JP2020152881A - 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
(b)バインダ成分
(c)沸点が150℃未満である溶剤
(d)沸点が150℃以上である溶剤
[2] 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]に記載の導電性接着剤組成物。
[3] 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]又は[2]に記載の導電性接着剤組成物。
[4] 前記バインダ成分がアルコキシシラン、アルコキシシランの縮合物及び水分散性樹脂のうち少なくとも1種を含む、[1]〜[3]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[5] 前記バインダ成分が水分散性樹脂を含み、前記水分散性樹脂がポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上を含む、[1]〜[4]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[6] 23℃における粘度が5mPa・s以上200mPa・s以下である、[1]〜[5]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[7] 総質量に対する前記(d)成分の含有量が5質量%以上である、[1]〜[6]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[8] 前記(d)成分が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選ばれる1種以上である、[1]〜[7]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[9] 第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体。
[10] 第一の導電性部材の導電部に、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれる前記(b)成分を硬化させる処理を行い、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、導電性接着構造体の製造方法。
[11] 第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、前記導電性接着剤層が[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体。
[12] 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、[11]に記載の導電性積層体。
[13] 第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、導電性積層体の製造方法。
[14] 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、[13]に記載の導電性積層体の製造方法。
本発明の導電性接着構造体にあっては、2つの導電部同士の電気的接続と接着の両方を導電性接着剤組成物の硬化物が担っている。この硬化物は導電性であるため、従来の接着剤に起因する電気抵抗が生じ難く、2つの導電部間の優れた導電性を実現できる。
本発明の導電性接着構造体の製造方法によれば、2つの導電部同士を電気的に接続するためにスパッタやCVD等の真空装置を必要とせず、簡便に導電性積層体を製造することができる。
本発明の導電性積層体にあっては、互いに向き合う2層の導電層同士の電気的接続と接着の両方を導電性接着剤層が担っている。このため、従来の接着剤に起因する電気抵抗が生じ難く、2層の導電層間の優れた導電性を実現できる。また、2層の導電層同士の位置ずれを防止するための別の固定部材を必要としないので、装置構成の薄型化、小型化に資する。
本発明の導電性積層体の製造方法によれば、互いに向き合う2層の導電層同士を電気的に接続するためにスパッタやCVD等の真空装置を必要とせず、簡便に導電性積層体を製造することができる。
本発明の第一態様は、下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物である。
(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
(b)バインダ成分
(c)沸点が150℃未満である溶剤
(d)沸点が150℃以上である溶剤
第一の導電性部材及び第二の導電性部材の説明は第二態様の説明として後述する。
本発明の導電性接着剤組成物において、(a)成分である導電性複合体は、分散状態であってもよいし、溶解状態であってもよい。
本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する、導電性複合体の含有量は、分散性を高めるとともに良好な導電性を得る観点から、例えば、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上0.6質量%以下がさらに好ましい。
バインダ成分は、導電性接着剤層に接着性を付与する成分であり、例えば、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオン以外の樹脂、前記樹脂の前駆体、アルコキシ基を有する硬化性化合物又は前記硬化性化合物の縮合物が挙げられる。
バインダ成分は1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
なかでも、接着性及び導電性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリビニルアルコール樹脂がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、40℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。導電性接着剤層に付与する接着性が向上し、前記上限値以下であれば、溶剤への溶解性が向上する。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定により求められる。
ポリビニルアルコールの質量平均分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、1300以上60000以下であることがより好ましい。ポリビニルアルコールの質量平均分子量が前記下限値以上であれば、導電性接着剤層に付与する接着性が向上し、前記上限値以下であれば、水への溶解性が向上する。
ここで、ポリビニルアルコール樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
ポリビニルピロリドン樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによる標準ポリスチレン換算で、1000〜200万とすることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによる標準ポリスチレン換算で、1000〜100万とすることができる。
