JP2021038311A - 半導体封止用樹脂組成物、および半導体装置 - Google Patents

半導体封止用樹脂組成物、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低温硬化と低塩素化との高水準で両立させる半導体封止用樹脂組成物を提供する。【解決手段】半導体封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機充填材(C)、イミダゾール系硬化促進剤(D)、を含有し、当該樹脂組成物をPC抽出した塩素量が5ppm以下であり、かつ示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から300℃まで昇温した際に得られる、当該樹脂組成物のDSC曲線において、100℃以上150℃以下の温度領域に単一の発熱ピークが得られるものである。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体封止用樹脂組成物、および半導体装置に関する。
半導体装置は、封止用のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されるのが主流となっている。半導体装置の小型化、薄型化、構造の複雑化などに伴い、封止用エポキシ樹脂組成物の開発が進んでいる。
一方、封止用エポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ化合物は、一般的に、ビスフェノールのようなフェノール類とエピクロルヒドリン、及びアルカリ金属酸化物の反応により製造される。しかしながら、かかる製法で製造されたエポキシ化合物には反応により副生成した加水分解性塩素化合物が不純物として含まれている。
加水分解性塩素化合物を多く含むエポキシ化合物を封止用エポキシ樹脂組成物として用いると、高温・多湿といった過酷な条件下に置かれた際に、加水分解性塩素化合物が分解されて塩素イオンが遊離し、例えば、銅ワイヤを用いた半導体装置の場合には、銅ワイヤ自身及び銅ワイヤと半導体素子との接合部分の腐食が生じるといった問題があった。
特許文献1には、加水分解性塩素化合物を低減させるため、フェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られた粗エポキシ樹脂を、アルカリ金属水酸化物を用いて加熱処理する方法が開示されている。
特開2017−137374号公報
上記の特許文献1に開示されるような従来の半導体封止用樹脂組成物においては、エポキシ樹脂を精製することで、エポキシ樹脂を合成する際に生じる加水分解性塩素化合物を低減させることに着目したものであった。
一方、従来の半導体封止用樹脂組成物には、加水分解性塩素化合物のほか、エポキシ樹脂に結合している塩素や触媒などに含まれる微量な塩素なども存在する。そして、従来、エポキシ樹脂に結合している塩素は問題視されていなかった。
ところで、イミダゾール系硬化促進剤は、半導体封止用樹脂組成物の低温硬化を実現するために有効にはたらくことが知られている。しかしながら、本発明者の知見によれば、半導体封止用樹脂組成物に従来の方法でイミダゾール系硬化促進剤を用いると、かかるイミダゾール系硬化促進剤によってエポキシ樹脂に結合している塩素も引き抜かれてしまうという問題が発生する。そのため、加水分解性塩素化合物を低減させるだけでは、半導体封止用樹脂組成物全体としての塩素量を十分に低減することができなかった。さらに、イミダゾール系硬化促進剤は、半導体封止用樹脂組成物の硬化時においても、エポキシ樹脂に結合している塩素を引き抜くことが知見された。
すなわち、低温硬化性を得るためにイミダゾール系硬化促進剤を用いると、半導体封止用樹脂組成物における十分な低塩素化を実現することが困難であった。そして、低温硬化性と低塩素化を高水準で両立した半導体封止用樹脂組成物を具体的に実現できる技術はこれまで知られていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低温硬化と低塩素化とを高水準で両立させる半導体封止用樹脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、
エポキシ樹脂(A)、
硬化剤(B)、
無機充填材(C)、
イミダゾール系硬化促進剤(D)、
を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物をPC抽出した塩素量が5ppm以下であり、かつ
示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から300℃まで昇温した際に得られる、当該樹脂組成物のDSC曲線において、100℃以上150℃以下の温度領域に単一の発熱ピークが得られる、半導体封止用樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、
上記の半導体封止用樹脂組成物を用いて、半導体素子を封止してなる半導体装置が提供される。
本発明によれば、低温硬化と低塩素化とを高水準で両立させる半導体封止用樹脂組成物を提供することができる。
実施例1の半導体封止用樹脂組成物のDSCチャートを示す図である。 実施例2の半導体封止用樹脂組成物のDSCチャートを示す図である。 比較例1,2の半導体封止用樹脂組成物のDSCチャートを示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
本明細書における各種粒子の「粒径」は、特に断りが無い限り、例えば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の湿式粒度分布測定機LA−950)により体積基準の粒子径分布のデータを取得し、そのデータを処理することで求めることができる。
