JP2010224856A - 磁性材検知装置、符号情報読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】バルクハウゼン信号を用いたカードシステムを構成する。
【解決手段】基材11上における磁性材12の配置位置をビット位置に対応させ、データが“1”であるビット位置に磁性材12を貼り付けて符号情報記録媒体10を製造する。送信側電磁界装置102は、1対の渦巻き状の励磁巻線120_1,120_2をプリント基板122上で対向させて配置してある。受信側電磁界装置104は、送信側電磁界装置102が検知領域に発生する磁界方向に対し、ループ状の検知巻線140の配列方向が90度となるようにプリント基板142の表裏に多数並べてある。検知巻線140は、符号情報記録媒体10を読取面において励磁巻線120に交番電流を供給したときに磁性材12から発生する磁気パルスを検知する。符号情報再生処理部300は、磁気パルスを検知した検知巻線140の配置位置に基づき磁性材12の配置位置を特定して符号情報を再生する。
【選択図】図1
【解決手段】基材11上における磁性材12の配置位置をビット位置に対応させ、データが“1”であるビット位置に磁性材12を貼り付けて符号情報記録媒体10を製造する。送信側電磁界装置102は、1対の渦巻き状の励磁巻線120_1,120_2をプリント基板122上で対向させて配置してある。受信側電磁界装置104は、送信側電磁界装置102が検知領域に発生する磁界方向に対し、ループ状の検知巻線140の配列方向が90度となるようにプリント基板142の表裏に多数並べてある。検知巻線140は、符号情報記録媒体10を読取面において励磁巻線120に交番電流を供給したときに磁性材12から発生する磁気パルスを検知する。符号情報再生処理部300は、磁気パルスを検知した検知巻線140の配置位置に基づき磁性材12の配置位置を特定して符号情報を再生する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁性材検知装置、符号情報読取装置に関する。
たとえば、入退管理を行なうために、個人情報を示す符号情報を平板状の記録媒体に記録しておき、記録媒体から符号情報を読み取る、いわゆる磁気カードやICカードの仕組みが知られている(特許文献1,2を参照)。
また、媒体に付与された磁性素子を検知する複数の検知回路のうち、磁性素子を検知した検知回路の組み合わせに応じて、磁性素子により形成される情報を読み取る情報読取装置が知られている(特許文献3参照)。
特許文献3の情報読取装置は、複写機のプラテンガラス上に置かれた原稿に付与された磁性素子を励磁・検知するために、複数の励磁コイルと検知コイルとをプラテンカバー内に有している。
本発明は、検知領域上のどの位置に置かれる磁性配線をも一定の方向の磁界により励磁し、検知することを可能にする磁性材検知装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、導体が矩形状の渦巻き状でかつ平面状に形成された励磁巻線を配置した送信側電磁界装置と、前記送信側電磁界装置の前記励磁巻線に交番電流を供給する交番電流供給部と、前記励磁巻線で形成された領域のうち、同方向の電流が流れる領域を検知領域とし、当該検知領域上に積層され、導体が長尺状に周回するように形成された複数本の検知巻線を、前記検知領域の励磁巻線により形成される磁界と交差するように一定の方向に互いに重なりをもって平面状に配列した受信側電磁界装置と、を備えたことを特徴とする磁性材検知装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記励磁巻線は、最内周が矩形状の前記検知領域の第1の辺をなすように平板状の基板に導体が渦巻き状に形成された第1の励磁巻線と、最内周が前記検知領域の前記第1の辺と対向する第2の辺をなすように前記基板の前記第1の励磁巻線が配置されている面と同じ面に導体が渦巻き状に形成された第2の励磁巻線とを有する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記受信側電磁界装置の各検知巻線は、平板状の基板の複数の配線層にて予め定められた間隔で並列に配置されており、同一層内の検知巻線どうしは重らないが別層の検知巻線とは重なりをもつように配列されている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の内の何れか一項に記載の前記磁性配線検知装置と、前記検知領域上に置かれる記録媒体に付加された磁性材から発せられる磁気パルスを前記検知巻線で検知することで得られる検知信号を切り替える切替部と、前記切替部で切り替えられた検知信号から前記励磁電流の成分を抑制して前記磁気パルスに対応する成分を取得する検知信号処理部と、前記検知信号処理部で取得された前記磁気パルスに対応する成分に基づいて、前記記録媒体に付加された磁性材により示されている符号情報を取得する符号情報取得部と、を有する符号情報再生処理部と、を備えることを特徴とする符号情報読取装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記符号情報取得部は、前記磁性材に関しての磁気パルスを検知する前記検知巻線の相対的な配置位置に基づいて、前記符号情報を取得する。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記符号情報取得部は、各位置の前記磁性配線に対してそれぞれ隣接する複数の前記検知巻線を含む群を割り当て、前記磁気パルスを検知している前記検知巻線が同一の群に属するときは、前記磁気パルスを検知している検知巻線がその群内の何れの位置のものであるかを問わず、その群に割り当てられている位置に前記磁性配線があると判定することで、前記符号情報を取得する。
請求項1に記載の発明によれば、検知領域上のどの位置に置かれる磁性配線をも一定の方向の磁界により励磁し、検知することが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、1つの励磁巻線で検知領域を形成する場合に比較し、より広い検知領域を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、同一層内に配列する検知巻線の間隔を狭めることなく、検知巻線に重なりを持たせることができる。
請求項4に記載の発明によれば、磁性配線からの磁気パルスを検知した検知巻線の各配置位置に基づいて、記録媒体に記録されている符号情報を再生することができる。
請求項5に記載の発明によれば、記録媒体に複数の磁性材が付加されている場合に、磁性材に関しての磁気パルスを検知する検知巻線の絶対的な配置位置に基づいて符号情報を取得する場合に比較して、記録媒体の検知領域上での配置の誤差の影響を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、1つの磁性材が複数の検知巻線で検知された場合であっても、符号情報を取得することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<全体概要>
図1は、符号情報記録読取システムの全体概要を示す図である。
図1は、符号情報記録読取システムの全体概要を示す図である。
図1(1)に示すように、符号情報記録読取システム1は、符号情報が記録されたカード状の符号情報記録媒体10、符号情報記録媒体10を製造する符号情報記録媒体製造装置30、符号情報記録媒体10に記録されている符号情報を読み取る符号情報読取装置50、符号情報読取装置50で読み取られた符号情報に基づき情報処理を行なう情報処理装置70を備える。情報処理装置70は、さらに、各種の管理サーバと接続されることもある。
符号情報記録媒体10には、磁性材の一例であるワイヤ状の磁性材12(磁性ファイバ)が、符号情報を表わすように付加される。
磁性材12は、たとえば、Fe−Co系アモルファス材、鉄系、Fe−Co−Ni系、Fe−Si−Al合金、センダスト、ニッケル−鉄系(Ni−Fe)、パーマロイNi−Mo−Cu−Feなどの軟磁性配線料で形成され、保磁力は1Oe以下で、大バルクハウゼン効果を有するものである。
符号情報記録媒体製造装置30は、磁性材12により符号情報を表わすように、1〜複数の磁性材12を、平板状の基材11に付加することで符号情報記録媒体10を製造する。たとえば、プラスティックで形成されたカード10を基材11の一例として使用し、この基材11の符号情報を表わすに当たっての決められた位置に接着剤で各磁性材12を貼り付ける。たとえば、基材11上における磁性材12の配置位置をビット位置に対応させ、データが“1”であるビット位置に磁性材12を貼り付けることで符号情報記録媒体10を製造する。