硬化性のモノマーとしては、例えば、アクリルモノマー(アクリル化合物)、エポキシモノマー等が挙げられる。硬化性のオリゴマーとしては、例えば、アクリルオリゴマー(アクリル化合物)、エポキシオリゴマー等が挙げられる。
バインダ成分としてアクリルモノマー又はアクリルオリゴマーを用いた場合には、加熱又は光照射により容易に硬化させることができる。
前記シリケート化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、メチルシリケート51など)やテトラエトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、エチルシリケート48など)、等が挙げられる。
上記下限値以上であると、導電性接着剤層の接着性と膜強度がより良好となる。
上記上限値以下であると、導電性接着剤層の導電性がより良好となる。
(c)成分の沸点は、圧力1気圧(101325パスカル)における沸騰温度とする。(c)成分には、(c)成分同士の重合や架橋等の反応により(c)成分自身の分子量が増加する化合物は含まれない。
本態様の導電性接着剤組成物が含む(c)成分は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上であることが好ましく、3種以上であることがより好ましい。
第1の溶剤、第2の溶剤、第3の溶剤の沸点の差が上記範囲であると、導電性接着剤組成物を予備乾燥する工程において、第3の溶剤の蒸発が第2の溶剤の蒸発よりも遅くなり、第2の溶剤の蒸発が第1の溶剤の蒸発よりも遅くなり、乾燥が徐々に進み、接着性を維持した塗膜がより一層容易に形成され得るので好ましい。
(c)成分として、水(沸点100℃)、水溶性有機溶剤、非水溶性有機溶剤が例示される。ここで、水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g以上の有機溶剤であり、非水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g未満の有機溶剤である。
アルコール系溶剤としては、例えば、1−プロパノール(沸点97℃)、2−プロパノール(イソプロパノール)(沸点83℃)、2−メチル−2−プロパノール(沸点82℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、アリルアルコール(沸点97℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジメチルエーテル(沸点−24℃)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン(沸点102℃)、メチルプロピルケトン(沸点102℃)、メチルブチルケトン(沸点127℃)、イソプロピルメチルケトン(沸点92℃)、メチルイソブチルケトン(沸点118℃)、ジイソプロピルケトン(沸点125℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)、アセトン(沸点56℃)等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物を疎水性の表面を有するフィルム基材に対して塗工する場合、その塗工性が良好になることから、水溶性有機溶剤としてはアルコール系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点69℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)、ペンタン(沸点36℃)、ヘプタン(沸点98℃)、オクタン(沸点126℃)等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、o−キシレン(沸点144℃)、m−キシレン(沸点139℃)、p−キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)等が挙げられる。
非水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する水の含有量は、5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、組成物中の導電性複合体の分散性が向上し、優れた導電性を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の上限値以下であると、疎水性のフィルム基材に対する濡れ性が良好となり、均一な膜厚の塗膜を形成し易く、予備乾燥の時間を比較的短くすることができる。
(d)成分の沸点は、圧力1気圧(101325パスカル)における沸騰温度とする。
(d)成分には、(d)成分同士の重合や架橋等の反応により(d)成分自身の分子量が増加する化合物は含まれない。
本態様の導電性接着剤組成物が含む(d)成分は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、1種のみであることが好ましい。
(d)成分として、水溶性有機溶剤、非水溶性有機溶剤が例示される。ここで、水溶性有機溶剤と非水溶性有機溶剤の定義は上述と同じである。
アルコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール(沸点198℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点214℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)等の多価アルコールが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188℃)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、メチルアミルケトン(沸点151℃)、ジアセトンアルコール(沸点168℃)等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン(沸点202℃)、ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等が挙げられる。
硫黄原子含有溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物を疎水性の表面を有するフィルム基材に対して塗工する場合、その塗工性が良好になることから、水溶性有機溶剤としてはアルコール系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ノナン(沸点151℃)、デカン(沸点174℃)、ドデカン(沸点216℃)等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、プロピルベンゼン(沸点159℃)、イソプロピルベンゼン(沸点152℃)等が挙げられる。
非水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記範囲の下限値以上であると、予備乾燥後の塗膜の接着性が良好となりやすい。
上記範囲の上限値以下であると、硬化が良好となり、優れた導電性と接着性が得られやすい。
上記範囲の差であると、導電性接着剤組成物を塗布した後の予備乾燥が容易になり、予備乾燥後の塗布物の接着性を充分に高めることができる。
(高導電化剤)
