JP2020132758A - ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物 Download PDF

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JP2020132758A JP2019027767A JP2019027767A JP2020132758A JP 2020132758 A JP2020132758 A JP 2020132758A JP 2019027767 A JP2019027767 A JP 2019027767A JP 2019027767 A JP2019027767 A JP 2019027767A JP 2020132758 A JP2020132758 A JP 2020132758A
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遠藤 正朗
Masao Endo
正朗 遠藤
一人 長田
Kazuto Osada
一人 長田
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Abstract

【課題】電気特性、耐熱性、及び靭性の向上した硬化物を得ることができ、かつ、基材への含浸性に優れる、PPE樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物であって、ポリフェニレンエーテルが、下記式(1)で表される構造を含むポリフェニレンエーテル成分Aと、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上、かつ数平均分子量が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分Bとを含み、ポリフェニレンエーテルの総量を100質量%として、成分Aの含有量が60質量%以上98質量%未満であり、成分Bの含有量が2質量%超え40質量%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物等に関する。
近年、情報ネットワーク技術の著しい進歩又は情報ネットワークを活用したサービスの拡大に伴い、電子機器には情報量の大容量化、及び処理速度の高速化が求められている。これらの要求に応えるため、プリント配線板等の基板用材料には、従来から求められていた難燃性、耐熱性、銅箔とのピール強度等の特性に加え、低誘電率化・低誘電正接化が求められている。このため、プリント配線板等の基板用材料に用いられる樹脂組成物の更なる改良が検討されている。
基板用材料の中でも、ポリフェニレンエーテル(PPE)が、比較的低い誘電率、及び比較的低い誘電正接を有するため、上述した要求に応えられるプリント配線板用材料として好適である。例えば、特許文献1に記載のPPE含有樹脂組成物は、PPE1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を特定の範囲内に制御したり、互いに分子量の異なる複数のPPEの含有量を特定したりすることによって、成形性、耐熱性、接着性、及び電気特性の改良を図ることを試みている。
国際公開第2012/081705号
PPEを含む樹脂組成物の硬化物には、優れた電気特性に加え、耐熱性の向上(ガラス転移温度の向上)、及び応力又は変形等に対する強度の向上(靭性の向上)等が求められる。更に、PPEを含む樹脂組成物には、トルエン等の有機溶媒に好適に溶解し、ひいては、基板への含浸性に優れることも求められる。一方、特許文献1では、これら全ての要求に応える観点について、未だに検討の余地があった。
したがって、本発明は、電気特性の向上、耐熱性の向上、及び靭性の向上のいずれも実現可能な硬化物を得ることができ、かつ、基材への含浸性に優れる、PPE樹脂組成物を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、そのようなPPE樹脂組成物を用いて形成される、電子回路基板材料、樹脂フィルム、プリプレグ、及び積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、PPE、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物において、特有の構造を有するPPE成分A(PPE−A)と、特有の分子量を有すると共に別の特有の構造を有するPPE成分B(PPE−B)とを各々特定し、その上で両者を併用すると共に樹脂組成物における各々の含有量を定めることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物であって、
前記ポリフェニレンエーテルが、下記式(1):
{式中、
Xは、a価の任意の連結基であり、aは2.5以上の数であり、
5は、各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1〜4の整数であり、そしてk個あるR5のうちの少なくとも1つは、下記式(2):
(式中、R11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基又はフェニル基のいずれかを示し、かつ前記アルキル基、アルキレン基、及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を含んでもよい)
で表される部分構造を含み、
Yは、各々独立に下記式(3):
(式中、R21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、かつ前記飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい)
で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に1〜200の整数であり、
Lは、任意の2価の連結基又は単結合であり、かつ
Aは、各々独立に、炭素−炭素二重結合、及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を示す}
で表される構造を含むポリフェニレンエーテル成分Aと、
1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上、かつ数平均分子量が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分Bとを含み、
前記ポリフェニレンエーテルの総量100質量%を基準として、前記ポリフェニレンエーテル成分Aの含有量が60質量%以上98質量%未満であり、かつ前記ポリフェニレンエーテル成分Bの含有量が2質量%超え40質量%未満である、樹脂組成物。
[2]
前記ポリフェニレンエーテル成分Bの数平均分子量が50,000以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記樹脂組成物が、イソシアネート化合物を更に含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記架橋剤が、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンから成る群より選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5]
前記架橋剤が、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有し、
前記架橋剤の数平均分子量が4,000以下であり、かつ前記ポリフェニレンエーテル:前記架橋剤の重量比が、25:75〜95:5である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6]
前記有機過酸化物の1分間半減期温度が155℃以上185℃以下であり、
前記ポリフェニレンエーテルと前記架橋剤の合計質量100質量%を基準とし、前記有機過酸化物の含有量が、0.05質量%以上0.9質量%以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7]
前記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を更に含み、
前記熱可塑性樹脂が、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体、及びその水素添加物、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体から成る群より選択される少なくとも1種であり、
前記ブロック共重合体又はその水素添加物における、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有率が20質量%以上である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[8]
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、30,000〜300,000である、[7]に記載の樹脂組成物。
[9]
前記熱可塑性樹脂の含有量が、
前記ポリフェニレンエーテル、及び前記架橋剤の合計100質量%を基準とし、2質量%以上20質量%以下である、[7]又は[8]に記載の樹脂組成物。
[10]
前記樹脂組成物が、難燃剤を更に含み、かつ前記難燃剤が、前記樹脂組成物の硬化後に前記樹脂組成物中で他の含有成分と相溶しない、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[11]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、電子回路基板材料。
[12]
[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂フィルム。
[13]
基材と、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物との複合体である、プリプレグ。
[14]
前記基材がガラスクロスである、[13]に記載のプリプレグ。
[15]
[12]に記載の樹脂フィルム又は[13]若しくは[14]に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔との積層体。
本発明によれば、電気特性の向上、耐熱性の向上、及び靭性の向上のいずれも実現可能な硬化物を得ることができ、かつ、基材への含浸性に優れる、PPE樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、そのようなPPE樹脂組成物を用いて形成される、電子回路基板材料、樹脂フィルム、プリプレグ、及び積層体を提供することができる。
実施例1で得られた変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE1)の1H−NMR測定結果である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。以下の実施形態は、本発明の一態様であるため、本発明は以下の実施形態のみに限定されない。従って、以下の実施形態は、本発明の要旨の範囲内で適宜変形して実施可能である。また、本明細書での「〜」とは、特に断りがない場合、その両端の数値を上限値、及び下限値として含む意味である。
[樹脂組成物]