符号情報記録読取システム1は、大バルクハウゼン信号を用いたカードシステムであり、符号情報を表わすように磁性材12を付加した符号情報記録媒体10から符号情報を読み取ることで、一般的なカードシステムと同様の管理(たとえば入退室管理)を行なうようにする。
具体的には、符号情報読取装置50は、電磁界生成部の一例である送信側電磁界装置102(送信アンテナ装置)と電磁界検出部の一例である受信側電磁界装置104(受信アンテナ装置)との対および光検出部106を主要部として具備する符号情報読取部100と、送信側電磁界装置102により電磁界(交番磁界)を発生させる交番電流供給部110と、受信側電磁界装置104で検知された検出情報に基づいて信号処理を行なうことで符号情報を再生する符号情報再生処理部300を備える。
図1(2)に示すように、送信側電磁界装置102と受信側電磁界装置104は筐体101内に収容されている。筐体101には、符号情報記録媒体10の読取位置を規定するべく、符号情報記録媒体10の置かれる位置を規定する壁面が形成されるようにする。たとえば、符号情報記録媒体10の1つの角101aを規定するべく、読取位置の筐体の角101aをなす2つの辺縁101b,101cが立ち上がって壁面をなしている。
符号情報記録媒体10が読取位置に置かれるときにはその壁面に突き当てられること(壁面突当て方式)を原則とする。
光検出部106は、読取位置の角101aの読取面よりも外側に配置され、符号情報記録媒体10を検知するようになっている。待機時には、光検出部106が稼働しその他は非稼働となるようにしておく。光検出部106は、符号情報記録媒体10が読取り位置に置かれたことを検知する。そして、図示しない主制御部は、符号情報記録媒体10を光検出部106で検知すると、残りの各部を起動させる。
図1(2)に示すように、符号情報読取部100を構成する送信側電磁界装置102(送信アンテナ)は、符号情報記録媒体10に付加された磁性材12を磁化するための磁界を発生させる励磁巻線120(励磁コイル)を有する。詳細は後述するが、送信側電磁界装置102は、平板状の基材の一例であるプリント基板122に形成された渦巻き状の一対の励磁巻線120_1,120_2(渦巻きコイル)を近接して並べて配した構造を持つ。つまり、各渦巻きの最内周が矩形の検知領域の互いに対向する2つの辺をなすように同一平面に並列に配置されている。第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2は交番電流供給部110と接続される。
交番電流供給部110は、励磁巻線120に、数100〜数KHz(たとえば300〜3kHz)の交流電流(交番電流)を導通させることで、励磁巻線120より交番磁界を発生させる。たとえば、人が符号情報記録媒体10を符号情報読取部100の読取位置にかざす(接触させる、置く)ことで、符号情報記録媒体10の磁性材12の励磁が行なわれる。なお、図1(2)において、符号情報記録媒体10の長手方向をX方向、短手方向をY方向とする。
図1(2)に示すように、符号情報読取部100を構成する受信側電磁界装置104(受信アンテナ)は、送信側電磁界装置102よりも読取面側に接近して平行に配置される。受信側電磁界装置104は、励磁巻線120による励磁で磁化反転した磁性材12からの磁化反転パルスを検知する検知巻線140(検知コイル、受信素子、アンテナ素子)が、平板状の基材の一例であるプリント基板142の表裏(たとえば送信側電磁界装置102側を表とする)に形成されている。励磁巻線120と検知巻線140が対向して配置される。奇数番目を検知巻線140_O,偶数番目を検知巻線140_Eと記す。
詳細は後述するが、受信側電磁界装置104は、長尺状で周回するように配線が基板上に形成されたいわゆるループアンテナ(周回配線)構造の検知巻線140_O,140_Eを、一定のピッチで一次元方向(X方向)に配置した構造を持つ。このような構造の受信側電磁界装置104を、リニアアレー受信アンテナとも称する。
図1(2)では、送信側電磁界装置102と受信側電磁界装置104をそれぞれ別のプリント基板に形成し、それらを位置決めして接近して配置する例で示したが、このことは必須ではない。図1(3)に示すように、励磁巻線120と検知巻線140を同一のプリント基板132上に形成して送受信電磁界装置103(送受信アンテナ)として構成してもよい。
本実施の形態では、符号情報記録媒体10の磁性材12の配列方向と検知巻線140の配列方向を同じにして読み取ることを基本とする。
各検知巻線140は、符号情報再生処理部300と接続され、励磁巻線120により発生された電磁界内での磁性材12による磁界変化による誘導信号を検知して、その検知信号を符号情報再生処理部300に通知する。符号情報再生処理部300は、各検知巻線140で検知される誘導信号に基づき、各磁性材12の存在を検知する。
符号情報再生処理部300は、各検知巻線140を切り替える素子切替部302と検知信号処理部304を有する。
交番電流供給部110と検知信号処理部304は検知装置32に収容されている。検知装置32は、表示素子で構成された表示部306と制御部308も備える。制御部308は、素子切替部302や検知信号処理部304などの全体の動作を制御する。
表示部306は、表示素子として7SEG−LEDを使用し、この7SEG−LEDを4個使用して32ビット対応にしている。検知装置32は、たとえばRC232C規格に基づきパーソナルコンピュータなどの情報処理装置70と接続され、検知信号処理部304にて取得した符号情報を情報処理装置70に送る。
励磁巻線120と交番電流供給部110は送信配線34で接続され、各検知巻線140と素子切替部302は中継配線36で接続され、素子切替部302と検知信号処理部304は受信配線38で接続される。
符号情報再生処理部300は、検知電流をアナログ信号処理により電圧信号に変換し増幅する。この増幅後の信号をアナログ終端出力信号と称する。符号情報再生処理部300は、アナログ終端出力信号に基づいて各磁性材12に対応するパルス信号の有無を判定する。
たとえば、励磁巻線120によって交番磁界を発生させる。磁性材12は、比較的小さい交番磁界でパルス信号(磁気パルスと称する)を発生する性質を有している。この磁気パルスは磁性材12の持つ大バルクハウゼン効果に伴う磁気パルスである。すなわち、磁性材12は、その形状および結晶構造による磁気的な効果によって、軸線方向に強い磁気異方性を有する。
そして、磁性材12の保磁力よりも大きな振幅の交番磁界が印加されたときに、その磁界が保磁力を越えた瞬間に大バルクハウゼン効果によって、きわめて急峻な磁化反転を生じる。この磁化反転をたとえばコイルで形成された検知巻線140によって検出すると、パルス状の検知信号が交番成分に重畳されて得られる。
符号情報記録媒体10が読取位置にかざされると、送信側電磁界装置102により電磁界を発生させる。この状態で受信側電磁界装置104は各磁性材12からの信号を検知し、検知信号を符号情報再生処理部300に渡す。符号情報再生処理部300は、検知信号を処理し、符号情報記録媒体10の各磁性材12に対応する各パルス信号の有無に基づき符号情報を取得し、取得した符号情報を、図示しない主制御装置(たとえば管理サーバ)に送る。主制御装置は、予め記憶しておいた符号情報と比較して認証処理を行ない、認証に成功すると情報処理を許可し、認証処理に失敗したときには、ランプやブザーなどの警報装置を作動させる。
磁性材12が、符号情報を表わすようにする仕組みとしては、詳細は後述するが、第1の符号化方式と第2の符号化方式の何れかを採り得る。第1の符号化方式は、予め決められた各位置に磁性材12を配置するか否かによりデジタル情報のビットデータを表わす、つまり、1つ1つの磁性材12の有無をデジタル情報のビットデータに対応付ける。第2の符号化方式は、情報記録位置の基準を示す基準磁性材12_STDに対する他の磁性材12の配置位置の組合せ関係に基づき符号情報を表わすようにする。
何れの符号化方式も、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置(逆に言うと存在しない位置)が、受信側電磁界装置104の検知巻線140の配列(受信素子配列)の何番目かにより多ビット表現を行なう方式である。そして、第1の符号化方式は、磁性材12を検知する検知巻線140の配列位置をビット位置そのものに割り当てることで符号情報を表わす方式であり、第2の符号化方式は、基準磁性材12_STDを検知する検知巻線140に対する他の磁性材12を検知する検知巻線140の配置位置の組合せ関係により符号情報を表わす方式である。
また、符号化方式に拘わらず、符号情報記録媒体10の基準位置には情報記録位置の基準を示す基準磁性材12_STDを配置し、基準磁性材12_STDに対する他の磁性材12の位置情報を利用して符号情報を表現する方式を採ってもよい。符号情報記録媒体10を読取位置に載せるときの表裏の違いや天地の違いや配置誤差の影響を排除するためである。
