JP2019100935A - 検査方法およびエポキシ樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
エポキシ樹脂組成物は、ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品を封止するものとして使用される。従来、電子装置の小型化、軽量化、高性能化に伴い、電子部品の高集積化が進められてきた。現在、この中でも車載用の電子部品において、従来と比べて特段に高いレベルの信頼性が要求されている。このため、エポキシ樹脂組成物に対して益々厳しい水準が強く求められている。
これに対して、上記特許文献1、2に記載のように、エポキシ樹脂組成物中における全塩素や加水分解性塩素を対象とし、対象の含有量を指標として検査する方法が考えられる。しかしながら、このような全塩素や加水分解性塩素を指標とする検査方法のみでは、上記のような信頼性の要求水準を十分に満たすものを安定的に得られないことが判明した。
試料として、エポキシ樹脂組成物または前記エポキシ樹脂組成物を構成する原料成分を準備する工程と、
前記試料を溶剤に混合して溶液を得る工程と、
得られた前記溶液をフィルターで濾過し、前記フィルター上の残渣を回収する工程と、
エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて、回収した前記残渣中に含まれる塩素含有粒子の粒子数を測定する工程と、
前記塩素含有粒子の粒子数が所定個以下である前記試料を合格品と判断し、所定個超えの前記試料を不合格品と判断する合否判断工程と、を含む、検査方法が提供される。
エポキシ樹脂A、硬化剤Bおよび無機充填材Cを含むエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、
原料成分として、エポキシ樹脂a、硬化剤bおよび無機充填材cを準備する工程と、
前記原料成分の品質を検査し、合格品と判断された前記原料成分を使用する原料検査工程と、含み、
前記原料検査工程において、上記検査方法に基づいて、合格品と判断された前記エポキシ樹脂aを前記エポキシ樹脂Aとして使用する、エポキシ樹脂組成物の製造方法が提供される。
本実施形態の検査方法の概要について説明する。
本実施形態の検査方法は、試料として、エポキシ樹脂組成物または当該エポキシ樹脂組成物を構成する原料成分を準備する工程と、試料を溶剤に混合して溶液を得る工程と、得られた溶液をフィルターで濾過し、フィルター上の残渣を回収する工程と、エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて、回収した残渣中に含まれる塩素含有粒子の粒子数を測定する工程と、塩素含有粒子の粒子数が所定個以下である試料を合格品と判断し、所定個超えの試料を不合格品と判断する合否判断工程と、を含むことができる。
これに対して、本発明者は、エポキシ樹脂組成物やその原料成分中に含有される塩素含有粒子や当該粒子に含有される塩素について安定的に検出する方法を確立し、検出された塩素含有粒子の量や塩素濃度を指標とした検査方法を用いることにより、信頼性に優れたエポキシ樹脂組成物を実現できることを見出した。
本実施形態の検査方法は、試料準備工程、残渣回収工程、残渣分析工程を含むことができる。
具体的には、工程3の後、測定用シートをフィルターから剥離し、その粘着性表面における全面について、デジタルマイクロスコープを用いて合成写真を作成する。視野倍率が50倍になる様に調整した後、全面観察し、残渣が存在する位置を記録して印刷する。次いで、印刷物で残渣の位置を確認するとともに、走査型電子顕微鏡(SEM)/エネルギー分散形X線分析装置(EDS)を用いて、当該残渣について組成分析を実施する。次いで、エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づく残渣の組成分析結果から、試料(エポキシ樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物を構成する原料成分)中に含有される塩素含有粒子の個数をカウントする。
また、必要に応じて、残渣について各種の分析を実施することができる。
例えば、エポキシ樹脂a(原料成分)において、塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断してもよい。硬化剤b(原料成分)において、塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断してもよい。無機充填材c(原料成分)において、塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断してもよい。その他の原料成分においても、例えば、0個以下のものを合格品と判断してもよい。
また複数の塩素含有粒子が存在する場合、塩素濃度の最大値を低減させることにより、信頼性を高めることが可能である。
本実施形態において、エポキシ樹脂組成物を構成する原料成分としては、以下のようなものを用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含むことができる。
本実施形態におけるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。
上記エポキシ樹脂としては、たとえば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の2官能性または結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一方で、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、エポキシ樹脂組成物の全固形分に対して、例えば30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、エポキシ樹脂組成物を用いて形成される硬化物を備える半導体装置およびその他の構造体について、耐湿信頼性や耐リフロー性、耐温度サイクル性を向上させることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含むことができる。
