JP2020138492A - 熱変色性ボールペン - Google Patents
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Abstract
【課題】製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換が容易な熱変色性ボールペンを得る。【解決手段】レフィル3の後端部に、複数の溝30dと該複数の溝30d間で弾性変形可能な舌片30eとが設けられ、レフィル3の舌片30eが、後軸22内に設けた前方へ向かって縮径する円錐部4dの外面に当接され、後軸22に対してレフィル3を挿通させる際における該後軸22と該レフィル3との関係が、レフィル3の側面を後軸22の前端開口縁22cに摺動させつつ、レフィル3の後端部30の外面を後軸22の前端開口縁22cと相対向する内面に摺動させ、レフィル3の後端部30が後軸22の円錐部4dの先端43dに到達した状態において、円錐部4dの先端43dがレフィル3のインキ収容管3cの内方の位置となる。【選択図】図5
Description
本発明は、熱変色性インキの筆跡を摩擦してその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な熱変色性筆記具に関し、詳細には先端にペン先(ボールペンチップ)を有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容するレフィルが前後分割可能な軸筒内に配設され、軸筒の後方に前記筆跡を擦過する摩擦体が装着された熱変色性ボールペンに関する。
従来から、例えば特許文献1(特開2003−206432号公報)に示されるように、筆記具を構成する軸筒の一方の端部に、熱変色性インキの筆跡を摩擦し、その際に生じる摩擦熱で熱変色性インキの筆跡を熱変色可能な摩擦部が設けられた熱変色性筆記具が開示されている。
また、前記熱変色性筆記具では、先端にボールペンチップを有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容したレフィルが軸筒内に配設された熱変色性ボールペンが存在する。
またさらに、特許文献2(特開2012−91476号公報)では、前記熱変色性ボールペンにおけるレフィルの軸方向の寸法のばらつきを吸収させる方法が開示されており、製造工程の複雑化の防止やコストアップの防止が考えられている。
前記特許文献2では、摩擦体8が、摩擦体先端81の外面がテーパー状811である略円錐筒状に形成されており、摩擦体先端81とインキ収容管21の後端とが接触する構成(接触部)となっており、軸筒6へのレフィル収容時(組立時)に、レフィル3と軸筒6の軸方向の寸法のばらつきを摩擦体8の弾性効果によって吸収することができるようになっている。またさらに、摩擦体先端81の略円錐筒状部分には軸方向の切欠部813が形成されていることから、レフィル3が後方に移動することで分割片812が無理なく内方に変形するため、レフィル3と軸筒6との軸方向における寸法のばらつきを弾性効果でより効果的に吸収できる。
また、前記熱変色性筆記具では、先端にボールペンチップを有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容したレフィルが軸筒内に配設された熱変色性ボールペンが存在する。
またさらに、特許文献2(特開2012−91476号公報)では、前記熱変色性ボールペンにおけるレフィルの軸方向の寸法のばらつきを吸収させる方法が開示されており、製造工程の複雑化の防止やコストアップの防止が考えられている。
前記特許文献2では、摩擦体8が、摩擦体先端81の外面がテーパー状811である略円錐筒状に形成されており、摩擦体先端81とインキ収容管21の後端とが接触する構成(接触部)となっており、軸筒6へのレフィル収容時(組立時)に、レフィル3と軸筒6の軸方向の寸法のばらつきを摩擦体8の弾性効果によって吸収することができるようになっている。またさらに、摩擦体先端81の略円錐筒状部分には軸方向の切欠部813が形成されていることから、レフィル3が後方に移動することで分割片812が無理なく内方に変形するため、レフィル3と軸筒6との軸方向における寸法のばらつきを弾性効果でより効果的に吸収できる。
