JP2020152822A - 封止用樹脂組成物、フィルムコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温での充填性および硬化性に優れるとともに、生産性に優れるフィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止技術を提供する。【解決手段】封止用樹脂組成物は、フィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止に用いられ、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填材と、を含み、無機充填材の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以上78質量%以下であり、封止用樹脂組成物を120℃で4時間加熱して得られる硬化物のガラス転移温度が、140℃以上であり、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温した際に得られる当該封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度が、80℃以上140℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂組成物、フィルムコンデンサおよびその製造方法に関する。
フィルムコンデンサ素子を樹脂で封止する技術として、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1(特開平6−5463号公報)には、エポキシ樹脂、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸、硬化促進剤として2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含有してなるコンデンサ用樹脂組成物について記載されており、かかるコンデンサ用樹脂組成物は、金属層を腐触させないため亜鉛、アルミニウム等又はこれらの合金からなる金属層を有するコンデンサの封止、保護に適しているとされている。また、同文献には、封止方法として、ポッティング、ディッピング等があると記載されている。
特許文献2(特開2006−147687号公報)には、低発熱で低インダクタンス特性を維持しつつ、耐熱衝撃性、耐湿性に優れ、なおかつ生産性の高い車載用に適したフィルムコンデンサおよびその製造方法を提供することを目的とする技術として、フィルムコンデンサ素子の電極部に金属端子を接続する工程と、金属端子が接続されたフィルムコンデンサ素子をケースに収納する工程と、第1のエポキシ樹脂組成物を注入する工程と、第1のエポキシ樹脂組成物が注入されたものを一定時間加熱硬化させる工程と、第1のエポキシ樹脂組成物よりも線膨張係数の小さい第2のエポキシ樹脂組成物を第1のエポキシ樹脂組成物の上に注入する工程と、第2のエポキシ樹脂組成物が注入されたものを一定時間加熱硬化させる工程とを有する、フィルムコンデンサの製造方法について記載されている。
また、特許文献3(特開2012−234932号公報)には、金型内にフィルムコンデンサ素子を設置した後、金型を閉じ、射出成型方法によって、金型内に樹脂組成物を注入し、樹脂組成物を加熱硬化させるフィルムコンデンサの製造方法について記載されており、樹脂組成物が、フィラー含有量が40〜85質量%であり、示差走査熱量測定(DSC)での反応開始温度が80℃〜120℃の液状のエポキシ樹脂組成物であることが記載されている。同文献によれば、かかる製造方法を用いると、熱硬化性樹脂による成形体自体がケースとしての性能を発揮するので、封止、ケース成形を一括してでき、製造工数を削滅することができ、その結果、製造コスト低下に寄与できるとされている。また、熱プレス工程を省略できることから、フィルムコンデンサ素子の劣化が防止でき静電容量の安定性が良好で、かつ、耐衝撃性、信頼性に優れ、その上外観の優れたフィルムコンデンサが得られるとされている。
特開平6−5463号公報 特開2006−147687号公報 特開2012−234932号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、前述の各文献に記載の技術においては、低温での充填性および硬化性に優れるとともに、生産性に優れるフィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止技術を提供するという点で改善の余地があった。
本発明によれば、
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
硬化促進剤と、
無機充填材と、
を含み、
前記無機充填材の含有量が、当該封止用樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以上78質量%以下であり、
当該封止用樹脂組成物を120℃で4時間加熱して得られる硬化物のガラス転移温度が、140℃以上であり、
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温した際に得られる当該封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度が、80℃以上140℃以下である、封止用樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、前述した本発明における封止用樹脂組成物の硬化物でフィルムコンデンサ素子を封止してなるフィルムコンデンサが提供される。
また、本発明によれば、
フィルムコンデンサ素子を準備する工程と、
前記フィルムコンデンサ素子を、前述した本発明における封止用樹脂組成物の硬化物で封止する工程と、
を含む、フィルムコンデンサの製造方法が提供される。
本発明によれば、低温での充填性および硬化性に優れるとともに、生産性に優れるフィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止技術を提供することができる。
本実施形態におけるフィルムコンデンサの構成を示す斜視図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。また、本実施形態において、組成物は、各成分を単独でまたは2種以上を組み合わせて含むことができる。
