JP2020142641A - ロック機構制御装置、ロック機構制御方法、およびロック機構制御プログラム - Google Patents

ロック機構制御装置、ロック機構制御方法、およびロック機構制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】車両の内側および外側の状況を踏まえて、運転者の生命身体に対する危険が小さくなるように、車両の備えているドアの解錠の可否を制御するロック制御装置を提供する。【解決手段】車両20に設けられたドア21,22を施錠又は解錠するロック機構23を制御するロック機構制御装置10であって、車両が停止していることを検出する検出部11と、車両または車両の周辺環境に関する情報を取得する情報取得部12と、検出部11が車両の停止を検出した場合、情報に基づいて、車両の内側からドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モード、または車両の内側からドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードのいずれかを決定する決定部13と、施錠モードに応じてロック機構を制御する制御部14と、を備える、ロック機構制御装置。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の備えているドアの解錠の可否を制御するロック機構制御装置、ロック機構制御方法、およびロック機構制御プログラムに関する。
近年、自動車の自動運転に関する開発が進められており、車両内外の状況に応じて、車載システムが車両の加減速、操舵、制動を自動的に行う。このような自動運転車両では、車両や運転者に何らかの異常が発生した場合、車載システムが車両を停止させるとともに、車内にいる運転者や同乗者の安全を確保することが望ましい。
例えば、特許文献1には、車両の運転者の意識低下が生じた場合に、車両を緊急停止させるとともに、車両に対する操作(例えば、ドアを開放する操作)を無効化することにより、意識が低下した運転者が誤って車両の外側に移動するのを防止することが記載されている。特許文献1にはさらに、所定の操作を行うことにより、車両に対する操作の無効化を解除することが記載されている。
特開2014−24368号公報
ところで、異常が発生したことによって車両が停止した場合、車両が停止した場所や、車両の内側または車両の外側の状況によって、車両の運転者が車両の外側に移動することで生命身体に対する危険(リスク)が大きくなる場合と、車両の内側に留まる方が危険が大きい場合とがある。しかし、特許文献1では、車両の内側と外側の危険が考慮されていない。このため、車両の外側に移動することの危険が大きく、内側にとどまった方が安全な場合でも、所定の操作により操作無効化が解除される。また、車両の内側に留まる方が危険が大きい場合であっても、操作無効化を解除できないことが起こりうる。
本発明は、車両が停止した場所、車両の内側および外側の状況を踏まえて、運転者に対する危険が小さくなるように、車両が備えているドアの解錠の可否を制御するロック機構制御装置を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、車両(20)に設けられたドア(21、22)を施錠又は解錠するロック機構(23)を制御するロック機構制御装置(10)は、前記車両が停止していることを検出する検出部(11)と、前記車両または前記車両の周辺環境に関する情報を取得する情報取得部(12)と、前記検出部(11)が前記車両の停止を検出した場合、前記情報に基づいて、前記車両の内側から前記ドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モード、または前記車両の内側から前記ドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードのいずれかを決定する決定部(13)と、前記施錠モードに応じて前記ロック機構を制御する制御部(14)と、を備えている。
本発明のロック機構制御装置は、車両の停止を検出した場合、車両または車両の周辺環境に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて施錠モードを決定する。これにより、車両が停止した場所、車両の内側および外側の状況を踏まえて、運転者に対する危険が小さくなるようにドアのロック機構を制御することができる。
本発明の実施形態1乃至3にかかるロック機構制御装置のブロック図 本発明の実施形態1にかかる危険度を説明する図 本発明の実施形態1にかかるロック機構制御装置の制御方法のフローチャート 本発明の実施形態1にかかるロック機構制御装置の制御方法のフローチャート 本発明の実施形態2にかかる危険度を説明する図 本発明の実施形態2にかかるロック機構制御装置の制御方法のフローチャート 本発明の実施形態3にかかるロック機構制御装置の制御方法のフローチャート