本実施形態に係るPPE含有樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう。)は、PPE、架橋剤、及び有機過酸化物を含む。そして、PPEが、特有の構造を有するポリフェニレンエーテル成分A(PPE−A)と、別の特有の構造を有すると共に数平均分子量(Mn)が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分B(PPE−B)とを含み、かつ、PPEの総量100質量%を基準として、PPE−Aの含有量が60質量%以上97質量%以下であり、かつPPE−Bの含有量が3質量%以上40質量%未満である。
このような本実施形態によれば、電気特性の向上、耐熱性の向上、及び靭性の向上のいずれも実現可能な硬化物を得ることができ、かつ、基材への含浸性に優れる、PPE樹脂組成物を提供することができる。
なお、PPEの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行い、同条件で測定した標準ポリスチレン試料の分子量と溶出時間との関係式から、標準ポリスチレン換算で求められる。例えば、PPE−A、及びPPE−Bの各々について、数平均分子量の具体的な算出方法は、実施例に記載の方法を参照できる。
樹脂組成物は、(a)PPE、(b)架橋剤、及び(c)有機過酸化物に加えて、所望により、(d)熱可塑性樹脂、(e)イソシアネート化合物、(f)難燃剤、(g)シリカフィラー、及び(h)溶剤等を更に含むことができる。以下、樹脂組成物を構成可能な要素について説明する。
[(a)PPE]
PPEは、フェニレンエーテル単位を繰り返し構造単位として含む。フェニレンエーテル単位中のフェニレン基は、置換基を有してもよく有していなくてもよい。本明細書において、用語「ポリフェニレンエーテル」は、ダイマー、トリマー、オリゴマー、及びポリマーを含む。
PPEは、フェニレンエーテル単位以外のその他の構成単位も含んでもよい。その他の構造単位の量は、全単位構造の数に対して、典型的には、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下又は5%以下である。ただ、本発明の作用効果を阻害しない範囲内であれば、その他の構造単位の量は、全単位構造の数に対して、30%を超えてもよい。
PPEは、好ましくは、下記式(3):
{式中、R21、及びR22は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子)、置換基を有してもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等のC1~6の、直鎖状又は分岐状のアルキル基;シクロヘキシル基等のC6~10の環状アルキル基)、置換基を有してもよいアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等のC1~6のアルコキシ基)、置換基を有してもよいアリール基(例えば、フェニル基、及びナフチル基)、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいニトロ基又は置換基を有してもよいカルボキシル基を表す。}で表される、繰り返し構造単位を含む。
より具体的に、R21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、かつその飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を含んでいてもよい。
PPEの具体例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−ブチルフェノール等)との共重合体、及び、2,6−ジメチルフェノールとビフェノール類又はビスフェノール類とをカップリングさせて得られるPPE共重合体、及びポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)等をビスフェノール類やトリスフェノール類のようなフェノール化合物と有機過酸化物の存在下でトルエン溶媒中で加熱し、再分配反応させて得られる、直鎖構造もしくは分岐構造を有するPPEである。
[PPE−A]
PPE−Aは、下記式(1):
で表される構造を含む。
式(1)中、Xはa価の任意の連結基であり、aは、2.5以上の数であり、好ましくは3以上の整数、より好ましくは3〜6の整数である。Xの具体例としては、例えば、炭化水素基;窒素、リン、ケイ素若しくは酸素から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基;又は窒素、リン、ケイ素等の元素若しくはこれらを含む基等が挙げられる。
また、R5は、任意の置換基であり、kは1〜4の整数であり、kが2以上である場合には、2個のR5が連結して環を形成していてよく、k個あるR5のうちの少なくとも1つは、下記式(2):
で表される部分構造を含む。
式(2)中、R11は、各々独立に、C1-8アルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8アルキレン基であり、bは独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8アルキル基又はフェニル基のいずれかを示し、これらのアルキル基、アルキレン基、及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を含んでいてもよい。
式(2)で表される部分構造は、好ましくは、2級、及び/又は3級炭素を有し、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2,2−ジメチルプロピル基又はこれらの末端にフェニル基を有する構造等を有することができる。式(2)で表される部分構造は、式(1)中のR5が結合しているベンゼン環に直接結合していることが好ましい。また、式(2)で表される部分構造は、式(1)中のR5が結合しているベンゼン環の2位、及び/又は6位(−O−に対してオルト位)に結合していることが好ましい。
式(1)で表される構造のうちの下記:
の部分は、以下のいずれかの構造:
であることが好ましく、それらの具体例としては、以下の化合物から、末端のフェノール性水酸基の水素を全て取り除いたものが挙げられる:
4,6−ジtert−ブチルベンゼン1,2,3−トリオール、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン。
式(1)におけるYは、各々独立に、下記式(3):
で表される構造を含む2価の連結基(置換基を有するフェノール単位)であり、そして式(1)におけるnは、Yの繰り返し数を表し、各々独立に、0〜200の整数である。
式(3)において、R21は、独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくはメチル、エチル基、n−プロピル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、プロパルギル基等であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、更に好ましくはメチル基である。R22は、独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基等であり、より好ましくは水素原子、メチル基であり、更に好ましくは水素原子である。ここで、飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい。
式(1)におけるAは、炭素−炭素二重結合、及び/又はエポキシ結合を含有する置換基である。Aの具体例は、記式(4)〜(8):
表される。
式(4)〜(8)において、R31は、それぞれ独立に、水素、水酸基又はC1-30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基若しくはヒドロキシアルキル基である。R32は、それぞれ独立に、C1-30の炭化水素基である。R33は、それぞれ独立に、水素、水酸基又はC1-30の炭化水素基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基若しくはイソプロペニル基であり、R33のうち少なくとも一つは、ビニル基又はイソプロペニル基である。sとtは、0〜5の整数である。
31の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、アミル、シクロペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、n−へキシル、シクロヘキシル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチレン、4−メチルペンチレン、1,1−ジメチルブチレン、2,2−ジメチルブチレン、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルへキシル、2−メチルへキシル、3−メチルへキシル、4−メチルへキシル、5−メチルへキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、3,4−ジメチルペンチル、2−メチル−3,3−ジメチルブチル、1−メチル−3,3−ジメチルブチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,3−ジメチル−2−ペンチル、2−イソプロピルブチル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、1−シクロヘキシルメチル、2−エチルシクロペンチル、3−エチルシクロペンチル、2,3−ジメチルシクロペンチル、2,4−ジメチルシクロペンチル、2−メチルシクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、1−シクロペンチルエチル、n−オクチル、2−オクチル、3−オクチル、4−オクチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルへキシル、3−エチルへキシル、4−エチルへキシル、5−エチルへキシル、1,1−ジメチルへキシル、2,2−ジメチルへキシル、3,3−ジメチルへキシル、4,4−ジメチルへキシル、5,5−ジメチルへキシル、1,2−ジメチルへキシル、1,3−ジメチルへキシル、1,4−ジメチルへキシル、1,5−ジメチルへキシル、2,3−ジメチルへキシル、2,4−ジメチルへキシル、2,5−ジメチルへキシル、1,1−エチルメチルペンチル、2,2−エチルメチルペンチル、3,3−エチルメチルペンチル、4,4−エチルメチルペンチル、1−エチル−2−メチルペンチル、1−エチル−3−メチルペンチル、1−エチル−4−メチルペンチル、2−エチル−1−メチルペンチル、3−エチル−1−メチルペンチル、4−エチル−1−メチルペンチル、2−エチル−3−メチルペンチル、2−エチル−4−メチルペンチル、3−エチル−2−メチルペンチル、4−エチル−3−メチルペンチル、3−エチル−4−メチルペンチル、4−エチル−3−メチルペンチル、1−(2−メチルプロピル)ブチル、1−(2−メチルプロピル)−2−メチルブチル、1,1−(2−メチルプロピル)エチル、1,1−(2−メチルプロピル)エチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、2,2−ジエチルプロピル、1,1−エチルメチル−2,2−ジメチルプロピル、2,2−エチルメチル−1,1−ジメチルプロピル、2−エチル−1,1−ジメチルブチル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、2,3−ジメチルシクロヘキシル、2,5−ジメチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシルメチル、3−メチルシクロヘキシルメチル、4−メチルシクロヘキシルメチル、2−エチルシクロヘキシル、3−エチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−シクロヘキシルエチル、1−シクロヘキシルエチル、1−シクロヘキシル−2−エチレン、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル、2−フェニルエチル等が挙げられる。
