JP2020152085A - ハウスラップ材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐火建築物に使用可能な防水性能、透湿性能とともに高い耐久性能を持つ不燃性のハウスラップ材を提供する。【解決手段】本実施形態に係るハウスラップ材10は、透湿防水性シート1と不燃シート2とを積層し、不燃シート2は、熱可塑性樹脂と無機質材料とを含有し、無機質材料の含有量は、不燃シート2の質量に対して15質量%以上90質量%以下の範囲内である。【選択図】図1

Description

本発明は、断熱材などの内装材と外壁等の外装材との間に設けられるハウスラップ材に関する。
近年の建築物では空調効率を上げるため、建物内部の気密性が高くなってきている。しかし、建物内部の気密性が高くなるにつれて、冬季などに壁面や天井付近の空気が冷却されて結露が生じ、カビや建物内部の腐食に繋がる問題となっている。そこで、それら問題解決の為に防水性と透湿性を持ったハウスラップ材を用いることが増えている。
ハウスラップ材は建築物の外壁材と内装材の間に設けられるシートである。そのハウスラップ材は、建築物の天井、壁、床等に雨水等が侵入しないように防水性能を有し、建物内部の湿気を建物外部へ放出できるように透湿性能を持たせたシートである。
ハウスラップ材には、上記の防水性能や透湿性能を有する素材が各種使われており、一例として、特許文献1に記載のような、フラッシュ紡糸法によって作製されたポリエチレン不織布が挙げられる。このポリエチレン不織布は水を通さずに、適度に空気や水蒸気を通すことから、ハウスラップ材として広く普及している。
ところが、都市計画法によって、都市中心部については防火地域に指定されており、建築基準法で延べ床面積が100m以上または3階建以上の建物については耐火建築物であることが必要である。しかし、現在の外壁構造では外壁材とハウスラップ材との間に隙間があるため、近隣で火事が起きた場合に、炎がその隙間に入り込むとハウスラップ材が発火することで内部へ延焼する恐れがある。
また、ハウスラップ材の耐久性能は10年瑕疵保証に対応となっているが、近年それ以上の保証を求める声もある。
特開平05−124144号公報
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、耐火建築物に使用可能な防水性能、透湿性能とともに高い耐久性能を持つ不燃性のハウスラップ材を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様は、透湿防水性シートと不燃シートとを積層し、上記不燃シートは、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含有し、上記無機質材料の含有量は、上記不燃シートの質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であるハウスラップ材である。
本発明の一態様によれば、透湿防水性シートと不燃シートとを組み合わせることで、耐火建築物に使用可能な高い耐久性能を持つ不燃性のハウスラップ材を提供することが可能となる。
そして、本発明の一態様のハウスラップ材は、防水性及び透湿性を有しつつ、更に不燃性能を有する。このため、例えば、内装材と外壁材との間にハウスラップ材を配置すると、戸建等の建築物の近隣で火災が発生した場合に、外壁材とハウスラップ材の間の隙間の通気層に火炎が入り込んだとしても、ハウスラップ材が発火せず、外壁材の室内側から内部へ延焼する被害を、抑止する効果がある。
ここで、本発明のハウスラップ材が有する不燃性は、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験に準拠して、ハウスラップ材に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たす不燃性である。
なお、ハウスラップ材の強度を高めるために、必要に応じて補強シートを積層しても良い。
本発明に基づく実施形態に係るハウスラップ材を説明する模式図である。 本発明に基づく実施形態に係るハウスラップ材を説明する模式図である。 本発明に基づく実施形態に係るハウスラップ材の使用例を説明する模式図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
なお、後述する各種材料の含有量は、乾燥状態における対応する部材全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。例えば、後述する本実施形態の無機質材料の含有量は、乾燥状態における不燃シート2全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。また、後述する表面アンカー層(第1のアンカー層)4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、乾燥状態における表面アンカー層4a全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。また、後述する裏面アンカー層(第2のアンカー層)4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、乾燥状態における裏面アンカー層4b全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。
<構成>
本実施形態のハウスラップ材10は、図1に示すように、透湿防水性シート1の一方の面に不燃シート2が積層されて構成されている。透湿防水性シート1の両面に不燃シート2が積層されていても良い。
ハウスラップ材10の強度を高めるために、図2に示すように、必要に応じて補強シート3を積層しても良い。補強シート3を設ける場合、透湿防水性シート1の上に、不燃シート2、補強シート3の順番で積層されていても良いし、補強シート3、不燃シート2の順番で積層されていても良い。また、ハウスラップ材10は、不燃シート2と補強シート3との間に透湿防水性シート1を介挿した積層構造となっていても良い。もっとも、補強シート3を設けなくてもハウスラップ材10に所定の強度が確保される場合には、補強シート3を設ける必要は無い。所定の強度とは、例えばJISA 6111:2016に記載される透湿防水シートBに規定される強度である。
