JP2020146804A - ニッケル電鋳ブレードおよびニッケル電鋳ブレードの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性が高められ、加工精度を向上できるニッケル電鋳ブレードを提供する。【解決手段】円板状のめっき相と、めっき相の外周縁部に形成される切れ刃と、めっき相に分散される砥粒と、を備え、めっき相は、めっき相の成分にニッケルおよびホウ化ニッケルを含み、めっき相に含まれるボロンの含有率が、0.005%以上0.018%以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、ニッケル電鋳ブレードおよびニッケル電鋳ブレードの製造方法に関する。
従来、電子材料等の精密加工にニッケル電鋳ブレードが用いられている。ニッケル電鋳ブレードは、円形薄板状であり、ニッケルめっき相にダイヤモンド等の砥粒が分散されている。特許文献1には、ニッケル合金電鋳膜の製造方法およびニッケル合金電鋳膜について記載されている。
特開2010−235974号公報
従来のニッケル電鋳ブレードは、剛性をより高めて加工精度を向上させる点において、改善の余地があった。
上記事情に鑑み、本発明は、剛性が高められ、加工精度を向上できるニッケル電鋳ブレードを提供することを目的の一つとする。
また本発明は、上記ニッケル電鋳ブレードを安定して製造できるニッケル電鋳ブレードの製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明のニッケル電鋳ブレードの一つの態様は、円板状のめっき相と、前記めっき相の外周縁部に形成される切れ刃と、前記めっき相に分散される砥粒と、を備え、前記めっき相は、前記めっき相の成分にニッケルおよびホウ化ニッケルを含み、前記めっき相に含まれるボロンの含有率が、0.005%以上0.018%以下である。
このニッケル電鋳ブレードは、めっき相の成分として、ニッケル(Ni)およびホウ化ニッケル(Ni)を含んでいる。ニッケルはめっき相の主成分であり、ホウ化ニッケルは、めっき相に分散されるNiBおよびNiB等の金属化合物である。本発明のニッケル電鋳ブレードは、めっき相にボロン(B)が共析することにより、ニッケルの結晶が微細化されている。結晶材料におけるホールペッチ則より、結晶粒径に反比例して、降伏強さは上昇する。すなわち、ボロンの共析によりめっき相は非晶質化し、塑性変形性が低下し、相対的に硬度が上昇している。
本発明のニッケル電鋳ブレードによれば、めっき相のボロン含有率が0.005%以上であり、従来のニッケル電鋳ブレードに比べてめっき相のボロン含有率が高いため、めっき相の硬度およびヤング率が安定して高められる。具体的に、本発明のニッケル電鋳ブレードは、ビッカース硬度が例えば900Hv以上となる。このためブレード剛性が高められ、ニッケル電鋳ブレードを用いて電子材料等の精密加工を行う際、例えば狭いピッチ幅での深溝加工や切断加工等であっても、加工ラインが曲がることや加工溝幅が増大することが抑制されて、加工精度を向上できる。
また本発明のニッケル電鋳ブレードによれば、従来のニッケル電鋳ブレードに比べて、耐摩耗性を高めることができる。
また、めっき相のボロン含有率が0.018%以下であるので、ニッケル電鋳ブレードを安定して製造できる。すなわち、めっき相のボロン含有率が0.018%を超える場合には、めっき工程においてめっき相が安定して形成されず、製造が不安定になるおそれがある。
上記ニッケル電鋳ブレードにおいて、前記ホウ化ニッケルは、NiBを含むことが好ましい。
この場合、めっき相が成分としてNiBを含む。ホウ化ニッケルの中でもNiBは、ブレード剛性の向上に安定して寄与するため、ニッケル電鋳ブレードの加工精度をより高めることができる。
上記ニッケル電鋳ブレードにおいて、前記めっき相に含まれるボロンの含有率が、0.01%以上であることが好ましい。
めっき相のボロン含有率が0.01%以上であると、ニッケル電鋳ブレードのビッカース硬度は例えば950Hv以上となる。このためブレード剛性がより高められ、加工精度が安定して向上する。
また、本発明のニッケル電鋳ブレードの製造方法の一つの態様は、めっき浴中に陽極および陰極を浸漬し、前記陽極と前記陰極に通電することにより、前記陰極の表面にめっき相を形成するめっき工程と、前記めっき相を加熱処理する加熱工程と、を含み、前記めっき工程では、前記めっき浴が、スルファミン酸ニッケルと、pH緩衝剤と、トリメチルアミンボランと、砥粒と、を含み、前記めっき浴中の前記トリメチルアミンボランの濃度が、0.05mol/L以上0.2mol/L以下である。
