JP2020152881A - 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法 - Google Patents

導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020152881A
JP2020152881A JP2019055604A JP2019055604A JP2020152881A JP 2020152881 A JP2020152881 A JP 2020152881A JP 2019055604 A JP2019055604 A JP 2019055604A JP 2019055604 A JP2019055604 A JP 2019055604A JP 2020152881 A JP2020152881 A JP 2020152881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive
adhesive composition
conductive adhesive
base material
boiling point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019055604A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7100603B2 (ja
Inventor
忍 和泉
Shinobu Izumi
忍 和泉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd, Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2019055604A priority Critical patent/JP7100603B2/ja
Publication of JP2020152881A publication Critical patent/JP2020152881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7100603B2 publication Critical patent/JP7100603B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】2つの導電性部材を電気的に接続しつつ、接着することが可能な導電性接着剤組成物と、前記組成物を用いた導電性接着構造体及びその製造方法、並びに、前記組成物を用いた導電性積層体及びその製造方法を提供する。【解決手段】下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物。(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体(b)バインダ成分(c)沸点が150℃未満である溶剤(d)沸点が150℃以上である溶剤【選択図】なし

Description

本発明は、導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法に関する。
従来、π共役系導電性高分子を含む導電層を備えた帯電防止フィルムが、電子部品のキャリアテープや食品包装材の分野で使用されている(例えば特許文献1)。
特許第6288852号公報
一方、高い透明性と優れた導電性が求められるスマートフォン等のディスプレイ装置には、ITO(酸化インジウムスズ)膜付きの透明導電性基板が使用されている。透明導電性基板はディスプレイ装置に限らず、種々の用途に展開され得る。例えば2枚の透明導電性基板の導電層を互いに向かい合わせて積層する装置構成もあり得るが、これらの導電層同士を従来の接着剤によって貼り合わせると、導電層同士の電気的接続を維持できないことがある。
本発明は、2つの導電性部材を電気的に接続しつつ、接着することが可能な導電性接着剤組成物と、前記組成物を用いた導電性接着構造体及びその製造方法、並びに、前記組成物を用いた導電性積層体及びその製造方法を提供する。
[1] 下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物。
(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
(b)バインダ成分
(c)沸点が150℃未満である溶剤
(d)沸点が150℃以上である溶剤
[2] 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]に記載の導電性接着剤組成物。
[3] 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]又は[2]に記載の導電性接着剤組成物。
[4] 前記バインダ成分がアルコキシシラン、アルコキシシランの縮合物及び水分散性樹脂のうち少なくとも1種を含む、[1]〜[3]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[5] 前記バインダ成分が水分散性樹脂を含み、前記水分散性樹脂がポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上を含む、[1]〜[4]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[6] 23℃における粘度が5mPa・s以上200mPa・s以下である、[1]〜[5]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[7] 総質量に対する前記(d)成分の含有量が5質量%以上である、[1]〜[6]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[8] 前記(d)成分が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選ばれる1種以上である、[1]〜[7]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
[9] 第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体。
[10] 第一の導電性部材の導電部に、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれる前記(b)成分を硬化させる処理を行い、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、導電性接着構造体の製造方法。
[11] 第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、前記導電性接着剤層が[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体。
[12] 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、[11]に記載の導電性積層体。
[13] 第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、[1]〜[8]の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、導電性積層体の製造方法。
[14] 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、[13]に記載の導電性積層体の製造方法。
本発明の導電性接着剤組成物によれば、2つの導電部同士を電気的に接続しつつ、接着することができる。
本発明の導電性接着構造体にあっては、2つの導電部同士の電気的接続と接着の両方を導電性接着剤組成物の硬化物が担っている。この硬化物は導電性であるため、従来の接着剤に起因する電気抵抗が生じ難く、2つの導電部間の優れた導電性を実現できる。
本発明の導電性接着構造体の製造方法によれば、2つの導電部同士を電気的に接続するためにスパッタやCVD等の真空装置を必要とせず、簡便に導電性積層体を製造することができる。
本発明の導電性積層体にあっては、互いに向き合う2層の導電層同士の電気的接続と接着の両方を導電性接着剤層が担っている。このため、従来の接着剤に起因する電気抵抗が生じ難く、2層の導電層間の優れた導電性を実現できる。また、2層の導電層同士の位置ずれを防止するための別の固定部材を必要としないので、装置構成の薄型化、小型化に資する。
本発明の導電性積層体の製造方法によれば、互いに向き合う2層の導電層同士を電気的に接続するためにスパッタやCVD等の真空装置を必要とせず、簡便に導電性積層体を製造することができる。
本発明に係る導電性積層体の一例の断面図である。
≪導電性接着剤組成物≫
本発明の第一態様は、下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物である。
(a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
(b)バインダ成分
(c)沸点が150℃未満である溶剤
(d)沸点が150℃以上である溶剤
第一の導電性部材及び第二の導電性部材の説明は第二態様の説明として後述する。
本発明の導電性接着剤組成物において、(a)成分である導電性複合体は、分散状態であってもよいし、溶解状態であってもよい。
[(a)成分:導電性複合体]
本態様における導電性複合体は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとを含む。導電性複合体中のポリアニオンはπ共役系導電性高分子にドープして、導電性を有する導電性複合体を形成している。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であればよく、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
これらのπ共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
