JP2020143246A - ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物、及び光半導体デバイス - Google Patents

ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物、及び光半導体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐光性を高め、低線膨張率の確保、高硬度化を実現させ、ウェハーレベル光半導体装置の特性の一層の向上、長寿命化を行う。【解決手段】ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物が、(A)下記一般式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するオルガノポリシロキサン100質量部、及び(A−2)有機過酸化物:0.1〜10質量部を含む25℃で液状の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物、(B)平均粒径(D50)が4〜50μmである溶融シリカ:上記(A)成分合計100質量部に対して200〜1,000質量部を含有する。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物、及び前記樹脂組成物で封止された光半導体デバイスに関する。
LED等の光半導体素子は電力消費量が少ないという優れた特性を有するため、近年では屋外照明用途や自動車用途への光半導体素子の適用が増えてきている。一方で、LED等の光半導体デバイスが屋外照明用途や自動車用途で用いられるようになってから、外気にさらされるため、大気中の硫黄酸化物、いわゆるSOxによって、光反射性を高めるために設けられた銀メッキ、銀電極等が硫化することで黒く変色することが問題となっている。高反射率を有する銀メッキ、銀電極等が黒く変色することは、光反射率が著しく低下することを意味し、光半導体デバイスからの光取り出し効率の低下に直結する。従って、銀メッキ、銀電極の保護、即ち光半導体デバイス全体として耐硫化性の確保がますます重要となってきている。
このような中で、従来から一般的に使用されている、金属を加工してなるリードフレーム基板にリフレクターを設けたパッケージは、基板表面の光反射率向上のため、通常リードフレーム表面に銀メッキが施されており、銀メッキの硫化防止をいかに付与するかが課題として残り、依然として有効な解決策を模索しており、開発期間、開発コストの増大につながっている。
特許文献1には、パッケージの小型化にあたり部材の種類を減らし製造しやすくした半導体発光装置及びその製造方法として、LED装置において、サファイア基板と突起電極を有するLED素子を備え、サファイア基板の上面に蛍光体シートが配置され、蛍光体シートとサファイア基板とが接着層で接着され、LED素子の側部は白色反射部材で覆われており、LED素子の突起電極がマザー基板に対する接続電極となっている構造が提案されている。しかしながら、構成部材点数が多く、工程が煩雑であり、製造コスト、生産性等、工業的な課題が多い。
このような状況の中で、本発明者らは、特許文献2〜4で開示したように、部材の種類を大幅に減らすことが可能であり、銀メッキの硫化防止のための特別な保護を必要とすることなく、高出力の光半導体素子の駆動にも耐えられ、かつ製品の寸法精度が高く、発光色のむらやばらつきが少なく、製造後の製品特性の管理が容易な光半導体デバイスを低コストで容易に製造することを可能とするウェハーレベル光半導体デバイス用部材の製造方法、該製造方法で製造されたウェハーレベル光半導体デバイス用部材を用いた光半導体デバイスの製造方法、及び該製造方法で製造された光半導体デバイスを提供した。
一方で、前記発明中に用いられる樹脂組成物には、これを成型してなるウェハーレベル光半導体部材の反りや、光半導体デバイスとして駆動した時の樹脂硬化物の熱膨張に伴うPKGの伸縮よる光半導体の剥離・脱落等の課題が発生した。更に、一層の構成部材点数低減の目的で、光半導体素子と熱硬化性樹脂組成物の硬化物のみで薄型のウェハーレベル光半導体を得たいという要望が高まっている。一方で、一層高輝度化した光半導体素子からの発熱量の増加により、駆動時の光半導体素子の表面温度は150℃に到達する試算がされている。さらに、光半導体素子からの発光される光の波長は450nm〜400nmへと、短波長側にシフトし、よりエネルギーの強い光が発せられるようになっている。このような状況の中で、ウェハーレベル光半導体装置の特性向上、長寿命化を行うために、特に熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐光性の選定及び低線膨張率の確保、硬度の確保が重要であり、従来の熱硬化性樹脂では特性を満足させるものが得られていなかった。
特開2012−227470号公報 特開2015−216206号公報 特開2015−216192号公報 特開2015−216197号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、部材の種類を大幅に減らすことが可能であり、銀メッキの硫化防止のための特別な保護を必要とすることなく、高出力の光半導体素子の駆動にも耐えられ、かつ製品の寸法精度が高く、発光色のむらやばらつきが少なく、製造後の製品特性の管理が容易な光半導体デバイスを低コストで容易に製造することを可能とするウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物、及び前記樹脂組成物の硬化物で封止された光半導体デバイスを提供することを目的とする。更に、前記樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐光性を高め、低線膨張率の確保、高硬度化を実現させ、ウェハーレベル光半導体装置の特性の一層の向上、長寿命化を行うことを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、
下記(A)及び(B)成分、
(A)下記(A−1)、及び(A−2)成分を含む25℃で液状の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物、
(A−1)下記一般式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
Figure 2020143246
[式中、mは0、1、2のいずれかであり、Rは水素原子、フェニル基又はハロゲン化フェニル基、Rは水素原子またはメチル基、Rは独立して炭素数1〜12の1価の有機基、Zは−R−、−R−O−、−R−(CHSi−O−(Rは独立して炭素数1〜10の2価の有機基)のいずれか、Zは酸素原子又は炭素数1〜10の2価の有機基である。]
(A−2)有機過酸化物:0.1〜10質量部、
(B)平均粒径(D50)が4〜50μmである溶融シリカ:上記(A)成分合計100質量部に対して200〜1,000質量部
を含有するウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物を提供する。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、耐熱性、耐光性が高く、低線膨張率が確保され、高硬度化された硬化物を与えるものである。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、前記式(1)中、Zが−R−(Rは上記と同じである)であり、前記Zが酸素原子であるものであることが好ましい。
また、このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、前記式(1)中、Zが−R−O−又は−R−(CHSi−O−(Rは上記と同じである)であり、前記Zが炭素数1〜10の2価の有機基であるものであることが好ましい。
前記(A−1)成分の一般式(1)で表される構造は、好ましくは下記一般式(2)で表される構造である。
