JP7155929B2 - モールドアンダーフィル材料および電子装置 - Google Patents
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Description
本発明者はこのような事情を踏まえて検討を進めたところ、次のような知見が得られた。
シリカ粒子の粒子径サイズを小さくすればシリカ粒子の充填性を高められるものの、反対に比表面積が増大する。その結果、シリカ粒子の樹脂へのなじみを維持するには、シランカップリング剤の添加量を増大させる必要があった。しかしながら、シランカップリング剤の添加量が過剰に増大すると、シリカ粒子に配位していない遊離シランカップリング剤が半導体パッケージ表面にしみ出てしまい、外観不良が発生する恐れがあった。
基板上に配置された半導体素子を封止するとともに、前記基板と前記半導体素子との間の隙間に充填されるモールドアンダーフィル材料であって、
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
シリカ粒子と、
シランカップリング剤と、を含み、
当該モールドアンダーフィル材料全体に対する前記シランカップリング剤の含有量(wt%)が、下記の式(I)で表されるシランカップリング剤理論添加量(wt%)の、5%倍以上23%倍以下を満たす、モールドアンダーフィル材料が提供される。
<シランカップリング剤理論添加量>
[シランカップリング剤理論添加量](wt%)=[モールドアンダーフィル材料全体に対するシリカ粒子の含有量](wt%)×[シリカ粒子の平均比表面積](m2/g)/[シランカップリング剤の実効被覆面積](m2/g)・・・式(I)
(上記式(I)中、[シランカップリング剤の実効被覆面積](m2/g)は、[シランカップリング剤の反応率](%)×[シランカップリング剤の最小被覆面積](m2/g)で表される式に基づいて算出される。)
電子素子と、
前記電子素子を封止する成形体と、を備えており、
前記成形体として、上記モールドアンダーフィル材料の硬化物が用いられる、電子装置が提供される。
エポキシ樹脂と、硬化剤と、シリカ粒子と、シランカップリング剤と、を含む上記モールドアンダーフィル材料において、当該モールドアンダーフィル材料全体に対するシランカップリング剤の含有量(wt%)が、下記の式(I)で表されるシランカップリング剤理論添加量(wt%)の5%倍以上23%倍以下という関係式で表される、シランカップリング剤の適正含有量を満たすものである。
しかし、このシランカップリング剤理論添加量(最小)は、シランカップリング剤の反応率を考慮しない指標である。この指標を用いたとしても、適切なシランカップリング剤の適正含有量を設定することが難しいことが分かった。理由は、最小被覆面積での計算は、配合したカップリング剤が全てフィラーに100%配位することを前提としているためである。実際には、カップリング剤の自己重合など起きるために100%配位とはならない。したがって、シランカップリング剤の適正含有量を設定するにあたって、シランカップリング剤の反応率を踏まえる必要がある。
(手順)
(1)シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgに、前記シランカップリング剤8gを添加し混合する。この混合物に対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤処理済みのシリカAを得る。得られたシリカAの重量(g)を測定する。
(2)シリカAで使用したものと同じ、シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgを準備し、このシリカに対して、シランカップリング剤を添加せず、アセトンで洗浄する。洗浄したシリカに対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤未処理のシリカBを得る。得られたシリカBの重量(g)を測定する。
(3)得られたカップリング剤処理済みのシリカA、およびカップリング剤未処理のシリカBの重量の測定値を用い、下記の式から[カップリング剤の反応率]を算出する。
[カップリング剤の反応率](%)=([カップリング剤処理済みのシリカAの重量]/[カップリング剤未処理のシリカBの重量])×100
以上の手順(1)~(3)を、同じ条件で4回実施して、得られた[カップリング剤の反応率]の平均値を、上記シランカップリング剤の反応率とする。
n種以上の複数を含むシランカップリング剤の反応率は、例えば、式1:CA1反応率×CA1含有比率+CA2反応率×CA2含有比率+・・・+CAn反応率×CAn含有比率から算出してもよい(nは2以上の整数とする)。すなわち、複数種を含むシランカップリング剤の反応率は、単体のシランカップリング剤の反応率に対して、モールドアンダーフィル材料の固形分全体(100wt%)中の含有比率(wt%)を重み付けしたものの合算値として算出してもよい。
(手順)
(1):測定対象のシリカ粒子0.5gに純水8gと界面活性剤1gを加え、5分間超音波をかける。
(2):上記(1)の処理後のシリカ粒子にさらに純水60gを加え、5分間超音波をかける。
(3):上記(2)の処理後のシリカ粒子が分散された水溶液を測定サンプルとする。
上記(3)の測定サンプルの3mlを、各装置に投入して、シリカ(B)の平均粒度分布や平均比表面積を測定する。
粒度分布は、湿式粒度分布計(SALD-7500nano、島津製作所社製)を用いて、下記の手順で得られた測定サンプルに対して測定する。
比表面積は、比表面積計(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて、下記の手順で得られた測定サンプルに対して測定する。なお、粒度分布を体積基準で測定したときのメディアン径(D50)を平均粒子径とする。
k種以上の複数を含むシリカ粒子の(平均)比表面積は、例えば、式2:S1比表面積×S1含有比率+S1比表面積×S2含有比率+・・・+Sk比表面積×Sk含有比率から算出してもよい(kは2以上の整数とする)。すなわち、複数種を含むシリカ粒子の(平均)比表面積は、単体のシリカ粒子の比表面積に対して、モールドアンダーフィル材料の固形分全体(100wt%)中の含有比率(wt%)を重み付けしたものの合算値として算出してもよい。
本実施形態の封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。