導電性複合体に含まれるπ共役系導電性高分子は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、スルホ基を有するポリアクリル酸エステル、スルホ基を有するポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシベンゼンスルホン酸)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸等のスルホ基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸等のカルボキシ基を有する高分子が挙げられる。ポリアニオンは、単一のモノマーが重合した単独重合体であってもよいし、2種以上のモノマーが重合した共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホ基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた質量基準の平均分子量である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であれば、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなる傾向にあり、導電性がより高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子を充分に含有させることができるから、充分な導電性を確保できる。
導電性複合体中のポリアニオンにおいては、アニオン基の全てがπ共役系導電性高分子にドープしてはおらず、ドープに関与しない余剰のアニオン基がある。この余剰のアニオン基は親水基であり、導電性複合体の分散性は、水系分散媒において特に高い。
水又は有機溶剤は、導電性複合体を分散又は溶解することができるので、分散媒又は溶媒ということができる。本明細書において、分散と溶解とを区別せずに単に分散ということがあり、分散媒と溶媒とを区別せずに単に分散媒ということがある。
(導電性複合体の含有量)
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する、導電性複合体の含有量は、分散性を高めるとともに良好な導電性を得る観点から、例えば、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上1.0質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上0.6質量%以下がさらに好ましい。
[(b)成分:バインダ成分]
バインダ成分は、導電性接着剤層に接着性を付与する成分であり、例えば、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオン以外の樹脂、前記樹脂の前駆体、アルコキシ基を有する硬化性化合物又は前記硬化性化合物の縮合物が挙げられる。
バインダ成分は1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記樹脂としては、水分散性(水溶性)樹脂が好ましい。水分散性樹脂は乳化剤によりエマルション化されていてもよい。水分散性樹脂が、カルボキシ基やスルホ基等の酸基又はその塩(例えばNa塩、K塩)を有すると、水分散性が向上するので好ましい。ここで、水分散性樹脂は、25℃の蒸留水100gに、1g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上分散(溶解)するものが好ましい。
水分散性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂(アクリル化合物)等が挙げられる。
なかでも、接着性及び導電性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上がより好ましく、ポリビニルアルコール樹脂がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂は、カルボキシ基を2つ以上有する多価カルボン酸と、ヒドロキシ基を2つ以上有する多価アルコールとの縮合重合物である。このポリエステル樹脂はポリアニオンではない。具体的なポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート等が挙げられる。これらポリエステル樹脂は1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、10000以上50000以下であることがより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が前記下限値以上であれば、導電性接着剤層に付与する接着性が向上し、前記上限値以下であれば、溶剤への溶解性が向上する。ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて測定し、標準物質としてポリスチレンを用いて求めた値である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、40℃以上90℃以下であることが好ましく、60℃以上85℃以下であることがより好ましい。導電性接着剤層に付与する接着性が向上し、前記上限値以下であれば、溶剤への溶解性が向上する。ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定により求められる。
ポリビニルアルコール樹脂は、ポリ酢酸ビニルのアセチル基をけん化することによって製造されるが、一部のアセチル基がけん化されずに残ることがある。そのため、ポリビニルアルコールは、酢酸ビニル単位を含むことがある。本態様で用いるポリビニルアルコールのけん化度は、70%以上100%以下であることが好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度が前記下限値以上であれば、水に簡単に溶解させることができる。
ポリビニルアルコールの質量平均分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、1300以上60000以下であることがより好ましい。ポリビニルアルコールの質量平均分子量が前記下限値以上であれば、導電性接着剤層に付与する接着性が向上し、前記上限値以下であれば、水への溶解性が向上する。
ここで、ポリビニルアルコール樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
ポリウレタン樹脂はウレタン結合を有する重合体であり、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物の重付加により生成され得る樹脂である。
ポリビニルピロリドン樹脂は、N−ビニル−2ピロリドンの重合体であってもよいし、N−ビニル−2ピロリドンと他のモノマー単位との共重合体であってもよい。ここで、他のモノマー単位としては、例えば、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
ポリビニルピロリドン樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによる標準ポリスチレン換算で、1000〜200万とすることができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール樹脂にアルデヒドを反応させてアセタール化した樹脂であり、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールが挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂の質量平均分子量は、例えば、GPCによる標準ポリスチレン換算で、1000〜100万とすることができる。
前記樹脂の前駆体は、導電層形成時に硬化して樹脂を形成する硬化性のモノマー又はオリゴマーである。硬化性のモノマー又はオリゴマーは、熱硬化性のモノマー又はオリゴマーであってもよいし、光硬化性のモノマー又はオリゴマーであってもよい。ここで、オリゴマーは、質量平均分子量が1万未満の重合体のことである。
硬化性のモノマーとしては、例えば、アクリルモノマー(アクリル化合物)、エポキシモノマー等が挙げられる。硬化性のオリゴマーとしては、例えば、アクリルオリゴマー(アクリル化合物)、エポキシオリゴマー等が挙げられる。
バインダ成分としてアクリルモノマー又はアクリルオリゴマーを用いた場合には、加熱又は光照射により容易に硬化させることができる。
硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、さらに硬化触媒を含むことが好ましい。例えば、熱硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、加熱によりラジカルを発生させる熱重合開始剤を含むことが好ましく、光硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む場合には、光照射によりラジカルを発生させる光重合開始剤を含むことが好ましい。
前記アルコキシ基を有する硬化性化合物としては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン等のアルコキシシランが好ましく、トリアルコキシシラン又はテトラアルコキシシランがより好ましく、テトラアルコキシシランがさらに好ましい。これらのアルコキシシランは1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。また、上記アルコキシシランが部分的に縮合したシリケート化合物でもよい。前記シリケート化合物のSiO含有量は40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、50質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
