JP2020140539A - 磁気検出装置及び硬貨識別装置 - Google Patents

磁気検出装置及び硬貨識別装置 Download PDF

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Abstract

【課題】出力反転の発生を低減できる磁気検出装置と、硬貨の識別精度を向上できる硬貨識別装置とを提供する。【解決手段】硬貨が搬送される搬送路の一面側に設けられた第1検出コイルと、前記搬送路の前記一面側に設けられた第2検出コイルと、前記搬送路の前記一面側に設けられ、前記搬送路に磁界を生成する励磁コイルと、前記第1検出コイルの出力及び前記第2検出コイルの出力の差動出力を出力する差動出力部と、を備え、前記励磁コイルは、前記第1検出コイルにおける磁束密度が前記第2検出コイルにおける磁束密度よりも大きくなるように構成されている磁気検出装置である。【選択図】図4

Description

本発明は、磁気検出装置及び硬貨識別装置に関する。より詳しくは、搬送される硬貨の磁気特性を検出するのに好適な磁気検出装置及び硬貨識別装置に関する。
従来、硬貨の計数等の処理を行う硬貨処理機には、硬貨の金種識別を行うための硬貨識別装置が搭載されている。硬貨識別装置には、例えば、硬貨の磁気特性を検出する磁気検出装置(磁気検出センサ)が備えられており、磁気検出装置の検出結果に基づいて硬貨の金種識別が行われる。
特許文献1及び2には、巻線型チップインダクタで各々構成された複数の反射検出コイル(二次コイル)が硬貨の搬送方向と直交する方向に所定ピッチで配置され、これら反射検出コイルを取り囲むように励磁コイル(一次コイル)が設けられた磁気検出装置が開示されている。
また、特許文献1及び2には、反射検出コイルが2列に配置された例が開示されており、特許文献2には、各出力チャンネルが上下方向で隣接する2つの反射検出コイルの出力信号を合成した合成出力を出力してもよいことが記載されている。更に、特許文献2には、同じ出力チャンネルの2つの反射検出コイルが互いに逆位相の信号を出力するように構成されてもよいことが記載されている。
国際公開第2017/164347号 国際公開第2018/180899号
しかしながら、出力チャンネルが上下方向で隣接する2つの反射検出コイルの出力の差動出力を出力する場合は、その出力が、各反射検出コイルの位置変動や励磁コイルの巻き方の変動等の影響を大きく受けてしまう。なかでも、励磁コイルの巻き方の変動による影響が大きく、図17に示すように、励磁コイル211の搬送路P側の部分の巻き数が少なくなると、差動出力の位相が所望の位相から反転することがあった。この場合、硬貨識別装置の識別精度が悪化してしまう。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、出力反転の発生を低減できる磁気検出装置と、硬貨の識別精度を向上できる硬貨識別装置とを提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、磁気検出装置であって、硬貨が搬送される搬送路の一面側に設けられた第1検出コイルと、前記搬送路の前記一面側に設けられた第2検出コイルと、前記搬送路の前記一面側に設けられ、前記搬送路に磁界を生成する励磁コイルと、前記第1検出コイルの出力及び前記第2検出コイルの出力の差動出力を出力する差動出力部と、を備え、前記励磁コイルは、前記第1検出コイルにおける磁束密度が前記第2検出コイルにおける磁束密度よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励磁コイルは、前記搬送路からより遠い第1部分に比べて前記搬送路により近い第2部分においてコイル線がより多く巻回されていることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記励磁コイルは、前記第2検出コイルよりも前記第1検出コイルのより近くに位置することを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記搬送路により近い方を上方とし、前記搬送路からより遠い方を下方とすると、前記励磁コイルは、コイル線が下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第1層部分と、前記コイル線が前記第1層部分上を上方から下方に向かって螺旋状に巻回された第2層部分と、前記コイル線が前記第2層部分上を下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第3層部分と、を含み、前記第3層部分は、前記搬送路からより遠い前記励磁コイルの第1部分と前記搬送路により近い前記励磁コイルの第2部分との間の中間部から前記第2部分にかけて設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、上記発明において、前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルは、各々、巻線型チップインダクタであることを特徴とする。