配置誤差がある場合でも、検知巻線140の配列数(受信素子配列の配列数)を、表現するビット数の2倍以上にすることで、基準磁性材12_STDを使用しなくても配置誤差の影響は低減される。たとえば、検知巻線140の素子数に対するビット数が少なければ、磁性材12の使用数が少なくなるので、それぞれの磁性材12を検知する検知巻線140の数を複数にすることでその対応を採る。
配置誤差の影響を抑制しようとする各手法は何れも、隣接する複数の検知巻線140を含む群ごとに各磁性材12の検知を担当するものを割り当て、その群内の何れの検知巻線140で磁気パルスを検知していても、同一の磁性材12に関するものであると判定するものである。このような処理を「縮退」と称する。1つの磁性材12が複数の検知巻線140で検知される場合には、縮退の処理は有効である。
または、符号情報を示すように規定された各位置に配置される各磁性材12を検知するべく、ビットの各重み位置と対応付けて隣接する複数の検知巻線140を含む群に、それぞれ割り当てる。そして、その複数の検知巻線140の何れか1つでも、同じ位置の磁性材12の存在を検知していれば、そのビットの重み位置ではビット情報が存在すると判定するようにして、検知情報を縮退することで符号情報を表現する。換言すると、磁気パルスを検知している検知巻線140が同一の群に属するときは、その磁気パルスを検知している検知巻線140が、その群内の何れの位置のものであるかを問わず、その群に割り当てられている位置に磁性材12があると判定する。群内の各検知巻線140での検知結果を、何れも同じ磁性材12からのものと判定する。
X方向誤差があると、群内で、パルス情報が検知される検知巻線140が変わることがあるが、その場合に、群内での検知位置に拘わらず、同一の磁性材12からのものと判定する縮退処理を行なうことになる。角度誤差があると連続して隣接する複数素子でパルス情報が検知されることがあるが、その場合にも、それらを纏めて同一の磁性材12からのものと判定する縮退処理を行なうことになる。
<送信側電磁界装置>
図2〜図2Bは、送信側電磁界装置102の詳細を説明する図である。ここで、図2は、送信側電磁界装置102の全体を示す平面図である。図2Aは、送信側電磁界装置102を駆動する交番電流供給部110の構成例を示す図である。図2Bは、検知領域に形成される磁界を説明する図である。
図2〜図2Bは、送信側電磁界装置102の詳細を説明する図である。ここで、図2は、送信側電磁界装置102の全体を示す平面図である。図2Aは、送信側電磁界装置102を駆動する交番電流供給部110の構成例を示す図である。図2Bは、検知領域に形成される磁界を説明する図である。
図2に示すように、送信側電磁界装置102は、矩形状の平板状で渦巻き状の一対の励磁巻線120_1,120_2(渦巻きコイル)がプリント基板122上に近接してY軸方向に並べて配されている。第1励磁巻線120_1は、第1給電始点124_1と第1給電終点126_1の間に、巻線の全体形状が長方形となるように、渦巻き状に配線がパターン形成されている。第2励磁巻線120_2は、第2給電始点124_2と第2給電終点126_2の間に、巻線の全体形状が長方形となるように、渦巻き状に配線がパターン形成されている。励磁巻線120_1,120_2の渦巻きのピッチは同じで、かつ、好ましくは、対向間隔も渦巻きのピッチと同じにする。なお、図示した例では、励磁巻線120_1,120_2の周回方向は同じにしている。
長方形の第1励磁巻線120_1のX軸方向の中央線となる最内周の巻線をX軸方向の第1の長辺128_1とし、長方形の第2励磁巻線120_2のX軸方向の中央線となる最内周の巻線をX軸方向の第2の長辺128_2とし、X軸方向の第1の長辺128_1の一方の端点(第1給電終点126_1)と第2の長辺128_2の対向する端点(第2給電終点126_2)を結ぶ線をY軸方向の第1の短辺129_1とし、X軸方向の第1の長辺128_1の他方の端点(第1給電終点126_1とは反対側)と第2の長辺128_2の対向する端点(第2給電終点126_2と反対側)を結ぶ線をY軸方向の第2の短辺129_2とする。
各長辺128_1,128_2と短辺129_1,129_2で囲まれた領域が検知領域に対応し、この部分に読取対象となる符号情報記録媒体10(の磁性材12が配置される領域)が対応するように、筐体101に読取位置が設定される。
図2Aに示すように、交番電流供給部110は、第1励磁巻線120_1を駆動する第1交番電流供給部110_1と、第2励磁巻線120_2を駆動する第2交番電流供給部110_2を有する。第1給電始点124_1と第1給電終点126_1は第1交番電流供給部110_1と接続され、第2給電始点124_2と第2給電終点126_2は第2交番電流供給部110_2と接続される。
ここで、励磁巻線120_1,120_2の周回方向は同じであるので、第1交番電流供給部110_1と第2交番電流供給部110_2は、第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2に逆位相で同じ大きさの交番電流を供給する。これにより、第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2が設置される送信側電磁界装置102の中央部に同一方向の磁界が生じる領域(検知領域)が確保される。
同一周回方向に渦巻き状に形成されている向かい合わせた励磁巻線120_1、120_2に対して、励磁電流を、同じ大きさでかつ位相が逆になるようにして、向かい合わせた位置の磁界方向が同じ向きになるようにしているが、励磁巻線120_1、120_2の周回方向が逆の場合には、励磁電流の位相が同じになるようにすればよい。すなわち、検知領域内の配線(導体)に同方向の電流が流れるようにすればよい。
電磁気学における右ネジの法則からさらに詳細に説明すると、
図2B(1)に示すように、導線に電流が流れると、その電流によって導線の周りには円形の磁力線が生じる(半径に応じて磁束密度は小さくなる)。その磁力線の向きは、右回りのネジを電流の方向に捻じ込むときのネジの回転する方向である。このような事象が、第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2の各配線(導体)に起こる。
図2B(1)に示すように、導線に電流が流れると、その電流によって導線の周りには円形の磁力線が生じる(半径に応じて磁束密度は小さくなる)。その磁力線の向きは、右回りのネジを電流の方向に捻じ込むときのネジの回転する方向である。このような事象が、第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2の各配線(導体)に起こる。
たとえば、図2を模式的に示した図2Aにおいて、励磁巻線120_1、120_2の周回方向が同じであり、第1励磁巻線120_1と第2励磁巻線120_2に逆位相の電流を供給する。励磁巻線120_1において、検知領域の外側となる領域AではX方向と反対方向に電流が流れ、検知領域の半分を担当する領域BではX方向に電流が流れる。また、励磁巻線120_2において、検知領域の半分を担当する領域CではX方向に電流が流れ、検知領域の外側となる領域DではX方向と反対方向に電流が流れる。
右ネジの法則に基づき、磁力線の向きを、図2Aでは、紙面の手前側から奥側へを○付きの“×”印で示し、紙面の奥側から手前側へを○付きの“・”(ドット)印で示している。各領域A,B,C,Dでの励磁巻線120をなす各導体の周りのプリント基板122上でのZ軸方向(紙面と垂直方向)の磁力線の向きは次のようになる。領域Aでは、外側では紙面の手前側から奥側へ、長辺128_1(中心線)側では紙面の奥側から手前側へ、となる。領域Bでは、長辺128_1(中心線)側では紙面の奥側から手前側へ、中央側(励磁巻線120_2側)では手前側から奥側へ、となる。領域Cでは、中央側(励磁巻線120_1側)では奥側から手前側へ、長辺128_2(中心線)側では紙面の手前側から奥側へ、となる。領域Dでは、長辺128_2(中心線)側では紙面の奥側から手前側へ、外側では紙面の奥側から手前側へ、となる。つまり、検知領域をなす領域B,Cでは、各導体の周りに形成される磁力線の向きや磁束密度分布が同じである。
さらに詳しくは、これらの関係は、プリント基板122上でのY軸方向の同一位置におけるX軸方向の検知領域(領域B,C)の範囲内では同じである。その結果、図2A,図2B(2)に示すように、プリント基板122(検知領域)の励磁巻線120の導体と対向する位置での、プリント基板142上の磁界は、励磁巻線120の導体を問わず、Y軸方向と反対方向で同じである。