トリアルコキシシランの具体例として、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(11−アジドウンデシル)トリメトキシシラン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル]トリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、(3−ブロモプロピル)トリメトキシシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、3−トリメトキシシリルプロピルクロリド、2−シアノエチルトリエトキシシラン、(クロロメチル)トリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、(クロロメチル)トリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、3−[(ジメチルシリル)オキシ]−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン、トリエトキシエチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、[8−(グリシジルオキシ)−n−オクチル]トリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、イソシアン酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、イソシアヌル酸トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル] 、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシ(メチル)シラン、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、メタクリル酸3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピル、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、トリエトキシ−n−オクチルシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、トリエトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ[3−(フェニルアミノ)プロピル]シラン、[3−(トリエトキシシリル)プロピル]カルバミン酸2−プロピニル、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン、トリメトキシ(プロピル)シラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]尿素、(3−イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリメトキシ(p−トリル)シラン、トリエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)シラン、メタクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリエトキシ(プロピル)シラン、トリメトキシ[3−(メチルアミノ)プロピル]シラン、トリメトキシ−n−オクチルシラン、トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルシラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン、1−(トリメトキシシリル)ナフタレン、トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、[3−(トリメトキシシリル)プロピル]こはく酸無水物、トリメトキシ(フェニルエチル)シラン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、ビニルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−[2−(N−ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、等が挙げられる。
テトラアルコキシシランの具体例として、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、等が挙げられる。
前記シリケート化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、メチルシリケート51など)やテトラエトキシシランの部分縮合物(例えばコルコート株式会社製、エチルシリケート48など)、等が挙げられる。
本態様の導電性接着剤組成物におけるバインダ成分の含有割合は、導電性複合体100質量部に対して、100質量部以上20000質量部以下であることが好ましく、200質量部以上2000質量部以下であることがより好ましい。
上記下限値以上であると、導電性接着剤層の接着性と膜強度がより良好となる。
上記上限値以下であると、導電性接着剤層の導電性がより良好となる。
[(c)成分:沸点が150℃未満である溶剤]
(c)成分の沸点は、圧力1気圧(101325パスカル)における沸騰温度とする。(c)成分には、(c)成分同士の重合や架橋等の反応により(c)成分自身の分子量が増加する化合物は含まれない。
本態様の導電性接着剤組成物が含む(c)成分は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上であることが好ましく、3種以上であることがより好ましい。
(c)成分として第1の溶剤及び第2の溶剤を含み、第1の溶剤の沸点>第2の溶剤の沸点である場合、第1の溶剤の沸点と第2の溶剤の沸点の差は5℃以上100℃以下であることが好ましく、10℃以上80℃以下であることがより好ましく、15℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。第1の溶剤と第2の溶剤の沸点の差が上記範囲であると、導電性接着剤組成物を予備乾燥する工程において、第2の溶剤の蒸発が第1の溶剤の蒸発よりも遅くなり、乾燥が徐々に進み、接着性を維持した塗膜が容易に形成され得るので好ましい。
(c)成分として第1の溶剤、第2の溶剤、及び第3の溶剤を含み、第1の溶剤の沸点>第2の溶剤の沸点>第3の溶剤の沸点である場合、第1の溶剤の沸点と第2の溶剤の沸点の差は5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。また、第2の溶剤の沸点と第3の溶剤の沸点の差は5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましく、15℃以上40℃以下であることがさらに好ましい。
第1の溶剤、第2の溶剤、第3の溶剤の沸点の差が上記範囲であると、導電性接着剤組成物を予備乾燥する工程において、第3の溶剤の蒸発が第2の溶剤の蒸発よりも遅くなり、第2の溶剤の蒸発が第1の溶剤の蒸発よりも遅くなり、乾燥が徐々に進み、接着性を維持した塗膜がより一層容易に形成され得るので好ましい。
(c)成分の具体例と、その1気圧における沸点を以下に示す。なお、沸点は小数点以下を四捨五入して示す。
(c)成分として、水(沸点100℃)、水溶性有機溶剤、非水溶性有機溶剤が例示される。ここで、水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g以上の有機溶剤であり、非水溶性有機溶剤は、20℃の水100gに対する溶解量が1g未満の有機溶剤である。
(c)成分の水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、1−プロパノール(沸点97℃)、2−プロパノール(イソプロパノール)(沸点83℃)、2−メチル−2−プロパノール(沸点82℃)、1−ブタノール(沸点118℃)、2−ブタノール(沸点100℃)、2−メチル−1−プロパノール(沸点108℃)、アリルアルコール(沸点97℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124℃)等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル(沸点35℃)、ジメチルエーテル(沸点−24℃)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン(沸点102℃)、メチルプロピルケトン(沸点102℃)、メチルブチルケトン(沸点127℃)、イソプロピルメチルケトン(沸点92℃)、メチルイソブチルケトン(沸点118℃)、ジイソプロピルケトン(沸点125℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)、アセトン(沸点56℃)等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物を疎水性の表面を有するフィルム基材に対して塗工する場合、その塗工性が良好になることから、水溶性有機溶剤としてはアルコール系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。
非水溶性有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤等が挙げられる。炭化水素系溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点69℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)、ペンタン(沸点36℃)、ヘプタン(沸点98℃)、オクタン(沸点126℃)等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、o−キシレン(沸点144℃)、m−キシレン(沸点139℃)、p−キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)等が挙げられる。
非水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物における導電性複合体の分散性を向上させる観点から、水(沸点100℃)を含むことが好ましい。
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する水の含有量は、5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上80質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、組成物中の導電性複合体の分散性が向上し、優れた導電性を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の上限値以下であると、疎水性のフィルム基材に対する濡れ性が良好となり、均一な膜厚の塗膜を形成し易く、予備乾燥の時間を比較的短くすることができる。
以上で例示した(c)成分の中でも、予備乾燥における塗布物の接着性の維持が良好になることから、メタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、水(沸点100℃)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)から選択される1種以上の溶剤が特に好ましい。