本実施形態における硬化剤は、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等、が挙げられる。これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等のバランスの点からフェノール樹脂系硬化剤が好ましい。
上記フェノール樹脂系硬化剤としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂をはじめとするフェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール類とホルムアルデヒドやケトン類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂、上記したフェノール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂などのフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂、などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アミン系硬化剤としては、ジエチレントリアミン(DETA)やトリエチレンテトラミン(TETA)やメタキシリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)やm−フェニレンジアミン(MPDA)やジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)や有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸無水物系硬化剤としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)やメチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)や無水マレイン酸などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)や無水ピロメリット酸(PMDA)やベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)、無水フタル酸などの芳香族酸無水物などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メルカプタン系硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他の硬化剤としては、イソシアネートプレポリマーやブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物、カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記のうち異なる系の硬化剤の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含有することができる。
上記無機充填材としては、たとえば、溶融破砕シリカ及び溶融球状シリカ等の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化珪素、および窒化アルミ等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、好ましくは、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ等のシリカであり、より好ましくは溶融球状シリカを使用することができる。
また、本実施形態の無機充填材の一例としては、エポキシ樹脂組成物の充填性をさらに向上させる観点から、たとえば、平均粒径0.01μm以上1μm以下の第一充填材と、平均粒径1μmより大きく15μm以下の第二充填材、平均粒径15μmより大きく50μm以下の第三充填材を含むことができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、たとえば硬化促進剤をさらに含むことができる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、の架橋反応を促進させるものであればよく、一般のエポキシ樹脂組成物に使用するものを用いることができる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、たとえばカップリング剤を含むことができる。カップリング剤としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。これらを例示すると、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシランまたはビニルシランのシラン系化合物がより好ましい。また、充填性や成形性をより効果的に向上させる観点からは、フェニルアミノプロピルトリメトキシシランに代表される2級アミノシランを用いることが特に好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、さらに必要に応じて、ハイドロタルサイト、アルミニウム−マグネシウム系無機イオン交換体等のイオン捕捉剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;カルナバワックス等の天然ワックス、モンタン酸エステルワックス、ジエタノールアミン・ジモンタン酸エステル、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤;酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。
上記エポキシ樹脂組成物の製造方法は、上記の検査方法に基づいて、前述の原料成分の品質を検査し、合格品と判断された原料成分を得る工程と、合格品を少なくとも1種以上含む各原料成分を混合する工程と、を含むことができる。
車載用電子制御ユニット10は、エンジンや各種車載機器等を制御するために用いられる。図3に示すように、車載用電子制御ユニット10は、たとえば基板12と、基板12上に搭載された電子部品16と、基板12および電子部品16を封止する封止樹脂層14と、を備えている。基板12は、少なくとも一辺において、外部と接続するための接続端子18を有している。本実施形態の一例に係る車載用電子制御ユニット10は、接続端子18と相手方コネクタを嵌合することによって、接続端子18を介して上記相手方コネクタに電気的に接続されることとなる。
