JP2017170673A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、シワやキズ等の欠点の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することをその課題とする。【解決手段】複数本のロール上をフィルムが走行するフィルムの製造方法であって、前記ロールとフィルムが接触する角度をθ(°)としたときに、θが1°以上30°以下であり、かつ、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を有するロール(ロールA)を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、シワやキズ等の欠点の発生を軽減することができるフィルムの製造方法に関する。
フィルムの製造工程には複数のロールが存在し、これらのロールは、フィルムが触れているか否かにかかわらず回転するもの(以下、回転ロールということがある。)と、フィルムが触れている場合のみにフィルムの搬送に伴って回転するもの(以下、フリーロールということがある。)との2種類に大別することができる。
フィルムの製造工程中に、ロールとフィルムが接触する角度(以下、抱きつき角度ということがある。)が30°以下であるフリーロールが存在すると、該フリーロールとフィルムの摩擦力が小さくなり、ロールの回転速度とフィルムの搬送速度に差が生じてフィルムにキズが発生することがある。
特に、フィルムの搬送速度が速い場合においては、フィルムの搬送に伴ってフリーロールとフィルムの間に噛み込まれる空気の量が増大し、フリーロールとフィルムの間の摩擦力が大幅に低下してフィルムにキズが発生し易くなる。
フリーロールとフィルムの間の摩擦力の低下によるキズの発生への対策として、フィルムの搬送張力を上げることが考えられるが、フィルムの搬送張力を上げるとシワなど別の欠点を引き起こす懸念がある。
フィルム上に発生するシワやキズ等の欠点を低減することを目的として、これまでに様々な改良がなされている。例えば、特許文献1には、サクションロールの使用や静電密着、パートニップなど密着装置の使用によりロールとフィルム間の摩擦力を上げる技術が、特許文献2には、フィルム側から風速0.2m/s以上の風を吹き付けてロールとフィルム間の摩擦力を上げる技術が開示されている。
特開2002−254565号公報 特開2012−111602号公報
スリットを有する口金からシート状の樹脂溶融物を吐出し、縦方法に延伸した後(縦延伸工程)、フィルム面に樹脂を塗布し(塗布工程)、更にオーブンテンターにて樹脂を乾燥させ、横方向に延伸する逐次二軸延伸法では、塗布工程に使用される搬送ロールの一部に抱きつき角度が30°以下のロールが用いられることが多く、また、縦延伸工程にてフィルム搬送速度が上がっているため、このロールに起因してキズが発生することが問題であった。
特許文献1に記載のサクションロールや静電密着、特許文献2に記載の風を吹き付けての密着力強化は、いずれもキズ等の欠点の発生を軽減するのに有効であるが、設備が大掛りであり、フィルムの製造コストが上がることが欠点となる。
本発明は係る従来技術の欠点を解消し、コストを抑えつつ、シワやキズ等の欠点の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することをその課題とする。
前記課題を達成するため、本発明の延伸フィルムの製造方法は、下記の構成からなる。
(1) 複数本のロール上をフィルムが走行するフィルムの製造方法であって、前記ロールとフィルムが接触する角度をθ(°)としたときに、θが1°以上30°以下であり、かつ、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を有するロール(ロールA)を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
(2) 前記ロールAが、テンデンシー機構を有することを特徴とする、(1)に記載のフィルムの製造方法。
(3) 前記フィルムとの間の摩擦力を上げる機構が、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルムの製造方法。
(4) 前記ロールAが、マイクログルーブドロールであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
(5) 少なくともフィルムの片面に樹脂を塗布する工程を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
本発明により、シワやキズ等の欠点の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することができる。
