本開示は、プルーフマスカルテットを形成する、第1プルーフマスと、第2プルーフマスと、第3プルーフマスと、第4プルーフマスとを備える微小電気機械ジャイロスコープについて説明する。前記複数のプルーフマスは、静止位置において、デバイス平面内において横軸が縦軸と直交し、垂直軸が横軸と縦軸の両方に直交しているジャイロスコープ中心点に対して対称に配置される。
第1プルーフマスおよび第2プルーフマスは、静止位置において、横軸上に配置され、第3プルーフマスおよび第4プルーフマスは、静止位置において、縦軸上に配置される。ジャイロスコープは、ジャイロスコープ中心点に位置する中央アンカーポイントを備える。
ジャイロスコープは、さらに、プルーフマスカルテットを一次振動モードにする1以上の駆動変換器と、垂直軸、横軸、および/または、縦軸を中心とした角回転をジャイロスコープが受けた場合に、それぞれ、コリオリ力によって引き起こされるz軸二次振動モード、x軸二次振動モード、および/または、y軸二次振動モードでのプルーフマスカルテットの振動を検出する1以上のセンサ変換器とを備える。
ジャイロスコープは、さらに、中央アンカーポイントからプルーフマスカルテットを懸架する中央懸架部を備える。中央懸架部は、ジャイロスコープ中心点を中心に構成され、プルーフマスカルテットよりもジャイロスコープ中心点の近くに位置する。プルーフマスカルテットの各プルーフマスは、中央懸架部に取り付けられ、中央懸架部は、一次振動モードと、z軸二次モードと、x軸二次モードと、y軸二次モードとを可撓的に調整する。
ジャイロスコープは、さらに、カルテット中心点を中心に構成される同期フレームであって、プルーフマスカルテットよりもジャイロスコープ中心点から離れて位置する同期フレームを備える。プルーフマスカルテットの各プルーフマスは、1以上のフレーム懸架ばねを用いて同期フレームに取り付けられ、同期フレームは、少なくともx軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードを同期させる。
ジャイロスコープは、静止位置においてジャイロスコープ中心点に対して対称配置される検出マスカルテットを一体として形成する、第1検出マス、第2検出マス、第3検出マス、および、第4検出マスを備える。第1検出マスおよび第2検出マスは、45度の角度で横軸と縦軸とに交差する第1対角軸であって、ジャイロスコープ中心点を横断する第1対角軸上に配置される。第3検出マスおよび第4検出マスは、第1対角軸に直交する第2対角軸であって、ジャイロスコープ中心点を横断する第2対角軸上に配置される。
1以上の横コーナーばねは、横に隣接するプルーフマスから各検出マスまで延在し、1以上の縦コーナーばねは、縦に隣接するプルーフマスから各検出マスまで延在している。
1以上の横コーナーばねは、横方向に剛性を、縦方向に可撓性を有し、縦コーナーばねは、縦方向に剛性を、横方向に可撓性を有する。横コーナーばねおよび縦コーナーばねは両方とも接線方向に延在し、それらは、取り付けられている検出マスにプルーフマスのどんな接線運動もコーナーばねによって伝達されるように、同じ接線方向に剛性を有する。横コーナーばねおよび縦コーナーばねは、半径方向および垂直方向に可撓性を有するので、プルーフマスにおける半径運動および面外運動は、検出マスに伝達されない(または、非常にわずかしか伝達されない)。
本文脈において、コーナーばねのこれら「剛性/可撓性」特性とは、例えば、横/縦コーナーばねを1つだけ各プルーフマスと検出マスとの間で用いる場合に、接線方向に曲がるときのコーナーばねのばね定数が、半径方向および/または垂直方向に曲がるときのばね定数よりも少なくとも1.3倍、好ましくは10倍大きくてもよいことを意味する。しかしながら、各プルーフマスと検出マスとの間に複数のコーナーばねを取り付ける場合は、これらの要件が異なるものでもよい。要件は、プルーフマスおよび検出マスの大きさに伴って変化してもよいし、コーナーばねの取り付けポイントの位置に伴って変化してもよい。また、代わりに、垂直方向の可撓性は、ねじりフレキシブル固定部を用いてプルーフマスおよび検出マスの両方にコーナーばねを取り付けることによって生成されてもよい。また、この場合、ばね定数の関係は、上述された範囲を超えるものでもよい。
一次振動モードは、デバイス平面における第1一次振動モードでもよい。第1一次振動モードでは、第1プルーフマスおよび第2プルーフマスは、第3プルーフマスおよび第4プルーフマスがジャイロスコープ中心点から離れるように半径方向に動く場合にジャイロスコープ中心点に向かって半径方向に動き、ジャイロスコープ中心点に向かって動く場合は離れるように動く。あるいは、一次振動モードは、デバイス平面における第2一次振動モードでもよい。第2一次振動モードでは、第1プルーフマス、第2プルーフマス、第3プルーフマス、および、第4プルーフマスは全て同時にジャイロスコープ中心点に向かって半径方向に動き、そして、ジャイロスコープ中心点から離れるように半径方向に動く。
垂直軸を中心とする角回転に反応して、対応する第1z軸二次振動モードおよび第2z軸二次振動モードが、プルーフマスカルテットに生じる。第1z軸二次振動モードは、第3プルーフマスおよび第4プルーフマスが接線方向に反時計回りに動く場合に、第1プルーフマスおよび第2プルーフマスがジャイロスコープ中心点について時計回りに動き、時計回りに動く場合は反時計回りに動く、面内接線振動で構成される。第2z軸二次振動モードは、第1プルーフマス、第2プルーフマス、第3プルーフマス、および、第4プルーフマスが全て同時にジャイロスコープ中心点について時計回りに動き、そして、反時計回りに動く、面内接線振動で構成される。