31の炭化水素基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n−へキシルル、シクロヘキシル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、n−ヘプチル、1−メチルへキシル、2−メチルへキシル、3−メチルへキシル、4−メチルへキシル、5−メチルへキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、n−オクチル、2−オクチル、3−オクチル、4−オクチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルへキシル、3−エチルへキシル、4−エチルへキシル、5−エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等であり、より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、アミル、シクロペンチル、n−へキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−オクチル、3−オクチル、4−オクチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルへキシル、3−エチルへキシル、4−エチルへキシル、5−エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等であり、更に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、アミル、シクロペンチル、n−へキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−オクチル、3−オクチル、4−オクチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、2−エチルへキシル、3−エチルへキシル、4−エチルへキシル、5−エチルへキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、ベンジル等である。
32の炭化水素基の具体例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−1,3−トリメチレン、1,1−ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1−エチル−1,3−プロピレン、1−メチル−1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチルレン、3−メチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,2−シクロペンチレン、1,3−シクロペンチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,1−ジメチル−1,3−プロピレン、3,3−ジメチル−1,3−プロピレン、ヘキサメチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1−エチル−1,4−ブチレン、2−エチル−1,4−ブチレン、3−エチル−1,4−ブチレン、1−メチル−1,5−ペンチレン、2−メチル−1,5−ペンチレン、3−メチル−1,5−ペンチレン、4−メチルペンチレン、1,1−ジメチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、1,2−ジメチル−1,4−ブチレン、1,3−ジメチル−1,4−ブチレン、2,3−ジメチル−1,4−ブチレン、ヘプタメチレン、1−メチル−1,6−へキシレン、2−メチル−1,6−ヘキシレン、3−メチル−1,6−ヘキシレン、4−メチル−1,6−ヘキシレン、5−メチル−1,6−ヘキシレン、1−エチル−1,5−ペンチレン、2−エチル−1,5−ペンチレン、3−エチル−1,5−ペンチレン、1,1−ジメチル−1,5−ペンチレン、2,2−ジメチル−1,5−ペンチレン、3,3−ジメチル−1,5−ペンチレン、4,4−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,2−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,3−ジメチル−1,5−ペンチレン、1,4−ジメチル−1,5−ペンチレン、2,3−ジメチル−1,5−ペンチレン、2,4−ジメチル−1,5−ペンチレン、3,4−ジメチル−1,5−ペンチレン、2−メチル−3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、1−メチル−3,3−ジメチル−1,4−ブチレン、1,2,3−トリメチルー1,4−ブチレン等が挙げられる。
また、R32の炭化水素基の具体例としては、1,3−ジメチル−1,4−ペンチレン、2−イソプロピル−1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−シクロヘキシレン、3−メチル−1,4−シクロヘキシレン、4−メチル−1,4−シクロヘキシレン、1−シクロヘキシルメチレン、2−エチル−1,3−シクロペンチレン、3−エチル−1,3−シクロペンチレン、2,3−ジメチル−1,3−シクロペンチレン、2,4−ジメチル−1,3−シクロペンチレン、2−メチル−1,3−シクロペンチルメチレン、2−シクロペンチルエチレン、1−シクロペンチルエチレン、オクタメチレン、1−メチル−1,7−ヘプチレン、1−エチル1,6−へキシレン、1−プロピル−1,5−ペンチレン、2−メチル−1,7−ヘプチレン、3−メチル−1,7−ヘプチレン、4−メチル−1,7−ヘプチレン、5−メチル−1,7−ヘプチレン、6−メチル−1,7−ヘプチレン、2−エチル−1,6−ヘキシレン、3−エチル−1,6−ヘキシレン、4−エチル−1,6−ヘキシレン、5−エチル−1,6−ヘキシレン、1,1−ジメチル−1,6−ヘキシレン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキシレン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキシレン、4,4−ジメチル−1,6−ヘキシレン、5,5−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1,2−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1,3−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1,4−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1,5−ジメチル−1,6−ヘキシレン、2,3−ジメチル−1,6−ヘキシレン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキシレン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキシレン、1,1−エチルメチル−1,5−ペンチレン、2,2−エチルメチル−1,5−ペンチレン、3,3−エチルメチル−1,5−ペンチレン、4,4−エチルメチル−1,5−ペンチレン、1−エチル−2−メチル−1,5−ペンチレン、1−エチル−3−メチル−1,5−ペンチレン、1−エチル−4−メチル−1,5−ペンチレン、2−エチル−1−メチル−1,5−ペンチレン、3−エチル−1−メチル−1,5−ペンチレン、4−エチル−1−メチル−1,5−ペンチレン、2−エチル−3−メチル−1,5−ペンチレン、2−エチル−4−メチル−1,5−ペンチレン、3−エチル−2−メチル−1,5−ペンチレン、4−エチル−3−メチル−1,5−ペンチレン、3−エチル−4−メチル−1,5−ペンチレン、4−エチル−3−メチル−1,5−ペンチレン等が挙げられる。
更に、R32の炭化水素基の具体例としては、1−(2−メチルプロピル)−1,4−ブチレン、1−(2−メチルプロピル)−2−メチル−1,4−ブチレン、1,1−(2−メチルプロピル)エチレン、1,1−(2−メチルプロピル)エチル−1,3−プロピレン、1,1−ジエチル−1,3−プロピレン、2,2−ジエチル−1,3−プロピレン、1,1−エチルメチル−2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、2,2−エチルメチル−1,1−ジメチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,1−ジメチル−1,4−ブチレン、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、2,3−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、2,5−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、2,6−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、3,5−ジメチル−1,4−シクロヘキシレン、2−メチル−1,4−シクロヘキシル−1−メチレン、3−メチル−1,4−シクロヘキシル−1−メチレン、4−メチル−1,4−シクロヘキシル−1−メチレン、2−エチル−1,4−シクロヘキシレン、3−エチル−1,4−シクロヘキシレン、4−エチル−1,4−シクロヘキシレン、2−シクロヘキシルエチレン、1−シクロヘキシルエチレン、1−シクロヘキシル−2−エチレン、ノニルメチレン、1−メチル−1,8−オクチレン、デシルメチレン、1−メチル−1,8−ノニレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、1,2−フェニレン、メチレン−1,4−フェニレン−メチレン、エチレン−1,4−フェニレン−エチレン等が挙げられる。