また、励磁巻線120_1,120_2の渦巻きのピッチW1_1,W1_2を同じにし、かつ、対向間隔W2も渦巻きのピッチと同じにすると、検知領域をなす領域B,C内では、各導体によって生成される磁力線が合成される。結果的には、何れの導体でも、導体からの距離が同じ位置では合成した磁束密度は同じになる。
検知領域全体としては、各導体間の磁束密度分布は同じ(一様)であり、その磁束密度分布が導体の配置周期で繰り返される。その結果、図2B(2)に示すように、プリント基板142上においても、励磁巻線120をなす各導体と対向する位置での磁束密度は同じになるし、導体間での磁束密度分布は同じ(一様)であり、その磁束密度分布が導体の配置周期で繰り返される。
なお、同方向の電流が流れる配線(導体)によって形成される検知領域を、配線が渦巻き状でかつ平面状に形成された1つの励磁巻線120内に確保しようとすると、その領域の面積は本実施の形態の検知領域よりも狭くなってしまう。
励磁巻線120の配置位置精度や製造容易性などの観点から、渦巻き状の励磁巻線120を平面状で固定するためにプリント基板122上に形成しているが、このことも必須ではなく、他の保持手段で平面状となるように各導体を固定してもよい。たとえば各別に製造した励磁巻線120_1,120_2を平板状の支持基材上に接着剤で貼り付けてもよい。
<受信側電磁界装置>
図3〜図3Cは、受信側電磁界装置104の構成例を示す図である。ここで、図3は、受信側電磁界装置104の全体を示す平面図である。図3Aおよび図3Bは、受信側電磁界装置104の部分拡大図である。図3Cは、検知巻線140の配置態様の詳細を説明する図である。
図3〜図3Cは、受信側電磁界装置104の構成例を示す図である。ここで、図3は、受信側電磁界装置104の全体を示す平面図である。図3Aおよび図3Bは、受信側電磁界装置104の部分拡大図である。図3Cは、検知巻線140の配置態様の詳細を説明する図である。
図示のように、受信側電磁界装置104は、1T(1周回、1ターン)の長尺状のループアンテナをなすようにプリント基板142上に配線パターンが形成された検知巻線140が、X方向に一定ピッチで配置されている。各検知巻線140の始点144と終点146は、プリント基板142の一方の長辺部に配置されている。
始点144_O,144_Eと終点146_O,146_Eは、符号情報再生処理部300の素子切替部302(図3では図示しない)と接続される。ここで、各検知巻線140_O,140_Eの各始点144_O,144_Eは共通に素子切替部302と接続されるが、各検知巻線140_O,140_Eの各終点146_O,146_Eは各別に素子切替部302と接続される。なお、始点と終点の接続関係を逆にしてもよい。
このような構造の受信側電磁界装置104は、送信側電磁界装置102で形成される「一様磁界」の磁界方向に対し、検知巻線140の配列方向が90度になるようにプリント基板142上に配置し、検知巻線140が形成されたプリント基板142を検知領域に接近して配する。つまり、図2のX軸とY軸を図3のX軸とY軸とそれぞれ揃えて、図2の送信側電磁界装置102における検知領域の部分に受信側電磁界装置104を配置する。
こうすることで、送信側電磁界装置102と受信側電磁界装置104の組合せにより、送信側電磁界装置102の励磁巻線120により形成される受信側電磁界装置104のプリント基板142上での一様磁界の磁界方向(Y軸方向)と、プリント基板142上の各検知巻線140の配列方向(X軸方向)が90度になるように接近して配置された送受信アンテナが構成される。
ここでは、好ましい態様として、プリント基板142上の各検知巻線140の配列方向が、励磁巻線120により形成される受信側電磁界装置104のプリント基板142上での一様磁界の磁界方向と90度になるように配置しているが、このことは必須ではない。90度としているのは、検知領域と対面する読取面での読取領域とがほぼ一致するようにするためと、検知電磁気学上、検知感度が最も高くなるような関係から決めている。
90度にせず、矩形の検知領域と矩形の読取領域を斜めに配置すると、検知領域と対面する読取面での有効的な読取領域が狭くなる。また、読取領域に適正な角度で置かれた符号情報記録媒体10の磁性材12に対しては斜めに磁界(磁力線)が作用するので検知感度が低くなってしまう。したがって、有効読取領域が狭くなるし検知感度が低くなってしまうが、90度で配置しなくてもよい。また、検知感度は励磁電流にも左右されるから、この配置角度に起因して検知感度低下が問題となるときには、励磁電流を大きくすればよい。
検知巻線140は、重なりをもって配列されている。ここで、重なりをもつとは、ループアンテナの内部の領域が重なることを意味する。本実施形態においては、各検知巻線140のループをなすための左右の配線を0.5mmピッチとしているが、このような狭い間隔のループアンテナを使用する場合、これらのループアンテナが互いに重なりをもつように単層(同一層内)に形成するのは製造上限界がある。
検知巻線140をプリント基板142上に形成するに当たっては、表裏や内層を使用した複数層の配線方式を適用して、同一層内の検知巻線140どうしは重ならずとも、別層の検知巻線140とは重なりをもつように配列するのがよい。
好ましくは、符号情報記録媒体10に磁性材12を均等ピッチで配列してもよいように、全層の検知巻線140の配列ピッチが均等となるようにするのがよい。
なお、検知巻線140に重複を持たせると、1つの磁性材12がその重複部分に位置しているときには、複数の検知巻線140で検知信号を取得することになるので、表現するビット数を素子数に対して1/2倍以下に落とすのが好ましい。換言すると、検知巻線140の配列数(受信素子配列の配列数)を表現するビット数の2倍以上にするのが好ましい。また、磁性材12の貼付け誤差を加味すれば検知巻線140の配列数を表現するビット数の2倍以上にするだけでは不十分であり、貼付け誤差による誤検知を排除する程度に素子数を増やすのがよい。また、X方向の位置誤差や角度誤差に対しての対処にも配慮するのがよい。
たとえば、プリント基板142の表裏に各検知巻線140を配置することで、検知巻線140を、表側の偶数番目の検知巻線140_Eと裏側の奇数番目の検知巻線140_Oの組に分ける。そして、隣り合う検知巻線140_Eと検知巻線140_Oの1組が重複を持って配列されるようにする。各検知巻線140_Eの各始点144_Eと各検知巻線140_Oの各始点144_Oは、共通に素子切替部302と接続されるが、各検知巻線140_Oの各終点146_Oと各検知巻線140_Oの各終点146_Oは、それぞれ各別に素子切替部302と接続される。
また、表側の偶数番目の検知巻線140_Eと裏側の奇数番目の検知巻線140_Oは、隣合う各偶数の場合は奇数番目の検知巻線140_O、奇数番目の検知巻線140_Oは偶数番目の検知巻線140_Eの約50%の領域をカバーするように配置する。
たとえば、図3Cに示すように、表裏を問わず各検知巻線140のX方向におけるループをなすための左右の配線を0.5mmピッチとし、表側の偶数番目の検知巻線140_Eと裏側の奇数番目の検知巻線140_Oをそれぞれの中心が1.5mmピッチとなるように配置する。nを1以上の正の整数としたとき、奇数(2n−1)番目の検知巻線140_Oと偶数(2n)番目の検知巻線140_Eの中心間距離は0.5mm(=ピッチの2/3)となり、偶数(2n)番目の検知巻線140_Eと奇数(2n+1)番目の検知巻線140_Oの中心間距離は1.0mm(=ピッチの4/3)となるように配置している。表裏で中心位置を不均等に配置しているが、それぞれの中心間距離の平均値{=(0.5+1.0)/2}は0.75mmとなり、これを表裏の検知巻線140の平均ピッチと定義する。このような場合も、以下では、「表裏の検知巻線140は0.75mmピッチで配置される」などと記載することもあるが、正しくは、前述のように、平均ピッチが0.75mmである。
本例において、「検知巻線140_Eと検知巻線140_Oは、隣合う各偶数の場合は奇数番目の検知巻線140_O、奇数番目の検知巻線140_Oは偶数番目の検知巻線140_Eの約50%の領域をカバーする」部分は、図にハッチングで示すように、2n−1番目の検知巻線140_Oと2n番目の検知巻線140_Eが重複する部分である。
図示しないが、表側の偶数番目の検知巻線140_Eと裏側の奇数番目の検知巻線140_Oをそれぞれの中心が1.5mmピッチとなるように配置し、かつ、表裏を問わず各検知巻線140の中心間距離が0.75mmとなるように、表裏で均等に配置してもよい。この場合、「平均」という言葉を使うまでもなく、表裏の検知巻線140は0.75mmピッチで配置される。