着色剤1:カーボンブラック(カーボン#5、三菱化学社製)
硬化促進剤1:下記式で表される硬化促進剤1
メタノール1800gを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン249.5g、2,3−ジヒドロキシナフタレン384.0gを加えて溶かし、次に室温攪拌下28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液231.5gを滴下した。さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド503.0gをメタノール600gに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出した。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥し、桃白色結晶の上記硬化促進剤1を得た。
冷却管及び攪拌装置付きのセパラブルフラスコに2,3−ジヒドロキシナフタレン12.81g(0.080mol)、テトラフェニルホスホニウムブロミド16.77g(0.040mol)及びメタノール100mlを仕込み攪拌し、均一に溶解させた。予め水酸化ナトリウム1.60g(0.04ml)を10mlのメタノールに溶解した水酸化ナトリウム溶液をフラスコ内に徐々に滴下すると結晶が析出した。析出した結晶をろ過、水洗、真空乾燥し、上記式で表される硬化促進剤2を得た。
カップリング剤1:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(CF−4083、東レ・ダウコーニング社製)
カップリング剤2:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(S810、チッソ社製)
エポキシ樹脂a1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000L、日本化薬社製)
エポキシ樹脂a2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL6810、三菱化学社製)
エポキシ樹脂a3:ビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000K、三菱化学社製)
無機充填材c1:溶融球状シリカ(FB−100XFC、デンカ社製、平均粒径13μm)
無機充填材c2:溶融球状シリカ(MSV−SC3、龍森社製、平均粒径19μm)
無機充填材c3:球状シリカ(SD2500−SQ、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)
無機充填材c4:球状シリカ(SC−2500−SQ、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)
無機充填材c5:溶融球状シリカ(FB−105FC、デンカ社製、平均粒径13μm)
無機充填材c6:溶融球状シリカ(FB−950FC、デンカ社製、平均粒径22μm)
難燃剤1:水酸化アルミニウム(BE043、日本軽金属社製)
難燃剤2:水酸化アルミニウム(CL−303、住友化学社製)
硬化剤b1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂(MEH−7851SS、明和化成社製)
硬化剤b2:ノボラック型フェノール樹脂(PR−HF−3、住友ベークライト社製)
イオン捕捉剤1:ハイドロタルサイト(DHT−4H、協和化学工業社製)
イオン捕捉剤2:アルミニウム−マグネシウム系無機イオン交換体(IXE−700F、東亞合成社製)
低応力剤1:アクリロニトリル−ブタジエン共重合体化合物(CTBN1008SP、PTIジャパン社製)
低応力剤2:下記の合成方法で得られた溶融反応物A(シリコーン)
[溶融反応物Aの合成方法]
下記式(8)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャバンエポキシレジン社製、jER(登録商標)YL6810、軟化点45℃、エポキシ当量172)66.1重量部を140℃で加温溶融し、下記式(7)で示されるオルガノポリシロキサン33.1重量部及びトリフェニルホスフィン0.8重量部を添加して、30分間溶融混合して溶融反応物Aを得た。
離型剤1:モンタン酸エステルワックス(WE−4、クラリアント・ジャパン社製)
離型剤2:ジエタノールアミン・ジモンタン酸エステル(NC−133、伊藤製油社製)
離型剤3:トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(NPS−6010、日本精蝋社製)
離型剤4:ステアリン酸(SR−サクラ、日油社製)
<エポキシ樹脂組成物の調製>
エポキシ樹脂A:
ロットが異なる複数のエポキシ樹脂a1の各々を有機溶剤に溶解し得られた溶液を1μmのフィルターで濾過したものを準備した。下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて、準備したエポキシ樹脂a1中の塩素含有粒子の個数を測定した。複数のロットの中から、塩素含有粒子の個数が表2に示す値となるものを合格品として選択し、合格品のエポキシ樹脂a1を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(エポキシ樹脂A)として使用した。
硬化剤B:
ロットが異なる複数の硬化剤b1の各々を有機溶剤に溶解し得られた溶液を1μmのフィルターで濾過したものを準備した。下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて、準備した硬化剤b1中の塩素含有粒子の個数を測定した。複数のロットの中から、塩素含有粒子の個数が表2に示す値となるものを合格品として選択し、合格品の硬化剤b1を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(硬化剤B)として使用した。
無機充填材C:
ロットが異なる複数の無機充填材c1を準備した。下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて、準備した無機充填材c1中の塩素含有粒子の個数を測定した。複数のロットの中から、塩素含有粒子の個数が表2に示す値となるものを合格品として選択し、合格品の無機充填材c1を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(無機充填材C)として使用した。
また、無機充填材c3についても、無機充填材c1と同様にして、合格品の無機充填材c3を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(無機充填材C)として使用した。
続いて、上記のエポキシ樹脂A、硬化剤B、無機充填材Cとともに、表1に記載の他の原料成分を使用し、表1に示す配合比率に基づいて常温でミキサーを用いて混合した後、70〜90℃でロール混練した。次いで、得られた混練物を冷却した後、これを粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物について、下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて塩素含有粒子の個数を測定した。結果を表2に示す。
(1) 試料として、エポキシ樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物を構成する原料成分を準備した。エポキシ樹脂組成物は、各原料成分を混合・混練し、得られた混練物を冷却したものを使用した。
(2) (1)の試料50gを、洗浄済みのポリプロピレン製の1000ml容器に投入し、アセトン300mlを加え、容器に蓋をした後、シェーカーを用いて、室温25℃、300往復/分の条件で50分間シェーク(混合)する。使用するアセトンは、目開きサイズが12μmのフィルターで濾過したものを使用した。
(3) ファンネルセット(濾過器具)に、上記アセトンで洗浄したフィルターを設置した。フィルターは、目開きサイズが75μmのナイロン製フィルターに、超音波洗浄したものを使用した。
(4) (2)においてシェークした容器を静置し、その後、容器中における溶液を、(3)のファンネル上部から注ぎ入れ、フィルターを介して吸引濾過した。
(5) ファンネルを取り外し、吸引したままフィルター上の残渣を乾燥させた。
(6) (5)のフィルター表面に測定用シートの粘着性表面を貼り付けて、測定用シートの粘着性表面に残渣を回収した。
(7) (6)の測定用シートをフィルターから剥離し、その粘着性表面における全面について、デジタルマイクロスコープを用いて合成写真を作成した。視野倍率が50倍になる様に調整した後、全面観察し、残渣が存在する位置を記録して印刷した。
(8) (7)の印刷物で残渣の位置を確認するとともに、走査型電子顕微鏡(SEM)/エネルギー分散形X線分析装置(EDS)を用いて、当該残渣について組成分析を実施した。
(9) (8)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づく残渣の組成分析結果から、エポキシ樹脂組成物またはエポキシ樹脂組成物を構成する原料成分中に含有される塩素含有粒子の個数を測定(カウント)した。
エポキシ樹脂a(原料成分)において、塩素濃度が0.01Atm%以上の塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断した。硬化剤b(原料成分)において、塩素濃度が0.01Atm%以上の塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断した。無機充填材c(原料成分)において、塩素濃度が0.01Atm%以上の塩素含有粒子の個数が0個以下のものを合格品と判断した。
[実施例1]の<エポキシ樹脂組成物の調製>のエポキシ樹脂Aにおいてエポキシ樹脂a1の各々を有機溶剤に溶解し、遠心分2000rpm、5分にかけた後、最上層から上層部50%を抜きとり、溶剤を除去したものを準備した。その他は[実施例1]と同様に実施して、エポキシ樹脂組成物を得た。
実施例1と同様にして、エポキシ樹脂a1〜a3、硬化剤b1、b2、無機充填材c1〜c6の各々について、上記の塩素含有粒子の検査方法における合格品を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(エポキシ樹脂A、硬化剤B、無機充填材C)として使用して、エポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物について、下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて塩素含有粒子の個数を測定した。結果を表2に示す。
エポキシ樹脂a1〜a3、硬化剤b1、b2、無機充填材c1〜c6の各材料を準備し、上記の塩素含有粒子の検査方法を用いて、準備した材料中の塩素含有粒子の個数を測定した。塩素含有粒子の個数が表2に示す値となる材料を、エポキシ樹脂組成物の原料成分(エポキシ樹脂A、硬化剤B、無機充填材C)として使用した。かかる原料成分を使用して、実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物について、下記の塩素含有粒子の検査方法を用いて塩素含有粒子の個数を測定した。結果を表2に示す。検出された塩素含有粒子の各々の組成分析を行い、FT−IR(フーリエ変換型赤外分光)を用いたスペクトル結果から、塩素含有粒子中の有機物を同定した。評価結果を表2に示す。
得られたエポキシ樹脂組成物について、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
得られたエポキシ樹脂組成物に対しスパイラルフロー測定を行った。スパイラルフロー測定は、低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製「KTS−15」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件でエポキシ樹脂組成物を注入し、流動長を測定することにより行った。結果を表2に示す。
175℃としたホットプレート上に、得られたエポキシ樹脂組成物からなる試料を置き、試料が溶融後、へらで練りながら硬化するまでの時間を測定した。単位は秒(sec)である。結果を表2に示す。
