JP2020147862A - 高中空ポリエステル繊維の製造方法 - Google Patents

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【課題】中空率40%以上の高中空率繊維を安定して生産するための製造方法を提案する。【解決手段】低張力フロー延伸による中空未延伸繊維の中空部膨張効果を利用し、中空率15〜35%の未延伸糸をポリエステルのガラス転移温度より高い温度で0.1cN/dtex以下の低張力下でフロー延伸することで、中空率40〜90%の高中空ポリエステル繊維を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、高中空ポリエステル繊維の製造方法に関する。
従来提案されている中空率40%以上の高中空ポリエステル繊維は、その多くが高中空を得るための特殊な紡糸方法を用いられている。
特許文献1には、複数のスリット孔に囲まれた部分が外接円面積に占める面積占有率を大きくしたノズルから溶融ポリマーを吐出させ、通常の条件で紡糸延伸する方法が提案されている。しかし、スリット幅は0.05〜0.03mm程度が下限で、これより小さくするとポリマー中の不純物(異物)等によりスリットが目詰まりしやすくなり、一方、円弧状スリットの径を大きくすると、一吐出孔当たりの下限吐出量がアップして繊度が大きくなるため、細繊度で且つ中空率40%以上の高中空ポリエステル繊維は得がたく、限定された製糸条件で製造されているのが実情である。
特許文献2には、スリット状ノズルの内側から窒素ガス等の不活性ガスを導入して内外から吐出糸条を冷却する方法が提案されている。この方法によれば、高中空ポリエステル繊維は得られるものの、ノズルの構造が複雑になるため孔数を増やすことができない。従って、細繊度を得るには極度に生産能力が低下するためにコストが高くなるという欠点を有している。
特許文献3および特許文献4には、溶融ポリエステルを、複数のスリットから構成される公知の中空糸製造用紡糸孔を具備する紡糸口金から吐出して、中空未延伸糸を得る際、吐出糸条を口金直下で一旦急冷し、次いで徐冷すると共に、紡糸ドラフトが150以上、かつ引取速度が1000〜1800m/分で紡糸し、続いて未延伸糸を温度50〜70℃の温水中で、1.8〜5.5倍の延伸倍率で延伸(ネック延伸)することによる、0.1〜8.0デニール(9.0デシテックス)の細繊度かつ40〜85%の高中空率の繊維を得る方法が開示されている。但し、高中空率を得るための口金直下での急冷や高い紡糸ドラフトにより、溶融ポリエステルが接合する前に固化することで中空繊維の表面に亀裂が生じたり(中空破断という)、紡糸中の糸切れ(断糸ともいう)や、未延伸糸の中空破断に伴う延伸時の断糸が比較的多いといった欠点があった。
したがって、前記の従来技術では、高い生産性を維持しながら高中空ポリエステル繊維を安定して製造するには至っていないのが実情である。
特開平6−2210号公報 特開昭62−289642号公報 特開平11−302921号公報 特開平10−292222号公報
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は繊維横断面に占める中空部の割合が40%以上と高中空率のポリエステル繊維の、製造工程での中空破断による紡糸断糸や延伸断糸を抑制した、安定した製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、未延伸糸の中空率を抑え、延伸で高中空化させるという、紡糸及び延伸の工程調子が安定化する製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、
1.中空率15〜35%の中空ポリエステル未延伸繊維をフロー延伸することで、延伸後繊維の中空率を40〜90%とすることを特徴とする高中空ポリエステル繊維の製造方法、であり、
他の発明として
2.上記1に記載の方法で得られた高中空繊維を更にネック延伸することで細繊度化と高強度化を両立させることを特徴とする、単繊維繊度が0.1〜9.0dtex、引張強度が2cN/dtex以上である高中空ポリエステル繊維の製造方法、を提供する。
本発明の製造方法により、中空率が40〜90%の高中空率を有するポリエステル繊維を、中空率15〜35%の中空未延伸繊維から得るため、従来の方法よりも中空破断が少なく、かつ、紡糸断糸、延伸断糸ともに少なくなり、高い歩留まりを達成することができる。
本発明の高中空率繊維の断面図である。 本発明の未延伸糸を得るために用いる吐出孔の形状の一例である。 従来技術(特許文献1)の高中空率繊維を得るために用いる吐出孔の形状の一例である。
以下、本発明について詳細に述べる。
本発明のポリエステル繊維は、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするエチレンテレフタレート系のホモポリエステル、コポリエステル又はこれらのポリエステルに第3成分を混合したポリエステルからなるものであり、特に繰返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルが好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