例えば、「平均粒径」は、得られた粒子径分布のデータの算術平均により求めることができる。また、粒子径分布のデータから、累積10%値(D10)、累積50%値(メディアン径、D50)、累積90%値(D90)などを求めることもできる。
<半導体封止用樹脂組成物>
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、当該樹脂組成物をPC抽出した塩素量が5ppm以下であり、かつ示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から300℃まで昇温した際に得られる、当該樹脂組成物のDSC曲線において、100℃以上150℃以下の温度領域に単一の発熱ピークが得られる、という条件を満たすものである。これにより、半導体封止用樹脂組成物を封止に用いた際に、低温で適切に封止しつつ、低塩素化を高水準で実現させることができる。
かかる条件を満たす本実施形態の半導体封止用樹脂組成物を得るためには、従来とは異なる製法上の工夫を施すことが重要である。
詳細には、従来の半導体封止用樹脂組成物を工業的に生産する場合、その製造過程において、半導体封止用樹脂組成物の原料は二軸押出機等により100〜150℃程度まで加熱され、溶融混練されるものであった。そのため、低温硬化性を実現する観点から半導体封止用樹脂組成物の原料にイミダゾール系硬化促進剤を用いると、製造過程の加熱により硬化反応が促進し、適切な半導体封止用樹脂組成物が得られなくなるという問題があった。
これに対し、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物の製造方法としては、例えば、予めエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)を溶融混練し、その後、得られた溶融混練物と無機充填材(C)とイミダゾール系硬化促進剤(D)とを撹拌装置内で加熱撹拌する方法が挙げられる。これにより、半導体封止用樹脂組成物の製造過程において、イミダゾール系硬化促進剤(D)の硬化が進行することを抑制し、かつ、イミダゾール系硬化促進剤(D)がエポキシ樹脂(A)等に含まれる塩素を引き抜いてしまうことを抑制できる。
ただし、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物の製造方法は、上記のような方法には限定されず、種々の条件を調整したり、材料を組み合わせや配合量等を制御するものであってもよい。
また、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物をPC抽出した塩素量は、好ましくは4.5ppm以下であり、より好ましくは4.0ppm以下であり、さらに好ましくは2.5ppm以下であり、ことさら好ましくは2.0ppm以下である。かかる塩素量は少ないほど好ましい。
なお、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物のPC抽出した塩素量の測定は、具体的には、以下のようにして行われる。
まず、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物を175℃、8時間の条件で硬化させ、ミルで粉砕し、パウダーにする。得られたパウダー5gに対して50mlの純水で希釈し、スターラーを用いて2時間撹拌する。その後、125℃のオーブンに入れ、20時間抽出を行う。その後、得られた抽出液をイオンクロマトグラフィーで測定する。
以下、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物に含まれる各成分について詳述する。
[エポキシ樹脂(A)]
エポキシ樹脂(A)としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、エポキシ樹脂(A)としては、PC抽出した塩素量が0.1ppm以上、10ppm以下であるものが好ましく、5ppm以下がより好ましい。低塩素化を実現する観点から、当該塩素量は低いほど好ましい。
エポキシ樹脂(A)に由来する塩素量を、上記上限値以下とすることにより、加水分解性塩素化合物量が低減するとともに、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物の製造過程、および半導体封止用樹脂組成物の硬化物において、イミダゾール系硬化促進剤(D)がエポキシ樹脂(A)から引き抜く塩素量を低減できる。
一方、エポキシ樹脂(A)に由来する塩素量を、上記下限値以上とすることにより、生産性を向上できる。
なお、エポキシ樹脂(A)のPC抽出した塩素量の測定は、具体的には、以下のようにして行われる。
エポキシ樹脂(A)5gに対して50mlの純水で希釈し、スターラーを用いて2時間撹拌する。その後、125℃のオーブンに入れ、20時間抽出を行う。その後、得られた抽出液をイオンクロマトグラフィーで測定する。
また、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が、170〜200g/eqであることが好ましく、180〜190g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量を、上記下限値以上とすることにより、低温硬化でも良好な硬化体が得られるようになる。一方、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量を、上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物全体の低塩素化を実現しつつ、良好な硬化性が保持できる。