32の炭化水素基は、好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−1,2−プロピレン、1,1−ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1−エチル−1,3−プロピレン、1−メチル−1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチレン、3−メチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,3−シクロペンチレン、1,6−へキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、1−エチル−1,4−ブチレン、2−エチル−1,4−ブチレン、3−エチル−1,4−ブチレン、1−メチル−1,5−ペンチレン、2−メチル−1,5−ペンチレン、3−メチル−1,5−ペンチレン、4−メチル−1,5−ペンチレン、ヘプタメチチレン、1−メチル−1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,6−ヘキシレン、3−メチル−1,6−ヘキシレン、4−メチル−1,6−ヘキシレン、5−メチル−1,6−ヘキシレン、1−エチル−1,5−ペンチレン、2−エチル−1,5−ペンチレン、3−エチル−1,5−ペンチレン、2−メチル−1,4−シクロヘキシレン、3−メチル−1,4−シクロヘキシレン、4−メチル−1,4−シクロヘキシレン、オクタメチレン、1−メチル−1,7−ヘプチレン、3−メチル−1,7−ヘプチレン、4−メチル−1,7−ヘプチレン、2−メチル−1,7−ヘプチレン、5−メチル−1,7−ヘプチレン、6−メチル−1,7−ヘプチレン、2−エチル−1,6−ヘキシレン、3−エチル−1,6−ヘキシレン、4−エチル−1,6−ヘキシレン、5−エチル−1,6−ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等であり、より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−1,2−プロピレン、1,1−ジメチルエチレン、ペンタメチレン、1−エチル−1,3−プロピレン、1−メチル−1,4−ブチレン、2−メチル−1,4−ブチレン、3−メチル−1,4−ブチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,3−シクロペンチレン、1,6−へキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、ヘプタメチチレン、オクタメチレン、1−メチル−1,7−ヘプチレン、3−メチル−1,7−ヘプチレン、4−メチル−1,7−ヘプチレン、2−メチル−1,7−ヘプチレン、5−メチル−1,7−ヘプチレン、6−メチル−1,7−ヘプチレン、2−エチル−1,6−ヘキシレン、3−エチル−1,6−ヘキシレン、4−エチル−1,6−ヘキシレン、5−エチル−1,6−ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等であり、更に好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、1,2−プロピレン、テトラメチレン、2−メチル−1,2−プロピレン、1,1−ジメチルエチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,3−シクロペンチレン、1,6−へキサメチレン、1,4−シクロヘキシレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、1−メチル−1,7−ヘプチレン、3−メチル−1,7−ヘプチレン、4−メチル−1,7−ヘプチレン、2−メチル−1,7−ヘプチレン、5−メチル−1,7−ヘプチレン、6−メチル−1,7−ヘプチレン、2−エチル−1,6−ヘキシレン、3−エチル−1,6−ヘキシレン、4−エチル−1,6−ヘキシレン、5−エチル−1,6−ヘキシレン、ノニルメチレン、デシルメチレン、ウンデシルメチレン、ドデシルメチレン等である。
式(1)、及び(1’)中のAについて、炭素−炭素二重結合を含有する置換基の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、p−ビニルフェニル基、p−イソプロペニルフェニル基、m−ビニルフェニル基、m−イソプロペニルフェニル基、o−ビニルフェニル基、o−イソプロペニルフェニル基、p−ビニルベンジル基、p−イソプロペニルベンジル基、m−ビニルベンジル基、m−イソプロペニルベンジル基、o−ビニルベンジル基、o−イソプロペニルベンジル基、p−ビニルフェニルエテニル基、p−ビニルフェニルプロペニル基、p−ビニルフェニルブテニル基、m−ビニルフェニルエテニル基、m−ビニルフェニルプロペニル基、m−ビニルフェニルブテニル基、o−ビニルフェニルエテニル基、o−ビニルフェニルプロペニル基、o−ビニルフェニルブテニル基、メタクリル基、アクリル基、2−エチルアクリル基、2−ヒドロキシメチルアクリル基等が挙げられる。
式(1)におけるLは、任意の2価の連結基又は単結合(直接結合)である。Lが単結合である場合、式(1)は下式のように表される。
また、Lが任意の2価の連結基である場合、かかるLの具体例は、例えば、下記式:
{式中、a、R5、k、X、Y、及びnは、式(1)の説明において定義したとおりである}
で表される構造を有する。
式(1)で表される構造は、Xの価数aの値に応じて様々な分岐構造を取り得る。例えば、式(1)においてa=3の場合には、下記式:
{式中、nは、Yの繰り返し数を表し、0〜200の整数である}
で表される分岐構造等が挙げられる。
式(1)で表される構造としては、具体的には下記のような構造が挙げられる。
上記の式中、Zは、式(1)におけるXに相当する任意の連結基である。R1は、式(2)で表される置換基であり、bは1〜4の整数である。なお、R1の位置に限定はなく、R1は、任意の位置を取ってよい。また、bが2以上の場合には、複数あるR1のそれぞれが、同じ構造を取っても、異なった構造を取ってもよい。R1としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、2,2−ジメチルプロピル基又はこれらの末端にフェニル基を有する構造等が挙げられる。Aは、炭素−炭素二重結合、及び/又はエポキシ結合を含有する置換基である。R2は、水素又はC1~8の鎖状若しくは環状構造を有する炭化水素基である。R2が複数ある場合には、それぞれの置換基は同じでも異なっていてもよい。R2の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、フェニル基、ベンジル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、合成時の反応性等の観点から、水素、メチル、エチル、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基が好ましい。しかしながら、合成時の反応性が、R2の位置又は合成時の反応条件を適切に設定することによってもコントロールできる場合には、R2の構造に制限はなく、C1-8の条件を満たす範囲内で任意の構造でよい。Zは、炭化水素基;窒素、リン、ケイ素、酸素から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基;又は窒素、リン、ケイ素等の元素若しくはこれらを含む基である。
Zとしての炭化水素基の具体例は、例えば、下記式で表される構造等である。
上記式において、R4〜R10は、同じでも異なっていてもよく、水素又はC1-8の炭化水素基を示す。また、R31〜R33は、同じでも異なっていてもよく、水素又はC1-6の炭化水素基を示す。j、k、l、及びmは、同じでも異なっていてもよく、0〜4の整数である。R4〜R10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピルn−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。R31〜R33の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピルn−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
また、Zとして、窒素、リン、ケイ素、及び酸素から成る群から選ばれる、一つ又は複数の元素を含有する炭化水素基の具体例は、下記式で表されるものである。
上記式において、R4〜R10は、同じでも異なっていてもよく、水素又はC1-8の炭化水素基を示す。j、k、l、及びmは、同じでも異なっていてもよく、0〜4の整数である。R4〜R10の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピルn−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、Zとして、窒素、リン、ケイ素等の元素又はこれらを含む基の具体例は、以下のとおりである。
上記具体例のうち、一つ目のものについてAの構造を具体的にすると、下記式のような構造になる。なお、4〜6分岐の場合も同様であり、また下記式中のR31、R32、s、及びtは、Aの具体例において定義したとおりである。
以上説明したPPE−Aの数平均分子量は、GPCを用いたポリスチレン換算分子量において、500〜8,000であることが好ましい。
PPE−Aの数平均分子量は、樹脂組成物の硬化形態において、誘電率、及び誘電正接の低減を一層図り易くする観点から、好ましくは700以上、より好ましくは900以上、更に好ましくは1,100以上である。一方、流動性、他の成分との相溶性等の観点から、PPE−Aの数平均分子量は、好ましくは7,000以下、より好ましくは6,000以下、更に好ましくは4,500以下である。
本実施形態における式(1)の構造を有する変性PPEは、例えば、より高分子のPPEポリマーを用いた再分配反応法によりPPEを調製し、その末端にAを導入することにより製造することができる。再分配反応によるPPEの製造の場合は、公知の反応条件に定められた条件に従い製造することが可能である。この場合、得られるポリマーは、原料となるPPEよりも分子量が低くなるため、目的の分子量に合わせ、原料PPEと多官能フェノール化合物の比率を調整してよい。
また、式(1)又は(1’)中の置換基Aを、例えば、式(4)〜(7)で表される官能基を、得られたPPEポリマー末端へ導入する方法に限定はなく、官能基の種類に応じて公知の様々な方法を採用してよい。例えば、式(4)、(6)又は(7)の構造を有する官能基の導入は、一般的には、Williamson合成法によるエーテル結合の形成に従うことができる。式(5)の構造を有する官能基の導入は、PPEポリマー末端の水酸基と、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸(以下カルボン酸)とのエステル結合の形成反応であり、公知のエステル結合形成方法を利用することができる。
PPE−Aは、高硬化反応性、及び低誘電特性、並びに良好な流動性・成形性を有し、耐熱性に優れるので、各種電気・電子機器用の材料として好適に使用でき、特に、電気・電子部品(プリント配線板基材等)用のプリプレグの製造に好適に使用できる。
なお、樹脂組成物において、所定のPPE−Aが単独で用いられてもよく、複数の異なるPPE−Aが組み合わせて用いられてもよい。
[PPE−B]
PPE−Bは、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上、かつ、数平均分子量が8,000を超えるPPEである。
このうち、PPEの数平均分子量は、本発明の作用効果を奏する観点から、8,000を超える。このような高分子範囲のPPE−Bを含むことで、樹脂組成物の硬化形態において、靭性の向上を図ることができる。しかも、PPE−Bは、その生産プロセスにおいて安定であり、かつ誘電特性、及び耐熱性に優れているため、PPE−Aを阻害することなく、樹脂組成物の硬化物の電気特性を向上させる傾向にある。
樹脂組成物の硬化形態における靭性の向上を一層図り易くする観点から、PPE−Bの数平均分子量は、好ましくは8,500以上、より好ましくは8,700以上、更に好ましくは9,000以上である。同様の観点から、PPE−Bの数平均分子量は、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、更に好ましくは30,000以下である。
なお、PPE−Bは、PPE−Aと区別されることができ、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上、かつ数平均分子量が8,000を超えるという要件を満たすのであれば、任意のPPEでよい。