Figure 2020143246
、Zのそれぞれが上記のように限定され、一般式(1)で表される構造が一般式(2)で表される構造に限定されると、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、より耐熱性、耐光性が高く、低線膨張率が確保され、高硬度化された硬化物を与えるものとなる。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、好ましくは(A−1)成分中に0.1モル%以上の(SiO4/2)単位を有するものである。
(A−1)成分中に所定量以上の(SiO4/2)単位が存在すると、(A−1)成分は(A−2)成分が分解する際に発生するフリーラジカルと効果的に反応し、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、接着強度及び作業性に優れ、かつ耐熱性、耐光性及び耐クラック性に優れた硬化物を与えるものとなる。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、好ましくはJIS K 7117−1:1999記載の方法で回転粘度計により測定した25℃での粘度が1〜5,000Pa・sであるものである。
上記粘度が限定されたウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、狭小部への充填性がより高いものである。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、好ましくは加熱硬化物のJIS K 6253−3:2012記載の方法でタイプD硬度計を用いて測定した硬さが40以上のものである。
硬さが上記範囲の硬化物を与えるウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材として成型した時に、デバイスとして十分な部材強度が得られ、実装工程で破損する等の問題が発生するおそれがない硬化物を与えるものである。
このウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、好ましくは加熱硬化物のJIS K 7197:1991記載の方法でTMAにより求めたα2領域の線膨張率が100ppm以下のものである。
線膨張率が上記範囲の硬化物を与えるウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、ウェハーレベル光半導体デバイスとして動作させた際に、繰り返し点灯・消灯動作における熱衝撃による剥離や樹脂クラックなどが起こりにくく、長期信頼性に優れる硬化物を与えるものである。
さらに、本発明は、上記ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物で封止されたウェハーレベル光半導体デバイスを提供する。
このウェハーレベル光半導体デバイスは、低コストで高出力の光半導体素子の駆動に耐えられる信頼性の高いものである。
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、部材の種類を大幅に減らすことが可能であり、銀メッキの硫化防止のための特別な保護を必要とすることなく、高出力の光半導体素子の駆動にも耐えられ、かつ製品の寸法精度が高く、発光色のむらやばらつきが少なく、製造後の製品特性の管理が容易な光半導体デバイスを低コストで容易に製造することを可能とする硬化物、及び該硬化物で封止された光半導体デバイスを提供することができる。更に、該樹脂組成物の耐熱性、耐光性を高め、低線膨張率の確保、高硬度化を実現させ、ウェハーレベル光半導体装置の特性の一層の向上、長寿命化を行うことができる。
ウェハーレベル光半導体デバイスの製造方法における準備工程の一例を示す概略図である。 ウェハーレベル光半導体デバイスの製造方法における成型工程の一例を示す概略図である。 ウェハーレベル光半導体デバイス用部材の一例を示す断面図である。 ウェハーレベル光半導体デバイスの製造方法における個片化工程の一例を示す概略図である。 ウェハーレベル光半導体デバイスの実装工程の一例を示す概略図である。
上述のように、耐熱性、耐光性が高く、低線膨張率が確保され、高硬度化された硬化物を与えるウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、特定の末端基構造を有するオルガノポリシロキサンを主成分とする過酸化物硬化型液状オルガノポリシロキサン組成物と特定範囲の平均粒径を有する無機充填剤とを含むウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
下記(A)及び(B)成分、
(A)下記(A−1)、及び(A−2)成分を含む25℃で液状の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物、
(A−1)下記一般式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
Figure 2020143246
[式中、mは0、1、2のいずれかであり、Rは水素原子、フェニル基又はハロゲン化フェニル基、Rは水素原子またはメチル基、Rは独立して炭素数1〜12の1価の有機基、Zは−R−、−R−O−、−R−(CHSi−O−(Rは独立して炭素数1〜10の2価の有機基)のいずれか、Zは酸素原子又は炭素数1〜10の2価の有機基である。]
(A−2)有機過酸化物:0.1〜10質量部、
(B)平均粒径(D50)が4〜50μmである溶融シリカ:上記(A)成分合計100質量部に対して200〜1,000質量部
を含有するウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物]
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は特定の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を主成分とするものである。室温(25℃)で液体であっても固体であってもよく、狭小部へのこの樹脂組成物の充填性を高めるという観点から、室温(25℃)で液状の材料であることが好ましく、より好ましくはJIS K 7117−1:1999記載の方法で回転粘度計により測定した25℃での粘度が1〜5,000Pa・sの範囲であり、さらに好ましくは1〜1,000Pa・sの範囲である。
前記樹脂組成物は、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材及びダイシング加工後の光半導体デバイスを支持するために硬化後に硬質となるものが好ましい。特には、ダイシング加工のしやすさ、ウェハーレベル光半導体デバイスとしたときの強度の観点から、前記樹脂組成物は硬化後のJIS K 6253−3:2012記載の方法でタイプD硬度計を用いて測定した硬さが40以上70以下であることが好ましく、より好ましくは50以上70以下である。硬さが40以上であると、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材として成型した時に、デバイスとして十分な部材強度が得られ、実装工程で破損する等の問題が発生するおそれがないため好ましい。さらに、前記樹脂硬化物のJIS K 7197:1991記載の方法でTMAにより求めたα2領域の線膨張率が100ppm以下であることが好ましい。前記α2領域の線膨張率が100ppm以下であれば、ウェハーレベル光半導体デバイスとして動作させた際に、繰り返し点灯・消灯動作における熱衝撃による剥離や樹脂クラックなどが起こりにくく、長期信頼性に優れるため好ましい。
[(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物]
