JP2020154122A - レンズユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な結像特性を有し、製造が容易であるレンズユニットを得る。【解決手段】接合レンズL60に対する光軸A方向の力は、物体側凸部12Bを介して載置部12に対して伝わり、更にその直下の像側凸部12Dに伝わる。突出部L50B、段差部L4B(L50A)、L3B(L4A)、L2B(L3A)、弾性部材40は、いずれもXの範囲内にある。これによって、第5レンズ体L50及びこれよりも物体側の構成要素を装着する際に加わる力は、特に物体側凸部12Bと像側凸部12Dが重複する領域(荷重領域X)に集中し、他の箇所に力が集中することが抑制される。このため、レンズユニットを製造する際に鏡筒10に歪みが発生することが抑制される。【選択図】図7

Description

本発明は、鏡筒内において複数のレンズが収容された構成を具備するレンズユニットに関する。
例えば、自動車、監視カメラ等に搭載される撮像装置において使用される光学系として、物体側から像側(撮像素子側)に至るまでの間に複数のレンズが光軸(撮像装置の光軸)方向に積層されて鏡筒の内部に固定されたレンズユニットが使用されている。このレンズユニットは可視光による物体の画像を撮像素子上に良好に結像させるように設計される。このため、レンズユニットにおける各レンズの位置関係が高い精度で維持されて鏡筒に固定されることが要求される。このレンズユニットを製造するに際しては、例えば各レンズを順次鏡筒側に装着する作業が行われる。この際、レンズ等に傾きが発生せず、上記の位置関係が高精度に定まるように、鏡筒やレンズ等の形状が設定される。
こうした要求が満たされるレンズユニット(光学ユニット)は、例えば特許文献1に記載されている。このレンズユニットにおいては、筒状の鏡筒(ホルダ)内に複数のレンズが光軸方向に複数積層されて固定される。ホルダに各レンズを装着する際には、例えば筒状のホルダ内における像側に底板部が形成され、この底板部上に順次レンズを積層する作業が行われる。この際、少なくとも一部のレンズは鏡筒に対して圧入され、この作業の際に、ホルダは治具で固定される。
特開2018−018013号公報
上記のようなレンズユニットの製造(組み立て)の際に、例えば鏡筒に対して物体側から像側に向かって各レンズが圧入される場合には、一般的には、鏡筒の最外周部における像側の部分が治具により固定される。この際、最も像側におけるレンズは、鏡筒内で像側において物体側を向く載置面で係止されるが、この際にこのレンズに加えられる力が強いと、鏡筒が歪み、各レンズの位置関係が狂うおそれがあった。
このため、鏡筒内においてレンズが積層されて固定された構成を具備し、良好な結像特性を有するレンズユニットの製造は容易ではなかった。
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、良好な結像特性を有し、製造が容易であるレンズユニットを得ることを目的とする。
本発明に係るレンズユニットは、光軸に沿った最も物体側に配置された第1レンズと、当該第1レンズよりも像側に配置された複数のレンズと、前記第1レンズを物体側から像側に向けて収容する第1収容部と、複数の前記レンズを物体側から像側に向けて収容する第2収容部と、を具備する鏡筒と、を有し、前記第2収容部内において、複数の前記レンズのうち最も像側に位置する像側レンズを像側から係止する載置部が設けられ、前記載置部における物体側の面において、前記像側レンズと局所的に当接するように物体側に突出した物体側凸部が複数形成され、前記載置部における像側の面において、光軸と垂直な平面に当接するように像側に局所的に突出する像側凸部が複数の前記物体側凸部の各々と対応して複数形成され、光軸方向からみて、前記物体側凸部と、対応する前記像側凸部とが重複する領域である荷重領域が設けられている。
この構成においては、像側レンズは物体側凸部によって像側で係止される。また、像側レンズを第2収容部内に圧入する際に、治具によって鏡筒(載置部)を像側凸部を介して像側から支持することができる。物体側凸部と像側凸部とが重複する領域である荷重領域が設けられることにより、特にこの作業の際に光軸方向で加わる力をこの荷重領域に集中させ、他の箇所に加わる力を小さくすることができる。これによって、像側レンズを圧入する作業の際に鏡筒に歪みが生ずることが抑制される。
また、複数の前記レンズのうち、光軸方向で隣接する前記レンズ同士のうち、少なくともいずれかは、互いに形成された係合構造同士を係合させることによって少なくとも光軸方向、光軸と垂直な方向のいずれかにおける互いの位置関係が固定され、前記係合構造は、光軸方向からみて前記荷重領域内に設けられている。
この構成においては、光軸方向において隣接するレンズ間の位置関係が、互いに形成された係合構造同士を係合させることによって定まる。この際、このうち物体側にあるレンズを圧入する際には特にこの係合構造に力が働くが、この力も前記の荷重領域に集中する。このため、このレンズを圧入する作業の際に鏡筒に歪みが生ずることも抑制される。
また、複数の前記レンズのうち最も物体側にある第2レンズと前記第1レンズとの間には、前記第1レンズ及び前記第2レンズと接する弾性部材が配され、当該弾性部材は、光軸方向からみて前記荷重領域内に設けられている。
この構成においては、第1レンズを装着する際に弾性部材を介して第2レンズに光軸方向の力が加わる。この力も前記の荷重領域に集中する。このため、第1レンズを装着する作業の際に鏡筒に歪みが生ずることも抑制される。
また、前記載置部の物体側の面の外周部は光軸方向からみて略円形状であり、光軸方向からみた前記物体側凸部の形状は、前記略円形状における円周上の2点を結ぶ直線と前記略円形状における当該2点間の円弧部分で仕切られた形状とされている。
このように物体側凸部の平面形状を外周部(第2収容部の内面)と直線で囲まれた形状とすることにより、第2収容部の内部において物体側凸部を容易に形成することができる。
また、複数の前記レンズのうちの一つのレンズはガラス製であり、当該レンズの光軸方向における一方の面には、結像の対象となる光よりも長波長の光を遮断する薄膜状の赤外カットフィルターが形成されている。
この構成においては、レンズと一体化された赤外カットフィルターが用いられるため、レンズ等と別体の部品としての赤外カットフィルターを使用する必要がない。このため、鏡筒の構成が単純化され、前記の物体側凸部、像側凸部を載置部に形成することも容易となる。