ロールを回転軸の中心の延長線上から観察したときの概略図であり、ロールとフィルムが接触する角度を示すものである。 本発明の一実施態様に係る溝を有するロールの表面部分を、回転軸を含む面で切断したときの拡大断面図であって、ロールの溝の形状を表すものである。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムの製造方法は、複数本のロール上をフィルムが走行するフィルムの製造方法であって、前記ロールとフィルムが接触する角度をθ(°)としたときに、θが1°以上30°以下であり、かつ、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を有するロール(ロールA)を少なくとも一つ有することを特徴とする。
本発明のフィルムの製造方法においては、複数本のロール上をフィルムが走行する。ロールとは、フィルムが触れているか否かにかかわらず回転するロール(以下、回転ロールということがある。)と、フィルムが触れている場合のみにフィルムの搬送に伴って回転するロール(以下、フリーロールということがある。)の両方をいう。
回転ロールとしては、例えば、溶融されて口金より吐出されたシート状の熱可塑性組成物を冷却固化するキャストロール、異なる速度で回転することでフィルムを延伸する延伸ロール、フィルムを最終製品として巻き取るための巻き取りロール等が挙げられる。一方、フリーロールとしては、例えば、フィルムをロールに密着させるためのニップロールや、単にその上をフィルムが走行する搬送ロール等が挙げられる。
フィルムとは、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂(熱可塑性樹脂)を、全成分100質量%中に50質量%より多く100質量%以下含むフィルムいう。なお、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂は一種類のみを用いても、複数種類を混合して用いてもよい。複数種類の熱可塑性樹脂を混合して用いる場合、その含有量は全ての熱可塑性樹脂を合算して算出するものとする。
本発明のフィルムの製造方法における熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、キズやシワ等の欠点に対する要求特性の厳しい用途のフィルムにも好適に用いることができる観点から、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂とは、ジオール又はその誘導体(以下、これらを総称してジオール等ということがある。)と、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、又はこれらの誘導体(以下、これらを総称してジカルボン酸等ということがある。)を縮重合することで得られる樹脂をいう。なお、以下、縮重合によりポリマー鎖中に組み込まれた成分のうち、ジオール等に由来するものをジオール等成分、ジカルボン酸等に由来するものをジカルボン酸等成分ということがある。
ポリエステル樹脂を得るためのジカルボン酸等及びジオール等は、いずれも単一の成分であっても複数種の成分であってもよい。ここで、ジカルボン酸等とジオール等がいずれも単一成分であるポリエステル樹脂をホモポリエステル樹脂、ジカルボン酸等とジオール等のいずれかが複数種の成分であるポリエステル樹脂をコポリエステル樹脂という。
ジカルボン酸等としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
ジオール等としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある。)、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、およびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを単独で又は混合して用いることができる。キズやシワ等の欠点に対する要求特性の厳しい用途のフィルムにも好適に用いることができる観点から、PETを単独で用いることが好ましい。
ここでPETとは、ジオール等成分全100モル%中にエチレングリコール成分を70モル%以上100モル%以下含み、かつ、ジカルボン等酸成分全100モル%中にテレフタル酸成分を70モル%以上100モル%以下含むホモポリエステル樹脂又はコポリエステル樹脂をいう。
本発明のフィルムの製造方法は、ロールとフィルムが接触する角度をθ(°)としたときに、θが1°以上30°以下であり、かつ、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を有するロール(ロールA)を少なくとも一つ有することが重要である。
一般的に、ロールの形状(大きさ)や材質、フィルムを構成する成分やフィルムの搬送速度が同じである場合、ロールとフィルムが接触する角度(以下、抱きつき角度ということがある。)が小さくなれば、ロールとフィルムとの接触面積も小さくなるため、それに伴い両者間の摩擦力も小さくなる。その結果、ロールの回転速度とフィルムの搬送速度に差が生じてロールとフィルムが擦れ、フィルムにキズが発生することがある。