ここで、透湿防水性シート1及び不燃シート2を有するハウスラップ材10を使用する際には、不燃シート2側の面が屋外側(外壁側)となるように配置することが好ましい。この場合、不燃シート2によって、透湿防水性シート1や補強シート3が光線に暴露することが防止される結果、光線暴露による透湿防水性シート1や補強シート3の経時劣化を抑制すなわち経時的な強度劣化を遅らせることが可能となる。もっとも、透湿防水性シート1や補強シート3の耐候性能やハウスラップ材10の配置箇所によっては、透湿防水性シート1や補強シート3側の面を屋外側(外壁側)となるように配置しても問題はない。
<透湿防水性シート1>
透湿防水性シート1は、透湿性及び防水性を有する、樹脂製のフィルムや不織布などからなる。樹脂製のフィルムは、樹脂膜から構成されていても良い。
樹脂製のフィルムからなる透湿防水性シート1は、透湿性及び防水性が得られれば、多孔質フィルム、無孔質フィルムのどちらも使用することができる。多孔質フィルムの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等が例示出来る。無孔質フィルムとしては、ウレタン系の熱可塑性エラストマー、ポリエチレン系の熱可塑性エラストマーなどが例示出来る。樹脂膜からなる樹脂製のフィルムとしては、フッ化樹脂膜やポリウレタン膜などが例示出来る。経済的な理由などから、多孔質ポリエチレン製のフィルムが好ましい。
樹脂製のフィルムからなる透湿防水性シート1は、公知の方法で製造すればよい。例えば、多孔質ポリエチレンフィルムは、ポリエチレンを予め設定した融解温度で、フィルムの形に押し出し、更に104℃以下の温度で延伸し、フィルムが張力状態にある間に緩和させ、目的とする望む安定性を与えるために、100〜135℃で熱セット又はアニール処理を行う。ポリエチレン多孔質フィルムを得るには、異種固体、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム等の無機塩類、又は酸化チタン、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の酸化物、あるいは水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、カオリン、タルク、シリカ、ガラスビーズ等の無機フィラー、及びフェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の有機フィラーをポリエチレンにミクロ分散させた後溶融製膜し、延伸する。延伸することにより異種固体とポリエチレンの界面が剥離し空孔となり多孔質フィルムが得られる。
樹脂製の不織布からなる透湿防水性シート1としては、フラッシュスパン不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布などが例示出来る。
ここで、透湿防水性シート1は、上記のような樹脂製のフィルム(樹脂膜を含む)や不織布などからなるシートを2以上積層して構成しても良い。
2以上の積層構成としては、ポリプロピレン製の不織布で、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布3層からなる構成や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の4層からなる構成や、スパンボンド不織布に上述の樹脂製のフィルムを積層した構成や、メルトブロー不織布に上述の樹脂製のフィルムを積層した構成などが例示出来る。
透湿防水性シート1は、目付10g/m以上250g/m以下で、耐水圧10kPa以上、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μg以下の性能を有するように調製することが好ましい。耐水圧は10kPa以上であれば特に上限はない。耐水圧が10kPa以上であれば、ハウスラップ材に用いられる防水性シートとしては、使用上問題がない。また、透湿抵抗についても0.13m・s・Pa/μg以下であれば、特に下限はない。透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μg以下であれば、ハウスラップ材に用いられる防水性シートとしては、使用上問題がない。透湿防水性シート1を構成する素材その他でその限界が設定される。透湿防水性シート1の目付を250g/m以下としているのは、不燃性を確保するためである。すなわち、透湿防水性シート1の目付が250g/m以下よりも目付が超えた場合、即ち透湿防水性シート1の目付が250g/mを超えた場合には、発熱量が不燃性の基準を満たさない恐れがある。また、透湿防水性シート1の目付を10g/m以上としているのは、透湿防水性を確保するためである。
<不燃シート2>
本実施形態の不燃シート2は、例えば、炭酸カルシウムを75質量%以上85質量%以下の範囲内で含有し、且つ熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂を15質量%以上25質量%以下の範囲内で含有して構成される。以下、不燃シート2の構成の詳細について説明する。
不燃シート2は、ハウスラップ材10の基材となる層(シート)であって、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含んだ層である。
本実施形態の無機質材料の含有量は、不燃シート2の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であればよく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であればより好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。無機質材料の含有量が不燃シート2の質量に対して、15質量%未満であると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が多くなるため、不燃性または難燃性が得にくい傾向がある。また、不燃シート2の表面をホフマンスクラッチテスターを用いて引っ掻いた際に、視認できる程度の傷が付く、即ち十分な表面硬度が得られないことがある。一方、無機質材料の含有量が不燃シート2の質量に対して、90質量%を超えると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が少なくなる。このため、不燃シート2表面に、後述するアンカー層の塗工等を行った際に不燃シート2表面に所謂「粉吹き」が発生することがある。ここで、「粉吹き」とは、不燃シート2に含まれた無機質材料が不燃シート2の表面に浮き出ることをいう。また無機質材料の含有量が不燃シート2の質量に対して、90質量%を超えると、不燃シート2を折り曲げて再び開いた際に、折り曲げた部分から割れが発生したり、無機質材料が落ちたりすることがある。