前記(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、25℃で液状であることを特徴とし、好ましくはJIS K 7117−1:1999記載の方法で回転粘度計により測定した25℃における粘度が10mPa・s以上5,000mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以上5,000mPa・s以下である。10mPa・s以上であれば、前記(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に後述の(B)成分を、比重の影響を受けることなく良好に分散させることができる。5,000mPa・s以下であれば、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の粘度が高くなりすぎたりせず、塗布工程における不具合、具体的には高粘度液体を塗布する際の速度低下による作業性の低下、封止材の糸引きによる塗布量のバラツキ、及びデバイスの汚れ等が発生するおそれがないため好ましい。(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物の加熱硬化物のJIS K 6253−3:2012記載の方法でタイプD硬度計を用いて測定した硬さは30以上であることが好ましい。
本発明の(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、下記(A−1)、(A−2)成分を含み、下記(A−2)成分は、(A−1)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部の量であるような熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物であることを特徴とする。以下、各成分について詳述する。
[(A−1)オルガノポリシロキサン]
(A−1)下記一般式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するオルガノポリシロキサン、
Figure 2020143246
[式中、mは0、1、2のいずれかであり、Rは水素原子、フェニル基又はハロゲン化フェニル基、Rは水素原子またはメチル基、Rは独立して炭素数1〜12の1価の有機基、Zは−R−、−R−O−、−R−(CHSi−O−(Rは独立して炭素数1〜10の2価の有機基)のいずれか、Zは酸素原子又は炭素数1〜10の2価の有機基である。]
(A−1)成分のオルガノポリシロキサン中の、Z、Zの組み合わせとしては、Zが−R−であり、Zが酸素原子であるものや、Zが−R−O−、又は−R−(CHSi−O−であり、Zが置換又は非置換で同一又は異なってもよい炭素数1〜10の2価の有機基であるものが好ましく、より好ましくは、下記一般式(2)
Figure 2020143246
(式中、m、R、R、R、Rは上記と同様である。)
で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するようなオルガノポリシロキサンである。
上記構造を有する(A−1)成分であれば、後述する(A−2)成分が分解する際に発生するフリーラジカルと効果的に反応し、接着強度及び作業性に優れ、かつ耐熱性、耐光性及び耐クラック性に優れた硬化物を得ることができるため好ましい。
また、(A−1)成分のオルガノポリシロキサン中に、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15〜75モル%、特に好ましくは25〜50モル%の(SiO4/2)単位を有すると(A−2)成分が分解する際に発生するフリーラジカルと効果的に反応し、接着強度及び作業性に優れ、かつ耐熱性、耐光性及び耐クラック性に優れた硬化物を得ることができる。
(A−1)成分のオルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が10mPa・s以上の液状又は固体で、分岐状又は三次元網状構造のオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
上記式(1)において、Rはケイ素原子に結合した1価の有機基であり、当該1価の有機基としては、炭素数1〜12、好ましくは1〜8程度の炭化水素基が挙げられる。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基やシアノエチル基等が挙げられる。
上記式(1)において、Rで示される2価の有機基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の炭素原子数1〜10のアルキレン基などの2価炭化水素基が例示され、炭素原子数1〜3のアルキレン基が好ましい。
以下に(A−1)成分のオルガノポリシロキサンを例示する。この成分は単一成分でも、他の成分と併用でも良い。また、下記式において、上記式(1)中のRがメチル基の場合を例示しているが、その他の基(炭素数1〜12の1価の有機基)にも変更できる。
Figure 2020143246
下記式に示す、MA単位、M単位、Q単位が、MA:M:Q=1:4:6の割合で含まれ、分子量がポリスチレン換算の重量平均分子量で5,000であるオルガノポリシロキサン。
Figure 2020143246
下記式に示す、MA−D単位、D単位、T単位が、MA−D:D:T=2:6:7の割合で含まれ、分子量がポリスチレン換算の重量平均分子量で3,500であるオルガノポリシロキサン。
Figure 2020143246
このような(A−1)成分の合成方法としては、たとえば下記式(3)、
Figure 2020143246
(式中、m、R、R、R、Zは上記と同様である。)
好ましくは下記式(4)に示す化合物、
Figure 2020143246
(式中、m、R、R、R、Z、Zは上記と同様である。)
より具体的には、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを酸触媒存在下で平衡化反応する事によって得られる3−メタクリロキシプロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンと、脂肪族不飽和基(例えば、エチレン性不飽和基、及びアセチレン性不飽和基が挙げられる。)を含むオルガノポリシロキサンを塩化白金酸触媒存在下でヒドロシリル化反応させる方法や、脂肪族不飽和基を含むオルガノポリシロキサンに、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシランのようなケイ素原子上に水素原子と塩素原子が結合したシラン化合物をヒドロシリル化反応させた後に、末端に水酸基を有する(メタ)アクリルエステルを前記クロロシリル化されたオルガノポリシロキサンと加水分解させる方法などが挙げられる。これらの方法で本発明に好適なものを製造することができるが、これらの方法に制限されるものではない。また、市販のものを用いても良い。
(A−1)成分には、組成物の粘度や硬化物の硬度を調整する等の目的で、以下に示すような(A−1)成分の範囲に含まれないシリコーン系反応性希釈剤や、非シリコーン系反応性希釈剤を添加することができる。
シリコーン系反応性希釈剤の具体的な例としては、下記式(5)〜(9)で示されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。この成分は単一でも、他の成分と併用でも良い。
Figure 2020143246
(式中、pは18、qは180である。)
Figure 2020143246
(式中、p’は20、q’は180である。)
Figure 2020143246
(式中、pは18、qは180である。)
非シリコーン系反応性希釈剤としては、HC=CG−COによって示されるような(メタ)アクリレート類がある。上記式中、Gは、水素、ハロゲン、炭素原子数1〜4個のアルキル基のいずれかであり、Rは、炭素原子数1〜16個のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルカリル基、アラルキル基、アリール基のいずれかから選ばれ、これらのいずれかは、必要に応じ、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カルバメート、アミン、アミド、イオウ、スルホネート、スルホン等で置換し得る。