横軸を中心とする角回転に反応して、プルーフマスカルテットのx軸二次振動モードが、プルーフマスカルテットに生じる。x軸二次振動モードは、縦垂直面において第3プルーフマスおよび第4プルーフマスが同時にジャイロスコープ中心点について時計回りに動き、そして、反時計回りに動く、面外接線振動で構成される。
縦軸を中心とする角回転に反応して、プルーフマスカルテットのy軸二次振動モードが、プルーフマスカルテットに生じる。y軸二次振動モードは、横垂直面において第1プルーフマスおよび第2プルーフマスが同時にジャイロスコープ中心点について時計回りに動き、そして、反時計回りに動く、面外接線振動を有する。
ジャイロスコープは、第1z軸二次振動モードまたは第2z軸二次振動モード、x軸二次振動モード、および、y軸二次振動モードでのプルーフマスカルテットの振動を検出する1以上のセンサ変換器を備える。
本開示では、デバイス平面が図示され、xy平面と称される。xy平面は、水平面と呼ばれてもよい。z軸は、xy平面に垂直である。z軸は、垂直軸と呼ばれてもよい。プルーフマスが静止位置から離れるように動く場合にプルーフマスがデバイス平面内でレベルを維持する線形運動および/または回転運動は、「面内」運動または「デバイス平面内の運動」と称されてもよく、一方、プルーフマスが静止位置から垂直方向に離れるように動く線形運動および/または回転運動は、「面外」運動または「デバイス平面から外方への運動」と称されてもよい。
本開示の残りの部分では、デバイス平面に垂直な軸を中心とした回転は、z軸を中心とした回転と称される。同様に、図示されたx軸に平行な軸を中心とした回転はx軸を中心とした回転と称され、図示されたy軸に平行な軸を中心とした回転はy軸を中心とした回転と称される。
本開示では、「半径」振動は、中心点から離れ、そして、中心点に向かう、xy平面内の線形運動のことを指す。「接線」振動とは、中心点を中心とした仮想円の接線に沿った、xy平面、xz平面(横垂直)、または、yz平面(縦垂直)内の動きのことを指す。xy平面内における接線振動は、面内接線振動と呼ばれてもよく、xz平面内およびyz平面内における接線振動は、面外接線振動と呼ばれてもよい。接線運動は、実際には、線形運動および回転の混合物でもよい。懸架部によって、プルーフマスは接線方向にどのように動くか決定される。
本開示の図面において、第1プルーフマスカルテットのプルーフマス配置は、特に明記しない限り、静止位置に対応している。本開示の様々な実施形態におけるプルーフマスの振動方向、および、振動間の位相関係は、図1に示された記号を用いて説明される。行11の白矢印は、デバイス平面内で生じる一次振動モードを示している。行12の黒矢印は、ジャイロスコープがz軸を中心とした回転を受けたときに(デバイス平面内で)生じる二次モードを示している。行13に示された記号のペアは、一緒に用いて、ジャイロスコープがx軸を中心とした回転を受けたときのプルーフマスペアの面外運動を示す。行14に示された記号のペアは、一緒に用いて、ジャイロスコープがy軸を中心とした回転を受けたときのプルーフマスペアの面外運動を示す。
図2aは、プルーフマスカルテットを有する微小電気機械ジャイロスコープと、その一次振動モードとを概略的に示している。
ジャイロスコープは、第1プルーフマス211と、第2プルーフマス212と、第3プルーフマス213と、第4プルーフマス214とを備える。これら4つのプルーフマスが一体となってプルーフマスカルテットを形成する。ジャイロスコープ中心点は、横軸28が縦軸29と交わる点である。
全てのプルーフマスは、振動動作を可能にするフレキシブル懸架ばね(図2aでは図示されていない)によって、固定された支持部から懸架されてもよい。また、ジャイロスコープは、複数の容量型または圧電型アクチュエータ(図2aでは図示されていない)と、1以上の駆動電圧信号をアクチュエータに加えるように構成された制御部とを備えてもよい。それによって、制御部は、プルーフマスの一次振動を駆動することができる。ジャイロスコープがx軸、y軸、または、z軸を中心とした回転を受けた場合、コリオリ力は、少なくともいくつかのプルーフマスを二次振動させる。
ジャイロスコープは、さらに、後ほど詳述する所望の振動位相が得られるようにプルーフマスの動きを同期させる複数の結合ばねを備えてもよい。いくつかのプルーフマスは、アクチュエータに直接接続される必要はない。代わりに、それらの一次振動は、アクチュエータによって駆動されたプルーフマスの運動を、アクチュエータに直接接続されていないプルーフマスに伝達する結合ばねによって間接的に作動させてもよい。
懸架ばねは、ジャイロスコープ中心点近くに形成される中央懸架部と、ジャイロスコープの周縁近くに形成される、プルーフマスの重量および/または周囲同期構造体の重量を支える周囲懸架部とを含んでもよい。これらの懸架部は、後ほど詳述するような同期機能を有してもよい。
図2aおよび図2bは、第1一次振動モードと、その結果生じる二次振動モードとを示す図である。第1一次振動モードは、各プルーフマスがジャイロスコープ中心点について半径方向に振動する運動で構成される。第1プルーフマス211および第2プルーフマス212は、第3プルーフマス213および第4プルーフマス214がジャイロスコープ中心点に向かって動く場合、ジャイロスコープ中心点から離れるように動く。振動周期の逆半分では、これらの方向は逆転する。
プルーフマスカルテットの二次振動モードは、第1z軸二次モードと、x軸二次モードと、y軸二次モードとを含む。
z軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、第1z軸二次モードは、各プルーフマスが(ジャイロスコープ中心点について)デバイス平面内において接線方向に振動する運動で構成される。横軸に平行なx軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、x軸二次モードは、第3プルーフマス213および第4プルーフマス214によって形成されるプルーフマスペアが、yz平面内において接線方向にデバイス面外振動する運動で構成される。そして、縦軸に平行なy軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、y軸二次モードは、第1プルーフマス211および第2プルーフマス212によって形成されるプルーフマスペアが、xz平面内において接線方向にデバイス面外振動する運動で構成される。
図2bは、これらの二次振動モードを示す図である。z軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、コリオリ力により、全てのプルーフマスがデバイス平面内において接線方向に振動する。逆位相一次振動モードは、図2bに示すように、第3プルーフマス213および第4プルーフマス214が時計回りに動く場合に第1プルーフマス211および第2プルーフマス212が反時計回りに動き、反時計回りに動く場合は時計回りに動く、対応する逆位相二次振動モードを引き起こす。
複数の容量型または圧電型測定変換器を用いて、z軸二次振動モードでの面内振動振幅を決定してもよい。後ほど詳述するが、これらの変換器は、図2bに図示されていない検出マスの運動を測定するように構成されてもよい。
x軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、コリオリ力により、第3プルーフマスおよび第4プルーフマスによって形成されるプルーフマスペア213+214は面外振動、つまり、図2bにおいて記号で示されるようにジャイロスコープ中心点について接線方向に振動する。これらのプルーフマスペアは、中央懸架部および/または周囲懸架部と結合ばねとによって互いに連結されてもよい。明瞭性のため、このようなばねは図2bに図示されていないが、後述する。逆位相一次振動のため、プルーフマスペアのうち一方のプルーフマスは、第1面外方向に振動し、他方のプルーフマスは、逆の面外方向に振動する。
y軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、コリオリ力により、第1プルーフマスおよび第2プルーフマスによって形成されるプルーフマスペア211+212は面外振動、つまり、図2bにおいて記号で示されるようにジャイロスコープ中心点について接線方向に振動する。前述したように、これらのプルーフマスペアは、中央懸架部および/または周囲懸架部と結合ばねとによって互いに連結されてもよく、逆位相一次振動のため、プルーフマスペアのうち一方のプルーフマスは、第1面外方向に振動し、他方のプルーフマスは、逆の面外方向に振動する。
容量型または圧電型測定変換器を用いて、x軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードでの面外振動振幅を決定してもよい。
実際には、接線振動は、線形運動および回転運動の組み合わせでもよい。図2cは、線形運動と回転との混合物として接線面内振動を示した図である。図2dは、線形運動と回転との混合物として面外接線振動を示した図である。懸架部により、どちらの成分、つまり線形運動または回転、が優位であるか決定される。
図2eおよび図2fは、第2一次振動モードと、その結果生じる二次振動モードとを示す図である。第2一次振動モードは、各プルーフマスがジャイロスコープ中心点について半径方向に振動する運動で構成される。しかしながら、図2eに示すように、この場合、4つのプルーフマスは全て同時にジャイロスコープ中心点から離れるように動く。振動周期の逆半分では、全てのマスが同時にジャイロスコープ中心点に向かって動く。
プルーフマスカルテットの二次振動モードは、第2z軸二次モードと、x軸二次モードと、y軸二次モードとを含む。x軸二次モードおよびy軸二次モードは、第1一次振動モードを用いた場合にx軸回転およびy軸回転から生じるx軸二次モードおよびy軸二次モードと同じである。したがって、以下では、第2z軸二次モードについてのみ説明する。
図2fは、第2z軸二次振動モードを示す図である。z軸を中心とするジャイロスコープの回転に反応して、コリオリ力により、全てのプルーフマスがデバイス平面内において接線方向に振動する。同位相一次振動モードは、全てのプルーフマスが同時に時計回りに動く、対応する同位相二次振動モードを引き起こす。振動周期の逆部分では、全てのプルーフマスが同時に反時計回りに動く。
上述したように、容量型または圧電型測定変換器を用いて、z軸二次振動モードでの面内振動振幅を決定してもよい。
本開示を通じて、用語「調整」および「促す」、ならびに「構造体Aは、振動モードXを調整する/促す」というような文言は、以下の意味を有する。Xは、図2a〜図2fに図示された所望の一次振動モードまたは二次振動モードを示す。モードXで必要とされる動きにおいて構造体Aが示すばね定数は、全ての二次振動モードから測定された出力信号を十分な精度で検出可能とするほど十分に小さなものである。必要とされるばね定数は、AおよびXだけに左右されるものではなく、例えば、センサ変換器や出力信号状態にも左右されるものではない。