勿論、PPE−Bにおいて、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上であれば、PPE−Bの主鎖末端は、水酸基のみに限定されず、水酸基以外の末端官能基を含んでもよい。末端官能基の具体例は、上記のとおりである。
また、樹脂組成物に上記のPPE−Bが含まれることで、PPE樹脂層と基材(各種のガラスクロス等)との接着性、及びPPE樹脂層と金属箔(銅箔等)との接着性の向上を図り易くなり、これにより、ピール強度の向上を図り易くなる。
樹脂組成物において、所定のPPE−Bが単独で用いられてもよく、複数の異なるPPE−Bが組み合わせて用いられてもよい。
[PPE−AとPPE−Bとの併用]
本実施形態においては、本発明の作用効果を奏する観点から、上記のPPE−Aと上記のPPE−Bとを併用する。
互いに異なる複数のPPEを単に併用するのではなく、特有の構造を有するPPE−Aと、特有の分子量を有すると共に別の特有の構造を有するPPE−Bとを各々特定し、その上で両者を併用すると共に、樹脂組成物における各々の含有量を定めることに、本実施形態は着目している。このような特定の両者を併用するとき、耐熱性(高Tg)を確保し易くなる観点から、後述するイソシアネート化合物を更に併用することが好ましい。
樹脂組成物において、所定のPPE−Aが単独で用いられてもよく、複数の異なるPPE−Aが組み合わせて用いられてもよいこと、また、所定のPPE−Bが単独で用いられてもよく、複数の異なるPPE−Bが組み合わせて用いられてもよいことは、上記のとおりである。また、樹脂組成物においては、本発明の作用効果を阻害しない範囲内であれば、PPE−A、及びPPE−B以外の、他のPPEが含まれていてもよい。PPEとしてPPE−A、及びPPE−Bのみが用いられる場合、樹脂組成物におけるPPE100質量%又はPPE100質量部は、PPE−A、及びPPE−Bの合計100質量%又は合計100質量部に相当する。一方、樹脂組成物がPPE−A、及びPPE−B以外の他のPPEを含む場合、PPE100質量%又はPPE100質量部は、PPE−A、PPE−B、及び他のPPEの合計100質量%又は合計100質量部に相当することになる。
なお、樹脂組成物においては、本発明の作用効果を阻害しない範囲内であれば、PPE以外の樹脂が含まれていてもよい。
本発明の作用効果を奏する観点から、PPEの総量100質量%を基準として、PPE−Aの含有量が60質量%以上98質量%未満であり、かつPPE−Bの含有量が2質量%超え40質量%未満である。
まず、PPE−Aの含有量の下限値が上記の値であることで、比較的低分子量であるPPE−Aを樹脂組成物に含有させることによる上記の効果が得られる。一方、PPE−Aの含有量の上限値が上記の値であれば、比較的高分子量であるPPE−Bを樹脂組成物に含有させる余地が生じる。
そして、PPE−Bの含有量の下限値が上記の値であることで、比較的高分子量であるPPE−Bを樹脂組成物に含有させることによる上記の効果が得られるようになる。
従って、本発明の作用効果を奏する観点から、PPEの総量100質量%を基準として、PPE−Aの含有量は、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。同様の観点から、PPE−Aの含有量は、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
また、本発明の作用効果を奏する観点から、PPEの総量100質量%を基準として、PPE−Bの含有量は、好ましくは3質量%超え、より好ましくは4質量%超え、更に好ましくは5質量%以上である。同様の観点から、PPE−Bの含有量は、好ましくは35質量%未満、より好ましくは30質量%未満、更に好ましくは25質量%未満である。
PPE−AとPPE−Bとを併用するとき、PPE−Aに対してPPE−Bを添加してもよいし、PPE−Bに対してPPE−Aを添加してもよい。従って、例えば、PPE−A又はこれに類するPPEの製造ラインにおいて、PPE−Bを添加するように設備を設計してもよいし、PPE−B又はこれに類するPPEの製造ラインにおいて、PPE−Aを添加するように設備を設計してもよい。また、例えば、樹脂組成物に溶剤(有機溶剤)を含有せしてワニスを作製する段階で、PPE−AとPPE−Bとを同時に、又は一方の存在下で他方を添加してもよい。いずれの場合であっても、PPE−AとPPE−Bとの併用に当たっては、既知の製造ラインから大きな変更なく、これを有効に活用することが可能である。
[(b)架橋剤]
本実施形態では、架橋反応を起こすか又は促進する能力を有する任意の架橋剤を使用することができる。架橋剤は、数平均分子量が4,000以下であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が4,000以下であると、樹脂組成物の粘度の増大を抑制でき、また加熱成型時の良好な樹脂流動性が得られる。数平均分子量は、一般的な分子量測定方法で測定したものであればよく、具体的には、GPCを用いて測定した値等が挙げられる。
架橋剤は、架橋反応の観点から、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有することが好ましい。架橋剤は、1種類の化合物で構成されてもよく、2種類以上の化合物で構成されてもよい。本明細書にいう「炭素−炭素不飽和二重結合」とは、架橋剤がポリマー又はオリゴマーである場合、主鎖より分岐した末端に位置する二重結合をいう。炭素−炭素不飽和二重結合としては、例えば、ポリブタジエンにおける1,2−ビニル結合が挙げられる。
架橋剤の数平均分子量が600未満である場合、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、2〜4であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が600〜1500の場合には、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、4〜26であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が1,500〜4,000の場合には、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素不飽和二重結合の数(平均値)は、26〜60であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が上記範囲内にある場合に、炭素−炭素不飽和二重結合の数が特定値以上であることにより、本実施形態に係る樹脂組成物は、架橋剤の反応性が一層高まり、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が一層向上し、その結果、一層優れた耐熱性を付与できる。一方で、架橋剤の数平均分子量が上記範囲内にある場合に、炭素−炭素不飽和二重結合の数が、特定値以下であることにより、加熱成形時に一層優れた樹脂流動性を付与できる。
架橋剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のトリアルケニルイソシアヌレート化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)等のトリアルケニルシアヌレート化合物、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、ポリブタジエン等の分子中にビニル基を2個以上有する多官能ビニル化合物、分子中にビニルベンジル基を有するジビニルベンゼン等のビニルベンジル化合物、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン等の分子中にマレイミド基を2個以上有する多官能マレイミド化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。架橋剤は、これらの中でも、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンから成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。架橋剤が、上記で説明された少なくとも1種以上の化合物を含むことにより、硬化反応(架橋反応)時に架橋密度が一層高くなり、これにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性が一層向上する傾向にある。
PPE:架橋剤の重量比は、硬化時の低誘電率、及び低誘電正接と架橋構造物の架橋密度のバランスを取るという観点から、25:75〜95:5であることが好ましく、より好ましくは、32:68〜85:15である。
[(c)有機過酸化物]
本実施形態では、PPE、及び架橋剤を含む樹脂組成物の重合反応を促進する能力を有する任意の有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。なお、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等のラジカル発生剤も樹脂組成物のための反応開始剤として使用することができる。中でも、得られる耐熱性、及び機械特性に優れ、更に低い誘電率、及び誘電正接を有する硬化物を提供することができるという観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
有機過酸化物の1分間半減期温度は、好ましくは155℃以上185℃以下であり、より好ましくは160℃〜180℃又は165℃〜175℃である。本明細書では、1分間半減期温度は、有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が半分になる時間が1分間となる温度である。1分間半減期温度は、ラジカルに対して不活性な溶剤、例えばベンゼン等に有機過酸化物を0.05mol/L〜0.1mol/Lの濃度となるように溶解させ、有機過酸化物溶液を窒素雰囲気化で熱分解させる方法で確認される値である。
有機過酸化物の1分間半減期温度が155℃以上であることにより、PPE含有樹脂組成物を加熱加圧成型に供す際、PPEを十分に溶融させてから架橋剤との反応が開始されることになるので、成型性に優れる傾向にある。一方、有機過酸化物の1分間半減期温度が185℃以下であることにより、通常の加熱加圧成型条件(例えば最高到達温度200℃)での有機過酸化物の分解速度が十分であるため、架橋剤との架橋反応を効率的かつ緩やかに進めることができるので、良好な電気特性(特に誘電正接)を有する硬化物を形成可能である。
1分間半減期温度が155℃〜185℃の範囲内にある有機過酸化物としては、例えば、t−へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(155.0℃)、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(166.0℃)、t−ブチルペルオキシラウレート(159.4℃)、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)、t−ブチルペルオキシ2−エチルへキシルモノカーボネート(161.4℃)、t−へキシルパーオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t−ブチルペルオキシアセテート(159.9℃)、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(166.8℃)、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレラート(172.5℃)、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、ジ−t−へキシルパーオキサイド(176.7℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(179.8℃)、及びt−ブチルクミルパーオキサイド(173.3℃)等が挙げられる。
