument Corporation製のAutoPore(登録商標) IVにより水銀圧入法という方法で測定することができる。
導電助剤の二つ目の成分である複数の孔を有する酸化グラフェンは、当該リチウムイオン二次電池用正極材料の総量に対して、0.4質量%以上5.0質量%以下含む。酸化グラフェンが0.4質量%未満であると、正極層に含侵される非水電解液の量が低下し、正極層内の正極活物質の利用率が低下する虞がある。なお、上記「0.4質量%未満」は、0質量%を含む。一方、酸化グラフェンの量が5質量%を超えると、正極層に占める正極活物質の割合が相対的に少なくなるため、リチウムイオン二次電池の放電容量が低下する虞がある。なお、後述する実施形態に係る充放電方法において、初回放電以降の充放電では正極活物質のみが放電に関与するため、正極活物質の割合の減少はリチウムイオン二次電池の放電容量の低下をもたらす。
いくつかの実施形態において、複数の孔を有する酸化グラフェンは、一部還元処理されたものであることが好ましい。一部還元された複数の孔を有する酸化グラフェンとは、例えば、酸素含有率が20原子%以上40原子%以下の酸化グラフェンである。一部還元された酸化グラフェンは、還元される前と比較して高い電子伝導性を有するようになる。そのため、一部還元された複数の孔を有する酸化グラフェンは、カーボンナノチューブと共に形成される導電ネットワークの電子伝導性(導電性)を向上することができる。その結果、当該導電ネットワークによって、リチウムイオン二次電池の高レート特性を更に向上することができる。一方、複数の孔を有する酸化グラフェンが完全に還元されている場合、正極層における非水電解液の含浸が少なる虞があるため好ましくない。なお、カーボンナノチューブにより正極層内等に導電ネットワークを形成しているため、複数の孔を有する酸化グラフェンの一部還元は、必須の要件ではない。
いくつかの実施形態において、複数の孔を有する酸化グラフェンは、1μm以上50μm以下の長さ、1μm以上50μm以下の幅を有するシート状であることが好ましい。複数の孔を有する酸化グラフェンは、より好ましくは、5μm以上20μm以下の長さ、5μm以上20μm以下の幅を有する。酸化グラフェンは、SP2結合で結合した炭素原子が平面的に並んだ層状構造を有する。そのため、正極集電体に正極材料からなる正極層を形成した場合、上述するような寸法を有する酸化グラフェンは、隣接する他の酸化グラフェン、及び他の正極材料を構成する物質と容易に結合できる。そのため、上述するように当該酸化グラフェンが一部還元され、カーボンナノチューブと共に形成された導電ネットワークの電子伝導性(導電性)を向上できる。
以上より、上述する構成によれば、正極層内における、電子伝導性とイオン導電性との両方を促進できる導電ネットワークを形成することができるため、高レート特性を向上させることが可能なリチウムイオン二次電池用正極材料を提供することができる。
また、上述構成のリチウム二次電池用の正極材料によれば、少ない添加量で正極層に高い導電性を与えることができる導電助剤を含むため、正極層に占める正極活物質の割合を相対的に多くすることが可能になり、結果として当該リチウムイオン二次電池の高容量化が可能になる。
正極活物質は、それぞれリチウムを吸蔵及び放出することが可能なリチウム含有化合物の粒子である。リチウム含有化合物は、リチウム含有金属酸化物又はリチウム含有金属リン化合物等のリチウムイオン二次電池の正極活物質として一般的に用いられる化合物であれば特に限定されない。
いくつかの実施形態において、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウムコバルト複合酸化物、マンガン酸リチウム(LiMnO、LiMn)等のリチウムマンガン複合酸化物、ニッケル酸リチウム(LiNiO)等のリチウムニッケル複合酸化物、コバルト鉄酸リチウム(LiCo0.5Fe0.5)等のリチウムコバルト鉄複合酸化物、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li(NiCoMn1−x−y)O(0<x<1、0<y<1))等のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リン酸マンガン鉄リチウム(LiMnFe1−xPO)(0<x<1)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウム鉄リン複合酸化物、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、及びリン酸マンガンリチウム(LiMnPO)の群から選ばれる少なくとも1つのリチウム含有化合物の粒子である。
いくつかの実施形態において、正極活物質の平均一次粒径は、50nm〜1000nm、平均二次粒径は5μm〜20μmであることが好ましい。正極活物質の平均一次粒径は、100nm〜500nm、平均二次粒径は10μm〜15μmであることが更に好ましい。正極活物質の平均一次粒径が1000nm、及び平均二次粒径が20μmを超えると、正極活物質の表面積が相対的に小さくなり、正極活物質と非水電解液との接触面積が低下して、正極活物質に対するリチウムイオンの挿入・脱離反応を阻害する虞がある。一方、正極活物質の平均一次粒径が50nm未満であると、当該粒径が50nm未満のリチウム含有化合物の粒子の合成、製造が難しく入手が困難である。また、正極活物質の平均二次粒径が5μm未満であると、リチウム含有化合物の粒子のタップ密度が低下し、電極作製時のプレス密度が上がりにくい。なお、正極活物質の平均粒径は、例えば、大塚電子株式会社製のゼータ電位・粒径・分子量測定システムにより動的光散乱法という方法で測定することができる。