(封止用樹脂組成物)
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、フィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止に用いられ、エポキシ樹脂と、硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填材と、を含む。そして、無機充填材の含有量が、封止用樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以上78質量%以下であり、封止用樹脂組成物を120℃で4時間加熱して得られる硬化物のガラス転移温度が、140℃以上であり、示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温した際に得られる封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度が、80℃以上140℃以下である。
本発明者は、フィルムコンデンサ素子を有するフィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止における生産性を向上すべく検討した。その結果、封止用樹脂組成物が上述の各成分を含むとともに、硬化物のガラス転移温度およびDSC曲線における最大発熱ピーク温度を上述の範囲とすることにより、フィルムコンデンサ素子に対する影響を抑制できる程度の低温にてフィルムコンデンサ素子を安定的に封止することができるとともに、トランスファー成形等の成形方法にて効率良くフィルムコンデンサ素子を封止できることを見出した。
本実施形態においては、たとえば130℃以下、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下の低温にてフィルムコンデンサ素子を封止する場合にも、充填性および硬化性に優れる封止用樹脂組成物を得ることも可能となる。
また、本実施形態においては、たとえば、固形状の封止用樹脂組成物を用いてトランスファー成形、圧縮成形、インジェクション成形等により、フィルムコンデンサ素子の封止をおこなうことも可能となる。
以下、封止用樹脂組成物の熱特性について説明する。ここで、封止用樹脂組成物のDSC曲線は、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温する条件で封止用樹脂組成物について測定することにより得られる。
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温した際に得られる封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度は、封止用樹脂組成物の充填性を向上する観点から、80℃以上であり、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上である。
また、封止用樹脂組成物の低温での硬化性を向上する観点から、上記最大発熱ピーク温度は、140℃以下であり、好ましくは135℃以下、より好ましくは130℃以下である。
封止用樹脂組成物のDSC曲線における発熱開始温度は、樹脂組成物を混練した際の意図しない硬化反応を防ぎ、低温で封止する際の樹脂組成物の流動性を好ましいものとする観点から、好ましくは70℃以上であり、より好ましくは72℃以上、さらに好ましくは74℃以上である。
また、封止用樹脂組成物の低温での硬化性を向上する観点から、上記発熱開始温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは80℃以下、さらにより好ましくは78℃以下である。
ここで、封止用樹脂組成物のDSC曲線における発熱開始温度とは、70℃における発熱量高さH1と最大発熱ピーク温度における発熱量高さHMAXとの差をΔH1とし、発熱量高さH1を基準としたときに、発熱量高さHが、ΔH1の10%に達した時の温度とする。
封止用樹脂組成物のDSC曲線における、70℃における発熱量高さH1と最大発熱ピーク温度における発熱量高さHMAXとの差を表すΔH1の10%を超える発熱ピークの数は、封止用樹脂組成物の硬化特性の安定性を向上する観点から、好ましくは1つである。
本実施形態において、最大発熱ピーク温度におけるピーク高さΔH1は、70℃における発熱量と最大発熱ピーク温度における発熱量との発熱量差で表される。
上記ΔH1は、封止用樹脂組成物の硬化性を向上する観点から、好ましくは150μW/mg以上であり、好ましくは180μW/mg以上、より好ましくは200μW/mg以上である。
また、上記ΔH1の上限値は、限定されないが、たとえば400μW/mg以下であってもよく、また、300μW/mg以下であってもよい。
本実施形態において、封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度等の熱特性は、たとえば、封止用樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、封止用樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより制御することができる。これらの中でも、たとえば、硬化促進剤を使用することや、硬化促進剤の中でも、低温時の反応性を高めるため、官能基の立体障害が小さいものを適切に選択すること、また硬化促進剤の分散性や含有量を高めること、封止用樹脂組成物の製造工程において硬化反応が進みすぎないように混練温度を低くすること等が、所望の熱特性を有する封止用樹脂組成物を得るための要素として挙げられる。
封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、硬化物の耐熱性を向上する観点から、140℃以上であり、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上である。
また、封止用樹脂組成物の硬化物のTgは、たとえば250℃以下であってよく、また、たとえば220℃以下であってもよい。
ここで、ガラス転移温度の測定のための硬化物は、封止用樹脂組成物を120℃で4時間硬化することにより得られる。