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
特許請求の範囲の従属項に記載の構成および方法、従属項に記載の構成および方法に対応する実施形態の構成および方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成および方法は、本発明においては任意の構成および方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成および方法も、本発明の構成および方法の例示であるという意味で、本発明においては任意の構成および方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成および方法となる。
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせても良い。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせても良い。
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成および方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
(実施形態1)
図1は、本実施形態のロック機構制御装置10と、ロック機構制御装置10に接続されている装置などを示している。図1に示すように、本実施形態のロック機構制御装置10は、車両20に設けられたドア21・22を施錠又は解錠するロック機構23を制御するものであり、検出部11、情報取得部12、決定部13、制御部14、異常検出部15、および通知部16を備えている。
ロック機構制御装置10は、例えば、主に半導体装置で構成され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部等を有する、いわゆる情報処理装置として構成されていてもよい。情報処理装置は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶部、通信ネットワークに接続されるネットワークインターフェース部等を更に有していてもよい。また、このような情報処理装置はパッケージ化された半導体装置であっても、配線基板において各半導体装置が配線接続された構成であってもよい。
なお、図1では、車両20に搭載された車載用のロック機構制御装置10を記載している。しかしながら、本実施形態のロック機構制御装置10は、車載用に限定されるものではない。例えば、ロック機構制御装置は車両の外部に設けられており、遠隔操作によりロック機構を制御するものであってもよい。
検出部11は、車両20が停止していることを「検出する」。図1の例では、車両の速度やエンジンの回転数を検出する車載センサの情報に基づいて、検出部11は、車両20が停止していることを検出している。
ここで、本発明の「検出する」とは、検出部において車両が停止している事実を特定することができれば足り、検出部自体が直接的に車両の停止を特定する場合の他、車両が停止していることを示す信号を受信することにより、間接的に車両の停止を特定する場合も含む。
情報取得部12は、車両20または車両20の周辺環境に関する情報を取得する。情報取得部12は、例えば、車両に関する情報として、車載センサやGPSから車内の温度や車両の位置を示す情報を取得する。また、情報取得部12は、例えば、車両の周辺環境に関する情報として、車載センサや通信装置から車外の温度や他の車両の位置を示す情報を取得する。
本発明の「車両または車両の周辺環境に関する情報」のうち、「車両」に関する情報とは、車両そのものの状態を示す情報だけでなく、車両の構成部品又は構成部分の状態や車内の状態を示す情報をも含む。前者の例として車両の位置などの情報が、後者の例としてエアコンの状態や車内の温度を示す情報が挙げられる。また、「周辺環境」に関する情報とは、天気や車外の温度などの情報はもちろん、車両の周辺に存在する物の状態を示す情報をも含み、例えば、車両が走行している道路、近隣施設、車両の周囲を走行する周辺車両、の状態を示す情報が挙げられる。これらの情報は、例えば、車両に搭載したセンサやカメラ、車両に搭載したデータベース、あるいは、無線通信を介して路側機又は周辺車両から取得される。