尚、前記特許文献2のような熱変色性ボールペンでは、製造時における組立や使用時におけるレフィル交換において、後軸62に対してレフィル3を挿通させるときに、摩擦体8の摩擦体先端81がインキ収容管21にうまく挿通されないことで、手間が掛かってしまう場合がある。これは軸筒6の外径が大きい場合に特に問題となり易い。理由としては、軸筒6の外面と共に大きくなった該軸筒6の内面の内方で、レフィル3が軸筒6の軸径方向へ自由に動き易くなってしまうためである。これにより、レフィル3と摩擦体8との中心位置がずれて、摩擦体8の摩擦体先端81とインキ収容管21の後端とが接触することなく、インキ収容管21の後端が軸筒6の内面と摩擦体先端31との間に入り込んでしまい、組み立てをし辛くさせてしまう場合がある。
尚、レフィル3と後軸62との中心位置をあわせて挿通させれば、レフィル3の後端が軸筒6の内面と摩擦体先端31との間に入り込んでしまうことを防げるが、その場合、慎重な作業が必要となり、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換における負担となる。
尚、レフィル3と後軸62との中心位置をあわせて挿通させれば、レフィル3の後端が軸筒6の内面と摩擦体先端31との間に入り込んでしまうことを防げるが、その場合、慎重な作業が必要となり、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換における負担となる。
本発明では、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換が容易な熱変色性ボールペンを得ることを目的とする。
本発明は、
「1.先端にペン先を有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容するレフィルが前軸と後軸とに分割可能な軸筒内に配設され、
前記後軸に前記熱変色性インキによる筆跡を擦過する摩擦体が装着された熱変色性ボールペンであって、
前記レフィルの後端部に、複数の溝と該複数の溝間で弾性変形可能な舌片とが設けられ、
前記レフィルの舌片が、前記後軸内に設けた前方へ向かって縮径する円錐部の外面に当接され、
前記後軸に対して前記レフィルを挿通させる際における該後軸と該レフィルとの関係が、
前記レフィルの側面を前記後軸の前端開口縁に摺動させつつ、前記レフィルの後端部の外面を前記後軸の前端開口縁と相対向する内面に摺動させ、前記レフィルの後端部が前記後軸の円錐部の先端に到達した状態において、前記円錐部の先端が前記レフィルのインキ収容管の内方の位置となる、
ことを特徴とした熱変色性ボールペン。
2.前記円錐部を有する尾冠が前記後軸の後端部に固定され、該尾冠に前記摩擦体が装着される、
ことを特徴とした前記1項に記載の熱変色性ボールペン。」である。
「1.先端にペン先を有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容するレフィルが前軸と後軸とに分割可能な軸筒内に配設され、
前記後軸に前記熱変色性インキによる筆跡を擦過する摩擦体が装着された熱変色性ボールペンであって、
前記レフィルの後端部に、複数の溝と該複数の溝間で弾性変形可能な舌片とが設けられ、
前記レフィルの舌片が、前記後軸内に設けた前方へ向かって縮径する円錐部の外面に当接され、
前記後軸に対して前記レフィルを挿通させる際における該後軸と該レフィルとの関係が、
前記レフィルの側面を前記後軸の前端開口縁に摺動させつつ、前記レフィルの後端部の外面を前記後軸の前端開口縁と相対向する内面に摺動させ、前記レフィルの後端部が前記後軸の円錐部の先端に到達した状態において、前記円錐部の先端が前記レフィルのインキ収容管の内方の位置となる、
ことを特徴とした熱変色性ボールペン。
2.前記円錐部を有する尾冠が前記後軸の後端部に固定され、該尾冠に前記摩擦体が装着される、
ことを特徴とした前記1項に記載の熱変色性ボールペン。」である。
前記第1の発明によれば、大概はインキ収容管3cの寸法の影響によるレフィルの寸法のばらつきを、レフィルの舌片が外方に変形することで吸収させることができる。つまり、レフィルが長い場合には、前軸と後軸とを連結する際に、前軸の内面にレフィルの前端部が当接することと、後軸の円錐部にレフィルの舌片が当接したときに、前軸と後軸との連結を妨げるような力が働くこととなるが、レフィルの舌片が外方に変形しながら該レフィルが後退することで、長く成形されたレフィルの全長が吸収され、前軸と後軸とを容易に連結させることができる。