エポキシ樹脂(A)の合成方法としては、例えば、エポキシ樹脂(A)の前駆体であるアリルエーテル基とフェノール性OH基を有する化合物と、有機ニトリル化合物、有機アミンを反応容器に仕込み、25〜100℃間の所定の温度に保ちながら過酸化水素を徐々に添加し、5〜100時間反応させる方法等が挙げられる。反応終了後は、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、水洗、濾過、再沈によって、不純物を除去し、次いで乾燥することにより、エポキシ樹脂(A)を得ることができる。
なかでも、エポキシ樹脂(A)を調製する方法としては、例えば、高分子量成分の少ない該前駆体やアリルエーテル化率が調整された該前駆体を原料に用いたり、合成時には過酸化水素、有機ニトリル化合物、有機アミン化合物の配合量や混合濃度を調整してアリルエーテル基のエポキシ化率を調整したり、水洗時には自己重合による高分子量化が発生しないように水洗温度を低くしたりまたは水洗時間を短くしたり、濾過時に高分子量化成分を濾集して除去したり、等の手法を適用することが有効である。これにより、従来の、フェノール化合物にエピクロロヒドリンを反応させてグリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂よりも、エピクロロヒドリン由来の塩素分がエポキシ樹脂中に残留することを抑制し、エポキシ樹脂(A)中の塩素量を高度に低減することができる。
また、エポキシ樹脂(A)としては、市販品を用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)の数平均分子量としては、半導体封止用樹脂組成物の良好な流動性と硬化性得る観点から、好ましくは150〜3000、より好ましくは200〜2000であり、さらに好ましくは300〜700である。
また、エポキシ樹脂(A)の軟化点または融点は40〜90℃であることが好ましく、55〜80℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(A)の骨格タイプとしては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂など)、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂ナフチレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アントラセニレン骨格を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂など)、ナフトール型エポキシ樹脂(ジヒドロアントラセンジオール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂など)、トリアジン核含有エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートなど)、有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂(ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂など)、等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂(A)の含有量は、特に限定されないが、半導体封止用樹脂組成物全体に対して、3重量%以上35重量%以下であることが好ましく、3重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、5重量%以上18重量%以下であることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、流動性を保持し、良好な低温硬化を実現でき、一方、エポキシ樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、低温硬化と低塩素とを両立しつつ、良好な硬化体が得られやすくなる。
[硬化剤(B)]
硬化剤(B)は、特に限定されず、例えば、半導体封止用樹脂組成物の分野で公知のものを用いることができる。硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)と反応して、エポキシ樹脂(A)を硬化させるものであれば特に限定されない。
硬化剤(B)については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
硬化剤(B)として具体的には、アミン系硬化剤(アミノ基を有する硬化剤)、フェノール系硬化剤などを挙げることができる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等を挙げることができる。
フェノール系硬化剤としては、アニリン変性レゾール樹脂やジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂などを挙げることができる。
その他の硬化剤(B)としては、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類等を挙げることができる。
これらの内、半導体封止用樹脂組成物に用いる硬化剤(B)としては、耐湿性、信頼性等の点から、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。より具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等が好ましく挙げられる。
エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の質量比は、特に限定されないが、好ましくは、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)の合計量を100質量部としたとき、エポキシ樹脂(A)50〜90質量部、硬化剤(B)10〜50質量部の割合とすることができる。