情報取得部12が取得するこれらの情報は、車両20の内側および外側において、現実に生じている出来事、生じる可能性がある出来事を間接的または直接的に示している。現実に生じている出来事とは、例えば、車両20の内側または外側における火災や、地震、水害のような自然災害などが挙げられ、生じる可能性のある出来事としては、停車中の車両20の他車との衝突などが挙げられる。
例えば、情報取得部12が取得した情報が、車内温度が高温であることを示している場合、現実に生じている出来事として、車内で火災が発生していることを示している。あるいは、情報取得部12が取得した情報が後続車両の接近を示している場合、生じる可能性がある出来事として、後続車両と衝突する可能性があることを示している。なお、自然災害であっても、車両20が二次災害に巻き込まれる可能性がある場合には、生じる可能性がある出来事に相当することがある。
決定部13は、検出部11が車両の停止を検出した場合、情報取得部12が取得した情報に基づいて、第1の施錠モードまたは第2の施錠モードのいずれの施錠モードとするかを決定する。第1の施錠モードは車両の内側からドアを解錠不能な施錠モードであり、第2の施錠モードは車両の内側からドアを解錠可能な施錠モードである。以下、決定部13が第1の施錠モードと第2の施錠モードとのいずれかに決定する態様を説明するが、第2の施錠モードに代えて、ドア21、22が解錠した状態である解錠モードに決定してもよい。
本実施形態では、決定部13は、施錠モードを決定する際に、情報取得部12が取得した情報に基づいて車両20の内側の「危険度」を判定するとともに、当該判定結果に基づいて施錠モードを決定する。車内の内側の危険度とは、車内に運転者が留まった場合に、運転者の生命身体に対して生じるリスクの程度を示している。車両20の内側の危険度を判断することで、車両の内外の状況を踏まえた上で施錠モードを決定できる。
ここで、本発明の「危険度」とは、所定の評価基準に基づき分類される指標であり、分類の数は複数以上であればよい。
例えば、決定部13は、車両20の内側の危険度が「所定の閾値」「よりも」高い場合に、施錠モードを第2の施錠モードに決定する。つまり、車両の内側の危険度が高く、車両の内側に留まることによる危険が大きい場合には、車両の内側からドアは解錠可能となり、運転者が車両の外側に移動することが可能となる。また、車両の内側に留まることによる危険が大きくない場合には、運転者が車両の外側に移動することを防止できる。
ここで、本発明の「所定の閾値」とは、常に一定の値の他、条件に応じて一意に定まる値も含む。また、本発明の「よりも」とは、比較対象と同じ値を含む場合および含まない場合の両方が含まれる。
決定部13が危険度を判定する方法は任意であるが、例えば、決定部13は、情報取得部12が取得した情報に対応付けて、危険度を数値化したテーブルを保存部(図示せず)に予め記憶しておく。そして、情報取得部12が情報を取得すると、当該情報に対応する危険度の値をテーブルから抽出することにより、車両の内側の危険度を判定する。
図2は、車両の内側の危険度を数値化したテーブルであり、情報取得部12が取得した情報の例として、他車両情報と車内温度情報を示している。例えば、他車両情報が、他車両が車両20の2km以上後方を同じ車線で走行していることを示している場合、他車両と車両20の間には距離があり、他車両が車両20に衝突する可能性は低いといえる。そのため、危険度は0である。また、他車両が車両20の後方500m以内の同じ車線を走行している場合であって、当該他車両が車線を変更しようとしている場合、他車両は車両20に接近しているが衝突する可能性は低いため、危険度は1である。これに対し、他車両が車線を変更しない場合、車両20に将来的に衝突する可能性がある。そのため、運転者が車内にとどまっていると、衝突事故に巻き込まれる可能性が高い。そこで、危険度は2となっている。
また、車内温度が30℃までの場合は車内で火災が発生している可能性は低く、危険度は0である。また、31〜50℃の場合も、通常の温度よりは高温ではあるが、火災が発生している可能性は低いため、危険度は1である。これに対し、車内温度が51℃を超える場合、車内が高温になりつつあるといえ、車両のどこかで火災が発生している可能性がある。そのため、運転者が車内に留まっていると、火災に巻き込まれる可能性が高い。そこで、危険度は2となっている。
複数の出来事が複合的に生じており、情報取得部12が複数の情報を取得している場合には、決定部13は危険度の数値の総和を算出することにより、危険度を判定する。例えば、情報取得部12が取得した他車両情報が、車両20の後方500m以内に、車線変更を予定していない他車両の存在を示しており、車内温度情報が31〜50℃を示している場合には、決定部13は車両の内側の危険度を、危険度1と危険度2を加算した値である「3」と判定する。