有機過酸化物の含有量は、PPEと架橋剤の合計質量100質量%を基準として、反応率を高くすることができるという観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上又は1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、得られる硬化物の誘電率、及び誘電正接を低く抑えることができるという観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、更に好ましくは0.9質量%以下である。
[(d)熱可塑性樹脂]
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体、及びその水素添加物(ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体)、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体から成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記ブロック共重合体又はその水素添加物のビニル芳香族化合物由来の単位の含有率は、20質量%以上であることが好ましく、99質量%以下であることができる。上記ブロック共重合体又はその水素添加物のビニル芳香族化合物由来の単位の含有率が20質量%以上であることにより、PPEとの相溶性が一層向上し、金属箔との密着強度が一層向上する傾向にある。
ビニル芳香族化合物は、分子内に芳香環、及びビニル基を有すればよく、例えば、スチレンが挙げられる。オレフィン系アルケン化合物は、分子内に、直鎖若しくは分岐構造を有するアルケンであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂は、PPEとの相溶性に一層優れる観点から、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン−ブチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン‐イソプレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレンの単独重合体(ポリスチレン)から成る群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、及びポリスチレンからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
上記水素添加物における水素添加率は特に限定されず、オレフィン系アルケン化合物由来の炭素‐炭素不飽和二重結合が一部残存していてもよい。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは30,000〜300,000、より好ましくは31,000〜290,000である。重量平均分子量が30,000以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化した際に耐熱性に一層優れる傾向にある。重量平均分子量が300,000以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形時に一層良好な樹脂流動性を有する傾向にある。重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により求められる。
熱可塑性樹脂の含有量は、PPE−A、及び架橋剤の合計100質量部を基準として、2質量部〜20質量部であることが好ましい。含有量が2質量部以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化した際に低誘電率性、低誘電正接性、及び金属箔との密着性に一層優れる傾向にある。含有量が20質量部以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形時に一層優れた樹脂流動性を有する傾向にある。
[(e)イソシアネート化合物]
上記のとおり、PPE−AとPPE−Bとを併用するとき、耐熱性(高Tg)を確保し易くなる観点から、イソシアネート化合物を更に併用することが好ましい。すなわち、比較的高分子であり、かつ、分子の末端に水酸基を有するPPE−Bを用いる場合、イソシアネート化合物を更に併用することで、該PPE−Bと相溶する架橋剤との硬化物において、ガラス転移温度(Tg)が低下するのを防止し易くなる。この理由としては必ずしも明らかではないが、PPE−Bの主鎖末端の水酸基にイソシアネート化合物が作用することで、より長鎖化した化学構造が形成されるためと推察される。
イソシアネート化合物とは、イソシアネート基(−CNO)を1個又は2個以上有する化合物をいう。イソシアネート化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、イソシアン酸メチル、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートイソシアン酸フェネチル、ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸ヘキサメチレン等が挙げられる。イソシアネート化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂組成物の硬化形態において、高い耐熱性を一層確保し易くする観点から、イソシアネート化合物の配合量は、PPE100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上である。同様の観点から、イソシアネート化合物の配合量は、PPE100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
イソシアネート化合物を併用する場合、該イソシアネート化合物による反応促進(硬化促進)のため、更に触媒を併用してもよい。併用可能な触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクチテート、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。この種の触媒の配合量は、PPE100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以下、より好ましくは0.05質量%以下であり、また好ましくは0.01質量%以上である。
[(f)難燃剤]
樹脂組成物は、難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤としては、耐熱性を向上できる観点から、樹脂組成物の硬化後に樹脂組成物中の他の含有成分と相溶しないものが好ましい。好ましくは、難燃剤は、樹脂組成物の硬化後に樹脂組成物中のPPE、及び/又は架橋剤と相溶しない。難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛等の無機難燃剤;ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、4,4−ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の芳香族臭素化合物;レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート等のリン系難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、難燃剤は、樹脂組成物を硬化した際の低誘電率性、及び低誘電正接性に一層優れる観点から、デカブロモジフェニルエタンであることが好ましい。
難燃剤の含有量は、特に限定されないが、UL規格94V−0レベルの難燃性を維持するという観点から、PPEと架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、得られる硬化物の誘電率、及び誘電正接を低く維持できる観点から、難燃剤の含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
[(g)シリカフィラー]
樹脂組成物は、シリカフィラーを含有してよい。シリカフィラーとしては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、及び中空シリカが挙げられる。シリカフィラーの含有量は、PPE、及び架橋剤の合計100質量部に対して、10〜100質量部であることができる。また、シリカフィラーは、その表面にシランカップリング剤等を用いて表面処理をされたものであってもよい。
樹脂組成物は、上記の添加剤以外に、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤、溶剤等を更に含んでもよい。樹脂組成物は、溶剤を含む場合には、樹脂組成物中の固形成分が溶剤に溶解又は分散したワニスの形態であることができる。
[(h)溶剤]
溶剤としては、溶解性の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びクロロホルムであることが好ましい。これらの溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、PPE−Aに対して、PPE−Bは溶媒に対する溶解性が低い場合が多い。溶媒に対してPPE−Bを好適に溶解させ、また、室温程度でも樹脂組成物の好適な流動性を確保し易くする観点からも、溶剤としては、トルエン等の芳香族系化合物の溶剤が好ましく、例えば、トルエン・メチルエチルケトン混合溶剤、トルエン・シクロヘキサン混合溶剤、及びトルエン・シクロペンタノン混合溶剤等が好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物であれば、トルエン単独の溶剤であってもかかる溶剤に好適に溶解し、ひいては、基板への含浸性に優れるため、溶剤としてはトルエン単独の溶剤も好ましい。
[電子回路基板材料]
本実施形態に係る電子回路基板材料は、上記ワニスを用いて形成される。電子回路基板材料は、具体的には、樹脂フィルム、基材と樹脂との含浸複合体(本開示で、「プリプレグ」ともいう。)、若しくは樹脂付金属箔又はこれらの少なくとも1種を含む積層体である。
[樹脂フィルム]
本実施形態に係る樹脂フィルムは、上記ワニスを単独で又は支持フィルム等の支持体の上に塗布した後樹脂ワニス中の有機溶剤を乾燥除去して、製膜することで得ることができる。
支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;銅箔、アルミ箔等の金属箔;離型紙等を挙げることができる。なお、支持体はマッド処理、コロナ処理、離型処理等の化学的又は物理的な処理を施してあってもよい。
本実施形態に係る樹脂フィルムは、多層プリント配線板等の積層体の層間絶縁シート、接着フィルム等として好適に用いることができる。
[プリプレグ]
