本開示の態様は、結合されたプルーフマスの運動を、同期の線形逆位相運動に拘束する線形移動機械式結合器によって一緒に結合された複数のプルーフマスを有する、マイクロマシン型または微小電気機械システム(MEMS)デバイスを提供する。結合器は、プルーフマスが枢動または回転ではなくむしろ、線形逆位相運動を呈するのにつれて、線形に移動する。したがって、結合器は、本明細書では、少なくともいくつかの実施形態において「ランナ」と呼ばれ、結合および運動伝達機構として働く。
いくつかの実施形態において、MEMSデバイスは、互いに反対方向に移動するように構成された、複数のこのようなランナを含み、これにより、ランナの線形運動からの正味運動量(net momentum)がない状態の平衡動作をもたらす。これは、プルーフマスの望まれない運動を防ぎ、線形加速度および角加速度の拒絶を確実にし得る。相対する方向に移動するランナは、互いにほぼ同じマスおよび/または変位を有し得る。
いくつかの実施形態において、MEMSデバイスの2つ以上のプルーフマスは、プルーフマス配置で配置され、ランナがプルーフマス配置の両側に位置付けられる。プルーフマス配置の両側のランナは、互いに反対方向に線形に移動し、これにより、平衡動作をもたらし得る。いくつかの実施形態において、プルーフマス配置の互いに同じ側にも、プルーフマス配置の互いに相対する側にも、複数の相対する方向に移動するランナが提供される。したがって、いくつかの実施形態において、4つ以上のランナがMEMSデバイスに提供され得る。
様々なタイプのMEMSデバイスが、本明細書において説明されるタイプのランナを含み得る。例えば、MEMSジャイロスコープ、加速度計、および共振器は、本明細書において説明されるタイプの平衡ランナによって結合された、2つ以上のプルーフマスを含み得る。他のマイクロマシン型デバイスも考えられる。
本開示の態様によれば、本明細書において説明されるタイプのランナは、MEMSジャイロスコープに含まれ、MEMSジャイロスコープの2つの線形移動プルーフマスを結合する。結合器は、プルーフマスが駆動軸に沿って駆動されると、かつ/または、センス軸に沿ったプルーフマスの運動を感知すると、線形に移動するように構成され得る。例えば、結合器は、ジャイロスコープが回転を経るのを受けて、線形に移動するように配置され得る。ランナは、ジャイロスコープが、加速度(例えば、線形加速度または角加速度)の衝撃または他の形態を受けると、移動することに抵抗することがあり、それにより、このような結合器を実装しているジャイロスコープは、低下した加速度感度を呈することがあり、加速度無感応ジャイロスコープと呼ばれることもある。いくつかの実施形態において、ランナは、ジャイロスコープまたは他のMEMSセンサの駆動モードおよびセンスモードの両方において同期運動をもたらすように配置される。
いくつかの実施形態において、本明細書において説明されるタイプのランナによって結合された4つのプルーフマスを含む、同期化マスジャイロスコープが提供される。ランナは、4つの結合されたプルーフマスの線形逆位相運動を強要するように構成され得る。これは、同期化マスジャイロスコープの運動量平衡動作を容易にし得る。これに加え、ランナは、それら自体の運動がジャイロスコープに正味運動量を与えないように、それら自体、運動量平衡化し得る。
図1Aは、プルーフマスの対称運動(「同位相」運動とも呼ばれる)に抵抗し(または阻止し)、かつプルーフマスの反対称運動(「逆位相」運動とも呼ばれる)を可能にする、線形移動結合器(「ランナ」)によって結合された2つのプルーフマスを有する、本出願の態様によるMEMSデバイスを、簡略形式で示す。MEMSデバイス100は、第1のプルーフマス102a、第2のプルーフマス102b、基板104、テザー106a、106b、106c、106d、106eおよび106f、ランナ108aおよび108b、ならびに結合器114を含む。
プルーフマス102aおよび102bは、簡略ブロック図形式で示されているが、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよく、任意の適切な材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、プルーフマス102aおよび102bは、ほぼ四角であるなど、ほぼ長方形である。プルーフマス102aおよび102bは、シリコン、または別の適切な材料で形成され得る。プルーフマス102aおよび102bは、少なくともいくつかの実施形態において、ほぼ同一であり得る。
基板104は、マイクロマシニング技法と互換性のあるシリコン基板(例えば、シリコンウェハから切り取られたシリコンダイ)または他の基板であり得る。いくつかの実施形態において、基板104は、プルーフマス102aおよび102bと同じ材料で形成される。プルーフマス102aおよび102bは、リソグラフィ工程やエッチング工程を通してなど、適切なマイクロマシニング技法によって基板104から形成され得る。いくつかの実施形態において、プルーフマス102aおよび102bの形成は、プルーフマスが基板104から解放され、これにより、隙間(または空洞)によって基板から分離される、解放ステップを伴い得る。
示されるように、プルーフマス102aおよび102bは、任意の適切な形態を取り得る、テザー106a〜106fによって基板104に結合される。適切なテザー構造の非限定的な例は、折り畳み式テザーであり、それの例は、図2Bに関連して以下に説明される。テザーは、プルーフマス102aおよび102bが基板104に対して移動するのを可能にする。プルーフマスは、それらが、大抵、少なくとも2つの軸に沿って移動することができるのを意味する、2つの自由度を有し得る。これは、プルーフマスが、適切な電気信号の印加によって積極的に駆動される駆動モードと、コリオリ力(ジャイロスコープの場合)など、ある状態を経るのを受けて移動するセンスモードとの両方で、動作することを可能にする。プルーフマスは、加速を受けて(加速度計の場合)、2つの自由度の個々の応答で対称的に応えるようにも構成され得る。MEMSデバイス100がジャイロスコープである状況を考慮する、非限定的な例として、プルーフマス102aおよび102bは、それらが、それぞれ、x軸およびy軸の両方に沿って移動し得るような基板104に構成かつ結合され得る。例えば、プルーフマス102aおよび102bは、x軸に沿って駆動され得、点112を中心とするMEMSデバイスの回転Rを受けて、y軸に沿って移動し得る。テザー106a〜106fは、このような運動を可能にするのに適切な構造を有し得る。さらに、このような運動を可能にするのに、代替のまたは追加のテザーが含まれ得る。したがって、テザー106a〜106fの図解が、プルーフマス102aおよび102bを基板104に結合させるための一般化方式に相当し、また、本出願の態様により、様々な繋ぎ止め配置が実施され得る、ということが理解されよう。以下に説明される図2Aは、適切な繋ぎ止め配置の一例を提供する。
結合器114は、プルーフマス102aとプルーフマス102bとを一緒に結合させるための機構の一般化方式に相当する。結合器114は、ボックススプリング接続、真っ直ぐな梁接続、または他の適切な結合器であり得る。追加の結合器の使用を含む、代替のプルーフマス対プルーフマス結合方式が実施され得る。いくつかの例は、図2Aに関連して以下に説明される。プルーフマス102aとプルーフマス102bとの同期運動をもたらす目的で、結合器114が使用され得る。このような運動の例が図1B〜1Eに関連して以下に説明される。
プルーフマス102aと102bとは、プルーフマス102aと102bとが、y方向に反対称(または「逆位相」)運動を呈するときに線形に移動、または並進するランナ108aおよび108bによって、追加的に結合される。ランナは、矢印110aおよび110bによって示された方向に、この場合、正のx方向および負のx方向に、線形に移動するように構成される。より具体的には、ランナ108aおよび108bは、プルーフマス102aと102bとが、y方向に沿って反平行に移動するが、プルーフマスがy方向に沿って平行に移動する運動に抵抗するかまたはそれを阻止するように、それら自体が線形に移動して、プルーフマス102aとプルーフマス102bとを線形逆位相運動に拘束する。したがって、少なくともいくつかの実施形態において、ランナの線形運動は、プルーフマスの対応する運動に直角の方向においてである。MEMSデバイス100がジャイロスコープである非限定的な例では、y方向は、駆動方向またはセンス方向に相当し得、したがって、ランナ108aおよび108bは、プルーフマスを駆動モードまたはセンスモードにおける線形逆位相運動に拘束し得る。以下にさらに説明されるように、駆動モードおよびセンスモードの両方における線形逆位相運動を確実にするのに、追加のランナが提供され得、少なくともいくつかの実施形態において、ランナの組み合わせは、ゼロ正味運動量状態での、駆動モードおよびセンスモードの両方における線形逆位相運動を確実にし得る。
ランナ108aと108bとは、少なくともいくつかの実施形態において、互いに反対方向に移動する。例えば、ランナ108aが、x軸の方向に沿って右に移動すると、ランナ108bは、x軸の方向に沿って左に移動し得、逆も同様であり得る。ランナのこの線形運動は、ランナ自体の適切な構成、および/または、ランナがプルーフマスに結合される方式によって実現され得る。いくつかの実施形態において、ランナは、それ自体がプルーフマス102aおよび102bに結合される枢動リンク機構に結合される剛性バーである。枢動リンク機構の枢動運動は、ランナ108aおよび108bの線形運動をもたらし得る。図2Aに関連して例が以下に説明される。