反応性希釈剤としてとりわけ望ましい(メタ)アクリレート類としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPA」又は「EBIPMA」)のようなビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレート及びジ(メタ)アクリレート、シトロネリルアクリレート及びシトロネリルメタクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(「HDDA」又は「HDDMA」)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(「ETTA」)、トリエチレングリコールジアクリレート及びトリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートに相応するアクリレートエステルがある。これらの(メタ)アクリレート類は1種単独でも2種以上の組合せでも反応性希釈剤として使用できる。
反応性希釈剤を添加する場合の添加量としては、(A−1)成分のオルガノポリシロキサンに対して0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜10質量%の範囲がより好ましい。
(A−1)成分のオルガノポリシロキサンは、特定の用途において所望されるような硬化又は未硬化特性を改変させる他の成分も含ませ得る。例えば、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリアルキル−又はトリアリル−イソシアヌレート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような接着促進剤を含むことができ、(A−1)成分のオルガノポリシロキサンに対して約20質量%までの量含むことが好ましい。他の任意成分は、非(メタ)アクリルシリコーン希釈剤又は可塑剤が挙げられ、(A−1)成分のオルガノポリシロキサンに対して約30質量%までの量含むことが好ましい。非(メタ)アクリルシリコーン類としては、100〜500mPa・sの粘度を有するトリメチルシリル末端化オイル、及びシリコーンゴムが挙げられる。非(メタ)アクリルシリコーン類は、ビニル基のような共硬化性基を含み得る。
[(A−2)有機過酸化物]
(A−2)成分の有機過酸化物は、本組成物を所望の形状に成形した後に、加熱処理を加えて架橋反応により硬化させるために配合される成分であり、目的とする接続温度、接続時間、ポットライフ等により適宜選択する。
有機過酸化物は、高い反応性と長いポットライフを両立する観点から、半減期10時間の温度が40℃以上、かつ、半減期1分の温度が180℃以下であることが好ましく、半減期10時間の温度が60℃以上、かつ、半減期1分の温度が170℃以下であることがより好ましい。また、有機過酸化物は、回路部材の回路電極(接続端子)の腐食を防止するために、塩素イオンや有機酸の含有量が5,000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。
この場合、有機過酸化物の熱分解によって生じるフリーラジカルによって、上記(A−1)成分中のケイ素原子に結合した炭化水素基同士、又は上記(A−1)成分中のビニル基、アリル基等のアルケニル基同士の結合反応が生じて架橋硬化物とすることができる。
有機過酸化物としては、ラジカル重合反応等に用いられる公知のものを全て用いることができ、具体的には、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド及びシリルパーオキサイドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好適に用いられる。これらの中では、回路部材の接続構造や半導体装置における接続端子の腐食を更に抑制するために、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド及びハイドロパーオキサイドからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
ジアシルパーオキサイドとしては、例えば、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン及びベンゾイルパーオキサイドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びt−ブチルクミルパーオキサイドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート及びビス(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
パーオキシエステルとしては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート及びビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサヒドロテレフタレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン及び2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド及びクメンハイドロパーオキサイドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
シリルパーオキサイドとしては、例えば、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド及びトリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(A−2)成分の添加量は、(A−1)成分のオルガノポリシロキサン合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。添加量が、0.1質量部未満の場合、反応が十分に進行しないおそれがある。10質量部を超える場合、所望とする硬化後の物性、すなわち十分な耐熱性、耐光性、耐クラック性が得られないおそれがある。
[(B)平均粒径が4〜50μmである溶融シリカ]
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、上述のようにウェハーレベル光半導体デバイス用部材及びダイシング加工後の光半導体デバイスを支持するために硬化後に硬質となるものが好ましく、また、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂組成物であることが好ましい。このような目的に応じた機能を持たせるため、(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物に、充填材を添加することで硬化物に充填材を含ませる。
本発明の(B)成分は平均粒径が4〜50μmである溶融シリカであることを特徴とする。前記溶融シリカであれば、揮発成分が少なく、高い透明性が得られ、(A)成分と屈折率差が少ないため好ましい。また、樹脂の流動性を確保し、光の散乱を高め、更に、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物中に高充填することが可能である。
溶融シリカの粒径は、平均粒径(D50)が4μm以上50μm以下であることを特徴とし、4μm以上30μm以下が好ましい。高流動化を得るためには、4〜8μmの中粒径領域、及び10〜50μmの粗領域のものを組み合わせて使用するのが好ましい。4μm未満であると微粒子の製造と(A)熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物中への分散が困難である。50μm超であると成型後の表面形状に悪影響を与える。
なお、本発明において平均粒径(D50)とは、レーザー回析法によって測定した体積基準によるメジアン径を指す。
