JP2020147672A - 艶消しフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性が良く、且つきめが細かく、低光沢でもテカりが強く出ない外観の良い艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品を提供することにある。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)75〜99質量%と、1単量体当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を1種以上含む重合体(b−1)に単量体(b−2)をグラフト重合して得られ、体積平均粒子径1〜3.8μmの重合体(B)1〜25質量%とを含有する樹脂組成物(i)であって、樹脂組成物(i)中での、重合体(B)の分散形状の長径/短径が2.8以上である樹脂組成物(i)からなる熱可塑性フィルムにより解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性が良く、且つきめの細かい艶消し性に優れた艶消しフィルムとそれを含む成形品に関する。
アクリルフィルムは、耐候性、透明性に優れているため、プラスチック、ガラス、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、アクリルフィルムで表面が保護された基材は建築物の内装材、外装材、家具等の多くの用途で使用されている。しかしながら、近年、特に屋内で使用される壁紙やレザー家具等の基材についてはイメージの高級化が要望されるようになり、艶消しフィルムがラミネートされたものの使用が多くなっている。
この艶消しフィルムの製法としては、主として(1)表面を荒らした金属製又はゴム製のマットロールによってフィルム表面に微細な凹凸を付与し、熱成形する方法、(2)砂又は金属等の微粒子を被処理フィルム表面に吹き付けて微細な凹凸を付与する方法(サンドブラスト法)、及び(3)微細な有機又は無機の充填剤(艶消し剤)をフィルム構成用樹脂中に添加する方法が知られている。
マットロールによるフィルムの艶消し方法(1)には、樹脂に添加した紫外線吸収剤等の添加剤によりマットロールが目詰まりし易いという問題や、薄いフィルムでは厚み斑がそのまま艶斑となり、均質な艶消しフィルムが得られにくいという問題がある。
サンドブラスト法(2)には、薄く柔らかいフィルムでは、サンドブラスト時に被処理フィルムが伸びたり、破断したりする問題がある。
艶消し剤をフィルム構成用樹脂中に添加する方法(3)では、有機又は無機の艶消し剤を使用する場合には、高級感、深み感に優れる表面艶消し外観を持つアクリル樹脂フィルムが提供できるとある(例えば、特許文献1)。しかしながら、粒子径の大きい粒子を艶消し剤として使用したアクリル樹脂フィルムはきめが粗い、又はヘーズが高い等の問題がある。きめが粗い場合、この艶消しフィルムをラミネートした製品の意匠性が損なわれる可能性があり、ヘーズが高い場合、フィルムに印刷された加飾層を艶消し面から視認した際の加飾層の美麗さが損なわれる問題があることから好ましくない。また、ヘーズを下げ、きめ細かい外観にするために艶消し剤の粒子径を小さくする方法もある(たとえば特許文献2)。しかし、粒子径が小さいと所望のマット感とするために多量の艶消し剤を配合する必要があり、経済的でないうえにフィルムがもろく割れやすくなるため好ましくない。また粒子径が3μm以下だと、粒子径4μm以上の粒子を艶消し剤として使用したフィルムと比較してテカりを強く感じ、外観が悪化する問題がある。
特開平10−237261号公報 特開2010−284804号公報
本発明の課題は、透明性が良く、且つきめが細かく、低光沢でもテカりが強く出ない外観の良い艶消しフィルムやシート及びこれを用いた積層シートや積層成形品を提供することにある。
前記課題は以下の本発明[1]〜[10]のいずれかによって解決される。
[1]熱可塑性樹脂(A)75〜99質量%と、1単量体当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を1種以上含む重合体(b−1)に単量体(b−2)をグラフト重合して得られ、体積平均粒子径1〜3.8μmの重合体(B)1〜25質量%とを含有する樹脂組成物(i)であって、樹脂組成物(i)中での、重合体(B)の分散形状の長径/短径が2.8以上である樹脂組成物(i)からなる熱可塑性フィルム。
[2]前記熱可塑性樹脂(A)がアクリル樹脂である、[1]に記載の熱可塑性フィルム。
[3]前記重合体(b−1)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100質量%、メタクリル酸アルキルエステル0〜50質量%、前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体の1種以上0〜10質量%を含む、[1]または[2]のいずれかに記載の熱可塑性フィルム。
[4]前記重合体(b−1)100質量%に対して、前記多官能性単量体を0.01〜0.4質量%含む[1]〜[3]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[5]前記多官能性単量体の分子量が200g/mol以上である[1]〜[4]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[6]前記単量体(b−2)が、アクリル酸アルキルエステル0〜40質量%、メタクリル酸アルキルエステル60〜100質量%、および前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体1種以上を0〜10質量%を含む[1]〜[5]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[7]前記重合体(B)が、重合体(b−1)と単量体(b−2)の合計100質量%としたとき、重合体(b−1)50〜90質量%と、単量体(b−2)10〜50質量%である[1]〜[6]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[8]前記熱可塑性フィルムのMI値が0.1〜2.8g/10minである、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[9]前記熱可塑性フィルムの算術平均粗さRaと60度光沢値の関係がRa≦(10×(60度光沢値))−1かつRa<1の関係を満たす[1]〜[8]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
