JP2020133014A - 白ボール及び塗工白ボール - Google Patents
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[2] 前記裏層が含む全パルプの質量に対する、前記古紙パルプの含有量が90〜100質量%であり、前記中層が含む全パルプの質量に対する、前記古紙パルプの含有量が95〜100質量%である、[1]に記載の白ボール。
[3] 前記裏層の比吸収係数が50cm2/g以上である、[1]又は[2]に記載の白ボール。
[4] 前記裏層のISO白色度が45〜60%の範囲にある、[1]〜[3]の何れか一項に記載の白ボール。
[5] 前記裏層の坪量が15〜40g/m2である、[1]〜[4]の何れか一項に記載の白ボール。
[6] [1]〜[5]の何れか一項に記載の白ボールの少なくとも一方の表面に、塗工層が設けられた塗工白ボール。
本発明の第一態様の白ボールは、多層抄きされており、少なくとも表層、中層及び裏層を有する。前記裏層は、印刷古紙を分散処理した古紙パルプを含有する。さらに、前記裏層のERIC値が200〜500の範囲にあり、前記裏層の平面視における、0.01mm2以上0.05mm2未満のちり個数が500〜15000個/m2、0.05mm2以上のちり個数が50〜2000個/m2の範囲にある。
中層は、表層よりも白色度が低い層である。中層は、1層でもよいし、2〜9層程度の多層構造であってもよい。中層は、古紙パルプを含んでもよいし、含まなくてもよいが、古紙を含むことが好ましく、なかでも印刷古紙を含むことがより好ましい。中層が多層構造である場合、中層の各層の原料組成は同じでもよいし、異なっていてもよい。
白ボールは、表層と中層の間に、表層に接する表下層を有してもよいし、有さなくてもよい。表下層の白色度は、中層よりも高く、表層よりも低いことが好ましい。
白ボールは、中層の表層とは反対側に、裏層を有している。裏層を形成する原料組成は、中層の原料組成と異なるので、互いの白色度も通常は異なる。
白ボールは、中層と裏層の間に、裏層に接する裏下層を有してもよいし、有さなくてもよい。裏下層の白色度は、中層よりも高く、裏層よりも低いことが好ましい。
裏層は印刷古紙を分散処理した古紙パルプを含有するので、裏層にはインキが残留している。この残留インキを定量する方法として、JIS P 8254:2013「パルプ及び紙―赤外線反射率測定による有効残留インキ濃度(ERIC値)の試験方法」が知られている。
本態様においては上記JIS規格のERIC値を裏層の物性の一つとして特定する。具体的には、本態様の白ボールの裏層のERIC値の範囲は、200〜500であり、250〜490であることが好ましく、300〜480であることがより好ましい。
裏層のERIC値が上記の下限値以上であると、裏層の遮蔽性が高まり、中層のちり・くすみを充分に覆い隠すことができる。裏層のERIC値が上記の上限値以下であると、裏層の白色度がより向上し、外観がより一層優れたものとなる。
まず、白ボール(例えばA5サイズ)を50±20℃の水又は温水に1〜3時間浸漬した後、乾かないうちにピンセットを用い、裏層の端部をつまんで剥離させて、ロータリードライヤーにて乾燥して裏層を得る。このようにして複数の裏層を得た後、裏層を複数枚重ね、目視で透けなくなることを確認して、中層側の面(剥離した面)とは反対側の面(裏面)を上記JIS規格に基づいて測定し、ERIC値を求める。
ここでは白ボールから裏層を剥離してERIC値を求める方法を示したが、本発明者らの検討によれば、白ボールから剥離した裏層のERIC値は、抄き合わせる前の裏層のみの裏面を測定したERIC値と同等であった。よって、本発明のERIC値は、白ボールの製造時に得られる、抄き合わせる前の裏層をサンプルとして測定した値であってもよい。
裏層のちり個数は、次の方法で測定される。
上述のERIC値を測定する場合と同様に、白ボールから裏層を剥離して、中層側とは反対側の裏面を測定する。また、同等の測定結果が得られる代替方法として、抄き合わせる前の裏層の裏面を測定する方法でもよい。
裏層のちり個数の測定には、王子計測機器株式会社製の微細異物測定装置(型番:DIP−200)を用いる。装置が備えるスキャナの読み取り側に裏層の裏面をセットし、解像度1600dpiで10cm×10cmの画像を取り込み、付属のソフトウェアで解析して求める。