なお、図2は本実施形態の一例にすぎず、当然のことながら、情報取得部12が取得する情報の内容や、各情報に相当する危険度の値は任意に設定することができる。車両の内側の危険度を高める要因としては、車内の火災や他車両との衝突の他に、車両への落石、車両が停車している場所の路面状況(陥没など)、停止位置における過去の事故発生数(死亡事故多発地点)、水害や大雨による車両の水没、などの出来事が考えられる。決定部13は、これらの出来事を示す情報に基づいて、車両の内側の危険度を判定する。
図2の例では、危険度を数値で表しているが、数値以外の指標、例えば、「高」「中」「低」といった指標で危険度を表してもよい。
なお、決定部13が危険度を判定する方法の他の例として、情報取得部12が取得する情報に危険度を示す危険情報が予め含まれており、決定部13は、情報取得部12が取得した危険情報に基づいて、車両の内側の危険度を判定してもよい。
さらに、決定部13は、車両20の位置情報および車両20が位置する場所の「地図情報」に基づいて、車両に設けられたドア毎に施錠モードを決定してもよい。例えば、決定部13は、車両20が有するドアのうち、ドア21(本発明の「第1のドア」に相当)を第1の施錠モードに、ドア22(本発明の「第2のドア」に相当)を第2の施錠モードに、それぞれ決定する。
ここで、本発明の「地図情報」とは、例えば、交差点、路側帯、トンネルといった道路に関する情報はもちろん、近隣施設に関する情報、および、崖、河川といった地形に関する情報も含む。
車両20が停止した場所によっては、車両20から見た方向によって外側の状況が異なる場合がある。例えば、車両20のドア21が崖に面している場合、運転者が崖側のドアから外に出て滑落することを防止することが望ましい。そこで、ドア21を第1の施錠モードにして、内側から解錠不能とする。あるいは、ドア21の外側に建物などの壁が迫っており、ドア22の外側にのみドア22を開く空間がある場合、ドア22のみを第2の施錠モードとして内側から解錠可能とする。
制御部14は、決定部13が決定した施錠モードに応じて、車両のドアのロック機構23を制御する。つまり、決定部13が第1の施錠モードに決定した場合、制御部14は、車両の内側からドアが解錠できないようにロック機構を制御する。これにより、運転者が車両の内側からドアを開ける操作をしても、ドアを開けることができなくなる。これに対し、決定部13が第2の施錠モードに決定した場合、制御部14は車両の内側からドアを解錠できるようにロック機構を制御する。これにより、運転者が車両の内側からドアを開ける操作をした場合、ドアを開けることが可能となる。
異常検出部15は、車両20の運転者の異常を「検出する」。異常検出部15は、例えば、運転者の画像を撮影する車載カメラなどを用いて、車両20の運転者に異常が発生したことを検出する。
ここで、本発明の「検出する」とは、異常検出部が、運転者に異常が発生したことを特定することができれば足り、異常検出部が直接的に運転者に異常が発生したことを特定する場合の他、運転者の異常を示す信号を受信することにより、間接的に異常を検出する場合も含む。
通知部16は、決定部13が決定した施錠モードを車両20の運転者に通知する。例えば、車両の内側から解錠不能な第1の施錠モードである場合、通知部16は第1の施錠モードであることを音声でアナウンスしたり、カーナビゲーションシステムの画面に表示する。これにより、搭乗者がロック機構制御装置10の作動状況を理解することができる。複数のドアを備える車両のドア21、22ごとに施錠状態を制御する場合、通知部16は、ドア21、22ごとの施錠モードを通知する。通知部16がドア毎に施錠モードを通知することとすれば、運転者は円滑に車両の外側に移動できる。
ここで、本発明の「通知する」とは、視覚的に表示して通知する場合の他、音声によって通知する場合も含む。
通知部16はさらに、ドアの施錠モードに加えて、運転者がいずれのドアから車両の外側に避難すべきか、あるいは、生じうるリスクに対して推奨する行動を通知してもよい。例えば、通知部16は、第2の施錠モードとなったドアから車両の外側に避難することを音声でアナウンスしたり、車両に最も近い安全地帯を画面に表示するとともに、当該安全地帯への避難指示を通知する。また、車両の内側におけるリスクが水害や落石などの場合、車両周囲も危険である可能性があるため、車両から離れて遠くに避難することが望ましいことがある。このような場合、通知部16は、車両の周辺が危険であることや、車両から離れる指示を通知する。通知部16はさらに、決定部が判定した危険度の値や、車両の内側におけるリスクの種別を通知してもよい。
次に、図3を用いて、本実施形態のロック機構制御装置10が、自動駐車・停車機能(以下、適宜、自動停車機能という)を備えた車両におけるドアロック機構を制御する動作について説明する。