本実施形態に係るプリプレグは、基材と、この基材に含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物とを含む。プリプレグは、例えば、ガラスクロス等の基材を上記ワニスに含浸させた後、熱風乾燥機等で溶剤分を乾燥除去することにより得られる。
基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラスクロス;アスベスト布、金属繊維布、及びその他の合成若しくは天然の無機繊維布;全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊糸から得られる布等の天然セルロース系基材;ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルム等が挙げられる。これらの基材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
プリプレグ中の本実施形態の樹脂組成物固形分の割合は、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。上記割合が30質量%以上であることにより、プリプレグを電子基板用等に用いた場合に絶縁信頼性に一層優れる傾向にある。上記割合が80質量%以下であることにより、電子基板等の用途において、曲げ弾性率等の機械特性に一層優れる傾向にある。
[金属張積層板(積層体)]
本実施形態に係る金属張積層板(積層体)は、本実施形態の樹脂組成物又は本実施形態のプリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得られる。金属張積層板は、プリプレグの硬化物(「硬化物複合体」ともいう。)と金属箔とが積層して密着している形態を有することが好ましく、電子回路基板用材料として好適に用いられる。金属箔としては、例えば、アルミ箔、及び銅箔が挙げられ、これらの中でも銅箔は電気抵抗が低いため好ましい。金属箔と組合せる硬化物複合体は、1枚でも複数枚でもよく、用途に応じて複合体の片面又は両面に金属箔を重ねて積層板に加工する。積層板の製造方法としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物と基材とから構成される複合体(例えば、前述のプリプレグ)を形成し、これを金属箔と重ねた後、熱硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物積層体と金属箔とが積層されている積層板を得る方法が挙げられる。その積層板の特に好ましい用途の1つはプリント配線板である。プリント配線板は、金属張積層板から金属箔の少なくとも一部が除去されていることが好ましい。
[プリント配線板]
本実施形態に係るプリント配線板は、金属張積層板から金属箔の一部が除去されている。本実施形態のプリント配線板は、典型的には、上述した本発明のプリプレグを用いて、加圧加熱成型する方法で形成できる。基材としてはプリプレグに関して前述したのと同様のものが挙げられる。本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含むことにより、優れた耐熱性、及び電気特性(低誘電率、及び低誘電正接)を有し、更には環境変動に伴う電気特性の変動を抑制可能であり、更には優れた絶縁信頼性、及び機械特性を有する。
以下に実施例を挙げて、本実施形態を詳細に説明する。ただし、本実施形態は実施例に限定されるものではない。
(PPEの合成反応)
次の反応を不活性ガスの雰囲気下で実施した。反応に使用する溶媒は、市販の試薬である。使用した原料、及び試薬類は、以下のとおりである。
1.溶媒
トルエン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メチルエチルケトン:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
メタノール:和光純薬製試薬特級品をそのまま使用した。
2.開始剤
ナイパーBMT:日本油脂製品をそのまま使用した。
3.原料PPE
S202A(ポリスチレン換算数平均分子量16,000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S203A(ポリスチレン換算数平均分子量10,000):旭化成株式会社製製品をそのまま使用した。
S202A、及びS203Aは、いずれも下記の構造を有する。
4.原料フェノール(多官能/二官能フェノール)
4−1.式(2)の部分構造を含む価数a(a=3〜6)のフェノール類
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン:株式会社ADEKA製品(アデカスタブAO−30)をそのまま使用した。
4−2.式(2)の部分構造を含まない価数2のフェノール類
ビスフェノールA:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
5.変性基原料
無水メタクリル酸:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
ジメチルアミノピリジン:アルドリッチ試薬品をそのまま使用した。
(PPEの同定・分析)
1.数平均分子量測定
クロロホルム溶媒下、GPCにより数平均分子量測定を行った。数平均分子量は、標準ポリスチレンを用いた検量線に基づいて、ポリスチレン換算法により求めた。
2.NMR測定
重クロロホルムに、5質量%濃度となるように試料を溶解し、NMR測定を実施した。反応の進行は、多官能フェノールユニットの芳香族のピークと、水酸基のプロトンピークの比率から、水酸基ピークの減少により確認した。
3.溶融粘度
試料の20質量%メチルエチルケトン溶液200mlをビーカーに入れ、B型回転粘度計を用いて25℃で回転数30rpmで粘度を測定した。
4.平均末端官能基数
PPE一分子当たりの平均末端官能基数を以下の方法により求めた。すなわち、「高分子論文集,vol.51,No.7(1994),第480頁」記載の方法に準拠し、PPEの塩化メチレン溶液にテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド溶液を加えることにより得られるサンプルの波長318nmにおける吸光度変化を紫外可視吸光光度計で測定した。この測定値から、PPEの末端変性の前後のフェノール性水酸基の数を求めた。また、上記1の方法により求めたPPEの数平均分子量と、PPEの質量とを用いてPPEの分子数(数平均分子数)を求めた。
これらの値から、下記数式(1)に従って、変性前後のPPE1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を求めた。:
1分子当たりの平均フェノール性水酸基数
=フェノール性水酸基の数/数平均分子数…(1)
変性後の平均末端官能基数は、下記数式(2)に従って、変性後の平均末端官能基数を求めた。:
1分子当たりの平均末端官能基数
=変性前の平均フェノール性水酸基数−変性後の平均フェノール性水酸基数…(2)
(製造例1)
PPE1(PPE1)の合成
500mlの3つ口フラスコに、3方コックを付け、更にジムロートと等圧滴下ロートを設置した。フラスコ内を窒素に置換した後、原料PPE S202A100g、トルエン200g、多官能フェノールとして1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン12.8gを加えた。フラスコに温度計を設置し、マグネチックスターラーにて撹拌しながら、オイルバスにてフラスコを90℃に加熱し、原料PPEを溶解させた。開始剤として、ベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルm−メチルベンゾイルペルオキシド、m−トルイルペルオキシドの混合物の40%メタキシレン溶液(日油製:ナイパーBMT)の37.5gをトルエン87.5gに希釈し、等圧滴下ロートに仕込んだ。フラスコ内の温度を80℃まで降温させた後、開始剤溶液を、フラスコ内へ滴下開始し、反応を開始した。開始剤を2時間かけて滴下し、滴下後、再び90℃に昇温し,4時間撹拌を継続した。反応後、ポリマー溶液をメタノール中に滴下し、再沈させた後、溶液と濾別し、ポリマーを回収した。その後、これを真空下100℃で3時間乾燥させた。1H−NMRにより、低分子フェノールがポリマー中に取り込まれ、水酸基のピークが消失していることを確認した。この1H−NMR測定結果から、得られたポリマーは、下記式:
{式中、l、m、及びnは、下記数平均分子量を満たすように任意に選択される数である}
で表されるような構造を有するPPE(以下、PPE1という)であると確認できた。GPC測定の結果、得られたPPE1のポリスチレン換算での分子量はMn=1,500であった。また、PPE1の20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は125cPoiseであった。
(変性PPE1の合成)
トルエン80g、及び上記で合成したPPE1を26g混合して約85℃に加熱した。加熱された混合物へジメチルアミノピリジン0.55gを添加した。固体が全て溶解したと思われる時点で、溶解物へ無水メタクリル酸4.9gを徐々に添加した。得られた溶液を連続混合しながら85℃に3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却して、メタクリレート変性PPEのトルエン溶液を得た。
溶液の一部を採取し、乾燥後1H−NMR測定を実施した。PPEの水酸基由来のピークが消失していたことから、反応が進行しているものと判断し、精製操作に移った。上記メタクリレート変性PPEのトルエン溶液120gを、1Lビーカー中マグネチックスターラーで激しく撹拌したメタノール360g中に30分掛けて滴下した。得られた沈殿物を、メンブランフィルターで減圧濾過した後に乾燥し、38gのポリマーを得た。乾燥させたポリマーの1H−NMR測定結果を図1に示す。4.5ppm付近のPPEの水酸基由来のピークが消失したこと、及び、5.75ppm付近にメタクリル基のオレフィン由来のピークの発現を確認した。また、GC測定により、ジメチルアミノピリジン、無水メタクリル酸、メタクリル酸由来のピークがほぼ消失していることから、NMRのメタクリル基由来のピークは、PPE末端に結合しているメタクリル基のものと判断した。この結果から、得られたポリマーは、下記式:
{式中、l、m、及びnは、下記数平均分子量を満たすように任意に選択される数である}
で表されるような構造を有する変性PPE(以下、変性PPE1という)であると確認できた。
また、GPC測定の結果、得られた変性PPE1のポリスチレン換算での分子量はMn=1,600であった。また、変性PPE1の平均末端官能基数は、上記数式(2)に従って、2.5以上であることが算出された。更に、変性PPE1の20%メチルエチルケトン溶媒中での溶液粘度は131cPoiseであった。
(ベンジル化PPEの合成)
90℃に加温されたオイルバスに10Lのフラスコを設置し、フラスコ内部に毎分30mlで窒素ガスを導入した。以降、操作は常に窒素ガス気流下で行った。ここにPPE(S202A)1kg、及びトルエン3kgを入れ、攪拌溶解させた。更に80gのビスフェノールAをメタノール350gに溶かした溶液を上記フラスコに攪拌しながら加えた。5分間攪拌を続けた後、6質量%ナフテン酸コバルトミネラルスピリット溶液3mlを注射器で加え、5分間攪拌を続けた。続いてベンゾイルパーオキサイド溶液(ナイパーBMT)375gにトルエン1125gを加えて、ベンゾイルパーオキサイド濃度が10質量%になるように希釈した溶液を滴下ロートに入れ、上記フラスコに2時間かけて滴下していった。滴下終了後、更に2時間加熱、及び攪拌を続け、低分子量PPE(ベンジル化PPE)を得た。得られたベンジル化PPEの数平均分子量は2,800であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は1.96個であった。