[10]前記熱可塑性フィルムの60度光沢値が5〜90である[1]〜[9]のいずれか一つに記載の熱可塑性フィルム。
また、本明細書において、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルを意味する。
非常にきめ細かくテカりの小さい外観の良好な艶消し状態を有するフィルム、シート及び積層成形品が得られる。得られるフィルムは、例えば自動車、建築物の内外装用途や直射日光の厳しい外装用途等の各種用途に好適に使用できる。
[熱可塑性樹脂(A)]
熱可塑性樹脂(A)としてはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂又はASA樹脂等があげられる。これら種々の熱可塑性プラスチックの混合物でもよい。特に透明性と耐候性の観点からアクリル樹脂であることが好ましい。
本明細書のアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも80質量%以上含む樹脂を指す。また、アクリル樹脂は製膜性の観点から以下に述べるアクリル樹脂組成物であることが好ましい。
前記アクリル樹脂組成物について説明する。前記アクリル樹脂組成物はゴム含有重合体(a−1)5.5〜100質量%と、メタクリル酸アルキルエステルを主成分として得た熱可塑性重合体(a−2)0〜94.5質量%からなり、成分(a−1)および成分(a−2)の合計100質量%を含む樹脂組成物であることが好ましい。
前記アクリル樹脂組成物に用いるゴム含有重合体(a−1)は、アクリル酸アルキルエステルを主成分として得た1段または2段以上の構造を有する弾性共重合体(a−1−1)の存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体をグラフト重合して1段または2段以上の構造を有する硬質重合体(a−1−2)を形成して成る、2段以上の多段構造を有するゴム含有重合体であることが好ましい。
弾性共重合体(a−1−1)に用いるアクリル酸アルキルエステルとしては、従来より知られる各種のアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。特に、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましい。アクリル酸アルキルエステルの使用量は、弾性共重合体(a−1−1)に用いる全単量体中35〜99.9質量%が好ましい。この使用量が35質量%以上であれば、フィルムの成形性が良好となる。更に好ましい使用量は50質量%以上である。これら使用量の各範囲は、弾性共重合体(a−1−1)が2段以上の構造を有する場合は、弾性共重合体(a−1−1)の全体としてのアクリル酸アルキルエステルの使用量を示すものである。例えば、弾性共重合体(a−1−1)をハード芯構造にする場合、1段目(芯部)のアクリル酸アルキルエステルの使用量を35質量%未満とすることもできる。
弾性共重合体(a−1−1)を構成する単量体として、アクリル酸アルキルエステルと共に、これと共重合可能な他のビニル単量体を使用することもできる。他のビニル単量体を使用する場合、その使用量は、全単量体中64.9質量%以下が好ましい。他のビニル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリルなどが好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
弾性共重合体(a−1−1)を構成する単量体の一部として、多官能性単量体を用いることが好ましい。多官能性単量体としては、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ブタンジオール、(メタ)アクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン、マレイン酸ジアリル、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルシンナメート等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。多官能性単量体の使用量は、全単量体中0.1〜10質量%が好ましい。
ゴム含有重合体(a−1)は、以上説明した弾性共重合体(a−1−1)の存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体をグラフト重合して硬質重合体(a−1−2)を形成して成る2段以上の多段構造のゴム含有重合体である。
硬質重合体(a−1−2)を得るためのグラフト重合では、メタクリル酸アルキルエステルを主成分として用いる。具体的には、メタクリル酸アルキルエステルの使用量は、グラフト重合に用いる全単量体中50質量%以上が好ましい。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル等が挙げられる。