また、本発明は、硬貨識別装置であって、前記磁気検出装置と、前記磁気検出装置の検出結果に基づいて、前記搬送路を搬送される硬貨を識別する識別部と、を備えることを特徴とする。
本発明の磁気検出装置によれば、出力反転の発生を低減することができる。
本発明の磁気識別装置によれば、硬貨の識別精度を向上することができる。
実施形態1に係る硬貨識別装置の機能ブロック図である。 実施形態1に係る磁気検出装置に備えられる励磁コイル、第1検出コイル及び第2検出コイルの斜視模式図である。 実施形態1に係る磁気検出装置の回路基板の平面模式図であり、(a)は第1検出コイル及び第2検出コイルが実装された一方の主面を示し、(b)はパッドが形成された他方の主面を示す。 実施形態1に係る磁気検出装置における励磁コイル、第1検出コイル及び第2検出コイルの配置関係と、各検出コイルの出力及び差動出力の関係とを説明するための図であり、磁気検出装置の断面模式図と、待機時の第1検出コイル(センス側)の出力の例と、待機時の第2検出コイル(キャンセル側)の出力の例と、待機時の差動出力の例とを示す。 実施形態1に係る磁気検出装置における励磁コイル、第1検出コイル及び第2検出コイルの配置関係と、各検出コイルの出力及び差動出力の関係とを説明するための図であり、磁気検出装置の断面模式図と、硬貨の進入時の第1検出コイル(センス側)の出力の例と、硬貨の進入時の第2検出コイル(キャンセル側)の出力の例と、硬貨の進入時の差動出力の例とを示す。 比較形態1に係る磁気検出装置における励磁コイル、第1検出コイル及び第2検出コイルの配置関係と、各検出コイルの出力及び差動出力の関係とを説明するための図であり、磁気検出装置の断面模式図と、待機時の第1検出コイル(センス側)の出力の例と、待機時の第2検出コイル(キャンセル側)の出力の例と、待機時の差動出力の例とを示す。 比較形態1に係る磁気検出装置における励磁コイル、第1検出コイル及び第2検出コイルの配置関係と、各検出コイルの出力及び差動出力の関係とを説明するための図であり、磁気検出装置の断面模式図と、硬貨の進入時の第1検出コイル(センス側)の出力の例と、硬貨の進入時の第2検出コイル(キャンセル側)の出力の例と、硬貨の進入時の差動出力の例とを示す。 実施形態1に係る励磁コイル及び回路基板の平面模式図であり、励磁コイルを回路基板へはんだ付けする前の状態を示す。 実施形態1に係る磁気検出装置に備えられるコイルボビンの模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は斜視図である。 実施形態1に係る磁気検出装置に備えられる励磁コイル及びコイルボビンの平面模式図である。 実施形態1に係る磁気検出装置に備えられる励磁コイルの巻回方法を説明するための図であり、励磁コイル及びコイルボビンの断面模式図を示す。 実施形態1に係る磁気検出装置に備えられる励磁コイルの巻回方法を説明するための図であり、(a)、(b)及び(c)は、コイル線を巻回して第1層部分、第2層部分及び第3層部分をそれぞれ形成する場合を示す。 実施形態1に係る磁気検出装置の構成の一例を示す図である。 実施形態1に係る第1検出コイル及び第2検出コイルの接続関係を示す図である。 本発明の変形形態に係る磁気検出装置の断面模式図である。 本発明の別の変形形態に係る磁気検出装置の断面模式図である。 別の比較形態に係る励磁コイルの平面模式図である。
本明細書において、「2つの出力の差動出力を出力する」とは、2つの同位相の出力の差分を出力する場合と、2つの逆位相の出力を加算して出力する場合とのいずれの場合も包含するものとする。
(実施形態1)
以下、図面を参照して、本発明に係る磁気検出装置及び硬貨識別装置の好適な実施形態を詳細に説明する。本実施形態に係る磁気検出装置は、硬貨識別装置内で、硬貨の磁気特性を検出するために利用される。
図1に示すように、本実施形態に係る硬貨識別装置1000は、磁気検出装置100と、識別制御部200と、記憶部300と、通信部400と、搬送部500と、を備える。
磁気検出装置100は、搬送路を搬送される硬貨に磁界を印加し、この磁界による誘導電圧に基づいた出力信号に基づいて硬貨の磁気特性を検出する。
磁気検出装置100は、磁気検出部110と、制御部120と、を備える。磁気検出部110は、相互誘導型の磁気センサを含んで構成される。制御部120は、磁気検出装置100を制御するとともに、磁気検出部110の出力に基づいて硬貨の磁気特性を検出する。更に、制御部120は、検出した硬貨の磁気特性を識別制御部200へ出力する。