このように、本実施形態の無機質材料の含有量が不燃シート2の質量に対して、15質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下の範囲内であれば、不燃性または難燃性を得つつ、粉吹きの発生を低減させ、且つシートの折り曲げ部における割れの発生を低減することができ、さらに十分な表面硬度を得ることができる。
また、本実施形態の無機質材料は、粉末形状(粉体形状)であることが好ましく、その平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることが好ましい。無機質材料の平均粒子径及び最大粒子径が上記数値範囲内であれば、熱可塑性樹脂に対する無機質材料の分散性を向上させつつ、不燃シート2表面の平坦性を維持することができる。無機質材料の平均粒子径が1μm未満であると、無機質材料同士の凝集力が高まり、後述する熱可塑性樹脂への分散性が低下することがある。また、無機質材料の平均粒子径が3μmを超えると、不燃シート2表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層4aまたは裏面アンカー層4bの厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。また、無機質材料の最大粒子径が50μmを超えると、不燃シート2表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層4aまたは裏面アンカー層4bの厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。なお、本実施形態において、「平均粒子径」とは、モード径を意味する。なお、最大粒子径を有する粒子は、無機質材料全体の5質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましい。
無機質材料は、例えば、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含有した粉末である。炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体は、50質量%以上100質量%以下の範囲内で含むものが好ましい。つまり、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体の純度は、炭酸カルシウム等が50質量%以上100質量%以下の範囲内であることが好ましい。炭酸カルシウム等の含有量が50質量%以上含む炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体であれば、不燃シート2に、十分な不燃性または十分な難燃性を付与することができると共に、十分な機械強度を付与することができる。
なお、無機質材料としては、上記炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体以外に、例えば、シリカ(特に中空シリカ)、アルミナ、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコンなどのジルコニウム化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体など、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、ジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩などの少なくとも一種が挙げられる。特に、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩は製造手法による粒径のコントロールや熱可塑性樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため不燃シートの低廉化の観点からも好適である。
また、無機質材料は、結晶性を有する粉末材料、所謂結晶粉末であってもよいし、結晶性を有さない粉末材料、所謂アモルファスタイプの粉末材料であってもよい。無機質材料が結晶性を有する粉末材料であれば、粉末自体が均質で等方性を備えるため、粉末自体の機械強度が向上し、不燃シート2の耐傷性や耐久性能が向上する傾向がある。また、無機質材料がアモルファスタイプの粉末材料であれば、粉末自体の電気伝導性や熱伝導性、あるいは光透過率や光吸収率を適宜調整することが可能となるため、触感や艶等のバリエーションが豊富な意匠性を付与することが可能となる。
本実施形態の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を含んでいれば好ましく、ポリプロピレンを含んでいればより好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を使用することで、無機質材料の分散性が向上する。また、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレンを使用することで、無機質材料の分散性がさらに向上する。