いくつかの実施形態において、正極活物質は、表面上に、更にカーボンコート層を有する上記リチウム含有化合物の粒子であることが好ましい。一般的に、正極活物質のリチウム含有化合物の粒子の内部は、電子伝導性が低いものが多い。そのため、リチウム含有化合物の粒子の表面上にカーボンコート層を形成することで、正極集電体と正極材料との間、及び正極材料を構成する物質同士を電気的に接続することができ、正極材料内の導電性を更に向上させることができる。また、表面上にカーボンコート層を有する正極活物質は、これら導電助剤と物理的・電気的に強固に接合することができるため、導電助剤との間の電子伝導性を更に向上できる。なお、正極活物質の表面上にカーボンコート層を形成することは、リチウム含有化合物の粒子がリチウム鉄リン複合酸化物等の電子伝導性が低いものである場合、特に効果的である。なお、表面上にカーボンコート層を有する正極活物質は、市販のもの使用してもよく、リチウム含有化合物の粒子をグルコース、フルクトース等の有機化合物で被覆した後、高温で熱処理して炭化して形成してもよい。
いくつかの実施形態において、カーボンコート層は、正極材料の総量に対して0.5質量%以上5.0質量%以下の割合で含まれることが好ましい。カーボンコート層が0.5質量%未満であると、上述した効果が発現し難い、又はしない虞がある。一方、上記「0.5質量%未満」は、0質量%を含む。一方、カーボンコート層が5.0質量%を超えると、正極層に占めるリチウム含有化合物の割合が相対的に少なくなるため、リチウムイオン二次電池の放電容量が低下する虞がある。
いくつかの実施形態において、正極材料は、更に結着剤を含んでいてもよい。結着剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル樹脂等である。いくつかの実施形態において、結着剤は、正極材料の総量に対して1.5質量%以上10.0質量%以下の割合で含まれることが好ましい。結着剤が1.5%未満であると、正極集電体に正極層を形成し、当該正極層に正極材料を配合した場合、当該正極層の成形性が低下し、クラックが発生しやすくなる虞がある。なお、上記「1.5質量%未満」は、0質量%を含む。一方、結着剤が10.0質量%を超えると、正極層に占めるリチウム含有化合物の割合が相対的に少なくなるため、リチウムイオン二次電池の放電容量が低下する虞がある。
いくつかの実施形態において、正極材料は、更に複数の孔を有する酸化グラフェン及びカーボンナノチューブ以外の他の導電助剤を含んでもよい。当該他の導電助剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。導電助剤は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、炭素繊維、活性炭、黒鉛等である。
<リチウム二次電池用正極の製造方法>
以下、実施形態に係る正極材料を含むリチウム二次電池用正極の製造方法を、以下に説明する。
まず、酸化グラフェンの分散液を準備する(工程S1)。分散液は、市販の酸化グラフェンを水に分散した分散液、又は下記酸化法により得られた酸化グラフェンを水に分散した分散液を用いることができる。当該分散液は、例えば、酸化グラフェン6mgを水に分散させ100mlとしたものである。従って、酸化グラフェンは、例えば、市販の酸化グラフェンであってもよく、出発原料としてグラファイト粉末を用いて、例えばHummers法のような酸化法により製造した酸化グラフェンであってもよい。酸化グラフェンは、例えば、長さが1μm以上50μm以下、幅が1μm以上50μm以下の寸法のシート状を有する。この酸化グラフェンは、例えば、酸素含有率が20原子%以上50原子%以下である。
次に、当該分散液を、粉砕媒体(ボール)と共にボールミル装置に投入し湿式ボールミル処理する(工程S2)。ボールミル装置としては、例えば、フリッチュ社製、製品名P−6を使用できる。粉砕媒体(ボール)としては、例えば、直径100μmのジルコニアボール130gを使用できる。湿式ボールミル処理としては、例えば、回転速度400rpmにて、10〜30分間(例えば、20分間)ボールミル装置を作動させて行うことができる。この際、酸化グラフェンは、粉砕媒体(ボール)によって打ち叩かれ、表面に平均孔径1μm以上5μm以下の複数の孔を有する酸化グラフェンに変換される。湿式ボールミル処理後は、当該分散液を篩にかけ、粉砕媒体(ボール)を分離する。なお、複数の孔を有する酸化グラフェンの平均孔径は、湿式ボールミル処理における、粉砕媒体(ボール)の直径、回転速度、処理時間を調節することで調整することができる。
次に、湿式ボールミル処理した酸化グラフェンの分散液を、凍結乾燥する(工程S3)。この凍結乾燥によって、分散媒体(水)から、複数の孔を有する酸化グラフェンを分離する。凍結乾燥は、例えば、真空下、−101℃で行うことができる。このとき、凍結乾燥によって乾燥することで、酸化グラフェンを凝集させず、高い分散性を有したまま乾燥させることができる。