具体的には、ガラス転移温度は、たとえば低圧トランスファー成形機を用いて金型温度120、注入圧力9.8MPa、硬化時間300秒で封止用樹脂組成物を注入成形して得た試験片を120℃、4時間で後硬化した後、当該試験片に対して熱機械分析装置を用いて測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定を行って得た測定結果から算出することができる。低圧トランスファー成形機としては、たとえばKTS−15(コータキ精機社製)を用いることができる。また、熱機械分析装置としては、たとえばTMA100(セイコー電子工業社製)やTMA7100(日立ハイテクサイエンス社製)を用いることができる。
封止用樹脂組成物の粘度については、120℃かつ荷重40kgfで測定した高化式フローテスター最低溶融粘度(以下、「高化式フロー粘度」とも呼ぶ。)は、下限については制限はないが、金型のエアベントからの樹脂漏れを抑制するという観点から、好ましくは10Pa・s以上であり、より好ましくは30Pa・s以上である。
一方、低温成形時の充填性等を向上して封止材の製造安定性を高める観点から、高化式フロー粘度は、好ましくは100Pa・s以下であり、より好ましくは90Pa・s以下、さらに好ましくは70Pa・s以下である。
また、封止用樹脂組成物を120℃においてキュラストメーターで測定したトルク値が、測定開始から2N・mに到達するまでの時間は、成形時における流動性を向上する観点から、好ましくは30秒以上であり、より好ましくは50秒以上、さらに好ましくは100秒以上である。
また、低温硬化での生産性を向上する観点から、上記トルク値が測定開始から2N・mに到達するまでの時間は、好ましくは300秒以下であり、より好ましくは200秒以下、さらに好ましくは150秒以下である。
以下、封止用樹脂組成物の構成成分について説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造は限定されない。
エポキシ樹脂としては、たとえば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の2官能性または結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物の流動性を向上して成形性を向上する観点から、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは8質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上である。
また、硬化物の耐湿信頼性や耐リフロー性、耐温度サイクル性を向上する観点から、エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(硬化剤)
硬化剤として、フェノール樹脂硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール樹脂硬化剤が好ましい。また、複数の系統の硬化剤を組み合わせてもよい。
フェノール樹脂硬化剤としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合または共縮合させて得られるノボラック樹脂;上述のフェノール類とジメトキシパラキシレンまたはビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂;ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂;トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、たとえば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン;ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミン;ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどのポリアミン化合物からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、たとえば、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物;無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物からなる群から選択される1種または2種以上が挙げられる。
メルカプタン系硬化剤としては、たとえば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)からなる群から選択される1以上の化合物が挙げられる。
また、その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられる。
また、硬化剤がフェノール樹脂硬化剤である場合、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわち、(エポキシ樹脂中のエポキシ基モル数/フェノール樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基モル数の比)は、封止用樹脂組成物の成形性および信頼性を向上する観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上であり、また、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下である。
(硬化促進剤)
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と硬化剤との架橋反応を促進させるものを用いることができる。硬化促進剤の具体例として、イミダゾール化合物が挙げられる。低温硬化性と充填性のバランスの観点から、イミダゾール化合物の官能基は、好ましくは3個以下であり、より好ましくは1個以下である。
イミダゾール化合物として、たとえば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群から選択される1または2以上の化合物が挙げられる。