本態様の導電性接着剤組成物は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ただし、高導電化剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ成分、及び溶剤以外の化合物である。
導電性高分子含有液に含まれる高導電化剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
本態様の導電性接着剤組成物には、その他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ成分、溶剤、及び高導電化剤以外のものである。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ここで、上記の粘度は後述する方法で測定された値である。
上記範囲の下限値以上であると、導電性接着剤組成物の塗布物の形状を制御し易い。
上記範囲の上限値以下であると、導電性接着剤組成物を容易に塗布することができる。
第一態様の導電性接着剤組成物は、各成分を混合することにより製造することができる。混合方法は特に限定されず、従来の樹脂組成物を混合するために用いられる種々の混合機が適用可能である。
導電性複合体の分散性を高める観点から、導電性複合体は水又は水を含む溶剤に予め分散されていることが好ましい。例えば、0.1質量%以上2.0質量%以下の濃度で分散された導電性複合体の分散液に、(c)成分、(d)成分の順に添加した後、バインダ成分をさらに添加して、充分に攪拌することにより、目的の導電性接着剤組成物を得ることができる。バインダ成分として、加水分解し得るアルコキシシランを配合する場合、(c)成分として水を添加するとともに、充分な時間、例えば12時間〜48時間程度で攪拌を続けることにより、接着性に優れた導電性接着剤組成物を得ることができる。
本発明の第二態様は、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体である。本態様は、後述する第三態様の導電性積層体を包含する。
本態様における第一の導電性部材と第二の導電性部材は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
導電性部材として、例えば、金属、導電性金属酸化物、導電性高分子、カーボン等の導電性材料を含む部材が挙げられる。導電性部材は、部材の全体が導電性材料によって形成されていてもよいし、部材の一部のみが導電性材料によって形成されていてもよい。
本態様における導電性接着剤組成物の硬化物の形状は特に制限されず、被着面の形状に合わせて適宜変更される。硬化物による接着性と導電性を高める観点から、第一の導電性部材の導電部の被着面と、第二の導電性部材の導電部の被着面との距離、すなわち硬化物の厚さは、例えば、0.01μm以上100μm以下が好ましく、0.05μm以上50μm以下がより好ましく、0.1μm以上30μm以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、第一の導電性部材と第二の導電性部材の導電性を高めることができ、上記範囲の上限値以下であると、導電性部材の接着性を高めることができる。
本態様における導電性接着剤組成物の硬化物は、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とを接着するとともに、導電部間を電気的に接続している。これにより、例えば、第一の導電部と第二の導電部にテスターの端子を接続して、2つの導電部間の電気抵抗を測定することができる。また、前記硬化物は、遮光材を含まなければ、光を透過する透明性を有し得る。このため、本態様の導電性接着構造体は光学部材の用途に適用できる。
本発明の第三態様は、第一の導電性部材の導電部に、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれるバインダ成分を硬化させる処理を行い、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、導電性接着構造体の製造方法である。
前記予備乾燥は、前記付着物の接着性が維持される程度に乾燥することをいう。
前記導電性接着剤組成物を付着させる方法は特に制限されず、例えば、塗布、噴霧、浸漬、転写、印刷等の方法が挙げられる。例えば、塗布によって形成された付着物は塗布物と呼び換えられる。
付着物を予備乾燥する温度は特に制限されず、例えば、後述の第四態様の予備乾燥温度を適用することができる。
バインダ成分を硬化させる処理は、バインダ成分の種類に応じて適宜設定され、例えば、加熱、光照射、硬化剤の注入等の方法が挙げられる。加熱による硬化の具体的な方法としては、例えば、後述の第四態様の加熱硬化の方法を適用することができる。
本発明の第三態様は、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、前記導電性接着剤層が本発明の第一態様の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体である。
ここで図示しないが、第一の基材11の他方の面に導電層が備えられていてもよく、第二の基材21の他方の面に導電層が備えられていてもよい。
上記範囲の下限値以上であると、優れた接着性が得られる。
上記範囲の上限値以下であると、優れた導電性が得られる。
導電性接着剤層の平均厚みは、導電性積層体の厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察し、導電性接着剤層の任意の10箇所の厚さを測定して、求めた算術平均として求められる。
図1の導電性積層体1においては、第一の基材11は樹脂フィルムであり、第一の導電層12は導電性高分子を含み、第一の導電性基材10が透明導電性フィルムである場合を例示している。また、第二の基材21はガラス基板であり、第二の導電層22はITO等の導電性金属酸化物を含み、第二の導電性基材20が透明導電性ガラス基板である場合を例示している。
また、各導電性基材の基材は、絶縁性材料からなる基材であってもよいし、導電性材料からなる基材であってもよい。基材の形状は特に制限されず、例えば、フィルム、基板等の平面を主体とする形状が挙げられる。
基材の少なくとも一方の面に備えられた、導電性高分子を含む導電層の平均厚みとしては、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
前記導電層の平均厚みが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層の基材に対する接着性が向上する。
導電層の平均厚みを求める方法は、上述の導電性接着剤層の平均厚みを求める方法と同じである。
導電性基材を構成し得るフィルム基材としては、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
フィルム基材には、導電層の接着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
偏光フィルムとしては、例えば、一対の透明フィルムと、これらの間に配置された偏光層とを備えたものが知られている。
透明フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と強度の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