硬質重合体(a−1−2)を得るためのグラフト重合に用いる単量体として、メタクリル酸アルキルエステル共に、これと共重合可能な他のビニル単量体を使用することもできる。他のビニル単量体を使用する場合、その使用量は、全単量体中50質量%以下が好ましい。他のビニル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリルなどが好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
これら各単量体を、弾性共重合体(a−1−1)存在下に1段以上でグラフト重合することにより、硬質重合体(a−1−2)を形成して、ゴム含有重合体(a−1)が得られる。ゴム含有重合体(a−1)中の硬質重合体(a−1−2)の量は、弾性共重合体(a−1−1)100質量%に対して、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、一方、400質量%以下が好ましく、200質量%以下がより好ましい。
ゴム含有重合体(a−1)の粒子径は、0.01μm以上が好ましく、0.08μm以上がより好ましく、一方、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。特に製膜性の観点では、その粒子径は、0.08μm以上が好ましい。重合体(a−1)の体積平均粒子径は光散乱光度計で測定される。粒子径分布測定装置の市販品としては、例えば大塚電子(株)製の光散乱光度計DLS−700(商品名)がある。
ゴム含有重合体(a−1)の製造法、すなわち弾性共重合体(a−1−1)を形成する為の重合法、および硬質重合体(a−1−2)を形成するための重合法としては、例えば、従来より知られる乳化重合法を用いることができる。重合温度は、使用する重合開始剤の種類や量によって最適値が異なるが、通常は40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、一方、95℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。
重合開始剤としては、従来より知られる各種のものを使用できる。重合開始剤は、水相、単量体相のいずれか片方、または双方に添加すればよい。
乳化重合に使用する乳化剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤が挙げられるが、特にアニオン系界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等のカルボン酸塩系界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩系界面活性剤などが挙げられる。
乳化重合によって得たポリマーラテックスは、例えば、目開きが100μm以下のフィルターで濾過し、その後、酸凝固法、塩凝固法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等公知の凝固法により凝固させればよい。酸凝固法には、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を使用できる。塩凝固法には、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム等の無機塩、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の有機塩を使用できる。凝固させた重合体を、更に、洗浄、脱水、乾燥する等して、ゴム含有重合体(a−1)が得られる。
前記アクリル樹脂組成物に用いる熱可塑性重合体(a−2)は、メタクリル酸アルキルエステルを主成分として得られる重合体であり、従来より知られる各種のものを用いることができる。
熱可塑性重合体(a−2)としては、炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル50〜99.9質量%と、アクリル酸アルキルエステル0.1〜50質量%と、およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体を必要に応じて49.9質量%以下との合計100質量%を重合して得たものであり、還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定)が0.1L/g以下である重合体であることが、製膜性の観点から好ましい。
より詳細には、還元粘度が0.1L/g以下であることが、フィルム原料樹脂の溶融時に適度の伸びが生じ、製膜性が良好となるので好ましい。また、その還元粘度は0.05L/g以上であることが、フィルムが脆くならないため、フィルム製膜時および印刷時にフィルム切れを起こし難くなる点で好ましい。
熱可塑性重合体(a−2)を得るために用いるメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が好ましく、なかでもメタクリル酸メチルが好ましい。
また、アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が好ましく、なかでもアクリル酸メチルが好ましい。
更に、他のビニル単量体としては、スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
熱可塑性重合体(a−2)の製造方法は、特に限定されず、例えば、懸濁重合、乳化重合、塊状重合等の各種重合法を用いることができる。重合時に、連鎖移動剤、その他の重合助剤等を使用してもよい。連鎖移動剤は各種のものが使用できるが、特にメルカプタン類が好ましい。
[重合体B]
重合体(B)は、1単量体当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を1種以上含む重合体(b−1)に、単量体(b−2)をグラフト重合して得られ、体積平均粒子径が1〜3.8μmの重合体であることが好ましい。
重合体(B)はアクリル樹脂からなることが好ましい。また、重合体(B)は、前述した熱可塑性樹脂(A)に添加され、艶消し外観を有する樹脂組成物およびその成形体を得ることが可能であることから、艶消し剤として好適に用いることができる。