ランナ108aおよび108bは、任意の適切な材料で形成され得る。少なくともいくつかの実施形態において、ランナ108aおよび108bは、プルーフマス102aおよび102bと同じ材料で形成され、適切なマイクロマシニング(例えば、リソグラフィやエッチング)によって、基板104から形成される。ランナ108aおよび108bは、MEMSデバイス100に対称性を与えるために、ほぼ同一なマスを有することを含み、ほぼ同一であり得る。ランナ108aおよび108bは、非限定的な例として、x軸に平行な長さ、およびy軸に平行な幅を有し得、長さが幅の2〜100倍長い(または、その範囲内のいずれかの値である)。
図1Aは、簡略形式で2つのランナ108aおよび108bを示すが、2つより多いランナが含まれ得る、また、いくつかの実施形態では含まれる、ということが理解されよう。いくつかの実施形態において、プルーフマス102aおよび102bの所与の側に2つより多いランナが提供される。所与の側の複数のランナは、互いに反対方向に移動するように構成され得、運動量平衡構成をもたらす。いくつかの実施形態において、プルーフマスの配置の複数の側に複数のランナが含まれ、この場合、平衡運動をもたらすように、等しい個数のランナが相対する方向に移動し、したがって、MEMSデバイスに何の正味運動量も与えない。図1Fに関連して以下に例が説明される。
MEMSデバイス100が、示された特徴に加えて、任意選択で特徴を含み得、また、任意のこのような追加の特徴の性質が、デバイスのタイプ(例えば、ジャイロスコープ、加速度計、共振器)によって決まり得る、ということが理解されよう。例えば、基板104に、プルーフマス102aおよび102bなどの構成要素をしっかりと固定するのに、1つまたは複数のアンカーが含まれ得る。駆動電極およびセンス電極を含む、電気特徴が含まれ得、駆動動作およびセンス動作をもたらすための任意の適切な形態を呈し得る。他の特徴も含まれ得る。
上に説明されたように、本出願の少なくともいくつかの態様において、MEMSデバイス(例えば、ジャイロスコープ)は、同期の反対称の動きを呈するように構成された複数のプルーフマスを含み得る。例えば、同期の反対称運動をもたらすように、ジャイロスコープ100のプルーフマス102aとプルーフマス102bとが一緒に結合され得る。図1B〜図1Eは、このような反対称運動の状態図を示す。これらの図面では、x軸およびy軸は、図1Aと同じ向きを有し得る。
説明上、MEMSデバイス100がジャイロスコープであり、また、x軸が駆動運動の方向に相当すると仮定されることになる。すなわち、プルーフマス102aおよび102bは、x軸に沿って駆動される。y軸は、回転への応答の方向に相当することになり、したがって、この例では、センス軸であると見なされ得る。
図1Bおよび1Cは、駆動モードにおけるプルーフマス102aおよび102bの運動を示し、この運動が反対称であることを表す。図1Bに示されるように、プルーフマス102aが、左に(負のx方向に)移動すると、プルーフマス102bは、右に(正のx方向に)移動する。図1Cに示されるように、プルーフマス102aが、右に(正のx方向に)移動すると、プルーフマス102bは、左に(負のx方向に)移動する。プルーフマスのうちの1つの運動がもう一方の運動を引き起こし得るという点において、この運動は、同期式であり得る。
図1DおよびIEは、センスモードにおけるプルーフマス102aとプルーフマス102bとの反対称運動を示す。図1Dに示されるように、プルーフマス102aが上に(正のy方向に)移動すると、プルーフマス102bは、下に(負のy方向に)移動する。図1Eに示されるように、プルーフマス102aが下に(負のy方向に)移動すると、プルーフマス102bは、上に(正のy方向に)移動する。この場合もまた、プルーフマスのうちの1つの運動がもう一方の運動を引き起こし得るという点において、この運動は、同期式であり得る。
図1B〜1Eは、上下および左右の方向における線形運動を示すが、このような運動のいずれの組み合わせも、MEMSデバイスによって実施され得る、ということが理解されよう。例えば、マスの運動は、代わりに、数ある可能性の中でも、対角方向(例えば、x軸およびy軸に対して4度)に沿ったものであり得る。例えば、駆動軸は、x軸に対して45°であり得、感知軸は、x軸に対して135°であり得る。他の向きも考えられる。また、図1Bおよび1Cは、駆動動作モードに関するとして説明され、図1Dおよび1Eは、センスモードに関するとして説明されるが、駆動方向と感知方向とが逆にされ得る、ということが理解されよう。概して、図1B〜1Eは、単に、2つの可動マスを有するMEMSデバイスによって実施され得る逆位相運動の例を表し、また、駆動モードおよびセンスモードの運動方向および名称が、様々な形態を取り得る、ということが理解されよう。例えば、駆動モードとセンスモードとは、説明されたそれらとは反対にされてもよい。
図1B〜1Eに示された反対称(または「逆位相」)運動は、少なくともいくつかの実施形態において望ましいものであり得る。ランナ108aおよび108bは、少なくともいくつかの実施形態では、プルーフマスを、軸(例えば、ランナの運動方向に直角な軸)のうちの少なくとも1つに沿った逆位相運動に拘束するように構成される。例えば、ランナは、駆動モード、センスモード、または両方のモードにおけるプルーフマスの線形逆位相運動を強要し得る。これは、いくつかの実施形態において、ランナを対称運動に抵抗性があるようにすることによって実現される。このような対称運動に抵抗性があり、それにより、対称運動を阻止する適切なランナ構成の例が図2Aに示され、以下にさらに説明される。
上に説明されたように、いくつかの実施形態において、MEMSデバイスは、結合されたプルーフマスのそれぞれの側に複数のランナを含み得る。再び図1Aを参照すると、相対する方向に移動するランナ108aとランナ108bとを有することは、プルーフマス102aとプルーフマス102bとの所望の反対称運動をもたらし得るが、ランナ間の正味運動量をもたらすことによって、プルーフマスの対称運動を望ましくなく許す可能性がある。したがって、本出願の態様は、ランナの線形運動から生じる、正味運動量または他の形態の不平衡のない、平衡ランナ構成を有するジャイロスコープを提供する。図1Fは、例を示す。
先に説明されたMEMSデバイスのタイプのいずれかであり得る、図1FのMEMSデバイス120は、図1AのMEMSデバイス100と同じ構成要素のうちの多くを含むが、プルーフマス102aおよび102bの同じ側に複数のランナがあるという点において異なる。すなわち、ランナ108aおよび108bに加えて、ランナ122aおよび122bが含まれる。ランナ108aおよび108bのように、ランナ122aおよび122bは、線形に移動するように構成され得、y軸に沿った対称運動を防ぎながら、y軸に沿ったプルーフマス102aとプルーフマス102bとの反対称動作を可能にし得るか、または強要し得る。さらに、ランナ122aは、ランナ108aの方向と反対方向に移動するように構成され得、ランナ122bは、ランナ108bの方向と反対方向に移動するように構成され得る。このようにして、ランナ108a、108b、122a、および122bの線形運動によって、MEMSデバイス120に与えられる正味運動量を何もなくし得る。またさらに、ランナ122aおよび122bは、互いにほぼ等しく、かつランナ108aおよび108bのマスにほぼ等しい、マスを有し得、したがって、それらが相対する方向に同じ分だけ移動する等しいマスを有することから、ランナの線形運動に関連した正味線形運動量を何も有しない平衡構成をもたらす。
ランナ122aおよび122bは、ランナ108aおよび108bと同じ材料で形成され得、ほぼ同じように形成され得、例えば、ランナ108aおよび108bを形成するのに使用されるのと同じリソグラフィステップおよびエッチングステップ中に形成され得る。
図2Aは、図1Aに示されたタイプの、線形移動ランナによって一緒に結合された複数のプルーフマスを有するジャイロスコープを示す。ジャイロスコープが示され、説明されるが、以下に限定されるわけではないが、共振器や加速度計などの他のタイプのMEMSデバイスが、本明細書において示されるランナおよび構造を利用し得る、ということが理解されるであろう。ジャイロスコープ200は、線形移動ランナ208aおよび208bによって結合されたプルーフマス202aおよび202bを含む。それに加え、ジャイロスコープ200は、それぞれ、プルーフマス202a、202bに対応するシャトル204a、204bと、いくつかの枢動リンク機構206a〜206hと、を含む。枢動リンク機構206a、206b、206c、および206dは、プルーフマス202aに対応し、枢動リンク機構206e、206f、206g、および206hは、プルーフマス202bに対応する。さらに、ジャイロスコープは、プルーフマス202aおよび202bをそれぞれのシャトル204aおよび204bに結合させるテザー212を含む。この非限定的な例では、プルーフマスのそれぞれをそのそれぞれのシャトルに結合させる8つのテザー212がある。アンカー210は、枢動リンク機構206a〜206hを、またそれにより、シャトル204aおよび204bを支持し、この場合、枢動リンク機構とシャトルとは、ヒンジ214によって接続される。この例では、プルーフマスのそれぞれに関連した8つのアンカー210がある。電極領域216は、x軸に沿ってプルーフマス202aおよび202bを駆動するための電極を含み得るかまたは収容し得、電極領域218は、そのページの平面におけるジャイロスコープの回転を受けて、y軸に沿ったプルーフマス202aおよび202bの運動を感知するための電極を含み得るかまたは収容し得る。