偏光層としては、例えば、親水性フィルムに二色性物質を付着させ、一軸延伸して二色性物質を配向させたものが挙げられる。親水性フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルム等が挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料等が挙げられる。
偏光層の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と偏光性の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
導電性接着剤層を構成する前記硬化物は、遮光材を含まなければ、光を透過する透明性を有し得る。このため、本態様の導電性積層体は光学部材の用途に適用できる。
本発明の第四態様は、第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、導電性積層体の製造方法である。
導電性接着剤組成物を第一の導電性基材の第一の導電層に塗布(塗工)して塗膜を形成する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
導電性接着剤組成物の塗布量は特に制限されないが、導電性と接着性を勘案して、固形分として、0.01g/m2以上10.0g/m2以下が好ましく、0.1g/m2以上7.0g/m2以下がより好ましく、0.5g/m2以上5.0g/m2以下がさらに好ましい。
塗布により形成された塗膜を予備乾燥して、塗膜に含まれる溶剤の一部を蒸発させることにより、塗膜の接着性を維持しつつ乾燥する。この目的を達成するための予備乾燥の温度としては、5℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上90℃以下がより好ましく、20℃以上70℃以下がさらに好ましい。
ここで、塗膜の予備乾燥温度は、塗膜の周囲の雰囲気温度である。
上記範囲の下限値以上であると、溶剤を現実的な時間内で蒸発させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、塗膜に含まれるバインダ成分の接着性を維持することができる。
上記範囲の温度における予備乾燥の時間としては、例えば、1分以上20分以下で行うことができる。
予備乾燥を上記の温度範囲で行う方法としては、例えば、塗膜を形成した第一導電性基材を乾燥機の室内に保持する方法、所定温度の温風を塗膜に吹き付ける方法、ヒーターにより塗膜を加熱する方法等が挙げられる。
予備乾燥を終えた第一の導電性基材上の塗膜は、バインダ成分に由来する接着性を有する。この塗膜に対して、第二の導電性基材の第二の導電層を貼付する。貼付方法は特に制限されず、軽く押し付けて、所望の領域を密着させればよい。この貼付により、第一の基材と、第一の導電層と、接着性を有する塗膜と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された積層体が得られる。
上記の積層体が備える塗膜を硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された、目的の導電性積層体を得ることができる。
塗膜の硬化方法としては、熱硬化させる方法が好ましい。光照射によって硬化するバインダ成分を用いて光硬化させる方法を採用しても構わないが、塗膜に残留する溶剤を充分に除去する観点から、熱硬化させる方法が好ましい。
熱硬化における加熱温度としては、80℃以上300℃以下が好ましく、100℃以上200℃以下がより好ましく、120℃以上150℃以下がさらに好ましい。
ここで、熱硬化における加熱温度は、前記積層体の周囲の雰囲気温度である。
上記範囲の下限値以上であると、塗膜から溶剤を充分に除去し、優れた膜強度、すなわち高い接着力を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の上限値以下であると、塗膜に含まれる導電性複合体の熱による劣化を抑制して、良好な導電性を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の温度における硬化の時間としては、塗膜に含まれる(d)成分の種類及び沸点にもよるが、例えば、1分以上20分以下で行うことができる。
硬化を上記の温度範囲で行う方法としては、例えば、前記貼付により得た積層体を乾燥機の室内に保持する方法、所定温度の温風を前記積層体に吹き付ける方法、ヒーターにより前記積層体を加熱する方法等が挙げられる。
本発明の第一態様の導電性接着剤組成物は、(c)成分および(d)成分を含むので、この組成物からなる塗膜を比較的低温で予備乾燥させると、溶剤の一部が塗膜に残り、良好な接着性を発揮させることができる。
本発明の第二態様の導電性接着構造体及び第四態様の導電性積層体にあっては、2つの向かい合う導電部が導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている。前記硬化物は導電性を有するので、前記2つの導電部は前記硬化物によって電気的に接続されている。
本発明の第三態様の導電性接着構造体の製造方法、及び第五態様の導電性積層体の製造方法おいては、予備乾燥後の接着力を利用して2つの導電部を接着することにより、目的の導電性接着構造体及び導電性積層体を容易に得ることができる。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を限外ろ過法により除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次いで、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)が水系分散媒に分散された導電性高分子水系分散媒を得た。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)25gと、イオン交換水(沸点100℃)22gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン5gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物1を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物1の23℃における粘度は12mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、エタノール(沸点78℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分である水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−645GH、固形分30%)10gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物2を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物2の23℃における粘度は18mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)2gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