JP2020146008A - 動物性塊食材の改質方法及び動物性塊食材改質用組成物 - Google Patents
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Description
[2]パパインの添加量が動物性塊食材100gあたり500U以上10,000,000U以下であり、サーモリシンの添加量が動物性塊食材100gあたり500U以上10,000,000U以下であり、馬鈴薯澱粉の添加量が動物性塊食材100gあたり0.1g以上50g以下である、[1]記載の方法。
[3]動物性塊食材が牛肉、豚肉、鶏肉、及びイカからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]乃至[2]記載の方法。
[4]パパイン、サーモリシン、及び馬鈴薯澱粉を含んでなる、動物性塊食材の改質用組成物。
[5]パパインの含有量が馬鈴薯澱粉1gあたり1,000U以上1,000,000U以下であり、サーモリシンの含有量が馬鈴薯澱粉1gあたり1,000U以上1,000,000U以下である、[4]記載の組成物。
米国産牛サーロインを、スライサー「スーパーデラックススライサー」(ワタナベフーマック社製)を用いて1cmの厚さにスライスした。スライス肉と等重量の水に、表1に示す各試験区のプロテアーゼを、肉100gに対し50,000Uとなるよう溶解し、酵素溶液を得た。各試験区の酵素溶液にスライス肉を投入し、20℃にて30分浸漬し、反応させた。各プロテアーゼは、市販されている食品用酵素製剤を用いた。その後、スライス肉を取り出し、インピンジャー「Lincoln IMPINGER」(Lincoln Foodservice Products社製)を用い、180℃にて2分30秒焼成し、裏返して更に2分30秒焼成することで、ビーフステーキを得た。得られたビーフステーキは、官能評価に供した。官能評価は、やわらかさとジューシー感について、無添加区(試験区1)を0点とした−5点〜5点の評点法にて、4名のパネルにて行った。評点は、小数点以下第一位までとし、4名の平均値を四捨五入した小数点以下第一位までの数値を結果とした。また、得られたやわらかさとジューシー感の評点の、合計点を算出した。尚、やわらかさとは、肉を噛み切る際に必要な力が少ないことを意味し、ジューシー感とは、肉を噛んだ際に肉から染み出てくる水分の量が多いことを意味する。ジューシー感は、パサつきと対義である。やわらかさの評点は、0点が無添加品と差なし、1点がわずかにやわらかい、2点がやややわらかい、3点がやわらかい、4点が非常にやわらかい、5点が極めて顕著にやわらかい、−1点がわずかに硬い、−2点がやや硬い、−3点が硬い、−4点が非常に硬い、−5点が極めて顕著に硬いと定義した。ジューシー感の評点は、0点が無添加品と差なし、1点がわずかにジューシー、2点がややジューシー、3点がジューシー、4点が非常にジューシー、5点が極めて顕著にジューシー、−1点がわずかにパサつく、−2点がややパサつく、−3点がパサつく、−4点が非常にパサつく、−5点が極めて顕著にパサつくと定義した。結果を表1に示す。
実施例1にて、塊食材に対する効果の質が異なることが確認されたパパイン及びサーモリシンについて、併用による効果の検討を実施した。比較対象として、ブロメラインを用いた。実施例1と同様の方法にて、米国産牛サーロインを、表2に示す各試験区の配合にて調製したプロテアーゼ溶液に浸漬、反応させ、インピンジャーにて焼成することでビーフステーキを得た。得られたビーフステーキは、実施例1と同様の方法にて、やわらかさとジューシー感について、官能評価を行った。また、やわらかさについては、パパインのみを添加した区分、サーモリシンのみを添加した区分、ブロメラインのみを添加した区分の結果をもとに、これらの併用添加区分の理論上の評点を算出した。例えば表2において、試験区8のやわらかさの理論値の場合、パパインのみ添加時の試験区2のやわらかさの評点が「2.1」、サーモリシンのみ添加時の試験区4のやわらかさの評点が「1.1」であり、これらを合計すると「2.1+1.1=3.2」と算出される。よって「3.2」が試験区8のやわらかさの理論値である。このように算出した値を用いて、理論値と実際の評点(官能評価結果)の差を求めた。試験区8の場合、官能評価結果が「3.7」、理論値が「3.2」であるため、差は「3.7−3.2=0.5」と算出される。この値がゼロより大きければ理論値より大きな効果、すなわち相乗効果が出ていることを意味する。相乗効果の得られた併用試験区には、相乗効果欄に「○」を、相乗効果の得られなかった併用試験区には、相乗効果欄に「×」をつけた。結果を表2に示す。
実施例2において、パパイン及びサーモリシンの組み合わせにより、相乗的な軟化効果が得られる一方で、ジューシー感が低下したため、澱粉との併用について検討を実施した。実施例1と同様の方法にて、米国産牛サーロインを、表3に示す各試験区の配合にて調製した液に浸漬、反応させ、インピンジャーにて焼成することでビーフステーキを得た。パパインとサーモリシンは水に溶解するが、各種澱粉は溶解しないため、十分に攪拌して懸濁液の状態にし、塊肉を投入した。各種澱粉は、いずれも生澱粉である。得られたビーフステーキは、実施例1と同様の方法にて、やわらかさとジューシー感について、官能評価を行った。また、やわらかさ及びジューシー感について、実施例2と同様の方法で、相乗効果の有無の検証を行った。「×」は相乗効果なし、「○」は相乗効果あり(官能評価結果―理論値が、0より大きく、5より小さい)、「◎」は極めて顕著な相乗効果あり(官能評価結果―理論値が5以上)とした。結果を表3に示す。
