JP2020142439A - フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]フィルムの搬送から巻取りまでの工程において、前記フィルムを複数のフリーロールの間を通過させる工程を有するフィルムの製造方法であって、前記複数のフリーロールが、いずれも下記式(1)を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法。
t×d×3.14×α/360≧83 (1)
(式中、tはロール回転数を53rpmに回転させたフリーロールが停止するまでの時間(秒)、dはフリーロールの直径(cm)、αは抱き角(deg)を表す。)
[2]前記フリーロールは、鉄鋼またはアルミニウムの芯材と、当該芯材の表面に施された硬質クロムメッキとを有することを特徴とする上記[1]に記載のフィルムの製造方法。
[3]前記フリーロールの表面粗さ(Ra)が0.8μm以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のフィルムの製造方法。
[4]前記フリーロールの表面温度が15〜35℃であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[5]前記フィルムが、アクリル系樹脂フィルムであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[6]前記フィルムの25℃における貯蔵弾性率が1GPa以上であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[7]前記フィルムの厚みが10〜300μmであることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[8]前記フィルムが、溶融押出により製造されたフィルムであることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[9]前記フィルムが、2.25〜6.25倍に延伸した二軸延伸フィルムであることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
t×d×3.14×α/360≧83 (1)
(式中、tはロール回転数を53rpmに回転させたフリーロールが停止するまでの時間(ロール回転時間)(秒)、dはフリーロールの直径(cm)、αは抱き角(deg)を表す。)
図1に示すように、押出機1で混練されたフィルム材料は、押出機1で加熱溶融された後、Tダイ4からフィルム状に吐出され、表面を鏡面処理された成形ロールのポリッシングロール5、6、7間で挟持され、加圧及び冷却されて成形される。成形されたフィルムは、さらに、ニップロール8,8’間、フリーロール9、10、11、12、及びニップロール13,13’間を順に通過し、巻取機ロール14で巻き取られる。図1において、フリーロール10は上下に移動可能な移動式フリーロールであり、フリーロール10の位置を変えることにより、フリーロール9、10、11の抱き角を調整することができる。
押出機1とTダイ4の間には、ギアポンプ2、ポリマーフィルター3が配置されていてもよい。
また、図2に示すように、フィルムに延伸処理を行う場合には、ニップロール8とフリーロール9との間に同時二軸延伸機等の延伸機15を配置し、フィルム幅を安定させる場合には、ポリッシングロール6を通過するフィルム材料に静電気を印加できる位置に静電印加装置16を配置してもよい。
t×d×3.14×α/360≧83 (1)
式中、tはフィルムを巻いていない状態でロール回転数を53rpmに回転させたフリーロールが停止するまでの時間(秒)、dはフリーロールの直径(cm)、αは抱き角(deg)を表す。上記式(1)の左辺が83未満であると、フィルムに生じる擦り傷が多くなり、外観不良となるおそれがある。このような観点から、上記式(1)の左辺は好ましくは86以上であり、より好ましくは180以上であり、さらに好ましくは500以上である。
上記式(1)の左辺の上限値は特に制限はないが、通常5000である。
ロール回転数を53rpmに回転させたフリーロールが停止するまでの時間(t)(秒)の上限値としては特に制限はないが、通常500秒である。
表面粗さ(Ra)は、JIS B0601:2001に準拠して測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、本明細書において(メタ)アクリル系樹脂とはメタクリル系樹脂及びアクリル系樹脂を指す。
前記フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有する樹脂であれば特に制限はないが、耐熱性を向上させる観点から、例えば、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を主体とするものが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)がメタクリル酸メチルに由来する構造単位を主体とする場合、その含有量は、耐熱性を向上させる観点から、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、全ての構造単位がメタクリル酸メチル単位であってもよい。
これらの中でも、アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、及びアクリル酸sec−ブチルがより好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル系樹脂(A)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併せて使用してもよい。
なお、(メタ)アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は実施例に記載の方法で測定することができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系樹脂(A)とアクリル系ゴム粒子(B)を含むもの((メタ)アクリル系樹脂組成物)であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A)とアクリル系ゴム粒子(B)との質量比〔(A)/(B)〕は、成形性、フィルムの力学物性、及び耐熱性の観点から、5/95〜95/5であることが好ましく、30/70〜90/10であることがより好ましく、50/50〜85/15であることがさらに好ましく、60/40〜84/16であることがよりさらに好ましく、77/23〜83/17であることが特に好ましい。