図3のフローチャートに示すように、自動停車機能が正常に作動すると、車両20は自動停車する(S1)。S1にて自動停車機能が作動し、車両が停止すると、検出部11は車両が停止していることを検出する(S2)。
情報取得部12は、車両または車両の周辺環境に関する情報を取得する(S3)。図3では、情報取得部12は、検出部11が車両の停止を検出した後に情報を取得しているが、情報取得部12は、常に情報を取得している構成としてもよい。
異常検出部15は、運転者に異常が発生している場合には、当該異常を検出する(S4)。異常が検出された場合(S4:Yes)には、決定部13は、S3にて取得された情報に基づいて、車両の内側の危険度を判定する(S5)。決定部13はさらに、S5にて判定した危険度と閾値とを比較する(S6)。車両の内側の危険度が閾値よりも低い場合(S6:Yes)には、決定部13は、車両の内側からドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モードに決定する(S7)。これにより、車両の内側の危険が差し迫っていない段階で、運転者が誤って車両の外側に移動して、運転者に危険が及ぶことを防止できる。
これに対し、運転者の異常が検出されない場合(S4:No)、決定部13は、車両の内側からドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードに決定する(S8)。また、S6において、車両の内側の危険度が閾値よりも高い場合(S5:No)にも、決定部13は、施錠モードを第2の施錠モードに決定する(S8)。
なお、図3では、車両20が停止した後に、異常検出部15が、運転者に発生した異常を検出している。しかしながら、異常検出部15が異常の発生を検知して車両が停車したかどうかを最初に検出し、その場合に限り、ロック機構制御装置10が図3に示す一連の処理を実行するものであってもよい。
運転者に何らかの異常が発生している場合、原則として車両の内側に留まった方が安全であると考えられるが、車両や車両の周辺環境によっては、車両の内側に留まることにより、車両の運転者に対する危険が大きくなることも起こりうる。本実施形態1によれば、車両の内側の危険度に基づいて、車両に設けられたドアのロック機構を制御することにより、運転者の安全性を確保することが可能となる。
なお、本実施形態1では、異常検出部15は、運転者に異常が発生していることを検出している。しかしながら、異常検出部15は、運手者以外の異常、例えば、車両20自体に発生した異常を検出してもよい。車両20に何らかの異常が発生して、車両20が停止した場合も、車両の運転者が不用意に車両の外側に移動すると危険な場合がある。そこで、車両20に発生した異常が検出された場合も同様に、車両の内側の危険度に基づいてドアのロック機構を制御してもよい。
(変形例)
異常検出部15が運転者の異常を検出している場合でも、運転者の意識は鮮明であり、運転者が車両の外側に出ることを希望することがある。このような場合、第1の施錠モードを解除しない限り、運転者は車両の外側に移動することはできない。
また、運転者が意識を失っている場合のように、車両の外部からの救助が必要なときがある。しかしながら、ドアが施錠されていると、救助者は運転者を救助することができない。
そこで、本変形例では、運転者や救助者による特定の操作が行われた場合に、ロック機構制御装置が、ドアを施錠又は解錠するようにロック機構を制御する構成を説明する。
図4は、本変形例によるロック機構制御装置の動作を説明する図である。
図4のフローチャートでは、本変形例の処理が図3のS7に示す処理の後に行われる場合の例を示している。既に上述したとおり、S7において、施錠モードは、車両の内側からドアを解錠不能な第1の施錠モードに設定される。
ロック機構により施錠された車両のドアを解錠するには、運転者の明確な意思に基づいた所定の操作が必要である(S11)。明確な操作としては、例えば、所定のボタンを押す操作、ブレーキを複数回連続して踏む操作などが挙げられる。
運転者により停車解除操作がなされた場合(S11:Yes)、車両の内側からのドアの解錠が可能な第2の施錠モードとする(S12)。これにより、運転者は内側からドアロックを解除して車両の外側に移動できる。
運転者により停車解除の操作がなされない場合(S11:No)、ロック機構制御装置10は、車両の内側からの解錠が不能な第1の施錠モードを維持する(S13)。この際、例えば、運転者が意識を失っている場合のように、車両の外部からの救助が必要なときがある。そこで、車両が特定の操作を受けた場合に、ドアを解錠し、救助者が外部から開けられるようなモード、すなわち、解除モードにする(S14:Yes、S15)。これにより、車両の内側からの解錠が不能な第1の施錠モードが維持されている場合に、救助者が外側からドアを開けることができるから、運転者を救助することができる。また、特定の操作を受けた場合に解錠することで、通行人等救護者ではない周辺の人の影響を受けて解錠されて、運転者が車両の外側に出ることを防止できる。救助のための操作であることを明確に示す特定の操作としては、ドアノブを引く、ドアをたたくなどの操作が挙げられる。これらの操作は、車両が備えている揺れや衝撃を検知する種々のセンサで検知することができる。