また、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、不燃シート2の質量に対して、90質量%以上100質量%以下の範囲内であることが好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を得つつ、シートの折り曲げ部に発生する割れを低減することができる。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が不燃シート2の質量に対して、90質量%未満であると、十分な不燃性または十分な難燃性が得られないことがある。また、90質量%未満であると、例えば、印刷適性が低下したり、シートの折り曲げ部に割れが発生したりすることがある。
なお、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、不燃シート2の質量に対して、100質量%である場合には、熱可塑性樹脂の含有量を10質量%以上85質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を15質量%以上90質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上40質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を60質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を確実に得つつ、シートの折り曲げ部に発生する割れを確実に低減することができる。
また、不燃シート2の厚みは、50μm以上250μm以下の範囲内であることが好ましく、70μm以上200μm以下の範囲内であることがより好ましい。不燃シート2の厚みが上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を確実に得つつ、シートの折り曲げ部に発生する割れを低減することができる。不燃シート2の厚みが50μm未満であると、十分な不燃性または十分な難燃性が得にくい傾向がある。また、不燃シート2の厚みが250μmを超えると、シートの折り曲げ部に割れが発生することがある。
また、不燃シート2は、1軸延伸または2軸延伸の不燃シートであることが好ましい。不燃シート2が1軸延伸または2軸延伸の不燃シートであれば、ハウスラップ材10の汎用性を高めることができる。
なお、不燃シート2の表面(第1の面)及び裏面(第2の面)の少なくとも一方に、例えば、後述する表面アンカー層(第1のアンカー層)4a及び裏面アンカー層(第2のアンカー層)4bを形成する前に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。ここで、「不燃シート2の表面(第1の面)」とは、透湿防水性シート1側の面を意味する。ここで、「不燃シート2の裏面(第2の面)」とは、透湿防水性シート1とは反対側の面を意味する。また、不燃シート2の表面及び裏面の少なくとも一方に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことで、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bと、不燃シート2との接着性(密着性)が向上する。
また、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bを形成する前に、例えば、不燃シート2の表面及び裏面の少なくとも一方をブラッシングして、粉吹きした無機質材料、例えば炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体を事前に落とすようにしてもよい。
(表面アンカー層)
表面アンカー層4aは、不燃シート2の表面全体を覆うように形成された層であって、不燃シート2に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。不燃シート2に透湿防水性シート1を積層(接着)させるための接着層(図示せず)の塗工時に不燃シート2に含まれる無機質材料が塗工系内、具体的には印刷塗工装置内で粉落ちすると、その塗工系内を汚染することがある。また、不燃シート2に含まれる無機質材料が粉落ちすると、透湿防水性シート1を接着させるための接着層の抜け等の不具合が発生する可能性がある。ここで、「接着層の抜け」とは、透湿防水性シート1を接着させるための接着層が部分的に塗工されないことをいう。透湿防水性シート1を接着させるための接着層に抜け等が発生すると、不燃シート2と透湿防水性シート1との密着性が低下することがある。
表面アンカー層4aは、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。ここで、「塩酢ビ」とは、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体を意味する。また、「塩酢ビを含むウレタン系樹脂」とは、塩酢ビとウレタン系樹脂とを含んだ組成物であり、塩酢ビの含有量とウレタン系樹脂の含有量との比(塩酢ビの含有量(質量)/ウレタン系樹脂の含有量(質量))は80/20〜1/99の範囲内であればよく、50/50〜5/95の範囲内であれば好ましく、20/80〜10/90の範囲内であればさらに好ましい。
また、「塩酢ビを含むウレタン系樹脂」は、前述の塩酢ビ及びウレタン系樹脂以外に硬化剤を含んでいてもよい。この硬化剤は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂を確実に硬化させるために添加されるものであり、その含有量については特に限定されない。例えば、塩酢ビを含むウレタン系樹脂の含有量と、硬化剤の含有量との比(塩酢ビを含むウレタン系樹脂の含有量(質量)/硬化剤の含有量(質量))は99/1〜1/99の範囲内であればよく、99/1〜50/50の範囲内であれば好ましく、95/5〜90/10の範囲内であればさらに好ましい。