前記フィルムを構成する熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。添加剤の種類は特に限定されず、例えば、紫外線吸収剤、高分子加工助剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、艶消し剤、充填剤、耐衝撃助剤、及び可塑剤等が挙げられる。添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加剤は有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよいが、樹脂組成物中での分散性の観点から、有機化合物であることが好ましい。
なお、フィルムの25℃における貯蔵弾性率の上限値としては特に制限はないが、通常7GPaである。
上記貯蔵弾性率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、実施例及び比較例における物性値の測定等は以下の方法によって実施した。
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultipore HZM−M」と「SuperHZ4000」を直結
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.35mL/分
・サンプル濃度:8mg/10mL
・カラム温度 :40℃
JIS K7121:2012に準拠して、(メタ)アクリル系樹脂を200℃まで一度昇温し、次いで30℃以下まで冷却し、その後30℃から200℃までを10℃/分で昇温させる条件にて、示差走査熱量測定法によりDSC曲線を測定し、2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を、ガラス転移温度とした。
平均粒子径は、試料粒子を含むラテックスを水で200倍に希釈し、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、装置名「LA−950V2」)を用いて25℃で係る希釈液を分析し、粒子径を測定した。この際、アクリル系ゴム粒子(B−1)及び水の絶対屈折率をそれぞれ、1.4900、1.3333とした。
ロール回転時間は、フィルムを巻いていない状態の金属フリーロールを素手で53rpm以上になるよう回転させた後、回転数が53rpmから回転停止までの時間をストップウォッチで計測した。
フィルムとフリーロールとが接触する部分の円弧をタコ糸で測定し、下記式(2)により抱き角(deg)を求めた。
抱き角(deg)=円弧(cm)×360/(ロール直径(cm)×3.14) (2)
JIS B0601:2001に準拠して、小形表面粗さ測定機(サーフテストSJ−210、株式会社ミツトヨ製)を使用し、測定速度0.25mm/s、測定長さ2.5mmにて測定し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ(2.5mm)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(X)で表したときに、下記式(3)により算出した。なお、式中、lは基準長さを示す。
ロール表面の表面粗さは、ロール長手方向の表面粗さを測定した。
フィルム製膜を30分間実施した後に装置を停止し、ハンディタイプ接触式温度計(DP−350、理化工業株式会社製)を使用してフリーロールの表面温度の測定を行った。
縦×横1mに切り出したフィルムを架台に吊るし、ポラリオン製、ポラリオンライト(型式NP−1、ハロゲンランプ35W)を照射し、目視にて擦り傷を観察した。擦り傷の長さはノギスにて測定した。観察環境は暗幕で囲った検査室で行ない、以下の通り評価した。
なお、下記評価基準でAおよびBを合格とした。
[評価基準]
A:擦り傷なし
B:長さ3mm未満の擦り傷がある
C:長さ3mm以上の擦り傷がある
フィルムの、中央部、両端部から100mmの位置の厚みをマイクロメーター(ミツトヨ社製、型番:MDH−25)で測定し、その平均値をフィルム厚みとした。
フィルムを縦15mm×横5mmに切り出した試験片について、動的粘弾性測定装置(Rheogel-E4000、株式会社ユービーエム製)を使用し、測定方法:引張り、周波数:1Hz、昇温速度:3℃/minにて、当該試験片の−50〜200℃の貯蔵弾性率を測定し、25℃における貯蔵弾性率の値を求めた。
メタクリル酸メチル99.3質量部及びアクリル酸メチル0.7質量部に重合開始剤〔2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃〕0.008質量部、及び連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)0.26質量部を加え、溶解させて3000kgの原料液を得た。
イオン交換水100質量部、硫酸ナトリウム0.03質量部、及び懸濁分散剤0.45質量部を混ぜ合わせて6000kgの混合液を得た。耐圧重合槽に、当該混合液と前記原料液(合計9000kg)を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、温度を70℃にして重合反応を開始させた。重合反応開始後、3時間経過時に、温度を90℃に上げ、撹拌を引き続き1時間行うことによりビーズ状共重合体が分散した液を得た。なお、重合槽壁面あるいは撹拌翼にポリマーが若干付着したが、泡立ちもなく、円滑に重合反応が進んだ。
得られた共重合体分散液を適量のイオン交換水で洗浄し、バケット式遠心分離機により、ビーズ状共重合体を取り出し、80℃の熱風乾燥機で12時間乾燥し、ビーズ状の(メタ)アクリル系樹脂(A−1)を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、メタクリル酸メチル単位の含有量が99.3質量%、アクリル酸メチル単位の含有量が0.7質量%であり、重量平均分子量(Mw)が92,000、ガラス転移温度は120℃であった。
使用した単量体をメタクリル酸メチル100質量部に変更し、連鎖移動剤の量を0.20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして(メタ)アクリル系樹脂(A−2)を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂(A−2)は、メタクリル酸メチル単位の含有量が100質量%であり、重量平均分子量(Mw)が100,000、ガラス転移温度は121℃であった。
(1)内層の合成