本開示を通じて、用語「同期」、ならびに「構造体Aは、振動モードXを同期させる」というような文言は、以下の意味を有する。構造体Aは、所望のモードXで振動することが好ましいが、所望しないモードYでは振動しないことが好ましいと考えられる相互接続されたマス要素のシステムにおいて、機械的接続を構成する。構造体Aは、剛性と可撓性の有益な組み合わせを示すので、構造体Aの存在が、システムにおけるモードXの共振周波数FXとモードYの共振周波数FYとの関係を改善する。
例えば、構造体Aの存在により、比FX/FY、および/または、差FY−FXは増加してもよい。この改善を測定する基準状態は、構造体Aがない同じマス要素システムでもよい場合がある。この場合、構造体Aは、同期のためだけに必要とされる。別の場合において、マス要素の重量を支えるためにも構造体Aが必要とされるときは、同期の改善を測定する基準状態は、構造的な支えとなるだけの代替標準構造体BでAを置き換えた同じマス要素システムでもよい。
通常、全ての懸架部は、ある方向における可撓性と他の方向における剛性だけでなく支えに対しても最適化される。これら3つの変数は、互いに矛盾する可能性があるため、最適化とは、良い妥協解決策を見つけることを意味する。ジャイロスコープの全ての要素が、これらの妥協策に影響を与えるかもしれない。
本開示で示された実施の形態において、容量型駆動変換器は、例えば、プルーフマスカルテットの少なくともいくつか、好ましくは全てのプルーフマス内に形成された開口部、または、中央懸架部内に形成された開口部に実装されてもよい。両方のこれら開口部の例は、後述の図8における白い領域で図示される。容量型センサ変換器を、z軸二次振動モードを検出するために、1以上のプルーフマスにおける開口部内、または、1以上のプルーフマスに隣接して実装してもよい。
容量型センサ変換器を、x軸二次振動モードおよび/またはy軸二次振動モードを検出をするために、1以上のプルーフマスの上方および/または下方に実装してもよい。容量型センサ変換器を、同じモードを検出するために、代わりに、または、補足的に、同期フレームの上方/下方に実装してもよい。
あるいは、駆動変換器およびセンサ変換器は、圧電変換器であってもよい。変換器は、本開示の図面には図示されていない。
図3aは、中央懸架部と周囲同期フレームとを有する微小電気機械ジャイロスコープを示す図である。参照符号311〜314および38〜39はそれぞれ、図2a〜図2fにおける参照符号211〜214および28〜29に対応する。第1プルーフマス311、第2プルーフマス312、第3プルーフマス313、および、第4プルーフマス314は、ジャイロスコープ中心点を中心に構成されたプルーフマスカルテットを形成する。中央アンカーポイント331は、ジャイロスコープ中心点に位置する。検出マス、駆動変換器、および、センサ変換器は、図示されていない。
中央懸架部は、中央懸架ばね351〜354を備える。各中央懸架ばねは、中央アンカーポイント331から対応するプルーフマスまで延在している。中央懸架ばね351〜354は、一次振動モードを調整するために半径方向に可撓性を有するが、プルーフマス311〜314の重量を支えるために垂直方向は比較的剛性を有する。さらに、中央懸架ばねは、x軸二次モードおよびy軸二次モードでのプルーフマスの面外接線振動を調整するために、ねじり可撓性をある程度示し、z軸二次モードを調整するために、面内曲げに対する可撓性をある程度示す。中央懸架ばねは、例えば、蛇行ばねでもよい。
ジャイロスコープは、同期フレーム32を備える。また、ジャイロスコープは、4以上のフレーム懸架ばね341〜344も備える。各プルーフマス311〜314は、対応するフレーム懸架ばね341〜344を用いて同期フレーム32に取り付けられる。図示されたデバイスにおいて、各フレーム懸架ばねは、同期フレーム32上の第1取付ポイントから同期フレーム32上の第2取付ポイントまで延在する細長いばねである。フレーム懸架ばねの中点が、対応するプルーフマスに取り付けられる。この構造により、フレーム懸架ばねは半径方向に可撓性を有し、プルーフマスカルテットの一次振動モードをフレキシブルに可能にする。
フレーム懸架ばね341〜344は、面内接線方向には可撓性を欠いている。これにより、同期フレーム32は、図2fに図示された第2z軸二次振動モードを同期させることができる。マスが、図2eに図示された第2一次振動モードに駆動された場合、図2fに図示したように、z軸二次モードにおいてそれらは全て同時に同じ面内接線方向に動く。この動きは、ジャイロスコープ中心点と交差するz軸を中心とした同期フレーム32の時計回り回転および反時計回り回転によって同期される。
さらに、フレーム懸架ばねは、垂直方向に剛性を有するので、同期フレーム32は、縦軸39(y軸二次モード)または横軸38(x軸二次モード)を中心とした同期フレーム32の回転によって、x軸二次振動モードおよび/またはy軸二次振動モードを同期させる。フレーム懸架ばね341〜344は、垂直方向に十分厚みがあり、プルーフマスカルテット311〜314全体を少なくとも同期フレーム32とほぼ同じレベルに維持する。同期フレーム32は、ジャイロスコープがx軸またはy軸を中心とする角運動を受けた場合、自由に回転することができる。
同期フレーム32の回転により、ジャイロスコープがy軸を中心とした角回転を受けた場合は、第1プルーフマス311および第2プルーフマス312が同時に逆面外接線方向に確実に動き、ジャイロスコープがx軸を中心とした角回転を受けた場合は、第3プルーフマス313および第4プルーフマス314が同時に逆面外接線方向に確実に動く。しかしながら、同期フレーム32は、必ずしも完全に剛性を有する必要はない。特に、ジャイロスコープが同時にx軸およびy軸を中心とした両方の角回転を受ける場合、ある程度ねじれてもよい。