また、複数の前記レンズのうち、物体側で前記像側レンズと隣接する前記レンズはガラス製であり、当該レンズはレンズホルダで支持されて前記第2収容部に収容されている。
この構成においては、ガラス製のレンズをレンズホルダで支持して用いることにより、このレンズとレンズホルダが一体化されたレンズ体をプラスチックレンズと同様に扱うことができる。
また、前記レンズホルダにおいて像側に突出する複数の突出部が設けられ、複数の前記突出部は、突出量に応じて複数の突出部群に区分され、一つの前記突出部群に属する複数の前記突出部が像側において前記像側レンズに係止されることによって、前記レンズホルダに支持された前記レンズの像側への移動が制限される。
この構成においては、突出部群を選択して使用することにより、突出部群の突出量に応じ、レンズホルダ及びこれに指示されたガラス製のレンズと像側レンズとの間の間隔の微調整が行われる。このため、このガラス製のレンズと像側レンズとの間の光軸方向の間隔を特に精密に設定することができる。
また、前記第1レンズの像側で前記第1レンズと隣接する第2レンズと、前記第2レンズの像側で前記第2レンズと隣接する第3レンズと、前記第3レンズの像側で前記第3レンズと隣接する第4レンズと、前記第4レンズの像側で前記第4レンズと隣接する絞りと、前記絞りの像側で前記絞りと隣接する第5レンズと、前記第5レンズの像側で前記第5レンズと隣接する第6レンズと、前記第6レンズの像側で前記第6レンズと隣接する第7レンズと、を具備し、前記第5レンズは前記レンズホルダで支持されたガラス製の前記レンズであり、前記第6レンズと前記第7レンズは光軸方向で接合されて前記像側レンズとされている。
このような第1レンズ〜第7レンズ、及び絞りを用いた構成とすることにより、良好な結像特性をもつレンズユニットを得ることができる。
本発明によれば、良好な結像特性を有し、製造が容易であるレンズユニットを得ることができる。
実施形態に係るレンズユニットの断面図である。 実施形態に係るレンズユニットで用いられる鏡筒の断面図(a)、斜視図(b)である。 実施形態に係るレンズユニットの分解組立図である。 実施形態に係るレンズユニットにおける載置部の物体側(a)、像側(b)から見た斜視図である。 実施形態に係るレンズユニットにおける載置部の光軸に沿った断面を物体側(a)、像側(b)から見た断面斜視図である。 実施形態に係るレンズユニットを製造する際の、像側レンズを圧入する際の状態を示す断面図である。 実施形態に係るレンズユニットを製造する際の、第1レンズの装着までが終了した際の状態を示す断面図である。 実施形態に係るレンズユニットにおける、レンズホルダを像側から見た斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係るレンズユニット1の、光軸Aに沿った断面図である。ここでは、物体(Ob)側は図中上側、像(Im)側は図中下側であり、撮像素子100は図中最下部に位置する。レンズL1〜L7の各々は、鏡筒10に対して直接あるいは間接的に固定される。図1においては、各レンズ、絞り20、あるいは各レンズと鏡筒10の間を固定するための構成が主に記載されており、実際には撮像素子100と鏡筒10の位置関係を固定するための構造も設けられているが、その記載は省略されている。
撮像素子100は2次元CMOSイメージセンサであり、各画素は光軸Aと垂直な面内で2次元に配列されており、実際には撮像素子100はカバーガラス(図示せず)で覆われている。図1において、第1レンズL1から第7レンズL7を備えるレンズユニット1が構成される。レンズユニット1は、撮像対象の可視光の画像を所望の視野、所望の形態で撮像素子100上(像面)に結像させるように構成される。
図1において、最も物体側(図中上側)に設けられた第1レンズL1は、魚眼レンズであり、主にこれによって、撮像装置の視野等が定まる。これよりも撮像素子100側(像側)に、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6、第7レンズL7が順次配置されている。各レンズは、光軸Aの周りで略対称な形状を具備する。また、光束を制限するための絞り20が第4レンズL4と第5レンズL5の間に設けられている。また、不要な光を除去するための遮光板も第2レンズL2と第3レンズL3の間に適宜設けられるが、その記載は図1では省略されている。
また、図2(a)は、鏡筒10のみの光軸Aに沿った断面図、図2(b)は、鏡筒10を図1における斜め上側(物体側)からみた斜視図である。この鏡筒10の物体側(図中上側)に、内周面が略円筒形状の空洞部である第1収容部10Aが設けられ、第1収容部10Aの像側の底面は第1レンズL1と当接する第1載置面11である。また、第1載置面11よりも像側(図中下側)には、第1収容部10Aと同軸とされ、第1収容部10Aより小径とされた略円筒形状の空洞部である第2収容部10Bが設けられ、第2収容部10Bの像側の底板となる部分(載置部12)は、光の経路となる光軸Aを中心とした円形の開口である接合レンズ用開口10Cの周囲において、後述するように接合レンズL60(後述する像側レンズ)を像側から係止するように構成される。第1収容部10A、第2収容部10Bの中心軸は共通とされ、光軸Aと等しい。また、図2(a)に示されるように、実際には第2収容部10Bの内周面は物体側から像側に向かって徐々に小さくされる。
図1において、各レンズにおける物体側、像側のレンズ面(画像を形成する光が通過する面)は、レンズユニット1が所望の結像特性をもたらすように、適宜曲面(凸曲面、凹曲面)加工されている。以下では、各レンズにおける物体側のレンズ面を第1表面R1、像側のレンズ面を第2表面R2と呼称する。また、レンズ面の形状(凸曲面又は凹曲面)としては、第1表面R1の形状については物体側からみた形状、第2表面R2の形状については像側からみた形状を、それぞれ意味するものとする。
一般的に、このような小型の撮像装置におけるレンズを構成する材料としては、ガラスと樹脂材料の2種類がある。前者は機械的強度が高いが高価であり、後者は機械的強度は低いが安価である。また、ガラスの熱膨張係数は樹脂材料より小さいため、高温時における熱膨張に起因する形状や位置の微細な変化が結像特性(焦点位置の変化等)に与える影響が大きくなるレンズには、ガラス製のレンズとすることが好ましい。このため、レンズユニット1を高性能かつ安価とするためには、ガラス製のものが好ましいレンズのみガラス製とし、他のレンズを樹脂材料製とすることが好ましい。