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、イオン交換水1050質量部、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム0.3質量部及び炭酸ナトリウム0.7質量部(合計2100kg)を仕込み、反応器内を窒素ガスで十分に置換した。次いで内温を80℃にした。そこに、過硫酸カリウム0.25質量部を投入し、5分間撹拌した。これに、メタクリル酸メチル95.4質量%、アクリル酸メチル4.4質量%及びメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物245質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム0.32質量部を投入して5分間撹拌した。その後、アクリル酸n−ブチル80.5質量%、スチレン17.5質量%及びメタクリル酸アリル2質量%からなる単量体混合物315質量部を60分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム0.14質量部を投入して5分間撹拌した。その後、メタクリル酸メチル95.2質量%、アクリル酸メチル4.4質量%及びn−オクチルメルカプタン0.4質量%からなる単量体混合物140質量部を30分間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行った。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)80質量部、アクリル系ゴム粒子(B−1)20質量部、紫外線吸収剤((株)ADEKA製 アデカスタブLA−31)2質量部、及び高分子加工助剤(ダウ・ケミカル社製 パラロイドK−125P)1.5質量部をヘンシェルミキサーで混合し、230℃に設定されたスクリュー径58mmのベント付き二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。係るペレットを図1に示すようにベント付き単軸押出機1のホッパーに供給し、260℃で溶融混練してギアポンプ2、ポリマーフィルター3の順に通過させ、リップ開度1mmのTダイ4からフィルム状に吐出し、表面を鏡面処理された金属弾性ロール5(表面温度:95℃)と表面を鏡面処理された金属剛体ロール6(表面温度:90℃)でバンク無く30N/mmの線圧で挟持、金属剛体ロール7(表面温度:85℃)で冷却、ゴムロール8でニップした後、金属フリーロール9(回転時間60秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、移動式金属フリーロール10(回転時間55秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、金属フリーロール11(回転時間82秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、金属フリーロール12(回転時間75秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、およびゴムロール13とフィルムを通過させ巻取り機14で巻取り、厚み60μmのロール状フィルムを得た。3本の金属フリーロールと1本の移動式金属フリーロールの抱き角は全て90degになるように設置した。また、各フリーロールの表面温度は全て28℃であった。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、各フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は確認されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間が29秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各フリーロールの抱き角を、フリーロール9が75deg、フリーロール10が60deg、フリーロール11が75degになるように変更した以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間が61秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各フリーロールの抱き角を、フリーロール9が56deg、フリーロール10が22deg、フリーロール11が56degになるように変更したこと以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間が70秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各ロールの抱き角を、フリーロール9が51deg、フリーロール10が12deg、フリーロール11が51degになるように変更したこと以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間が136秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各ロールの抱き角を、フリーロール9が52deg、フリーロール10が13deg、フリーロール11が52degになるように変更したこと以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間が11秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各ロールの抱き角を、フリーロール9が80deg、フリーロール10が70deg、フリーロール11が80degになるように変更したこと以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりで、フリーロール10の式(1)の左辺が81であり、長さ3mm以上の擦り傷が多数観察された。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例1の製造方法において、移動式金属フリーロール10を直径20cmのロールに変更し、ベアリング交換で回転時間を7秒に変更し、さらにフリーロール9〜12をいずれも周速33m/分になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各ロールの抱き角を、フリーロール9が80deg、フリーロール10が70deg、フリーロール11が80degになるように変更したこと以外は実施例1と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は3mm未満のものは観察されたが、3mm以上のものは観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