シャトル204aおよび204bは、可動であり、またオプションである。示されるように、この非限定的な例では、シャトル204aおよび204bのそれぞれは、セグメント化される。別の言い方をすれば、示されたシャトルは、複数パートのシャトルと見なされてもよく、または同じように、シャトル204aおよび204bは、それぞれ、4分割のシャトルと見なされてもよい。説明上、シャトル204aは、本明細書では、4つのセグメント(またはパート)205a、205b、205c、および205dを含むとして説明される。シャトル204bは、本明細書では、4つのセグメント(またはパート)205e、205f、205g、および205hを含むとして説明される。このタイプの複数パートのシャトルは、シャトルのある部分(またはパート)が、駆動モードで移動し、異なる部分がセンスモードで移動することを可能にする。
説明されたように、シャトルは、オプションである。シャトルは、所望の運動に直交する運動に抵抗することによって、駆動力のミスアライメント、および/または感知力のミスアライメントを抑制するために含まれ得る。しかしながら、このようなシャトルをすべての実施形態が含むわけではない。いくつかの実施形態は、プルーフマス、枢動リンク機構、およびランナを含むが、シャトルは含まない。このような実施形態では、プルーフマスは、枢動リンク機構に直接結合され得る。
枢動リンク機構206a〜206hは、直角位相(quadrature)を低減するかまたは完全に排除するために含まれる。直角位相は、コリオリ応答の場合の位相から理想的に90°である、駆動運動に直交する方向における、プルーフマスの運動である。ジャイロスコープが、回転から生じる電気信号に対して、直角位相から生じる電気信号を区別することができない可能性があり、したがって、回転を検出することにおけるジャイロスコープの正確さが、直角位相の発生によって負の影響を受ける可能性があるので、通常、直角位相は、望ましくないものである。
示された枢動リンク機構のそれぞれは、接合具217によって接続された2つのセグメントを含み、それの例が、図2E−1、2E−2、および2E−3に関連して以下に説明される。枢動リンク機構の2つのセグメントは、ほぼ等しい長さであり得る。枢動リンク機構にも関わらず、図2Aに示された状態に対応するこの動作状態では、組み合わせ状態の枢動リンク機構の2つのセグメントは、平衡位置でほぼ剛性のバーを形成する。シャトルが、所与の枢動リンク機構を離れて線形に移動すると、枢動リンク機構は、接合具が撓む可能性があることから、撓む(または曲がる)可能性がある。しかしながら、接合具217は、ねじれおよび/または剪断に抵抗し得、それにより、枢動リンク機構の傾きを阻止し、シャトル(およびそれに接続されたマス)の回転を防ぐ。枢動リンク機構は、所望の線形運動を可能にしながら、シャトル(およびそれに接続されたマス)の望まれない回転または傾きを阻止することによって、ジャイロスコープの直角位相運動を低減するかまたは完全に防ぐ。
枢動リンケージは、枢動点においてアンカー210に接続され、ヒンジ214によって、シャトルにヒンジ式に接続される。このようにして、枢動リンク機構は、シャトル204aおよび204bが駆動されるのを受けて、またシャトル204aおよび204bがコリオリ力を受ける結果として移動するのを受けて、アンカー210を中心に枢動し得る。
図2Aの非限定的な例は、対称を呈するMEMSデバイスを示す。この点において、すべての実施形態が限定されるわけではない。
図2Bは、図2Aのジャイロスコープ200のテザー212の大写し図を示す。この非限定的な例では、テザー212は、1つの点においてシャトル204a(または204b)に接続し、2つの点においてプルーフマス202a(または202b)に接続する、二つ折りのテザーである。シャトルに対するプルーフマスの運動を可能にするのに、様々な適切なテザー構成が使用され得るので、テザーの形状は、限定的ではない。
図2Cは、図2Aのジャイロスコープに含まれるタイプのアンカー210および枢動点の大写し図である。この非限定的な例では、アンカー210は、枢軸223において、枢動リンク機構206aを支持する。シャトル204aは、アンカー210の形状にほぼ適合する形状を有するが、アンカー210に直接にも強固にも接続されず、したがって、アンカー210に対して自由に移動する。アンカー210とシャトル204aとの示された入れ子配置を考えると、シャトルが、矢印222によって示された方向よりも大幅に、矢印220によって示された方向に移動することができる、ということが理解されよう。いくつかの実施形態において、シャトルは、矢印222の方向に、全く移動することができないことがあり得る。ジャイロスコープ200の他のアンカーは、それらが接続する枢動リンク機構に対してほぼ同じ構成および配置を有し得る。
図2Dは、図2Aのジャイロスコープ200に含まれるタイプのヒンジの大写し図である。ヒンジ214は、枢動点225に対する枢動リンク機構セグメントの枢動を可能にし、並進を防ぐ、枢動リンク機構206a(または、ジャイロスコープの他の枢動リンク機構)におけるL字形状の撓み性梁224を含む。しかしながら、他の構成も考えられる。この非限定的な例では、枢動リンク機構206aは、1つの角225においてシャトル204aに接続する。実施形態によれば、ジャイロスコープ200のヒンジのすべては、ほぼ同じ構成を有する。
図2E−1は、枢動リンク機構206a〜206hのいずれかまたはすべてによって採用され得るような、枢動リンク機構のセグメントを接続するタイプの接合具217を含む、枢動リンク機構の中間部分のポンチ絵表現である。図2E−1では、特に枢動リンク機構206a、ならびにセグメント207aおよび207bに関して、接合具217が示されるが、ジャイロスコープ200の他の枢動リンク機構に、同じ構成が適用され得る。枢動リンク機構206aは、セグメント207aおよび207bを含む。接合具217は、2つのセグメント207aと207bとを一緒に結合させる比較的幅狭の短い梁であり得る。接合具217は、2つのセグメント207aと208bとが、アンカー210におけるそれらのそれぞれの枢動点を中心に相対する方向に枢動するとき、撓うことがあるが、剪断またはねじれには抵抗し得る。したがって、接合具217は、2つのセグメント207aと207bとの同じ方向への枢動を防ぎ得る。図2E−2、図2E−3は、図2E−1の構造の許容される運動、拒絶される運動を示す。
図2E−2では、セグメント207aと207bとは、円形矢印によって示されるように、それらのそれぞれのアンカー210によって支持された枢動点を中心に互いに反対方向に枢動する。接合具217は、この枢動を可能にするように撓む。シャトルセグメント205aが、図面の下向きに並進すると、示された変形状態が起こる。図2E−3は、それらのそれぞれの枢動点を中心に同じ方向に枢動するセグメント207aおよび207bに関連した変形を示す。示されるように、これは、傾き運動を呈するシャトルセグメント205aに対応すると考えられ、接合具217が剪断することを伴うと考えられる。しかしながら、接合具は、この運動に抵抗し、それにより、図2E−3に示された傾動は、接合具217を含む枢動リンク機構構成によって防がれる。したがって、マス、またはシャトルが、相対する方向で枢動するセグメントに取り付けられる場合(例えば、ヒンジまたは他の撓み性タイプを通して)、枢動リンク機構システムは、マス(またはシャトル)の線形運動を確実にし、同じ方向に枢動する2つのセグメントによって引き起こされる望まれない回転を低減する。結果として、正しく設計された接合具217を備える枢動リンク機構は、望まれない直角位相運動を防ぎ得る。
図2F−1は、図2Aのジャイロスコープにおける近隣プルーフマスを結合させるためのボックススプリング接合具219の大写し図である。より具体的には、図1Aの結合器114の非限定的な例である、ボックススプリング接合具219は、近隣プルーフマスの枢動リンク機構、この場合は枢動リンク機構206dと枢動リンク機構206fとを結合させる。ボックススプリング接合具219は、任意の適切なサイズおよび形状を有し得る。ボックススプリング接合具219は、接続された枢動リンク機構206dと206fとが相対する方向に回転するのを可能にするように位置付けられ得る。ボックススプリングは、剪断運動に抵抗し得、したがって、枢動リンク機構206dと206fとが同じ方向に回転するのを防ぐ。このようにして、ボックススプリングに接続された枢動リンク機構は、図2F−1の配置に関してx軸方向における同位相運動を拒絶しながら、プルーフマス202aとプルーフマス202bとの逆位相運動を可能にし得えるかまたは強要し得る。許容される運動の例、防がれる運動の例は、それぞれ、図2F−2、図2F−3に示される。