なお、上述したとおり、図4では、S11の処理がS7の後に行われる場合を示しているが、S11において運転者が停車解除操作をしたかどうかを判定した後に危険度を判定(図3のS5、S6)してもよい。この場合、運転者が停車解除操作を行っても、車両の内側の危険度が低いと判定されれば、施錠モードは第1の施錠モードに設定される。
本変形例によれば、運転者に異常が発生した場合であっても、運転者の状態、あるいは、外部からの救助者に応じて、ロック機構を制御することが可能となる。
(実施形態2)
実施形態1では、車両の内側の危険度の判定結果に基づいて施錠モードを決定している。本実施形態2では、車両の内側の危険度に加えて、車両の外側の危険度を判定することによって施錠モードを決定する構成を、実施形態1との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図1に示す決定部13は、情報取得部12が取得した情報に基づいて、車両20の内側の危険度(本発明の「第1の危険度」に相当)および車両20の外側の危険度(本発明の「第2の危険度」に相当)を判定する。決定部13は、車両の内側の危険度と同様の方法を用いて、車両の外側の危険度を判定することができる。車両の外側の危険度とは、車両の外側に運転者が移動した場合に、運転者の生命身体に対して生じるリスクの程度を示している。
決定部13はさらに、車両の内側の危険度と車両の外側の危険度を比較する。比較した結果、車両の内側の危険度が車両の外側の危険度よりも高い場合に、決定部13は、施錠モードを第2の施錠モードに決定する。情報取得部12が複数の情報を取得した場合は、実施形態1と同様、決定部13は、車両20の内側と外側の危険度それぞれについて、危険度の数値の総和を求める。そして、これらの総和を比較することにより、車両の内側の危険度が外側の危険度よりも高いか否かを判断することができる。
なお、危険度を判定する方法の一例として、実施形態1と同様、決定部13は、情報取得部12が取得する情報に対応付けて、車両の外側の危険度を数値化したテーブルを保存部(図示せず)に予め記憶しておく。そして、情報取得部12が情報を取得すると、当該情報に対応する危険度の値をテーブルから抽出することにより、車両の内側の危険度に加えて、車両の外側の危険度を判定する。
図5は、車両の外側の危険度を数値化したテーブルであり、情報取得部12が取得した情報の例として、車両の位置情報と車外温度情報を示している。例えば、位置情報が、車両20が停車している場所が路肩や駐車場であることを示している場合、車両の外側の危険度は低いといえる。そのため、車両の外側の危険度は0である。車両20の停車位置が一般道である場合、車外に出ると後続車両と接触する可能性があるため、危険度は1である。また、車両20の停車位置が高速道路である場合、一般道路よりも車外で後続車両と接触する可能性が高く、また、接触した場合の危険性は著しく高い。そこで、危険度は2となっている。
また、車外温度が30℃までの場合は車外で火災が発生している可能性は低く、危険度は0である。また、31〜50℃の場合も、通常の温度よりは高温ではあるが、火災が発生している可能性は低いため、危険度は1である。これに対し、車外温度が51℃を超える場合、車両の停車位置付近で火災が発生している可能性がある。車両の停車位置付近で火災が発生している状態で車外に移動することは危険を伴う。運転者が車内に留まって火災に巻きこまれる可能性はあるが、車両で現在位置から退避することによって火災から避難することができる可能性がある。そこで、危険度は2となっている。
情報取得部12が取得した位置情報が、車両20が路肩に停車していることを示しており、車外温度が30℃以下を示している場合には、決定部13は車両の外側の危険度を、危険度0と危険度0とを加算した値である「0」に設定する。
例えば、車両の内側の危険度の総和が「3」であり、車両の外側の危険度が「0」である場合、決定部13は、車両の内側の危険度の方が高いと判定する。そこで、決定部13は、施錠モードを第2の施錠モードに決定する。
車両の外側の危険度を高める要因として、車両の周囲で発生している火事、水害などの自然災害や、地形(道路ひび割れ、断崖絶壁)などが挙げられる。なお、車両の内側の危険度を高める要因と、車両の外側の危険度を高める要因は重複していてもよい。