本発明のニッケル電鋳ブレードの製造方法によれば、めっき工程におけるめっき浴中のトリメチルアミンボラン(Trimethylamine borane:TMAB)の濃度が、0.05mol/L以上であるので、このめっき工程を経て製造されたニッケル電鋳ブレードは、めっき相に含まれるボロンの含有率が、安定して上述の0.005%以上となる。したがって、この製造方法で製造されたニッケル電鋳ブレードは、ブレード剛性が高められ、加工精度が向上する。
なお、例えば特許文献1(特開2010−235974号公報)の段落0027に記載されているように「TMABの濃度は0.5〜3.5g/L」である場合、めっき浴中のトリメチルアミンボランの濃度は最大でも0.05mol/L未満であるため、このめっき工程を経て製造されたニッケル電鋳ブレードは、めっき相に含まれるボロンの含有率が0.005%未満となり、本発明品とは異なる。
また本発明では、めっき浴中のトリメチルアミンボランの濃度が、0.2mol/L以下であるので、めっき工程においてめっき相が安定して形成される。具体的に、めっき浴中のトリメチルアミンボランの濃度が0.2mol/Lを超える場合、めっき工程においてめっき相が安定して形成されず、製造が不安定になるおそれがある。
したがって本発明のニッケル電鋳ブレードの製造方法によれば、上述した本発明のニッケル電鋳ブレードを安定して製造できる。
上記ニッケル電鋳ブレードの製造方法において、前記pH緩衝剤は、ホウ酸であることが好ましい。
この場合、トリメチルアミンボランのボロン成分が、ホウ酸の作用によりニッケルと結合しやすくなり、めっき相中にホウ化ニッケルがより取り込まれやすくなる。このため、めっき相に含まれるボロンの含有率を、安定して上述の0.005%以上とすることができる。
上記ニッケル電鋳ブレードの製造方法において、前記加熱工程では、前記めっき相を、200°以上の温度で1時間以上加熱処理することが好ましい。
この場合、めっき相中に効率よくホウ化ニッケル(特にNiB)を析出させることができ、ブレード剛性を安定して高めることができる。なお、加熱工程でめっき相を加熱処理する温度は、好ましくは300°以下である。これにより、めっき相のビッカース硬度が安定して900Hv以上となる。
本発明の一つの態様のニッケル電鋳ブレードによれば、剛性が高められ、加工精度を向上できる。
また本発明の一つの態様のニッケル電鋳ブレードの製造方法によれば、上記ニッケル電鋳ブレードを安定して製造できる。
図1は、本発明の一実施形態のニッケル電鋳ブレードを示す平面図である。 図2は、本発明の一実施形態のニッケル電鋳ブレードを示す側断面図(縦断面図)である。 図3は、めっき相に含まれるボロンの含有率と、ビッカース硬度との関係を示すグラフである。 図4は、めっき相に含まれるボロンの含有率と、耐摩耗性との関係を示すグラフである。 図5は、めっき工程に用いられるめっき装置を示す側断面図である。 図6は、めっき工程におけるめっき浴中のトリメチルアミンボランの濃度と、製造されたニッケル電鋳ブレードのめっき相のボロン含有率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るニッケル電鋳ブレード10について、図面を参照して説明する。
本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、電子材料等の被切断材の溝加工や切断加工等の精密加工に用いられる。ニッケル電鋳ブレード10は、ニッケルめっき浴の電解めっき(電気めっき)により作製される電鋳ブレードである。
図1および図2に示すように、ニッケル電鋳ブレード10は、円板状のめっき相1と、めっき相1の外周縁部に形成される切れ刃1Aと、めっき相1に分散される砥粒3(図5を参照)と、を備える。なおニッケル電鋳ブレード10は、めっき相1に分散される図示しないフィラーをさらに備えていてもよい。
本実施形態では、めっき相1の中心軸Oが延びる方向を軸方向と呼び、中心軸Oと直交する方向を径方向と呼び、中心軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。なおめっき相1の軸方向は、厚さ方向と言い換えてもよい。
本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、図示しない切断装置の主軸にフランジを介して取り付けられる、ワッシャタイプ(平円板形)のブレードである。