半導体封止用樹脂組成物中における硬化剤(B)の含有量は、とくに限定されないが、半導体封止用樹脂組成物全体に対して、1質量%以上12質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
硬化剤(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、半導体封止用樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化剤(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、適度な流動性を保持し、低温・低圧封止を実現しやすくなる。
[無機充填剤(C)]
無機充填剤(C)は、特に限定されず、封止用エポキシ樹脂組成物の分野で公知のものを用いることができる。
無機充填剤(C)としては、たとえば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、特に溶融球状シリカが好ましい。
無機充填剤(C)の粒子形状は、略真球状であることが好ましい。
無機充填剤(C)の平均粒径は、特に限定されないが、典型的には1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜20μmである。平均粒径が適当であることにより、金型キャビティ内での半導体素子周辺への充填性を高めることができる。
無機充填材(C)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば半導体封止用樹脂組成物全体に対して、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上93質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。
無機充填材(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、半導体封止用樹脂組成物により封止された半導体装置の信頼性を効果的に向上させることができる。また、無機充填材(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性をより効果的に向上させることが可能となる。
[イミダゾール系硬化促進剤(D)]
イミダゾール系硬化促進剤(D)としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、低温硬化性と充填性の向上の観点から、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、および2−フェニル−4
−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。より好ましくは、2−フェニルイミダゾール及び/または2−メチルイミダゾールを用いることが好ましい。
また、低温硬化性と充填性のバランスの観点から、イミダゾール系硬化促進剤の官能基は、例えば、3個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−ウンデシルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−エチル−4−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2'−メチルイミダゾリル(1')]−エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、低温硬化性と低塩素化のバランスを向上しつつ、良好な充填性を得る観点から、2−フェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、および2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。より好ましくは、2−フェニルイミダゾール及び/または2−メチルイミダゾールを用いることが好ましい。
また、低温硬化性と低塩素化のバランスの観点から、イミダゾール系硬化促進剤の官能基は、例えば、3個以下が好ましく、1個以下がより好ましい。
本実施形態において、イミダゾール系硬化促進剤(D)の含有量の下限値は、半導体封止用樹脂組成物の全固形分に対して0.2質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.4質量%以上であることがとくに好ましい。イミダゾール系硬化促進剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形時における硬化性を効果的に向上させ、低温硬化を実現しやすくなる。
一方で、イミダゾール系硬化促進剤(D)の含有量の上限値は、半導体封止用樹脂組成物の全固形分に対して3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。イミダゾール系硬化促進剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、低温硬化と低塩素化のバランスを良好にしつつ、成形時における流動性の向上を図ることができる。
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、その他、以下の成分を含むことができる。
[カップリング剤(E)]
半導体封止用樹脂組成物は、カップリング剤(E)を含むことができる。カップリング剤(E)としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
より具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