ここでは、好ましい態様として、検知巻線140の配置位置精度や製造容易性の観点から、1ターンの各検知巻線140_O,140_Eを、各導体が平行となるようにプリント基板142上にパターン形成し、励磁巻線120_1,120_2が配置されているプリント基板122の検知領域と対向する比較的近い位置にプリント基板142を配置しているが、このことは必須ではない。たとえば、本例では、製造容易性の観点から周回数を1にしているが、複数の配線層を利用するなどして周回数を複数にしてもよい。また、他の保持手段で各検知巻線140_O,140_Eをそれらの配列ピッチを維持するように固定してもよい。たとえば、各別に製造した検知巻線140_O,140_Eを平板状の支持基材の表裏何れかの面に配列ピッチを維持するように接着剤で貼り付けてもよい。
<信号処理部>
図4は、符号情報再生処理部300(特に素子切替部302と検知信号処理部304)の構成例を説明する図である。符号情報再生処理部300の各機能部の動作は制御部308により制御される。
図4は、符号情報再生処理部300(特に素子切替部302と検知信号処理部304)の構成例を説明する図である。符号情報再生処理部300の各機能部の動作は制御部308により制御される。
素子切替部302は、接続部312と、切替部314と、直流阻止濾波回路316と、電圧増幅機能を持つ増幅器318を備え、受信側電磁界装置104の各検知巻線140との接続を順次または任意に(ランダムに)に切り替えるようになっている。
接続部312は、送信側電磁界装置102の各検知巻線140と接続され、切替部314との間の接続インタフェース機能を持つ。切替部314は、複数の検知巻線140による検知信号(誘導信号S1)を順次または任意に直流阻止濾波回路316に渡すために各検知巻線140との接続を切り替える機能を持つ。一例としては、8入力−1出力型のアナログスイッチ315(AN−SW)を複数個使用する。
検知巻線140_Eの各始点144_Eと各検知巻線140_Oの各始点144_Oは、共通に素子切替部302側の基準電位(たとえば接地電位)と接続され、各検知巻線140_Oの各終点146_Oと各検知巻線140_Oの各終点146_Oは、それぞれ各別にアナログスイッチ315の入力端と接続される。各アナログスイッチ315の制御入力端には、共通に選択入力信号を供給する。「共通に選択入力信号を供給する」とは、各アナログスイッチ315では、同一番号の入力端の信号を選択して出力するような形態であることを意味する。
M(=j×k)本の検知巻線140(M素子と記載する)とk個のアナログスイッチ315との接続関係は、M素子からの誘導信号S1を各別に受信する手法と、連続して隣接するk素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法の何れをも選択的に採り得るように構成するのが好ましい。前者では、検知巻線140ごとに検知した情報に基づいて、符号情報記録媒体10の何処に磁性材12があるかにより符号化するし、後者では、k素子分ごとに纏めて検知した情報に基づいて、その内のどこに符号情報記録媒体10の磁性材12があるかにより符号化する。後者の方が前者よりも処理時間は短縮される。また、k素子分ごとに纏めて1つの検知情報を取得するので、縮退の機能が作用する。
また、本実施形態は、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置(逆に言うと存在しない位置)が、受信側電磁界装置104の検知巻線140の配列(受信素子配列)の何番目かにより多ビット表現を行なう方式を採る場合において、予め連続して隣接する複数の素子を規定し、それらで識別した情報に基づいて符号情報を識別する点に特徴がある。
たとえば、符号情報記録媒体10への磁性材12の存在の有無が、受信側電磁界装置104の検知巻線140の配列(受信素子配列)の何番目か、に基づいて多ビット表現を行なう方式を適用する。この場合において、受信素子配列の配列数を、表現するビット数のk倍にする場合、連続して隣接するk素子からの誘導信号S1を同時に受信する方式を採り、複数の素子で識別した情報に関し、情報表現する範囲において1つでもパルス信号が存在すれば符号情報がアクティブであるとみなすようにして縮退して表現する方法を採る。
ただし、符号情報記録媒体10の検知領域への配置において、X軸方向への配置誤差や角度誤差が少ないときには問題ない手法であるが、位置誤差や角度誤差があった場合、重複して検知される現象のため符号情報の取得が不適正になる点に考慮する必要がある。
たとえば、受信側電磁界装置104は128素子を有する場合に、32素子ごとに素子切替部302のプリント基板を設ける場合、素子切替部302用のプリント基板は4枚となる。各プリント基板では、32素子を4個のアナログスイッチ315で切り替える。各アナログスイッチ315は、選択制御信号に基づき8素子からの誘導信号S1_1〜S1_8(8チャネル分:8ch分)を、順番にまたは任意に選択して(選択後の信号を誘導信号S1と記す)、直流阻止濾波回路316に渡す。また、各アナログスイッチ315のイネーブル端子を順番にまたは任意に活性化(アクティブに)することで、32素子からの検知信号を、順番にまたは任意に、直流阻止濾波回路316に渡す。
直流阻止濾波回路316は、切替部314での素子切替え時に発生し得る直流成分のオフセットを阻止するべく高周波通過濾波回路を有し、直流成分を阻止した誘導信号S2を増幅器318に渡す。増幅器318は、直流成分が阻止された誘導信号S2を電圧信号に変換するとともに信号振幅が一定の大きさになるように増幅して検知電圧信号S3を生成する。
32本の検知巻線140_j,k(jは1〜8,kは1〜4)と各アナログスイッチ315_kとの接続関係は、連続して隣接する4素子からの誘導信号S1を同時に受信し得るように接続する。たとえば、k番目のアナログスイッチ315のj番目の入力端には、“4j+k−4”番目の誘導信号S1を入力する。こうすることで、4個のアナログスイッチ315のイネーブル端子を同時に活性化することで、4j−3番目と4j−2番目と4j−1番目と4j番目の各誘導信号S1が同時に4個のアナログスイッチ315で選択されることになる。連続して隣接する4素子の何れかで磁性材12を検知していれば、その情報が増幅器318に通知される。連続する4素子分ごとその内のどこに磁性材12があるかにより符号化する仕組みが実現される。このような素子切替部302の配線態様を同時検出対応配線構造と称する。
前例では、接続部312を介した各検知装置32と複数のアナログスイッチ315の入力端の接続関係を工夫することで、素子ごとに誘導信号S1を受信する手法と連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法の何れをも選択的に採り得るように構成していた。しかしながら、素子切替部302にてこのような仕組みを採ることは必須ではなく、検知信号処理部304にて、その仕組みを実現するように構成してもよい。
また、連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法を適用しないときには、一般的な接続態様にしてもよい。たとえば、素子切替部302については、32本の検知巻線140_j,k(jは1〜8,kは1〜4)と4個のアナログスイッチ315_kとの接続関係は、順番に各素子からの誘導信号S1を受信し得るように接続する。たとえば、k番目のアナログスイッチ315のj番目の入力端には、“8k+j−8”番目の誘導信号S1を入力する。アナログスイッチ315の入力端が順番に選択されるように選択制御信号を供給するとともに、4個のアナログスイッチ315のイネーブル端子を順番に活性化することで、“8k+j−8”番目の誘導信号S1が順番に各アナログスイッチ315で選択されることになる。このような素子切替部302の配線態様を順次検出配線構造と称する。
以下では、検知信号処理部304にて、素子ごとに誘導信号S1を受信する手法と連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法の何れをも選択的に採り得るように構成する場合の検知信号処理部304について説明する。
検知信号処理部304は、前段信号処理部330と後段信号処理部350とAD変換部370とデジタル信号処理部700を備える。前段信号処理部330は、K個の素子切替部302からの各検知電圧信号S3を加算する機能部(加算部332a)と電圧増幅機能部(増幅部332b)を持つ加算増幅部332と緩衝増幅部334(バッファアンプ)を備える。
素子切替部302側については、先ず、32本の検知巻線140_j,k(jは1〜8,kは1〜4)と各アナログスイッチ315_kとの接続関係は、連続して隣接する4素子からの誘導信号S1をK個の素子切替部302にて同時に受信し得るように接続する。たとえば、K番目の素子切替部302には、“4J+K−4”番目(J=1〜32、K=1〜4)の検知巻線140を担当するように割り当てる。そして、各素子切替部302では、担当する検知巻線140について、素子ごとに誘導信号S1を順番に受信する手法を実現する配線態様にする。先に示した、同時検出対応配線構造と順次検出配線構造の何れを採用していてもよい。