図3aに図示されているフレーム懸架ばね341〜344は、面内接線方向の可撓性に欠けているため、第1z軸二次振動モードを調整しない。図3bは、特に第1二次振動モードが必要とする接線方向の可撓性を提供する別のフレーム懸架ばねを示した図である。
図3bに示すように、フレーム懸架ばねの数は、4より大きくてもよいので、プルーフマスカルテットのいくつかまたは全てのプルーフマスは、1以上のフレーム懸架ばねで同期フレーム32から懸架される。図3bは、プルーフマスカルテットの各プルーフマスが、3441〜3442など2つのフレーム懸架ばねを用いて同期フレーム32に取り付けられた別の実施の形態を示す図である。この場合、各フレーム懸架ばね3441および3442は、同期フレーム32上の第1取付ポイントから隣接プルーフマス上の第2取付ポイントまで延在する。フレーム懸架ばね3441および3442は、ばねに半径方向および接線方向の可撓性を与える横長部分と縦長部分とを備える。同期フレームの隣接する辺と平行な細長部分は、この辺と直交する部分より長くてもよい。なぜなら、通常、半径方向の一次振動モードの振幅は、接線方向の二次振動モードの振幅よりも著しく大きいからである。
第2一次振動モードを用いる場合、図3aに図示されたフレーム懸架ばね341〜344を用いることができる。その結果、第2z軸二次モードの同期は非常に効果的になる。図3bに図示されたフレーム懸架ばね3441〜3442は、第1一次振動モードおよび第2一次振動モードと共に用いることができる。それらを第1一次振動モードで用いる場合、同期フレーム32は、x軸二次モードおよびy軸二次モードを同期させるだけで、いくつかのプルーフマスが逆接線方向に動く第1二次振動モードは同期させない。フレーム懸架ばね3441〜3442を第2一次振動モードで用いる場合、同期フレーム32は、(x軸二次モードおよびy軸二次モードの同期に加えて)z軸二次モードもある程度同期させることができる。フレーム32によってz軸二次モードに与えられる同期は、ばね3441〜3442の接線方向の可撓性のため、懸架ばね341〜344を用いるよりも、フレーム懸架ばね3441〜3442を用いる場合に弱い。
図3a〜3bに図示された実施の形態において、中央懸架部は、中央懸架ばね351〜354におけるねじれを介して面外運動に対する可撓性を示す。中央ジンバル構造を用いることによって、面外運動に対する中央懸架部の可撓性をより大きく得ることが好ましい場合があってもよい。面外運動を可能にするために必要な螺旋状のねじれは、この目的で特別に設計された、x軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードでの十分な振動振幅の確保をより容易にするねじりバーに集中させることができる。
参照符号411〜414、42および48〜49が図3aおよび図3bの参照符号311〜314、32および38〜39に対応する図4aは、中央アンカーポイントに接続された中央ジンバル構造を中央懸架部が備える別の実施の形態を示す図である。中央ジンバル構造は、内側ジンバルフレーム451と、外側ジンバルフレーム452と、1以上の内側ねじりバー461と、2つの外側ねじりバー462とを備える。内側ねじりバー461は、中央アンカーポイントから内側ジンバルフレーム451まで両方向に延在し、外側ねじりバー462は、内側ジンバルフレーム451の両側から外側ジンバルフレーム452まで、内側ねじりバー461と直交する方向に延在している。明瞭性のため、検出マスは図4aに図示されていない。
図4aに図示するように、内側ねじりバーと外側ねじりバーとは、縦軸と横軸とに対して45度の角度を向く対角方向に延在してもよい。半径方向接続部47は、各プルーフマスを外側ジンバルフレーム452に取り付けてもよい。あるいは、内側ねじりバーおよび外側ねじりバーは、横軸および縦軸に沿って延在してもよい。
半径方向接続部47は、第1一次振動モードおよび第2一次振動モードを調整するために、半径方向の可撓性を示してもよい。第1一次振動モードを用いる場合、中央ジンバル構造は、ある程度まで第1一次振動モードを同期させてもよい。なぜなら、内側ジンバルフレームおよび外側ジンバルフレームは、1つのプルーフマスペアの内側への動きと、その他のプルーフマスペアの同時に生じる外側への動きとに相当する楕円形状変形を受ける可能性があるからである。
あるいは、第1一次モードの同期は、図4bに図示された構成の中央懸架部を介して実現されてもよい。この中央懸架部も、中央ジンバル構造を有する。しかしながら、中央懸架部は、さらに、外側ジンバルフレームを囲む、直列接続された4つの直角コーナー部471〜474を備える。コーナー部471〜474は、静止位置において、略矩形形状を形成する。各コーナー部(例えば471)の2端は、取り付けられるコーナー部の面内回転を互いに可能にするヒンジ部(483、481)を用いて、隣接するコーナー部(例えば472および474)の端に取り付けられる。中央懸架部は、さらに、少なくとも4つの接続バー43を備える。各接続バー43は、外側ジンバルフレームから隣接コーナー部の角の頂点まで延在している。プルーフマスカルテットの各プルーフマス411〜414は、隣接するヒンジ接続部481〜484に取り付けられる。各接続バー43は、さらなるヒンジ接続部(図示せず)を用いて隣接コーナー部の角の頂点に接続されてもよい。したがって、接続バー43は、後述する図4cで説明される回転運動に逆らえない。