ニッケル電鋳ブレード10は、切断装置の主軸により、めっき相1が中心軸Oを中心とする周方向に回転させられ、被切断材に対して径方向に移動させられることにより、めっき相1のうちフランジよりも径方向外側に突出させられた外周縁部(切れ刃1A)で被切断材に切り込み、被切断材を精密加工する。
めっき相1は、中心軸Oを有する円形環状である。めっき相1の厚さ寸法(軸方向の長さ)は、例えば、0.01mm以上0.5mm以下である。
めっき相1の径方向の中央部(中心軸O上)には、取付孔1Bが形成されている。取付孔1Bは、めっき相1を軸方向に貫通する。取付孔1Bは、中心軸Oを中心とする円孔状である。
切れ刃1Aは、中心軸Oを中心として周方向に延びる環状である。切れ刃1Aは、めっき相1の厚さ寸法と略同じ刃幅を有する。切れ刃1Aは、めっき相1の径方向外側を向く外周面と、めっき相1の軸方向を向く一対の側面1Cの各外周部と、により形成される。
めっき相1中には、複数の砥粒3が分散されている。砥粒3は、例えば、ダイヤモンド砥粒である。なお砥粒3として、ダイヤモンド砥粒の代わりにcBN砥粒等を用いてもよい。
めっき相1は、めっき相1の成分にニッケル(Ni)およびホウ化ニッケル(Ni)を含む。めっき相1は、ニッケルを主成分とする金属結合相(マトリックス材)である。めっき相1は、めっきにより形成された金属の固相であり、薄板状に形成されているため、めっき膜やめっき層と言い換えてもよい。ホウ化ニッケルは、めっき相1に分散されている。ホウ化ニッケルは、NiB、NiBおよびNiB等である。つまりめっき相1のホウ化ニッケルは、NiBを含む。
めっき相1に含まれるボロン(B)の含有率は、0.005%以上0.018%以下である。めっき相1に含まれるボロンの含有率は、好ましくは0.01%以上である。なお、めっき相1に含まれるボロンの含有率は、例えばICP分析等により測定可能である。
図3において、本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、めっき相1のボロン含有率が0.005%以上0.018%以下であり、ビッカース硬度が900Hv以上である。
次に、本実施形態のニッケル電鋳ブレード10の製造方法について説明する。
本実施形態のニッケル電鋳ブレード10の製造方法は、めっき工程と、エッチング工程と、内外径加工工程と、加熱工程と、を含む。なお加熱工程は、時効処理工程と言い換えてもよい。
図5は、本実施形態のめっき工程に用いられるめっき装置20を示す。
めっき装置20は、槽21と、めっき浴(めっき液)22と、回転シャフト23と、陰極24と、陽極25と、を備える。
槽21は、有底筒状である。めっき浴22は、槽21に貯留される。回転シャフト23は、鉛直方向に延びるシャフト中心軸回りに回転させられる。陰極24は、水平方向に拡がる円板状である。陰極24は、回転シャフト23の下端部に固定され、めっき浴22中に浸漬される。陰極24は、めっき相1を表面24aに析出させる台金である。陽極25は、水平方向に拡がる円環板状である。陽極25は、陰極24の上側に、陰極24との間に間隔をあけて対向配置され、めっき浴22中に浸漬される。
めっき工程は、めっき浴22中に陽極25および陰極24を浸漬し、陽極25と陰極24に通電することにより、陰極24の表面24aにめっき相1を形成する工程である。
めっき工程では、めっき浴22が、スルファミン酸ニッケルと、pH緩衝剤と、トリメチルアミンボラン(Trimethylamine borane:TMAB)と、複数の砥粒3と、を含む。本実施形態ではpH緩衝剤が、ホウ酸である。つまり本実施形態のめっき浴22は、pH緩衝剤にホウ酸を用いたスルファミン酸浴である。なおめっき浴22は、さらに光沢剤および複数のフィラー等を含んでいてもよい。
めっき浴22中のトリメチルアミンボランの濃度は、0.05mol/L以上0.2mol/L以下である。
めっき工程では、回転シャフト23および陰極24を回転シャフト23のシャフト中心軸回りに回転させて、めっき浴22を攪拌させながら電解めっきを行うことにより、陰極24の表面24a上にめっき相1を形成する。めっき相1は、砥粒3を取り込みつつ陰極24の表面24aに析出させられる。めっき相1が所定の厚さ寸法に達したら、めっき相1を陰極24から剥離する。