この観点において、本実施の形態では、最も物体側に配置された第1レンズL1は撮像装置1の最表面に位置するために、傷が付きにくいガラス製とされる。また、絞り20と隣接するレンズ(第4レンズL4及び第5レンズL5)は、温度変化に起因する焦点距離の変化が顕著に表れるため、いずれか一方(本実施の形態では第5レンズL5)がガラス製とされる。以上の他のレンズとしては、安価な樹脂材料製のものが用いられる。
第1レンズL1は、その物体側のレンズ面L1R1が凸曲面、その像側のレンズ面L1R2が凹曲面とされた負レンズである。第1レンズL1の上面側では、レンズ面L1R1がほぼ全体を占めている。第1レンズL1の下面側(像側)において、レンズ面L2R2の外側には、光軸Aと垂直な平面で構成された第1レンズ第1下面L1Aが設けられる。第1レンズ第1下面L1Aの更に外側には、第1レンズ第1下面L1Aと平行かつ第1下面L1Aよりも物体側(図中上側)に位置する第1レンズ第2下面L1Bが設けられる。また、第1レンズL1の最外周部は、光軸Aを中心軸とする円筒形状の第1レンズ外周面L1Cを構成する。これらの面のうち、光学的に使用されるのは、レンズ面L1R1、L1R2であり、他の面は、第1レンズL1を鏡筒10に対して固定するために用いられる。
図1において、鏡筒10の上端側は、第1レンズL1の物体側への移動を規制するように光軸A(中心)側に向かって屈曲した第1レンズ係止部13となっている。また、第1レンズ第1下面L1Aは、鏡筒10の第1載置面11と当接する。このため、第1レンズL1の鏡筒10に対する光軸A方向における位置関係は、物体側(図中上側)では第1レンズ係止部13によって定まり、像側(図中下側)では第1載置面11により定まる。この際、第1レンズ第1下面L1Aよりも外側においては、第1レンズ第2下面L1Bと第1載置面11との隙間に、光軸A方向と垂直な方向で圧縮されて弾性変形したリング状のOリング30が配されることにより、鏡筒10内部における防水機能が得られる。なお、上記のような第1レンズ係止部13の形状は、第1レンズl1を鏡筒10に固定するために加工(熱カシメ)した後の形状であり、固定前における鏡筒10の上端部側の形状は、図2(a)に示されるように、上側から第1レンズL1を図1に示されるように鏡筒10内に挿入可能な形状とされる。
また、第1レンズ外周面L1Cは、鏡筒10における第1収容部10Aの内周面と当接する。これによって、第1レンズL1と鏡筒10の光軸Aと垂直な方向における位置関係が定まる。すなわち、上記の構成により、第1レンズL1は鏡筒10に対して固定される。
第2レンズL2は、その物体側のレンズ面L2R1が凸曲面、その像側のレンズ面L2R2が凹曲面とされた負レンズである。第2レンズL2の物体側(図中上側)において、レンズ面L2R1の外側には、光軸Aと垂直でありレンズ面L2R1よりも像側(図中下側)に位置する平面である第2レンズ第1上面L2Aが設けられる。また、第2レンズL2の像側(図中下側)において、レンズ面L2R2よりも外側には、光軸Aと平行な面及び垂直な面で構成された段差部(係合構造)L2Bが設けられる。第2レンズL2の最外周を構成する面である第2レンズ外周面L2Cは、第2収容部10Bの内周面と当接する。第2レンズ外周面L2Cは、その光軸A周りの内径が像側に向かって徐々に小さくなるような略円錐面形状に形成されている。これにより、第2レンズL2と鏡筒10の光軸Aと垂直な方向における位置関係は定まる。
また、第1載置面11よりも内側(光軸Aに近い側)かつレンズ面L1R2及びレンズ面L2R1よりも外側の領域において、第2レンズ第1上面L2Aと第1レンズ第2下面L1Bの間には、弾性体で構成され、かつ光軸A方向で薄い弾性部材40が配されている。すなわち、第1レンズL1と第2レンズL2は光軸Aに沿った方向では直接接さず、これらの間には弾性部材40が設けられている。
第3レンズL3は、その物体側のレンズ面L3R1が凹曲面、その像側のレンズ面L3R2が凸曲面とされた正レンズである。第3レンズL3の物体側(図中上側)において、レンズ面L3R1の外側には、第2レンズL2における段差部L2Bと係合するように形成された段差部(係合構造)L3Aが設けられる。また、第3レンズL3の像側(図中下側)において、レンズ面L3R2よりも外側には、光軸Aと平行な面及び垂直な面で構成された段差部(係合構造)L3Bが設けられる。また、第3レンズL3の最外周を構成する略円筒形状の面である第3レンズ外周面L3Cは、第2収容部10Bの内周面とは非接触とされる。
第4レンズL4は、その物体側の面L4R1が凹曲面、その像側の面L4R2が凸曲面とされた正レンズである。第4レンズL4の物体側(図中上側)において、レンズ面L4R1の外側には、第3レンズL3における段差部L3Bと係合するように形成された段差部(係合構造)L4Aが設けられる。また、第4レンズL4の像側(図中下側)において、レンズ面L4R2よりも外側には、光軸Aと平行な面及び垂直な面で構成された段差部(係合構造)L4Bが設けられる。また、第4レンズL4の最外周を構成する略円筒形状の面である第4レンズ外周面L4Cは、第2収容部10Bの内周面とは非接触とされる。すなわち、第3レンズL3、第4レンズL4は鏡筒10とは非接触とされる。
前記の通り、第5レンズL5はガラス製であり、その物体側の面L5R1が凸曲面、その像側の面L5R2が凸曲面とされた正レンズである。ただし、第5レンズL5は、他のレンズとは異なり、樹脂材料製のレンズホルダ51に圧入固定されて一体化された第5レンズ体L50とされた状態で鏡筒10に収容される。すなわち、第5レンズL5は、第5レンズ体L50となった状態で、樹脂材料製である第3レンズL3、第4レンズL4と同様にレンズとして扱われる。
第5レンズ体L50の物体側(図中上側)において、第5レンズL5の外側のレンズホルダ51には、第4レンズL4における段差部L4Bと係合するように形成された段差部(係合構造)L50Aが設けられる。また、第5レンズ体L50の像側(図中下側)において、第5レンズL5よりも外側には、周囲よりも像側(図中下側)に向かって局所的に突出した突出部L50Bが設けられる。突出部L50Bの詳細については後述する。また、第5レンズ体L50の最外周を構成する面である第5レンズ体外周面L50Cは、第2収容部10Bの内周面と当接する。第5レンズ体外周面L50Cは、その光軸A周りの内径が像側に向かって徐々に小さくなるような略円錐面形状に形成されている。これにより、第5レンズ体L50(第5レンズL5)と鏡筒10の光軸Aと垂直な方向における位置関係は定まる。