表面アンカー層4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、表面アンカー層4aの質量に対し、15質量%以上100質量%以下の範囲内が好ましく、80質量%以上100質量%以下の範囲内がより好ましく、85質量%以上95質量%以下の範囲内がさらに好ましい。表面アンカー層4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、表面アンカー層4aと不燃シート2との層間強度を十分なものにしつつ、均一でムラや欠けのない表面アンカー層4aを形成することができる。表面アンカー層4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層4aの質量に対し、15質量%未満であると、表面アンカー層4aと不燃シート2との層間強度が不十分となることがある。また、表面アンカー層4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層4aの質量に対し、80質量%未満であると、使用上何ら問題はないが、表面アンカー層4aの不燃シート2への食い込み比率が低下し、表面アンカー層4aと不燃シート2との層間強度が低下することが僅かながらある。なお、表面アンカー層4aにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層4aの質量に対し、100質量%以下であれば使用上何ら問題はないが、95質量%、より正確には98質量%を超えると、硬化不足で表面アンカー層4aに欠けが生じたり、表面アンカー層4aと不燃シート2との層間強度が低下したりすることがある。
また、表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、後述する裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量と同じであってもよい。即ち、表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量の1.0倍(0.95倍以上1.04倍以下の範囲内)であってもよい。表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が、裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量と同じである場合には、表面アンカー層4aの物性と裏面アンカー層4bの物性がほぼ同じになるため、不燃シート2が表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bを備えた状態において、歪みや反り等の発生を低減することができる。そのため、不燃シート2全体の歪みや反り等の発生を低減することができる。また、表面アンカー層4aを形成するための塗工液と、裏面アンカー層4bを形成するための塗工液とを共通化することができるため、製造コストを低減するとともに、作業効率を向上させることができる。
また、表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量よりも多くてもよいし、少なくてもよい。表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が、裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量よりも多い、または少ない場合には、表面アンカー層4aの物性と裏面アンカー層4bの物性が異なるため、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bを備えた不燃シート2に、歪みや反り等を付与することができる。このように、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bを備えた不燃シート2に歪みや反り等を付与することで、その不燃シート2を湾曲した表面を備える基材等に隙間なく貼り合せることができる。例えば、表面アンカー層4aにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層4bにおける塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量の1.1倍以上10倍以下であってもよく、0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。
表面アンカー層4aの厚みは、例えば、0.5μm以上20μm以下の範囲内であり、好ましくは、0.5μm以上10μm以下の範囲内である。また、表面アンカー層4aの厚みは、裏面アンカー層4bの厚みと同じであってもよい。表面アンカー層4aの厚みが裏面アンカー層4bの厚みと同じである場合には、表面アンカー層4aの物性と裏面アンカー層4bの物性がほぼ同じになるため、不燃シート2が表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bを備えた状態において、歪みや反り等の発生を低減することができる。
また、表面アンカー層4aの厚みは、裏面アンカー層4bの厚みよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。表面アンカー層4aの厚みと裏面アンカー層4bの厚みを異なるものとすることで、光沢差が生じるため、不燃シート2の表面側と裏面側とを容易に視認することができる。そうすることで、不燃シート2の表面に、例えば積層面であることを表示する識別マーク等を形成することなく、透湿防水性シート1を積層することができる。その結果、不燃シート2の裏面(非積層面)側に透湿防水性シート1を積層することで生ずる製品ロスを低減することができる。
(裏面アンカー層)
裏面アンカー層4bは、不燃シート2の裏面全体を覆うように形成された層であって、不燃シート2に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。不燃シート2に補強シート3を積層(接着)させるための接着層(図示せず)の塗工時に不燃シート2に含まれる無機質材料が塗工系内、具体的には印刷塗工装置内で粉落ちすると、その塗工系内を汚染することがある。
裏面アンカー層4bは、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。