硬化促進剤は、低温硬化性を向上する観点および低温成形時の充填性等を向上して封止材の製造安定性を高める観点から、好ましくは2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールおよび2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群から選択される1以上の化合物を含み、より好ましくは2−フェニルイミダゾールおよび2−メチルイミダゾールの1以上を含む。
封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の硬化性を向上する観点から、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。
また、低温成形時の充填性等を向上して封止材の製造安定性を高める観点から、封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
(無機充填材)
無機充填材としては、たとえば、溶融シリカ、結晶シリカ、非晶質シリカ等のシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウムが挙げられる。汎用性に優れる点から、無機充填材は好ましくはシリカを含み、より好ましくは球状のシリカを含み、さらに好ましくは溶融球状シリカを含む。
また、安価に封止材を作成するという観点では、無機充填材がシリカを含み、シリカが球状シリカおよび破砕シリカを含むことが好ましい。
無機充填材の平均粒径d50は、流動性を向上する観点から、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。
また、充填性を向上する観点から、無機充填材の平均粒径d50は、好ましくは50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。
ここで、無機充填材の粒径分布は、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(たとえば、島津製作所社製、SALD−7000)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定することにより取得することができる。
封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、硬化物の耐衝撃性や耐湿性を向上する観点から、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上する観点から、無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、78質量%以下であり、好ましくは75質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
また、封止用樹脂組成物は、上述した成分以外の成分を含んでもよい。たとえば、封止用樹脂組成物が、離型剤、カップリング剤、イオン捕捉剤、pH調整剤、着色剤、低応力材、酸化防止剤からなる群から選択される1種または2種以上を含んでもよい。
封止用樹脂組成物中のこれら各成分の量は、封止用樹脂組成物の全固形分に対して、それぞれ、0.01〜2質量%程度の量とすることができる。
離型剤は、たとえばカルナバワックス等の天然ワックス;酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸エステルワックス、1−アルケン(C>10)・マレイン酸無水物の重縮合物とステアリルアルコールとの反応生成物等の合成ワックス;ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類;ならびにパラフィンから選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
カップリング剤の具体例として、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン化合物、チタン化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム化合物が挙げられる。
シラン化合物の具体例として、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物が挙げられる。
チタン化合物の具体例として、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。
これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物が好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることが好ましい。
pH調整剤の具体例として、ハイドロタルサイトが挙げられる。
着色剤の具体例として、カーボンブラック、ベンガラが挙げられる。
また、低応力剤の具体例として、シリコーンオイル、シリコーンゴム、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルゴムが挙げられる。樹脂流動性向上の観点から、低応力剤は、好ましくはシリコーンオイルおよびカルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルゴムからなる群から選択される1種以上を含む。
次に、封止用樹脂組成物の製造方法を説明する。本実施形態において、封止用樹脂組成物は、たとえば、まず、前述の各原料成分を、公知の手段で混合することにより混合物を得る。さらに、混合物を溶融混練することにより、混練物を得る。混練方法としては、たとえば、1軸型混練押出機、2軸型混練押出機等の押出混練機や、ミキシングロール等のロール式混練機を用いることができるが、2軸型混練押出機を用いることが好ましい。冷却した後、混練物を粉粒状、顆粒状、タブレット状、またはシート状とすることができる。
粉粒状の樹脂組成物を得る方法としては、たとえば、粉砕装置により、混練物を粉砕する方法が挙げられる。混練物をシートに成形したものを粉砕してもよい。粉砕装置としては、たとえば、ハンマーミル、石臼式磨砕機、ロールクラッシャーを用いることができる。
顆粒状または粉末状の樹脂組成物を得る方法としては、たとえば、混練装置の出口に小径を有するダイスを設置して、ダイスから吐出される溶融状態の混練物を、カッター等で所定の長さに切断するというホットカット法に代表される造粒法を用いることもできる。この場合、ホットカット法等の造粒法により顆粒状または粉末状の樹脂組成物を得た後、樹脂組成物の温度があまり下がらないうちに脱気を行うことが好ましい。