10モル%以下で共重合し得る共重合成分としては、酸成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、P−オキシ安息香酸、P−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸があげられ、またジオール成分としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール等があげられる。なおこれら第3成分は、単独で共重合させても2種以上を同時に共重合させてもよい。
ポリエステルの重合度(固有粘度)は特に限定する必要はないが、大きくなりすぎると紡糸時の工程安定性が低下して細繊度のものが得難くなる傾向にあり、一方小さくなりすぎると高中空のものが得難くなる傾向にあるので、オルソクロロフェノール中35℃で測定した固有粘度IVは0.45〜1.00、好ましくは0.5〜0.9の範囲が適当である。
また、上記ポリエステルには各種添加剤を混合してもよく、例えば抗菌剤、親水剤、防ダニ剤、消臭剤、遠赤外線放射剤等の各種機能性付与剤、二酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、トルマリン等の無機微粒子をあげることができ、目的に応じて適宜選択使用すればよい。ただし、無機微粒子を配合する際には、ポリエステル中への分散性の点から、その平均粒径は1.0μm以下、好ましくは、0.1〜0.7μmが適当であり、また、その混合量は1〜10重量% 、特に2〜7重量%の範囲が適当である。
中空ポリエステル未延伸繊維は、公知の中空ポリエステル未延伸繊維と同様のプロセスや口金を用いて採取し、後述するフロー延伸を施すことにより高中空化できるので、中空率が15〜35%であればよく、従来技術のように、ポリマー吐出後に高い中空率を必要としないので、紡糸断糸や中空破断、および、それに伴う延伸断糸を少なくすることができる。用いられる公知の中空口金の孔形状の一例を図2に示す。なお、中空率が15%を下回ると、フロー延伸後であっても中空率を40%以上にすることが難しく、また、中空率が35%を超えると、中空破断や断糸が生じやすくなる。中空ポリエステル未延伸繊維の好ましい中空率の範囲は18〜33%である。
また、中空ポリエステル未延伸繊維は、紡糸速度や紡糸ドラフトはなるべく低くする方が後述のフロー延伸倍率およびネック延伸倍率を大きくするために好ましく、紡糸速度は800m/分以下、好ましくは700m/min以下、更に好ましくは600m/分以下がよく、紡糸ドラフトは140以下、好ましくは120以下、更に好ましくは100以下がよい。
ここで、本願が称するフロー延伸とは、ポリエステルのガラス転移温度より高い温度で0.1cN/dtex以下の低張力下で行う延伸方法であり、未延伸糸内の分子配向が殆ど変化せずに高倍率延伸が可能な延伸方法のことである。
そして、ネック延伸とは、ポリエステルのガラス転移温度以下の温度で、未延伸糸の降伏応力以上の張力で未延伸糸の自然延伸倍率以上(未延伸糸の荷伸曲線の定応力伸長領域長を試験長で除した値に+1を加えた値で定義され、NDRともいう)で、未延伸糸の太さが均一になるまで(ネック点が消失するまで)延伸する延伸方法のことである。
上記のポリエステルからなる中空未延伸糸をフロー延伸することで、高中空ポリエステルを得る。フロー延伸では、ポリエステルの場合、通常70〜100℃、好ましくは75〜99℃の熱媒浴中で0.01〜0.10cN/dtex、好ましくは0.02〜0.08cN/dtexの低い延伸張力で行うため、降伏応力以上の高い延伸張力で分子が延伸方向に高度に配向するネック延伸に対し、分子配向を未延伸糸とほぼ同等のまま延伸することができる。従って、低張力下でのフロー延伸により、未延伸糸の中空部に閉じ込められた空気が膨張し、中空率が未延伸糸よりも大きくなる効果がある。
また、フロー延伸は、延伸倍率も分子配向の大きな変化を伴わずにネック延伸より大きくすることができるので、伸度を下げることなく細繊度化が可能である。フロー延伸の延伸倍率は、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、更に好ましくは15倍以上である。
また、フロー延伸後の繊維に、55℃〜75℃の温水浴中で1.05倍以上、好ましくは1.5〜5倍の範囲でネック延伸を加えることによって、更なる細繊度化と引張強度の向上ができる。なお、ネック延伸後の中空率は、フロー延伸後のものとほぼ同一となる。
本発明の高中空ポリエステル繊維は、その単繊維繊度が0.1〜9.0dtex、好ましくは0.2〜3.0dtex、特に好ましくは0.6〜1.7dtexの範囲にあることが必要である。単繊維繊度が0.1dtex未満の場合にも安定に生産することが可能だが、フロー延伸の倍率をかなり大きくする必要があるため、下限に近いと考えている。