実施例および比較例のエポキシ樹脂組成物を封止材として使用して、半導体装置を作成し、Cuワイヤの接続性(高温保管特性)を評価した。
(1)半導体装置の製造
アルミニウム製電極パッド(アルミニウム純度99.9質量%、厚み1μm)を備えるTEG(TEST ELEMENT GROUP)チップ(3.5mm×3.5mm)を上記回路基板のダイパッド部に接着し、TEGチップの電極パッドと基板の電極パッドとをデイジーチェーン接続となるように、銅ワイヤ(銅純度99.99質量%、径25μm)を用いてワイヤピッチ80μmでワイヤボンディングした。これを、低圧トランスファー成形機(TOWA製「Yシリーズ」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分の条件で、封止成形して、半導体パッケージを作製した。このパッケージを175℃、4時間の条件で後硬化した後、半導体装置を得た。
(2)高温保管特性の評価
得られた半導体装置について半導体装置のHTSL(高温保存試験)を行った。具体的には、200℃で処理し、不良が発生する時間を調べた。不良の判定は、作製したパッケージ100個を用いて評価し、初期抵抗に対する処理後の抵抗値が1.2倍を超えたパッケージが発生した時間を不良時間とした。
不良時間が3000時間を超えるもの:◎
不良時間が2500時間を超え、3000時間以下のもの:○
不良時間が2000時間を超え、2500時間以下のもの:△
不良時間が2000時間以下のもの:×
2 ダイボンド材硬化体
3 ダイパッド
4 ボンディングワイヤ
5 リードフレーム
6 硬化体
7 ソルダーレジスト
8 基板
9 半田ボール
10 車載用電子制御ユニット
12 基板
14 封止樹脂層
16 電子部品
18 接続端子
120 スルーホール
Claims (15)
- 試料として、エポキシ樹脂組成物または前記エポキシ樹脂組成物を構成する原料成分を準備する工程と、
前記試料を溶剤に混合して溶液を得る工程と、
得られた前記溶液をフィルターで濾過し、前記フィルター上の残渣を回収する工程と、
エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて、回収した前記残渣中に含まれる塩素含有粒子の粒子数を測定する工程と、
前記塩素含有粒子の粒子数が所定個以下である前記試料を合格品と判断し、所定個超えの前記試料を不合格品と判断する合否判断工程と、を含む、検査方法。 - 請求項1に記載の検査方法であって、
前記フィルターの目開きサイズが75μmである、検査方法。 - 請求項1または2に記載の検査方法であって、
前記合否判断工程において、前記塩素含有粒子の粒子数が0個以下である前記試料を合格品と判断する、検査方法。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記残渣を回収する工程は、
前記フィルター上の前記残渣を乾燥させる工程と、
測定用シートの粘着性表面に前記フィルター上の前記残渣を貼り付ける工程と、を含み、
前記測定する工程において、前記測定用シートの前記粘着性表面における前記残渣中に含まれる塩素含有粒子の粒子数を測定する、検査方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記塩素含有粒子が有機物を含有する、検査方法。 - 請求項5に記載の検査方法であって、
前記有機物が、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、絹、シリコーン化合物、およびアミド化合物からなる群から選択される一種以上を含む、検査方法。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の検査方法であって、
エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて測定される前記塩素含有粒子中の塩素濃度が、0.01Atm%以上である、検査方法。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記溶液を得る工程において、フィルター濾過後の前記溶剤を使用する、検査方法。 - 請求項1から8のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記残渣を回収する工程において、前記フィルターとして超音波洗浄したものを使用する、検査方法。 - 請求項1から9のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記フィルターは、ナイロン製である、検査方法。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記溶液を得る工程において、ポリプロピレン製またはポリエチレン製の容器中で前記溶液を混合する、検査方法。 - 請求項1から10のいずれか1項に記載の検査方法であって、
前記溶剤がアセトンを含む、検査方法。 - エポキシ樹脂A、硬化剤Bおよび無機充填材Cを含むエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、
原料成分として、エポキシ樹脂a、硬化剤bおよび無機充填材cを準備する工程と、
前記原料成分の品質を検査し、合格品と判断された前記原料成分を使用する原料検査工程と、含み、
前記原料検査工程において、請求項1から12のいずれか1項に記載の検査方法に基づいて、合格品と判断された前記エポキシ樹脂aを前記エポキシ樹脂Aとして使用する、エポキシ樹脂組成物の製造方法。 - 請求項13に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、
前記原料検査工程において、請求項1から12のいずれか1項に記載の検査方法に基づいて、合格品と判断された前記硬化剤bを前記硬化剤Bとして使用する、エポキシ樹脂組成物の製造方法。 - 請求項13または14に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、
前記原料検査工程において、請求項1から12のいずれか1項に記載の検査方法に基づいて、合格品と判断された前記無機充填材cを前記無機充填材Cとして使用する、エポキシ樹脂組成物の製造方法。
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