図2F−2では、枢動リンク機構206dと206fとは、それらのそれぞれのアンカー210によって支持された枢動点を中心に互いに反対方向に枢動する。ボックススプリング接合具219は、この図面の垂直方向に収縮することによって、このような運動を可能にする。これに対し、図2F−3は、枢動リンク機構206dと206fとが、それらのそれぞれのアンカーによって支持された枢動点を中心に互いに同じ方向に枢動する、状態を示す。この運動を可能にするためには、ボックススプリング接合具219は、枢動リンク機構206dおよび206fが枢動する方向とは反対の方向に、それ自体、反時計回りに回転すると考えられる。ボックススプリング219は、このような運動に抵抗し、したがって、図2F−2の所望の運動を強要する。
ボックススプリング接合具219は、ジャイロスコープ200の近隣枢動リンク機構を結合させるのに適した接合具の非限定的な例である。代替案として、真っ直ぐな梁の接合具が使用され得る。
図2Gは、ランナを図2Aのジャイロスコープ200のシャトルに結合させる結合器221の大写し図である。示されるように、結合器221は、半ボックススプリング接合具であり得る。しかしながら、ランナ208aに、枢動リンク機構206eの枢動を受けて線形に移動するようにさせる、任意の適切な接合具が実装され得る。すなわち、図2Gの配置に関して、結合器221は、ランナ208aに、枢動リンク機構の右側が下に(矢印228a)移動すると、右に(矢印226a)移動するようにさせ、ランナに、枢動リンク機構の右側が上に(矢印228b)移動すると、左に(矢印226b)移動するようにさせる。
再び図2Aを参照すると、動作中、ジャイロスコープ200は、同期の逆位相運動を呈し得る。シャトルセグメント205bおよび205dが、正のx方向で右に移動すると、枢動リンク機構206bの上部セグメントおよび枢動リンク機構206dの上部セグメントが時計回りに枢動する一方、枢動リンク機構206bの下部セグメントおよび枢動リンク機構206dの下部セグメントが反時計回りに枢動する。シャトルセグメント205fおよび205hは、負のx方向で左に移動するようになる。具体的には、枢動リンク機構206fの上部セグメントおよび枢動リンク機構206hの上部セグメントは、反時計回りに枢動するようになる一方、枢動リンク機構206fの下部セグメントおよび枢動リンク機構206hの下部セグメントは、時計回りに枢動するようになる。
センスモードでは、ジャイロスコープ200の回転を受けて、シャトルセグメント205aおよび205cが、負のy方向で下方に移動すると、枢動リンク機構206aの左セグメントおよび枢動リンク機構206cの左セグメントは、反時計回りに枢動するようになる一方、枢動リンク機構206aの右セグメントおよび枢動リンク機構206cの右セグメントは、時計回りに枢動するようになる。シャトルセグメント205eおよび205gは、ランナ208aおよび208bにより、正のy方向で上方に移動するようになる。枢動リンク機構206eの左セグメントおよび枢動リンク機構206gの左セグメントは、時計回りに枢動するようになり、枢動リンク機構206eの右セグメントおよび枢動リンク機構206gの右セグメントは、反時計回りに枢動するようになる。ランナ208aおよび208bは、プルーフマスおよびシャトルをこのような運動に拘束する。すなわち、ランナ208aは、それ自体が右または左に線形に移動することによって、枢動リンク機構206aの右セグメントと、枢動リンク機構206eの左セグメントとに、同じ方向(時計回りまたは反時計回り)に移動するよう強いる。同様に、ランナ208bは、それ自体が、ランナ208aの反対方向で右または左に線形に移動することによって、枢動リンク機構206cの右セグメントと、枢動リンク機構206gの左セグメントとに、同じ方向に移動するよう強いる。しかしながら、ランナ208aおよび208bが剛性バー、または他の剛性結合器であり得ることから、それらは、枢動リンク機構の結合されたセグメントが相対する方向に回転することを防ぐ。したがって、ランナ208aおよび208bは、センスモードにおけるシャトル204aとシャトル204bとの同位相運動を阻止するかまたは完全に防ぐ。それにより、シャトル204aとシャトル204bとの同位相運動を誘発する傾向にあるタイプの加速は、検出されないようになる。したがって、ランナ208aおよび208bは、加速に無感応なジャイロスコープをもたらす。
図1Fに関連して上に説明されたように、いくつかの実施形態において、MEMSジャイロスコープなどのMEMSデバイスは、結合されたプルーフマスの同じ側に複数のランナが含まれる、平衡ランナ構成を含み得る。図2Hは、このようなジャイロスコープの実装形態の非限定的な例を示す。ジャイロスコープ250は、図2Aに関連して、すでに示され、説明されたのと同じ構成要素のうちの多くを含み、したがって、それらの構成要素は、ここでは、再度詳細には説明されない。しかしながら、ジャイロスコープ250は、それが、結合されたプルーフマスの各側で、線形に移動する2つのランナを備える、平衡ランナ構成を含むという点において、ジャイロスコープ200とは異なる。具体的には、ジャイロスコープ250は、ランナ252a、252b、254a、および254bを含む。
ランナ252aは、結合器256aによって枢動リンク機構206aの左端セグメントに、また、結合器256bによって枢動リンク206eの右端セグメントに、結合される。同様に、ランナ252bは、結合器256cによって枢動リンク機構206cの左端セグメントに、また、結合器256dによって枢動リンク機構206gの右端セグメントに、結合される。結合器256a〜256dは、互いに同じであり得、また、図2Gに示された結合器のタイプか、または互いに反対方向のランナ252aとランナ252bとの線形運動を可能にする他の任意の適切な結合器であり得る。
ランナ254aは、結合器258aによって枢動リンク機構206aの右端セグメントに、結合器258bによって枢動リンク機構206eの左端セグメントに、結合される。ランナ254bは、結合器258cによって枢動リンク機構206cの右端セグメントに、結合器258dによって枢動リンク機構206gの左端セグメントに、結合される。結合器258a〜258dは、互いに同じであり得、また、図2Gに示された結合器のタイプか、または互いに反対方向のランナ254aとランナ254bとの線形運動を可能にする他の任意の適切な結合器であり得る。
ランナ252aと254aとが、枢動リンク機構206aおよび206eの互いに異なるセグメントに結合されることから、また、それらの異なるセグメントが、互いに反対方向に回転するようになることから、ランナ252aおよび254aは、図2Iに関連して以下にさらに説明されることになる動作中、互いに反対の線形方向に移動するようになる。同様に、ランナ252bと254bとが、枢動リンク機構206cおよび206gの互いに異なるセグメントに結合されることから、また、それらの異なるセグメントが、互いに反対方向に回転するようになることから、ランナ252bおよび254bは、動作中、互いに反対の線形方向に移動するようになる。全体として、さらにまた、ランナ252aと252bとは、互いに反対方向に移動するようになり、ランナ254aと254bとは、互いに反対方向に移動するようになる。したがって、運動量平衡と呼ばれる、それらのマスおよび速度が等しい限り、ランナ252aと252bとの、またランナ254aと254bとの組み合わせからの正味運動量がほぼなくなるようになる。これは、さらにまた、プルーフマスの非所望の同位相(対称)運動を与えない平衡ランナ構成をもたらす。
ランナ252aとランナ252bとは、ランナ254aとランナ254bとのように、互いにほぼ同一である。ランナの全4つは、ほぼ同じマスを有し得、したがって、平衡構成をもたらす。示された例では、ランナ252aおよび252bは、ランナ254aおよび254bよりも長い(x方向において)。ランナ254aおよび254bは、ランナ252aおよび252bよりもy方向において幅が広く、ほぼ等しいマスをもたらし得るか、または、他の任意の適切な構成を有し得る。この例では、ランナの全4つが、y方向よりもx方向に長いことが分かる。x方向における長さは、y方向における幅の2〜100倍長いか、または、その範囲内の任意の値であり得る。代替の寸法も考えられる。
示された非限定的な例では、ランナ252aおよび254aが、入れ子式構成を呈することも、図2Hから分かる。ランナ254aが、プルーフマスに近位である一方、ランナ252aは、プルーフマスに遠位である。それぞれ、ランナ254b、252bにも同じことが言える。他の構成も考えられる。
図2Iは、図2Hのジャイロスコープ250の1つの動作状態を示し、ランナ252a、252b、254a、および254bの平衡動作を表す。センス動作モードの状態に相当し得る、示された動作状態では、プルーフマス202a、およびシャトルセグメント205aおよび205cは、正のy方向で上方に移動する。プルーフマス202b、およびシャトル205eおよび205gは、負のy方向で下方に移動する。枢動リンク機構206aの左端セグメントおよび枢動リンク機構206eの右端セグメントは、ランナ252aが正のx方向で右に移動するように、それらのそれぞれの枢動点を中心に時計回りに枢動する。枢動リンク機構206cの左端セグメントおよび枢動リンク機構206gの右端セグメントは、ランナ252bが負のx方向で左に、したがって、ランナ252aの反対方向に移動するように、それらのそれぞれの枢動点を中心に時計回りに枢動する。