図6は、本実施形態によるロック機構制御装置の動作を示している。本実施形態では、図6に示すように、図3における車両の内側の危険度の判定(S5)に代えて、車両の内側および外側の危険度を判定する(S21)。また、車両の内側の危険度が所定の閾値よりも大きいか否かの判断(S6)に代えて、車両の外側の危険度が内側の危険度より小さいかを判断する(S22)。そして、車両の内側の危険度が車両の外側の危険度よりも小さい場合には、施錠モードを第1の施錠モードに決定する(S7)。これに対し、車両の内側の危険度が車両の外側の危険度よりも大きい場合には、施錠モードを第2の施錠モードに決定する(S8)。
本実施形態2では、実施形態1と同様、決定部13はドア毎に施錠モードを決定してもよい。なお、実施形態1では、決定部13は、車両20の位置情報と地図情報に基づいてドアの施錠モードを決定している。これに対し、本実施形態2では、車両20の位置情報や地図情報に加えて、車外の危険度に基づいてドア毎に施錠モードを決定してもよい。あるいは、車両の位置情報と地図情報に基づいて得られるドア付近の外側の状況についても、車外の危険度として判定してもよい。
例えば、車両20が通行量の多い道路で停車した場合、他車両の通行量が多く衝突の危険のある側のドア21を第1の施錠モードとし、他車両の通行が少ない側のドア22を第2の施錠モードとする。
本実施形態によれば、車両の内側の危険度に加えて車両の外側の危険度を考慮して車両のロック機構を制御することにより、運転者の安全をより確実に確保することが可能となる。
(実施形態3)
実施形態2では、車両の内側の危険度および車両の外側の危険度の双方を利用して、ロック機構を制御しているが、車両の外側の危険度のみを利用して、ロック機構を制御する構成としてもよい。
本実施形態では、図1に示す決定部13は、車両の外側の危険度のみを判定して、施錠モードを決定する。
図7は、本実施形態によるロック機構制御装置10の動作を示している。本実施形態では、図7に示すように、図3における車両の内側の危険度の判定(S5)に代えて、車両の外側の危険度を判定する(S31)。また、車両の内側の危険度が所定の閾値よりも大きいか否かの判断(S6)に代えて、車両の外側の危険度が所定の閾値よりも大きいかを判断する(S32)。
そして、車両の外側の危険度が閾値よりも大きい場合には、施錠モードを第1の施錠モードに決定する(S7)。これに対し、車両の外側の危険度が閾値よりも小さい場合には、施錠モードを第2の施錠モードに決定する(S8)。
本実施形態によれば、車両の外側の危険度が高い場合に限り、運転者が車両の外側に移動するのを防ぐことにより、運転者の安全性を確保することが可能となる。
(総括)
以上、本発明の各実施形態におけるロック機構制御装置の特徴について説明した。また、これらの装置は上述した特徴をそれぞれ備えていればよく、その名称は任意であり、情報処理装置等と称してもよい。
上記実施形態で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
実施形態の説明に用いたブロック図は、装置等の構成を機能毎に分類および整理したものである。これらの機能ブロックは、ハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせで実現される。また、機能を示したものであることから、かかるブロック図は方法の発明、および当該方法を実現するプログラムの発明の開示としても把握できるものである。
各実施形態に記載した処理、フロー、および方法として把握できる機能ブロックについては、一のステップで他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えても良い。
各実施形態、および本発明で使用する「第1」「第2」の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
本発明は、各実施形態で説明した構成および機能を有する専用のハードウェアで実現できるだけでなく、メモリやハードディスク等の記憶媒体に記憶した本発明を実現するためのプログラム、およびこれを実行可能な専用又は汎用CPUおよびメモリ等を有する汎用のハードウェアとの組み合わせとしても実現できる。
専用や汎用のハードウェアの記憶媒体(外部記憶装置(ハードディスク、USBメモリ、CD/BD等)、内部記憶装置(RAM、ROM等))に格納されるプログラムは、記憶媒体を介して、あるいは記憶媒体を介さずにサーバから通信回線を経由して、専用又は汎用のハードウェアに提供することもできる。これにより、プログラムのアップグレードを通じて常に最新の機能を提供することができる。