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する(c)成分の含有量は、50質量%以上98質量%以下が好ましく、70質量%以上95質量%以下がより好ましく、80質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
[(d)成分:沸点が150℃以上である溶剤]
(d)成分の沸点は、圧力1気圧(101325パスカル)における沸騰温度とする。
(d)成分には、(d)成分同士の重合や架橋等の反応により(d)成分自身の分子量が増加する化合物は含まれない。
本態様の導電性接着剤組成物が含む(d)成分は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、1種のみであることが好ましい。
(d)成分として第1の溶剤及び第2の溶剤を含み、第1の溶剤の沸点>第2の溶剤の沸点である場合、第1の溶剤の沸点と第2の溶剤の沸点の差は0℃以上30℃以下であることが好ましく、0℃以上20℃以下であることがより好ましく、0℃以上10℃以下であることがさらに好ましい。第1の溶剤と第2の溶剤の沸点の差が上記範囲であると、導電性接着剤組成物を予備乾燥後に硬化する工程において、第1の溶剤及び第2の溶剤の蒸発がほぼ同時に進み、乾燥及び硬化の速度制御が容易になり、充分な接着性と導電性を有する導電性接着剤層を容易に形成できるので好ましい。
(d)成分の具体例と、その1気圧における沸点を以下に示す。なお、沸点は小数点以下を四捨五入して示す。
(d)成分として、水溶性有機溶剤、非水溶性有機溶剤が例示される。ここで、水溶性有機溶剤と非水溶性有機溶剤の定義は上述と同じである。
(d)成分の水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、窒素原子含有溶剤、硫黄原子含有溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール(沸点198℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点214℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)等の多価アルコールが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、プロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188℃)等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、メチルアミルケトン(沸点151℃)、ジアセトンアルコール(沸点168℃)等が挙げられる。
窒素原子含有溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン(沸点202℃)、ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等が挙げられる。
硫黄原子含有溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性接着剤組成物を疎水性の表面を有するフィルム基材に対して塗工する場合、その塗工性が良好になることから、水溶性有機溶剤としてはアルコール系溶剤又はケトン系溶剤が好ましい。
非水溶性有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤等が挙げられる。炭化水素系溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ノナン(沸点151℃)、デカン(沸点174℃)、ドデカン(沸点216℃)等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、プロピルベンゼン(沸点159℃)、イソプロピルベンゼン(沸点152℃)等が挙げられる。
非水溶性有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
以上で例示した(d)成分の中でも、硬化により優れた接着性と導電性が得られることから、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)、エチレングリコール(沸点198℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点214℃)、又は1,4−ブタンジオール(沸点230℃)が特に好ましい。
本態様の導電性接着剤組成物に含まれる導電性複合体100質量部に対する(d)成分の含有割合は、500質量部以上10000質量部以下が好ましく、1000質量部以上5000質量部以下がより好ましく、1500質量部以上3000質量部以下がさらに好ましい。
本態様の導電性接着剤組成物の総質量に対する(d)成分の含有量は、5質量%以上20質量%以下が好ましく、6質量%以上15質量%以下がより好ましく、7質量%以上12質量%以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、予備乾燥後の塗膜の接着性が良好となりやすい。
上記範囲の上限値以下であると、硬化が良好となり、優れた導電性と接着性が得られやすい。
本態様の導電性接着剤組成物に含まれる(c)成分と(d)成分の割合は、(c)成分の合計質量>(d)成分の合計質量の割合であることが好ましい。この割合の関係であると、導電性接着剤組成物を塗布し易い粘度に希釈することが容易となり、導電性接着剤組成物を塗布した後に予備乾燥した塗布物の接着性を充分に高めることができる。
本態様の導電性接着剤組成物において、(c)成分の溶剤の最も高い沸点と、(d)成分の溶剤の最も低い沸点との差は、40℃以上200℃以下が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましく、60℃以上120℃以下がさらに好ましい。
上記範囲の差であると、導電性接着剤組成物を塗布した後の予備乾燥が容易になり、予備乾燥後の塗布物の接着性を充分に高めることができる。
[(e)任意成分]
(高導電化剤)
本態様の導電性接着剤組成物は、導電性をより向上させるために、高導電化剤を含んでもよい。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ただし、高導電化剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ成分、及び溶剤以外の化合物である。
導電性高分子含有液に含まれる高導電化剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体100質量部に対して、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上2500質量部以下であることがさらに好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
(その他の添加剤)
本態様の導電性接着剤組成物には、その他の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、ポリアニオン、バインダ成分、溶剤、及び高導電化剤以外のものである。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子含有液が前記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、例えば、導電性複合体100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲とすることができる。
本態様の導電性接着剤組成物の23℃における粘度は、5mPa・s以上200mPa・s以下が好ましく、7mPa・s以上180mPa・s以下がより好ましく、10mPa・s以上150mPa・s以下がさらに好ましい。
ここで、上記の粘度は後述する方法で測定された値である。
上記範囲の下限値以上であると、導電性接着剤組成物の塗布物の形状を制御し易い。
上記範囲の上限値以下であると、導電性接着剤組成物を容易に塗布することができる。
≪導電性接着剤組成物の製造方法≫
第一態様の導電性接着剤組成物は、各成分を混合することにより製造することができる。混合方法は特に限定されず、従来の樹脂組成物を混合するために用いられる種々の混合機が適用可能である。
導電性複合体の分散性を高める観点から、導電性複合体は水又は水を含む溶剤に予め分散されていることが好ましい。例えば、0.1質量%以上2.0質量%以下の濃度で分散された導電性複合体の分散液に、(c)成分、(d)成分の順に添加した後、バインダ成分をさらに添加して、充分に攪拌することにより、目的の導電性接着剤組成物を得ることができる。バインダ成分として、加水分解し得るアルコキシシランを配合する場合、(c)成分として水を添加するとともに、充分な時間、例えば12時間〜48時間程度で攪拌を続けることにより、接着性に優れた導電性接着剤組成物を得ることができる。
なお、導電性複合体及び水を含む分散液は、例えば、ポリアニオン及び水を含む分散液に、π共役系導電性高分子を構成するモノマーを添加し、酸化重合させることによって得られる。また、導電性複合体及び水を含む分散液は、市販のものを用いることができる。
≪導電性接着構造体≫
本発明の第二態様は、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体である。本態様は、後述する第三態様の導電性積層体を包含する。
本態様における第一の導電性部材と第二の導電性部材は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
導電性部材として、例えば、金属、導電性金属酸化物、導電性高分子、カーボン等の導電性材料を含む部材が挙げられる。導電性部材は、部材の全体が導電性材料によって形成されていてもよいし、部材の一部のみが導電性材料によって形成されていてもよい。