上記エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。
エポキシ樹脂としては、たとえば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の2官能性または結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一方で、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、封止樹脂組成物の全固形分に対して、例えば30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂組成物を用いて形成される硬化物を備える半導体装置およびその他の構造体について、耐湿信頼性や耐リフロー性、耐温度サイクル性を向上させることができる。
本実施形態の封止樹脂組成物は、硬化剤を含む。
上記硬化剤は、封止材料に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等、が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール樹脂系硬化剤が好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤としては、封止樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm-フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の封止樹脂組成物は、シリカ粒子を含む。
上記シリカ粒子としては、好ましくは、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ等のシリカであり、より好ましくは溶融球状シリカを使用することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
本実施形態の封止樹脂組成物は、たとえばシランカップリング剤を含む。シランカップリング剤は1種また2種以上を用いることができる。
本実施形態の封止樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤をさらに含むことができる。
上記硬化促進剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般の封止樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4-メチルイミダゾリル(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル(1’)]-エチル-s-トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、低温硬化性と充填性の向上の観点から、2-フェニルイミダゾール、2-メチルイミダゾールおよび2-フェニル-4-メチルイミダゾールからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。より好ましくは、2-フェニルイミダゾール及び/または2-メチルイミダゾールを用いることが好ましい。
一方で、硬化促進剤の含有量は、封止樹脂組成物の全固形分に対して3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。硬化促進剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、成形時における流動性の向上を図ることができる。
本実施形態の封止樹脂組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;酸化防止剤等の各種添加剤が挙げられる
(矩形圧試験)
低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入速度177mm3/秒の条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に当該モールドアンダーフィル材料を注入する。このとき、前記流路の上流先端から25mmの位置に埋設した圧力センサーにて圧力の経時変化を測定し、当該モールドアンダーフィル材料の流動時における最低圧力(MPa)を測定し、これを矩形圧とする。
電子装置としては、例えば、半導体装置などが挙げられる。また、電子素子としては、例えば半導体素子(半導体チップ)などが挙げられる。本実施形態に係る封止樹脂組成物は、フリップチップBGAパッケージ等のフリップチップ実装方式の電子装置に対して好適に用いられる。
また、本実施形態に係る封止樹脂組成物は、電子素子と基板とのギャップ高さ(垂直距離)の下限値が、例えば、25μm以上であれば好適に充填することができる。
なお、本実施形態において、ギャップ高さとは電子装置と基板との隙間のことであり、電子装置の厚みは勘案しない。
電子装置100は、基板10と、基板10上に搭載された電子素子20と、電子素子20を封止する成形体50と、を有するものであり、前記成形体として、上記封止樹脂組成物の硬化物が用いられる。
なお、図1に示す電子装置100は、電子素子20と基板10とが半田バンプ30を介して電気的に接続されたものであるが、これに限定されるものではない。
まず、表1に従い配合された各原材料を常温でミキサーを用いて混合した後、70~120℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕して樹脂組成物を得た。なお、表1中の単位は、質量%(wt%)である。
(エポキシ樹脂(A))
・エポキシ樹脂1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC-3000、数平均分子量Mn:462)
・エポキシ樹脂2:ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学社製、YL6677、数平均分子量Mn:248)
・シリカ粒子1:球状溶融シリカ(アドマテックス社製、4μm SQ、平均粒子径(D50):6.5μm、比表面積:3.0m2/g)
・シリカ粒子2:球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO-C2、平均粒子径(D50):0.5μm、比表面積:5.4m2/g)