上記観点から、抱きつき角度θが1°以上30°以下であるロールが、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を備えることにより、ロールとフィルムとの間の摩擦力が小さくなることに起因するキズの発生を軽減することができる。
ここで、ロールとフィルムが接触する角度とは、ロールを回転軸の中心の延長線上から観察し、ロールとフィルムが接している部分の端部二箇所より、回転軸の中心に向かって直線を引いたときに形成される角の角度をいう(図1の6)。
後述するようにロールの位置が変化する場合は、ロールの位置変化に伴い抱きつき角度の大きさも変化する。このような場合における抱きつき角度は、その最小値とする。また、ロールの位置変化によりフィルムとロールが接触しない状態が生じる場合においては、抱きつき角度の最小値は1°とする。
ここで、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構とは、ロールとフィルムの間の摩擦力を上昇させることができる機構をいう。本発明のフィルムの製造方法においては、ロールとフィルムの間の摩擦力を上昇させることができる機構であれば、本発明の効果を損なわない限り特に制限されずにどのようなものを用いてもよい。
本発明のフィルムの製造方法において用いることができるフィルムとの間の摩擦力を上げる機構の例としては、例えば、フィルムの張力を上昇させる機構、後述するテンデンシー機構、及び後述するフィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構等が挙げられる。フィルムのシワの発生を軽減する観点からは、テンデンシー機構、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構を用いることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法において、ロールAは、本発明の効果を損なわない限り、回転ロール、フリーロールのいずれであってもよい。但し、一般に、抱きつき角度θが小さくなるロールはフリーロールが多いことから、ロールAは、フリーロールであることが好ましい。また、ロールAが複数存在する場合は、ロールAに相当する回転ロールとフリーロールが共に存在していてもよい。
本発明のフィルムの製造方法において、ロールAは、本発明の効果を損なわない限り、フィルム製造ライン中のどこに配置してもよいが、フィルムの搬送速度が速い工程に配置することが好ましい。フィルムの搬送速度が速い工程ではロールの回転速度も速くなっており、ロールとフィルムの間に空気が噛み込まれやすいため両者間の摩擦力が小さくなりやすい。そのため、フィルムの搬送速度が速い工程は、最もロールAを必要とする工程である。
前述のとおり、本発明のフィルムの製造方法におけるロールAは、フィルムの搬送速度が速い工程に位置するフリーロールであることが好ましい。このようなケースの具体例としては、例えば、縦延伸工程と横延伸工程の間でフィルム面に樹脂等を塗布する工程における搬送ロールが挙げられる。すなわち、本発明のフィルムの製造方法は、その効果を最大限に発揮させる観点から、少なくともフィルムの片面に樹脂を塗布する工程を有することが好ましい。
縦延伸工程とは、フィルムに長手方向の分子配向を与える延伸を行う工程をいい、横延伸工程とはフィルムに幅方向の分子配向を与える延伸を行う工程をいう。長手方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、フィルム製造時にフィルムが進行する方向をいい、幅方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。
コート層を有する二軸配向フィルムは、例えば、縦延伸工程により得られた一軸配向フィルムに樹脂等を塗布し、塗布した樹脂等をオーブンテンターで乾燥させて横延伸することにより得ることができる。ここで、フィルム面に樹脂等を塗布させる方法としては、塗布する機器をフィルム走行面に近づけて樹脂等を塗布する方法と、搬送ロールの位置を変化させてフィルムを塗布する機器に近づける方法の2種類がある。
搬送ロールの位置を変化させてフィルムを塗布する機器に近づける方法を用いる場合、位置変化する搬送ロールはオーブンテンターの入口付近に位置することが多い。この段階では、ロールの回転速度が速くなっているため、ロールとフィルムとの間で空気の噛み込みが起こり易い。
そして、ロールの抱きつき角度は、位置が変化する搬送ロールの上流側の搬送ロール及び下流側の搬送ロール(位置が変化する搬送ロールがオーブンテンターの入口直前に位置する場合は、上流側の搬送ロール)との相対位置関係によって定まる。オーブンテンターの入口付近で搬送ロールの位置を変化させて樹脂等を塗布させる場合、該搬送ロールを含む搬送ロール群の高さとオーブンテンター入口の高さを揃える必要がある。そのため、位置が変化する搬送ロールの抱きつき角度は小さくなる。その結果、このような位置が変化する搬送ロールは、フィルムのキズの原因となりやすい。