実施例3にて、パパインとサーモリシンを組み合わせることで、馬鈴薯澱粉が塊食材に浸透し、相乗的にやわらかさ及びジューシー感を付与し得ることが示されたことを受け、馬鈴薯澱粉が塊食材に浸透するという当該仮説を確認するため、顕微鏡観察を実施した。米国産豚ロース肉の原木を除脂し、スライサー「スーパーデラックススライサー」(ワタナベフーマック社製)を用いて1cmの厚さにスライスした。スライス肉と等重量の水に、表4に示す各試験区の配合に従いプロテアーゼ及び澱粉を溶解、懸濁し、浸漬液を得た。各種澱粉は、生澱粉を用いた。パパインとサーモリシンは水に溶解するが、各種澱粉は溶解しないため、十分に攪拌して懸濁液の状態とした。得られた浸漬液にスライス肉を投入し、20℃にて30分浸漬し、反応させた。その後、スライス肉を取り出し、肉表面を水ですすぐことで、肉表面に付着した澱粉を除去した。スライス肉は、5mm程度の幅で切り出し、塊肉内部が露出する状態とし、露出面を顕微鏡にて観察した。顕微鏡は、走査電子顕微鏡「SU3500」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、拡大倍率1000倍にて、ランダムで3視野撮影した。顕微鏡観察の結果を、図1に示す。
実施例1と同様の方法にて、米国産牛サーロインを、表5に示す各試験区の配合にて調製した液に浸漬、反応させ、インピンジャーにて焼成することでビーフステーキを得た。パパインとサーモリシンは水に溶解するが、各種澱粉は溶解しないため、十分に攪拌して懸濁液の状態にし、塊肉を投入した。各種澱粉は、いずれも生澱粉である。得られたビーフステーキは、実施例1と同様の方法にて、やわらかさとジューシー感について、官能評価を行った。また、やわらかさ及びジューシー感について、実施例2と同様の方法で、相乗効果の有無の検証を行った。「×」は相乗効果なし、「○」は相乗効果あり(官能評価結果―理論値が、0より大きく、5より小さい)、「◎」は極めて顕著な相乗効果あり(官能評価結果―理論値が5以上)とした。結果を表5に示す。
各種動物性塊食材を処理、カットし、パパイン及びサーモリシン及び馬鈴薯澱粉を溶解、懸濁した浸漬液に浸漬し、20℃にて30分間反応させた。また、比較対象として、水に浸漬し、同様に20℃にて30分間静置した試験区も実施した。各種動物性塊食材の処理及びカット方法は、牛サーロインは1cm厚のスライス、豚ロースは1cm厚のスライス、鶏モモ肉は20gのピース、鶏ムネ肉は20gのピース、スルメイカは胴部を1cm幅の輪切りとした。また、動物性塊食材には該当しないが、牛挽肉100gをパテ状に圧縮成形したものを比較対象として用意した。パパインの添加量は食材100gに対し50,000U、サーモリシンの添加量は食材100gに対し50,000U、馬鈴薯澱粉の添加量は食材100gに対し1gとした。浸漬液から取り出した各種動物性塊食材は、インピンジャーにて焼成した後、官能評価に供した。畜肉食材は、180℃にて2分30秒焼成し、裏返して更に2分30秒焼成、スルメイカは、180℃にて1分焼成し、裏返して更に1分焼成した。官能評価は、やわらかさとジューシー感について実施した。やわらかさは、「×」がやわらかなくない又は硬い、「△」がやややわらかい、「○」がやわらかい、「◎」が非常にやわらかいと定義した。ジューシー感は、「×」がジューシーでない又はパサつく、「△」がややジューシー、「○」がジューシー、「◎」が非常にジューシーと定義した。結果を表6に示す。尚、表6中の組成物とは、パパイン及びサーモリシン及び馬鈴薯澱粉を上記添加量となるように配合した組成物を意味する。
Claims (5)
- パパイン、サーモリシン、及び馬鈴薯澱粉を添加することを含む、動物性塊食材の改質方法。
- パパインの添加量が動物性塊食材100gあたり500U以上10,000,000U以下であり、サーモリシンの添加量が動物性塊食材100gあたり500U以上10,000,000U以下であり、馬鈴薯澱粉の添加量が動物性塊食材100gあたり0.1g以上50g以下である、請求項1記載の方法。
- 動物性塊食材が牛肉、豚肉、鶏肉、及びイカからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1乃至2記載の方法。
- パパイン、サーモリシン、及び馬鈴薯澱粉を含んでなる、動物性塊食材の改質用組成物。
- パパインの含有量が馬鈴薯澱粉1gあたり1,000U以上1,000,000U以下であり、サーモリシンの含有量が馬鈴薯澱粉1gあたり1,000U以上1,000,000U以下である、請求項4記載の組成物。
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