また、後軸に対してレフィルを挿通させる際における該後軸と該レフィルとの関係を、レフィルの側面を後軸の前端開口縁に摺動させつつ、レフィルの後端部の外面を後軸の前端開口縁と相対向する内面に摺動させ、レフィルの後端部が後軸の円錐部の先端に到達した状態において、円錐部の先端がレフィルのインキ収容管の内方の位置となる構造としたことで、レフィルを後軸に挿通させる際には、必ず、後軸の円錐部の先端がインキ収容管の内方の位置となることから、前軸を後軸に連結させることで、円錐部の斜面によりレフィルの中心と該円錐部の頂点とが自動的に一致するよう誘導され、結果、レフィルの中心と後軸の中心が一致することとなる。したがって、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換が容易な熱変色性ボールペンを得ることができる。
本発明において前記円錐部の先端がレフィルのインキ収容管の内方の位置となるとは、軸心に沿った方向において、円錐部の先端が、レフィルの後端部に設けた複数の舌片で取り囲まれた位置となることである。
尚、後軸内に設ける円錐部は、後軸の内方に該後軸と一体で形成してもよく、また摩擦体の前方に該摩擦体と一体で形成してもよい。また前記円錐部は、幾何学的な円錐形体である必要はなく、全体として前方へ向かって縮径していく先窄み形態であればよく、例えばその側面が、前方へ向かって縮径するような円弧面にしてもよい。
また、レフィルの後端部に設ける複数の溝と該複数の溝間で弾性変形可能な舌片は、レフィルに直接設けても、レフィルに装着した尾栓に設けてもよい。
さらに、レフィルの後端部の外面を後軸の内面に摺動させることから、後軸の内面、特に後軸の中間部から前記円錐部の先端までの内面は平滑面とすることが好ましい。
本発明において前記円錐部の先端がレフィルのインキ収容管の内方の位置となるとは、軸心に沿った方向において、円錐部の先端が、レフィルの後端部に設けた複数の舌片で取り囲まれた位置となることである。
尚、後軸内に設ける円錐部は、後軸の内方に該後軸と一体で形成してもよく、また摩擦体の前方に該摩擦体と一体で形成してもよい。また前記円錐部は、幾何学的な円錐形体である必要はなく、全体として前方へ向かって縮径していく先窄み形態であればよく、例えばその側面が、前方へ向かって縮径するような円弧面にしてもよい。
また、レフィルの後端部に設ける複数の溝と該複数の溝間で弾性変形可能な舌片は、レフィルに直接設けても、レフィルに装着した尾栓に設けてもよい。
さらに、レフィルの後端部の外面を後軸の内面に摺動させることから、後軸の内面、特に後軸の中間部から前記円錐部の先端までの内面は平滑面とすることが好ましい。
軸体の材質は、真鍮、アルミ、ポリカーボネート樹脂、PMMA樹脂(ポリメタクリル酸メチル)、アクリロニトリルスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポロプロピレン樹脂など、筆記具の軸筒本体やキャップ本体で、従来より使用されている材質が挙げられるが、特に制限されるものではない。
摩擦体の材質は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)など、低摩耗性の弾性材料で成形することが好適である。
摩擦体の硬度は、ショアA硬度40以上、100以下とすることが好ましく、冠体への挿着のし易さや、冠体に挿着した状態で該冠体の側壁が当該冠体の中心方向へ向かって撓むことがより防止されるよう、ショアA硬度60以上、80以下とすることがより好ましい。
摩擦体の硬度は、ショアA硬度40以上、100以下とすることが好ましく、冠体への挿着のし易さや、冠体に挿着した状態で該冠体の側壁が当該冠体の中心方向へ向かって撓むことがより防止されるよう、ショアA硬度60以上、80以下とすることがより好ましい。
また、第2の発明のように、円錐部を有する尾冠が後軸の後端部に固定され、尾冠に摩擦体が装着される構造とすることで、筆記時においてペン先に掛かる筆圧の反力が後軸に装着した摩擦体に掛かって脱落してしまうことがなく、摩擦時において摩擦体に掛かる荷重がレフィルに掛かって該レフィルを支える前軸と後軸との連結を脱落させてしまうこともなく、さらに尾冠の一部を後軸の後端から露出させることで、装飾効果を得ることができる。この場合、尾冠の後方部に後軸から露出する鍔部を形成し、尾冠の後方に凹部を形成して該凹部に摩擦体を挿着するとよい。後軸に対して尾冠を固定する方法としては、螺合や嵌合あるいは接着等により固定を行うことができる。
尾冠の材質は前述の軸体同様の材質を使用できるが、尾冠に形成した鍔部を後軸から露出させて装飾効果を狙う場合には、真鍮などの金属材にメッキ加工を施したものが好ましい。