)20gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物3を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物3の23℃における粘度は55mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)7gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、エチレングリコール(沸点198℃)10gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3g及び水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−647GEX、固形分20%)10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物4を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物4の23℃における粘度は32mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3g及びポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物5を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物5の23℃における粘度は24mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、エタノール(沸点78℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)5gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分である水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−647GEX、固形分20%)10g及びポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)10gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物6を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物6の23℃における粘度は43mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3gと水溶性ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、エスレックKW−10、固形分25%)10gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物7を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物7の23℃における粘度は29mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)2gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、プロピレングリコール(沸点188℃)8gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA217、固形分10%)10gと水溶性ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、エスレックKW−10、固形分25%)10gを加え、室温で2時間撹拌することで導電性接着剤組成物8を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物8の23℃における粘度は40mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)4gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)5gと、1,3−プロパンジオール(沸点214℃)10gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA217、固形分10%)30gとポリビニルピロリドン樹脂(東京化成工業株式会社製、ポリビニルピロリドンK90)1gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物9を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物9の23℃における粘度は113mPa・sであった。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)25gと、イオン交換水(沸点100℃)25gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)7gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン2gとポリビニルピロリドン樹脂(東京化成工業株式会社製、ポリビニルピロリドンK90)1gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物10を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物10の23℃における粘度は95mPa・sであった。
上記で調製した各導電性接着剤組成物の23℃における粘度は、株式会社エー・アンド・デイ社製「音叉型振動式粘度計SV-10A」を用いて測定した。
なお、振動式粘度計による粘度の測定は、JIS Z8809で規定された粘度計校正用標準液を用いて粘度計を校正した後で行った。
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒40gに、メタノール17gと、イオン交換水20gと、1−メトキシ−2−プロパノール10gと、エチレングリコール10gと、テトラエトキシシラン3gとを加え、さらに安定剤である3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸水和物0.10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性コーティング組成物1を得た。
次に、スピンコーター(ミカサ株式会社製MS−B100)を用いて、76mm角のアルカリガラス上に導電性コーティング組成物1を回転数700rpmでコートし、120℃で30分間加熱硬化させることで、ガラス基材の表面に導電性ポリマーを含む導電層を備えた導電性基材Aを得た。導電性基材Aの導電層のシート抵抗値は200Ω/sq.であった。
バーコーターを用いて、76mm角に裁断したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)上に、上記の導電性コーティング組成物1を塗布し、120℃で5分間加熱硬化させることで、PETフィルムの表面に導電性ポリマーを含む導電層を備えた導電性基材Bを得た。導電性基材Bの導電層のシート抵抗値は240Ω/sq.であった。