上記溶融シリカは、樹脂との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。このようなカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではないが、アミン系のシランカップリング剤のように150℃以上に放置した場合に処理フィラーが変色するようなものは好ましくない。
(B)溶融シリカの配合量は、(A)成分100質量部に対し、200〜1,000質量部であり、300〜800質量部が好ましい。200質量部未満では、ウェハーレベル光半導体用部材としたときに十分な強度を得ることができないおそれがあり、更にα2領域における線膨張率を100ppm未満とすることができない。1,000質量部を超えると、(A)成分中に均一に混合することが難しくなるだけでなく、増粘に伴う未充填や、ウェハーレベル光半導体デバイスとしたときに剥離や割れ欠け等の不良が発生するため好ましくない。
(C)その他の添加剤
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、組成物の透明性を更に維持し、硬化物の着色、酸化劣化等の発生を抑えるために、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の従来公知の酸化防止剤を本発明の組成物に配合することができる。また、光劣化に対する抵抗性を付与するために、ヒンダードアミン系安定剤等の光安定剤を本発明の組成物に配合することもできる。
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の強度を向上させ、チクソ性を付与するために、更に、ヒュームドシリカ、ナノアルミナ等の無機質充填剤を配合してもよい。必要に応じて、本発明の組成物に、染料、顔料、難燃剤等を配合してもよい。
また、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、その接着性を向上させるための接着付与剤を含有してもよい。この接着付与剤としては、シランカップリング剤やその加水分解縮合物等が例示される。シランカップリング剤としては、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤、イソシアヌレート基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤等公知のものが例示され、(A)成分の合計100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜10質量部用いることができる。
(D)無機蛍光体
また、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物には、光半導体素子からの波長変換を目的とした蛍光体を含有させてもよい。蛍光体を本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物へ混合、分散させることで、光半導体素子から発せられた光を効率的に目的の波長の光に波長変換することが可能となる。
蛍光体は、光半導体素子から放出される青色光、紫色光、紫外光を吸収して波長を変換し、光半導体素子から放出される光と異なる波長の赤、橙色、黄色、緑色、青色領域の波長の光を放出するものである。これにより、光半導体素子から放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系の光半導体デバイスが得られる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。本発明に特に好ましく用いられる蛍光体としては、無機蛍光体が挙げられる。以下に本発明に用いられる無機蛍光体について記載するが、これに限定されるわけではない。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl125:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Euなどが挙げられる。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POl2:Eu,Mnなどが挙げられる。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などが挙げられる(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln12:A(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Aは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:A(Aは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<x<0.5、0<y<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Euなどが挙げられる。
また、現在主流の青色LEDに対応し発光する蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Ce,(Y,Gd)Al12:Ce,LuAl12:Ce,YAl12:CeなどのYAG系蛍光体、TbAl12:CeなどのTAG系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu系蛍光体やCaScSi12:Ce系蛍光体、(Sr,Ba,Mg)SiO:Euなどのシリケート系蛍光体、(Ca,Sr)Si:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSiAlN:Eu等のナイトライド系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Euなどのオキシナイトライド系蛍光体、さらには(Ba,Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体、CaMgSi16Cl:Eu系蛍光体、SrAl:Eu,SrAl1425:Eu等の蛍光体が挙げられる。
これらの中では、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート系蛍光体が、発光効率や輝度などの点で好ましく用いられる。
上記以外にも、用途や目的とする発光色に応じて公知の蛍光体を用いることができる。
蛍光体の粒子サイズは、特に制限はないが、D50が0.05μm以上のものが好ましく、3μm以上のものがより好ましい。また、D50が30μm以下のものが好ましく、20μm以下のものがより好ましい。ここでD50とは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定して得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算が50%となるときの粒子径のことをいう。D50が前記範囲であると、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物中の蛍光体の分散性が良好で、安定な発光が得られる。
上記蛍光体は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物に対する蛍光体の添加量は特に制限はなく、光半導体デバイスとしたときに目的の光の特性が得られるように適宜調整すればよいが、通常、樹脂成分100体積部に対して0体積部以上50体積部未満である。より好ましくは、0体積部以上20体積部未満である。50体積部以下であれば、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の流動性が損なわれることがなく、蛍光体の使用量が多くなり過ぎないため経済的である。