次に、正極活物質、結着剤、工程S1〜S3で得られた複数の孔を有する酸化グラフェン、平均長さ1μm以上のカーボンナノチューブ、及び溶剤を混合し、正極スラリーを調製する(工程S4)。ここで、当該複数の孔を有する酸化グラフェン及び当該カーボンナノチューブは、当該リチウムイオン二次電池用正極材料の総量に対して、それぞれ0.4質量%以上5.0質量%以下及び0.2質量%以上1.0質量%以下混合するものとする。
正極スラリーの調製に用いる溶剤は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。溶剤は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等である。なお、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いる場合には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤に用いることが好ましい。
次に、当該正極スラリーを、例えば、正極集電体に塗布し、乾燥する(工程S5)。ここで、正極集電体の一方又は両方の面に正極スラリーを塗布した後、例えば真空下、80℃で乾燥して正極層を形成することでリチウムイオン二次電池用正極を作製する。
作製された正極層は、粒子状である正極活物質、及び表面に平均孔径1μm以上5μm以下である複数の孔を有する酸化グラフェンと、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブとを含む導電助剤を含む、正極材料からなる。導電助剤は、当該正極材料の総量に対して、複数の孔を有する酸化グラフェンを0.4質量%以上5.0質量%以下、及びカーボンナノチューブを0.2質量%以上1.0質量%以下含む。正極活物質及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数のカーボンナノチューブが互いに接触して担持されている。
ここで図1は、上記工程S1〜S3を経る前の酸化グラフェンの走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と呼ぶ)写真を示し、図2は、上記工程S1〜S3を経て得られた複数の孔8を有する酸化グラフェンのSEM写真を示す。SEMとしては、JEOL社製の型番JSM−7500を使用した。図2に示す結果より、工程S1〜S3を経て得られた酸化グラフェンは、図1に示す結果と比較して、点線で囲み示した領域に複数の孔8を有することがわかる。
このような実施形態の方法によれば、正極材料中に正極活物質及び導電材料が凝集せず、全体的に分散されている正極層を有するリチウムイオン二次電池用正極を得ることができる。上記工程S4の正極スラリーの調製の際、酸化グラフェンは、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のような極性溶媒中において、当該酸化グラフェン中の酸素(例えば、グラフェンに結合している酸素原子を含む官能基)がマイナスに帯電するため、当該酸化グラフェン同士が互いに反発して分散する。すなわち、前記酸化グラフェンは、極性溶媒中において凝集し難く、高い分散性を示す。このような酸化グラフェンを含む溶剤(溶媒)に正極活物質等と共に添加して正極スラリーを調製後、乾燥することで、酸化グラフェンが良好に分散した正極材料を得ることができる。
このような実施形態の方法によれば、酸化グラフェンの分散液を出発原料とし、これを湿式ボールミル処理し、凍結乾燥することで複数の孔を有する酸化グラフェンを生成でき、当該酸化グラフェンと、他の正極材料の構成材料を溶剤に混合させ正極スラリーを調製し、乾燥することで、電子伝導性に優れた導電ネットワークを有する正極材料を含むリチウムイオン二次電池用正極を製造することができる。その結果、実施形態の方法は、上述する特許文献1又は特許文献2に記載されるような、煩雑な工程を経ずに正極材料を製造することができる。
なお、いくつかの実施形態において、正極材料中の複数の孔を有する酸化グラフェンは、当該正極材料によって構成される正極層を備えるリチウムイオン二次電池を実際に使用する前に、一部還元することが好ましい。正極材料に含まれる酸化グラフェンは、一部還元されると、還元される前と比較して高い電子伝導性を有するようになるため、カーボンナノチューブともに電子伝導を促進し、導電ネットワークの形成に寄与することができる。一部還元された酸化グラフェンは、例えば、酸素含有率が20原子%以上40原子%以下である。
当該酸化グラフェンを一部還元する方法としては、1つ目には、上記工程S3にて得られた複数の孔を有する酸化グラフェンを、150℃〜250℃(例えば、200℃)の高温で12時間〜48時間(例えば、24時間)真空乾燥することで一部還元処理した後、工程S4にて正極材料を作製する方法が挙げられる。当該酸化グラフェンを一部還元する方法としては、2つ目には、当該正極材料を含む正極を有するリチウムイオン二次電池を組立て後、実際に二次電池として使用する前に、後述する初回放電を行うことで電気化学的に酸化グラフェンの一部をグラフェンに還元する方法が挙げられる。この初回充電の詳しい方法については、後述する。なお、上記酸化グラフェンの一部還元する方法のうち、1つ目の高温で真空乾燥する方法よりも、2つ目の初回放電を行う方法がより好ましい。高温での真空乾燥によって、酸化グラフェンを真空乾燥する方法では、工程S4の正極スラリーの調製する工程にて、酸化グラフェンが還元されているため、酸化グラフェンの一部が凝集する虞がある。なお、当該酸化グラフェンを一部還元する方法は、1つ目及び2つ目の方法を組み合わせて使用してもよく、他の公知の還元する方法を組み合わせてもよい。