本発明のフィルムの製造方法においては、ロールAが、独自で回転可能な駆動軸を持ち駆動軸がロール本体と連動して回転することが可能な機構、いわゆるテンデンシー機構を有することが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法においては、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構が、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構であることが好ましい。このような態様とすることにより、フィルムとロールの間の空気の噛み込みが軽減されるため、両者間の摩擦力の低下を軽減することができる。さらに、フィルムの張力を上昇させる方法のようにフィルムに余計な力がかからないため、シワの発生も軽減させることができる。
フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構としては、例えば、ロールの溝が挙げられる。ロールが溝を有することにより、溝の部分から空気が抜けるため、ロールとフィルムの摩擦力の低下を軽減させることができる。なお、溝を有するロールは、グルーブドロールと呼ばれる。
ロールの溝の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、任意の形状とすることができる。図2は、本発明の一実施態様に係る溝を有するロールの表面部分を、回転軸を含む面で切断したときの拡大断面図であって、ロールの溝の形状を表すものである。本発明のフィルムの製造方法における溝の形状としては、例えば、図2のA〜Cに示す態様が挙げられる。
溝幅(図2の7)は、本発明の効果を損なわない限りフィルムの厚みや張力などに応じて任意に設定することができるが、フィルムが溝に落ち込むことによる塗布抜け(塗布スジ)等を軽減する観点から、5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。ロールの溝幅の下限値については、特に制限はないが、本発明の効果を得る観点から100μm程度あれば十分である。
溝深さ(図2の8)は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす効果と塗布抜けの軽減を両立させる観点から、100μm以上200μm以下であることが好ましい。
溝ピッチ(図2の9)は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす効果と塗布抜けの軽減を両立させる観点から、1mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがより好ましい。
フィルムとロール間の空気の噛み込み量は、ロールの直径にも依存する。フィルムとロール間の空気の噛み込み量を減らす観点から、ロールの直径は、250mm以下であることが好ましい。
本発明のフィルムの製造方法においては、ロールAが、マイクログルーブドロールであることが好ましい。ここで、マイクログルーブドロールとは、グルーブドロールのうち溝幅が1mm以下であるものをいう。ロールAがマイクログルーブドロールであることにより、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす効果と塗布抜けの軽減を両立させることができる。
塗布工程で使用される搬送ロールの材質は、金属ロールが好ましい。ゴムロールの場合、フィルムとの摩擦力が高いが、フィルムとゴムロールの磨耗により、小さな削れ物がフィルム表面に付着し、塗布ハジキ欠点の要因となる。搬送ロールがフリーロールの場合、特殊ベアリングを用い、ロールの回転抵抗9.8N以下とすることが好ましい。
以下、本発明のフィルムの製造方法について、逐次二軸延伸法によるポリエチレンテレフタレートフィルムを例に挙げて具体的に説明する。
まず、ポリエチレンテレフタレートのペレットを押出機の原料投入部に供給し、加熱溶融する。その後、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化して、加熱溶融された樹脂を押出し、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除く。このとき、押出機は、1台であっても複数台であってもよく、複数台の押出機を用いる場合は、フィルターを通過した熱可塑性樹脂を積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができ、これらを任意に組み合わせてもよい。
このようにして得られたポリエチレンテレフタレートの溶融体を、口金からシート状に吐出し、キャスティングドラム等の冷却体上で冷却固化することにより、未延伸フィルムを得る。シート状溶融物から未延伸フィルムを得る具体的な方法としては、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、シート状溶融物を静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させる方法が好ましい。他には、スリット状、スポット状または面状の装置からエアーを吹き出して、シート状溶融物をキャスティングドラム等の冷却体に密着させて急冷固化させる方法や、ニップロールにてシート状溶融物を冷却体に密着させて急冷固化させる方法も好ましい。