また、IRカットコーティング層(赤外カットフィルター)52が、第5レンズL5の像側の面L5R2に形成されている。IRカットコーティング層52によって、撮像素子100側に向かう可視光以外の成分である近赤外光を除去することができる。レンズユニット1の結像特性が可視光に対して最適化された場合、近赤外光に対しては最適とはならないため、良好な画像を得るためには、近赤外光は撮像素子100に達さない構成とすることが好ましい。IRカットコーティング層52は、このような近赤外光が撮像素子100側に向かうことを抑制し、これによって、良好な結像特性が得られる可視光の画像のみを撮像素子100で得ることができる。IRカットコーティング層52は、カットオフ波長よりも短波長の光を透過させ、これよりも長波長の光を透過させないような多層膜として、例えば蒸着等によって薄膜状に形成される。このようなIRカットコーティング層52は、特にガラスレンズ上に良好に成膜することができるため、レンズ面L5R2に容易に形成することができる。
第6レンズL6は、その物体側の面L6R1が凹曲面、その像側の面L6R2が凹曲面とされた負レンズである。第7レンズL7は、外径が第6レンズL6よりも小さく、その物体側の面L7R1が凸曲面、その像側の面L7R2が凸曲面とされた正レンズである。また、第6レンズL6、第7レンズL7は対向するレンズ面が嵌合して接合されることにより、最も像側にある接合レンズ(像側レンズ)L60を構成するように設定される。つまり、実質的に最も像側のレンズとなる像側レンズは、第6レンズL6の像側のレンズ面L6R2と第7レンズL7の物体側のレンズ面L7R1とが嵌合して接合された接合レンズL60となる。
接合レンズL60(第6レンズL6)の物体側(図中上側)において、レンズ面L6R1の外側においては、第5レンズ体L50における突出部L50Bと当接する平面である接合レンズ上面L6Aが設けられる。なお、図1においては、便宜上、光軸Aを挟んだ両側で突出部L50Bが接合レンズ上面L6Aと当接しているように記載されているが、実際の詳細は後述する。
また、接合レンズL6(第6レンズL6)の像側(図中下側)において、レンズ面L7R2よりも外側には、光軸Aと垂直な平面である接合レンズ下面L6Bが設けられる。接合レンズ下面L6Bは、載置部12と当接する。また、接合レンズL60(第6レンズL6)の最外周を構成する面である第6レンズ外周面L6Cは第2収容部10Bの内周面と当接する。第6レンズ外周面L6Cは、その光軸A周りの内径が像側に向かって徐々に小さくなるような略円錐面形状に形成されている。このため、接合レンズL60の光軸Aに沿った方向における位置は、像側では鏡筒10(載置部12)によって制限される。ここで、載置部12の具体的構造については後述する。
この場合、第5レンズ体L50(突出部L50B)は像側で接合レンズL60に係止されるため、第5レンズ体L50の光軸Aに沿った方向における位置は、像側では接合レンズL60を介して載置部12(鏡筒10)によって制限される。
また、前記の構成により、第4レンズL4の光軸Aに沿った方向における位置は、段差部L4Bと段差部L50Aが係合することによって、像側では第5レンズ体L50、接合レンズL60を介して鏡筒10によって制限される。一方、第4レンズL4の光軸Aと垂直な方向における位置は、段差部L4Bと段差部L50Aが係合することによって、第5レンズ体L50を介して第2収容部10Bの内周面により定まる。同様に、第3レンズL3の光軸Aに沿った方向における位置は、段差部L3Bと段差部L4Aが係合することによって、像側では第4レンズL4、第5レンズ体L50、接合レンズL60を介して鏡筒10によって制限される。一方、第3レンズL3の光軸Aと垂直な方向における位置は、段差部L3Bと段差部L4Aが係合することによって、第4レンズL4、第5レンズ体L50を介して第2収容部10Bの内周面により定まる。
また、前記の構成により、第2レンズL2の光軸Aに沿った方向における位置は、段差部L2Bと段差部L3Aが係合することによって、像側では第3レンズL3、第4レンズL4、第5レンズ体L50、接合レンズL60を介して鏡筒10によって制限される。一方、第2レンズL2の光軸Aと垂直な方向における位置は、前記の通り、第2収容部10Bの内周面により定まる。
すなわち、上記の構成において、第2レンズL2〜接合レンズL60(第7レンズL7)のうち、第2レンズL2、第5レンズL5(第5レンズ体L50)、接合レンズL60は、その外周部が鏡筒10における第2収容部10Bの内周面と当接する接触レンズとなる。これらの接触レンズは、これにより、光軸Aと垂直な方向における鏡筒10との間の位置関係が固定される。一方、第3レンズL3、第4レンズL4は、第2収容部10Bの内周面とは直接接触しない非接触レンズとなる。非接触レンズは、上記のような段差部(係合構造)を介してその物体側、像側の接触レンズと直接あるいは間接的に係合することによって接触レンズとの間の光軸Aと垂直な方向における位置関係が固定されることによって、この方向での鏡筒10との間の位置関係が固定される。これにより、第2レンズL2〜接合レンズL60(第7レンズL7)の全ての、光軸Aと垂直な方向における鏡筒10との間の位置関係が固定される。
一方、第3レンズL3、第4レンズL4の外周面は第2収容部10Bの内周面とは非接触とされる。このため、第3レンズL3、第4レンズL4と鏡筒10の熱膨張差に起因して第3レンズL3、第4レンズL4(レンズ系)、鏡筒10に対して力が加わることが抑制される。このため、熱膨張差に起因するレンズの歪み等が抑制され、温度変化が結像特性に与える悪影響が低減される。
図3は、このレンズユニット1の分解斜視図であり、ここでは、図1で記載が省略された遮光板21も記載されている。ここでは、接合レンズL60、第5レンズ体L50、絞り20、第4レンズL4、第3レンズL3、遮光板21、第2レンズL2、弾性部材40、Oリング30、第1レンズL1が図中上側(物体側)から鏡筒10に対して順次装着される。図示されるように、弾性部材40、Oリング30は、環状とされる。