<リチウムイオン二次電池>
次に、実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成について説明する。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、上述した正極材料を含む正極、負極、セパレータ及び非水電解質を備え、これらを組み立てることで作製できる。
正極は、正極集電体と、当該正極集電体の一方又は両方の面に形成され、上述した正極材料を含む正極層とを備える。正極集電体は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。正極集電体は、例えば、アルミニウム等の金属箔、ラス加工又はエッチング処理された金属箔等である。正極は、上述する方法で作製することができる。
負極は、例えば、負極集電体と、当該負極集電体の一方又は両方の面に形成された負極活物質を含む負極層とを備える。
負極活物質は、金属リチウムの溶解・析出又はリチウムイオンの挿入・脱離が可能な材料であれば、特に限定されない。負極活物質は、例えば、リチウム金属、炭素系材料、シリコン、シリコン合金、スズ、チタン酸リチウム等である。リチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素系材料は、例えば、粉末状又は繊維状の黒鉛である。
負極集電体は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することできる。負極集電体は、例えば、銅又は銅合金からなる圧延箔、電解箔等である。
負極層は、負極活物質に加えて、導電助剤及び結着剤を含んでいてもよい。当該導電助剤及び結着剤は、例えば、正極において説明した他の導電助剤及び結着剤と同様のものを使用できる。
負極は、例えば次に示す方法で作製することができる。最初に、負極活物質、導電助剤及び結着剤を溶剤に分散させて負極ペーストを調製する。つづいて、負極集電体の一方又は両方の面に負極ペーストを塗布した後、例えば真空下、80℃で乾燥して負極層を形成することにより負極を作製する。
非水電解質は、液体状である場合、非水溶媒及び電解質を含み、リチウムイオン二次電池で一般に用いられるものを使用することができる。
非水溶媒は、好ましくは、主成分として環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含有する。環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、及びブチレンカーボネート(BC)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びエチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
電解質は、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。電解質は、リチウム塩の電解質であり、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiCFSO、LiN(C2m+1SO)(C2n+1SO)(m、nは1以上の整数)、LiC(C2p+1SO)(C2q+1SO)(C2r+1SO)(p、q、rは1以上の整数)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウム等である。これらの電解質は、一種類で使用してもよく、また二種類以上組み合わせて使用してもよい。また、この電解質は非水溶媒に対して0.1〜1.5モル/L、好ましくは0.5〜1.5モル/Lの濃度で溶解することが望ましい。
セパレータは、特に限定されるものではなく、公知又は市販のものを使用することができる。セパレータは、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂の微多孔膜又は不織布である。微多孔膜又は不織布は、単層構造であっても、多層構造であってもよい。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、角形、扁平型等が挙げられる。
以下、コイン型のリチウムイオン二次電池を例にして、実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構造を、図面を参照して説明する。図3は、コイン型のリチウムイオン二次電池の一例を示す断面図である。
コイン型のリチウムイオン二次電池1は、正極2と、負極3と、それら正極2及び負極3の間に配置されたセパレータ4とを備える。これら正極2、負極3及びセパレータ4は、下部側に位置する第1外部端子5と上部側に位置する第2外部端子6の間に収納されている。当該第1外部端子5及び当該第2外部端子6の当接部位は、ガスケット7により絶縁されている。