本態様における導電性接着剤組成物の硬化物の形状は特に制限されず、被着面の形状に合わせて適宜変更される。硬化物による接着性と導電性を高める観点から、第一の導電性部材の導電部の被着面と、第二の導電性部材の導電部の被着面との距離、すなわち硬化物の厚さは、例えば、0.01μm以上100μm以下が好ましく、0.05μm以上50μm以下がより好ましく、0.1μm以上30μm以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、第一の導電性部材と第二の導電性部材の導電性を高めることができ、上記範囲の上限値以下であると、導電性部材の接着性を高めることができる。
本態様における導電性接着剤組成物の硬化物は、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とを接着するとともに、導電部間を電気的に接続している。これにより、例えば、第一の導電部と第二の導電部にテスターの端子を接続して、2つの導電部間の電気抵抗を測定することができる。また、前記硬化物は、遮光材を含まなければ、光を透過する透明性を有し得る。このため、本態様の導電性接着構造体は光学部材の用途に適用できる。
≪導電性接着構造体の製造方法≫
本発明の第三態様は、第一の導電性部材の導電部に、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれるバインダ成分を硬化させる処理を行い、第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、導電性接着構造体の製造方法である。
前記予備乾燥は、前記付着物の接着性が維持される程度に乾燥することをいう。
前記導電性接着剤組成物を付着させる方法は特に制限されず、例えば、塗布、噴霧、浸漬、転写、印刷等の方法が挙げられる。例えば、塗布によって形成された付着物は塗布物と呼び換えられる。
付着物を予備乾燥する温度は特に制限されず、例えば、後述の第四態様の予備乾燥温度を適用することができる。
バインダ成分を硬化させる処理は、バインダ成分の種類に応じて適宜設定され、例えば、加熱、光照射、硬化剤の注入等の方法が挙げられる。加熱による硬化の具体的な方法としては、例えば、後述の第四態様の加熱硬化の方法を適用することができる。
≪導電性積層体≫
本発明の第三態様は、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、前記導電性接着剤層が本発明の第一態様の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体である。
図1に、本態様の一例である導電性積層体1を示す。導電性積層体1は、第一の導電性基材10と、第二の導電性基材20と、導電性接着剤層30とが積層された積層体である。第一の基材11の一方の面には第一の導電層12が備えられ、第二の基材21の一方の面には第二の導電層22が備えられ、第一の導電層12と第二の導電層22とが互いに向き合い、これらの導電層同士が導電性接着剤層30によって接着されている。
ここで図示しないが、第一の基材11の他方の面に導電層が備えられていてもよく、第二の基材21の他方の面に導電層が備えられていてもよい。
導電性積層体1の厚さ方向(積層方向)に見て、第一の導電性基材10と第二の導電性基材20とは完全に重なりあってはおらず、互いに平面方向にずれている。このため、第一の導電層12の端部と、第二の導電層22の端部は、それぞれ導電性接着剤層30に覆われず、露出しており、それぞれ第一の電極12a、第二の電極22aとして機能し得る。
導電性積層体1において、第一の導電層12と、第二の導電層22とは導電性接着剤層30によって電気的に接続されている。これにより、例えば、第一の電極12aと第二の電極22aにテスターの端子を接続して、2つの電極間の電気抵抗を測定することができる。
本態様における導電性接着剤層の平均厚みは、10nm以上5000nm以下が好ましく、20nm以上1000nm以下がより好ましく、30nm以上500nm以下がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、優れた接着性が得られる。
上記範囲の上限値以下であると、優れた導電性が得られる。
導電性接着剤層の平均厚みは、導電性積層体の厚さ方向の断面をデジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察し、導電性接着剤層の任意の10箇所の厚さを測定して、求めた算術平均として求められる。
第一の導電性基材10と第二の導電性基材20は互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図1の導電性積層体1においては、第一の基材11は樹脂フィルムであり、第一の導電層12は導電性高分子を含み、第一の導電性基材10が透明導電性フィルムである場合を例示している。また、第二の基材21はガラス基板であり、第二の導電層22はITO等の導電性金属酸化物を含み、第二の導電性基材20が透明導電性ガラス基板である場合を例示している。
上記のように、本態様の導電性積層体を構成する各導電性基材は、少なくとも一方の面に導電層を有し、他方の面にも導電層を有していてもよい。各導電性基材の導電層は、導電性を有する層であれば特に制限されず、例えば、金属、導電性金属酸化物、導電性高分子、カーボン等の公知の導電性材料を含む導電層を適用することができる。
また、各導電性基材の基材は、絶縁性材料からなる基材であってもよいし、導電性材料からなる基材であってもよい。基材の形状は特に制限されず、例えば、フィルム、基板等の平面を主体とする形状が挙げられる。
(導電性高分子を含む導電層)
基材の少なくとも一方の面に備えられた、導電性高分子を含む導電層の平均厚みとしては、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。
前記導電層の平均厚みが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層の基材に対する接着性が向上する。
導電層の平均厚みを求める方法は、上述の導電性接着剤層の平均厚みを求める方法と同じである。
導電性高分子を含む前記導電層の良好な導電性の目安として、例えば、1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましく、1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下の表面抵抗値を有することがより好ましく、1×10Ω/□以上1×10Ω/□以下の表面抵抗値を有することが好ましい。
(フィルム基材)
導電性基材を構成し得るフィルム基材としては、例えば、プラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
フィルム基材用の樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
フィルム基材には、導電層の接着性をさらに向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
フィルム基材の平均厚みとしては、5μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
前記フィルム基材として、公知の偏光フィルムを使用することもできる。
偏光フィルムとしては、例えば、一対の透明フィルムと、これらの間に配置された偏光層とを備えたものが知られている。
透明フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が挙げられる。
透明フィルムの厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と強度の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
偏光層としては、例えば、親水性フィルムに二色性物質を付着させ、一軸延伸して二色性物質を配向させたものが挙げられる。親水性フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルム等が挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素、二色性染料等が挙げられる。
偏光層の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下とすることができ、薄型化と偏光性の両立の点では、20μm以上300μm以下であることが好ましい。
導電性積層体を光学用途に使用する場合、導電性積層体の少なくとも一部の領域を厚さ方向に見て、可視光の少なくとも一部の波長帯の光を透過する透明性を有することが好ましい。この場合、例えば、導電性積層体の厚さ方向の全光線透過率が65%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。全光線透過率は、JIS K7136に従って測定した値である。
上記のように導電性積層体が透明であるためには、前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層であることが好ましい。
導電性接着剤層を構成する前記硬化物は、遮光材を含まなければ、光を透過する透明性を有し得る。このため、本態様の導電性積層体は光学部材の用途に適用できる。
≪導電性積層体の製造方法≫
本発明の第四態様は、第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、本発明の第一態様の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、導電性積層体の製造方法である。
本態様で用いる第一の導電層は、第一の導電性基材において第一の基材の一方の面(表面)に備えられており、第二の導電層は、第二の導電性基材において第二の基材の一方の面(表面)に備えられている。第一の導電性基材及び第二の導電性基材の説明は、第三態様における第一の導電性基材及び第二の導電性基材の説明と同じであるので、ここでは省略する。
[塗膜の形成]
導電性接着剤組成物を第一の導電性基材の第一の導電層に塗布(塗工)して塗膜を形成する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
市販のバーコーターには、塗布厚に応じた番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗布できる。
導電性接着剤組成物の塗布量は特に制限されないが、導電性と接着性を勘案して、固形分として、0.01g/m以上10.0g/m以下が好ましく、0.1g/m以上7.0g/m以下がより好ましく、0.5g/m以上5.0g/m以下がさらに好ましい。
[塗膜の予備乾燥]