ヒンジ接続部481〜484と、接続バー43と、内側ジンバルフレームおよび外側ジンバルフレームとは、垂直方向にできるだけ剛性を有することが好ましいと考えられるので、面外振動を伴うx軸二次振動モードおよびy軸二次振動モードをできるだけ同期させる。
図4cは、同期機能をより詳細に示す図である。図4cの左側は、4つのヒンジ接続部481〜484で相互接続された、静止位置における4つのL字形コーナー部471〜474を示している。図4cの右側は、プルーフマスカルテットの第1プルーフマスおよび第2プルーフマスが横軸48上で互いに離れるように動き、第3プルーフマスおよび第4プルーフマスが縦軸49上で互いに近づくように動いている振動周期の一部における、これらコーナー部の位置を示している。
第1コーナー部471および第4コーナー部474は、ヒンジ接続部のアームによってなされる角度が中心点側に鈍角となるように、ヒンジ接続部481を中心として両方回転した。第2コーナー部472および第3コーナー部473は、ヒンジ接続部482のアームによってなされる角度が中心点側に鈍角となるように、両方回転した。一方、ヒンジ接続部483および484によってなされる角度は、中心点に向かって反対方向に鈍角である。図示されていない振動周期の逆部分では、各ヒンジ接続部によってなされる角度は、反対方向に鈍角である。各コーナー部の剛性は、ジャイロスコープ中心点に対する2つのプルーフマスペア411+412および413+414の逆位相振動を維持するように働く。異なるヒンジ接続部を用いることも可能であり、図4bおよび図4cにおける図は、概要のみである。
図4aに図示された中央懸架部は、第1一次振動モードおよび第2一次振動モードの両方を含む、本開示における他の実施形態と組み合わせて用いることができる。図4bに図示された中央懸架部は、第1一次振動モードを用いる場合にのみ用いることができるが、第2一次振動モードも調整するために、図5bに類似して一部変更することができる。
第1一次振動モードを同期させるために、同期フレーム32を用いることも可能である。図5aは、参照符号511〜514、58および59がそれぞれ、図3aの311〜314、38および39に対応しているデバイスの図である。同期フレームは、直列接続された4つの直角コーナー部521〜524を備える。これらコーナー部は、静止位置において、略矩形形状を形成する(図示せず)。各コーナー部(例えば521)の2端は、取り付けられるコーナー部の面内回転を互いに可能にするヒンジ部(561、562)を用いて、隣接する2つのコーナー部(522、524)の端に取り付けられてもよい。それにより、プルーフマスカルテットの第1一次振動モードを同期させるように周囲同期部を構成してもよい。
同期機構は、図4cに図示された中央懸架部の機構と同じ原理で動作する。図5aは、第1プルーフマス511および第2プルーフマス512がジャイロスコープ中心点に向かって動く一方、第3および第4プルーフマス513および514がジャイロスコープ中心点から離れるように動く状態を示している。各コーナー部の剛性は、ジャイロスコープ中心点に対する2つのプルーフマスペア511+512および513+514の逆位相振動を維持するように働く。この場合、第1一次振動モードを調整する半径方向の可撓性は、ヒンジ部561〜564によってもたらされるため、半径方向に可撓性を有さないシンプルな線形フレーム懸架ばね541〜544を用いて、第1二次振動モードでの接線運動を調整してもよい。
図5aに図示された同期フレームは、本開示で説明された中央懸架部のいずれとも組み合わせることができるが、第1一次振動モードで用いることのみできる。
図5bは、第2一次振動モードを調整する別の同期フレームを示す図である。同期フレームは、8つのヒンジ部561〜568と相互接続された8つの線形部551〜558を備える。各線形部(例えば551)の2端は、取り付けられる線形部の面内回転を互いに可能にするヒンジ部(568、561)を用いて、隣接する2つの線形部(558、552)の端に取り付けられる。
図5bは、全てのプルーフマス511〜514が同時に外側に向かって動き、同期フレームが拡大してこの動きを調整する振動フェーズを示す図である。コーナーヒンジ部(562、564、566、または、568)によって接続されたペアの線形部それぞれの間の角度は90度よりも大きい。振動周期の逆半分では、全てのプルーフマス511〜514は内側に向かって動き、同期フレームは、コーナーヒンジ部(562、564、566、または、568)によって接続されたペアの線形部それぞれの間の角度が90度より小さくなるようにこの動きを調整する。
上述した実施の形態において、中央アンカーポイントは、ジャイロスコープのアンカーポイントとしてのみ働くので、ジャイロスコープの全構成要素は、このアンカーポイントから懸架される。デバイス周縁でもこれらの構成要素の重量を支えることが必要な場合があってもよい。
図6は、どちらも横軸上に配置される2つの周囲アンカーポイントに接続された周囲ジンバル構造を周囲懸架部が備えるジャイロスコープを示す図である。これらの周囲アンカーポイントは、代わりに、縦軸に配置されてもよい。図6において、検出マスは図示されていない。