識別制御部200は、磁気検出装置100が検出した磁気特性に基づいて、検知対象である硬貨の種類(金種)等を識別する。
この識別制御部200は、例えば、図1に示すように、識別部210と、搬送制御部220と、処理部230と、を備える。
制御部120と識別制御部200とは、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、当該ソフトウェアプログラムを実行するCPUと、当該CPUによって制御される各種ハードウェアと、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理デバイス等によって構成されている。各部の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータの保存には、記憶部300や、別途設けられたRAMやROM等のメモリやハードディスクが利用される。
識別部210は、磁気検出装置100から検出された磁気特性と、予め検知対象となる硬貨に対して、記憶部300に記憶されている基準値等とを比較することにより、硬貨の種類等を特定する機能を有する。
搬送制御部220は、硬貨識別装置1000の搬送部500を制御する。
処理部230は、各部の動作に必要な各種の処理を実行する。
記憶部300は、揮発性又は不揮発性のメモリやハードディスク等の記憶装置で構成され、硬貨識別装置1000で行われる処理に必要な各種のデータを記憶するために利用される。
記憶部300は、識別制御部200による識別結果を記憶するようになっている。また、記憶部300は、硬貨の判別処理等を行うために利用される各種の基準値と、これらに関連する情報とを記憶している。
通信部400は、硬貨識別装置1000の外部からの信号を受信し、硬貨識別装置1000から外部へ信号を送信する機能を有する。
この通信部400によって、例えば、外部からの信号を受信して、制御部120及び識別制御部200の動作設定を変更したり、記憶部300に記憶されているソフトウェアプログラムやデータの更新、追加及び削除の処理を行ったり、硬貨識別装置1000による硬貨の識別結果を外部へ出力することができる。
搬送部500は、硬貨を搬送するための搬送機構を備える。搬送機構には、フィンや搬送ベルト等の搬送手段が含まれる。
以下に、磁気検出装置100の詳細を説明する。図2に示すように、磁気検出装置100は、多チャンネル方式の磁気検出センサであり、励磁コイル(一次コイル)11と、複数の検出コイル(二次コイル)12と、を備える。励磁コイル11及び検出コイル12は、硬貨処理機に設けられた硬貨Cの搬送路Pの同じ一面側(通常は上方又は下方、図1では下方の場合を図示)に配置され、励磁コイル11が搬送路Pに生成した磁界により誘起された誘導電圧に基づいて、各検出コイル12は出力信号を出力する。硬貨Cが搬送路Pを搬送されると、各検出コイル12は、励磁コイル11が生成する磁界が硬貨Cで反射した磁界により誘導電圧を誘起し、この誘導電圧に基づいた出力信号を出力する。
硬貨Cは、硬貨処理機の搬送手段(フィンや搬送ベルト等)によって搬送路P上を搬送される。硬貨Cは、搬送路Pの硬貨Cの下面を支える搬送面上を摺動する。硬貨Cは、図2の両矢印で示される何れの搬送方向に搬送されてもよい。
複数の検出コイル12は、硬貨Cの搬送方向と交差する方向、好ましくは直交する方向に配置されている。また、検出コイル12は、搬送面と平行に2列で配列されている。そして、二次側の各チャンネル、すなわち磁気検出装置100の各出力チャンネルは、第1検出コイル(以下、センス側コイル)12aと、センス側コイル12aの搬送路Pと反対側に設けられた第2検出コイル(以下、キャンセル側コイル)12bとを含んで構成されている。各キャンセル側コイル12bは、対応するセンス側コイル12aよりも搬送路Pからより離れた場所に配置されている。
図3(a)に示すように、各検出コイル12は、回路基板(プリント基板)50上に実装された同一種類の巻線型チップインダクタであり、コア(図示せず)にコイル線(図示せず)が巻回されている。これにより、各検出コイル12は、実質的に同じ性能のコイルとして機能し得る。図3(b)に示すように、回路基板50の検出コイル12が設けられていない側の主面には、励磁コイル11が接続される2つのパッド(端子)54が形成されている。
各出力チャンネルのセンス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bは、後述する差動回路に接続されており、センス側コイル12aの出力及びキャンセル側コイル12bの出力の差動出力が各出力チャンネルから出力される。これにより、外部磁場をキャンセルすることが可能であり、かつ待機時と硬貨Cの進入時との間における磁気検出装置100の出力変動の幅を大きくすることが可能であるため、磁気検出装置100の検出精度を向上することができる。