・シリカ粒子3:球状溶融シリカ(アドマテックス社製、SO-C5、平均粒子径(D50):1.6μm、比表面積:4.2m2/g)
なお、上記シリカ粒子1~3の平均粒子径および比表面積は、下記の測定手順に基づいて測定された値を意味する。
(手順)
(1):測定対象のシリカ粒子(B)0.5gに純水8gと界面活性剤1gを加え、5分間超音波をかけた。シリカ粒子(B)として、上記シリカ粒子1~3の単体、あるいは表1の配合比率に従って配合した、上記のシリカ粒子1~3の混合物を使用した。
(2):上記(1)の処理後のシリカ粒子(B)にさらに純水60gを加え、5分間超音波をかけた。
(3):上記(2)の処理後のシリカ粒子(B)が分散された水溶液を測定サンプルとした。
上記(3)の測定サンプルの3mlを、各装置に投入して、シリカ(B)の平均粒度分布や平均比表面積を測定した。
粒度分布は、湿式粒度分布計(SALD-7500nano、島津製作所社製)を用いて、下記の手順で得られた測定サンプルに対して測定した。
比表面積は、比表面積計(フローソープII2300、島津製作所社製)を用いて、下記の手順で得られた測定サンプルに対して測定した。なお、粒度分布を体積基準で測定したときのメディアン径(D50)を平均粒子径とした。
結果を表1に示す。表1中のシリカ(B)の平均比表面積は、上記シリカ粒子1~3の混合品の平均比表面積を意味する。
・硬化剤1:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(日本化薬社製、GPH-65、数平均分子量Mn:454)
・硬化剤2:ホルムアルデヒド変性トリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE910-20、数平均分子量Mn:310)
・シランカップリング剤1:アミノシラン(信越化学工業社製、KBM-573、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、最小被覆面積:307m2/g)
・シランカップリング剤2:メルカプトシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、SILQUEST A-189 SILANE、γ-メルカプト-プロピルトリメトキシシラン、最小被覆面積:398m2/g)
なお、上記の最小被覆面積は、各社発行のカタログに記載の数値を意味する。
・着色剤1:カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA-600)
・シランカップリング剤(D)の反応率
シランカップリング剤(D)の反応率を以下の手順で測定した。
(手順)
(1)シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgに、シランカップリング剤(D)8gを添加し混合した。シランカップリング剤(D)として、表1に記載のシランカップリング剤1、2の単体を用いた。この混合物に対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤処理済みのシリカAを得た。得られたシリカAの重量(g)を測定した。
(2)シリカAで使用したものと同じ、シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgを準備し、このシリカに対して、シランカップリング剤を添加せず、アセトンで洗浄した。洗浄したシリカに対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤未処理のシリカBを得た。得られたシリカBの重量(g)を測定した。
(3)得られたカップリング剤処理済みのシリカA、およびカップリング剤未処理のシリカBの重量の測定値を用い、下記の式から[カップリング剤(D)の反応率]を算出した。
[カップリング剤の反応率](%)=([カップリング剤処理済みのシリカAの重量]/[カップリング剤未処理のシリカBの重量])×100
以上の手順(1)~(3)を、同じ条件で4回実施して、得られた[カップリング剤の反応率]の平均値を、シランカップリング剤(D)の反応率とした。
上記シランカップリング剤1の反応率は「60%」、上記シランカップリング剤2の反応率は「28%」であった。
下記の式(I)に基づいて、表1に記載のシランカップリング剤理論添加量(有効)を算出した。結果を表1に示す。
[シランカップリング剤理論添加量(有効)](wt%)=[モールドアンダーフィル材料全体に対するシリカ粒子(B)の含有量](wt%)×[シリカ粒子(B)の平均比表面積](m2/g)/[シランカップリング剤(D)の実効被覆面積](m2/g)・・・式(I)
上記式(I)中のシランカップリング剤の実効被覆面積(m2/g)は、得られた[シランカップリング剤(D)の反応率](%)×[シランカップリング剤(D)の最小被覆面積](m2/g)に基づいて算出した。
15mm×15mmのプリント配線基板上に、10mm×10mm×250μmのフリップチップ型パッケージを配置し、次いで、ピーク温度240℃、ピーク温度時間10秒で熱処理することによって、半田バンプを溶融し、フリップチップ型パッケージと、プリント配線基板とを接合させた。
ここで、フリップチップ型パッケージと、基板との間のギャップ高さ(垂直距離)を測定した。具体的には、レーザー変位計によって、パッケージと基板との間の段差の距離を測定し、該段差の距離からパッケージの厚みを減じた値をギャップ高さとした。搭載後における基板及びパッケージのギャップは30μmであった。
次いで、上記で得られたパッケージを搭載した基板を金型内に配置し、成形機(TOWA社製、Y1Eマニュアルプレス)を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.0MPa、18秒の条件で、得られた樹脂組成物を金型内に注入し成形した。次いで、175℃、180秒間硬化処理をおこない電子装置を作製した。
続いて、超音波探査装置(SAT)の透過法により、上記電子装置における、パッケージと基板との間のギャップ(ギャップ高さ:30μm)に対する樹脂組成物の硬化物の充填有無を確認した。表1中、未充填領域が存在しない場合を○、未充填領域が存在する場合を×とした。