このように、蛍光体を含有させてなるウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物を用いることで、光半導体素子から発せられた光はウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂中に分散された蛍光体粒子で目的の波長の光に波長変換することが可能となる。このため、光半導体デバイスとして目的の波長の光として取り出すことが可能となる。本発明の樹脂組成物は、上記各成分を、公知の混合方法、例えば、ミキサー、ロール等を用いて混合することによって製造することができる。また、前記樹脂組成物は、JIS K 7117−1:1999記載の方法で回転粘度計により測定した25℃での粘度が1〜5,000Pa・sであることが好ましい。
本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物は、公知の硬化条件下で公知の硬化方法により硬化させることができる。具体的には、通常、80〜200℃、好ましくは100〜160℃で加熱することにより、該組成物を硬化させることができる。加熱時間は、0.5分〜5時間程度、特に1分〜3時間程度でよい。作業条件、生産性、発光素子及び筐体耐熱性とのバランスから適宜選定することができる。
<ウェハーレベル光半導体デバイスの製造例>
本発明のウェハーレベル光半導体デバイスは、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物を任意の成型方法を用いて成型し、製造することができる。例えば圧縮成型機を用いて圧縮成型によって行うことが好ましい。以下に、圧縮成型機を用いた製造例を挙げて説明する。
[準備工程]
はじめに、支持基板に粘着シートを介して複数の光半導体素子を搭載する。
前記支持基板は、粘着シート面に複数の光半導体素子を搭載した部材のハンドリングのしやすさを得るためのものであり、また、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物の成型工程で粘着シートが貼り合わされた光半導体素子と樹脂面の硬化後の形状の再現をさせるために重要であり、支持基板は平面度の高い状態が得られるものであることが好ましい。このような材料としては、金属、樹脂などを精度良く加工し、平面度を確保したものやシリコンウェハー等が好ましい。特に好ましいものは線膨張係数の小さい金属を加工してなる金属板やシリコンウェハーである。外形形状は特に指定はなく、例えば、取扱いが容易な四角形又は円形であるとよい。後に続く工程の作業性を考慮すると、円形であるとなお好ましい。
前記粘着シートは、光半導体素子を保持するために用いられるものであり、少なくとも光半導体素子の搭載面には粘着面を有するものとする。前記粘着シートは、ウェハーレベル光半導体デバイスの一連の製造工程において作業性を損なわない範囲で適宜選択する。前記粘着シートの粘着力は、後述する成型工程で光半導体素子の搭載位置を保持することができればよく、該成型工程での金型の加熱温度・成型時間に耐えられるものであればよい。更に、成型工程において光半導体素子と粘着シートとの界面に本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物が浸入することよって発生する光半導体素子電極面の汚染防止が達成されるよう、適宜選択すればよい。
また、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材の製造をするにあたり、剥離可能であることが必要であり、紫外光又は熱をトリガーとして低粘着力化されることで剥離されるものを用いることが好ましい。特に、熱をトリガーとして、発泡することで剥離されることが簡便でより好ましい。このような粘着シートは市販のものを用いればよく、例えば、日東電工社製の両面粘着シート(製品名:リバアルファNo.3195V)などを好適に用いることができる。この場合、発泡面となる面を支持基板側とすればウェハーレベル光半導体デバイス用部材の取り出しが容易となり好ましい。
前記光半導体素子は、一般的なものを用いればよく、例えば、厚さが100〜200μm程度のサファイア基板の上面に発光層を備え、発光層にはp型半導体層とそれに接続された電極、並びにn型半導体層とそれに接続された電極が設けられており、該電極を通して外部と電気的に接続される構造を有するようなものであればよい。光半導体素子には、光の反射を目的とした反射層を設けていてもよく、発光層から出射する光線を目的の面に向けるように設ければよい。外形形状は特に指定はなく、入手しやすいものを選択すればよいが、一般に、四角形である。光半導体素子の発光特性は、目的とする光半導体デバイスに応じて適宜選択すればよい。
前記光半導体素子の粘着シートへの搭載方法としては、一般的なチップソーターを用いればよい。搭載時の荷重、時間、温度等は、光半導体素子の大きさ、形状に応じて適宜決定し光半導体素子を固定すればよい。
[成型工程]
次に、所定の成型温度に加熱した基準面を有する圧縮成型機の下金型に、前記準備工程で製造した光半導体素子を搭載した支持基板を載置する。続いて、下金型に対向する上金型に剥離フィルムを設ける。なお、必要に応じて下金型にも前記支持基板との間に剥離フィルムを載置しても良い。
前記剥離フィルム(リリースフィルム)は、上金型と下金型の成型面を被覆する幅寸法に形成された長尺体の剥離フィルムを用いればよい。剥離フィルムは封止時に前記樹脂組成物が成型面に直に接しないように封止領域を被覆する目的で設けるものであり、前記樹脂組成物の離型性を向上させ、かつ金型汚染を防止することを目的とする。剥離フィルムは封止領域での成型面の凹凸に追随して変形できるよう柔軟でかつ一定の強度を有するとともに、金型温度に耐える耐熱性、封止樹脂及び金型と容易に剥離できるフィルム材が好適に用いられる。
このようなフィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)フィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)フィルム、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)フィルム、ポリビニリデンフルオライド樹脂(PBDF)フィルム等のフッ素樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等が挙げられる。
次いで、前記光半導体素子を覆うように本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物を所定量塗布する。前記塗布量は、封止領域の内容積に合わせて必要量だけ供給するものであって、ディスペンサー等により定量吐出して供給することが好ましい。
更に、公知の圧縮成型の工程に従い、上金型と下金型を閉じて金型内を減圧しながら、所定の圧力、時間加熱保持し、前記樹脂組成物を仮硬化する。
仮硬化した後に、剥離フィルムとともに金型から脱型し、熱処理によって仮硬化した樹脂組成物を本硬化することで成型体を得て、該成型体から支持基板及び粘着シートを剥離することで、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材(以下光半導体デバイス用部材とする)を得る。
[個片化工程]
前記成型工程で得られた光半導体デバイス用部材を、ダイシングブレード等を用いて切断し、個片化する。これにより、光半導体素子を有する光半導体デバイスを得ることができる。
切断方法としては公知の方法を採用すればよく、回転ブレードによるダイシング加工、レーザー加工、ウォータージェット加工、金型加工等の公知の方法により切断することができるが、ダイシング加工が経済的、工業的な面で好ましい。
[実装工程]
また、このようにして得られた光半導体デバイスを実装基板に接続する方法として、半田リフローによる実装、ボールバンプを設けた実装基板に対するフリップチップ実装等、最終モジュールの形態や設備に応じて自由に選択できる。工業的な観点から、半田リフローによる実装が好ましい。