励磁コイル11は、交流電圧が印加されることにより、搬送路Pに磁界を生成する。励磁コイル11は、単一のコイルであり、図2及び4に示すように、励磁コイル11は、複数のセンス側コイル12aと、それらのコアとを囲むようにコイル線40が巻回されており、各センス側コイル12a用のコアが励磁コイル11のコアとしても機能する。また、各センス側コイル12aは、励磁コイル11の内側に位置しているが、各キャンセル側コイル12bは、励磁コイル11の外側に位置している。励磁コイル11には後述する交流電源から単一周波数の交流電圧又は複数周波数を含む交流電圧が印加され、搬送路Pに磁界を発生する。
ここで、励磁コイル11に印加される交流電圧の周波数を適宜設定することによって、各センス側コイル12aの出力及びキャンセル側コイル12bの出力は、硬貨Cの材質に応じた出力となる。本実施形態では、数kHz〜数MHzの周波数の交流電圧を用いることができる。
そして、励磁コイル11は、各センス側コイル12aにおける磁束密度が対応するキャンセル側コイル12bにおける磁束密度よりも大きくなるように構成されている。すなわち、励磁コイル11による磁界において、各センス側コイル12aがより磁界の強い場所に位置し、かつ対応するキャンセル側コイル12bがより磁界の弱い場所に位置している。そのため、図4及び5に示したように、硬貨Cがない待機時と硬貨Cの進入時とのいずれの場合でも、各出力チャンネルにおいて、センス側コイル12aの出力をキャンセル側コイル12bの出力より大きくすることができるため、センス側コイル12aの出力及び/又はキャンセル側コイル12bの出力を調整することなく、これらの出力の差動出力が反転してしまうのを抑制することができる。
より具体的には、励磁コイル11は、搬送路Pからより遠い第1部分11aに比べて搬送路Pにより近い第2部分11bにおいてコイル線40がより多く巻回されている。これにより、各出力チャンネルにおいて、センス側コイル12aでの磁束密度をキャンセル側コイル12bでの磁束密度よりも効果的に大きくすることができる。また、コイル線40の巻回作業を自動化した時に、たとえ第2部分11bでコイル線40を狙いの段数だけ巻けずに巻き数が少なくなってしまったとしても、センス側コイル12aでの磁束密度がキャンセル側コイル12bでの磁束密度よりも大きくすることができる。
他方、図6に示すように、搬送路Pからより遠い第1部分111aに比べて搬送路Pにより近い第2部分111bにおいてコイル線140をより少なく巻回した励磁コイル111を用いた場合、各センス側コイル12aにおける磁束密度が対応するキャンセル側コイル12bにおける磁束密度よりも小さくなる。そのため、硬貨Cがない待機時、各出力チャンネルにおいて、センス側コイル12aの出力がキャンセル側コイル12bの出力より小さくなり、これらの出力の差動出力が反転してしまう。なお、硬貨Cの進入時は、図7に示すように、各センス側コイル12aの出力が増加することにより、差動出力が反転せずに所望の位相を有する結果となる可能性もある。しかしながら、そのような場合であっても、差動出力の出力値自体は図5に示した所望の出力値と異なってしまう。
図8に示すように、磁気検出装置100は、コイル線40を巻回した角筒状のコイルボビン20を、検出コイル12を実装した回路基板50の端部に挿入して取り付けた構造を有している。コイル線40の巻き始めと巻き終わりの両端は、それぞれ、コイルボビン20の一対の突起部32に巻回されている。コイルボビン20に巻回されたコイル線40が励磁コイル11として機能する。
図9(a)及び(b)に示すように、コイルボビン20は、角筒状の本体部21を有し、本体部21は、軸方向に直交する断面が長方形状であり、軸方向の先端及び後端にそれぞれ設けられた幅の狭いフランジ部22及び23と、フランジ部22及び23で挟まれた帯状の凹部24とを有している。凹部24は、本体部21の周面に環状に(一周分)設けられている。軸方向後端側のフランジ部23には、切り欠き部25が2つ形成される。各切り欠き部25の両側に位置するフランジ部23の一対の端部からは一対の突起部32が突設されている。一対の突起部32は、所定の大きさの隙間33を空けて設けられている。各突起部32は、軸方向に長い平板状であり、切り欠き部25を介して凹部24と繋がっている。コイルボビン20は、絶縁性の合成樹脂等の絶縁性材料により成型される。