重合体(b−1)はアクリル酸アルキルエステルと、メタクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な他のビニル単量体単量体の少なくとも1種の合計100質量%からなる重合体であることが好ましい。
重合体(b−1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル等に代表されるアクリル酸アルキルエステル、アクリル酸低級アルコキシ、アクリル酸シアノエチル、アクリル酸アミド、アクリル酸等のアクリル酸エステル単量体およびアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を混合して使用できる。前記アクリル酸アルキルエステルの使用範囲は50〜100質量%、好ましくは60〜95質量%、さらに好ましくは70〜90質量%である。アクリル酸アルキルエステルが50質量%未満になると柔軟性が低下しフィルム中で変形しなくなるため、外観が悪化する。
重合体(b−1)に用いられるメタアクリル酸アルキルエステルは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルおよびメタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル等に代表されるメタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸低級アルコキシ、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミド、メタクリル酸等のメタクリル酸エステル単量体およびメタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは単独でまたは二種以上を混合して使用できる。前記メタクリル酸アルキルエステルの使用範囲は0〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。メタクリル酸アルキルエステルが50質量%以上になると柔軟性が低下しフィルム中で変形しなくなるため、外観が悪化する。
重合体(b−1)に用いられるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体は、熱可塑性重合体(a−2)で挙げられたモノマー等を使用できる。前記ビニル系単量体の使用量は0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
また、重合体(b−1)に用いられる多官能単量体は、分子量が200g/mol以上の、1単量体当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を1種以上含む。重合体(b−1)に用いられる多官能単量体は、分子量が200g/mol以上であることが好ましく、250g/molがより好ましく、300g/mol以上がさらに好ましい。前述の分子量とすることで、重合体Bの柔軟性を調整でき、熱可塑性樹脂(A)中で重合体(B)が変形しやすくなる。これを満たす多官能性単量体としては、例えばジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールジ、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ペンタエチレングリコールジ、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ヘプタエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸オクタエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ノナエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸デカエチレングリコール等のグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール等のジ(メタ)アクリル酸アルキレングリコール、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート系単量体等があげられる。中でもグリコールがエチレングリコールであるジ(メタ)アクリル酸グリコールがより好ましく、また、前記多官能単量体は上記以外の多官能単量体を含んでも良い。例えばメタクリル酸アリル等のα,β−不飽和カルボン酸、ジカルボン酸のアリル、メタクリルまたはクロチルエステル等が挙げられる。分子量が200g/mol以上の多官能単量体とその他の多官能単量体の割合は、重合体(b−1)に用いられる多官能単量体を100質量%としたとき、分子量が200g/mol以上の多官能単量体が10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
前記多官能性単量体の使用割合は、重合体(b−1)100質量%に対して0.01〜0.4質量%、好ましくは0.05〜0.3質量%、より好ましくは0.1〜0.28質量%である。多官能性単量体の使用割合が0.01質量%未満の場合はフィルムの光沢値が下がらず、0.4質量%を超えると重合体(B)が固くなるためフィルムの外観が悪化する。
重合体(b−1)は一段でも多段でも規定の単量体の範囲内であれば特に規定されない。単量体(b−2)はアクリル酸アルキルエステルと、メタクリル酸アルキルエステルと、これと共重合可能な他のビニル系単量体の少なくとも1種の合計100質量%からなる重合体であることが好ましい。
単量体(b−2)に用いられるアクリル酸アルキルエステルは重合体(b−1)に使用されるモノマーとして挙げられたモノマーが具体例として挙げられる。前記アクリル酸アルキルエステルの使用量は、0〜40質量%、好ましくは3〜30質量%、さらに好ましくは5〜25質量%である。