尾冠の材質は前述の軸体同様の材質を使用できるが、尾冠に形成した鍔部を後軸から露出させて装飾効果を狙う場合には、真鍮などの金属材にメッキ加工を施したものが好ましい。
本発明では、レフィルを後軸に挿通させる際に、必ず、後軸の円錐部の先端がインキ収容管の内方の位置となることから、前軸を後軸に連結した状態で、自動的に円錐部の斜面によりレフィルの中心と該円錐部の頂点とが一致し、結果、レフィルの中心と後軸の中心が一致するので、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換が容易となる。
次に、図面を参照しながら本実施形態の熱変色性ボールペンについて説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図の説明においては、ペン先がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。また、説明を分かり易くするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
図の説明においては、ペン先がある方を前方と表現し、その反対側を後方と表現する。また、説明を分かり易くするために、図面中の同様の部材、同様の部分については同じ符号を付してある。
図1は、本実施形態の熱変色性ボールペンの側面図である。図2は、図1の縦断面図である。図3は、図2の要部拡大図である。
熱変色性ボールペン1は、軸筒2が前軸21と後軸22とを螺合して構成され、前軸21の前端開口21aから軸筒2内に収容したレフィル3のペン先3aが突出されている。
後軸22の後端開口部22aには、筒状で両端が開口する尾冠4が嵌着されている。
尾冠4の後端部には切頭錐体状の鍔部4aが形成され、鍔部4aに形成した凹部4bには中空の摩擦体5が嵌着されている。また、尾冠4の鍔部4aの前方には、軸芯に沿った方向に延びる中空の中間部4cが形成され、前端部には前方へ向かって縮径する円錐部4dが形成されている。
本実施形態における尾冠4は、尾冠4の鍔部4aの前端面が後軸22の後端面に当接されると共に、尾冠4の中間部4cに形成した外向突起4eが、後軸22の内面に形成した内向突起22bに当接されることで、尾冠4が後軸22に固定される。
摩擦体5の後端部には切頭錐体状の鍔部5aが形成され、鍔部5aの前端面が尾冠4の後端面に当接されると共に、摩擦体5の前方部に形成した外向きの突起5bが、尾冠4のの内面に形成した内向きの突起4fに当接されることで、摩擦体5が尾冠4に固定される。
後軸22の後端開口部22aには、筒状で両端が開口する尾冠4が嵌着されている。
尾冠4の後端部には切頭錐体状の鍔部4aが形成され、鍔部4aに形成した凹部4bには中空の摩擦体5が嵌着されている。また、尾冠4の鍔部4aの前方には、軸芯に沿った方向に延びる中空の中間部4cが形成され、前端部には前方へ向かって縮径する円錐部4dが形成されている。
本実施形態における尾冠4は、尾冠4の鍔部4aの前端面が後軸22の後端面に当接されると共に、尾冠4の中間部4cに形成した外向突起4eが、後軸22の内面に形成した内向突起22bに当接されることで、尾冠4が後軸22に固定される。
摩擦体5の後端部には切頭錐体状の鍔部5aが形成され、鍔部5aの前端面が尾冠4の後端面に当接されると共に、摩擦体5の前方部に形成した外向きの突起5bが、尾冠4のの内面に形成した内向きの突起4fに当接されることで、摩擦体5が尾冠4に固定される。
前記レフィル3は、ボールペンチップであるペン先3aの後方にコネクタ3bが連結され、コネクタ3bの後方にインキ(不図示)を収容したインキ収容管3cが連結され、インキ収容管3cの後端開口部に尾栓30が挿着されている。尾栓30は、後方に大径部30aを有しており、大径部30aの前方に小径部30bを有し、小径部30bがインキ収容管3cに挿着され、小径部30bに形成した膨出部30cがインキ収容管3cの内面に当接して、インキ収容管3cに対して固定されている。
尾栓30の大径部30aには、複数の溝30dと該複数の溝30dの間に設けられた複数の舌片30eとが形成されている。複数の舌片30eは放射状に形成されており、全ての舌片30eが軸径方向に弾性変形可能になっている。
本実施形態では、溝30d及び舌片30eがそれぞれ3個ずつ放射状に設けてある。
尾栓30の大径部30aには、複数の溝30dと該複数の溝30dの間に設けられた複数の舌片30eとが形成されている。複数の舌片30eは放射状に形成されており、全ての舌片30eが軸径方向に弾性変形可能になっている。