正極2は、第1外部端子5の内面に位置してそれと接続される正極集電体21と、当該正極集電体21のセパレータ4と対向する面に設けられた正極層22とから構成されている。負極3は、第2外部端子6の内面に位置してそれと接続される負極集電体31と、当該負極集電体31のセパレータ4と対向する面に設けられた、金属リチウムからなる負極層32とから構成されている。セパレータ4は、例えば非水電解質に含浸されている。第2外部端子6は、その端部がその下端及び両側面をガスケット7で包んだ状態で第1外部端子5内に挿入され、下部側の第1外部端子5の開口端をガスケット7側に湾曲させて第2外部端子6を第1外部端子5にカシメ固定するとともに、第1外部端子5及び第2外部端子6の当接部位をガスケット7により絶縁している。
<リチウムイオン二次電池の充放電条件>
このようなリチウムイオン二次電池の充放電方法は、例えば上述したリチウムイオン二次電池の組立後に、初回放電から始めることが好ましい。酸素含有率が20原子%以上50原子%以下の酸化グラフェンは、例えば、1000mAh/gを超える放電容量を有する。そのため、当該酸化グラフェンを含む正極を備えるリチウムイオン二次電池は、当該電池組立後の充放電を放電から始めることが可能である。当該初回放電では、負極の表面からリチウム(Li)がイオンとして非水電解質に放出され、セパレータを通して正極側に移動する。移動したリチウムイオンは、正極層に含まれるグラフェン中の酸素(例えば、グラフェンに結合している酸素原子を含む官能基)を一部還元する。正極層に含まれる酸化グラフェンは、上述するように、一部還元されると、還元前と比較して高い電気導電性を有するようになるため、初回放電後において、導電助剤として機能する。
当該初回放電では、初回放電時の放電カットオフ電圧を、リチウムの酸化還元電位を基準にして1.0V以上2.0V以下に設定することが好ましい。
初回放電時の放電カットオフ電圧が、リチウムの酸化還元電位を基準にして2.0Vを超えると、初回放電時に、正極層の酸化グラフェンが含有する酸素が十分に還元するために必要な放電容量を得ることができないため、酸化グラフェンに高い導電性を付与する効果が得られない虞がある。他方、初回放電時の放電カットオフ電圧が、リチウムの酸化還元電位を基準にして1.0V未満に設定すると、初回放電時に、正極活物質中の例えばFe2+又はMn2+が、負極から放出されたリチウムイオンにより還元され、初回放電後の充放電において、正極に含まれる利用可能な正極活物質の量が減少する虞がある。
このようなリチウムイオン二次電池の初回放電以降の充放電方法は、例えば、3.5V〜4.3Vまで定電流充電し、10〜30分経過後に2.5V〜2.0Vまで定電流放電する。なお、実施形態に係る充放電方法において、初回放電以降の放電を含む充放電では正極活物質のみが関与し、酸化グラフェンは関与しない。
なお、このような実施形態に係るリチウムイオン二次電池の充放電方法は、負極活物質として金属リチウムを使用したリチウムイオン二次電池に用いると、リチウムデンドライトの成長を抑制する効果も期待できる。当該初回放電によれば、負極の金属リチウムの表面から炭酸リチウム又は水酸化リチウムのような不活性被膜を除去するのに十分な量の放電容量を得ることができる。その結果、初回放電後の充電において、正極活物質から放出されたリチウムイオンが負極の金属リチウム表面でリチウムを還元析出する際、金属リチウム表面は不活性被膜が除去されているため、リチウムは金属リチウム表面に偏って析出せず、金属リチウム表面に均一に析出する。それ故、充放電サイクルの繰り返しに伴って、負極に金属リチウム表面からリチウムがデンドライト状に成長するのを抑制ないし防止して、リチウムのデンドライト状の成長に伴う負極と正極間の内部短絡を防止できる。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1〜5及び比較例1〜5)
[正極1の作製]
最初に、酸素含有率が50原子%のシート状酸化グラフェンの分散液(6mg/ml)を100ml調製した。当該シート状酸化グラフェンの幅は10μm、長さは40μmであった。次に、ボールミル装置(フリッチュ社製、型番:P−6)のポッド内に、当該分散液と、直径100μmのジルコニアボール130gとを投入した。次に、当該ボールミル装置を回転速度400rpmで10分〜30分で作動させ、当該分散液を湿式ボールミル処理した。次に、当該水分散液をボールミル装置から取り出し、篩にかけ、当該分散液からジルコニアボールを分離した。次に、当該分散液を、真空下、−101℃の温度で15時間凍結乾燥し、平均孔径1μmの複数の孔を有するシート状酸化グラフェンを得た。なお、この酸化グラフェンの平均孔径はMicromeritics Instrument Corporation製のAutoPore(登録商標) IVにより水銀圧入法という方法で測定することができる。
次に、正極活物質0.2g(95.6質量%)と、0.21gのカーボンナノチューブ分散液(カーボンナノチューブ0.4質量%、及びPVDF2質量%を含む)と、上記複数の孔を有するシート状酸化グラフェン4.2mg(2.0質量%)とを混合した後、NMPの添加によって粘度を調節して正極スラリーを調製した。正極活物質としては、表面上にカーボンコート層を有する、LiMn0.7Fe0.3POであるリチウム含有化合物の平均一次粒子径0.1μm、平均二次粒径12.8μmの粒子からなるものを使用した。当該正極活物質の表面上のカーボンコート層は、正極材料の総量に対して1.4質量%であった。カーボンナノチューブ分散液は、直径1.6±0.4μm、平均長さ5μm以上のカーボンナノチューブを含む分散液(OCSiAL社製、TUBAll(登録商標)BATT NMP 0.4%)を使用した。