裏面アンカー層4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、例えば、裏面アンカー層4bの質量に対し、15質量%以上100質量%以下の範囲内が好ましく、80質量%以上100質量%以下の範囲内がより好ましく、85質量%以上95質量%以下の範囲内がさらに好ましい。裏面アンカー層4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、均一でムラや欠けのない裏面アンカー層4bを形成することができる。裏面アンカー層4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層4bの質量に対し、15質量%未満であると、粉落ちの防止が十分でないことがある。また、裏面アンカー層4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層4bの質量に対し、80質量%未満であると、使用上何ら問題はないが、裏面アンカー層4bの不燃シート2への食い込み比率が低下し、裏面アンカー層4bと不燃シート2との層間強度が低下することが僅かながらある。なお、裏面アンカー層4bにおける、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層4bの質量に対し、100質量%以下であれば使用上何ら問題はないが、95質量%、より正確には98質量%を超えると、硬化不足で裏面アンカー層4bに欠けが生じたり、裏面アンカー層4bと不燃シート2との層間強度が低下したりすることがある。
また、裏面アンカー層4bの厚みは、例えば、0.5μm以上20μm以下の範囲内であり、好ましくは、0.5μm以上10μm以下の範囲内である。
なお、実施形態では、上述のように、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bの両方を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bの少なくとも一方を設けた形態であっても良いし、表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4bの両方を設けなくても良い。
不燃シート2の目付は、140g/m以上400g/m以下の範囲内のものが好ましく、140g/m以上300g/m以下の範囲内のものがより好ましい。不燃シート2の目付が140g/mを下回ると、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験に準拠して試験を行った際に、加熱開始後20分間に、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴を生じる恐れがある。一方、不燃シート2の目付が400g/mを超えると、透湿防水性シートに必要な透湿性能が阻害される恐れがある。
この不燃シート2を使用することで、ハウスラップ材10に対して、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験に準拠して、ハウスラップ材10に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たす不燃性を付与可能となる。
<補強シート3>
補強シート3を積層することで、ハウスラップ材10の強度が向上する。すなわち、補強シート3は、補強用基材として用いられる。補強シート3は、例えばポリエステルスパンボンド不織布など公知の不織布を使用すればよい。補強シート3の表面に撥水剤を塗布して、撥水処理を施しておいても良い。
ここで補強シート3を構成する不織布は、特に限定されるものではないが、例えばスパンボンド不織布、メルトブロー不織布、ニードルパンチ不織布、フラッシュ紡糸法で得られた網状ポリエチレン極細繊維が集積されてなる不織布、網目状に太目の繊維を規則的に重ね合わせて接合させた不織布、所謂、割繊維不織布等が使用可能である。これらの中でも、強度的に優れ、タッカー等で胴縁表面に容易に張り付けることができるという理由から、ポリエステルスパンボンド不織布を用いるのが好ましい。
なお、不燃性の観点から、透湿防水性シート1と補強シート3を合わせた目付を250g/m以下に抑えることが好ましい。透湿防水性シート1と補強シート3を合わせた目付を250g/m以下であれば、不燃性が向上する。
撥水剤としては、例えばシリコーン系、パラフィン系、フッ素系、エチレン尿素系、脂肪酸系のものが挙げられ、これらは溶液、エマルジョン、ディスパージョン、あるいは懸濁液として不織布に塗布される。また、上記撥水剤は二種以上併用されてもよい。そして不織布に上記撥水剤を塗布する方法は、ディッピング法、スプレー法、凹版ロールや凸版ロールを用いた印刷法、コーティング法などが挙げられ、不織布の表面のみを撥水処理するようにしてもよいし、不織布の厚み方向の全体に亘って撥水処理するようにしてもよい。
なお、透湿防水性シート1や補強シート3に使用されるポリエステルなどの樹脂には、安定剤、着色剤、顔料、充填剤等の添加剤を適宜配合しても構わない。
ここで、透湿防水性シート1と不燃シート2と補強シート3の貼り付けは、透湿性能を阻害しない、例えばスプレー、ドット、ストライプなど公知の方法で、ホットメルト接着剤など公知のバインダーを塗工して、サンドイッチ状に接合すればよい。
<作用効果など>
以上の構成からなる本実施形態のハウスラップ材10は、JIS A6111:2016に記載されている透湿防水性シートBの品質要求を満足することができる。
例えば、ハウスラップ材10が下記の仕様を満足するように調整する。
・透湿抵抗(透湿性)[m・s・Pa/μg]:0.13以下
(JISA 6111の7.2 透湿性により行う。)
・引張強さ[N/50mm]:縦、横とも100以上
(JISA 6111の7.3a 引張強さにより行う。)
・つづり針保持強さ[N/30mm]:縦、横とも27以上
(JISA 6111の7.3b つづり針保持強さにより行う。)
・防水性(水圧[kPa]):10以上
(JISA 6111の7.5 防水性により行う。水圧の加圧面は透湿防水性シート1の表面とする。)
・耐久性(水圧[kPa]):8以上、(引張強度残存率[%])、縦、横ともに初期値の残存率50以上
(JISA 6111の7.6 耐久性により行う。)
・熱収縮性(収縮率(%)):1.5以下
(JISA 6111の7.7 熱収縮性により行う。)
・防風性(通過時間)[s]:10以上
(JISA 6111の7.8 防風性により行う。)