単量体(b−2)に用いられるメタクリル酸アルキルエステルは重合体(b−1)で挙げられたモノマーが具体例として挙げられる。中でも、エステルの炭素数が1〜4のメタクリル酸アルキルエステルが、得られる重合体(B)の熱可塑性樹脂(A)との相溶性が良好となるため好ましい。前記メタクリル酸アルキルエステルの使用量は、60〜100質量%、好ましくは70〜97質量%、より好ましくは75〜95質量%である。
単量体(b−2)に用いられるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体は、重合体(b−1)で挙げられたモノマーが具体例として挙げられる。前記ビニル系単量体の使用量は、0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
単量体(b−2)は単量体(b−2)100質量%に対して、(a−1−1)で挙げられた多官能性量体を0〜1質量%含んでもよい。
重合体(B)が、重合体(b−1)と単量体(b−2)の合計100質量%からなるとき、重合体(b−1)50〜90質量%と、単量体(b−2)10〜50質量%となることが好ましい。重合体(b−1)の割合はより好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは75〜80質量%である。
重合体(B)の体積平均粒子径は1〜3.8μmであることが好ましく、1.2〜3.5μmがより好ましく、1.4〜3.0がさらに好ましく、1.7〜2.8μであることが最も好ましい。重合体(B)の体積平均粒子径はJIS Z 8825−1に準拠し、レーザー回折法で測定される。粒子径分布測定装置の市販品としては、例えば株式会社島津製作所製SALD−7100(商品名)がある。
[樹脂組成物(i)]
本発明の樹脂組成物(i)は、前記熱可塑性樹脂(A)と前記重合体(B)とを含む樹脂組成物である。
樹脂組成物(i)は、熱可塑性樹脂(A)75〜99質量%と、重合体(B)1〜25質量%の合計100質量%からなることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)を75〜99質量%含有させることで、該樹脂組成物をフィルム状に成形して得られるフィルムの外観を、艶消し状とすることが可能となる。熱可塑性樹脂(A)を77〜97質量%とすることがより好ましく、79〜96質量%とすることがさらに好ましい。
樹脂組成物(i)の作成方法は、特に制限されないが、重合体(B)を前述の形状に変形させるために各種混練機にて溶融混練する方法が好ましい。例えば、単軸押出機、二軸押出機及びロール混練機が挙げられる
樹脂組成物(i)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、加工助剤、耐衝撃助剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、熱可塑性重合体等の各種添加剤を配合することができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が挙げられる。熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、硫黄系熱安定剤及びヒドラジン系熱安定剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、オキシ安息香酸エステル、エポキシ化合物及びポリエステルが挙げられる。滑剤としては、例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、高級アルコール及びパラフィンが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、ノニオン系帯電防止剤及び両イオン系帯電防止剤が挙げられる。難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤、窒素系難燃剤、アルミニウム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、マグネシウム系難燃剤、ホウ素系難燃剤及びジルコニウム系難燃剤が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石及びカオリンが挙げられる。これら添加剤はそれぞれ単独で、又は二種以上を併用して使用できる。
[熱可塑性フィルム]
本発明の熱可塑性フィルムは、前記樹脂組成物(i)をフィルム状に成形してなるフィルムである。熱可塑性フィルムは重合体(B)の変形による微細なしわを表面に形成しているため、きめの細かい艶消し性が付与されている。また、同程度の60度光沢値を有する、粒子径が4μm以上の粒子を使用した艶消しフィルムと外観を比較して、テカりが強くない、外観の良好なフィルムである。
熱可塑性フィルム中の重合体(A)の分散形状としては、長径/短径が2.8以上となることが好ましい。重合体(B)が熱可塑性フィルムの中で長径/短径が2.8以上となるように変形することで、変形しない架橋粒子では形成できない微細なしわをフィルム表面に形成し、きめ細かな艶消し外観を得られる。長径/短径は3.0以上がより好ましく、3.5以上がさらに好ましい。
熱可塑性フィルムの230度、荷重49NでのMI値は0.1〜2.8g/10minであることが好ましい。MI値を2.8g/10min以下とすることで、溶融混練中に重合体(B)を前述の形状に変形させ、微細なしわをフィルム表面に形成することができ、外観が良好となる。より好ましくは2.4g/10min以下、さらに好ましくは1.9g/10min以下であることが好ましい。尚、熱可塑性フィルムのMI値は、JIS K7210に準じて測定した値である。