ここで、本実施形態においては、たとえば、各原料成分の種類や配合量を適切に選択するとともに、封止用樹脂組成物の調製方法等を適切に選択し、具体的には硬化反応が進みすぎないように混練温度を、たとえば50〜80℃程度の低温とすることにより、所望の熱特性を有する封止用樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態において得られる封止用樹脂組成物は、フィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止に好適に用いられ、その際の低温での充填性および硬化性に優れるものである。また、本実施形態において得られる封止用樹脂組成物を用いることにより、フィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールを優れた生産性で安定的に得ることも可能となる。たとえば、本実施形態によれば、120℃、5分程度の封止条件にて封止用樹脂組成物の硬化物からなる封止材を形成することも可能となる。
(フィルムコンデンサ)
本実施形態において、フィルムコンデンサは、前述した本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物でフィルムコンデンサ素子を封止してなる。
図1は、本実施形態におけるフィルムコンデンサの構成の一例を示す斜視図である。図1に示したフィルムコンデンサ100は、フィルムコンデンサ素子101と、フィルムコンデンサ素子101を封止する封止材103とを含み、封止材103が前述した本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物により構成されている。
また、フィルムコンデンサ100は、フィルムコンデンサ素子101に電気的に接続する電極105および電極107を有する。
フィルムコンデンサ素子101は、たとえば巻回型、積層型のものが挙げられる。また、フィルムコンデンサ素子101は、具体的には、基材層と、金属層とを、含む。
基材層は、具体的には誘電体により構成される。さらに具体的には、基材層の材料はおポリプロピレンを含む。
基材層の厚さは、耐衝撃性や耐絶縁破壊性を向上する観点から、好ましくは0.5μm以上であり、より好ましくは1.0μm以上である。また、小型化と電気容量特性の両立の観点から、基材層の厚さは、好ましくは600μm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、また、たとえば100μm以下、またはたとえば10μm以下であってもよい。
金属層の材料としては、Al、Sn、Cu、Zn等が挙げられる。
また、封止材103は、フィルムコンデンサ素子101を封止用樹脂組成物で封止してなる封止層である。封止材103の厚さは、最も薄い部分において、耐衝撃性や耐湿性を向上する観点から、好ましくは0.5mm以上であり、より好ましくは1mm以上である。また、フィルムコンデンサ100全体の小型化の観点から、封止材103の厚さは、最も薄い部分において、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは5mm以下である。
次に、フィルムコンデンサ100の製造方法を説明する。
本実施形態において、フィルムコンデンサ100は、たとえば、フィルムコンデンサ素子101を準備する工程と、フィルムコンデンサ素子101を、本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物で封止する工程と、を含む製造方法により得ることができる。
封止工程においては、たとえば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法、圧縮成形法、インジェクション成形等の方法を用いて封止成形することにより、封止材103を形成することができる。
本実施形態において得られるフィルムコンデンサ100は、封止材103として前述の封止用樹脂組成物を用いているため、低温での製造安定性および生産性に優れるものである。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
(封止用樹脂組成物の調製)
各実施例および各比較例について、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、50〜80℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して樹脂組成物を得た。表1における各成分の詳細は下記のとおりである。
(原料)
(無機充填材)
無機充填材1:溶融球状シリカ、デンカ社製、FB−560
無機充填材2:溶融球状シリカ、アドマテックス社製、SC−2500−SQ
(着色剤)
着色剤1:オイルファーネスブラック、三菱ケミカル社製、カーボン#5
(カップリング剤)
カップリング剤1:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、東レダウコーニング社製、CF4083
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、EOCN−1020−55、日本化薬社製
エポキシ樹脂2:変性エポキシ樹脂、DIC社製、HP−6000L
(硬化剤)
硬化剤1:ノボラック型フェノール樹脂、住友ベークライト社製、PR−55617
(硬化促進剤)
硬化促進剤1:2−フェニルイミダゾール、四国化成工業社製、2PZ−PW
硬化促進剤2:2−メチルイミダゾール、四国化成工業社製、2MZ−H
硬化促進剤3:トリフェニルホスフィン、ケイ・アイ化成社製、PP−360ビフン
硬化促進剤4:下記式で表される硬化促進剤
Figure 2020152822
(離型剤)
離型剤1:1−アルケン(C>10)・マレイン酸無水物の重縮合物とステアリルアルコールとの反応生成物、エアー・ウォーター社製、T−WAX
(pH調整剤)
pH調整剤1:ハイドロタルサイト、協和化学工業社製、DHT−4H
(低応力材)
低応力材1:エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、東レダウコーニング社製、FZ−3730
(樹脂組成物の物性)