次に、本発明の高中空ポリエステル繊維の繊維横断面における中空率は40〜90%、好ましくは45〜85%、更に好ましくは50〜80%の範囲であることが必要である。
中空率が40%未満では、繊維を中空化することにより得られる優れた風合(ドレープ、柔軟性、ソフトタッチ)、隠蔽性、嵩高性、保温・断熱性等の改善効果が不十分となる。一方、90%を越える場合には、中空壁面の厚さが薄くなりすぎて中空破断が発生しやすくなったり、圧縮応力に対する抵抗性が低下して形態保持性が悪化するので好ましくない。
原糸(延伸前)の中空率が15%よりも低い場合、40%以上の高中空率を得られないため、原糸の中空率は15%以上であることが必要である。ここで中空率とは、繊維横断面において該横断面の外周部で囲まれた図1の面積に対する、中空部の総面積の割合(%)をいう。
繊維横断面における中空部の数は、一つであっても複数であってもよいが、複数の場合には、高中空率でありながら単繊維繊度が小さいものを得ることが困難となるので、中空部は一つの方がより好ましい。
中空部の形状は任意であるが、真円である場合には高中空率のものが得やすく、また円周方向に配向が進んだものが得やすいために中空形状の回復特性も良好となるので好ましい。
なお、引張強度については、フロー延伸により原糸中空率を高めた後に、前述のようなネック延伸をすることにより、2cN/dtex以上と、各種繊維製品に用いるために実用的な引張強度とすることが可能となる。好ましくは2.5cN/dtex、更に好ましくは3.0cN/dtexである。なお、ネック延伸倍率は、自然延伸倍率(NDR)対比高い倍率とするほど、高い引張強度を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は何等これらに限定されるものではない。なお、実施例中における各特性値の測定は、以下の方法にしたがった。
<繊度>
JIS L1015:2010 8.5.1 A法により測定した。
<見掛け(外見)繊度>
画像解析システム、ピアス−2(ピアス(株)製)を用い、単繊維のセクション断面画像を500倍に拡大して断面積(中空部を含む)を求め、ポリマーの比重dを1.38と仮定して算出した。
<中空率>
上記の500倍断面画像から単繊維の断面積A(中空部を含む外周の内側の面積)と中空部面積Bを測定し、その面積比を求めた。
中空率=B/A×100(%)
<引張強度>
JIS L1015:2010 8.7.1法により測定し、単位はcN/dtexとした。
<紡糸性及び延伸性>
紡糸性は下記判定基準で評価した。
良好(○):断糸回数が0.05回未満/錘・日、密着糸が0.1本未満/錘・日、セクション変動率Vが8%未満。
やや不良(△):断糸回数が0.05〜0.10回/錘・日、密着糸が0.1〜0.2本/ 錘・日、セクション変動率Vが8〜9%。
不良(×):断糸回数が0.15回/ 錘・日超、密着糸が0.2本/錘・日超、セクション変動率Vが9%超。
但し、ここでいう密着糸とは、単糸2本以上が融着しているものをいい、またセクション変動率Vとは、単糸断面写真より、ランダムに糸直径を測定(n=20)した時のバラツキを示す。
セクション変動率V=糸直径の標準偏差/糸直径の平均値×100(%)
また延伸性は下記判定基準で評価した。
良好(○):単糸切れローラー巻き付きが0.5回未満/日、未延伸が5本未満/10万本、
やや不良(△):単糸切れローラー巻き付きが0.5〜2回/日、未延伸が5〜10本/10万本、
不良(×):単糸切れローラー巻き付きが2回/日超、未延伸が10本超/10万本
ここで、単糸切れローラー巻き付きとは、単糸レベルの延伸断糸が原因となって、断糸端が回転する延伸ローラーに巻き付いて、そのまま延伸を継続するのが延伸糸品質上および延伸機保全上困難である状態をいう。
[実施例1]
酸化チタンを0.3重量%含有する固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートを、図2に示す中空型ノズルを408ホール有する紡糸口金から、ポリマー温度270℃、吐出量390g/分で押出し、紡糸速度500m/分で引取って単繊維繊度が19.1dtex、中空率が17%の未延伸糸を得た。この時の口金下の冷却条件は、冷却風吹出し位置48mm、冷却風吹出し長200mm、冷却風温度30℃、冷却風湿度70%、冷却風速度0.5m/秒とした。得られた中空未延伸糸を、温度97℃の温水中で0.03cN/dtexの張力で6.9倍にフロー延伸した後、更に温度75℃の温水中で2.9倍にネック延伸をし、ポリエステル繊維を得た。これに12〜13個/25mmの捲縮を付与してから140℃の熱風で熱セットし、繊維長51mmに切断して短繊維となした。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
フロー延伸倍率を15.0倍に変更した以外は、本発明の実施例1と同様の方法で実施した。
得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