上記サイズのちり個数が上記の下限値以上であると、裏層の遮蔽性が高まり、中層のちり・くすみを充分に覆い隠すことができる。上記の上限値以下であると、製造工程のコストを低減できる。
上記サイズのちり個数が上記の下限値以上であると、製造工程のコストを低減できる。上記の上限値以下であると、裏層の白色度がより向上して、外観がより一層優れたものとなる。
上記サイズのちり個数が上記の下限値以上であると、製造工程のコストを低減できる。上記の上限値以下であると、裏層の白色度がより向上して、外観がより一層優れたものとなる。
前記比吸収係数の上限値は特に制限されず、例えば、60cm2/g以下を目安とすることができる。
比吸収係数が上記の下限値以上であると、裏層の遮蔽性が高まり、中層のちり・くすみを充分に覆い隠すことができる。
上述のERIC値を測定する場合と同様に、白ボールから裏層を剥離して、中層側とは反対側の裏面を測定する。また、同等の測定結果が得られる代替方法として、抄き合わせる前の裏層の裏面を測定する方法でもよい。
裏層の比吸収係数K、比散乱係数Sは、JIS P 8149:2000の方法に準拠して、波長457nmの単一シート視感反射率R0、固有視感反射率R∞を測定し、このR0、R∞及び紙の坪量W(g/m2)を用いて下記の3つの式(1)により求めた。
前記比散乱係数の上限値は特に制限されず、例えば、400cm2/g以下を目安とすることができる。
比散乱係数が上記の下限値以上であると、裏層の遮蔽性が高まり、中層のちり・くすみを充分に覆い隠すことができる。
ISO白色度が上記の下限値以上であると、裏層の外観が優れたものとなり、上記の上限値以下であると、裏層の遮蔽性が高まり、中層のちり・くすみを充分に覆い隠すことができる。
上述のERIC値を測定する場合と同様に、白ボールから裏層を剥離して、中層側とは反対側の裏面を測定する。また、同等の測定結果が得られる代替方法として、抄き合わせる前の裏層の裏面を測定する方法でもよい。
裏層の裏面のISO白色度は、JIS P 8148:2001年に準拠して、紫外線を含む測定における白色度として求められる。
前記古紙パルプは、脱墨処理された脱インキパルプであっても構わないが、製造コストを低減する観点から、脱墨処理されていない古紙パルプが好ましい。
原料とする古紙パルプのISO白色度は、裏層の裏面側の外観を良好にする観点から、30〜50%程度であることが好ましい。
古紙パルプの含有量が高いほど、古紙のリサイクルが促進される。フレッシュパルプを配合した場合には、裏層の物性を上述した範囲にすることが容易になる。
表層には、通常白色度の高いパルプが使用される。例えば、上記のフレッシュパルプや古紙の脱墨パルプを主として使用することができる。古紙としては、上白・カード、特白・中白・白マニラ、模造・色上等の白色度の高い古紙が好ましく使用できる。
中層は通常複数の層から構成される。中層の各層を構成するパルプは、総て同じであってもよいし、異なっていてもよい。
中層は、表層と裏層の間に挟まれる層であるため、通常は、表層や裏層よりも低級なパルプが使用されるのが一般的である。例えば、新聞、雑誌、切符、中質反古、茶模造、段ボール、台紙、地券、ボール、等の離解パルプが挙げられる。
例えば、新聞、雑誌、色上、ボール等の脱墨古紙パルプが使用されるのが一般的である。
本発明の白ボールの裏層は、ERIC値及びちり個数が特定の範囲にあるので、裏層が中層や裏下層の白色ムラやくすみを充分に遮蔽することができる。このため、本発明の白ボールの裏層は良好な外観を呈する。
本発明の第二態様の塗工白ボールは、第一態様の白ボールの少なくとも一方の表面に、塗工層が設けられたものである。
[塗工層]
白ボールの表層又は裏層の表面に形成された塗工層は、顔料及び接着剤を含む顔料塗工層であってもよいし、実質的な量で顔料が含まれないクリア塗工層であってもよい。塗工層を設けることにより、塗工面の外観を向上させたり、塗工白ボールの剛度を高めたり、カールを抑制したりすることができる。
白ボールの表層又は裏層の表面に形成された塗工層は、1層でもよいし、2層以上でもよい。裏層側に塗工層が設けられている場合、白ボールの裏層が優れた外観を呈するので、1層で充分である。
裏層側に塗工層を備えた塗工白ボールの裏層のERIC値は、次の方法で測定される。