次に、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に正極スラリーを塗布し、80℃で12時間乾燥した。その後、直径14mmの円形に打ち抜き、ハンドプレスを用いて2MPaでプレスして、当該正極材料を備える正極1を作製した。
[正極2の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェンを、真空下で200℃の高温で加熱処理することで一部還元された複数の孔を有する酸化グラフェンに変換した後、正極スラリーを調製したこと以外、正極1と同様の方法により正極2を作製した。一部還元処理は、当該酸化グラフェンを真空下、200℃の温度で24時間加熱処理することで行った。この一部還元された酸化グラフェンは、酸素含有率が20原子%以上40原子%以下であった。
[正極3の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェンの添加量を1.0質量%とし、正極活物質の添加量を0.3g(96.6質量%)としたこと以外、正極1と同様の方法により正極3を作製した。
[正極4の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェンの添加量を0.4質量%とし、正極活物質の添加量を97.2質量%としたこと以外、正極1と同様の方法により正極4を作製した。
[正極5の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェンの添加量を0.4質量%とし、カーボンナノチューブの添加量を0.2質量%とし、正極活物質の添加量を97.4質量%としたこと以外、正極1と同様の方法により正極5を作製した。
[正極6の作製]
カーボンナノチューブを添加せず、正極活物質の添加量を96.0質量%としたこと以外、正極1と同様の方法により正極6を作製した。
[正極7の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェンを添加せず、正極活物質の添加量を97.6質量%としたこと以外、正極1と同様の方法により正極7を作製した。
[正極8の作製]
複数の孔を有するシート状酸化グラフェン2.0質量%の代わりに、シート状酸化グラフェン2.0質量%を添加したこと以外、正極1と同様の方法により正極8を作製した。
[正極9の作製]
カーボンナノチューブの添加量を0.1質量%とし、正極活物質の添加量を95.9質量%としたこと以外、正極1と同様の方法により正極9を作製した。
[正極10の作製]
複数の孔を有する酸化グラフェン2.0質量%の代わりに、グラフェン2.0質量%を添加したこと以外、正極1と同様の方法により正極10を作製した。前記グラフェンは、上記合成した酸化グラフェンを3体積%水素の雰囲気で700℃、1時間に熱処理して得た。このグラフェンの酸素含有率は、0原子%以上20原子%未満であった。
[SEMによる正極1及び正極10の観察]
正極1が含む当該正極材料を、SEM(JEOL社製、型番:JSM−7500)を用いて観察した。図4は、正極1が含む正極材料の一部のSEM写真であり、図5は、図4の点線で示す一部を拡大したSEM写真である。なお、図5における白い点線は、複数の孔8を有する酸化グラフェンの表面に担持された複数のカーボンナノチューブCNを強調して表示したものである。
その結果、図4及び図5に示すように、当該正極材料では、正極活物質及び複数の孔8を有する酸化グラフェンの表面上には、平均長さ1μm以上の複数のカーボンナノチューブCNが互いに接触して担持されていることが観察された。また、当該正極材料は、粒子状である正極活物質と、複数の孔8を有する酸化グラフェンと、カーボンナノチューブCNが凝集せず全体的に分散された状態であることが観察された。更に、複数の正極活物質の粒子及び複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数のカーボンナノチューブCNが覆うように絡み付き、互いに接触して絡み合ってネットワークを形成していることが観察された。更に、カーボンナノチューブCNは、複数の孔8を有する酸化グラフェンの孔を塞ぐように被覆していないことが観察された。
正極10が含む当該正極材料を、SEMを用いて正極1と同様に観察した。図6は、正極10が含む正極材料の一部のSEM写真である。なお、図6の白い点線で示す領域はグラフェンの凝集が生じた領域を示す。
その結果、図6に示すように、カーボンナノチューブは、グラフェン表面に付着しておらず、グラフェン自体の強い凝集も見られたことから、以降、比較例6に係る試作電池の作製は行なわなかった。
[実施例1に係る試作電池の作製]
リチウム箔を直径15mmの円形に打ち抜き、負極を作製した。セパレータは、ポリプロピレン樹脂の微多孔膜を使用した。非水電解質は、電解質であるLiPFを、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合非水溶媒(体積比、EC:DEC=1:2)に1.0モル/L溶解させて調製した。
前記正極1と、負極と、セパレータと、非水電解質とを用いて、露点−50℃以下のアルゴン雰囲気下、常法により組込み、収容し、図3に示すようなコイン型のリチウムイオン二次電池(CR−2032)を組立てた。この電池は、実施例1に係る試作電池とした。