エッチング工程では、陰極24から剥離しためっき相1の外面のうち、少なくとも陰極24の表面24aと接触していた側面1Cにエッチング処理を施して、めっき相1の外面において砥粒3を突出させる。つまりエッチング工程により、めっき相1の砥粒3の目立てが行われる。
内外径加工工程では、めっき相1の外径および内径が所定の各寸法となるように、めっき相1の外周部および内周部を切断加工する。
加熱工程では、めっき相1を加熱処理(時効処理)する。加熱工程では、めっき相1を、200°以上の温度で1時間以上加熱処理する。なお、加熱工程においてめっき相1を加熱処理する温度は、300°以下であることが好ましい。
本実施形態ではめっき相1を、マッフル炉で大気雰囲気にてカーボンの重石を用いて、300°の温度で1時間加熱処理した。その結果、ビッカース硬度が950Hv以上とされためっき相1を有するニッケル電鋳ブレード10が得られた。
以上説明した本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、めっき相1の成分として、ニッケル(Ni)およびホウ化ニッケル(Ni)を含んでいる。ニッケルはめっき相1の主成分であり、ホウ化ニッケルは、めっき相1に分散されるNiBおよびNiB等の金属化合物である。本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、めっき相1にボロン(B)が共析することにより、ニッケルの結晶が微細化されている。結晶材料におけるホールペッチ則より、結晶粒径に反比例して、降伏強さは上昇する。すなわち、ボロンの共析によりめっき相1は非晶質化し、塑性変形性が低下し、相対的に硬度が上昇している。
本実施形態のニッケル電鋳ブレード10によれば、めっき相1のボロン含有率が0.005%以上であり、従来のニッケル電鋳ブレードに比べてめっき相1のボロン含有率が高いため、めっき相1の硬度およびヤング率が安定して高められる。具体的には図3に示すように、本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、ビッカース硬度が900Hv以上である。このためブレード剛性が高められ、ニッケル電鋳ブレード10を用いて電子材料等の精密加工を行う際、例えば狭いピッチ幅での深溝加工や切断加工等であっても、加工ラインが曲がることや加工溝幅が増大することが抑制されて、加工精度を向上できる。
図4は、従来のニッケル電鋳ブレードの耐摩耗性を基準値(1つまり100%)とした場合の、めっき相1のボロン含有率と、ニッケル電鋳ブレード10の耐摩耗性との関係を示すグラフである。図4に示すように、めっき相1に含まれるボロンの含有率が0.005%以上0.018%以下とされた本実施形態のニッケル電鋳ブレード10は、従来のニッケル電鋳ブレードに比べて、耐摩耗性が30%以上高められる。
また、めっき相1のボロン含有率が0.018%以下であるので、ニッケル電鋳ブレード10を安定して製造できる。すなわち、めっき相1のボロン含有率が0.018%を超える場合には、めっき工程においてめっき相1が安定して形成されず、製造が不安定になるおそれがある。
また本実施形態では、めっき相1のホウ化ニッケルが、NiBを含む。
すなわち、めっき相1が成分としてNiBを含む。ホウ化ニッケルの中でもNiBは、ブレード剛性の向上に安定して寄与するため、ニッケル電鋳ブレード10の加工精度をより高めることができる。
また本実施形態において、めっき相1に含まれるボロンの含有率が、0.01%以上であると、図3に示すように、ニッケル電鋳ブレード10のビッカース硬度が950Hv以上となる。このためブレード剛性がより高められ、加工精度が安定して向上する。
また、本実施形態のニッケル電鋳ブレード10の製造方法によれば、めっき工程におけるめっき浴22中のトリメチルアミンボランの濃度が、0.05mol/L以上であるので、このめっき工程を経て製造されたニッケル電鋳ブレード10は、めっき相1に含まれるボロンの含有率が、安定して上述の0.005%以上となる。したがって、この製造方法で製造されたニッケル電鋳ブレード10は、ブレード剛性が高められ、加工精度が向上する。
なお、例えば特許文献1(特開2010−235974号公報)の段落0027に記載されているように「TMABの濃度は0.5〜3.5g/L」である場合、めっき浴22中のトリメチルアミンボランの濃度は最大でも0.05mol/L未満であるため、このめっき工程を経て製造されたニッケル電鋳ブレードは、めっき相に含まれるボロンの含有率が0.005%未満となり、本発明品とは異なる。