本発明にかかるロック機構制御装置は、自動車などの車両のドアのロック状態を制御することができ、例えば、自動駐車・停車システムを備えた車両における、運転者の安全性向上に用いることができる。
10 ロック機構制御装置、11 検出部、12 情報取得部、13 決定部、14 制御部、15 異常検出部、16 通知部、20 車両、21 ドア(第1のドア)、22 ドア(第2のドア)、23 ロック機構

Claims (10)

  1. 車両(20)に設けられたドア(21,22)を施錠又は解錠するロック機構(23)を制御するロック機構制御装置(10)であって、
    前記車両が停止していることを検出する検出部(11)と、
    前記車両または前記車両の周辺環境に関する情報を取得する情報取得部(12)と、
    前記検出部が前記車両の停止を検出した場合、前記情報に基づいて、前記車両の内側から前記ドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モード、または前記車両の内側から前記ドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードのいずれかを決定する決定部(13)と、
    前記施錠モードに応じて前記ロック機構を制御する制御部(14)と、
    を備える、ロック機構制御装置。
  2. 前記決定部は、前記情報に基づいて前記車両の内側の危険度を判定するとともに、判定結果に基づいて前記施錠モードを決定する、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  3. 前記決定部は、前記危険度が所定の閾値よりも高い場合に前記第2の施錠モードに決定する、
    請求項2記載のロック機構制御装置。
  4. 前記決定部は、前記情報に基づいて前記車両の内側の危険度である第1の危険度および前記車両の外側の危険度である第2の危険度を判定するとともに、前記第1の危険度が前記第2の危険度よりも高い場合に、前記第2の施錠モードに決定する、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  5. 前記決定部は、前記車両の位置情報および前記車両が位置する場所の地図情報に基づいて、前記ドアのうち第1のドアを前記第1の施錠モードに、前記第1のドアとは異なる第2のドアを前記第2の施錠モードに、それぞれ決定する、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  6. 当該ロック機構制御装置はさらに、前記車両の運転者の異常を検出する異常検出部(15)を備え、
    前記決定部はさらに、前記異常の検出結果に基づいて前記施錠モードを決定する、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  7. 前記決定部が決定した前記施錠モードを前記車両の運転者に通知する通知部(16)をさらに備える、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  8. 前記決定部は、前記第2の施錠モードに代えて、前記ドアを解錠した状態である解錠モードに決定する、
    請求項1記載のロック機構制御装置。
  9. 車両に設けられたドアを施錠又は解錠するロック機構を制御するロック機構制御方法であって、
    前記車両が停止していることを検出し、
    前記車両または前記車両の周辺環境に関する情報を取得し、
    前記車両の停止を検出した場合に、前記情報に基づいて、前記車両の内側から前記ドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モード、または前記車両の内側から前記ドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードのいずれかを決定し、
    前記施錠モードに応じて前記ロック機構を制御する、
    ロック機構制御方法。
  10. 車両に設けられたドアを施錠又は解錠するロック機構を制御するロック機構制御プログラムであって、
    前記車両が停止していることを検出し、
    前記車両または前記車両の周辺環境に関する情報を取得し、
    前記車両の停止を検出した場合に、前記情報に基づいて、前記車両の内側から前記ドアを解錠不能な施錠モードである第1の施錠モード、または前記車両の内側から前記ドアを解錠可能な施錠モードである第2の施錠モードのいずれかを決定し、
    前記施錠モードに応じて前記ロック機構を制御する、
    ロック機構制御用プログラム。
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