本実施形態では、溝30d及び舌片30eがそれぞれ3個ずつ放射状に設けてある。
図2に示されるように、レフィル3は、尾栓30の舌片30eが尾冠4の円錐部4dの外面に当接され、コネクタ3bの外面に形成した前向きの段部3dが前軸21の内面に形成した後向の段部21bに当接され、軸筒2に対して固定される。尾冠4の円錐部4dは、軸心に対する傾斜が大きい前方斜面41dと、軸心に対する傾斜が小さい後方斜面42dとを有している。本実施形態では、前方斜面41dを軸芯に対して約30度で傾斜させ、後方斜面42dを軸心に対して約10度で傾斜させており、尾栓30の舌片30eは後方斜面42dに対して当接される。このとき舌片30eは外方へ弾性変形されることから、レフィル3と軸筒6との軸方向における寸法のばらつきを高い弾性効果でより効果的に吸収できる。具体的には、インキ収容管3cが長く成形された場合には、尾栓30が、複数の舌片30eを後方斜面42dに摺動させながら拡がり、軸筒2内で後退する。これにより、インキ収容管3cが長く成形された分の寸法を吸収させることができる。また、インキ収容管3cが短く成形された場合には、尾栓30が、複数の舌片30eを後方斜面42dに摺動させながら窄まり、軸筒2内で前進する。これにより、インキ収容管3cが短く成形された分の寸法を吸収させることができる。前述の通り、本実施形態の熱変色性ボールペン1は、レフィルの寸法が長く成形されても短く成形されても、舌片30eが弾性変形することでその寸法を吸収させることができ、インキ収容管3cの長さが短くても軸筒2内でレフィル3がガタつくことがなく、インキ収容管3cの長さが長くても前軸21と後軸22との螺合が妨げられることがない。
次に、図4及び図5を用いて、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換において、レフィルを後軸に挿通させる状態について説明を行う。
図4は、レフィルを後軸に挿通させる状態を示す縦断面図である。図5は、図4の要部拡大図である。
図に示す通り、インキ収容管3cの側面を後軸22の前端開口縁22cに摺動させつつ、レフィル3の後端部となる尾栓30の外面を後軸22の前端開口縁22cと相対向する内面に摺動させ、レフィル3の尾栓30が後軸22の円錐部4dの先端43dに到達した状態において、円錐部4dの先端43dがレフィル3のインキ収容管3cの内方の位置となる構造としたことで、レフィル3を後軸22に挿通させる際には、必ず、後軸22の円錐部4dの先端43dがインキ収容管3cの内方の位置となり、その位置から、さらにレフィル3を後軸22に挿通させた場合には、確実に、尾冠4の円錐部4dが複数の舌片30eの間に挿通される。つまり、レフィル3の後部(尾栓30)が後軸22の内面と円錐部4dとの間に入り込んでしまう煩わしさがなく、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換を容易に行うことができる。
また、円錐部4dの前方斜面41dを後方斜面42dより軸心に対して大きく傾斜させており、組立時においては前方斜面41dには尾栓30の舌片30eが当接しない構造としてあることから、前方斜面41dは、尾栓30を円錐部4dに導く役割を効果的に担うことができる。
図4は、レフィルを後軸に挿通させる状態を示す縦断面図である。図5は、図4の要部拡大図である。
図に示す通り、インキ収容管3cの側面を後軸22の前端開口縁22cに摺動させつつ、レフィル3の後端部となる尾栓30の外面を後軸22の前端開口縁22cと相対向する内面に摺動させ、レフィル3の尾栓30が後軸22の円錐部4dの先端43dに到達した状態において、円錐部4dの先端43dがレフィル3のインキ収容管3cの内方の位置となる構造としたことで、レフィル3を後軸22に挿通させる際には、必ず、後軸22の円錐部4dの先端43dがインキ収容管3cの内方の位置となり、その位置から、さらにレフィル3を後軸22に挿通させた場合には、確実に、尾冠4の円錐部4dが複数の舌片30eの間に挿通される。つまり、レフィル3の後部(尾栓30)が後軸22の内面と円錐部4dとの間に入り込んでしまう煩わしさがなく、製造時における組立やインキがなくなった際のレフィル交換を容易に行うことができる。
また、円錐部4dの前方斜面41dを後方斜面42dより軸心に対して大きく傾斜させており、組立時においては前方斜面41dには尾栓30の舌片30eが当接しない構造としてあることから、前方斜面41dは、尾栓30を円錐部4dに導く役割を効果的に担うことができる。