以上のように、本発明のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物を用いて光半導体デバイスを製造することで、光半導体装置の薄型化、小型化にあたり部材の種類を大幅に減らすことが可能で、更に耐熱性、耐光性が高く、従って高出力の光半導体素子の駆動にも耐えられる信頼性の高い光半導体デバイスを低コストで容易に製造することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔調製例〕
(調製例1〜5)
下記成分を用意し、表1に示す組成の25℃で液状の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物(以下、「シリコーン組成物」という。)を調製した。
[(A)成分]
(A−I)
下記式に示す、MA単位、M単位、Q単位が、MA:M:Q=1:4:6の割合で含まれ、分子量がポリスチレン換算の重量平均分子量で5,000であるオルガノポリシロキサン。
Figure 2020143246
(A−II)
Figure 2020143246
(A−III)
下記式に示す、MA−D単位、D単位、T単位が、MA−D:D:T=2:6:7の割合で含まれ、分子量がポリスチレン換算の重量平均分子量で3,500であるオルガノポリシロキサン。
Figure 2020143246
(A−IV)
Figure 2020143246
[(A−2)有機過酸化物]
(A−2)t-Butyl peroxy-2-ethylhexanoate(商品名:パーブチルO、日本油脂株式会社製)
表1に、シリコーン組成物成分(A−I)〜(A−IV)、有機過酸化物(A−2)成分の配合量を示し、調製例1〜5とした。更に、(B)無機充填剤を配合する前のシリコーン組成物の加熱硬化後の硬さを併せて示した。
Figure 2020143246
[実施例1]
調製例1で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名 MSR−8050、龍森社製)400質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(a)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(a)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで88であった。
[実施例2]
調製例1で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名:MSR−8050、龍森社製)200質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(b)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(b)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで83であった。
[実施例3]
調製例2で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名:MSR−8050、龍森社製)400質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(c)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(c)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで81であった。
[実施例4]
調製例3で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名:MSR−8050、龍森社製)400質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(d)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(d)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで78であった。
[実施例5]
調製例4で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名:MSR−8050、龍森社製)500質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(e)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(e)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで67であった。
[比較例1]
調製例1で得られたシリコーン組成物100質量部に無機充填剤を添加せずに減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂樹脂組成物(f)としてそのまま用いた。
[実施例6]
調製例5で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として平均粒子径11.5μmの溶融シリカ粉(製品名:MSR−8050、龍森社製)500質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(g)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(g)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで51であった。
[比較例2]
調製例1で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として一次粒径7nmの煙霧状シリカ(製品名:レオシロールDM−30S)400質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(i)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(i)は、パテ状となり、成形機上に安定に塗布することが出来なかった。
[比較例3]
調製例1で得られたシリコーン組成物100質量部、無機充填剤として一次粒径7nmの煙霧状シリカ(製品名:レオシロールDM−30S)150質量部を三本ロールで混練処理し、減圧脱泡して硬化性シリコーン樹脂組成物(j)を製造した。
このシリコーン樹脂組成物(j)を150℃、4時間で硬化し、硬さを測定したところ、タイプDで78であった。
実施例、比較例の硬化性シリコーン樹脂組成物を用いて製造したウェハーレベル光半導体デバイス用部材、及びウェハーレベル光半導体デバイスについて、諸特性を測定した結果を表2に示す。
<ウェハーレベル光半導体デバイスの製造>
本発明のウェハーレベル光半導体デバイスの製造方法の概略図を図1〜5に示す。まず、準備工程として、ウェハーレベル光半導体デバイスの素子搭載を目的とし、厚さ725μmの8インチ(直径200mm)シリコンウェハー3に、熱剥離性両面粘着シート2(日東電工社製、製品名:リバアルファNo.3195V)の発泡性粘着面がシリコンウェハー側となるようにゴムローラーを用いて貼り付け、表面に粘着面が設けられた支持基板を作製した。更に、前記熱剥離性両面粘着シート2を、前記シリコンウェハー3の形状と同一に切り抜いた。続いて得られた支持基板に、光半導体素子1(Bridgelux社製、製品名:BXDA4040)をチップマウンターで縦横各3.2cmピッチ、40行40列に、電極面が前記粘着面と貼り付くように載置し、100℃、1時間の加熱処理を行って前記粘着面に密着固定した(図1)。
上記のようにして得られた光半導体素子1が搭載された支持基板を、予め150℃に加熱した圧縮成型機の下金型5に載置し、対向する上金型4は離形フィルムを備え予め150℃に加熱した。その後、下金型5側の光半導体素子1が搭載された支持基板に、上述の実施例、比較例に示す硬化性シリコーン樹脂組成物を100質量部、蛍光体(Phosphertechnology社製)を8質量部となるように配合したウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物6を供給し(図2)、150℃で5分間圧縮成型を行い、続いて、150℃で4時間、本硬化を実施した。