[実施例2〜5及び比較例1〜4に係る試作電池の作製]
正極1に代えて、それぞれ正極2〜9を使用したこと以外、実施例1に係る試作電池と同様の方法により、実施例2〜5及び比較例1〜4に係る試作電池を作製した。
[放電レート特性試験]
実施例1〜5及び比較例1〜4の試作電池を用い、以下充放電条件1又は2に従って充放電を行って、放電レート特性試験を行った。実施例1、3〜5及び比較例1〜4の試作電池は、以下充放電条件1に従って放電レート特性試験を行った。実施例2の試作電池は、以下充放電条件2に従って放電レート特性試験を行った。充放電条件1は、初回放電を行って、正極材料に含まれる酸化グラフェンを一部還元している点で充放電条件2とは異なる。初回放電によって、酸化グラフェンは、一部還元され、酸素含有率が20原子%以上40原子%以下になる。なお、充放電条件1の初回充電では、初回放電時の放電カットオフ電圧を、リチウムの酸化還元電位を基準にして1.0V以上2.0V以下に設定している。下記表1には、充放電条件1又は2の組み合わせ、及び10C放電、20C放電、及び30C放電を行ったときの放電容量の測定結果を示す。
充放電条件1
初回 :1.5Vまで0.05C放電(1回)
活性化 :4.5Vまで0.1C充電、2.5Vまで0.1C放電(3回)
10C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで10C放電
20C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで20C放電
30C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで30C放電
充放電条件2
活性化 :4.5Vまで0.1C充電、2.5Vまで0.1C放電(3回)
10C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで10C放電
20C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで20C放電
30C放電の放電容量:4.5Vまで0.5C充電、2.5Vまで30C放電
[充放電サイクル試験]
実施例1〜5及び比較例1〜4の試作電池を用い、以下充放電条件3又は4に従って充放電を行って、充放電サイクル試験を行った。実施例1、3〜5及び比較例1〜4の試作電池は、以下充放電条件3に従って充放電サイクル試験を行った。実施例2の試作電池は、以下充放電条件4に従って出力特性試験を行った。充放電条件3は、初回放電を行って、正極材料に含まれる酸化グラフェンを一部還元している点で充放電条件4とは異なる。初回放電によって、酸化グラフェンは、一部還元され、酸素含有率が20原子%以上40原子%以下になる。なお、充放電条件3の初回充電では、初回放電時の放電カットオフ電圧を、リチウムの酸化還元電位を基準にして1.0V以上2.0V以下に設定している。下記表1には、充放電条件3又は4の組み合わせ、及び各試作電池の150サイクル目の放電容量と、放電容量維持率の測定結果を示す。
放電容量維持率の計算式を(1)式に示す。
放電容量維持率(%)=
(150サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100…(1)
(充放電条件3)
初回 :1.5Vまで0.1C放電 (1回)
活性化 :4.5Vまで0.1C充電、2.5Vまで0.1C放電 (3回)
サイクル:4.5Vまで1.0C充電、2.5Vまで1.0C放電 (150回)
(充放電条件4)
活性化 :4.5Vまで0.1C充電、2.5Vまで0.1C放電 (3回)
サイクル:4.5Vまで1.0C充電、2.5Vまで1.0C放電 (150回)
Figure 2020155223
前記表1から明らかなように、平均孔径1μmの複数の孔を有する酸化グラフェンを0.4質量%以上5.0質量%以下と、平均長さ1μmであるカーボンナノチューブを0.2質量%以上0.4質量%以下とを含む導電助剤を含む、正極材料を備える正極を含む実施例1〜5のリチウムイオン二次電池は、当該導電助剤を含まない比較例1〜4のリチウムイオン二次電池と比較して、30Cで放電したときの放電容量が顕著に高く、すなわち高レート特性が優れていることがわかる。
比較例1のリチウムイオン二次電池は、導電助剤として、複数の孔を有する酸化グラフェンのみを含む、正極材料を備える正極を含むものであるが、放電レート特性試験及び充放電サイクル試験では充放電を行うことができず、電池として機能しなかった。これは、複数の孔を有する酸化グラフェンのみでは、導電助剤として十分に機能せず、当該正極層に十分な導電性を付与することができなかったためといえる。
比較例2のリチウムイオン二次電池は、充電助剤として、カーボンナノチューブのみを含む、正極材料を備える正極を含むものであるが、30Cで放電したときの放電容量が顕著に低下した。これは、導電助剤が複数の孔を有する酸化グラフェンを含まないため、非水電解液が十分に正極層に含侵せず、かつ、正極活物質と非水電解質との間の接触面積が低下したためといえる。
比較例3のリチウムイオン二次電池は、充電助剤として、複数の孔を有しない酸化グラフェンと、カーボンナノチューブを含む、正極材料を備える正極を含むものであるが、30Cで放電したときの放電容量が顕著に低下した。これは、酸化グラフェンが複数の孔を有しないため、複数の孔を通じてリチウムイオンが拡散することができず、正極活物質と非水電解質との間の接触面積が低下したためといえる。