熱可塑性フィルムの少なくとも一方の面の算術平均粗さRaと60度光沢値の関係がRa≦(10×(60度光沢値))−1かつRa<1であることが好ましい。Ra≦(10×(60度光沢値))−1かつRa<1とすることで、きめ細かく良好な艶消し外観を得られる。より好ましくはRa≦(9×(60度光沢値))−1かつRa<0.75、さらに好ましくはRa≦(8×(60度光沢値))−1かつRa<0.45、最も好ましくはRa≦(7×(60度光沢値))−1かつRa<0.4である。尚、フィルムの算術平均粗さRaは、JIS B 0633-2001に準じて測定した値である。
熱可塑性フィルムは、60度表面光沢が5〜90であることが好ましい。60度表面光沢度を5〜90の範囲内とすることで、フィルムの外観が良好な艶消し外観と認識できるため好ましい。より好ましくは11〜85の範囲内であり、さらに好ましくは11〜65の範囲内である。尚、フィルムの表面光沢度は、JIS Z8741に準じて測定した値である。
JIS K7136に準拠して測定した艶消しフィルムのヘーズとしては、艶消しフィルムの外観の美麗さの観点から80%以下であることが好ましい。80%以下のヘーズを有することで、フィルムに印刷された加飾層を艶消し面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。より好ましくは75%以下である。
熱可塑性フィルムの光の透過率としては、JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率が80%以上であることが好ましい。80%以上の全光線透過率を有することで、フィルムに印刷された加飾層を、加飾層が印刷されていない面から視認した際の加飾層の美麗さの観点から好ましい。より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
熱可塑性フィルムの厚みは、フィルムの取扱い性、ラミネート性、フィルム状に成形する製膜性、加工性の観点から、5〜500μmの範囲内であることが好ましく、15〜300μmがより好ましく、30〜300μmの範囲内であることがさらに好ましい。
熱可塑性フィルムの製造法としては、例えば、溶融流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出法及びカレンダー法が挙げられるが、経済性の点でTダイ法が好ましい。
熱可塑性フィルムは、押出機等を用いたTダイ法で製膜した後、巻き取り機で紙管等の管状物に巻き取って、ロール状物品とすることができる。また、必要に応じて製膜工程中に、公知の延伸方法による一軸延伸(機械方向または横方向(機械方向に垂直な方向))、二軸延伸(逐次二軸延伸、同時二軸延伸)等の延伸工程を設けることができる。
溶融押出しをする場合は、外観不良の原因となる核や異物を取り除く為に、200メッシュ以上のスクリーンメッシュで溶融状態にある樹脂組成物を濾過しながら押出しすることが好ましい。
また、熱可塑性フィルム表面には、必要に応じて、微細構造を形成することもできる。微細構造を形成する方法としては、例えば、熱転写法及びエッチング法が挙げられる。これらの中で、微細構造を有する金型を加熱した後に、フィルムの表面に、加熱された金型をプレスしてフィルムの表面に微細構造を形成する熱転写法が生産性や経済性の点で好ましい。
上記の熱転写法としては、例えば、微細構造を有する金型をロール状物品から切り出されたアクリル樹脂フィルムに加熱プレスして微細構造を枚葉で熱転写させる方法及び加熱されたベルト状の微細構造を有する金型にニップロールを用いてロール状物品から巻き出されたアクリル樹脂フィルムを挟みこみ加圧し、アクリル樹脂フィルムの表面に微細構造を熱転写させる連続賦形方法が挙げられる。 上記の微細構造を有する金型を作成する方法としては、例えば、サンドブラスト法、エッチング法及び放電加工法が挙げられる。
該熱可塑性フィルムは、フィルムとフィルムを積層するだけでなく、他の基材に積層することもできる。積層体製造に使用する基材の形状としては、特に形状に制限されないが、例えば、フィルム、シート、三次元形状を有する成形品等といった形状の基材を用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。以下の記載において、「部」は「質量部」を表す。また、各フィルムの評価は下記の方法で行った。なお、以下の記載における略号は次の通りである。
「MMA」:メタクリル酸メチル
「MA」:アクリル酸メチル
「BA」:アクリル酸ブチル
「AMA」:メタクリル酸アリル
「BDMA」:ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール
「4EG」:ジメタクリル酸テトラエチレングリコール
「9EG」:ジメタクリル酸ノナエチレングリコール
「LPO」:ラウリルパーオキサイド
「t−BH」:t−ブチルハイドロパーオキサイド
「n−OM」:n−オクチルメルカプタン
「MA1004」:アクリル架橋粒子(株式会社日本触媒製、体積平均粒子径4μm)
(1)フィルムの光学特性(全光線透過率およびヘーズ)
フィルムの全光線透過率およびヘーズを以下の条件で測定した。
全光線透過率はJIS K7361−1に準じ、ヘーズはJIS K7136に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH4000を用いて測定した
(2)60度表面光沢度
JIS Z8741に準じ、ポータブル光沢計(コニカミノルタセンシング(株)製、商品名:GM−268)を用い、フィルムの60度表面光沢度を測定した。
(3)表面粗さ
フィルムの算術平均粗さRaを以下の条件で測定した。算術平均粗さRaはJIS B 0633-2001に準じ、ACCRFTECH製サーフコム1400Dを用いて測定した。
(4)熱可塑性フィルム中の重合体(B)の分散粒子径