これにより、各素子切替部302では必ず何れか1つの検知巻線140を選択するようにアナログスイッチ315へのイネーブル信号を取り扱う場合には、4J−3番目と4J−2番目と4J−1番目と4J番目の各検知電圧信号S3_1〜S3_4が同時に加算増幅部332に供給される。加算増幅部332には、各素子切替部302からの検知電圧信号S3が同時に供給されるので、それらを加算した上で電圧増幅を行ない緩衝増幅部334を介して検知電圧信号S4として後段信号処理部350に渡す。連続する4素子分ごとに、その内のどこに磁性材12があるかにより符号化する仕組みが実現される。このような検知信号処理部304の構造を同時検出対応回路構造と称する。
たとえば、1〜4番目の何れかの検知巻線140の位置に磁性材12が存在し、5〜8番目の全ての検知巻線140の位置には磁性材12が存在しないとき、1〜4番目を纏めた検知電圧信号S3にパルス情報が含まれ、5〜8番目を纏めた検知電圧信号S3にパルス情報が含まれないことになる。ただし、符号情報記録媒体10の検知領域への配置において、X軸方向への配置誤差や角度誤差があって、1つの磁性材12が4番目と5番目に検知巻線140に引っかかって検知されるようなケースでは問題となる。すなわち、1〜4番目を纏めた検知電圧信号S3と5〜8番目を纏めた検知電圧信号S3の双方にパルス情報が含まれ、正しい情報が得られないことになる。本実施形態では、素子を順番に切り替えて検知する方式にも対応しており、相対的な位置関係に基づいた処理を適用することで、配置誤差や角度誤差がある場合にも正しい情報が得られる。
なお、連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法を適用しないときには、加算増幅部332は加算機能を有しない単純な電圧増幅機能を持つ増幅部とすればよい。また、加算増幅部332を備える構成であっても、4個の素子切替部302を順番に選択するようにアナログスイッチ315へのイネーブル信号を取り扱うことで、連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法を適用せずに、素子ごとに誘導信号S1を順番に受信する手法を実現してもよい。この場合、複数の素子からの誘導信号S1を各別に受信する手法と、連続して隣接する複数の素子からの誘導信号S1を同時に受信する手法の何れをも選択的に採り得る構成となる。
後段信号処理部350は、帯域阻止濾波回路352と、電圧増幅機能を持つ増幅部354と、検波処理部356と、振幅制限部358を備える。
帯域阻止濾波回路352は、検知電圧信号S4から交番磁界の成分を抑制する交番磁界成分抑制処理部の一例であり、励磁周波数成分を減衰させるバンドエリミネーションフィルタ(Band Elimination Filter ,ノッチフィルタ)処理により検知電圧信号S4から交番磁界成分を減衰して検知電圧信号S5を生成し、この検知電圧信号S5を増幅部354に渡す。なお、交番磁界成分(交番磁界の励磁周波数成分)を減衰させる抑制処理は、アナログ終端出力信号に含まれる交番磁界成分がより少なくなるようにする処理を意味し、交番磁界成分が完全に除去されるものでなくてもよい。
増幅部354は、AD変換部304の変換レンジに適合するような振幅およびDCレベルに変換して検知電圧信号S6を生成する。たとえば、増幅部354の増幅率としては90〜100デシベル程度のものを使用する。各検知巻線140で検知される誘導信号S1に基づく検知電圧信号S6が大きくなるように増幅することで、一次元配列のアンテナの感度ムラによる読み取りミスを防ぐようにする。
検波処理部356と振幅制限部358を備えない構成の場合、増幅部354は検知電圧信号S6をAD変換部370に渡す。
検波処理部356と振幅制限部358を備える構成の場合、検知電圧信号S6が検波処理部356に供給される。検波処理部356は、検知電圧信号S6から各検知巻線140で検知される磁気パルス成分を抽出する。一例としては、高周波通過濾波回路によりパルス電圧成分を抽出する。検波処理部356は、検波信号S7を振幅制限部358に渡す。
検波処理部356は、連続して隣接する複数の素子でパルス情報が検知された場合に、それらを纏めて1つのパルス情報にする機能を持つ。たとえば、符号情報記録媒体10が角度誤差を持って読取位置に置かれたときには、1つの磁性材12により隣接する複数の検知巻線140でパルス情報が各別に検知される。これを検波処理部356で1つのパルス情報に変換する。
振幅制限部358は、検波信号S7の振幅を最大範囲まで増幅して振幅制限をかけ、振幅制限信号S8をAD変換部370に渡す。複数の素子について同時に検出する方式を適用すると、同一グループ内の1素子のみで検知しているときと全素子で検知しているときとでは検知電圧信号S6のレベルが大きく異なる。また、複数の素子について同時に検出する方式を適用せずに素子ごとに検知する方式では、同時に検出する方式において同一グループ内の1素子のみで検知しているときと同じレベルになる。この点に鑑み、本実施形態では、振幅制限部358を設けることで、受信素子数に拘わらず概ね同じレベルの情報がAD変換部370に通知されるようにする。
AD変換部370は、振幅制限信号S8をデジタル信号に変換することで検知データDdet を生成し、この検知データDdet をデジタル信号処理部700に渡す。デジタル信号処理部700は、検知データDdet に基づき、符号情報記録媒体10に付加された磁性材12により示されている符号情報を取得する、つまり、検知データDdet から符号情報を再生する。
デジタル信号処理部700は、符号情報取得部の一例であり、検知データDdet から符号情報を再生する際には、受信側電磁界装置104の検知領域で使用されている検知巻線140の数(素子数)、基材11に磁性材12を貼り付ける際の符号化方式や表現ビット数などに基づいて、磁性材12を検知した検知巻線140の位置情報を示す検知データDdet から符号情報を再生する。
制御部308やデジタル信号処理部700は、たとえば、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるパーソナルコンピュータなどの電子計算機と同様の仕組みを利用したコンピュータシステム900の構成にする。つまり、デジタル信号処理部700は、検知データDdet から符号情報を再生する処理機能を、プログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現する構成にする。符号情報再生処理をソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、符号情報再生処理手順や制御処理などが容易に変更されることとなる。
たとえば、コンピュータシステム900は、CPU、読出専用の記憶部であるROM、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM、不揮発性の記憶部の一例であるNVRAMを有して構成される。
<情報読取処理:第1実施形態:基本>
第1実施形態は、第1の符号化方式を適用するものである。すなわち、第1実施形態では、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置が、検知巻線140の配列の何番目に該当するかに基づいて多ビット表現を行なう方式を採り、かつ、磁性材12を検知する検知巻線140の配列位置をビット位置そのものに割り当てることで符号情報を表わす。
第1実施形態は、第1の符号化方式を適用するものである。すなわち、第1実施形態では、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置が、検知巻線140の配列の何番目に該当するかに基づいて多ビット表現を行なう方式を採り、かつ、磁性材12を検知する検知巻線140の配列位置をビット位置そのものに割り当てることで符号情報を表わす。
一例として、受信側電磁界装置104の検知領域サイズは、Y方向は60mm、X方向は96mmで、検知領域内の素子数(検知巻線140の配列数)が128本であるものとする。理解を容易にするため、1つの磁性材12が1つの検知巻線140で検知されるとしてまずは説明する。
素子配列のピッチは0.75mmになる。符号情報記録媒体10の磁性材12が配置される領域の寸法(カードサイズと称する)は、Y方向は54mm、X方向は86mmであるものとする。つまり、符号情報記録媒体10の情報記録領域寸法(Y×X)は54×86mmで、これに対して、60×96mmの検知領域に一次元(X方向)に128素子の検知巻線140を配置している。