本実施の形態では、ジャイロスコープは、内側同期フレーム621と外側同期フレーム622とを備える。周囲ジンバル構造は、横軸を中心としたジンバル回転を容易にするために、横軸68上に一直線に配置された2つの横ねじりバー653および654を備え、縦軸を中心としたジンバル回転を容易にするために、縦軸69上に一直線に配置された2つの縦ねじりバー651および652を備える。周囲アンカーポイント632および633と同じ軸上に一直線に配置された2つのねじりバー653および654は、外側同期フレーム622の両側から対応する周囲アンカーポイントまで延在し、周囲アンカーポイント632および633と同じ軸上に配置されない2つのねじりバー651および652は、内側同期フレーム621の両側から外側同期フレーム622まで延在している。
つまり、周囲アンカーポイントが縦軸69上に配置される場合は、縦ねじりバーが、外側同期フレームからこれら周囲アンカーポイントまで延在し、横ねじりバーが、内側同期フレーム621から外側同期フレーム622まで延在する。
図6に図示されたデバイスでは、プルーフマス611〜614の重量は、周囲懸架部によって部分的に支えられる。周囲懸架部は、横ねじりバー653および654における螺旋状のねじれを介して、プルーフマスカルテットのx軸二次振動モードを同期させる。周囲懸架部は、縦ねじりバー651〜652における螺旋状のねじれを介して、y軸二次振動モードを同期させる。また、先の実施形態のように、内側同期フレーム621および外側同期フレーム622は、ある程度のねじり可撓性を示してもよい。周囲懸架部は、図3に図示された周囲懸架部と同様に、一次振動モードとz軸二次振動モードとを調整する。
図6に示された周囲懸架部は、本開示における別の実施形態のいずれとも組み合わせることができる。
プルーフマスの動きが線形移動と回転との組み合わせである場合、第1z軸二次モードでのプルーフマスの接線振動を検出することが問題になり得る場合がある。この振動モードのより容易な検出を促すため、さらなる検出マスをジャイロスコープに追加してもよい。
図7aは、検出マスを示した図である。参照符号711〜714および72はそれぞれ、図3a〜図3bにおける参照符号311〜314および32、図4a〜図4bにおける参照符号411〜414および42、図5aにおける参照符号511〜514および521〜524、図5bにおける参照符号511〜514および551〜558、図6における参照符号611〜614および621に対応する。参照符号78は、横軸を、参照符号79は、縦軸を示す。検出マスは、図3a〜6に図示されたいずれのデバイスに実装されてもよい。
図示されたジャイロスコープは、静止位置においてジャイロスコープ中心点に対して対称配置される検出マスカルテットを一体として形成する、第1検出マス731、第2検出マス732、第3検出マス733、および、第4検出マス734を備える。第1検出マス731および第2検出マス732は、45度の角度で縦軸79と横軸78とに交差する第1対角軸であって、ジャイロスコープ中心点を横断する第1対角軸771上に配置される。第3検出マス733および第4検出マス734は、第1対角軸771に直交する第2対角軸であって、ジャイロスコープ中心点を横断する第2対角軸772上に配置される。1以上の横コーナーばね76は、横に隣接するプルーフマス711〜714から各検出マス731〜734まで延在し、1以上の縦コーナーばね75は、縦に隣接するプルーフマス711〜714から各検出マス731〜734まで延在している。
検出マス731〜734は、検出マスカルテットを形成する。検出マスは、同期フレーム72のコーナー付近に置かれてもよいので、各検出マスが、1つのコーナーを占める。
プルーフマスカルテットおよび検出マスカルテットは、合わせて、図7aのような正方形でも構わない略矩形領域を覆ってもよい。しかしながら、xy平面内のマス形状は、必ずしも矩形である必要はない。任意の適した形状を用いてもよい。検出マスのサイズは、xy平面内の形状を変えることにより、プルーフマスのサイズに対して適合させてもよい。
検出マス731〜734を利用して、線形的に第1z軸二次振動モードを検出してもよい。これは、コーナーばね75および76によって容易になる。縦コーナーばね75は、図7aに図示したように、第1プルーフマス711から第1検出マス(731)および第3検出マス(733)の両方まで延在している。また、縦コーナーばね75は、第2プルーフマス712から第2検出マス(732)および第4検出マス(734)の両方にも延在している。横コーナーばね76は、第3プルーフマス713から第1検出マス(731)および第4検出マス(734)の両方まで延在している。また、横コーナーばね76は、第4プルーフマス714から第2検出マス(732)および第3検出マス(733)の両方にも延在している。
プルーフマスカルテットのプルーフマス711〜714が第1z軸二次モードで接線方向に振動する場合、この接線振動は、図7bに図示するように、横コーナーばねおよび縦コーナーばねによって検出マスに伝達される。プルーフマス711および713の逆接線方向振動により、検出マス731はジャイロスコープ中心点に向かって引っ張られ、一方、プルーフマス713および712の逆方向振動により、検出マス734はジャイロスコープ中心点から離れるように押される。コーナーばねから横方向および縦方向に与えられる運動量は等しい(または、ほぼ等しい)ので、図7bに図示するように、検出マスは対角軸771および772に沿って半径振動で動く。プルーフマスの接線振動と異なり、検出マスの半径振動は、面内回転の成分を含んでいない。
1以上の横コーナーばねは、横方向に剛性を有し、縦方向に可撓性を有する。一方、1以上の縦コーナーばねは、縦方向に剛性を有し、横方向に可撓性を有する。つまり、その特質により、全てのコーナーばねは、半径方向に可撓性を有するが、接線方向にはより剛性を有する。