半導体封止用樹脂組成物中におけるカップリング剤(E)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば半導体封止用樹脂組成物全体に対して、0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。カップリング剤(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、半導体封止用樹脂組成物中における無機充填材(C)の分散性を良好なものとすることができる。また、カップリング剤(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、半導体封止用樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、上記成分の他に、たとえば、上記以外の硬化促進剤;カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を含むことができる。
<半導体封止用樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の粒子状の半導体封止用樹脂組成物の製造方法は、以下の工程を含む。
・エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を含む溶融混合物(X)を得る溶融混合工程と、
・溶融混合物(X)と、無機充填剤(C)と、その他の材料(Y)とを、攪拌羽根を備えた攪拌装置に投入する投入工程と、
・当該攪拌装置内で、加熱混合し、例えば、無機充填剤(C)等を含む材料(Y)を含むコアの外側に溶融混合物(X)を含むシェルを備えたコアシェル粒子を得る造粒工程と、
・コアシェル粒子と、硬化促進剤(D)を混合し、半導体封止用樹脂組成物を得る工程と、
を含む。
上記の各工程、各工程で用いられる素材、任意に含んでもよい工程などについて説明する。
(溶融混合工程)
溶融混合工程では、エポキシ樹脂(A)を適当な方法により溶融する。
溶融混合の方法は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を120〜180℃で加熱混合し、その後、冷却、粉砕工程を経て粉砕物とし、粉砕物(顆粒状または粒子状)である溶融混合物(X)を得ることができる。
なお、例えば、カップリング剤(E)、離型剤、低応力剤を追加で用いてもよい。
(投入工程)
投入工程では、少なくとも、上述の溶融混合物(X)と、無機充填剤(C)と、その他の材料(Y)とを、攪拌羽根を備えた攪拌装置に投入する。なお、その他の材料としては、着色剤、イオン捕捉剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。
攪拌羽根を備えた攪拌装置(以下、単に「攪拌装置」とも表記する)は、溶融混合物(X)、無機充填剤(C)および材料(Y)を撹拌できる攪拌羽根を備え、また、攪拌羽根を駆動させたときに、羽根先端の線速度を0.1m/s以上の速さとすることが好ましい。
(造粒工程)
上記の投入工程の後の造粒工程では、投入工程で攪拌装置に投入された成分を、攪拌羽根を駆動させて加熱混合する。好ましくは110〜180℃、より好ましくは120〜170℃である。温度が下限値以上であることで溶融混合物(X)が適度に軟化し、均一なシェルをコーティングしやすくなる。一方、温度を上限値以下とすることで原材料の劣化等が抑えられ、最終的に得られる粒子状の半導体封止用樹脂組成物の性能をより高めることができる。
造粒工程において、攪拌装置に投入された成分を110℃以上とする時間(成分を110℃以上に保つ時間)は、好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜180分、さらに好ましくは20〜150分ある。この時間を10分以上とすることで、十分な厚みのシェルを形成しやすくなる、シェルの厚みを一層均一にすることができる、等の効果がある。また、この時間を200分以下とすることで、素材の劣化等が抑えられる。よって、このコアシェル粒子を半導体封止用樹脂組成物に適用した場合、各種性能を一層良化させることができる。
造粒工程の一部または全部は、好ましくは、減圧下で行われる。具体的には、造粒工程の一部または全部は、好ましくは30kPa以下の減圧下、より好ましくは0.01〜20kPaの減圧下、さらに好ましくは0.05〜15kPaの減圧下、特に好ましくは0.1〜10kPaの減圧下で行われる。
減圧は、例えば、攪拌時の減圧が可能な攪拌装置1を用いることで、減圧下で造粒工程を行うことができる。
減圧は、好ましくは、造粒工程の全時間中の少なくとも半分以上の時間で行われることが好ましい。
これにより、無機充填剤(C)および材料(Y)を含むコアの外側に溶融混合物(X)を含むシェルを備えたコアシェル粒子が得られる。
(封止用樹脂組成物の混合)
造粒工程の後に得られたコアシェル粒子と、硬化促進剤(D)を混合し、封止用樹脂組成物を得る。こうすることにより、硬化促進剤(D)に熱がかけられることなく封止用樹脂組成物を得ることができる。なお、造粒工程のあと、さらに、以下の工程を含んでもよい。
(冷却攪拌工程)
本実施形態の粒子の製造方法は、好ましくは、造粒工程の後に、攪拌装置内の成分を攪拌しつつ冷却する冷却攪拌工程を含む。これにより、上述の造粒工程で得られたコアシェル粒子が、冷却時に凝集する(塊状になる)ことが一層抑えられ、好ましい。
コアシェル粒子は、冷却攪拌工程により、溶融混合物(X)の軟化点以下の温度まで冷却されることが好ましい。典型的には、コアシェル粒子は、冷却攪拌工程により60℃以下まで冷却されることが好ましく、55℃以下まで冷却されることがより好ましく、50℃以下まで冷却されることがさらに好ましく、室温まで冷却されることが特に好ましい。