符号情報記録媒体10を受信側電磁界装置104の読取位置に置くとき、本実施形態では、壁面突当て方式を採用しており、基準位置の角が角101a側となり、符号情報記録媒体10の辺縁が読取位置の辺縁101b,101cと接するように置くことを原則としている。
本実施形態では、符号情報記録媒体10内の磁性材12の位置情報を利用して符号情報を表現するが、第1の符号化方式では、磁性材12を検知する検知巻線140の配列位置をビット位置そのものに割り当てることで符号情報を表わす。たとえば、磁性材12が存在すれば“1”で存在しなければ“0”とする。このとき、磁性材12と検知巻線140を1対1に対応付けるのが、ビット数(つまり表わし得るデータ量)が最も多い状態となる。
本例では、受信側電磁界装置104の検知領域のX方向には128素子を配置しているので、最大で128ビットを表わし得る。ただし、1つの磁性材12が複数の検知巻線140で検知される場合には、前述した縮退の処理を行なう必要があるため、128素子よりも少ない数の磁性材12で符号情報を再生する必要がある。
<情報読取処理:第1実施形態:第1変形例>
図5は、情報読取処理の第1実施形態の第1変形例を説明する図である。第1実施形態(第1変形例)では、基準磁性材12_STDと他の磁性材12の相対的な位置に基づいて多ビット情報を表現する方法を採る。符号情報再生処理部300では、各検知巻線140を切り替えながら、基準磁性材12_STDと他の磁性材12を検知する検知巻線140の配置位置をそれぞれ特定する。
図5は、情報読取処理の第1実施形態の第1変形例を説明する図である。第1実施形態(第1変形例)では、基準磁性材12_STDと他の磁性材12の相対的な位置に基づいて多ビット情報を表現する方法を採る。符号情報再生処理部300では、各検知巻線140を切り替えながら、基準磁性材12_STDと他の磁性材12を検知する検知巻線140の配置位置をそれぞれ特定する。
受信素子配列の配列数を、表現するビット数の2倍以上(R倍とする)にしておき、符号情報記録媒体10の基準磁性材12_STDの検出位置から連続して受信素子(検知巻線140)のR個分ごとに、その内のどこ(何番目)に磁性材12があるか(どのR個分の箇所で検知したか)により多ビット表現をする。基準磁性材12_STDを検出した検知巻線140の位置を基準として、R素子ごとの相対位置で判定すると言うことである。
基準磁性材12_STDを検知する検知巻線140の位置に対して、Zビット目の磁性材12_Zを検知する検知巻線140の位置が配列ピッチの4Z倍の位置となる。X方向誤差が如何様にあっても、この相対的な位置関係が変わることはない。よって、X方向の位置誤差が受信素子の平均配列ピッチのR倍よりも小さくなく相対位置で判定するときには、デジタル信号処理部700はこの関係に基づき符号情報を取得すればよい。
一方、X方向の位置誤差が受信素子の平均配列ピッチのR倍よりも小さく絶対位置で判定するときには、4Z−3番目(4素子の内の1番目),4Z−2番目(4素子の内の2番目),4Z−1番目(4素子の内の3番目),4Z番目(4素子の内の4番目)の4つの検知巻線140が担当するZビット目に着目すればよい。
図5(1)に示すように、X方向誤差が1ピッチ分未満のときには1番目の検知巻線140_Z1 で磁性材12_Zを検知する。図5(2)に示すように、X方向誤差が1ピッチ分以上で2ピッチ分未満のときには2番目の検知巻線140_Z2 で磁性材12_Zを検知する。図5(3)に示すように、X方向誤差が2ピッチ分以上で3ピッチ分未満のときには3番目の検知巻線140_Z3 で磁性材12_Zを検知する。図5(4)に示すように、X方向誤差が3ピッチ分以上で4ピッチ分未満のときには4番目の検知巻線140_Z4 で磁性材12_Zを検知する。
各検知巻線140_Z1 〜140_Z4 の検知情報を区別してそのまま用いると正しい符号情報にはならない。そこで、デジタル信号処理部700は、検知巻線140_Z1 〜140_Z4 で磁性材12_Zの検知を担当させ、その4個分の範囲内(検知巻線140_Z1 〜140_Z4 )の何れかの受信素子で磁性材12を検知していれば、全て同じ磁性材12_Zを検知していると判定することで符号情報を再生する。
<情報読取処理:第1実施形態:第2変形例>
図5Aは、情報読取処理の第1実施形態の第2変形例を説明する図である。第1実施形態(第2変形例)は、角度誤差とX方向の誤差に対する対処を採るものである。
図5Aは、情報読取処理の第1実施形態の第2変形例を説明する図である。第1実施形態(第2変形例)は、角度誤差とX方向の誤差に対する対処を採るものである。
第1実施形態(第2変形例)では、第1実施形態(第1変形例)を適用する場合に、各ビットに対応する磁性材12を検知する検知巻線140としてR本を割り当てる。そして、R本の受信素子で識別した情報を、情報表現する範囲において1つでも検知信号が存在すれば、そのR本分の位置のビット情報が“1”であるとみなすようにして縮退して表現する方法を採る。
角度誤差のために、磁性材12が受信素子(検知巻線140)に対して傾いたとき、1本の磁性材12を複数の検知巻線140で検知することが起こり得る。デジタル信号処理部700は、角度誤差が受信素子の平均配列ピッチのR倍よりも小さいときには、R本分の範囲内で、何れの検知巻線140で磁性材12を検知しているかやその本数を問わず、そのR本分が担当するビット位置の符号情報は“1”であるとする。
基準磁性材12_STDを検出した何れか(たとえば最初)の検知巻線140の位置に対する相対的な判定を行なうとともに、R素子分以下の角度誤差に対する対応のため、R素子ごとの相対位置で判定すると言うことである。このように、R個分ごとの何番目に磁性材12があるかにより符号情報を表現することで、X方向の配置誤差と角度誤差の双方の影響を受けなくなる。
たとえば、図5Aは、図5の場合と同様に、受信側電磁界装置104では均等ピッチで検知領域に重複のない128素子を使い、32ビット対応の素子切替部302にする場合で示している。この場合、基準磁性材12_STDから連続して受信素子の4個分ごとに、ビット位置を相対的に対応付ける。たとえば、符号情報記録媒体10上のZビット目の磁性材12_Zに着目する。Zビット目の磁性材12_Zは、基準磁性材12_STDに対して、検知巻線140の配列ピッチの4Z倍の位置に貼り付けられているものとする。
図5A(1)に示すように、角度誤差が1ピッチ分未満のときには1素子のみ(検知巻線140_Z1 )で磁性材12_Zを検知する。図5A(2)に示すように、角度誤差が1ピッチ分以上で2ピッチ分未満のときには2素子(検知巻線140_Z1 〜140_Z2 )で磁性材12_Zを検知する。図5A(3)に示すように、角度誤差が2ピッチ分以上で3ピッチ分未満のときには3素子(検知巻線140_Z1 〜140_Z3 )で磁性材12_Zを検知する。図5A(4)に示すように、角度誤差が3ピッチ分以上で4ピッチ分未満のときには4素子(検知巻線140_Z1 〜140_Z4 )で磁性材12_Zを検知する。
各検知巻線140_Z1 〜140_Z4 の検知情報を区別してそのまま用いると正しい符号情報にはならない。そこで、検波処理部356を機能させることで、連続して隣接する4素子でパルス情報が検知された場合に、それらを纏めて予め1つのパルス情報にしておく。なお、検波処理部356を機能させずに、この縮退の処理をデジタル信号処理部700が担当してもよい。
デジタル信号処理部700は、検知巻線140_Z1 〜140_Z4 で磁性材12_Zの検知を担当させ、その4個分の範囲内(検知巻線140_Z1 〜140_Z4 )の何れの受信素子で磁性材12を検知していても、全て同じ磁性材12_Zを検知していると判定することで符号情報を再生する。こうすることで、角度誤差の影響は低減される。
<情報読取処理:第2実施形態>
第2実施形態は、第2の符号化方式を適用するものである。すなわち、第2実施形態では、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置が、検知巻線140の配列の何番目に該当するかに基づいて多ビット表現を行なう方式を採り、かつ、基準磁性材12_STDに対する他の磁性材12の配置位置の組合せ関係に基づき符号情報を表わすようにする。基準の基準磁性材12_STDが必ず1本あり、基準磁性材12_STDからの他の磁性材12の距離を符号情報とする方式と言える。基準磁性材12_STDからの他の磁性材12の距離は、絶対的な距離ではなく、磁性材12を検知する検知巻線140の配置位置で換算した距離と考えればよい。なお、配置誤差に対する対処は、第1実施形態と同様の仕組みを適用すればよい。また、縮退についても、前述した処理を行なえばよい。