枢動リンク機構206aの右端セグメントおよび枢動リンク機構206eの左端セグメントは、ランナ254aが負のx方向で左に線形に移動するように、それらのそれぞれの枢動点を中心に反時計回りに回転する。枢動リンク機構206cの右端セグメントおよび枢動リンク機構206gの左端セグメントは、ランナ254bが正のx方向で右に、したがって、ランナ254aと反対に、線形に移動するように、反時計回りに回転する。したがって、プルーフマスの対称(同位相)運動が、ランナのために拒絶される。
したがって、4つのランナが線形に移動するが、ゼロの正味運動量を有する、平衡ランナ構成がもたらされるということが、図2Iにおける動作状態から分かる。これは、さらにまた、ジャイロスコープ250に非所望の運動を与える可能性を低くする。
図2Jは、ジャイロスコープ250の一部の大写しポンチ絵表現を示し、ランナの運動の別の図解を提供する。具体的には、2Iは、シャトルセグメント205aが負のy方向で下方に移動し、シャトルセグメント205eが、正のy方向で上方に移動する動作状態を示す。ランナ252aが負のx方向で左に線形に移動するように、枢動リンク機構206aの左端セグメントおよび枢動リンク機構206eの右端セグメントが、反時計回りに枢動することが分かる。ランナ254aが正のx方向で右に線形に移動するように、枢動リンク機構206aの右端セグメントおよび枢動リンク機構206eの左端セグメントが、時計回りに枢動する。
いくつかの実施形態において、ジャイロスコープの結合されたプルーフマスの同じ側の複数のランナが一緒に結合され得る。図2Kは、図2Jの構成に基づく変形形態を表す、非限定的な例を示す。図2Kでは、ランナ252aと254aとが結合器またはリンク機構260によって結合される。結合器260は、ランナ252aおよび254aの両方にほぼ直角に向けられ得、所望の程度の可撓性/剛性をもたらすように選択された長さを有し得る。この点においてすべての実施形態が限定されるわけではないが、結合器260は、いくつかの実施形態において、x方向におけるランナの長さに比べ相対的に短いことがあり得る。
図2H〜2Kは、結合されたプルーフマスの側部に、複数のランナが隣同士に配置される例を示すが、平衡ランナをもたらすのに、他の構成も考えられる。いくつかの実施形態によれば、結合されたプルーフマスの側部に、複数のランナが線形に配置される。複数のランナは、複数の側部に拘束され得る。図2Lにおいて、例が示される。
図2Lは、ランナ252aおよび254aの代替案として、複数の線形配置のランナを有するジャイロスコープの部分図を示す。部分図は、先に説明された、シャトルセグメント205aおよび205eの一部を表すが、図解を簡単にするために、シャトルおよびプルーフマスの残りは省略する。構成要素のうちのいくつかは、他の実施形態に関連して先に説明されているので、ここでは詳細には説明されない。示されるように、デバイスは、共通軸(または線)P−Pに沿って配置された、複数の線形配置のランナ270a、270b、および270cを含み得る。これに加え、枢動リンク機構272aおよび272bが含まれ、枢動リンク機構206aおよび206eと反対側のランナ270a〜270cに結合される。枢動リンク機構272aおよび272bは、枢動リンク機構206aおよび206eと同じタイプの枢動リンク機構であり得、枢動リンク機構206aおよび206eをアンカー210に結合させるのと同様にアンカー274に結合され得る。アンカー210に関連して先に説明されたような枢軸を含む、アンカー274と210とは、いくつかの実施形態において同じ仕組みを有する。
ランナ270aは、一方の側において、結合器276aによって枢動リンク機構272aに、もう一方の側において、結合器276bによって枢動リンク機構206aに、結合され得る。ランナ270bは、一方の側において、結合器276cによって枢動リンク機構272aに、もう一方の側において、結合器276dによって枢動リンク機構206aに、結合され得る。ランナ270bも、一方の側において、結合器276eによって枢動リンク機構272bに、もう一方の側において、結合器276fによって枢動リンク機構206eに、結合され得る。ランナ270cは、一方の側において、結合器276gによって枢動リンク機構272bに、もう一方の側において、結合器276hによって枢動リンク機構206eに、結合され得る。結合器276a〜276hは、図2Gに関連して先に示され、説明されたタイプであり得るか、または、枢動リンク機構206a、206e、272a、および272bの枢動を受けて、ランナ270a〜270cの線形運動をもたらす、他の任意の適切なタイプの結合器であり得る。
動作中、ランナ270aおよび270cは、ランナ270bの方向と反対の方向に移動する。ランナ270aおよび270cは、ランナ270bのマスにほぼ等しい組み合わされたマスを有し得、これにより、ランナの正味線形運動量がゼロであり、したがって、ランナがシャトルおよび/またはプルーフマスに非所望の運動を与えない、平衡構成をもたらす。したがって、いくつかの実施形態において、ランナ270aおよび270cは、ランナ270bよりも短い。いくつかのこのような実施形態において、ランナ270aおよび270cは、ランナ270bの長さの約半分に等しい長さを有する。
図2Lが、ジャイロスコープの部分図を示すが、線形配置のランナが、ジャイロスコープのシャトルおよびプルーフマスの相対する側において鏡像関係にあり得る、ということが理解されよう。すなわち、図2Iにおけるランナ252bおよび254bは、図2Lの構成のような構成と取り替えられ得る。
ランナ270a〜270cは、センス動作モードにおけるシャトルセグメント205aとシャトルセグメント205eとの反対称運動を強い、対称運動を防ぐ。したがって、図2Lのランナ構成を実装するジャイロスコープ(または他のMEMSデバイス)は、このようなランナを欠くジャイロスコープに比べて、低下した加速度感度を呈し得る。
図2Mは、ランナが互いに直接接続される、図2Lの構成案を示す。ランナ270aとランナ270bとの間の接続に焦点を合わせて、図2Lの構造の一部のみが示される。示されるように、それらの2つのランナは、結合器278によって、それらの隣り合う端において一緒に接続され得る。結合器278は、ランナ270aおよび270bのそれぞれの端においてT接続を含むとして示されるが、代替の結合構成が考えられる。結合器278は、撓み性であり、ランナ270aと270bとが、互いに対して移動することを可能にする。同様に、ランナ270bと270cとが、図2Mにはそれらは示されないが、同じように互いに直接結合され得る。
図2Nは、図2Mに示されたタイプの構造の変形状態を示す。この図面では、図2Lからの構成要素が、図2Mに示されるよりも多く再現される。例えば、シャトルセグメント205e、枢動リンク機構206e、ランナ270c、および枢動リンク機構272bが追加して示される。ランナ270bと270cとは、図2Mに関連して説明された結合器278と同じタイプであり得る結合器280によって、隣り合う端において直接、一緒に結合される。
図2Nでは、シャトルセグメント205aと205eとが、線形逆位相運動(ここでは、シャトルセグメント205aが図面の上方に線形に移動する一方、シャトルセグメント205eが、下方に線形に移動する)において移動すると、ランナ270aと270cとが、互いに同じ方向に、かつランナ270b(この図面では左方に移動する)と反対の方向に、線形に移動することが分かる。結合器278および280は、撓み得、このような運動を可能にする。
図2L、2M、および2Nの構成は、拘束されたランナを備えるMEMSデバイス(例えば、ジャイロスコープ)を示すと言える。ランナ270a〜270cは、それらの長さに沿った2つの相対する側(プルーフマス/シャトルの近位、および遠位)において拘束される。これは、ランナが、それらの長さに沿った1つだけの側において、枢動リンク機構に結合される、図2Hの構成とは対照的である。
上に説明されたように、MEMSジャイロスコープなどのMEMSデバイスにおける2つ以上のプルーフマスの使用は、ある利点を有することができる。4つのプルーフマスの使用は、コモンモード信号の機械的取り消しによって、振動整流(またはg×g感度)および線形加速度(またはg感度)に対する低下した感度をもたらし得る。4つのプルーフマスの使用は、ゼロ運動量平衡ももたらし得、今度はそれが、パッケージモードに対する感度を低下させることができ、それにより、複数のジャイロスコープコア間のクロストークを排除する。4つのプルーフマスを使用することの幾何学的対称性は、信号対雑音比(SNR:Signal−to−Noise Ratio)を改善するとともに、ジャイロスコープのオンザフライの自己較正を可能にする(その正常な動作を中断することなく)、モード合致の動作において、ジャイロスコープが使用されることも可能にし得る。したがって、スケールファクタおよびオフセット安定性が向上し得、試験所における起振機またはレート表を使用した再較正が回避され得る。このような利益を実現するために、4つのマスが、同期運動を確実にするように機械的に結合され得る。さらに、本明細書において説明されるタイプの線形移動結合器の使用は、振動に感応する望まれない並進運動に抵抗しながら(例えば、同位相運動)、4つのプルーフマスの逆位相運動を強要することを容易にし得る。