まず、塗工白ボール(例えばA5サイズ)を50±20℃の水又は温水に1〜3時間浸漬した後、乾かないうちにピンセットを用い、塗工層の端部をつまんで剥離させて、塗工層側の剥離体1と、中層側の剥離体2とに分割する。通常、剥離体1の塗工層の塗工面(裏層と接する面)側には、裏層が剥離せずに残っている。この場合、剥離体2は、裏層が除かれた白ボールからなる。
次に、剥離体1を乾燥した後、透明粘着テープを剥離体1に残る裏層に貼付して、これを剥がし、透明粘着テープの粘着面に表層を移行させる。この粘着面に移行した裏層を複数枚重ねて目視で透けなくなることを確認し、塗工層側の表面を上記JIS規格に基づいて測定し、ERIC値を求める。
ここでは塗工白ボールから裏層を剥離してERIC値を求める方法を示したが、本発明者らの検討によれば、塗工白ボールから剥離した裏層のERIC値は、白ボールを抄き合わせる前の裏層のみの表面を測定したERIC値と同等であった。よって、本発明のERIC値は、塗工白ボールの製造時に得られる、白ボールを抄き合わせる前の裏層をサンプルとして測定した値であってもよい。
上記の下限値以上の塗工量であると、裏層の表面を充分に被覆して、良好な外観を呈することができる。上記の上限値以下の塗工量であると、裏層の優れた外観が塗工層の外観に反映されやすくなり、コスト面でも有利である。
塗工白板紙(例えばA5サイズ)と、塗工白板紙より大きいサイズの透明ポリエチレンフィルム(重量既知)とを重ね合わせて熱圧着し、次いで当該圧着物を0.5モルの銅エチレンジアミン溶液に浸し、紙層を溶解後、水洗、風乾することでフィルムと塗工層の一体化物を白板紙から分離する。フィルムと塗工層の一体化物の質量からフィルム質量を引くことで、顔料塗工層の塗工量を求める。また、簡易的な測定方法として、塗工層を形成する際に塗工した塗工液の塗工量(g/m2)に、塗工液の固形分の比率(不揮発成分の含有率)を積算して算出することもできる。また、塗工白ボールの坪量から白ボールの坪量を差し引いて算出してもよい。
上記の不透明度は、顔料の含有量と、塗工層の坪量に連動する。下限値以上の不透明度であると、塗工白ボールの外観が表層の影響を受け難くなる。上記の上限値以下の坪量であると、コスト面で有利である。
上記の不透明度は、顔料の含有量と、塗工層の坪量に連動する。下限値以上の不透明度であると、塗工白ボールの外観が裏層の影響を受け難くなる。上記の上限値以下の不透明度であると、裏層の優れた外観が塗工層の外観に反映されやすくなり、コスト面でも有利である。
前述の方法で得られた透明ポリエチレンフィルムと塗工層の一体化物の塗工層の裏層又は表層に接していた面とは反対側の表面から不透明度を測定する。
不透明度の測定は、JIS P 8149:2000の方法に準拠して行う。
顔料塗工層に含まれる顔料は、1種でもよいし、2種類以上でもよい。
本発明の塗工白ボールが裏層側に塗工層を有する場合、その塗工層側から観察した際の外観は、裏層のチリ・くすみによる白色ムラの影響を大きく受ける。本発明における裏層は、ERIC値及びちり個数が特定の範囲にあるので、裏層が裏下層や中層の白色ムラやくすみを充分に遮蔽することができる。このため、本発明の塗工白ボールにあっては、塗工層の遮蔽性に依存することなく、良好な外観を呈する。
本発明の白ボールは、上述したERIC値及びちり個数等の物性値が特定の範囲になるように裏層を形成すること以外は、従来の白ボールと同様に製造することができる。
印刷古紙が有する印刷部分が少ないと、古紙パルプのERIC値を下げることができる。また、古紙パルプの脱墨処理に用いる薬品の濃度を高めたり、脱墨処理時間を増やしたりして、脱墨処理の強度を上げると、脱インキパルプに残留するインキが低減するので、ERIC値を下げることができる。
古紙パルプのニーディング処理の回数を増やしたり、ニーディング処理に用いる装置の離解力を上げたりすると、古紙パルプに付着する異物を微細化できるので、上述のちり個数の条件を満たすことができる。
古紙パルプの含有量が高いほど、古紙のリサイクルが促進される。フレッシュパルプを配合した場合には、裏層の物性を上述した範囲にすることが容易になる。
通常、抄紙した裏層のパルプ組成は、原料スラリーのパルプ組成と同等になる。