実施例2のリチウムイオン二次電池は、正極材料を構成する複数の孔を有する酸化グラフェンを一部還元する方法を、実施例1のように初回放電することで行うのではなく、高温加熱によって行うものである。実施例1及び比較例1の結果の比較より、30C放電時の放電レート特性試験及び充放電サイクル特性試験の結果は、どちらも実施例1の結果の方が優れていることがわかる。この結果より、正極材料を構成する複数の孔を有する酸化グラフェンを一部還元する方法は、実施例1のように初回放電によって行うとより、酸化グラフェンを効果的に還元することができるとわかる。
[インピーダンス測定]
また、実施例1及び比較例1〜3のリチウムイオン二次電池を用い、インピーダンス測定を行なった。このインピーダンス測定の条件を以下に示す。測定装置:電気化学測定システム(東陽テクニカ社製、型番:SI1287)、振幅電圧:5mV、周波数:0.1〜10Hz、温度:30℃の条件下、2.5Vまで0.1C放電
図7は、実施例1、及び比較例2〜3のリチウムイオン二次電池のCole−Cole−プロット図である。図8は、比較例1のリチウムイオン二次電池のCole−Cole−プロット図である。図7及び8において、横軸はインピーダンスの実数成分であり、縦軸をインピーダンスの虚数成分である。
図7及び図8に示すように、実施例1のインピーダンス測定結果では、電荷移動抵抗を示す半円の半径が、比較例1の200分の1程度であり、比較例2の3分の1程度であり、比較例3の2分の1程度である。このことから、実施例1のリチウムイオン二次電池が含む正極層が備える正極材料における電荷移動抵抗が、比較例1〜3が備える正極材料よりも低いことがわかる。これらの結果は、上記表1に示す放電レート特性試験の結果と一致する。
1…リチウムイオン二次電池、2…正極、21…正極集電体、22…正極層、3…負極、31…負極集電体、32…負極層、4…セパレータ、5…第1外部端子、6…第2外部端子、7…ガスケット、8…孔、CN…カーボンナノチューブ

Claims (7)

  1. リチウムイオン二次電池用正極材料であって、
    粒子状である正極活物質;及び
    表面に平均孔径1μm以上5μm以下である複数の孔を有する酸化グラフェンと、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブとを含む導電助剤;
    を含み、
    前記導電助剤は、当該リチウムイオン二次電池用正極材料の総量に対して、前記複数の孔を有する酸化グラフェンを0.4質量%以上5.0質量%以下、及び前記カーボンナノチューブを0.2質量%以上1.0質量%以下含み、
    前記正極活物質及び前記複数の孔を有する酸化グラフェンの表面上には、複数の前記カーボンナノチューブが互いに接触して担持されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極材料。
  2. 前記正極活物質の平均一次粒径は、50nm〜1000nm、平均二次粒径は5μm〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
  3. 前記正極活物質は、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト鉄複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、及びリチウム鉄リン複合酸化物の群から選ばれる少なくとも1つのリチウム含有化合物の粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
  4. 前記正極活物質は、表面上にカーボンコート層を有する前記リチウム含有化合物の粒子であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料を含む正極、負極、セパレータ及び非水電解質を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. 酸化グラフェンの分散液を湿式ボールミル処理し、前記酸化グラフェンを表面に平均孔径1μm以上5μm以下の複数の孔を有する酸化グラフェンに変換する工程と、
    前記湿式ボールミル処理した前記酸化グラフェンの分散液を凍結乾燥する工程と、
    正極活物質、結着剤、前記複数の孔を有する酸化グラフェン、平均長さ1μm以上であるカーボンナノチューブ、及び溶剤を混合し、正極スラリーを調製する工程と、
    前記正極スラリーを正極集電体の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥して正極層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法で作製された正極、負極、セパレータ及び非水電解質を使用して、リチウムイオン二次電池を組み立てる工程と、
    前記リチウムイオン二次電池を、初回放電して、正極層中の前記複数の孔を有する酸化グラフェンの一部を還元処理する工程と、
    を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
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