冷却攪拌工程においても、造粒工程と同様、その一部または全部で減圧が行われてもよい。減圧の際の圧力としては、例えば20kPa以下、好ましくは0.01〜20kPa、より好ましくは0.05〜15kPaである。冷却時にも減圧することで、水分の低減や水分の再付着が抑えられ、結果、粒子の凝集等を一層低減できると考えられる。
(粉砕工程)
本実施形態において造粒された粒子が、もし凝集している(2つ以上のコアシェル粒子がくっついている)場合などには、その凝集物を粉砕するための粉砕工程を行ってもよい。
この際、硬化促進剤(D)とともに、混合、粉砕してもよい。
粉砕の具体的なやり方は、特に限定されないが、例えば、ハンマーミル等の衝撃式のもの用いて行うことができる。原料供給速度は1〜1000kg/hの条件とすることができる。
また、粉砕に際しては、振動ボールミル、連続式回転ボールミル、バッチ式ボールミル等のボールミル;湿式ポットミル、遊星ポットミル等のポットミル;ローラーミル等を用いてもよい。
[半導体装置]
本実施形態の半導体封止用樹脂組成物は、電子デバイス等の封止の為に好ましく適用することができる。例えば、本実施形態の半導体封止用樹脂組成物をモールド樹脂として用いて硬化成形することにより、半導体素子等の電子デバイスを封止することができる。硬化成形の方法としては、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド等の公知の方法を挙げることができる。
封止対象となる電子デバイスに特に限定は無いが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig−zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink Small Outline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP
Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J−leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等のパッケージを挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で用いられた材料は、以下の通りである。
[材料]
エポキシ樹脂(A)
・エポキシ樹脂1:ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製(エポキシ当量181)
・エポキシ樹脂2:オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、長春人造樹脂社製「CNE−195LL」(エポキシ当量198g/eq)
硬化剤(B)
・硬化剤1:エア・ウォーターケミカル社製「HE910−20」
・硬化剤2:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂「MEH−7851SS」明和化成社製
・硬化剤3:フェノールノボラック樹脂、住友ベークライト社製「PR−HF−3」水酸基当量105g/eq
無機充填材(C)
・無機充填材1:シリカ、マイクロン社製「TS−6026」(平均粒径9μm)
・無機充填材2:シリカ、アドマテックス社製「SC−2500−SQ」(平均粒径0.5μm)
・無機充填材3:シリカ、アドマテックス社製「SC−5500−SQ」(平均粒径1.5μm)
・無機充填材4:FB−950 電気化学工業社製 メジアン径D50:23μm
・無機充填材5:SO−25R アドマテックス社製 メジアン径D50:0.5μm
イミダゾール系硬化促進剤(D)
・硬化促進剤1:イミダゾール硬化促進剤(2−フェニルイミダゾール)、四国化成社製、「2PZ−PW」
・硬化促進剤2:イミダゾール硬化促進剤(2−メチルイミダゾール)、四国化成社製、「2MZ−H」
・硬化促進剤3:イミダゾール硬化促進剤(2−ウンデシルイミダゾール)、四国化成社製、「C11Z」
その他の硬化剤
・硬化剤1:トリフェニルホスフィン ケイ・アイ化成製「PP−360」
カップリング剤(E)
・カップリング剤1:東レ・ダウコーニング社製、「CF4083」
・カップリング剤2:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−803)
その他
・着色剤:三菱ケミカル社製、「カーボン#5」
・離型剤1:東亜化成社製、「TOWAX−132」
・イオン捕捉剤1:協和化学工業社製、ハイドロタルサイト「SBM−8001」
・イオン捕捉剤2:協和化学工業社製、ハイドロタルサイト「DHT−4H」
・低応力材:東レ・ダウコーニング株式会社 「FZ−3730」
<実施例1>
上記の材料を用い、半導体封止用樹脂組成物中の割合が表1に示す(質量%)ものとなるようにして、以下の手順で半導体封止用樹脂組成物を得た。
(溶融混合工程)
まず、エポキシ樹脂(A)59.4質量部、硬化剤(B)36.8質量部および離型剤2.1質量部を加熱釜中に投入し、150℃の熱媒体油により加温した。材料温度が100℃を超えたところで攪拌羽根での攪拌を開始し、また、材料温度が120℃を超えたところでカップリング剤(E)1.7質量部を添加し、その後5分攪拌した。
攪拌終了後、混合物を別の容器に移し替え、10℃で冷却した。材料温度が20℃以下となるまで冷却し、その後ハンマーミルで粉砕した。
以上により、平均粒径700μmの溶融混合物の粉砕物を得た。
(投入工程)
攪拌装置の槽本体の中に、以下の成分を投入した。
・上記で得られた溶融混合物の粉砕物 0.677質量部
・無機充填材1 64.49質量部
・無機充填材2 17.15質量部
・無機充填材3 17.15質量部
・着色剤 0.343質量部
・イオン捕捉剤 0.172質量部
なお、攪拌装置としては、クリアランス(攪拌羽根の先端と槽本体との距離)が3.0mmであるものを用いた。
(造粒工程)