フィルムの押出し方向と水平のとなる艶消しフィルムの面を、ミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製 EM−ULTRACUT UCT)で厚さ80nm〜300nmの切片を切り出し、グリッドに乗せ電子顕微鏡観察を日本電子(株)製J100S(商品名)で行った。得られた電子顕微鏡像からコントラストのはっきりした重合体(B)の粒子を5点以上を選び、長径と短径の比を測定し平均値を算出した。なお、長径は粒子径の最も長い直径、短径は粒子径の最も短い直径のことである。TEMによる観察面は、重合体(A)に異方性がある場合、重合体(A)が伸びている方向と水平な面を観察面とし、異方性がない場合は任意の面とする。
(5)フィルムの外観(テカり)
熱可塑性フィルム越しにある幅の黒白の線を見て、黒白の線がぼやけず判別できるかを評価した。熱可塑性フィルムと黒白の線までの距離は25cm、線の幅は1、2、3、4、7、9mmであり、判別できた線の幅を評価として記載した。判別できる線がない場合は評価を10とした。数値が大きいほどテカりがなく良好な外観となる。
(6)MI値の測定
熱可塑性フィルムのMI値はJIS K7210に準じ、230度、荷重49Nで測定した。
[調製例1]
(熱可塑性樹脂A−1の作成)
冷却器付き重合容器内にイオン交換水250部スルホコハク酸のエステルソーダ塩2部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.05部を仕込み、窒素下で撹拌後、MMA0.3部、BA4.5部、1,3BD0.2部、AMA0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.025部からなる混合物を仕込んだ。70℃に昇温後、60分間反応を継続させた。その後、MMA1.5部、BA22.5部、1,3BD1.0部、AMA0.25部およびクメンハイドロパーオキサイド0.016部からなる混合物を60分間で添加し、重合して、2段架橋ゴム弾性体を得た。
続いて、この2段架橋ゴム弾性体の存在下に、MMA6部、BA4部およびAMA0.075部およびクメンハイドロパーオキサイド0.013部の混合物を反応させて、弾性共重合体(a−1−1)を形成し、最後に、MMA55.2部とBA4.8部からなる混合物を反応させて硬質重合体(a−1−2)を形成し、ゴム含有重合体(a−1)のラテックスを得た。
この多段構造重合体の粒子径は0.12μmであった。得られた重合体ラテックスを、目開き75μmのフィルターで濾過した後、重合体100部に対して5部の酢酸カルシウムを用いて塩析し、洗浄し、乾燥して熱可塑性樹脂(A−1)を得た。
[調製例2]
(重合体B−1の作製)
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、イオン交換水68部を投入し、窒素雰囲気化で攪拌しながらBA3部、AMA0.5部投入した。内温が85度になるように外温を固定し、内温が85度に達してから過流酸カリウム(KPS)を0.05部投入した。温度上昇を確認後さらにKPSを0.05部投入し、あらかじめ乳化したBA78部、AMA0.05部、純水55部と乳化剤のぺレックスOT−P0.7部(花王株式会社製)を1時間かけて滴下した。滴下後1時間保持し、プレ乳化したMMA17部、BA2部、AMA0.05部、純水30部、ぺレックスOT−P0.2部を1時間かけて滴下した。1時間保持し、重合を終了した。固形分39部、BA83部、MMA17部となるシード粒子1を得た。
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、イオン交換水233部、シード粒子1を7.7部(固形分3部。MMA0.5部、BA2.5部)、MMA13.6部、BA54.3部、4EG0.1部、AMA0.15部とt−BH0.25部投入し、窒素雰囲気化で1時間攪拌した。その後内温を50度にし、酸化剤として硫酸第一鉄・2水塩
0.0015部、エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム0.045部及び、還元剤としてロンガリット0.24部を投入した。ピーク確認後1時間保持し、MMA26.2部、MA2.9部、t−BH0.5部を1時間かけて滴下した。再び1時間保持し、重合を終了した。得られた重合体を酢酸カルシウムで凝固し、脱水、乾燥して重合体(B−1)を得た。得られた重合体の組成を表1に示す。
[調製例3]
(重合体B−2〜4の作製)
表1に記載の組成となるようにモノマーを変えた以外は重合体(B−1)と同様に行った。
[調製例4]
(重合体B−5の作製)
架橋剤の添加量を0部にした以外はシード粒子1と同様に行い、シード粒子2を得た。
シード粒子2を使用し、表1に示すもの及び表1に記載の組成となるように変更した以外は重合体(B−1)と同様に行い、重合体B−5を得た。
[調整例5]
(重合体B−6の作製)
シード粒子1を使用し、表1に示すもの及び表1に記載の組成となるように変更した以外は重合体(B−1)と同様に行った。
<実施例1>
熱可塑性樹脂(A−1)90部、重合体(B−1)10部、および酸化防止剤としてADEKA社製のヒンダードフェノール系酸化防止剤「アデカスタブ
AO−60」(商品名)を0.1部、三菱ケミカル社製の加工助剤「P−530A」を2部の割合で配合し、ハンドブレンドし、2軸押出機(東芝機械(株)製、商品名:TEM35)を用いてシリンダー温度100〜240℃及びダイヘッド温度240℃の条件で押し出し、切断して艶消し樹脂組成物(i)のペレットを得た。
樹脂組成物(i)のペレットを80℃で24時間乾燥した。乾燥後、シリンダー温度230℃に設定したノンベントスクリュー型30mmφの押出機を用いて前記樹脂組成物(i)のペレットを可塑化し、次いで230℃に設定したマルチマニホールドダイで、80℃の第1鏡面冷却ロールに接するようにしてフィルムを搬送し、所定の厚みからなるフィルムを得た。