各例で得られた樹脂組成物について、以下の物性測定をおこなった。測定結果を表1にあわせて示す。
(DSC)
示差走査熱量計(SII製、DSC7020)を用い、窒素気流下で、昇温速度を10℃/分で30℃から200℃の温度範囲条件にて、10mgの樹脂組成物について測定した。70℃における発熱量高さH1と最大発熱ピーク温度(℃)における発熱量高さHMAXとの差をΔH1(μW/mg)とし、発熱量高さH1を基準にしたときに、発熱量高さが、ΔH1の10%に達した時の温度を、発熱開始温度(℃)とした。発熱ピークは、ΔH1の30%を超えるものとした。
(ガラス転移温度)
樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度を次のように測定した。
トランスファー成形装置(コータキ精機社製、「KTS−15」)を用いて、金型温度120℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間300秒で、得られた封止用樹脂組成物を注入成形し、15mm×4mm×4mmの成形品を得た。次いで、得られた試験片を120℃、4時間で後硬化した後、熱機械分析装置(SII製、TMA/SS6100)を用いて、測定温度範囲0℃〜320℃、昇温速度5℃/分の条件下で測定をおこなった。この測定結果から、ガラス転移温度(℃)を算出した。
(高化式フロー粘度)
高化式フローテスター(島津製作所社製、CFT−500D)を用いて、温度120℃、荷重40kgf(ピストン面積1cm2)、ダイ穴直径0.50mm、ダイ長さ1.00mmの試験条件で、得られたエポキシ樹脂組成物のみかけの粘度η(Pa・s)を測定した。粘度ηは、以下の計算式より算出した。計算式中、Qは単位時間あたりに流れる樹脂組成物の流量である。
η=(πD4P/128LQ)×10-3(Pa・s)
η:みかけの粘度
D:ダイ穴直径(mm)
P:試験圧力(Pa)
L:ダイ長さ(mm)
Q:フローレート(cm3/s)
(キュラストトルク)
キュラストメーター(エー・アンド・デイ社製、キュラストメーターMODEL7)を用い、金型温度120℃、振幅角度±0.25度にて、樹脂組成物のトルク値を経時的に測定した。測定結果に基づいて、測定開始から、トルク値が2N・mに達する時間(s)を算出した。
(評価方法)
各例で得られた樹脂組成物を用いてフィルムコンデンサ素子を120℃で封止した際の充填性および硬化性を以下の方法で評価した。評価結果を表1にあわせて示す。
(充填性)
各実施例および比較例について、フィルムキャパシタを未充填なく封止できるかどうかを以下のように評価した。APIC社製 MZ−910−01マニュアルプレスにより、金型温度120℃、注入時間35秒、注入圧力3MPa、硬化時間300秒の条件にて、図1に示すようなフィルムキャパシタを封止成形し、以下の成形物を得た。
フィルムキャパシタ素子の基材層の材料:ポリプロピレン
基材層の厚さ:0.5mm
最も薄い部分における封止材の厚さ:2mm
得られた成形物表面を目視で観察し、未充填部分があれば×、なければ○として、充填性を評価した。
(硬化性)
各実施例および比較例について、フィルムキャパシタを未充填なく封止できるかどうかを以下のように評価した。APIC社製 MZ−910−01マニュアルプレスにより、金型温度120℃、注入時間35秒、注入圧力3MPa、硬化時間300秒の条件にて、図1に示すようなフィルムキャパシタを封止成形し、成形物を得た。
得られた成形物の表面硬度を、JIS K 7215−1986に準拠してデュロメータ(高分子計器社製)を用いて測定し、硬度が60未満であれば×、60以上であれば○として、硬化性を評価した。
Figure 2020152822
表1より、各実施例で得られた樹脂組成物は、120℃の低温条件下でフィルムコンデンサ素子を封止する際の充填性および硬化性に優れていた。
そして、各実施例で得られた樹脂組成物を用いることにより、優れた生産性でフィルムコンデンサを得ることができる。
100 フィルムコンデンサ
101 フィルムコンデンサ素子
103 封止材
105 電極
107 電極

Claims (6)

  1. フィルムコンデンサまたはフィルムコンデンサモジュールの封止に用いられる封止用樹脂組成物であって、
    エポキシ樹脂と、
    硬化剤と、
    硬化促進剤と、
    無機充填材と、
    を含み、
    前記無機充填材の含有量が、当該封止用樹脂組成物の全固形分に対して50質量%以上78質量%以下であり、
    当該封止用樹脂組成物を120℃で4時間加熱して得られる硬化物のガラス転移温度が、140℃以上であり、
    示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/分の条件下で30℃から200℃まで昇温した際に得られる当該封止用樹脂組成物のDSC曲線における最大発熱ピーク温度が、80℃以上140℃以下である、封止用樹脂組成物。
  2. 前記DSC曲線における発熱開始温度が、70℃以上100℃以下の範囲内にある、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. 前記DSC曲線における、70℃における発熱量高さH1と最大発熱ピーク温度における発熱量高さHMAXとの差を表すΔH1の10%を超える発熱ピークの数が1つである、請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物でフィルムコンデンサ素子を封止してなるフィルムコンデンサ。
  5. 前記フィルムコンデンサ素子が、基材層と、金属層とを、含み、
    前記基材層の材料がポリプロピレンを含み、
    前記基材層の厚さが1.0μm以上600μm以下であり、
    前記フィルムコンデンサ素子を前記封止用樹脂組成物で封止してなる封止層の厚さが、最も薄い部分において、1mm以上10mm以下である、請求項4に記載のフィルムコンデンサ。
  6. フィルムコンデンサ素子を準備する工程と、
    前記フィルムコンデンサ素子を、請求項1乃至3いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物で封止する工程と、
    を含む、フィルムコンデンサの製造方法。
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