塗布により形成された塗膜を予備乾燥して、塗膜に含まれる溶剤の一部を蒸発させることにより、塗膜の接着性を維持しつつ乾燥する。この目的を達成するための予備乾燥の温度としては、5℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上90℃以下がより好ましく、20℃以上70℃以下がさらに好ましい。
ここで、塗膜の予備乾燥温度は、塗膜の周囲の雰囲気温度である。
上記範囲の下限値以上であると、溶剤を現実的な時間内で蒸発させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、塗膜に含まれるバインダ成分の接着性を維持することができる。
上記範囲の温度における予備乾燥の時間としては、例えば、1分以上20分以下で行うことができる。
予備乾燥を上記の温度範囲で行う方法としては、例えば、塗膜を形成した第一導電性基材を乾燥機の室内に保持する方法、所定温度の温風を塗膜に吹き付ける方法、ヒーターにより塗膜を加熱する方法等が挙げられる。
[塗膜に対する第二導電層の貼付]
予備乾燥を終えた第一の導電性基材上の塗膜は、バインダ成分に由来する接着性を有する。この塗膜に対して、第二の導電性基材の第二の導電層を貼付する。貼付方法は特に制限されず、軽く押し付けて、所望の領域を密着させればよい。この貼付により、第一の基材と、第一の導電層と、接着性を有する塗膜と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された積層体が得られる。
[塗膜の硬化]
上記の積層体が備える塗膜を硬化させることにより、第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された、目的の導電性積層体を得ることができる。
塗膜の硬化方法としては、熱硬化させる方法が好ましい。光照射によって硬化するバインダ成分を用いて光硬化させる方法を採用しても構わないが、塗膜に残留する溶剤を充分に除去する観点から、熱硬化させる方法が好ましい。
熱硬化における加熱温度としては、80℃以上300℃以下が好ましく、100℃以上200℃以下がより好ましく、120℃以上150℃以下がさらに好ましい。
ここで、熱硬化における加熱温度は、前記積層体の周囲の雰囲気温度である。
上記範囲の下限値以上であると、塗膜から溶剤を充分に除去し、優れた膜強度、すなわち高い接着力を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の上限値以下であると、塗膜に含まれる導電性複合体の熱による劣化を抑制して、良好な導電性を有する導電性接着剤層を形成することができる。
上記範囲の温度における硬化の時間としては、塗膜に含まれる(d)成分の種類及び沸点にもよるが、例えば、1分以上20分以下で行うことができる。
硬化を上記の温度範囲で行う方法としては、例えば、前記貼付により得た積層体を乾燥機の室内に保持する方法、所定温度の温風を前記積層体に吹き付ける方法、ヒーターにより前記積層体を加熱する方法等が挙げられる。
<作用効果>
本発明の第一態様の導電性接着剤組成物は、(c)成分および(d)成分を含むので、この組成物からなる塗膜を比較的低温で予備乾燥させると、溶剤の一部が塗膜に残り、良好な接着性を発揮させることができる。
本発明の第二態様の導電性接着構造体及び第四態様の導電性積層体にあっては、2つの向かい合う導電部が導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている。前記硬化物は導電性を有するので、前記2つの導電部は前記硬化物によって電気的に接続されている。
本発明の第三態様の導電性接着構造体の製造方法、及び第五態様の導電性積層体の製造方法おいては、予備乾燥後の接着力を利用して2つの導電部を接着することにより、目的の導電性接着構造体及び導電性積層体を容易に得ることができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000mlの溶媒を限外ろ過法により除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)水系分散媒を含む導電性高分子含有液(導電性高分子水系分散媒)の製造
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
次いで、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去した。この操作を5回繰り返し、濃度1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)が水系分散媒に分散された導電性高分子水系分散媒を得た。
<導電性接着剤組成物1の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)25gと、イオン交換水(沸点100℃)22gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン5gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物1を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物1の23℃における粘度は12mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物2の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、エタノール(沸点78℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分である水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−645GH、固形分30%)10gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物2を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物2の23℃における粘度は18mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物3の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)2gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)20gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物3を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物3の23℃における粘度は55mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物4の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)7gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、エチレングリコール(沸点198℃)10gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3g及び水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−647GEX、固形分20%)10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物4を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物4の23℃における粘度は32mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物5の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3g及びポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物5を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物5の23℃における粘度は24mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物6の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、エタノール(沸点78℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)5gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分である水分散性ポリエステル樹脂(高松油脂株式会社製、ペスレジン A−647GEX、固形分20%)10g及びポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバール PVA217、固形分10%)10gを加え、室温で2時間攪拌することにより、導電性接着剤組成物6を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物6の23℃における粘度は43mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物7の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)12gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)8gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン3gと水溶性ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、エスレックKW−10、固形分25%)10gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物7を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物7の23℃における粘度は29mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物8の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)30gと、イオン交換水(沸点100℃)2gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、プロピレングリコール(沸点188℃)8gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA217、固形分10%)10gと水溶性ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製、エスレックKW−10、固形分25%)10gを加え、室温で2時間撹拌することで導電性接着剤組成物8を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物8の23℃における粘度は40mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物9の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)27gと、イオン交換水(沸点100℃)4gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)5gと、1,3−プロパンジオール(沸点214℃)10gとを加え、バインダ成分であるポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、クラレポバールPVA217、固形分10%)30gとポリビニルピロリドン樹脂(東京化成工業株式会社製、ポリビニルピロリドンK90)1gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物9を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物9の23℃における粘度は113mPa・sであった。
<導電性接着剤組成物10の調製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒30g(PEDOT-PSSの含有量:約0.36g)に、メタノール(沸点65℃)25gと、イオン交換水(沸点100℃)25gと、1−メトキシ−2−プロパノール(沸点120℃)10gと、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)7gとを加え、バインダ成分であるテトラエトキシシラン2gとポリビニルピロリドン樹脂(東京化成工業株式会社製、ポリビニルピロリドンK90)1gを加え、室温で24時間撹拌することで導電性接着剤組成物10を得た。
後述の方法で測定した導電性接着剤組成物10の23℃における粘度は95mPa・sであった。
(粘度測定)
上記で調製した各導電性接着剤組成物の23℃における粘度は、株式会社エー・アンド・デイ社製「音叉型振動式粘度計SV-10A」を用いて測定した。
なお、振動式粘度計による粘度の測定は、JIS Z8809で規定された粘度計校正用標準液を用いて粘度計を校正した後で行った。
<導電性基材Aの作製>
製造例2で得た導電性高分子水系分散媒40gに、メタノール17gと、イオン交換水20gと、1−メトキシ−2−プロパノール10gと、エチレングリコール10gと、テトラエトキシシラン3gとを加え、さらに安定剤である3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸水和物0.10gを加え、室温で24時間攪拌することにより、導電性コーティング組成物1を得た。
次に、スピンコーター(ミカサ株式会社製MS−B100)を用いて、76mm角のアルカリガラス上に導電性コーティング組成物1を回転数700rpmでコートし、120℃で30分間加熱硬化させることで、ガラス基材の表面に導電性ポリマーを含む導電層を備えた導電性基材Aを得た。導電性基材Aの導電層のシート抵抗値は200Ω/sq.であった。
<導電性基材Bの作製>
バーコーターを用いて、76mm角に裁断したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)上に、上記の導電性コーティング組成物1を塗布し、120℃で5分間加熱硬化させることで、PETフィルムの表面に導電性ポリマーを含む導電層を備えた導電性基材Bを得た。導電性基材Bの導電層のシート抵抗値は240Ω/sq.であった。
<導電性基材Cの準備>
ガラス基材の表面にITO(酸化インジウムと酸化スズの混合物)膜が形成された導電性基材Cを、平岡特殊硝子製作株式会社から購入した。ITO膜のシート抵抗値は25Ω/sq.であり、76mm角のサイズとした。
[実施例1]
2枚の導電性基材Aをコロナ処理機によりそれぞれ表面処理し、端の一部をマスキングテープで保護した。1枚目の導電性基材Aの処理面に、スピンコーターを用いて導電性接着剤組成物1を回転数700rpmでコートし、予備乾燥として24℃で5分間乾燥した後の塗膜に、2枚目の導電性基材Aの処理面を貼り合わせた。この際、各導電性基材Aの接着面が50mm×76mmとなるようにずらして貼り合わせ、マスキングテープで保護した端部が露出するようにした。
次に、120℃のオーブンで5分間加熱硬化することで、図1に示すような、第一の導電性基材A/導電性接着剤層/第二の導電性基材Aの順に積層された導電性積層体1を得た。
導電性積層体1の導電性接着剤層の厚さは約0.2μmであった。
(接着力の評価)
導電性積層体1の各導電性基材Aにおけるマスキングテープで保護した端部をそれぞれ冶具で固定し、約10kgfの荷重で180度方向の引っ張り試験を行い、導電性積層体1を構成する導電性接着剤層の接着力を評価した。その結果、10kgfの荷重をかけても剥離は生じなかった。
(導電性の評価)
導電性積層体1の各導電性基材Aが有するマスキングテープを除去して、第一の導電性基材Aの端部の導電層と、第二の導電性基材Aの端部の導電層をそれぞれ露出させ、各露出部にテスターの端子を接触させ、2つの導電性基材間の電気抵抗Ra[Ω]を測定した。
上記とは別に、1枚の導電性基材Aの両端にテスターの端子を接触させ、単一の導電性基材A内における電気抵抗Rb[Ω]を測定した。
上記の測定値から、Rc=Ra/Rbの電気抵抗比を算出し、導電性積層体1の導電性の指標とした。具体的な測定値は、Ra=2.2kΩ、Rb=2.1kΩ、Rc=1.05であった。
以上の結果から、導電性積層体1の接着性及び導電性は良好であった。
[実施例2〜10]
下記表に示す構成で、実施例1と同様に導電性積層体を作製し、その接着性及び導電性を評価した。
Figure 2020152881
[比較例1]
ジメチルスルホキシドを添加しないこと以外は、導電性接着剤組成物1の調製と同様にして、接着剤組成物C1を得た。この接着剤組成物C1を用いて、実施例1と同様の方法で導電性積層体を作製した。その結果、電気抵抗比Rc>100であり、導電性が不十分であった。
[比較例2]
導電性接着剤組成物4において、エチレングリコールの配合量を3gに変更して、イオン交換水の配合量を14gに変更した以外は、導電性接着剤組成物4と同様にして、接着剤組成物C2を得た。この接着剤組成物C2を用いて、実施例4と同様の方法で導電性積層体を作製した。その結果、電気抵抗比Rcは20であり、導電性が不十分であった。
[比較例3]
実施例1の導電性積層体の作製において、実質的な予備乾燥を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして導電性積層体を得た。その結果、得られた導電性積層体の接着性は不良であり、さらに接着面に不均一な模様が発生して外観不良が生じた。
[比較例4]
実施例5の導電性積層体の作製において、1枚目の導電性基材の表面に形成した塗膜の表面の接着性が失われる程度に、120℃で1分間乾燥した後、2枚目の導電性基材を重ね合わせたこと以外は、実施例5と同様にして導電性積層体を得た。その結果、得られた導電性積層体の接着性は不良であった。
1…導電性積層体
10…第一の導電性基材、11…第一の基材、12…第一の導電層、12a…第一の電極
20…第二の導電性基材、21…第二の基材、22…第二の導電層、22a…第二の電極
30…導電性接着剤層

Claims (14)

  1. 下記(a)〜(d)の成分を含み、第一の導電性部材の導電部と第二の導電性部材の導電部とを接着する導電性接着剤層を形成する用途で用いられる導電性接着剤組成物。
    (a)π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体
    (b)バインダ成分
    (c)沸点が150℃未満である溶剤
    (d)沸点が150℃以上である溶剤
  2. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1に記載の導電性接着剤組成物。
  3. 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項1又は2に記載の導電性接着剤組成物。
  4. 前記バインダ成分がアルコキシシラン、アルコキシシランの縮合物及び水分散性樹脂のうち少なくとも1種を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
  5. 前記バインダ成分が水分散性樹脂を含み、前記水分散性樹脂がポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、及びポリビニルアセタール樹脂から選ばれる1種以上を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
  6. 23℃における粘度が5mPa・s以上200mPa・s以下である、請求項1〜5の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
  7. 総質量に対する前記(d)成分の含有量が5質量%以上である、請求項1〜6の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
  8. 前記(d)成分が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、及び1,4−ブタンジオールから選ばれる1種以上である、請求項1〜7の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物。
  9. 第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物によって接着されている、導電性接着構造体。