実施例6の製造において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間を10秒になるように調整した。各ロールの抱き角は実施例6と同じ、フリーロール9が80deg、フリーロール10が70deg、フリーロール11が80degになるように設置したこと以外は実施例6と同様にして厚み60μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は観察されなかった。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は2.2GPaであった。
(メタ)アクリル系樹脂(A−2)97.5質量部、ポリカーボネート(住化ポリカーボネート(株)製 SDポリカ301−40)0.8質量部、フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製 YP−50S)2.8質量部、高分子加工助剤(三菱ケミカル(株)製 メタブレンP550A)2質量部、及び紫外線吸収剤(ADEKA(株)製 アデカスタブLA−F70)0.9質量部をヘンシェルミキサーで混合し、230℃に設定されたスクリュー径58mmのベント付き二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。係るペレットを図2に示すように、ベント付き単軸押出機1のホッパーに供給し、260℃で溶融混練してギアポンプ2、ポリマーフィルター3の順に通過させ、リップ開度1mmのTダイ4からフィルム状に吐出し、ポリッシングロール6で静電印加装置16を使用してフィルムの両端部を帯電させることでロールと密着させてフィルムの幅を安定させた。その後、図3に示すように当該フィルムを複数のクリップ17を用いて一定間隔ごとに把持し、同時二軸延伸機(東芝機械(株)製)15へ搬送し、図3に示す予熱工程を145℃、二軸延伸工程を145℃、延伸倍率がMD方向に2.4倍、TD方向に2.4倍、冷却工程を80℃で搬送させた後、金属フリーロール9(回転時間60秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、移動式金属フリーロール10(回転時間61秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、金属フリーロール11(回転時間82秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)、金属フリーロール12(回転時間75秒、周速20m/分、直径12cm、ロール芯材:アルミニウム製、表面処理:硬質クロムメッキ、表面粗さ(Ra):0.03μm)およびゴムロール13とフィルムを通過させ、巻取り機14で巻取り、厚み40μmのロール状フィルムを得た。各フリーロールの抱き角を、フリーロール9が56deg、フリーロール10が22deg、フリーロール11が56deg、フリーロール12が90degになるように各フリーロールを設置した。また、各フリーロールの表面温度は全て25℃であった。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりであり、各フリーロールの式(1)の左辺は全て83以上であり、擦り傷は確認されなかった。また、当該フィルムの貯蔵弾性率は3.1GPaであった。
実施例8の製造において、移動式金属フリーロール10のベアリングを交換し、回転時間を13秒になるように調整した後、フリーロール10を上側に移動させて、各ロールの抱き角を、フリーロール9が75deg、フリーロール10が60deg、フリーロール11が75degになるように変更したこと以外は実施例8と同様にして厚み40μmのロール状フィルムを得た。式(1)の左辺の計算結果は表1のとおりで、フリーロール10の式(1)の左辺が82であり、長さ3mm以上の擦り傷が多数観察された。また、当該フィルムの25℃における貯蔵弾性率は3.1GPaであった。
2 ギアポンプ
3 ポリマーフィルター
4 Tダイ
5 ポリッシングロール(金属弾性ロール)
6、7 ポリッシングロール(金属剛体ロール)
8’、13’ ニップロール(金属ロール)
8、13 ニップロール(ゴムロール)
9、11、12 フリーロール(金属フリーロール)
10 移動式フリーロール(移動式金属フリーロール)
14 巻取機ロール
15 延伸機(同時二軸延伸機)
16 静電印加装置
17 クリップ
Claims (9)
- フィルムの搬送から巻取りまでの工程において、前記フィルムを複数のフリーロールの間を通過させる工程を有するフィルムの製造方法であって、
前記複数のフリーロールが、いずれも下記式(1)を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法。
t×d×3.14×α/360≧83 (1)
(式中、tはロール回転数を53rpmに回転させたフリーロールが停止するまでの時間(秒)、dはフリーロールの直径(cm)、αは抱き角(deg)を表す。) - 前記フリーロールは、鉄鋼またはアルミニウムの芯材と、当該芯材の表面に施された硬質クロムメッキとを有することを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フリーロールの表面粗さ(Ra)が0.8μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フリーロールの表面温度が15〜35℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フィルムが、アクリル系樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フィルムの25℃における貯蔵弾性率が1GPa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フィルムの厚みが10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フィルムが、溶融押出により製造されたフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
- 前記フィルムが、2.25〜6.25倍に延伸した二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
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