したがって、本出願の態様は、本明細書において説明されるタイプの線形移動結合器を使用して、4つのプルーフマスを一緒に結合させ、同期化マスジャイロスコープを形成する。MEMSジャイロスコープについての構築上の課題は、ジャイロスコープ動作が共振器モード(駆動モード)およびコリオリ感応モード(センスモード)の両方を使用することから、2つの自由度を保存することにある。本明細書において説明される同期化マスジャイロスコープは、駆動モード、センスモード、または2つのモード間で干渉を引き起こすことなく両方のモードにおいて、4つの結合されたプルーフマスの線形逆位相運動を強要する、線形移動結合器を含み得る。またさらに、結合器は、少なくともいくつかの実施形態において、正味運動量を何ももたらさないように配置される。
図3Aは、それぞれの近隣対のプルーフマスの対称運動に抵抗し(または阻止し)、かつプルーフマスの線形逆位相運動を可能にするかまたは強要するように構成された、本明細書において先に説明されたタイプのランナによって結合された4つのプルーフマスを有する、本出願の態様によるMEMSデバイスを、簡略形式で示す。MEMSデバイス300は、2つのプルーフマス102cおよび102d、ならびに4つのプルーフマスの結合をもたらす様々な結合器の追加で、図1AのMEMSデバイス100の拡張型に相当する。より具体的には、MEMSデバイス300は、第1のプルーフマス102a、第2のプルーフマス102b、第3のプルーフマス102c、第4のプルーフマス102d、基板104、テザー306a〜306h、ランナ108a、108b、108c、108d、122a、122b、122c、および112d、ならびに結合器114a、114b、114c、および114dを含む。テザー306a〜306hは、テザー106a〜106fに関連して先に説明されたのと同じタイプか、または他の任意の適切なタイプであり得る。結合器114a〜114dは、図1Aに関連して先に説明された結合器114と同じタイプか、または他の任意の適切なタイプであり得る。ランナ108a〜108dおよび122a〜122dは、本明細書において説明されるランナのタイプのうちのいずれかであり得る。
ランナ108a〜108dおよび122a〜122dは、x方向およびy方向に平行なプルーフマス102a〜102dの線形逆位相運動を強要し得る。例えば、ランナ108a、108b、122a、および122bが、y方向に平行なプルーフマス102a〜102dの線形逆位相運動を強要し得る。ランナ108c、108d、122c、および122が、x方向に平行なプルーフマス102a〜102dの線形逆位相運動を強要し得る。しかしながら、x方向とy方向とに沿うプルーフマスの運動は、互いに切り離され得る。
図3Aは、いくつかの実施形態において、4つのプルーフマスを含むプルーフマス配置を有するジャイロスコープが、その配置の相対する側に線形移動平衡ランナを含み得ることを示す。ランナは、示されるように、矢印110a、110b、110c、および110dによって示された方向に移動し得る。運動量平衡動作は、個々のマスの合成運動量が相殺であるようなマスを正しく選択することによって、実現され得る。例えば、ランナ108a、122a、108b、および122bは、ほぼ等しいマスを有し得、また、それらが、等しくかつ相対する運動量で移動し、したがって互いに打ち消し合うように、相対する方向(例えば、122aと反対方向の108a、122bと反対方向の108b)に並進するように配置され得る。しかしながら、代替の実施形態によるMEMSジャイロスコープが、運動量平衡化された、本明細書において説明されるタイプのランナによって結合された4つのマスを有することから、この点において、すべての実施形態が限定されるわけではない、ということが理解されよう。例えば、一実施形態において、MEMSジャイロスコープは、ランナ122a〜122dを省略し得る。
図3B〜3Eは、非限定的な実施形態による、図3Aのプルーフマス102a〜102dの逆位相運動の様々な状態を、ブロック図形式で示す。考察上、MEMSデバイス300が駆動モードおよびセンスモードの両方を有するジャイロスコープであると仮定する。図3Bは、非限定的な実施形態による、駆動動作モードにおけるプルーフマス102a〜102dの線形逆位相運動の第1の状態を、ブロック図形式で示す。示されるように、プルーフマス102a〜102dの運動は、4つのうちのいずれの所与のマスの運動も、2つの直近隣のマスの方向と反対の方向においてであるという点において、逆位相である。示された非限定的な例では、プルーフマス102aおよび102dは、負のx方向に線形に移動する一方、プルーフマス102bおよび102cは、正のx方向に線形に移動する。プルーフマスのうちの1つの運動が、他のプルーフマスの運動を引き起こし得るという点において、この運動は、同期式であり得る。
図3Cは、駆動モードの逆位相運動の第2の状態を示す。この状態では、プルーフマス102a〜102dは、図3Bと逆の方向を有する。プルーフマス102aおよび102dは、x方向に線形に移動する一方、プルーフマス102bおよび102cは、負のx方向に移動する。
図3Dは、非限定的な実施形態による、センス動作モードにおけるプルーフマス102a〜102dの逆位相運動のある状態を示す。この非限定的な例では、プルーフマス102aおよび102dは、y方向に線形に移動する一方、プルーフマス102bおよび102cは、負のy方向に線形に移動する。この場合もまた、プルーフマスのうちの1つの運動が、他のプルーフマスの運動を引き起こし得るという点において、この運動は、同期式であり得る。
図3Eは、センスモードの逆位相運動の第2の状態を示す。この状態では、プルーフマス102aおよび102dは、負のy方向に線形に移動する一方、プルーフマス102bおよび102cは、y方向に移動する。
図3B〜3Eは、上下方向および左右方向におけるプルーフマスの線形運動を示すが、このような運動のいずれの組み合わせも、MEMSデバイスによって実施され得る、ということが理解されよう。例えば、プルーフマスの運動は、数ある可能性の中でも、代わりに、対角方向(例えば、x軸およびy軸に対して45度)に沿ったものであり得る。例えば、駆動軸は、x軸に対して45°であり得、センス軸は、x軸に対して135°であり得る。他の向きも考えられる。また、図3Bおよび3Cが駆動動作モードに関するとして説明され、図3Dおよび3Eがセンスモードに関するとして説明されるが、駆動方向とセンス方向とが逆にされ得る、ということが理解されよう。概して、図3B〜3Eが、単に、4つの可動マスを有するMEMSデバイスによって実施され得る線形逆位相運動の例に相当し、また、駆動モードおよびセンスモードの運動方向および名称が、様々な形態を取り得る、ということが理解されよう。
ランナ108a〜108dおよび122a〜122dは、線形加速度および角加速度によって引き起こされる可能性のある、スプリアスモードを拒絶しながら、プルーフマス102a〜102dの逆位相運動を優先させる。具体的には、ランナ108aと108bならびに122a〜122dは、y方向における逆位相運動を優先させる一方、ランナ108cと108dならびに122cと122dは、x方向における逆位相運動を優先させる。そのように行う際、MEMSデバイス300は、線形加速度および角加速度にほぼ無感応であるかまたは不感受性であり得、これにより、ジャイロスコープとしてのMEMSデバイスのより正確な動作をもたらす。ランナは、MEMSデバイスのモードをモード順序付けすることによって、線形逆位相運動を強制し得、外力の影響を受けやすいそれらのモードは、所望の動作モードよりも著しく高い頻度である。このようにして、スプリアスモードが拒絶され得る。
図4Aおよび4Bは、非限定的な実施形態による、2つの変形状態における4プルーフマス同期化マスジャイロスコープの例を示す。図4Aは、MEMSジャイロスコープ400のプルーフマスが、x軸に平行な線形逆位相運動を経た場合の変形状態を示す一方、図4Bは、MEMSジャイロスコープ400のプルーフマスがy軸に平行な線形逆位相運動を経た場合の変形状態を示す。
同期化マスMEMSジャイロスコープ400は、それぞれのシャトル404に結合されたプルーフマス402a〜402dを含む。4つのプルーフマスのそれぞれに、4つの枢動リンク機構406が提供される。4つのランナ408および4つのランナ410を含む、全部で8つのランナが提供される。ランナ408は、ランナ252aおよび252bに関連して先に説明されたタイプのものであり、ランナ410は、ランナ254aおよび254bに関連して先に説明されたタイプのものである。
図4Aでは、同期化マスMEMSジャイロスコープが、x軸に平行なプルーフマス402a〜402dの線形逆位相運動に関連して変形される。具体的には、プルーフマス402aおよび402dは、それらの平衡位置から負のx方向に変位され、プルーフマス402bおよび402cは、x方向に変位される。この運動は、非限定的な例として、MEMSジャイロスコープの駆動動作モードに関連付けられ得る。この状態では、プルーフマス配置の左側および右側のランナ408および410は、太矢印によって示された方向に変位される。具体的には、プルーフマス402aとプルーフマス402cとを、またプルーフマス402bとプルーフマス402dとを結合させるランナ408は、負のy軸方向に変位され、それらのプルーフマスを結合させるランナ410は、y方向に変位される。プルーフマス402aとプルーフマス402bとを、またプルーフマス402cとプルーフマス402dとを結合させるランナ408および410は、この動作状態では変位されない。