古紙パルプの含有量が高いほど、古紙のリサイクルが促進される。フレッシュパルプを配合した場合には、中層の外観が向上する。
通常、抄紙した中層のパルプ組成は、原料スラリーのパルプ組成と同等になる。
その他の層を構成するための原料スラリーのパルプ組成は、使用目的に応じて適宜調整する。
原料スラリーの抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。
填料は特に制限されず、例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、亜硫酸カルシウム、石膏、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、製紙スラッジ、脱墨フロスからの再生無機粒子等の無機填料、尿素―ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、プラスチック微小中空粒子などの有機填料、さらには古紙やブロークに含まれている填料が挙げられる。
各層の原料スラリーに内添する填料の種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
原料スラリーに填料を含有する場合、抄紙して乾燥した各層の総質量に対して、填料の含有量が、例えば1〜20質量%となるように添加することができる。
塗工白ボールは、白ボールの表層及び裏層の少なくとも一方に対して、塗工層になる塗工液を塗工することにより製造することができる。好ましい塗工量は上述の通りである。
<白ボールの裏層の作成>
両面の5割が印刷部である色上古紙を縦×横=3cm×3cmに細かく裁断したものと、温水とを卓上離解機に投入して、40℃、10分間の離解処理を行い、パルプスラリーを得た。離解処理に際して、パルプ濃度を2質量%に調整した。
上記パルプスラリーを濃縮して、パルプ濃度を25質量%にした後、PFIミルを用いて500回のニーディング処理を行い、得られたパルプを150メッシュ金網の上で流水にて洗浄し、古紙パルプを得た。
上記古紙パルプを原料として、150メッシュワイヤーを用いてJIS8222:2015に従い、坪量37.2g/m2で手抄き紙を作成し、白ボールの裏層とした。
上記で作成した手抄き紙の表面に存在する「ちり個数」を下記の1)〜6)のちりのサイズ毎に分けて測定した。
ちり個数の測定は、王子計測機器株式会社製の微細異物測定装置(型番:DIP−200)を用いて、スキャナの読み取り側に手抄き紙の表面をセットし、解像度1600dpiで10cm×10cmの画像を取り込み、付属のソフトウェアで解析して求めた。
1) 0.004mm2以上0.01mm2未満
2) 0.01mm2以上0.05mm2未満
3) 0.05mm2以上0.20mm2未満
4) 0.20mm2以上0.30mm2未満
5) 0.30mm2以上0.50mm2未満
6) 0.50mm2以上
上記で作成した手抄き紙について、JIS P 8254:2013に準拠してERIC値を測定した。同規格では、試験シートとして用いる手抄き紙の坪量を60g/m2とすることが規定されている。この規格に準拠するため、上記で作成した手抄き紙を2枚重ねたものを試験シートとして用いた。
上記で作成した手抄き紙について、JIS P 8148:2001年に準拠して、紫外線を含む測定における白色度を測定した。
上記で作成した手抄き紙について、JIS P 8149:2000の方法に準拠して、波長457nmの単一シート視感反射率R0、固有視感反射率R∞を測定し、このR0、R∞及び紙の坪量W(g/m2)を用いて、前述した3つの式(1)により比吸収係数K、比散乱係数Sを求めた。
上記で作成した手抄き紙について、JIS P 8149:2000に準拠して不透明度を測定した。
上記で作成した手抄き紙を約10cmの距離から目視で観察し、下記の基準で裏層の外観を評価した。
◎ :ちり・くすみは確認できない。
○ :ちり・くすみがわずかに確認できる。
× :ちり・くすみが大量に確認できる。
上記で作成した手抄き紙に、市販の白ボールから剥離した、印刷古紙を分散処理した古紙パルプを含む中層を裏面に押し当てた状態で、手抄き紙の表面を約10cmの距離から目視で観察し、下記の基準で手抄き紙の隠蔽性を評価した。
◎ :中層のちり・くすみは確認できず、中層の白色度の影響を殆ど受けない。