図10に示すように、コイル線40をコイルボビン20の凹部24に一定のテンションで巻回することによって、励磁コイル11として機能するコイル部42が形成されている。コイル部42の両端に繋がるコイル線40の両端部41は、それぞれ切り欠き部25から一対の突起部32に引き出されるとともに、一対の突起部32に巻き付けられて固定されている。各突起部32は、軸方向中間部が隙間33と反対側でくびれており、そのくびれ部にコイル線40が巻き付けられている。コイル線40の各端部41は、対応する一対の突起部32の回路基板50側を掛け渡されている。より詳細には、コイル線40の各端部41は、対応する一対の突起部32の一方に巻回されて当該一方の突起部32の回路基板50側から当該一対の突起部32の他方に渡され、当該他方の突起部32に回路基板50側から巻回されている。
本実施形態では、コイル線40は、一端から他端までテンションをかけた状態でコイルボビン20に巻回されており、たるみを設ける必要がない。したがって、コイルボビン20へのコイル線40の巻回作業を自動化することができる。
ここで、搬送路Pにより近い方を上方とし、搬送路Pからより遠い方を下方とすると、図11及び12(a)に示すように、励磁コイル11は、コイル線40が下方(フランジ部23側)から上方(フランジ部22側)に向かって螺旋状に隙間なく巻回され、その後、図11及び12(b)に示すように、上方から下方に向かって螺旋状に隙間なく巻回され、そして、図11及び12(c)に示すように、下方から上方に向かって螺旋状に隙間なく巻回されて形成されている。この結果、励磁コイル11は、コイル線40が下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第1層部分11Laと、コイル線40が第1層部分11La上を上方から下方に向かって螺旋状に巻回された第2層部分11Lbと、コイル線40が第2層部分11Lb上を下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第3層部分11Lcと、を有している。そして、第3層部分11Lcは、搬送路Pからより遠い励磁コイル11の第1部分11aと搬送路Pにより近い励磁コイル11の第2部分11bとの間の中間部11cから第2部分11bにかけて設けられている。これにより、上述のように、第1部分11aに比べて第2部分11bにおいてコイル線40がより多く巻回された励磁コイル11を容易に実現することができる。
図3(a)及び(b)に示したように、回路基板50は、矩形状の基板の一辺が凸状に形成され、一端部51に突出部52が設けられた平面形状を有する。回路基板50の両主面には、各種の配線パターン(図示せず)が設けられるとともに、チップインダクタである検出コイル12や、発振回路や信号処理回路等の所定の電子回路を構成する電子部品(検出コイル12以外は図示せず)が実装されている。図3(a)に示したように、複数の検出コイル12は、回路基板50の突出部52に等間隔で配置されている。図3(b)に示したように、検出コイル12が設けられていない側の主面に設けられた2つのパッド54は、コイルボビン20の各対の突起部32間の隙間33に対応する位置に設けられ、2つの隙間33間の間隔と同程度の間隔を空けて設けられている。各パッド54は、はんだレベラー、プリフラックス等で表面処理されている。回路基板50の突出部52は、コイルボビン20が取り付けられる取付部として機能する。
上記構成において、図8に示したように、突起部32をパッド54側にし、コイル線40が巻回されたコイルボビン20を検出コイル12が実装された突出部52に若干の遊びがある状態で嵌める。そうすると、一対の突起部32がパッド54の両側に位置し、一対の突起部32に巻回されたコイル線40の両端部41がパッド54上に位置することとなる。そして、接合材としてはんだ(図示せず)を用いて、一対の突起部32に巻回されたコイル線40の両端部41をそれぞれパッド54にはんだ付けして電気的に接続するとともに固定する。このとき、コイル線40の各端部41は、突起部32ごとではなく、単独でパッド54にはんだ付けされる。そして、コイルボビン20と回路基板50との間の隙間に接着剤(図示せず)を注入して更に強固に固定する。本実施形態では、各突起部32は、はんだで固定されていないため、このように接着剤を用いてコイルボビン20を回路基板50に固定することが好ましい。
実施形態1における磁気検出部110について以下に詳細を説明する。磁気検出部110は、例えば、図13に示すように、センサ部(硬貨識別用磁気センサ)Yと、処理部Wと、を備える。
磁気検出部110のセンサ部Yは、例えば、図13に示すように、交流電源Z、励磁コイル(1次コイル)11と、複数の検出コイル(2次コイル)12(センス側コイル12a、キャンセル側コイル12b)と、回路基板50(図13では図示省略)と、を備える。各センス側コイル12aは、検出用コアCO1に巻回されており、各キャンセル側コイル12bは、検出用コアCO2に巻回されている。
