JP2020132888A - 溶銑の予備処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2では、浸漬ランス(インジェクションランス)を2本とし、それらの先端を溶銑中に混銑車(トピードカー)長手方向に沿った同一軸上で互いに中心から離隔して配置し、互いに相反する方向へ酸化剤を吹き込むと共に、浸漬ランスから溶銑中への酸化剤の酸素ガス換算供給速度を各ランスについて0.13Nm3/min/t以下とする技術が開示されている。
特許文献3では、インジェクションランスを、水平面への投影図でみたとき、混銑車炉体の長手方向の中心軸とは離れた位置で、中心軸の方向と平行な方向に配置する技術が開示されている。
また、特許文献2記載の技術の場合、インジェクションランス2本を同時使用しているため、ランスコストやランス交換負荷が増加するという問題がある。
特許文献3記載の技術の場合、インジェクションランスの吐出孔がトピードカー耐火物に近づくことで、トピードカー耐火物が偏摩耗し耐火物寿命が短くなるという問題がある。
前記溶銑の脱Si処理後の目標Si濃度(以下、単に「目標Si濃度」ともいう。)が設定Si濃度より高い場合、前記インジェクションランスの吐出孔の角度(トピードカーを上方から見て、インジェクションランスの中心を通りトピードカーの長手方向に延びる仮想線と粉体の吐出方向とが成す鋭角)を20°〜40°とし、
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より低い場合、少なくとも溶銑Si濃度が前記設定Si濃度未満の領域では前記インジェクションランスの吐出孔の角度を45°〜70°とすることを特徴としている。
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より高い場合、前記インジェクションランスAを使用し、
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より低い場合、少なくとも溶銑Si濃度が前記設定Si濃度未満の領域では前記インジェクションランスBを使用してもよい。
本発明者らは、トピードカーによる溶銑予備処理プロセスについて詳細に検討した結果、以下の知見を得た。
(a)溶銑のSi濃度が高い場合、溶銑に供給した酸素は溶銑中のSiと接触して反応する頻度が高い。そのため、酸素供給速度を上げるほど、脱Si速度も向上する。即ち、脱Si反応の律速過程は酸素供給であり、溶銑の撹拌性を高めても脱Si効率には関係せず脱Si速度は向上しない。一方、溶銑の撹拌性を上げると溶銑流速も速くなる。一般に、耐火物近傍の溶鉄流速が速くなるほど耐火物の溶損がより進むことが知られている。従って、耐火物保護の観点からは溶銑の撹拌性はむしろ下げたほうがよい。
なお、側壁部溶銑流速は側壁部全体の平均値である。
ノズル角度を30°とした場合が側壁部溶銑流速が最も低く0.77m/sである。ノズル角度が20°〜40°の範囲であれば、側壁部溶銑流速を0.80m/s以下に抑えることができる。
ノズル角度を60°とした場合が均一混合時間が最も短く20秒である。ノズル角度が45°〜75°の範囲であれば、溶銑の撹拌性を高めることができ均一混合時間を30秒以下に抑えることができる。
ノズル角度が20°〜40°の場合、溶銑のSi濃度が0.20質量%付近を下回ると、反応効率がノズル角度45°〜75°の場合よりも低下し始め、0.10質量%未満では明確に差が生じることが同図よりわかる。従って、溶銑のSi濃度が0.10〜0.20質量%よりも低い場合は、ノズル角度を45°〜75°として効率低下を抑制して処理時間を短縮させることが望ましいが、ノズル角度が70°を超えると、側壁部溶銑流速が速くなりすぎるため、ノズル角度の上限は70°とする。
上記検討結果より、本発明では、溶銑の脱Si処理後の目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合、ノズル角度を20°〜40°とし、溶銑の目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、ノズル角度を45°〜70°とする。溶銑の目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、溶銑Si濃度が設定Si濃度になった時点でノズル角度を20°〜40°から45°〜70°切り替えるのがベストであるが、始めから終わりまで45°〜70°のままで処理を行っても十分な効果が得られる。
設定Si濃度が0.10質量%未満であると、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合、0.10質量%未満のSi濃度までノズル角度20〜40°で処理することになり、反応効率が悪く処理時間が長くなる。一方、設定Si濃度が0.20質量%を超えると、目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、0.20質量%超のSi濃度からノズル角度45°〜70°で処理することになり、側壁部溶銑流速が速くなって耐火物の溶損が進む恐れがある。