ガラス基材の表面にITO(酸化インジウムと酸化スズの混合物)膜が形成された導電性基材Cを、平岡特殊硝子製作株式会社から購入した。ITO膜のシート抵抗値は25Ω/sq.であり、76mm角のサイズとした。
2枚の導電性基材Aをコロナ処理機によりそれぞれ表面処理し、端の一部をマスキングテープで保護した。1枚目の導電性基材Aの処理面に、スピンコーターを用いて導電性接着剤組成物1を回転数700rpmでコートし、予備乾燥として24℃で5分間乾燥した後の塗膜に、2枚目の導電性基材Aの処理面を貼り合わせた。この際、各導電性基材Aの接着面が50mm×76mmとなるようにずらして貼り合わせ、マスキングテープで保護した端部が露出するようにした。
次に、120℃のオーブンで5分間加熱硬化することで、図1に示すような、第一の導電性基材A/導電性接着剤層/第二の導電性基材Aの順に積層された導電性積層体1を得た。
導電性積層体1の導電性接着剤層の厚さは約0.2μmであった。
導電性積層体1の各導電性基材Aにおけるマスキングテープで保護した端部をそれぞれ冶具で固定し、約10kgfの荷重で180度方向の引っ張り試験を行い、導電性積層体1を構成する導電性接着剤層の接着力を評価した。その結果、10kgfの荷重をかけても剥離は生じなかった。
導電性積層体1の各導電性基材Aが有するマスキングテープを除去して、第一の導電性基材Aの端部の導電層と、第二の導電性基材Aの端部の導電層をそれぞれ露出させ、各露出部にテスターの端子を接触させ、2つの導電性基材間の電気抵抗Ra[Ω]を測定した。
上記とは別に、1枚の導電性基材Aの両端にテスターの端子を接触させ、単一の導電性基材A内における電気抵抗Rb[Ω]を測定した。
上記の測定値から、Rc=Ra/Rbの電気抵抗比を算出し、導電性積層体1の導電性の指標とした。具体的な測定値は、Ra=2.2kΩ、Rb=2.1kΩ、Rc=1.05であった。
以上の結果から、導電性積層体1の接着性及び導電性は良好であった。
下記表に示す構成で、実施例1と同様に導電性積層体を作製し、その接着性及び導電性を評価した。
ジメチルスルホキシドを添加しないこと以外は、導電性接着剤組成物1の調製と同様にして、接着剤組成物C1を得た。この接着剤組成物C1を用いて、実施例1と同様の方法で導電性積層体を作製した。その結果、電気抵抗比Rc>100であり、導電性が不十分であった。
導電性接着剤組成物4において、エチレングリコールの配合量を3gに変更して、イオン交換水の配合量を14gに変更した以外は、導電性接着剤組成物4と同様にして、接着剤組成物C2を得た。この接着剤組成物C2を用いて、実施例4と同様の方法で導電性積層体を作製した。その結果、電気抵抗比Rcは20であり、導電性が不十分であった。
実施例1の導電性積層体の作製において、実質的な予備乾燥を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性積層体を得た。その結果、得られた導電性積層体の接着性は不良であり、さらに接着面に不均一な模様が発生して外観不良が生じた。
実施例5の導電性積層体の作製において、1枚目の導電性基材の表面に形成した塗膜の表面の接着性が失われる程度に、120℃で1分間乾燥した後、2枚目の導電性基材を重ね合わせたこと以外は、実施例5と同様にして導電性積層体を得た。その結果、得られた導電性積層体の接着性は不良であった。
10…第一の導電性基材、11…第一の基材、12…第一の導電層、12a…第一の電極
20…第二の導電性基材、21…第二の基材、22…第二の導電層、22a…第二の電極
30…導電性接着剤層
Claims (14)
- 下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物。
(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
(b)バインダ成分
(c)沸点が150℃未満である溶剤
(d)沸点が150℃以上である溶剤 - 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
- 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項1又は2に記載の導電性接着剤組成物。
- 前記バインダ成分がアルコキシシラン、アルコキシシランの縮合物及び水分散性樹脂のうち少なくとも1種を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
- 前記バインダ成分が水分散性樹脂を含み、前記水分散性樹脂がポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
- 23℃における粘度が5mPa・s以上200mPa・s以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
- 総質量に対する前記(d)成分の含有量が5質量%以上である、請求項1〜6の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
- 前記(d)成分が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選ばれる1種以上である、請求項1〜7の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
- 第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体。
- 第一の導電性部材の導電部に、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、
第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれる前記(b)成分を硬化させる処理を行い、
第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、
導電性接着構造体の製造方法。 - 第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、
前記導電性接着剤層が請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体。 - 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、
前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、請求項11に記載の導電性積層体。 - 第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、
第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、
第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、
導電性積層体の製造方法。 - 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、
前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、
請求項13に記載の導電性積層体の製造方法。
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