更に、本実施形態のハウスラップ材10は、ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験に準拠して、ハウスラップ材10に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たす不燃性を付与可能となる。
このように、本実施形態のハウスラップ材10は、多孔質ポリエチレンなどの透湿防水性シート1と不燃シート2とを組み合わせることで、耐火建築物に使用可能な高い耐久性能を持つ不燃性のハウスラップ材10を提供することが可能となる。また、必要に応じて補強シート3で補強することでハウスラップ材10の強度を向上させることが可能となる。そして、本実施形態のハウスラップ材10は、従来と同様な防水性能及び透湿性能を有すると共に不燃性能を有する。
例えば、図3のように、内装材としての断熱材11の外面側に本実施形態のハウスラップ材10を配置し、そのハウスラップ材10を外壁材13の内面と間隙を有するように設定して使用する。符号12は内装材を示す。この状態で、図3のように戸建等の建築物の近隣で火災が発生した場合に、外壁材13とハウスラップ材10の間の通気層に火炎が入り込み、ハウスラップ材が発火して、外壁材13の室内側から内部へ延焼する被害を抑止する効果を奏する。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
本実施例のハウスラップ材10は、多孔質ポリエチレンフィルム(透湿防水性シート1)と、熱可塑性樹脂と無機質材料とを含有した不燃シート2とを積層し、ホットメルトにて接着を行って、実施例1のハウスラップ材10を作成した。
多孔質ポリエチレンフィルムとしては、厚さが0.028mm、目付が10g/m、耐水圧が10kPa、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μgの性能を有するものを使用した。
また、不燃シート2としては、無機質材料をシリカ(含有量80質量%)とし、熱可塑性樹脂をポリスチレンとし、その合計含有量を85質量%とした不燃シート2を使用した。
なお、無機質材料の平均粒子径は、0.8μmとし、最大粒子径60μmを有する粒子は、無機質材料全体の20質量%とした。
<実施例2>
多孔質ポリエチレンフィルムとして、目付が100g/m、耐水圧が10kPa、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μgの性能を有するものを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のハウスラップ材10を作成した。
<実施例3>
多孔質ポリエチレンフィルムとして、目付が250g/m、耐水圧が10kPa、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μgの性能を有するものを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例3のハウスラップ材10を作成した。
<実施例4>
透湿防水性シート1と補強シート3と不燃シート2とを、この順番にサンドイッチ状に積層し、ホットメルトにて接着を行った以外は、実施例3と同様にして、実施例4のハウスラップ材10を作成した。
なお、補強シート3としては、厚さ0.2mm、目付30g/mのPET不織布を使用した。
<実施例5>
シリカの平均粒子径を1μmとし、最大粒子径を50μmとし、多孔質ポリエチレンフィルムの目付を100g/mとした以外は、実施例4と同様にして、実施例5のハウスラップ材10を作成した。
<実施例6>
シリカの平均粒子径を3μmとし、最大粒子径を50μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例6のハウスラップ材10を作成した。
<実施例7>
無機質材料を三酸化アンチモンとし、無機質材料の平均粒子径を2μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例7のハウスラップ材10を作成した。
<実施例8>
無機質材料を酸化ジルコンとした以外は、実施例7と同様にして、実施例8のハウスラップ材10を作成した。
<実施例9>
無機質材料を炭酸カルシウムとした以外は、実施例7と同様にして、実施例9のハウスラップ材10を作成した。
<実施例10>
熱可塑性樹脂をポリプロピレンとした以外は、実施例9と同様にして、実施例10のハウスラップ材10を作成した。
<実施例11>
熱可塑性樹脂をポリエチレンとした以外は、実施例9と同様にして、実施例11のハウスラップ材10を作成した。
<実施例12>
熱可塑性樹脂をポリエステルとした以外は、実施例9と同様にして、実施例12のハウスラップ材10を作成した。
<実施例13>
熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量を90質量%とした以外は、実施例10と同様にして、実施例13のハウスラップ材10を作成した。
<実施例14>
熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量を100質量%とした以外は、実施例10と同様にして、実施例14のハウスラップ材10を作成した。
<実施例15>
不燃シート2の両面に、塩酢ビを含むウレタン系樹脂で構成されたアンカー層(表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4b)を設けた以外は、実施例13と同様にして、実施例15のハウスラップ材10を作成した。
<実施例16>
不燃シート2の両面に、塩酢ビを含むアクリル系樹脂で構成されたアンカー層(表面アンカー層4a及び裏面アンカー層4b)を設けた以外は、実施例13と同様にして、実施例20のハウスラップ材16を作成した。
<実施例17>
透湿防水性シート1の目付を28g/mにした以外は、実施例4と同様にして、実施例17のハウスラップ材10を作成した。
<実施例18>
透湿防水性シート1と不燃シート2と補強シート3とを、この順番にサンドイッチ状に積層し、ホットメルトにて接着を行った以外は、実施例17と同様にして、実施例18のハウスラップ材10を作成した。
<実施例19>