鏡筒10の材料としては、対候性に優れた結晶性プラスチック(ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン)が好ましく用いられる。一方、第2レンズL2、第3レンズL3、第4レンズL4、第6レンズL6、第7レンズL7は、レンズとしての性能(光透過性や成形性)に優れる非晶性プラスチック(ポリカーボネート等)で構成される。また、レンズホルダ51は第4レンズL4等と同じ非晶性プラスチックで構成されるため、第5レンズ体L50は、全体としては第4レンズL4等と同様のプラスチックレンズとして取り扱うことができる。前記の通り、第1レンズL1、第5レンズL5はガラス製とされる。
また、前記のように、近赤外光を遮断するIRカットコーティング層52が、第5レンズL5(L5R2)に形成されているため、同様の機能を有する赤外カットフィルターを図3における構成要素として設ける必要がない。例えば、この赤外カットフィルターを像側に設ける場合には、鏡筒10における像側の構造を、この赤外カットフィルターが固定されるような構造とする必要がある。上記のIRカットコーティング層52を用いることにより、こうした構造は不要となり、後述するような載置部12の構造を実現することが容易となる。
このレンズユニット1を製造するに際しては、図3における接合レンズL60から第2レンズL2までが絞り20、遮光板21を含めて順次第2収容部10Bに、その後弾性部材40、Oリング30が第1レンズL1に配置された状態で第1レンズL1が第1収容部10内に装着される。この際に、レンズを圧入する際に、鏡筒10の変形が生じにくい構成とされる。以下にこの点について説明する。
図1、図2(a)において、載置部12の物体側には、物体側に局所的に突出する物体側凸部12Bが形成されている。物体側凸部12Bの物体側の上面は、光軸Aと垂直な平面を構成するように形成される。このため、図1の構成において、接合レンズL60(接合レンズ下面L6B)は、物体側凸部12Bによって局所的に係止される。この際、図1に示されるように、接合レンズL60におけるレンズ面L7R2は、図2に示される載置部12の内側の接合レンズ用開口10C内に位置する。また、載置部12の像側にも、像側に局所的に突出する像側凸部12Dが形成されている。像側凸部12Dの像側の下面は、光軸Aと垂直な平面を構成するように形成される。
図4(a)、(b)は、それぞれ載置部12を物体側、像側から見た斜視図である。図4(a)に示されるように、物体側凸部12Bは、その周囲の平面である載置部上面12Aよりも物体側に突出するように、3つ分断されて形成される。図4(b)に示されるように、像側凸部12Dは、その周囲の平面である載置部下面12Cよりも像側に突出するように、3つ分断されて形成される。図4(a)に示されるように、載置部12の物体側の面の外周部は第2収容部10Bの像側の端部の内径に対応するため、略円形状となる。図4(a)に示されるように、単一の物体側凸部12Bの平面形状は、この略円形状における円周上の2点を結ぶ直線と、この略円形状におけるこの2点間の円弧部分で仕切られた形状とされている。物体側凸部12Bは、周方向において等間隔かつ同一形状で3つ形成されている。
また、図5(a)、(b)は、それぞれ鏡筒10(載置部12)の光軸Aに沿った断面構造をそれぞれ物体側、像側から見た断面斜視図である。ここで、光軸A方向からみて、物体側凸部12B、像側凸部12Dは対応して重複するように形成されている。このため、像側凸部12Dも周方向において等間隔かつ同一形状で3つ形成されている。図5(a)(b)において、左側は載置部12において物体側凸部12B及び像側凸部12Dが形成された箇所の断面が示され、右側は載置部12において物体側凸部12B及び像側凸部12Dが形成されない箇所の断面が示されている。
一般的に、鏡筒10は樹脂成型により製造され、上記のような物体側凸部12B、像側凸部12Dが形成された鏡筒10は、容易に製造することができる。この際、特に第2収容部10Bの内部側にある物体側凸部12Bが設けられた構造は、その外部側となる像側凸部12Dが形成された構造よりも製造が困難であるが、上記のように境界を外周部と直線として設けた物体側凸部12Bは、特にその形成が容易である。例えば、鏡筒10における第2収容部10Bや載置部12を含む内側の部分は柱状の金型を用いて成形される。この際、このような物体側凸部12Bに対応する金型の形状は、載置部12となる部分のフライス加工によって特に容易に実現することができる。
なお、図1においては、物体側凸部12B、像側凸部12Dは、これらの対応関係のみを強調するために記載されており、図1に示された物体側凸部12B、像側凸部12Dの大きさ、位置は、実際のものとは異なる。これらの位置や大きさは図4、5に示された通りであり、図4、5に示されたような物体側凸部12B、像側凸部12Dの形状は、図1においては正確に反映されていない。以下で説明する図6、7についても同様である。
上記のレンズユニット1を製造するに際しては、鏡筒10が治具に固定された状態で、図3のように各構成要素が物体側から像側に向けて組み込まれる。この際において、治具200で固定された鏡筒10に接合レンズL60を組み込んだ際の状況を図1に対応する形態で図6に示す。図6において、治具200は、光軸A方向像側、及び光軸Aからみた外側から鏡筒10を支持する。この際、像側では、像側凸部12Dによって鏡筒10が治具200に係止される。この状態で接合レンズL60が鏡筒10(第2収容部10B)に圧入される。
例えば、上記の構成において、仮に物体側凸部12Bと像側凸部12Dが光軸A方向で全く重複しない(離間している)場合には、接合レンズL60が物体側凸部12Bに係止された状態で光軸A方向の力が加わると、この力は、物体側凸部12Bから、これと離間した像側凸部12Dを介して治具200に働く。このため、この際に鏡筒10には、これを歪ませるような力が働く。すなわち、物体側凸部12Bと像側凸部12Dが光軸A方向で全く重複しない場合には、鏡筒10が歪むおそれがあり、これによって、レンズ間の位置関係における設計値からの狂いやレンズの歪み等が発生し、製造後のレンズユニット1における結像特性が劣化するおそれがある。