これは、プルーフマスカルテット711〜714の一次振動モードは検出マス731〜734を動かさないことを意味する。その代わり、検出マス731〜734は、ジャイロスコープがz軸を中心とした回転を受けるまで、実質的に静止したままである。1以上の横コーナーばねおよび縦コーナーばねは全て、接線方向に向いているので、第1z軸二次振動モードおよび第2z軸二次振動モードでのプルーフマス振動が検出マスを動かす。つまり、コーナーばねは、z軸二次振動モードを検出マスに強く機械結合するが、その間の機械結合は、プルーフマスの一次振動モードを検出マスに機械結合しない。
検出マスは、x軸二次モードおよびy軸二次モードを検出する必要がないので、同期フレーム72から切り離されていてもよい。それにより、検出マスの動きはxy平面のみに制限され、測定が容易になる。
各検出マスは、検出マスが配置される対角軸771または772上に置かれた対角アンカーポイント(図示せず)から懸架されてもよい。対角アンカーポイントは、例えば、検出マスに形成された開口部内に位置してもよい。縦コーナーばね75および横コーナーばね76(および/または、これらのばねをプルーフマスおよび検出マスに取り付けるアタッチメントを有する固定部)は、垂直方向に十分な可撓性(または、固定部の場合は螺旋状の可撓性)を示して、検出マス731〜734をxy平面内にとどめたまま、x軸二次振動モードまたはy軸二次振動モードでのプルーフマスカルテットの面外運動を調整してもよい。したがって、z軸二次モード測定は、同時に生じるx軸二次振動および/またはy軸二次振動において発生の可能性があるプルーフマス動作によって容易に乱されることはない。また、検出マスがxy平面における1軸に沿った運動のみを受ける場合には、検出マス周辺のセンサ変換器の設計もより容易である。
容量型センサ変換器は、図7bに図示された半径方向のz軸二次振動モードを検出するために、1以上の検出マスにおける開口部内、または、1以上の検出マスに隣接して実装されてもよい。
また、検出マス731〜734を利用して、第2z軸二次振動モードを検出してもよい。この検出も、コーナーばね75および76によって容易になる。図7cは、図2eに図示された第2一次振動モードを用いた場合に生じる、第2z軸二次振動モードにおける1フェーズを示す図である。プルーフマス711〜714は、同じ接線方向に振動する。また、この接線振動は、コーナーばね75および76を介して検出マス731〜734も接線振動させる。
検出マスの接線振動は、図7cに図示されるように、線形運動と回転運動の組み合わせでもよい。検出マスの懸架により、回転成分がどの程度強いか決定される。図7dは、図7cに示された第2z軸二次振動モードで動いている場合の検出マスの異なる2つの懸架部を示す図である。
検出マス731および732は、接線アンカーポイント752間の直線方向に可撓性を示す第1懸架ばね741によって、主に、2つの接線アンカーポイント752間の線形運動のために懸架される。一方、検出マス733および734は、垂直軸を中心とした回転をある程度可能にする第2懸架ばね742によって、線形運動と回転運動の両方のために懸架される。検出マスのこれら異なる2つの懸架部は、説明目的で図7dに示されるが、懸架部は、通常、実際のデバイスにおける検出マスごとに同じである。
また、全てのコーナーばねは、半径方向に可撓性を有するが、接線方向により剛性を有するので、プルーフマスカルテット711〜714の第2一次振動モードは、検出マス731〜734を動かさない。第1一次振動モードに関する前述の例と同様に、検出マス731〜734は、ジャイロスコープがz軸を中心とした回転を受けるまで、実質的に静止したままである。また、検出マスは、第2一次振動モードを用いる場合も、同期フレーム72から切り離されてよいので、検出マスの動きはxy平面のみに制限される。
また、図7dは、内側ねじりバーを1つだけ有するジンバル構造を備えた別の中央懸架部を示す図である。
センサ変換器は、4つ全ての検出マス731〜734に接続されてもよく、z軸センサ信号は、これらセンサ変換器の組み合わせ出力から生成されてもよい。読み出しは、マス731および732から測定した信号をマス733および734から測定した信号から引く、または、マス733および734から測定した信号をマス731および732から測定した信号から引くように、差分的に行われてもよい。
しかしながら、2つの検出マス、例えば、731および734のみにセンサ変換器を接続し、合算または差のどちらかでこれらセンサ変換器からセンサ信号を生成することも可能である。この場合、例えば、z軸におけるフォースフィードバック、または、二次振動モードにおける周波数調整を実装するために、残りの検出マスを用いることができる。そして、コーナーばねは、このフィードバックおよび/または調整を4つ全ての検出マスに分配する。
図8は、参照符号811〜814、831〜834、85および86がそれぞれ、図7aおよび図7bの711〜714、731〜734、75および76に対応しているジャイロスコープ構造のより詳細な図である。参照符号83および871〜874は、図4bおよび図4cの参照符号43および471〜474に対応している。また、図8は、駆動変換器および/またはセンサ変換器を配置できる、プルーフマスと検出マスの両方における開口部84を示す図でもある。また、中央懸架部内の開口部も、この目的で用いてもよい。駆動変換器は、例えば、コーナー部871〜874とジンバルフレームとの間に配置されてもよい。