図4Bでは、同期化マスMEMSジャイロスコープが、y軸に平行なプルーフマス402a〜402dの線形逆位相運動に関連して変形される。具体的には、プルーフマス402aおよび402dは、それらの平衡位置からy方向に変位され、プルーフマス402bおよび204cは、負のy方向に変位される。この運動は、非限定的な例として、MEMSジャイロスコープのセンス動作モードに関連付けられ得る。この状態では、プルーフマス402aとプルーフマス402bとを、またプルーフマス402cとプルーフマス402dとを結合させるランナ408および410は、太矢印によって示された方向に変位される。具体的には、ランナ408は、x方向に変位され、ランナ410は、負のx方向に変位される。プルーフマス402aとプルーフマス402cとを、またプルーフマス402bとプルーフマス402dとを結合させるランナ408および410は、この動作状態では変位されない。
ランナ408および410が、x方向およびy方向の両方におけるプルーフマス402a〜402dの線形逆位相運動を強要し得るが、それらの2つの方向におけるプルーフマスの運動が切り離されている、ということが図4Aおよび4Bから理解されよう。したがって、ジャイロスコープとしてのデバイスの正確な動作を容易にする、2つの自由度がもたらされる。
同期化マスMEMSジャイロスコープ400は、図2Hおよび2Iに関連して先に説明されたタイプのランナを示すが、本明細書において説明されるランナタイプのいずれも使用され得る、ということが理解されよう。例えば、図2Lおよび2Mの拘束式ランナが、ランナ408および410の代わりに実装され得る。したがって、特定の仕組みのMEMSジャイロスコープ400は、同期化マスジャイロスコープの非限定的な例である。
図4Cは、同期化マスジャイロスコープの代替の構成を示す。同期化マスジャイロスコープ420は、4つのプルーフマス402a〜402d、テザー212、枢動リンク機構406、ランナ408および410、結合器260、ならびにシャトル422を含む。この非限定的な例では、ランナ408は、結合器260によって、それぞれのランナ410と結合される。結合器260は、図2Kに示され、その図面に関連して先に説明されたタイプのものである。結合器260は、比較的短いが、ランナ408と410とが互いに対して移動することを可能にし得る。図4Cでは、各ランナ408は、3つの結合器260によって、それぞれのランナ410に結合される。しかしながら、ただ1つの結合器260が、ランナ408を対応するランナ410に結合させることを含む、他の個数の結合器260が使用されてもよい。
図4Cの同期化マスジャイロスコープ420では、枢動リンク機構406は、シャトルを通した結合よりもむしろ、プルーフマスに直接結合される。ここでは、シャトル422は、より大きな角ゲイン(angular gain)をジャイロスコープ420に提供し得る、図4Aおよび4Bのシャトル404よりも小さく作られる。角ゲインとは、センスモードの総モード質量に対する、角回転に応じる質量の比率である。
本出願の態様が同期化マスジャイロスコープを提供する、ということが上記から理解されよう。同期化マスジャイロスコープは、交差方向に沿って線形に移動するように構成された4つの結合されたプルーフマスと、プルーフマスの線形逆位相運動を強要する、プルーフマス配置の周縁に配備された複数のランナと、を有し得る。ランナは、それ自体、線形に移動し、それらが、ほぼゼロの正味運動量を有するような運動量平衡方式において、そのように行い得る。ランナは、1つの軸に平行なプルーフマスの運動を、第2の軸に平行なプルーフマスの運動から切り離し得る。したがって、駆動モードとセンスモードとは、互いに切り離されたままであり得る一方、両方のモードは、線形逆位相運動を呈し得る。
説明されてきたように、本出願の態様は、プルーフマスを線形の逆位相運動に拘束する結合器によって結合された複数の可動プルーフマスを含む、MEMSデバイスを提供し、そこでは、結合器は、それ自体、線形に移動する。デバイスは、数ある考えられるデバイスの中でも、共振器、ジャイロスコープ、または加速度計であり得る。様々なシステムは、このようなデバイスを採用し得る。したがって、本出願の様々な態様は、本明細書において説明されるタイプのランナを有するMEMSデバイスを提供し、このデバイスは、数ある中でも、スポーツ、健康管理、軍事、および産業の用途を含む、様々な場面で、回転を検出するのに使用される。ここで、いくつかの非限定的な例が説明される。
本明細書において説明されるタイプのMEMSデバイスを採用するシステムは、デバイスに結合された電源、デバイスによって生成された電気信号を処理して、回転などの対象とする特性を評価するように構成された処理回路機構(例えば、センス回路機構)、および/または、無線で、または有線接続によって外部デバイスと通信するための通信回路機構、を含み得る。このような構成要素は、1つのハウジング中に組み合わされ得、これにより、一体化製品を提供する。
本明細書に説明されるタイプのMEMSデバイスは、様々なデバイス、製品、および場面において使用され得る。1つのこのような場面は、自動車、ボート、および航空機などの乗り物内である。図5は、本明細書において説明されるタイプのMEMSデバイスが車内で採用される、例を示す。図5の例では、自動車500は、無線または有線の接続506によって、車の車載コンピュータ504に結合された制御ユニット502を含む。制御ユニット502は、任意選択で、電源、処理回路機構、接続506を介して通信するためのインターフェース回路機構、または他の任意の適切な構成要素といっしょに、本明細書において説明されるタイプのMEMSセンサまたはMEMSデバイスを備え得る。非限定的な例として、制御ユニット502は、本明細書において説明されるタイプのMEMSジャイロスコープを含み得る。MEMSジャイロスコープは、例として、自動車500のヨーを感知し得る。制御ユニット502は、MEMSデバイスが中にある、自動車500の適切な部分に取り付けられたパッケージまたはハウジングを備え得る。制御ユニット502は、車載コンピュータ504から電力および制御信号を受け取ることができ、車載コンピュータ504にセンス信号を供給し得る。
本明細書において説明されるタイプのMEMSデバイスが使用され得る別の場面は、数ある可能性の中でも、テニス、水泳、ランニング、野球、またはホッケーなどのスポーツ用途用のセンサデバイスにおいてである。いくつかの実施形態において、本明細書において説明されるタイプのMEMSジャイロスコープは、ウェアラブルフィットネスデバイスの一部であり得る。他の実施形態において、センサは、テニスのラケット、野球のバット、またはホッケーのスティックの一部であるなど、スポーツ用具品の一部であり得る。センサからのセンスデータは、ユーザのパフォーマンスを評価するのに使用され得る。
これまで説明された様々な実施形態は、プルーフマスの平面において回転を検出するのに関するジャイロスコープの動作を示してきた。このようなジャイロスコープは、ヨージャイロスコープと呼ばれる。しかしながら、本明細書において説明されるようなランナの使用は、ヨーを検出するのに加えて、またはその代替案として、他の回転形態を検出するジャイスコープに適用され得る。ヨーとピッチの両方、ロールとピッチの両方、またはヨー、ロール、およびピッチの3つすべてを検出するジャイロスコープは、複数のプルーフマスを一緒に結合させ、かつプルーフマスの逆位相運動を受けて線形に並進する、本明細書において説明されるタイプのランナを利用し得る。したがって、ジャイロスコープに関して、本明細書において説明されるそれらの実施形態は、提供されたジャイロスコープタイプにおいて限定されない、ということが理解されよう。
これまで説明された様々な実施形態は、ジャイロスコープの2つ以上のプルーフマスを一緒に結合させる線形移動結合器を備えるMEMSジャイロスコープを提供する。このような結合器は、複数マス共振器でも使用され得る。したがって、本出願の態様は、線形移動結合器によって一緒に結合された複数のプルーフマスを有する共振器を提供する。
本出願の態様は、そのうちの少なくともいくつかがすでに説明された、様々な有益な特性を呈するMEMSデバイス(たとえば、ジャイロスコープ、加速度計、および共振器)を提供する。本出願のすべての態様が、必ずしもそれぞれの利益をもたらすわけではなく、これらの利益が、本明細書において説明される利益に限定されるものでもない、ということが理解されよう。ここで、いくつかの例が説明される。
本出願の態様によれば、低度の加速度感度を呈する(加速度無感応であるとしても説明され得る)、複数プルーフマスMEMSデバイスが提供される。したがって、ジャイロスコープは、例えば、回転検出に関して極めて正確なパフォーマンスを呈し得る。本出願のいくつかの態様は、駆動モードおよびセンスモードの両方において、反対称式に動作するMEMSジャイロスコープを提供する。本出願の態様は、上に説明されたそれらの利益に加え、直角位相に比較的、無感応であるMEMSジャイロスコープを提供する。さらに、ランナを含むこのようなデバイスの製造は、他のタイプの結合器の製造に比べ、比較的簡単で、精密であり得る。したがって、極めて正確な同期の逆位相運動を呈する高精度MEMSデバイスが、通常の微細加工技法に関連する製造誤差があるとしても、実現され得る。