表1に記載の延伸条件に変更(フロー延伸のみ)した以外は、本発明の実施例1と同様の方法で実施した。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
表1に記載の延伸条件に変更(ネック延伸のみ)した以外は、本発明の実施例1と同様の方法で実施した。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
本発明の実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートを、同様の紡糸口金から、ポリマー温度270℃、吐出量257g/分で押出し、紡糸速度1800m/分(紡糸ドラフト400)で引取って単繊維繊度が3.5dtex、中空率が35%の未延伸糸を得た。この時の口金下の冷却条件は、冷却風吹出し位置15mm、冷却風吹出し長100mm、冷却風温度20℃、冷却風湿度85%、冷却風速度3.0m/秒とした。また急冷に続く徐冷条件は、冷却風吹出し長250mm、冷却風温度25℃、冷却風湿度65%、冷却風速度0.5m/秒とした。得られた中空未延伸糸を、温度80℃、延伸倍率3.5倍で温水1段延伸し、180℃ の加熱ローラーで緊張熱処理して単繊維繊度が1.1dtex、中空率50%の高中空ポリエステル繊維を得、これを実施例1と同様の方法で短繊維となした。
高中空率の繊維は得られたが、高中空率を得るための口金直下での急冷や高い紡糸ドラフトにより、溶融ポリエステルが接合する前に固化することで中空破断、紡糸断糸が起こりやすくなり、それに伴い未延伸糸の中空破断に伴う延伸断糸が多くなるため、紡糸断糸が0.1回/錘・日で紡糸性やや不良、延伸工程で単糸切れによるローラー巻き付きが3回/日のペースで発生し、延伸性不良であった。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
本発明の実施例1と同様のポリエチレンテレフタレートを、同様の紡糸口金から、ポリマー温度270℃、吐出量257g/分で押出し、紡糸速度1600m/分(紡糸ドラフト470)で引取って単繊維繊度が9.1dtex、中空率が35%の未延伸糸を得た。この時の口金中空型ノズル直下の急冷条件は、冷却風吹出し位置10mm、冷却風吹出し長100mm、冷却風温度20℃、冷却風湿度85%、冷却風速度4.0m/秒とした。また急冷に続く徐冷条件は、冷却風吹出し長250mm、冷却風温度25℃、冷却風湿度65%、冷却風速度1.5m/秒とした。得られた中空未延伸糸を、温度80℃、延伸倍率2.8倍で温水1段延伸し、180℃の加熱ローラーで緊張熱処理して単繊維繊度が3.3dtex、中空率が80%の高中空ポリエステル繊維を得、これを実施例1と同様の方法で短繊維となした。
高中空率の繊維は得られたが、比較例2よりも更に口金下が急冷されやすく、かつ紡糸ドラフトが高いため、口金面冷却の影響を受け紡糸断糸が0.25回/錘・日と紡糸性不良(中空破断も見られた)、延伸工程で単糸切れによるローラー巻き付きが5回/日のペースで発生し、延伸性不良であった。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例4]
本発明の実施例1と同様の方法で冷却条件を変更し、単糸繊度9.1dtex、中空率10%の未延伸糸を得た。実施例2と同じくフロー延伸で15倍、ネック延伸で2.9倍延伸した。紡糸性、延伸性は良好であったが得られた繊維の中空率は26%で、中空率40%以上の高中空率繊維を得られなかった。得られた中空ポリエステル短繊維の評価結果を表1に示す。
Figure 2020147862
本発明によれば、従来技術対比、中空率40%以上の高中空繊維の品質と歩留まりを向上することができる。得られた高中空繊維は、軽量性、保温性、嵩高性、形態保持性、防皺性等の機能に優れており、織編物や不織布、衣料用中綿や寝具、繊維構造体などに好適に用いられる。
a:高中空繊維
b:中空部分
c:スリット孔(スリット状ノズル)
d:突起部

Claims (4)

  1. 中空率15〜35%の中空ポリエステル未延伸繊維をフロー延伸することで、延伸後繊維の中空率を40〜90%とすることを特徴とする高中空ポリエステル繊維の製造方法。
  2. 前記フロー延伸が、70〜100℃の温水浴中で0.01〜0.10cN/dtexの低張力で延伸することを特徴とする、請求項1に記載の高中空ポリエステル繊維の製造方法。
  3. 前記フロー延伸後に、引き続いて降伏応力以上の張力を負荷することで分子配向を伴う条件でネック延伸をする、請求項1または2に記載の高中空ポリエステル繊維の製造方法。
  4. 請求項3に記載の高中空ポリエステル繊維の製造方法であって、前記製造方法で得られた高中空ポリエステル繊維の単繊維繊度が0.1〜9.0dtex、引張強度が2cN/dtex以上である高中空ポリエステル繊維の製造方法。
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