  10. 第一の導電性部材の導電部に、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を付着させて付着物を形成し、前記付着物を予備乾燥した後、
    第二の導電性部材の導電部を前記付着物に貼り付け、その後、前記付着物に含まれる前記(b)成分を硬化させる処理を行い、
    第一の導電性部材の導電部と、第二の導電性部材の導電部とが、前記付着物の硬化物によって接着されるとともに電気的に接続された導電性接着構造体を得ることを含む、
    導電性接着構造体の製造方法。
  11. 第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層され、
    前記導電性接着剤層が請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物の硬化物である、導電性積層体。
  12. 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、
    前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、請求項11に記載の導電性積層体。
  13. 第一の基材の表面に備えられた第一の導電層に、請求項1〜8の何れか一項に記載の導電性接着剤組成物を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を予備乾燥した後、
    第二の基材の表面に備えられた第二の導電層を前記塗膜に貼り合わせ、その後、前記予備乾燥の温度よりも高い温度で前記塗膜を加熱して熱硬化させることにより、
    第一の基材と、第一の導電層と、導電性接着剤層と、第二の導電層と、第二の基材とが、この順で互いに接して積層された導電性積層体を得ることを含む、
    導電性積層体の製造方法。
  14. 前記第一の基材及び前記第二の基材は、可視光線の少なくとも一部を透過し得る透明基材であり、
    前記第一の導電層及び前記第二の導電層は、導電性高分子又は導電性金属酸化物を含む透明導電層である、
    請求項13に記載の導電性積層体の製造方法。
JP2019055604A 2019-03-22 2019-03-22 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法 Active JP7100603B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019055604A JP7100603B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019055604A JP7100603B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020152881A true JP2020152881A (ja) 2020-09-24
JP7100603B2 JP7100603B2 (ja) 2022-07-13

Family

ID=72557932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019055604A Active JP7100603B2 (ja) 2019-03-22 2019-03-22 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7100603B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05166686A (ja) * 1991-12-13 1993-07-02 Nippon Chemicon Corp コンデンサ
JP2009500832A (ja) * 2005-06-30 2009-01-08 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア 導電性ポリマー接着剤、導電性ポリマー接着剤を使用して生成されるデバイス、及び製造方法
WO2012043025A1 (ja) * 2010-09-30 2012-04-05 リンテック株式会社 導電性接着剤組成物、電子デバイス、陽極積層体及び電子デバイスの製造方法
JP2013191294A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Hitachi Maxell Ltd 透明導電性コーティング組成物、透明導電性シート、及び透明導電性シートの製造方法
JP2015117364A (ja) * 2013-11-13 2015-06-25 ナガセケムテックス株式会社 導電性樹脂組成物及び透明導電積層体
JP2016221874A (ja) * 2015-06-01 2016-12-28 ナガセケムテックス株式会社 導電積層体
JP2018203861A (ja) * 2017-06-02 2018-12-27 信越ポリマー株式会社 導電性高分子分散液、帯電防止性基板及びその製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05166686A (ja) * 1991-12-13 1993-07-02 Nippon Chemicon Corp コンデンサ
JP2009500832A (ja) * 2005-06-30 2009-01-08 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア 導電性ポリマー接着剤、導電性ポリマー接着剤を使用して生成されるデバイス、及び製造方法
WO2012043025A1 (ja) * 2010-09-30 2012-04-05 リンテック株式会社 導電性接着剤組成物、電子デバイス、陽極積層体及び電子デバイスの製造方法
JP2013191294A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Hitachi Maxell Ltd 透明導電性コーティング組成物、透明導電性シート、及び透明導電性シートの製造方法
JP2015117364A (ja) * 2013-11-13 2015-06-25 ナガセケムテックス株式会社 導電性樹脂組成物及び透明導電積層体
JP2016221874A (ja) * 2015-06-01 2016-12-28 ナガセケムテックス株式会社 導電積層体
JP2018203861A (ja) * 2017-06-02 2018-12-27 信越ポリマー株式会社 導電性高分子分散液、帯電防止性基板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7100603B2 (ja) 2022-07-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI720310B (zh) 導電性高分子分散液、導電性基板及其製造方法
JP6837387B2 (ja) 導電性高分子分散液、帯電防止性基板及びその製造方法
JP7100603B2 (ja) 導電性接着剤組成物、導電性接着構造体及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法
JP7340955B2 (ja) 導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP7382789B2 (ja) 導電性離型フィルム
JP7269843B2 (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体及びその製造方法
JP7341029B2 (ja) 導電性離型フィルム及びその製造方法
JP7269816B2 (ja) 導電性離型フィルム及びその製造方法
JP7325280B2 (ja) 導電性フィルム及びその製造方法
JP2024070463A (ja) 導電性積層体及びその製造方法
JP7475156B2 (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体及びその製造方法
JP7269854B2 (ja) 導電性高分子分散液、導電性フィルム、電極及びこれらの製造方法
JP2024008379A (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体及びその製造方法
JP7475168B2 (ja) 導電性フィルムの製造方法
JP7241473B2 (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
TWI754305B (zh) 含導電性高分子的液體、導電性膜、導電性層疊體以及它們的製造方法
JP2022069939A (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体及びその製造方法
JP7479160B2 (ja) 導電性高分子分散液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法
JP7269810B2 (ja) 導電性高分子分散液、並びに導電性フィルム及びその製造方法
JP7129287B2 (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体の製造方法
JP6678070B2 (ja) 透明導電性コーティング組成物、透明導電性シート及びその製造方法
JP2023018388A (ja) 導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法
JP2024040594A (ja) 導電性高分子含有液、導電性フィルム及びその製造方法
JP2022112834A (ja) 導電性高分子分散液、導電性積層体及びその製造方法
JP2023004071A (ja) 導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性積層体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210518

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220325

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7100603

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350