○ :中層のちり・くすみは確認できないが、中層の白色度の影響を受ける。
× :中層のちり・くすみが確認できるし、且つ、中層の白色度の影響を受ける。
表1の結果を示す実施例1の裏層にあっては、中層のちり・くすみが裏層によって充分に隠蔽され、裏層が良好な外観を呈していた。
原料古紙として、両面の印刷部が7割である色上古紙を使用したこと以外は、実施例1と同様にして手抄き紙(裏層)を作成し、測定及び評価を行ったその結果を表1に示す。
表1の結果において、実施例2が実施例1よりも高いERIC値を示す理由は、原料の印刷古紙が有するインキが多いことによる。
表1の結果を示す実施例2の裏層にあっては、中層のちり・くすみが充分に隠蔽され、裏層が良好な外観を呈していた。
原料古紙として、両面の印刷部が9割である色上古紙を使用したこと以外は、実施例1と同様にして手抄き紙(裏層)を作成し、測定及び評価を行ったその結果を表1に示す。
表1の結果において、実施例3が実施例1〜2よりも高いERIC値を示す理由は、原料の印刷古紙が有するインキが多いことによる。
表1の結果において、実施例3が、実施例1よりも多く、実施例2よりも少ない、ちり個数(0.004mm2以上0.01mm2未満と、0.01mm2以上0.05mm2未満)を示す理由は、古紙の塗工量が多くパルプ繊維に直接付着するインキが少なかったことによる。
表1の結果を示す実施例3の裏層にあっては、中層のちり・くすみが充分に隠蔽され、裏層が良好な外観を呈していた。
原料として、古紙を用いず、広葉樹漂白パルプ(LBKP)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして手抄き紙(裏層)を作成し、測定及び評価を行ったその結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例1のERIC値は200未満であった。その結果、比較例1の裏層にあっては、中層のちり・くすみの隠蔽が不十分であった。
ニーディング処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして手抄き紙(裏層)を作成し、測定及び評価を行ったその結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例2のERIC値は200未満であった。その結果、比較例2の裏層にあっては、中層のちり・くすみの隠蔽が不十分であった。
原料古紙として、両面の印刷部が9割である色上古紙を使用したこと以外は、比較例2と同様にして手抄き紙(裏層)を作成し、測定及び評価を行ったその結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例3のちり個数(0.01mm2以上0.05mm2未満)は15,000個超であり、かつ、ちり個数(0.05mm2以上)は2,000個超であった。その結果、比較例3の表層にあっては、裏層自体のちり・くすみの評価が悪く、外観が劣っていた。
Claims (6)
- 表層、中層及び裏層を有する多層抄きされた白ボールであって、
前記裏層は、印刷古紙を分散処理した古紙パルプを含有し、
前記裏層のERIC値が200〜500の範囲にあり、
前記裏層の平面視における、0.01mm2以上0.05mm2未満のちり個数が500〜15000個/m2、0.05mm2以上のちり個数が50〜2000個/m2の範囲にある、白ボール。 - 前記裏層が含む全パルプの質量に対する、前記古紙パルプの含有量が90〜100質量%であり、
前記中層が含む全パルプの質量に対する、前記古紙パルプの含有量が95〜100質量%である、請求項1に記載の白ボール。 - 前記裏層の比吸収係数が50cm2/g以上である、請求項1又は2に記載の白ボール。
- 前記裏層のISO白色度が45〜60%の範囲にある、請求項1〜3の何れか一項に記載の白ボール。
- 前記裏層の坪量が15〜40g/m2である、請求項1〜4の何れか一項に記載の白ボール。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の白ボールの少なくとも一方の表面に、塗工層が設けられた塗工白ボール。
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