物体側凸部12Bや像側凸部12Dが形成されず、接合レンズL60が像側で載置部12における物体側の広い面積にわたり平坦な表面(平面)で係止され、かつ像側の平坦な表面(平面)で載置部12が広い面積にわたり治具200により係止されるような構成とすることも可能である。しかしながら、載置部12におけるこうした平面形状は樹脂成型によって形成され、このような広い範囲で平坦度の高い平面を実現することは容易ではない。この場合には、載置部12における接合レンズL60を係止する領域と治具200により係止される領域が光軸A方向からみて離間する場合があり、上記のように物体側凸部12Bと像側凸部12Dが離間している場合と同様の状況が生ずる。また、仮にこのような理想的な平面が形成できた場合においても、小さなゴミ等が接合レンズL60や治具200と載置部12との間に存在した場合には、同様である。すなわち、載置部12における接合レンズL60を係止する面、あるいは治具200により係止される面を広い範囲で平面として形成した場合には、上記のように接合レンズL60の圧入の際に鏡筒10が歪むおそれがある。
これに対して、上記のような小面積の物体側凸部12B,像側凸部12Dを形成することは、大面積の平面形状を実現するよりも容易である。図6の構成の場合には、接合レンズL60を係止する物体側凸部12Bの直下の像側凸部12Dが治具200で確実に支持され、こうした鏡筒10の歪みの発生が抑制される。この際、小さなゴミ等が物体側凸部12B、像側凸部12D以外の箇所に存在しても、これによる接合レンズL60の鏡筒10への圧入作業に対する悪影響は発生しない。また、こうした構成とした場合に、例えば仮に物体側凸部12B、像側凸部12Dの平坦度が不十分なために接合レンズL60が物体側凸部12Bにおける局所的な領域で係止され、かつその直下の像側凸部12Dにおける局所的な領域が治具200で係止され、かつこれらの領域が離間した場合においても、これらの領域はそれぞれ物体側凸部12B、その直下の像側凸部12D内にあるため、これらの領域間の距離は短い。このため、これによる鏡筒10を歪ませる力は小さい。すなわち、上記のように物体側凸部12B、像側凸部12Dを複数局所的に対応させて設けたことにより、接合レンズL60を鏡筒10に装着する際の鏡筒10の歪みが抑制される。この際、物体側凸部12B、像側凸部12Dを3つずつ設けることによって、載置部12に対する接合レンズL60、治具200に対する載置部12の位置関係を固定することができる。
また、図7は、その後に第1レンズL1までを装着した際の形態を図6と同様に示す。ここでは、前記のように物体側凸部12Bと像側凸部12Dとが重複する領域(荷重領域)が光軸A方向にわたり延長してXの範囲として示されている。
図6においては、接合レンズL60に対する光軸A方向の力は、物体側凸部12Bを介して載置部12に対して伝わり、更にその直下の像側凸部12Dに伝わった。第5レンズ体L50及びこれよりも物体側の構成要素を装着する際においても、その際に局所的に力が加わる領域が、光軸Aと垂直な方向で物体側凸部12B(像側凸部12D)と離間した位置にある場合には、前記の場合と同様に、鏡筒10に歪みが発生するおそれがある。このように、組み込み時に光軸A方向の力が局所的に働くのは、図7の構造においては、像側から順に、突出部L50B、段差部L4B(L50A)、L3B(L4A)、L2B(L3A)、弾性部材40がある箇所である。このため、図7において、突出部L50B、段差部L4B(L50A)、L3B(L4A)、L2B(L3A)、弾性部材40は、いずれもXの範囲内にある、あるいはXの範囲と重複するような位置に設けられる。これによって、第5レンズ体L50及びこれよりも物体側の構成要素を装着(圧入)する際に加わる力は、特に物体側凸部12Bと像側凸部12Dが重複する領域(荷重領域X)に集中し、他の箇所に力が集中することが抑制される。このため、レンズユニット1を製造する際に鏡筒10に歪みが発生することが抑制される。このため、結像特性が良好なレンズユニット1を容易に製造することができる。
なお、図7においては、突出部L50B、段差部L4B(L50A)、L3B(L4A)、L2B(L3A)、弾性部材40は、いずれもXの範囲内にある、あるいはXの範囲と重複するが、これらの全てがXの範囲と重複する必要はなく、少なくともXの範囲と光軸Aと垂直な方向での距離が短ければよい。また、対応する部材の装着時において鏡筒10に及ぼす力が大きくない場合には、上記のいずれかがXの範囲外とされていてもよい。
また、良好な結像特性を得るためには、ガラスレンズである第5レンズL5と接合レンズL60の位置関係(光軸A方向の間隔)を高精度に設定することは特に重要である。上記のレンズユニット1においては、この間隔が特に精密に制御される。このための構造について以下に説明する。図1等に示される通り、レンズホルダ51に形成された突出部L50Bが接合レンズL60の接合レンズ上面L6Aと当接することによって、光軸A方向における第5レンズL5と接合レンズL60の間隔が定まる。
図8は、第5レンズ体L50におけるレンズホルダ51単体の像側から見た斜視図である。なお、ここではレンズホルダ51単体について説明されるが、ここで記載される物体側、像側等は、図1の状態におけるものを意味する。ここで、レンズホルダ51に固定される第5レンズL5のようなガラスレンズは、研磨加工によってそのレンズ面が所定の形状に高精度に形成される。一方、レンズの厚さについては、樹脂成型により製造されるプラスチックレンズの場合には1μm以下〜数μm程度となるのに対し、ガラスレンズの場合には、これよりも粗く数μm〜数十μm程度の精度となる。この厚さの誤差を、第5レンズL5と、隣接するレンズ(接合レンズL60)との間の間隔を微調整することによって補償することができる。
ここで、図8に示されるように、突出部L50Bは、周方向において21個等間隔で形成され、各々が3個の突出部L50Bで構成されたL50B1からなる群(突出部群)〜L50B7からなる群に、その像側への突出量に応じて分類される。この突出量は、L50B1からL50B7に向かうに従って大きくなるように設定されている。このレンズユニット1を製造するに際しては、第5レンズL5の実測された厚さに応じて、第5レンズL5と接合レンズL60との間の間隔が適正値となるように、実際に接合レンズ上面L6Aと当接する突出部L50Bを、上記のL50B1〜L50B7のうちから選択することができる。この際、選択された突出部群よりも突出量の大きな突出部群の突出部L50Bは、機械的に除去することができる。突出部L50B1〜L50B7は樹脂材料製のレンズホルダ51に形成されているため、こうした加工を容易に行うことができる。また、図示されるように突出部L50B1〜L50B7を各々3個ずつ設ければ、第5レンズ体51を接合レンズL60上の3点で支持することができるため、第5レンズL5と接合レンズL60の間隔を、上記のような第5レンズL5の厚さのばらつきを補償した上で高精度で定めることができる。第5レンズL5の厚さのばらつきだけに対してだけでなく、接合レンズL60や鏡筒10の製造時におけるばらつきに対しても同様である。一方、第5レンズ体外周面L50Cが第2収容部10Bの内周面と当接することにより、第5レンズL5(第5レンズ体L50)の鏡筒10に対する光軸Aと垂直方向における位置関係は定まる。突起部L50B1〜L50B7における突出量の段階的な差分は前記のガラスレンズの厚さのばらつき等に応じて定められ、例えば5μm程度とすることができる。