続いて、支持基板である8インチシリコンウェハー3と熱剥離性両面粘着シート2から、ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物6からなるウェハーレベル光半導体用部材の成形体を剥離することで、ウェハーレベル光半導体デバイス用部材を製造した。この部材は半径直径200mm、厚さ1.2mmの円形状であった(図3)。前記部材の反り量をスケールで測定し、最大値(mm)を表2に示した。
次に、前記ウェハーレベル光半導体用部材を、刃厚0.2mmの回転ブレードによるダイシング加工で切断、個片化し、純水洗浄及び乾燥することで、それぞれ1つの光半導体素子1を有するウェハーレベル光半導体デバイスを得た(外形寸法3.0×3.0×1.2mm、図4)。この光半導体デバイスは薄型で製品寸法精度が高いものであった。
更に、得られたウェハーレベル光半導体デバイスのうち任意の10個を個々に、クリーム半田8でアルミ製の放熱基板9にリフロー実装し、光半導体デバイスが実装されたモジュールを作製した(図5)。
[線膨張係数α2の測定]
TMA/SDTA841(メトラー・トレド社製)を用い、JIS K 7197:2012記載の方法で実施例及び比較例において製造した硬化性シリコーン樹脂組成物を5×5×2mmの形状とし、昇温速度10℃/分で、25℃から200℃までの間で測定した。このようにして得られたグラフの変曲点(ガラス転移点Tg)を超える温度で求めた傾きから、線膨張係数α2を求めた。
[全光束の測定]
上記の方法で得られたウェハーレベル光半導体デバイスが実装されたモジュール10個を、全光束測定システム HM−9100(大塚電子(株)製)を用い、印加電流IF=350mAにおける全光束値(Lm)を測定し、平均値及びばらつき(σ)を求めた値を表2に示した。
[温度サイクル試験]
上記の方法で得られたウェハーレベル光半導体パッケージ10個を、温度サイクル試験(−40℃〜125℃、各20分間を500サイクル)に用い、顕微鏡で、試験後のサンプルのクラックの有無を観察し、クラックが発生した試験片数/総試験片数を数えた。
Figure 2020143246
表2に示すように、本発明の範囲を満たす樹脂組成物(a)〜(e)を用いた実施例1〜実施例5では、いずれもα2領域の線膨張率が100ppm以下であった。更に、ウェハーレベル光半導体デバイスとしたときの温度サイクル試験でもクラックは発生しなかった。実施例6では、α2領域の線膨張率が比較的高いため、温度サイクル試験後に試験したデバイスのいくつかにクラックが入った。
このように、本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて製造したウェハーレベル光半導体デバイス用部材であれば、光半導体装置の薄型化、小型化にあたり部材の種類を大幅に減らすことが可能で、銀メッキがなされた部材を一切用いないために硫化防止の特別な保護を必要とすることなく、耐熱性、耐光性が高く、従って高出力の光半導体素子の駆動にも耐えられる信頼性の高い光半導体デバイスを低コストで容易に製造することを可能とするウェハーレベル光半導体デバイスを製造することができた。更に、光半導体素子の出力や波長を事前に選別した状態で一括に成形することが可能であり、製造後の製品特性の管理が容易であった。また、基板を発光素子毎に分割して製造される発光装置においては、発光装置間の発光色のばらつきを防止することが可能となり、歩留りが向上した。
また、本発明の範囲を満たさない、(B)成分を一切充填していないシリコーン樹脂組成物である比較例1では、α2領域の線膨張率が高いため、温度サイクル試験後に試験したデバイスの全数にクラックが入った。
(B)成分が本発明の範囲外である煙霧状シリカを用いた比較例2では、樹脂中に良好に混合することができず、作業性の悪い樹脂となった。
本発明の範囲外の量の(B)成分が添加された比較例3ではα2領域の線膨張率が高いため、温度サイクル試験後に試験したデバイスの全数にクラックが入った。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1・・・光半導体素子
2・・・熱剥離性両面粘着テープ、3・・・シリコンウェハー、
4・・・圧縮成形機上金型、5・・・圧縮成形機下金型、
6・・・ウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物、7・・・離型フィルム、
8・・・半田(クリーム半田)、9・・・アルミ製放熱基板。

Claims (9)

  1. 下記(A)及び(B)成分、
    (A)下記(A−1)、及び(A−2)成分を含む25℃で液状の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物、
    (A−1)下記一般式(1)で表される構造を分子中に少なくとも1つ有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
    Figure 2020143246
    [式中、mは0、1、2のいずれかであり、Rは水素原子、フェニル基又はハロゲン化フェニル基、Rは水素原子またはメチル基、Rは独立して炭素数1〜12の1価の有機基、Zは−R−、−R−O−、−R−(CHSi−O−(Rは独立して炭素数1〜10の2価の有機基)のいずれか、Zは酸素原子又は炭素数1〜10の2価の有機基である。]
    (A−2)有機過酸化物:0.1〜10質量部、
    (B)平均粒径(D50)が4〜50μmである溶融シリカ:上記(A)成分合計100質量部に対して200〜1,000質量部
    を含有するものであることを特徴とするウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  2. 前記式(1)中、Zが−R−(Rは上記と同じである)であり、前記Zが酸素原子であるものであることを特徴とする請求項1に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  3. 前記式(1)中、Zが−R−O−又は−R−(CHSi−O−(Rは上記と同じである)であり、前記Zが炭素数1〜10の2価の有機基であるものであることを特徴とする請求項1に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  4. 前記(A−1)成分の一般式(1)で表される構造が、下記一般式(2)で表される構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
    Figure 2020143246
    (式中、m、R、R、R、Rは上記と同様である。)
  5. 前記(A−1)成分中に、0.1モル%以上の(SiO4/2)単位を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  6. JIS K 7117−1:1999記載の方法で回転粘度計により測定した25℃での粘度が1〜5,000Pa・sのものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  7. 加熱硬化物のJIS K 6253−3:2012記載の方法でタイプD硬度計を用いて測定した硬さが40以上のものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  8. 加熱硬化物のJIS K 7197:1991記載の方法でTMAにより求めたα2領域の線膨張率が100ppm以下のものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェハーレベル光半導体デバイス用樹脂組成物で封止されたものであることを特徴とするウェハーレベル光半導体デバイス。
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