次に、得られた未延伸フィルムを、縦延伸装置を用いて縦延伸し、一軸延伸フィルムを得る。縦延伸は、一本または周速の等しい複数本の延伸ロールを使用して1段階で行うことも、周速の異なる複数本の延伸ロールを使用して多段階に行うことも可能であり、縦延伸の倍率は、2〜7倍が好ましい。なお、縦延伸では、予熱ロールにて未延伸フィルムを加熱した後に、赤外線ヒーター等により未延伸フィルムをさらに加熱することも可能である。
また、縦延伸工程後、得られた一軸延伸フィルムの両面もしくは片面に、樹脂を塗布する。このとき、塗布する機器をフィルム走行面に近づけて樹脂等を塗布しても、搬送ロールの位置を変化させて塗布する機器にフィルム走行面を近づけて樹脂等を塗布してもよい。後者の場合、フィルムと搬送ロールとの間に空気が噛みこまれやすいため、搬送ロールをロールAとすることが好ましく、マイクログルーブドロールとすることがより好ましい。塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることが出来る。
縦延伸工程により得られた一軸延伸フィルムを、横延伸することにより、二軸延伸フィルムを得る。横延伸する際の温度は、フィルムの厚み、延伸の速度、インラインコーティング有無等にもよるが、80℃よりも低いとフィルムが破断し易く、160℃よりも高いと離型用途として十分な強度が得られないことから、80〜160℃が好ましく、85〜130℃がより好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
横延伸の倍率は、フィルムの厚み、延伸の速度、インラインコーティング有無等にもよるが、延伸ムラやフィルム破断などを防止する観点から、2.5〜6.0倍が好ましく、3.0〜5.5倍がより好ましく、3.5〜5.0倍が特に好ましい。
一軸延伸フィルムを横延伸後、必要に応じて熱固定を行い、続いて25%以内の弛緩を行うことも可能である。熱固定時の温度が200℃よりも低いと、結晶化が進まずにポリエチレンテレフタレートの構造が安定しないことがあるため、熱固定時の温度は200〜240℃が好ましく、205〜235℃がより好ましく、210〜230℃が特に好ましい。
本発明の製造方法においては、横延伸工程後、フィルムの厚みが大きいエッジ部分を、エンボス加工部分とともに切断し除去する工程を有していることが好ましい。
本発明により得られる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、フィルムのキズやシワ等の欠点が少ないため、各種光学用フィルムとして用いることができ、特に、プリズムシート用ベースフィルム、ハードコート用ベースフィルム、反射防止(AR)フィルム用ベースフィルム、光拡散用ベースフィルム、透明導電性フィルムなどとして好適に用いることができる。
以下、実施例で本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されない。実施例中に示す測定や評価は、次に示すような方法、条件で行った。
(1)フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度Tg(℃)、融点Tm(℃)
示差走査熱量計としてセイコー電子工業(株)製DSC(RDSC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製受皿で室温から昇温速度20℃/分で昇温し、必要熱量を測定した。得られた吸発熱曲線の、樹脂のガラス転移温度を示す曲線の段差が現れる温度をTg(℃)、融点を示す融解ピークの温度をTm(℃)とした。
(2)固有粘度(dl/g)
ポリエステル樹脂をオルソクロロフェノールに融解し、オストワルド粘度計を用いて25℃にて測定した。
(3)抱きつき角度θ(°)
対象測定ロール全てのロール端部位置に、圧力測定フィルム(富士フィルム社製 超低圧用)を巻きつける。JIS G3502(2013年)に定めるピアノ線(直径1mm)の始点を、下流側のオーブンテンタークリップに挟み固定した後、フィルム搬送のパスラインに沿って、圧力測定フィルムを避けるように通す。終点は、上流側の縦延伸最後のロールにピアノ線を抱きつかせて、パスラインの位置を保った状態で、圧力測定フィルムの上に乗るようにピアノ線を移動させ、2kgの加重をかける。その後ピアノ線を取り去り、圧力フィルムに跡が付いた長さL1を測定する。ロールの直径Dは、高精度直径測定テープ(ファーステック社製)を用い計測する。抱きつき角度θ(°)は、下記の式(1)にて算出する。
θ(°)=360×L1/(π×D) ・・・式(1)
(4)キズの個数
フィルムロール表層よりシート状のサンプルを採取し、暗室において斜光の状態下で、幅方向は製品幅、長手方向は(塗布装置ロール最大ロール面長)の長さ範囲内で、最大長径が200μm以上であるキズの個数を目視にて観察し、1m当たりのキズ個数に換算してキズの個数とした。キズの個数は、下記の通りランク分けを行った。なお、キズの個数がA又はBランクであれば、フィルムは実用上問題なく使用できる。