こうして得られたフィルムの厚みを測定したところ50μmであった。得られたフィルムの第一冷却ロールと接していない面を測定した60度表面光沢度は21であり、良好な艶消し性能を有していた。目視評価したフィルムの外観(テカり)は、同程度の60度光沢値を示す4μmの架橋粒子を使用したフィルムと遜色なく、良好であった。フィルム中の重合体(A)の分散形状の長径/短径は4.3であり、フィルムの第一冷却ロールと接していない面を測定した算術平均粗さは0.25μmであった。結果は表2にまとめた。
<実施例2〜3>
熱可塑性樹脂(A)と重合体(B)を、表2に示すものおよび表2に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様に行った。60度表面光沢度、きめ細かさ、外観(テカり)も良好な結果を示した。結果は表2にまとめた。
<実施例4>
MMA/MA共重合体(MMA/MA=90/10、還元粘度0.057L/g)を熱可塑性樹脂(A−2)とし、熱可塑性樹脂(A)と重合体(B)を、表2に示すものおよび表2に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様に行った。
<実施例5、6>
熱可塑性樹脂(A)と重合体(B)を、表2に示すものおよび表2に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様に行った。60度表面光沢度、きめ細かさ、外観(テカり)も良好な結果を示した。結果は表2にまとめた。
<比較例1〜4>
熱可塑性樹脂(A)と重合体(B)を、表3に示すものおよび表3に記載の添加量に変更した以外は実施例1と同様に行った。
以上、説明したように、本発明の重合体を艶消し剤として用いた艶消し樹脂組成物から調製される艶消しフィルム、積層フィルム、加飾フィルム、積層シートおよび積層成形品は、特に車輌用途、建材用途に適している。具体例としては、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途、ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途、AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途、さらには家具用外装材用途、壁面、天井、床等の建築用内装材用途、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途、各種ディスプレイ、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラス等の光学部材用途、あるいは電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途、瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途等に好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂(A)75〜99質量%と、1単量体当たり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体を1種以上含む重合体(b−1)に単量体(b−2)をグラフト重合して得られ、体積平均粒子径1〜3.8μmの重合体(B)1〜25質量%とを含有する樹脂組成物(i)であって、樹脂組成物(i)中での、重合体(B)の分散形状の長径/短径が2.8以上である樹脂組成物(i)からなる熱可塑性フィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)がアクリル樹脂である、請求項1に記載の熱可塑性フィルム。
  3. 前記重合体(b−1)が、アクリル酸アルキルエステル50〜100質量%、メタクリル酸アルキルエステル0〜50質量%、前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体の1種以上0〜10質量%を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  4. 前記重合体(b−1)100質量%に対して、前記多官能性単量体を0.01〜0.4質量%含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  5. 前記多官能性単量体の分子量が200g/mol以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  6. 前記単量体(b−2)が、アクリル酸アルキルエステル0〜40質量%、メタクリル酸アルキルエステル60〜100質量%、および前記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のビニル系単量体1種以上を0〜10質量%を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  7. 前記重合体(B)が、重合体(b−1)と単量体(b−2)の合計100質量%としたとき、重合体(b−1)50〜90質量%と、単量体(b−2)10〜50質量%である請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  8. 前記熱可塑性フィルムのMI値が0.1〜2.8g/10minである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  9. 前記熱可塑性フィルムの算術平均粗さRaと60度光沢値の関係がRa≦(10×(60度光沢値))−1かつRa<1の関係を満たす請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
  10. 前記熱可塑性フィルムの60度光沢値が5〜90である請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性フィルム。
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