また、前軸21と後軸22とを連結させた際には、図1に示したように、尾冠4の中心位置と尾栓30の中心位置とが自動的に一致し、また、ペン先3aに強い筆圧が掛かった際には、尾栓30の舌片30eが外方へ弾性変形され、レフィル3全体が後退してペン先3aの破損を防止することができる。尚、尾冠4の円錐部4dの後方に、漸次後方へ向かって拡径する傾斜段部4gを設けてあり、該傾斜段部4gに尾栓30が当接することでレフィル3の後退が規制されることになる。これにより筆記時において、ペン先3aが後退し過ぎて書き難くなることがない。本実施形態では、傾斜段部4gを軸心に対して60度で傾斜させており、筆圧が4N以下の時には、傾斜段部4gに舌片30eが当接することで、尾栓30の後退が規制できるようにしてある。この4N以下という筆圧は、およそ通常筆記でペン先3aに掛かる筆圧の範囲内となる。
もし、熱変色性ボールペン1の落下による衝撃などでペン先3aに掛かる力が4Nを超えた場合には、傾斜段部4gにより舌片30eが拡がることでペン先3aへの負担を軽減させることができる。
もし、熱変色性ボールペン1の落下による衝撃などでペン先3aに掛かる力が4Nを超えた場合には、傾斜段部4gにより舌片30eが拡がることでペン先3aへの負担を軽減させることができる。
また、本実施形態では、軸筒2を構成する前軸21と後軸22とがアルミ材で成形されアルマイトで表面処理が施される。尾冠4は真鍮で成形されクロームメッキが施される。これにより、軸筒2の後端部から、クロームメッキが施された尾冠4の切頭錐体状の鍔部4aが露出することから、高い装飾的効果を得ることが可能となる。
また摩擦体5はSEBS樹脂で成形され、ショアA硬度は70である。
また摩擦体5はSEBS樹脂で成形され、ショアA硬度は70である。
本実施形態では、寸法通りに成形されたレフィル3を前軸21と後軸22とで挟持するよう軸筒2内に収容する際、前軸21と後軸22とを完全に螺合した状態で、レフィル3の尾栓30が、尾冠4の円錐部4dに接してから1.25mm後退され、舌片30eが円錐部4dの後方斜面42dを摺動して約2.5度外方へ拡がるようにしてある。したがって、レフィル3が1.25mm短く成形された場合においても、図2に示すように、前軸21と後軸22とを完全に螺合した状態で、レフィル3は、尾栓30の舌片30eが尾冠4の円錐部4dの外面に当接され、コネクタ3bの外面に形成した前向きの段部3dが前軸21の内面に形成した後向の段部21bに当接され、軸筒2に対して固定される。
また、寸法通りに成形されたレフィル3の尾栓30の舌片30eが、尾冠4の傾斜段部4gに当接するまでの後退距離を0.75mmで設定してあることから、レフィル3が0.75mm長く形成された場合にも、その長く形成された寸法を吸収することができる。詳細には、前軸21と後軸22とを連結する際に、尾栓30の舌片30eが尾冠4の円錐部4dの外面に当接され、コネクタ3bの外面に形成した前向きの段部3dが前軸21の内面に形成した後向の段部21bに当接され、前軸21と後軸22との連結を妨げるような力が働くが、尾栓30の舌片30eが外方に変形することで、長く成形されたレフィル3の全長が吸収され、前軸21と後軸22とを容易に連結させることができる。
尚、本実施形態の熱変色性ボールペン1は、軸筒2の後軸22を、最大外径を12mmとし、最大内径を10mmとしてあり、レフィル3のインキ収容管3cを、外径を6mmとし、内径を4.4mmとしてある。これにより、レフィル3のインキ収容管3cをレフィル3を軸筒2内に収容した状態では、インキ収容管3cの外周に最大2mmの隙間が生じるようにしてあるが、レフィル3が軸筒2に固定されることでガタつくことはない。
また、寸法通りに成形されたレフィル3の尾栓30の舌片30eが、尾冠4の傾斜段部4gに当接するまでの後退距離を0.75mmで設定してあることから、レフィル3が0.75mm長く形成された場合にも、その長く形成された寸法を吸収することができる。詳細には、前軸21と後軸22とを連結する際に、尾栓30の舌片30eが尾冠4の円錐部4dの外面に当接され、コネクタ3bの外面に形成した前向きの段部3dが前軸21の内面に形成した後向の段部21bに当接され、前軸21と後軸22との連結を妨げるような力が働くが、尾栓30の舌片30eが外方に変形することで、長く成形されたレフィル3の全長が吸収され、前軸21と後軸22とを容易に連結させることができる。