Aランク:0個/m
Bランク:0個/mより大きく1個/m以下
Cランク:1個/mより大きい
(5)塗布ムラ
フィルムロール表層よりシート状のサンプル(製品幅×2m)を採取し、暗室において、3波長蛍光灯の反射にて目視観察により、長手方向にスジ状の色ムラで、太さ5mm以上、長さ500mm以上の欠点の個数を数え、1本でもあれば、不合格とした。
(フラットロール)
直径200mmのHCrロールであって、表面に溝を有さないものを使用した。
(マイクログルーブドロールの作成)
直径200mmのHCrロール表面のフィルムと接触する部分全体に、溝幅0.15mm、溝深さ0.135mm、溝ピッチ2mmの溝加工を行った。
(グルーブドロールの作成)
直径200mmのHCrロール表面のフィルムと接触する部分全体に、溝幅10mm、溝深さ5mm、溝ピッチ20mmの溝加工を行った。
(実施例1)
ガラス転移温度Tgが73℃のPETペレット(固有粘度0.63dl/g)を十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸PETフィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸PETフィルムとした。得られた一軸延伸PETフィルムに、塗布装置として搬送ロール5本(上流から順に1〜5番とする。)を通した後、ワイヤーバーコート法で樹脂を塗布厚み約8μmで塗布した。
塗布した樹脂は、水酸基とアクリロイル基を有する樹脂(A)とメチロール基を有するメラミン化合物(B)を質量比で、(A)/(B)=100/50となるように混合し、そこに、積層フィルム表面に易滑性を付与させるために、無機粒子として数平均粒子径300nmのシリカ粒子((株)日本触媒社製“シーホスター”(登録商標)KE−W30)を樹脂(A)100質量部に対して2質量部添加したものである。また、各搬送ロールの抱きつき角度は次の通りとし、5番目の搬送ロールはテンデンシー機構を有さないグルーブドロールとした。
1番目:33°
2番目:105°
3番目:99°
4番目:190°
5番目:15°
その後、この一軸延伸PETフィルムを、オーブンテンターに導入し、幅方向の両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導いた。予熱ゾーンの雰囲気温度は90℃〜100℃にし、樹脂成物を含む塗液の溶媒を乾燥させた。引き続き、連続的に110℃の延伸ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて235℃の熱処理ゾーンで20秒間熱処理を施して、厚み100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られた二軸延伸PETフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2〜4、比較例1、2)
塗布装置5番目ロールを表1に記載の通りとした以外、実施例1と同様にして、二軸延伸PETフィルムを得た。得られた二軸延伸PETフィルムの評価結果を表1に示す。
本発明により、シワやキズ等の欠点の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することができる。そして、本発明のフィルムの製造方法により得られるフィルムは、シワやキズ等の欠点が少なく、ディスプレイやタッチパネル用途の光学用フィルムや各種加熱加工を必要とするフィルムとして好適に利用できる。
1 ロール
2 回転軸
3 回転軸の中心
4 フィルム
5 ロールとフィルムが接している部分の端部
6 ロールとフィルムが接触する角度(抱きつき角度 θ)
7 溝幅
8 溝深さ
9 溝ピッチ

Claims (5)

  1. 複数本のロール上をフィルムが走行するフィルムの製造方法であって、
    前記ロールとフィルムが接触する角度をθ(°)としたときに、θが1°以上30°以下であり、かつ、フィルムとの間の摩擦力を上げる機構を有するロール(ロールA)を少なくとも一つ有することを特徴とする、フィルムの製造方法。
  2. 前記ロールAが、テンデンシー機構を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 前記フィルムとの間の摩擦力を上げる機構が、フィルムの走行によって発生する随伴気流を逃がす機構であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記ロールAが、マイクログルーブドロールであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
  5. 少なくともフィルムの片面に樹脂を塗布する工程を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
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