第2実施形態は、第2の符号化方式を適用するものである。すなわち、第2実施形態では、符号情報記録媒体10における磁性材12の存在する位置が、検知巻線140の配列の何番目に該当するかに基づいて多ビット表現を行なう方式を採り、かつ、基準磁性材12_STDに対する他の磁性材12の配置位置の組合せ関係に基づき符号情報を表わすようにする。基準の基準磁性材12_STDが必ず1本あり、基準磁性材12_STDからの他の磁性材12の距離を符号情報とする方式と言える。基準磁性材12_STDからの他の磁性材12の距離は、絶対的な距離ではなく、磁性材12を検知する検知巻線140の配置位置で換算した距離と考えればよい。なお、配置誤差に対する対処は、第1実施形態と同様の仕組みを適用すればよい。また、縮退についても、前述した処理を行なえばよい。
第2実施形態では、基準磁性材12_STDの配置位置に対する他の磁性材12の各配置位置の組合せ関係を予め符号情報と対応付けておく。デジタル信号処理部700には、その組合せ対応情報を保持しておく記憶媒体を設けておく。デジタル信号処理部700は、検知データDdet で示される基準磁性材12_STDの配置位置と他の各磁性材12の配置位置の情報を、記憶媒体に保持されている組合せ対応情報と照合することで、符号情報を再生する。
受信側電磁界装置104ではR本の検知巻線140(R素子と記載する)を使用して、符号情報記録媒体10にはQ本の磁性材12を使ってデータを表わすものとする。なお、Q本の内の1本は基準磁性材12_STDに割り当てるので、実際に符号情報を表わし得る磁性材12の本数は“Q−1”本となるし、R素子の内の1本は基準磁性材12_STDを検知するために使用されるので、基準磁性材12_STDを検知する1つ分を除いた(R−1)素子で(Q−1)本の磁性材12を検知することになる。
このように、(Q−1)本の磁性材12を(R−1)素子で検知したときに表わし得る最大データ量(データ量Max)は、数学的には“組合せ”の考え方が適用される。
ここで、第1実施形態(第1の符号化方式)と第2実施形態(第2の符号化方式)を比較した場合、磁性材12の存在する位置が検知巻線140の配列の何番目かにより多ビット表現を行なう方式である点で共通する。第1実施形態では、磁性材12を検知した検知巻線140の位置そのものをビット位置に割り当てることで符号情報を表わすのに対して、第2実施形態では、基準磁性材12_STD(を検知した検知巻線140)に対する他の磁性材12(を検知した検知巻線140)の相対的な位置関係に基づき符号情報を表わす、と言う相違があるに過ぎない。
同じ表現ビット数の場合、第1実施形態で採用している第1の符号化方式では符号情報記録媒体10に貼り付ける(埋め込む)磁性材12の本数が多くなるが、第2実施形態で採用している第2の符号化方式では磁性材12の本数が少なくなる。
磁性材12を検知した検知巻線140の配置位置を示す検知データDdet を取得すること、「素子切替部302、検知信号処理部304、符号情報再生処理部300のハードウェア処理部分」に関しては第1・第2実施形態ともに同じであり、検知データDdet に基づいて符号情報を再生する際の処理(符号情報再生処理部300のソフトウェア処理部分)が異なるだけと考えればよい。
よって、システム的には、装置構成(符号情報再生処理部300を含む)としては第1実施形態に適用させておくことで、第1実施形態の仕様で作ったものの仕様変更(ソフトウェアでの対処)だけで第2実施形態の手法にも対処し得ることとなる。第1実施形態の仕組みから第2実施形態の仕組みへと段階移行すればよいだけである。
1…符号情報記録読取システム、10…符号情報記録媒体、11…基材、12…磁性材、12_STD…基準磁性材、30…符号情報記録媒体製造装置、50…符号情報読取装置、70…情報処理装置、100…符号情報読取部、102…送信側電磁界装置、104…受信側電磁界装置、106…光検出部、110…交番電流供給部、120…励磁巻線、122…プリント基板、140…検知巻線、142…プリント基板、300…符号情報再生処理部、302…素子切替部、304…検知信号処理部、308…制御部、314…切替部、315…アナログスイッチ、316…直流阻止濾波回路、318…増幅器、32…検知装置、330…前段信号処理部、332…加算増幅部、334…緩衝増幅部、350…後段信号処理部、352…帯域阻止濾波回路、354…増幅部、356…検波処理部、358…振幅制限部、370…AD変換部、700…デジタル信号処理部(符号情報取得部)、900…コンピュータシステム
Claims (6)
- 導体が矩形状の渦巻き状でかつ平面状に形成された励磁巻線を配置した送信側電磁界装置と、
前記送信側電磁界装置の前記励磁巻線に交番電流を供給する交番電流供給部と、
前記励磁巻線で形成された領域のうち、同方向の電流が流れる領域を検知領域とし、当該検知領域上に積層され、導体が長尺状に周回するように形成された複数本の検知巻線を、前記検知領域の励磁巻線により形成される磁界と交差するように一定の方向に互いに重なりをもって平面状に配列した受信側電磁界装置と、
を備えたことを特徴とする磁性材検知装置。 - 前記励磁巻線は、
最内周が矩形状の前記検知領域の第1の辺をなすように平板状の基板に導体が渦巻き状に形成された第1の励磁巻線と、
最内周が前記検知領域の前記第1の辺と対向する第2の辺をなすように前記基板の前記第1の励磁巻線が配置されている面と同じ面に導体が渦巻き状に形成された第2の励磁巻線と
を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性材検知装置。 - 前記受信側電磁界装置の各検知巻線は、平板状の基板の複数の配線層にて予め定められた間隔で並列に配置されており、
同一層内の検知巻線どうしは重らないが別層の検知巻線とは重なりをもつように配列されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁性材検知装置。 - 請求項1〜3の内の何れか一項に記載の前記磁性配線検知装置と、
前記検知領域上に置かれる記録媒体に付加された磁性材から発せられる磁気パルスを前記検知巻線で検知することで得られる検知信号を切り替える切替部と、
前記切替部で切り替えられた検知信号から前記励磁電流の成分を抑制して前記磁気パルスに対応する成分を取得する検知信号処理部と、
前記検知信号処理部で取得された前記磁気パルスに対応する成分に基づいて、前記記録媒体に付加された磁性材により示されている符号情報を取得する符号情報取得部と、
を有する
符号情報再生処理部と、
を備えることを特徴とする符号情報読取装置。 - 前記符号情報取得部は、前記磁性材に関しての磁気パルスを検知する前記検知巻線の相対的な配置位置に基づいて、前記符号情報を取得する
請求項4に記載の符号情報読取装置。 - 前記符号情報取得部は、各位置の前記磁性配線に対してそれぞれ隣接する複数の前記検知巻線を含む群を割り当て、前記磁気パルスを検知している前記検知巻線が同一の群に属するときは、前記磁気パルスを検知している検知巻線がその群内の何れの位置のものであるかを問わず、その群に割り当てられている位置に前記磁性配線があると判定することで、前記符号情報を取得する
請求項4または5に記載の符号情報読取装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009071222A JP2010224856A (ja) | 2009-03-24 | 2009-03-24 | 磁性材検知装置、符号情報読取装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009071222A JP2010224856A (ja) | 2009-03-24 | 2009-03-24 | 磁性材検知装置、符号情報読取装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010224856A true JP2010224856A (ja) | 2010-10-07 |
Family
ID=43041978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009071222A Pending JP2010224856A (ja) | 2009-03-24 | 2009-03-24 | 磁性材検知装置、符号情報読取装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010224856A (ja) |
-
2009
- 2009-03-24 JP JP2009071222A patent/JP2010224856A/ja active Pending
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