なお、上記の例では、第5レンズL5がガラス製のレンズとされ、これに対して樹脂材料製のレンズホルダ51が装着され、接合レンズ(像側レンズ)L60との間の間隔が上記の構成によって特に精密に調整可能とされた。しかしながら、間隔を精密に設定することが重要な他のレンズ間において同様の構成とすることもできる。この際、樹脂材料製のレンズホルダにおける上記の突出部は、上記の例では像側に突出したが、逆に物体側に突出するように突出部を設けてもよい。
(本形態の主な特徴)
本実施形態の特徴を簡単に纏めると次の通りである。
(1)このレンズユニット1は、光軸Aに沿った最も物体側に配置された第1レンズL1と、第1レンズL1よりも像側に配置された複数のレンズと(第2レンズL2〜第7レンズL7)、第1レンズL1を物体(Ob)側から像(Im)側に向けて収容する第1収容部10Aと、複数のレンズを物体側から像側に向けて収容する第2収容部10Bと、を具備する鏡筒10と、を有する。第2収容部10B内において、複数のL60レンズのうち最も像側に位置する像側レンズL60を像側から係止する載置部12が設けられ、載置部12における物体側の面において、像側レンズL60と局所的に当接するように物体側に突出した物体側凸部12Bが複数形成され、載置部12における像側の面において、光軸Aと垂直な平面に当接するように像側に局所的に突出する像側凸部12Dが複数の物体側凸部の各々と対応して複数形成され、光軸A方向からみて、物体側凸部12Bと、対応する像側凸部12Dとが重複する領域である荷重領域Xが設けられている。
この構成においては、鏡筒10において像側レンズL60は物体側凸部12Bによって像側で係止される。また、像側レンズL60を第2収容部10B内に圧入する際に、治具200によって鏡筒10(載置部12)を像側凸部12Dを介して像側から支持することができる。物体側凸部12Bと像側凸部12Dとが重複する領域である荷重領域Xが設けられることにより、特にこの作業の際に光軸A方向で加わる力をこの荷重領域Xに集中させ、他の箇所に加わる力を小さくすることができる。これによって、像側レンズL60を圧入する作業の際に鏡筒10に歪みが生ずることが抑制される。
(2)複数のレンズ(第2レンズL2〜第7レンズL7)のうち、光軸A方向で隣接するレンズ同士のうち、第5レンズ体L50・第4レンズL4間、第4レンズL4・第3レンズL3間、第3レンズL3・第2レンズL2間は、互いに形成された係合構造同士を係合させることによって少なくとも光軸A方向、光軸Aと垂直な方向のいずれかにおける互いの位置関係が固定される。この際、この係合構造は、光軸A方向からみて荷重領域X内に設けられている。
この構成においては、これらの位置関係が、互いに形成された係合構造同士を係合させることによって定まる。この際、このうち物体側にあるレンズを圧入する際には特にこの係合構造に力が働くが、この力も前記の荷重領域Xに集中する。このため、このレンズを圧入する作業の際に鏡筒10に歪みが生ずることも抑制される。
(3)複数の前記レンズのうち最も物体側にある第2レンズL2と第1レンズL1との間には、第1レンズL1及び第2レンズL2と接する弾性部材40が配され、弾性部材40は、光軸A方向からみて荷重領域X内に設けられている。
この構成においては、第1レンズL1を装着する際に弾性部材40を介して第2レンズL2に光軸A方向の力が加わる。この力も前記の荷重領域Xに集中する。このため、第1レンズL1を装着する作業の際に鏡筒10に歪みが生ずることも抑制される。
(4)載置部12の物体側の面の外周部は光軸A方向からみて略円形状であり、光軸A方向からみた物体側凸部12Bの形状は、この略円形状における円周上の2点を結ぶ直線とこの略円形状におけるこの2点間の円弧部分で仕切られた形状とされている。
このように物体側凸部の平面形状を載置部12の外周部(第2収容部10Bの内面)と直線で囲まれた形状とすることにより、第2収容部10Bの内部において物体側凸部12Bを容易に形成することができる。
(5)複数のレンズのうちの一つのレンズ(第5レンズL5)はガラス製であり、このレンズの光軸方向における一方の面L5R2には、結像の対象となる光よりも長波長の光を遮断する薄膜状の赤外カットフィルター52が形成されている。
この構成においては、第5レンズL5と一体化された赤外カットフィルタ―52が用いられるため、レンズ等と別体の部品としての赤外カットフィルタ―を使用する必要がない。このため、鏡筒10の構成が単純化され、前記の物体側凸部12B、像側凸部12Dを載置部12に形成することも容易となる。
(6)複数のレンズのうち、物体側で像側レンズL60と隣接する第5レンズL5はガラス製であり、このレンズはレンズホルダ51で支持されて第2収容部10Bに収容されている。
この構成においては、ガラス製の第5レンズL5をレンズホルダ51で支持して用いることにより、これらが一体化された第5レンズ体L50をプラスチックレンズと同様に扱うことができる。
(7)レンズホルダ51において像側に突出する複数の突出部L50Bが設けられ、複数の突出部L50Bは、突出量に応じて複数の突出部群(L50B1〜L50B7)に区分され、一つの突出部群に属する複数の突出部L50Bが像側において像側レンズL60に係止されることによって、第5レンズL5の像側への移動が制限される。
この構成においては、突出部群を選択して使用することにより、突出部群の突出量に応じ、レンズホルダ51及びこれに支持された第5レンズL5と像側レンズL60との間の間隔の微調整が行われる。このため、第5レンズL5と像側レンズL60との間の光軸A方向の間隔を特に精密に設定することができる。