交流電源Zは、交流電圧Z1を生成する。この交流電源Zは、例えば、回路基板50に配置されている。なお、交流電圧Z1は、例えば、1つの特定周波数を含む交流電圧、又は、2つ以上の特定周波数を含む交流電圧(合成信号)である。
また、励磁コイル11は、交流電源Zが出力した交流電圧Z1が印加されて、搬送路Pに磁界Mを生成する。
励磁コイル11は、複数のセンス側コイル12aがそれぞれ巻回される複数の検出用コアCO1及び複数のセンス側コイル12aを囲むように巻回されている。
センス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bは、励磁コイル11が発生する磁界Mにより誘導電圧を誘起し、それぞれ、誘導電圧に基づいた検知信号S11及びS12を出力する。そして、センス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bは、硬貨Cが搬送路Pを搬送されることで変化した磁界Mにより誘起された誘導電圧に基づいて、それぞれ検知信号S11及びS12を出力する。
磁気検出部110の処理部Wは、センサ部Yが出力した検出信号を取得し、この検出信号を信号処理して判定用信号を出力する。処理部Wは、差動回路DCを備える。
差動回路DCは、センス側コイル12aの出力及びキャンセル側コイル12bの出力の差動出力を差動信号S21として出力する。本実施形態では、センス側コイル12aの回路基板50との結線と、キャンセル側コイル12bの回路基板50との結線とを互いに逆にしている。より具体的には、図14に示すように、センス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bを結線する。これにより、センス側コイル12aの出力及びキャンセル側コイル12bの出力を互いに逆位相としている。そして、差動回路DCにてセンス側コイル12aの出力(電圧)及びキャンセル側コイル12bの出力(電圧)を互いに加算して出力している。
なお、センス側コイル12aの回路基板50との結線と、キャンセル側コイル12bの回路基板50との結線とを互いに逆にしなくてもよい。これにより、センス側コイル12aの出力及びキャンセル側コイル12bの出力を互いに同位相としてもよい。そして、差動回路DCにてセンス側コイル12aの出力(電圧)からキャンセル側コイル12bの出力(電圧)を減算して出力してもよい。
処理部Wは、差動回路DCが出力した差動信号S21を増幅処理、フィルタ処理等のアナログ信号処理を行った後、デジタル信号に変換し、そして、デジタル信号を信号処理して判定用信号を出力する。なお、本実施形態における処理部Wはアナログ信号処理を行っているが、処理部Wでの信号処理は、デジタル処理することにより行ってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、励磁コイル11は、各センス側コイル12aにおける磁束密度が対応するキャンセル側コイル12bにおける磁束密度よりも大きくなるように構成されていることから、硬貨Cがない待機時と硬貨Cの進入時とのいずれの場合でも、各出力チャンネルにおいて、センス側コイル12aの出力をキャンセル側コイル12bの出力より大きくすることができ、これらの出力の差動出力が反転してしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態では、硬貨識別装置1000は、磁気検出装置100と、磁気検出装置100の検出結果に基づいて、硬貨Cを識別する識別部210と、を備えることから、硬貨Cの識別能力を向上することができる。
なお、上記実施形態では、励磁コイル11の第1部分11aに比べて第2部分11bにおいてコイル線40をより多く巻回することによって、各出力チャンネルにおいて、センス側コイル12aでの磁束密度をキャンセル側コイル12bでの磁束密度よりも大きくする場合について説明したが、センス側コイル12aでの磁束密度をキャンセル側コイル12bでの磁束密度よりも大きくする具体的な方法は、特に限定されない。例えば、図15に示すように、励磁コイル11は、キャンセル側コイル12bよりもセンス側コイル12aのより近くに位置していてもよい。このような励磁コイル11は、コイルボビン20の凹部24全体に傾斜を設けることによって容易に実現可能である。
また、図16に示すように、コイルボビン20の凹部24の搬送路P側の一部に傾斜を設けることによって、励磁コイル11の第1部分11aに比べて第2部分11bにおいてコイル線40をより多く巻回しつつ、励磁コイル11をキャンセル側コイル12bよりもセンス側コイル12aのより近くに配置してもよい。