上記<チップ下充填性>と同様にして、電子装置を作成した。得られた電子装置において、パッケージ外観を目視にて確認した。表1中、カップリング剤の染みだしが確認されない場合を○、カップリング剤の染みだしが確認された場合を×とした。
20 電子素子
30 半田バンプ
50 成形体
100 電子装置
Claims (14)
- 基板上に配置された半導体素子を封止するとともに、前記基板と前記半導体素子との間の隙間に充填されるモールドアンダーフィル材料であって、
エポキシ樹脂と、
硬化剤と、
シリカ粒子と、
シランカップリング剤と、を含み、
当該モールドアンダーフィル材料全体に対する前記シランカップリング剤の含有量(wt%)が、下記の式(I)で表されるシランカップリング剤理論添加量(wt%)の、5%倍以上23%倍以下を満たす、モールドアンダーフィル材料。
<シランカップリング剤理論添加量>
[シランカップリング剤理論添加量](wt%)=[モールドアンダーフィル材料全体に対するシリカ粒子の含有量](wt%)×[シリカ粒子の平均比表面積](m2/g)/[シランカップリング剤の実効被覆面積](m2/g)・・・式(I)
(上記式(I)中、[シランカップリング剤の実効被覆面積](m2/g)は、[シランカップリング剤の反応率](%)×[シランカップリング剤の最小被覆面積](m2/g)で表される式に基づいて算出される。) - 請求項1に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シランカップリング剤の反応率が、以下の手順(1)~(3)で算出されるものである、モールドアンダーフィル材料。
(手順)
(1)シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgに、前記シランカップリング剤8gを添加し混合する。この混合物に対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤処理済みのシリカAを得る。得られたシリカAの重量(g)を測定する。
(2)シリカAで使用したものと同じ、シリカ(比表面積:2.6m2/g、平均粒子径D50:4.7μm)4kgを準備し、このシリカに対して、シランカップリング剤を添加せず、アセトンで洗浄する。洗浄したシリカに対して、70℃、2時間の乾燥処理を行った後、続いて、700℃、3時間の加熱処理を行い、カップリング剤未処理のシリカBを得る。得られたシリカBの重量(g)を測定する。
(3)得られたカップリング剤処理済みのシリカA、およびカップリング剤未処理のシリカBの重量の測定値を用い、下記の式から[カップリング剤の反応率]を算出する。
[カップリング剤の反応率](%)=([カップリング剤処理済みのシリカAの重量]/[カップリング剤未処理のシリカBの重量])×100
以上の手順(1)~(3)を、同じ条件で4回実施して、得られた[カップリング剤の反応率]の平均値を、上記シランカップリング剤の反応率とする。 - 請求項1または2に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シリカ粒子の体積基準の粒度分布において、2つ以上のピークを有する、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項3に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シリカ粒子の体積基準の粒度分布において、0.1μm以上3μm未満の区間、及び、3μm以上20μm以下の区間にそれぞれ1つ以上のピークを有する、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シリカ粒子の平均比表面積が、0.5m2/g以上20m2/g以下である、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
当該モールドアンダーフィル材料全体に対する前記シリカ粒子の含有量が、50wt%以上95wt%以下である、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シランカップリング剤が、1種または2種以上を含む、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
下記矩形圧試験により測定される矩形圧が、0.03MPa以上0.5MPa以下である、モールドアンダーフィル材料。
(矩形圧試験)
低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入速度177mm3/秒の条件にて、幅13mm、厚さ1mm、長さ175mmの矩形状の流路に当該モールドアンダーフィル材料を注入する。このとき、前記流路の上流先端から25mmの位置に埋設した圧力センサーにて圧力の経時変化を測定し、当該モールドアンダーフィル材料の流動時における最低圧力(MPa)を測定し、これを矩形圧とする。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
フリップチップ接続される前記基板と前記半導体素子との間の隙間に充填されるものである、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項9に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記基板と前記半導体素子とのピッチ間隔が10μm以上60μm以下である、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記シランカップリング剤が、アミノシランを含む、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項11に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記アミノシランは、2級アミノ基を備える、モールドアンダーフィル材料。 - 請求項12に記載のモールドアンダーフィル材料であって、
前記アミノシランは、フェニル基をさらに備える、モールドアンダーフィル材料。 - 電子素子と、
前記電子素子を封止する成形体と、を備えており、
前記成形体として、請求項1から13のいずれか1項に記載のモールドアンダーフィル材料の硬化物が用いられる、電子装置。
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