(8)第1レンズL1と像側で隣接する第2レンズL2と、第2レンズL2と像側で隣接する第3レンズL3と、第3レンズL3と像側で隣接する第4レンズL4と、第4レンズL4と像側で隣接する絞り20と、絞り20と像側で隣接する第5レンズL5と、第5レンズL5と像側で隣接する第6レンズL6と、第6レンズL6と像側で隣接する第7レンズL7と、が設けられる。第5レンズL5はレンズホルダ51で支持されたガラス製のレンズであり、第6レンズL6と第7レンズL7は光軸A方向で接合されて像側レンズL60とされている。
このような第1レンズL1〜第7レンズL7、及び絞りを用いた構成とすることにより、良好な結像特性をもつレンズユニット1を得ることができる。
なお、上記の例以外でも、上記のようなレンズ、載置部(鏡筒)を具備するレンズユニットを構成することが可能である。この際、レンズの数、構成や絞りや遮光板等の構成も任意である。
本発明を、実施形態及びその変形例をもとに説明したが、この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1 レンズユニット
10 鏡筒
10A 第1収容部
10B 第2収容部
10C 接合レンズ用開口
11 第1載置面
12 載置部
12A 載置部上面
12B 物体側凸部
12C 載置部下面
12D 像側凸部
13 第1レンズ係止部
20 絞り
21 遮光板
30 Oリング
40 弾性部材
51 レンズホルダ
52 IRカットコーティング層(赤外カットフィルター)
100 撮像素子
A 光軸
Im 像(側)
L1 第1レンズ
L1A 第1レンズ第1下面
L1B 第1レンズ第2下面
L1C 第1レンズ外周面
L2 第2レンズ
L2A 第2レンズ第1上面
L2B、L3A、L3B、L4A、L4B、L50A 段差部(係合構造)
L2C 第2レンズ外周面
L3 第3レンズ
L3C 第3レンズ外周面
L4 第4レンズ
L4C 第4レンズ外周面
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L6A 接合レンズ上面
L6B 接合レンズ下面
L6C 第6レンズ外周面
L7 第7レンズ
L50 第5レンズ体
L50B、L50B1〜L50B7 突出部
L50C 第5レンズ体外周面
L60 接合レンズ(像側レンズ)
Ob 物体(側)
R1 第1表面
R2 第2表面
X 荷重領域

Claims (8)

  1. 光軸に沿った最も物体側に配置された第1レンズと、
    当該第1レンズよりも像側に配置された複数のレンズと、
    前記第1レンズを物体側から像側に向けて収容する第1収容部と、複数の前記レンズを物体側から像側に向けて収容する第2収容部と、を具備する鏡筒と、
    を有し、
    前記第2収容部内において、複数の前記レンズのうち最も像側に位置する像側レンズを像側から係止する載置部が設けられ、
    前記載置部における物体側の面において、前記像側レンズと局所的に当接するように物体側に突出した物体側凸部が複数形成され、
    前記載置部における像側の面において、光軸と垂直な平面に当接するように像側に局所的に突出する像側凸部が複数の前記物体側凸部の各々と対応して複数形成され、
    光軸方向からみて、前記物体側凸部と、対応する前記像側凸部とが重複する領域である荷重領域が設けられたことを特徴とするレンズユニット。
  2. 複数の前記レンズのうち、光軸方向で隣接する前記レンズ同士のうち、少なくともいずれかは、互いに形成された係合構造同士を係合させることによって少なくとも光軸方向、光軸と垂直な方向のいずれかにおける互いの位置関係が固定され、
    前記係合構造は、光軸方向からみて前記荷重領域内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
  3. 複数の前記レンズのうち最も物体側にある第2レンズと前記第1レンズとの間には、前記第1レンズ及び前記第2レンズと接する弾性部材が配され、
    当該弾性部材は、光軸方向からみて前記荷重領域内に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズユニット。
  4. 前記載置部の物体側の面の外周部は光軸方向からみて略円形状であり、
    光軸方向からみた前記物体側凸部の形状は、前記略円形状における円周上の2点を結ぶ直線と前記略円形状における当該2点間の円弧部分で仕切られた形状とされたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のレンズユニット。
  5. 複数の前記レンズのうちの一つのレンズはガラス製であり、
    当該レンズの光軸方向における一方の面には、結像の対象となる光よりも長波長の光を遮断する薄膜状の赤外カットフィルターが形成されたことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のレンズユニット
  6. 複数の前記レンズのうち、物体側で前記像側レンズと隣接する前記レンズはガラス製であり、当該レンズはレンズホルダで支持されて前記第2収容部に収容されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のレンズユニット。
  7. 前記レンズホルダにおいて像側に突出する複数の突出部が設けられ、
    複数の前記突出部は、突出量に応じて複数の突出部群に区分され、一つの前記突出部群に属する複数の前記突出部が像側において前記像側レンズに係止されることによって、前記レンズホルダに支持された前記レンズの像側への移動が制限されることを特徴とする請求項6に記載のレンズユニット。
  8. 前記第1レンズの像側で前記第1レンズと隣接する第2レンズと、
    前記第2レンズの像側で前記第2レンズと隣接する第3レンズと、
    前記第3レンズの像側で前記第3レンズと隣接する第4レンズと、
    前記第4レンズの像側で前記第4レンズと隣接する絞りと、
    前記絞りの像側で前記絞りと隣接する第5レンズと、
    前記第5レンズの像側で前記第5レンズと隣接する第6レンズと、
    前記第6レンズの像側で前記第6レンズと隣接する第7レンズと、
    を具備し、
    前記第5レンズは前記レンズホルダで支持されたガラス製の前記レンズであり、
    前記第6レンズと前記第7レンズは光軸方向で接合されて前記像側レンズとされたことを特徴とする請求項6又は7に記載のレンズユニット。
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