また、上記実施形態では、センス側コイル12aが励磁コイル11の内側に位置し、キャンセル側コイル12bが励磁コイル11の外側に位置する場合について説明したが、センス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bの配置場所は、センス側コイル12aでの磁束密度がキャンセル側コイル12bでの磁束密度よりも大きくなる限り特に限定されず、例えば、キャンセル側コイル12b及びセンス側コイル12aが励磁コイル11の内側に位置してもよいし、キャンセル側コイル12b及びセンス側コイル12aが励磁コイル11の外側に位置してもよい。
また、上記実施形態では、磁気検出装置100が多チャンネル方式である場合について説明したが、磁気検出装置100は、1チャンネル方式の磁気検出センサであってもよい。すなわち、磁気検出装置100は、複数組ではなく一組のセンス側コイル12a及びキャンセル側コイル12bを有するものであってもよい。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
以上のように、本発明は、搬送される硬貨の磁気特性を検出するのに有用な技術である。
11:励磁コイル(一次コイル)
11a:励磁コイルの第1部分
11b:励磁コイルの第2部分
11c:励磁コイルの中間部
11La:励磁コイルの第1層部分
11Lb:励磁コイルの第2層部分
11Lc:励磁コイルの第3層部分
12:検出コイル(二次コイル)
12a:第1検出コイル(センス側コイル)
12b:第2検出コイル(キャンセル側コイル)
20:コイルボビン
21:本体部
22、23:フランジ部
24:凹部
25:切り欠き部
32:突起部
33:隙間
40:コイル線
41:端部
42:コイル部
50:回路基板
51:回路基板の一端部
52:突出部
54:パッド(端子)
100:磁気検出装置
110:磁気検出部
120:制御部
200:識別制御部
210:識別部
220:搬送制御部
230:処理部
300:記憶部
400:通信部
500:搬送部
1000:硬貨識別装置
COX:励磁用コア
CO1、CO2:検出用コア
DC:差動回路
M:磁界
S11、S12:検知信号
S21:差動信号
W:処理部
Y:センサ部
Z:交流電源
Z1:交流電圧
C:硬貨
P:搬送路

Claims (6)

  1. 硬貨が搬送される搬送路の一面側に設けられた第1検出コイルと、
    前記搬送路の前記一面側に設けられた第2検出コイルと、
    前記搬送路の前記一面側に設けられ、前記搬送路に磁界を生成する励磁コイルと、
    前記第1検出コイルの出力及び前記第2検出コイルの出力の差動出力を出力する差動出力部と、を備え、
    前記励磁コイルは、前記第1検出コイルにおける磁束密度が前記第2検出コイルにおける磁束密度よりも大きくなるように構成されている
    ことを特徴とする磁気検出装置。
  2. 前記励磁コイルは、前記搬送路からより遠い第1部分に比べて前記搬送路により近い第2部分においてコイル線がより多く巻回されている
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気検出装置。
  3. 前記励磁コイルは、前記第2検出コイルよりも前記第1検出コイルのより近くに位置する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の磁気検出装置。
  4. 前記搬送路により近い方を上方とし、前記搬送路からより遠い方を下方とすると、
    前記励磁コイルは、コイル線が下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第1層部分と、前記コイル線が前記第1層部分上を上方から下方に向かって螺旋状に巻回された第2層部分と、前記コイル線が前記第2層部分上を下方から上方に向かって螺旋状に巻回された第3層部分と、を含み、
    前記第3層部分は、前記搬送路からより遠い前記励磁コイルの第1部分と前記搬送路により近い前記励磁コイルの第2部分との間の中間部から前記第2部分にかけて設けられている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の磁気検出装置。
  5. 前記第1検出コイル及び前記第2検出コイルは、各々、巻線型チップインダクタである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気検出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の磁気検出装置と、
    前記磁気検出装置の検出結果に基づいて、前記搬送路を搬送される硬貨を識別する識別部と、を備える
    ことを特徴とする硬貨識別装置。
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