ノズル角度が30°のインジェクションランスと60°のインジェクションランスを使用し、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合(0.30〜0.40質量%)と低い場合(0.02〜0.04質量%)それぞれについて50チャージずつ脱Si処理を実施した。精錬用粉体として酸化鉄粉を使用し、粉体キャリアガスとして窒素を使用して溶銑中へ吹込んだ。
実施例1では、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合、処理開始から終了までノズル角度が30°のインジェクションランスを用いて処理を行い、目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、処理開始から終了までノズル角度が60°のインジェクションランスを用いて処理を行った。
実施例2では、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合、処理開始から終了までノズル角度が30°のインジェクションランスを用いて処理を行い、目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、処理開始からノズル角度が30°のインジェクションランスを用いて処理を行い、溶銑中のSi濃度を定期的に測定して、Si濃度が0.10質量%になると推定される時点で、ノズル角度が60°のインジェクションランスに切り替えて処理を行った。
比較例2では、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合も低い場合も、処理開始から終了までノズル角度が60°のインジェクションランスを用いて処理を行った。
また、各実施例、比較例での処理前と処理後のトピードカー内の耐火物表面のプロフィールをレーザー距離計を用いて測定し、その差から耐火物溶損量を求め、処理したチャージ数で除して耐火物平均溶損量(mm/ch)を評価した。
処理効率に関して、目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合には、ノズル角度による違いは見られなかったが、目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、ノズル角度が30°になると、溶銑撹拌性が低いため、目標Si濃度に到達するまでに投入する酸化鉄量が増加し、処理時間が長くなる結果となった。
実施例2は、目標Si濃度が設定Si濃度より低い場合、Si濃度が高い領域ではノズル角度30°のインジェクションランスを使用し、Si濃度が低い領域ではノズル角度60°のインジェクションランスに切り替えて処理を行ったので、耐火物溶損が最も抑制された結果が得られた。
比較例2は、目標Si濃度にかかわらずノズル角度60°のインジェクションランスを使用したので、処理効率が向上しているが、溶銑流速が速くなるため、実施例に比べて耐火物溶損量が増大している。
Claims (3)
- トピードカー内の溶銑にインジェクションランスを浸漬し、粉体及び気体を前記インジェクションランスを介して前記溶銑に吹き込む溶銑予備処理方法において、
前記溶銑の脱Si処理後の目標Si濃度が設定Si濃度より高い場合、前記インジェクションランスの吐出孔の角度(トピードカーを上方から見て、インジェクションランスの中心を通りトピードカーの長手方向に延びる仮想線と粉体の吐出方向とが成す鋭角)を20°〜40°とし、
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より低い場合、少なくとも溶銑Si濃度が前記設定Si濃度未満の領域では前記インジェクションランスの吐出孔の角度を45°〜70°とすることを特徴とする溶銑の予備処理方法。 - 請求項1記載の溶銑の予備処理方法において、吐出孔の角度が20°〜40°のインジェクションランスAと、吐出孔の角度が45°〜70°のインジェクションランスBとを準備し、
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より高い場合、前記インジェクションランスAを使用し、
前記溶銑の目標Si濃度が前記設定Si濃度より低い場合、少なくとも溶銑Si濃度が前記設定Si濃度未満の領域では前記インジェクションランスBを使用することを特徴とする溶銑の予備処理方法。 - 請求項1又は2記載の溶銑の予備処理方法において、前記設定Si濃度が0.10〜0.20質量%であることを特徴とする溶銑の予備処理方法。
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