先端の線速度が1.0m/sとなるように攪拌羽根を回転させて混ぜつつ、攪拌装置が備えるヒーターにより加熱した。槽本体内の内容物の温度が120℃となるように維持して、30分間、常圧下で、攪拌羽根の回転を続けた。なお、槽本体内の内容物の温度は、攪拌装置が備える覗き窓から放射温度計で確認した。
これにより、無機充填材(C)、着色剤およびイオン捕捉剤を含むコアの外側に、溶融混合物を含むシェルを備えたコアシェル粒子を造粒した。
(冷却攪拌工程)
その後、ヒーターの加熱を弱めたうえで、先端の線速度が1.0m/sとなるように攪拌羽根を回転させて、コアシェル粒子の温度が45℃以下になるまで120分冷却した。コアシェル粒子の一部凝集が確認されたものについては、ハンマーミルに投入して粉砕処理した。こうすることにより、コアシェル粒子を得た。
(i)得られたコアシェル粒子87.45質量部と、(ii)上記の溶融混合工程で得られた溶融混合物の粉砕物11.11質量部と、(iii)別途調製した、硬化剤(B)1.0質量部および硬化促進剤(D)0.445質量部からなる粒子を準備した。これらを、混合、ハンマーミルで微粉砕して、半導体封止用樹脂組成物を得た。
この半導体封止用樹脂組成物を半導体装置の封止に適用したところ、適切に封止を行うことができた。
<実施例2>
材料を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、半導体封止用樹脂組成物を得た。
<比較例1>
表1の組成(質量%)となるように各成分を、ミキサーを用いて15〜28℃で混合した。次いで、得られた混合物を、70〜100℃でロール混練後、冷却、粉砕して、各封止樹脂組成物を得た。
<比較例2>
表1の組成(質量%)となるように各成分を、ミキサーを用いて15〜28℃で混合した。次いで、得られた混合物を、70〜100℃でロール混練後、冷却、粉砕して、各封止樹脂組成物を得た。
得られた半導体封止用樹脂組成物について、以下の評価・測定を行った。ただし、塩素量1の評価では、材料に用いたエポキシ樹脂(A)そのものについて、測定した。結果を、表1に示す。ただし、表中「−」は評価を行っていないこと、または含まないことを示す。
[測定]
・塩素量1:材料に用いたエポキシ樹脂(A)の塩素量を以下の手順で測定した。
エポキシ樹脂(A)5gに対して50mlの純水で希釈し、スターラーを用いて2時間撹拌した。その後、125℃のオーブンに入れ、20時間抽出を行った。その後、得られた抽出液をイオンクロマトグラフィーで測定した。
・塩素量2:得られた各半導体封止用樹脂組成物の塩素量を以下の手順で測定した。
まず、各半導体封止用樹脂組成物を175℃、8時間の条件で硬化させ、ミルで粉砕し、パウダーにした。得られた各パウダー5gに対して50mlの純水で希釈し、スターラーを用いて2時間撹拌した。その後、125℃のオーブンに入れ、20時間抽出を行った。その後、得られた抽出液をイオンクロマトグラフィーで測定した。
・発熱ピーク:示差走査熱量計(SII製、DSC7020)を用い、窒素気流下で、昇温速度を10℃/分で50℃から300℃の温度範囲条件にて、10mgの半導体封止用樹脂組成物について測定した。得られたDSC曲線を図1〜3にそれぞれ示す。
また、100℃以上150℃以下の温度領域に単一の発熱ピークがみられたものは「あり」、みられなかったものは「なし」とし、結果を表1に示した。
[評価]
・反り量:35×35×0.5mmt:PBGAを用いた。100℃で4分硬化したPBGAパッケージと、175℃で2分硬化したPBGAパッケージを用意し、PBGAパッケージの対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変異差の最も大きい値を反り量(μm)とした。単位はμm。
・低温硬化性:各半導体封止用樹脂組成物を金型内で120℃、10分の条件で硬化し、その後大気中で放冷し、成形品を得た。成形品試験片の表裏に突起した環状帯の外径を室温で、表面2か所、裏面2か所、計4か所の外形を1/100mmまで測定し、次式(1)により成形収縮率(%)を算出した。式(1)中、d1,d2,d3及びd4は、試験片の環状帯の外径(mm)、D1,D2,D3及びD4は、それぞれd1,d2,d3及びd4に対応する金型のみぞの外径(mm)を示す。
Figure 2021038311
Figure 2021038311

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂(A)、
    硬化剤(B)、
    無機充填材(C)、
    イミダゾール系硬化促進剤(D)、
    を含有する半導体封止用樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物をPC抽出した塩素量が5ppm以下であり、かつ
    示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下で50℃から300℃まで昇温した際に得られる、当該樹脂組成物のDSC曲線において、100℃以上150℃以下の温度領域に単一の発熱ピークが得られる、半導体封止用樹脂組成物。
  2. エポキシ樹脂(A)のPC抽出した塩素量が0.1ppm以上、10ppm以下である、請求項1に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が、170〜200g/eqである、請求項1または2に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  4. イミダゾール系硬化促進剤(D)が、芳香族基と水酸基とを有するものである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体封止用樹脂組成物を用いて、半導体素子を封止してなる半導体装置。
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