実施形態によれば、基板と、上方に懸架され、基板に結合され、かつ第1および第2の軸に平行に線形に並進するようにそれぞれが構成された、第1、第2、第3、および第4のプルーフマスと、第1の軸に平行な4つのプルーフマスの線形逆位相運動を強要するための手段と、を備える、同期化マスの平衡微小電気機械システム(MEMS)ジャイロスコープが提供される。
いくつかの実施形態における同期化マスの平衡MEMSジャイロスコープは、第2の軸に平行な4つのプルーフマスの線形逆位相運動を強要するための手段をさらに備える。
いくつかの実施形態における、第1の軸に平行な4つのプルーフマスの線形逆位相運動を強要するための手段と、第2の軸に平行な4つのプルーフマスの線形逆位相運動を強要するための手段とは、同期化マスの平衡MEMSジャイロスコープの運動量平衡動作をもたらすための手段を含む。
いくつかの実施形態における同期化マスの平衡MEMSジャイロスコープは、4つのプルーフマスの直角位相を阻止するための手段をさらに備える。
いくつかの実施形態における同期化マスの平衡MEMSジャイロスコープは、4つのプルーフマスの直角位相を阻止するための手段をさらに備える。
実施形態によれば、基板と、第1のテザーによって基板に結合され、かつ線形に移動するように構成された第1のプルーフマスと、第2のテザーによって基板に結合され、かつ線形に移動するように構成された第2のプルーフマスと、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを一緒に結合させ、かつ第1のプルーフマスが第1の方向に移動し、第2のプルーフマスが第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに線形に移動するように構成された、第1の結合器と、を備える、複数マスの平衡微小電気機械システム(MEMS)デバイスが提供される。
いくつかの実施形態において、第1および第2のプルーフマスは、プルーフマス配置を少なくとも一部画定し、第1の結合器がプルーフマス配置の第1の側に配備され、複数マスの平衡MEMSデバイスが、第1の側と反対の、プルーフマス配置の第2の側に配備され、かつ第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとが線形逆位相運動を呈するときに、第1の結合器と反対に線形に移動するように構成された、第2の結合器をさらに備える。
いくつかの実施形態における複数マスの平衡MEMSデバイスは、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを一緒に結合させ、かつ第1のプルーフマスが第1の方向に移動し、第2のプルーフマスが第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、第1の結合器と反対に線形に移動するように構成された、第2の結合器をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1および第2の結合器は、第1のプルーフマスの同じ側に結合される。
いくつかの実施形態において、第1および第2のプルーフマスは、プルーフマス配置を少なくとも一部画定し、複数マスの平衡MEMSデバイスは、第1および第2の結合器と反対側のプルーフマス配置に第3および第4の結合器をさらに備え、第1のプルーフマスが第1の方向に移動し、第2のプルーフマスが第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、第3の結合器は、第1の結合器と同じ方向に線形に移動するように構成され、第4の結合器は、第2の結合器と同じ方向に線形に移動するように構成される。
いくつかの実施形態において、第1の結合器と第2の結合器とは、互いに対して線形に配置される。
いくつかの実施形態において、第1の結合器は第1および第2のプルーフマスに近位であり、第2の結合器は、第1および第2のプルーフマスに遠位である。
いくつかの実施形態において、複数マスの平衡MEMSデバイスは、第1の結合器と第1のプルーフマスとの間に結合された枢動リンク機構をさらに備え、第1の結合器は、枢動リンク機構が枢動するときに、線形に移動するように構成される。
いくつかのこのような実施形態において、複数マスの平衡MEMSデバイスは、枢動リンク機構にヒンジ式に結合され、かつ枢動リンク機構と第1のプルーフマスとの間に配備された、可動シャトルをさらに備える。
実施形態によれば、複数マスの平衡微小電気機械システム(MEMS)デバイスを作動させる方法であって、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを逆位相運動において線形に移動させることと、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとが逆位相運動において線形に移動するのにつれて、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを結合させている第1の結合器を線形に並進させることと、を含む、方法が提供される。
いくつかの実施形態において、第1および第2のプルーフマスは、プルーフマス配置を少なくとも一部画定し、第1の結合器が、プルーフマス配置の第1の側に配備され、方法は、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとが逆位相運動において線形に移動するのにつれて、第1の結合器と反対の方向に、第2の結合器を線形に並進させることであって、第2の結合器が第1の側と反対の第2の側のプルーフマス配置に配備される、ことをさらに含む。
いくつかの実施形態において、複数マスの平衡MEMSデバイスを作動させる方法は、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとが逆位相運動において線形に移動するのにつれて、第1の結合器の方向と反対の方向に、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを結合させている第2の結合器を線形に並進させることをさらに含む。
いくつかの実施形態において、第1および第2のプルーフマスは、プルーフマス配置を少なくとも一部画定し、複数マスの平衡MEMSデバイスは、第1および第2の結合器と反対の側のプルーフマス配置に第3および第4の結合器をさらに備え、方法は、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとが線形逆位相運動において移動するのにつれて、第1の結合器と同じ方向に第3の結合器を線形に並進させ、第2の結合器と同じ方向に第4の結合器を線形に並進させることを、さらに含む。
方法のいくつかの実施形態において、第1および第2の結合器を線形に並進させることは、共通軸に沿って第1および第2の結合器を線形に並進させることを含む。
複数マスの平衡MEMSデバイスを作動させる方法のいくつかの実施形態において、第1および第2の結合器を線形に並進させることは、第1および第2のプルーフマスに近位に、軸に沿って第1の結合器を、また第1および第2のプルーフマスに遠位に、軸に沿って第2の結合器を、線形に並進させることを含む。
いくつかの実施形態において、方法は、第1の結合器が線形に並進する間、第1の結合器と第1のプルーフマスとの間に結合された枢動リンク機構を枢動させることをさらに含む。
いくつかの実施形態において、方法は、枢動リンク機構にヒンジ式に結合され、かつ枢動リンク機構と第1のプルーフマスとの間に配備された、シャトルを線形に並進させることをさらに含む。
実施形態によれば、基板と、第1のテザーによって基板に結合され、かつ線形に移動するように構成された第1のプルーフマスと、第2のテザーによって基板に結合され、かつ線形に移動するように構成された第2のプルーフマスと、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとの線形同位相運動を阻止するための手段と、を備える、複数マスの平衡微小電気機械システム(MEMS)デバイスが提供される。
いくつかの実施形態において、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとの線形同位相運動を阻止するための手段は、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとを線形逆位相運動に拘束する。
いくつかの実施形態において、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとの線形同位相運動を阻止するための手段は、第1および第2のプルーフマスの回転を阻止するための手段を含む。
いくつかの実施形態において、複数マスの平衡MEMSデバイスは、直角位相を阻止するための手段であって、第1のプルーフマスと第2のプルーフマスとの線形同位相運動を阻止するための手段に結合される、手段を、さらに備える。
「approximately(およそ)」および「about(約)」という用語は、いくつかの実施形態では対象とする値の±20%の範囲、いくつかの実施形態では対象とする値の±10%の範囲、いくつかの実施形態では対象とする値の±5%の範囲、またいくつかの実施形態では対象とする値の±2%の範囲、を意味するように使用され得る。「approximately」および「about」という用語は、対象とする値を含み得る。