透湿防水性シート1として、厚さが0.17mm、目付が61g/m、耐水圧が10kPa、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μgの性能を有するフラッシュスパン不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例19のハウスラップ材10を作成した。
<実施例20>
無機質材料をシリカの含有量を15質量%とし、多孔質ポリエチレンフィルムとして、目付が10g/m、耐水圧が10kPa、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μgの性能を有するものを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例20のハウスラップ材10を作成した。
<比較例1>
不燃シート2を備えない以外は、実施例1と同様にして、比較例1のハウスラップ材10を作成した。
<評価>
実施例1〜実施例20と比較例1とのハウスラップ材について、コーンカロリメーター(株式会社東洋精機製作所製)にて燃焼試験を行った(ISO 5660−1:2002準拠)。
評価基準は次の通りである。
○:合格(総発熱量8MJ/m未満かつ最大発熱速度が10秒超えて連続して200kw/m超えないこと、形状が維持されていること)
×:不合格(総発熱量8MJ/m以上または最大発熱速度が10秒超えて連続して200kw/m超えること、形状が維持できていない)
評価結果を表1に示す。
Figure 2020152085
表1から分かるように、本実施形態に基づくハウスラップ材10は不燃性能を有することが分かる。
ここで、各実施例及び比較例のハウスラップ材について、ハウスラップ材としての一般的な性能についても確認したところ、表2のように、実施例1〜20のハウスラップ材については、高機能ハウスラップ材として要求される性能を有することを確認している。
すなわち、透湿防水性シート(JIS A 6111:2016)に定める引張強度、熱収縮率、透気度、耐水圧、透湿抵抗を測定した。その結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1〜20のついては、全て基準を満たすものであった。
Figure 2020152085
なお、耐久試験は、サンシャインカーボンアークランプにて紫外線照射量を44MJ/mにしたうえで、90℃の恒温槽で7週間保持したのち、測定を実施した。
以上のことから、本実施形態に基づくハウスラップ材10は、所要の透湿防水性を有し且つ不燃性能を有することが分かる。また、高い耐久性能を有することも分かる。
ここで、上記の実施例4〜18は、補強シート3を設けた場合の例であるが、上記の実施例1〜3、20の通り、補強シート3を積層しなくても、JIS A 6111:2016に規定する強度が確保できる場合には、補強シート3を設けなくても良い。
1 透湿防水性シート
2 不燃シート
3 補強シート
4a 表面アンカー層
4b 裏面アンカー層
10 ハウスラップ材
11 断熱材
13 外壁材

Claims (10)

  1. 透湿防水性シートと不燃シートとを積層し、
    上記不燃シートは、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含有し、
    上記無機質材料の含有量は、上記不燃シートの質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であるハウスラップ材。
  2. JIS A6111:2016に記載されている透湿防水シートBの規格を満足する請求項1に記載のハウスラップ材。
  3. 上記透湿防水性シートは、目付10g/m以上250g/m以下で、耐水圧10kPa以上、透湿抵抗が0.13m・s・Pa/μg以下の性能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハウスラップ材。
  4. 更に積層体として補強シートを備え、
    上記透湿防水性シートの上に、上記不燃シート、上記補強シートの順番、または上記補強シート、上記不燃シートの順番で積層されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  5. 上記無機質材料は、粉末形状であり、平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  6. 上記無機質材料は、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、及びジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  7. 上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  8. 上記熱可塑性樹脂と、上記無機質材料との合計含有量は、上記不燃シートの質量に対して、90質量%以上100質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  9. 上記不燃シートの第1の面に形成された第1のアンカー層と、
    上記不燃シートの上記第1の面とは反対側の面である第2の面に形成された第2のアンカー層と、を更に備え、
    上記第1のアンカー層及び上記第2のアンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
  10. ISO5660−1に準拠したコーンカロリ燃焼試験に準拠して、ハウスラップ材に対する総発熱量及び時間に対する発熱速度を求めた際に、(i)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、(ii)加熱開始後20分間、最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ(iii)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないことを満たす不燃性能であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のハウスラップ材。
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