また本実施形態では、めっき浴22中のトリメチルアミンボランの濃度が、0.2mol/L以下であるので、めっき工程においてめっき相1が安定して形成される。具体的に、めっき浴22中のトリメチルアミンボランの濃度が0.2mol/Lを超える場合、めっき工程においてめっき相1が安定して形成されず、製造が不安定になるおそれがある。
したがって本実施形態のニッケル電鋳ブレード10の製造方法によれば、上述した本実施形態のニッケル電鋳ブレード10を安定して製造できる。
また本実施形態では、めっき浴22のpH緩衝剤が、ホウ酸である。
この場合、トリメチルアミンボランのボロン成分が、ホウ酸の作用によりニッケルと結合しやすくなり、めっき相1中にホウ化ニッケルがより取り込まれやすくなる。このため、めっき相1に含まれるボロンの含有率を、安定して上述の0.005%以上とすることができる。
図6は、めっき工程に用いられるめっき浴22中のトリメチルアミンボラン(TMAB)濃度と、このめっき工程を経て製造されためっき相1のボロン含有率との関係を示すグラフであり、めっき浴22のpH緩衝剤としてホウ酸を用いた場合と、クエン酸を用いた場合とについて各グラフを示す。図6に示すように、めっき浴22のpH緩衝剤にホウ酸を用いた場合には、クエン酸を用いた場合と比べて、めっき相1のボロン含有率が20%程度高められる。
また本実施形態では、加熱工程においてめっき相1を、200°以上の温度で1時間以上加熱処理する。
この場合、めっき相1中に効率よくホウ化ニッケル(特にNiB)を析出させることができ、ブレード剛性を安定して高めることができる。なお、加熱工程でめっき相1を加熱処理する温度は、好ましくは300°以下である。これにより、めっき相1のビッカース硬度が安定して900Hv以上となる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、ワッシャタイプのニッケル電鋳ブレード10およびその製造方法を例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明は、ハブタイプのニッケル電鋳ブレード(ハブ付きブレード)およびその製造方法に適用してもよい。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例およびなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明のニッケル電鋳ブレードによれば、剛性が高められ、加工精度を向上できる。また本発明のニッケル電鋳ブレードの製造方法によれば、上記ニッケル電鋳ブレードを安定して製造できる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
1…めっき相、1A…切れ刃、3…砥粒、10…ニッケル電鋳ブレード、22…めっき浴、24…陰極、24a…表面、25…陽極

Claims (6)

  1. 円板状のめっき相と、
    前記めっき相の外周縁部に形成される切れ刃と、
    前記めっき相に分散される砥粒と、を備え、
    前記めっき相は、前記めっき相の成分にニッケルおよびホウ化ニッケルを含み、
    前記めっき相に含まれるボロンの含有率が、0.005%以上0.018%以下である、
    ニッケル電鋳ブレード。
  2. 前記ホウ化ニッケルは、NiBを含む、
    請求項1に記載のニッケル電鋳ブレード。
  3. 前記めっき相に含まれるボロンの含有率が、0.01%以上である、
    請求項1または2に記載のニッケル電鋳ブレード。
  4. めっき浴中に陽極および陰極を浸漬し、前記陽極と前記陰極に通電することにより、前記陰極の表面にめっき相を形成するめっき工程と、
    前記めっき相を加熱処理する加熱工程と、を含み、
    前記めっき工程では、前記めっき浴が、スルファミン酸ニッケルと、pH緩衝剤と、トリメチルアミンボランと、砥粒と、を含み、
    前記めっき浴中の前記トリメチルアミンボランの濃度が、0.05mol/L以上0.2mol/L以下である、
    ニッケル電鋳ブレードの製造方法。
  5. 前記pH緩衝剤は、ホウ酸である、
    請求項4に記載のニッケル電鋳ブレードの製造方法。
  6. 前記加熱工程では、前記めっき相を、200°以上の温度で1時間以上加熱処理する、
    請求項4または5に記載のニッケル電鋳ブレードの製造方法。
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