尚、本実施形態の熱変色性ボールペン1は、軸筒2の後軸22を、最大外径を12mmとし、最大内径を10mmとしてあり、レフィル3のインキ収容管3cを、外径を6mmとし、内径を4.4mmとしてある。これにより、レフィル3のインキ収容管3cをレフィル3を軸筒2内に収容した状態では、インキ収容管3cの外周に最大2mmの隙間が生じるようにしてあるが、レフィル3が軸筒2に固定されることでガタつくことはない。
また、尾冠4が後軸22の後端部に固定され、尾冠4に摩擦体5が装着される構造としたので、筆記時においてペン先3aに掛かる筆圧の反力が後軸22に装着した摩擦体5に掛かって脱落してしまうことがなく、摩擦時において摩擦体5に掛かる荷重がレフィル3に掛かって該レフィル3を支える前軸21と後軸22との連結を脱落させてしまうこともない。
1…熱変色性ボールペン、
2…軸筒、21…前軸、21a…前端開口、21b…段部、
22…後軸、22a…後端開口部、22b…内向突起、22c…前端開口縁、
3…レフィル、3a…ペン先、3b…コネクタ、3c…インキ収容管、3d…段部、
30…尾栓、30a…大径部、30b…小径部、30c…膨出部、30d…溝、30e…舌片、
4…尾冠、4a…鍔部、4b…凹部、4c…中間部、4d…円錐部、41d…前方斜面、42d…後方斜面、43d…先端、
4e…外向突起、4f…内向突起、4g…傾斜段部、
5…摩擦体、5a…鍔部、5b…突起。
2…軸筒、21…前軸、21a…前端開口、21b…段部、
22…後軸、22a…後端開口部、22b…内向突起、22c…前端開口縁、
3…レフィル、3a…ペン先、3b…コネクタ、3c…インキ収容管、3d…段部、
30…尾栓、30a…大径部、30b…小径部、30c…膨出部、30d…溝、30e…舌片、
4…尾冠、4a…鍔部、4b…凹部、4c…中間部、4d…円錐部、41d…前方斜面、42d…後方斜面、43d…先端、
4e…外向突起、4f…内向突起、4g…傾斜段部、
5…摩擦体、5a…鍔部、5b…突起。
Claims (2)
- 先端にペン先を有しインキ収容管内に熱変色性インキを収容するレフィルが前軸と後軸とに分割可能な軸筒内に配設され、
前記後軸に前記熱変色性インキによる筆跡を擦過する摩擦体が装着された熱変色性ボールペンであって、
前記レフィルの後端部に、複数の溝と該複数の溝間で弾性変形可能な舌片とが設けられ、
前記レフィルの舌片が、前記後軸内に設けた前方へ向かって縮径する円錐部の外面に当接され、
前記後軸に対して前記レフィルを挿通させる際における該後軸と該レフィルとの関係が、
前記レフィルの側面を前記後軸の前端開口縁に摺動させつつ、前記レフィルの後端部の外面を前記後軸の前端開口縁と相対向する内面に摺動させ、前記レフィルの後端部が前記後軸の円錐部の先端に到達した状態において、前記円錐部の先端が前記レフィルのインキ収容管の内方の位置となる、
ことを特徴とした熱変色性ボールペン。 - 前記円錐部を有する尾冠が前記後軸の後端部に固定され、該尾冠に前記摩擦体が装着される、
ことを特徴とした請求項1に記載の熱変色性ボールペン
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019036900A JP2020138492A (ja) | 2019-02-28 | 2019-02-28 | 熱変色性ボールペン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019036900A JP2020138492A (ja) | 2019-02-28 | 2019-02-28 | 熱変色性ボールペン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020138492A true JP2020138492A (ja) | 2020-09-03 |
Family
ID=72279681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019036900A Pending JP2020138492A (ja) | 2019-02-28 | 2019-02-28 | 熱変色性ボールペン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020138492A (ja) |
-
2019
- 2019-02-28 JP JP2019036900A patent/JP2020138492A/ja active Pending
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