樹脂組成物、及びその硬化物の形成に使用される材料
PPE
・上記で得られた変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE1)
・末端メタクリル基変性PPE「製品名SA9000」
(Sabicイノベーティブプラスチックス社製、Mn:2756、末端官能基数:2.0個)
・「PPE S203A」(旭化成株式会社製、Mn:10,000)
・上記で得られたベンジル化PPE
架橋剤
・TAIC(日本化成社製、分子量:249.7、不飽和二重結合数:3個)
・ポリブタジエン「製品名B−2000」
(日本曹達社製、Mn:2100、不飽和二重結合数:34.4個)
有機過酸化物
・ビス(1−tert−ブチルペルオキシ−1−メチルエチル)ベンゼン
「製品名パーブチルP」(日油社製)
熱可塑性樹脂
・水添スチレン系熱可塑性樹脂(SEBS)「製品名タフテックH1051」
(旭化成社製、Mw:4.9万、スチレン単位含有率:30質量%)
・水添スチレン系熱可塑性樹脂(SEBS)「製品名タフテックH1517」
(旭化成社製、Mw:5万、スチレン単位含有率:32質量%)
・水添スチレン系熱可塑性樹脂(SEBS)「製品名タフテックN504」
(旭化成社製、Mw:20万、スチレン単位含有率:32質量%)
イソシアネート化合物
・ヘキサメチレンジイソシアネート「製品名TPA−100」(旭化成社製) ・イソシアン酸フェネチル(東京化成工業社製) ・ジイソシアン酸ヘキサメチレン(富士フィルム和光純薬社製)
触媒
・ジブチル錫ジラウレート「製品名ネオスタンU−100」(日東化成社製)
難燃剤
・デカブロモジフェニルエタン「製品名SAYTEX8010」(アルベマール社製)
充填剤
・球状シリカ(龍森社製)
基材
・Lガラスクロス
(旭シュエーベル社製、スタイル:2116)
評価方法
1.PPEの数平均分子量、熱可塑性樹脂の重量平均分子量
GPC分析を用い、分子量既知の標準ポリスチレンの溶出時間との比較によりPPEの数平均分子量、熱可塑性樹脂の重量平均分子量を求めた。具体的には、試料濃度0.2w/vol%(溶媒:クロロホルム)の測定試料を調製後、測定装置にはHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラム:Shodex GPC KF−405L HQ×3(昭和電工株式会社製)、溶離液:クロロホルム、注入量:20μL、流量:0.3mL/min、カラム温度:40℃、検出器:RI、の条件下にて測定した。
2.誘電率、及び誘電正接(電気特性、10GHz)
10GHzでの誘電率、及び誘電正接を、空洞共振法にて測定した。測定装置としてネットワークアナライザー(N5230A、AgilentTechnologies社製)、及び関東電子応用開発社製の空洞共振器(Cavity Resornator CPシリーズ)を用いて測定した。
実施例、及び比較例で得られたプリプレグを8枚重ね、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力40kg/cm2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に維持したまま圧力40kg/cm2、かつ60分間の条件で真空プレスを行うことによって積層板を作製した。
該積層板を、ガラスクロスの経糸が長辺となるように、幅約2mm、長さ50mmの大きさに切り出し、誘電率、及び誘電正接の測定用試料とした。
測定用試料を、105℃±2℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、23℃相対湿度50±5%の環境下に96±5時間静置した。その後、23℃、相対湿度50±5%の環境下で上記測定装置を用いることにより、誘電率、及び誘電正接を測定し測定し、5段階で評価した。
5:誘電率3.0〜3.4、かつ、誘電正接0.0024以下、0.0020を超える
4:誘電率3.0〜3.4、かつ、誘電正接0.0026以下、0.0024を超える
3:誘電率3.0〜3.4、かつ、誘電正接0.0030以下、0.0026を超える
2:誘電率3.0〜3.4、かつ、誘電正接0.0035以下、0.0030を超える
1:誘電率3.4超え、かつ、誘電正接0.0035を超える
3.積層板の銅箔引き剥がし強さ(ピール強度、N/mm)
プリント配線板用銅張積層板試験奉納の規格JIS C 6481に準拠し、銅張積層板の銅箔を一定速度で引き剥がす際の応力を測定した。
実施例、及び比較例で得られたプリプレグを2枚重ね、その上下に銅箔(厚み35μm、GTS−MP箔、古川電気工業株式会社製を重ね合わせたものを、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力40kg/cm2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に維持したまま圧力40kg/cm2、かつ60分間の条件で真空プレスを行うことによって両面銅張積層板を作製した。
得られた銅張積層板を、幅15mm×長さ150mmのサイズに切り出し、オートグラフ(AG−5000D、株式会社島津製作所製)を用い、銅箔を除去面に対し90℃の角度で50mm/分の速度で引き剥がした際の荷重を測定し、5回の測定の平均値を求めた。
5:1.0N/mm超
4:0.80N/mm超1.0N/mm以下
3:0.70N/mm超0.80N/mm以下
2:0.5N/mm超0.70N/mm以下
1:0.5N/mm以下
4.積層板のガラス転移温度(Tg、℃)
動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。測定装置に動的粘弾性装置(RHEOVIBRON モデルDDV−01FP、ORIENTEC社製)を用い、試験片:長さ約35mm、幅約12.5mm、及び厚さ約0.3mm、ひっぱりモード、周波数:10rad/sの条件で測定を行った。
実施例、及び比較例で得られたプリプレグを2枚重ね、その上下に厚み35μmの銅箔(GTS−MP箔、古川電気工業株式会社製)を重ね合わせたものを最終到達温度200℃、最終到達圧力40kg/cm2の条件で真空プレスを行い、両面銅張積層板を得た後、銅箔をエッチングにて除去して調製した。
Tgの値により、5段階で評価した。
5:200℃超え
4:190℃超え200℃以下
3:180℃超え190℃以下
2:170℃超え180℃以下
1:160℃超え170℃以下
5.積層板のはんだ耐熱性、及び耐熱性試験後の断面観察
実施例、及び比較例で得られたプリプレグを8枚重ね、更にその両側に、厚さ12μm、表面粗さRz2.0μmの銅箔(FV−WS箔、古河電工製)を重ねた。次いで、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力5kg/cm2の条件で真空プレスを行い、130℃まで達したら昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力40kg/cm2の条件で真空プレスを行い、200℃まで達したら温度を200℃に保ったまま圧力40kg/cm2、かつ60分間の条件で真空プレスを行うことによって銅張積層板を作製した。
片側だけの銅箔をエッチングにより除去し、耐熱性試験を実施した。耐熱性試験は、試験片を50mm角に切り出し、次いで、105℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、プレッシャークッカーテストを2気圧、4時間の条件で実施した。その後、260℃又は288℃のはんだ浴に20秒ディップする試験を30回繰り返す耐熱性試験を実施した。なお、ディップの間隔は20秒間とした。
耐熱性試験においては、目視による観察により、下記に基づき評価した。
◎:288℃の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板
〇:260℃の条件で、膨れ、剥離、及び白化のいずれも確認されなかった積層板
(288℃の条件では、膨れ、剥離、及び白化の何れかが発生した)
×:260℃の条件で、膨れ、剥離、及び白化の何れかが発生した積層板
更に、耐熱性試験後の試験片は、SEMを用いて断面観察を行った。
断面観察においては、目視による観察により、下記に基づき評価した。
問題なし:ひび又は割れ等のクラックが確認されなかった
問題あり:ひび又は割れ等のクラックが確認された
6.ワニス粘度
各樹脂組成物とトルエンで調製した樹脂ワニス(固形分53質量%)200mlをビーカーに入れ、B型回転粘度計を用いて25℃で回転数30rpm、30秒の条件で粘度を測定した。測定された粘度を5段階で評価した。
5:50mPa・s以上150mPa・s未満
4:150mPa・s以上200mPa・s未満
3:200mPa・s以上300mPa・s未満
2:300mPa・s以上500mPa・s未満
1:500mPa・s以上1000mPa・s以下
7.含浸性
各樹脂組成物とトルエンで調製した樹脂ワニス(固形分53質量%)をバットに入れ、その上から、50mm角にカットしたLガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル:2116)を載せ、ガラスクロスに樹脂ワニスが含浸する様子を目視で観察した。ガラスクロスへの樹脂ワニスの含浸性に応じて、5段階で評価した。
5:1分以内にガラスクロス全体に樹脂ワニスが含浸した場合
4:2分以内にガラスクロス全体に樹脂ワニスが含浸した場合
3:3分以内にガラスクロス全体に樹脂ワニスが含浸した場合
2:5分以内にガラスクロス全体に樹脂ワニスが含浸した場合
1:5分経っても、含浸が完了しない場合
(実施例1)
表1に示される組成、及び溶剤に従って、トルエン質量部に対し、熱可塑性樹脂を添加し、攪拌、溶解させ、次いで、難燃剤、球状シリカ(シリカフィラー)、及び変性PPE1をそれぞれ添加し、変性PPE1が溶解するまで攪拌を継続した。次いで、溶解物へ架橋剤、及び有機過酸化物をそれぞれ添加し、十分に攪拌して、ワニスを得た。このワニスに、Lガラスクロスを含浸させた後、所定のスリットに通すことにより余分なワニスを掻き落とし、105℃の乾燥オーブンにて所定時間乾燥させ、トルエンを除去することにより、プリプレグを得た。このプリプレグを所定サイズに切り出し、その重量と同サイズのガラスクロスの重量を比較することで、プリプレグにおける樹脂組成物の固形分の含有量を算出したところ、58質量%であった。このプリプレグを所定枚数重ね、更にその重ね合わせたプリプレグの両面に銅箔(古川電気工業株式会社製、厚み35μm、GTS−MP箔)を重ね合わせた状態で、真空プレスを行うことにより、銅張積層板を得た。この真空プレスの工程では、先ず、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力10kg/cm2の条件を採用し、次いで、130℃まで達した後に、昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力40kg/cm2の条件を採用した。温度が200℃に達した後に、温度を200℃に維持したまま圧力40kg/cm2、及び時間60分間の条件を採用した。次に、上記銅張積層板から、エッチングにより銅箔を除去することにより積層板を得た。
(実施例2〜9と比較例1〜5)
樹脂組成、及び/又は基材を表1に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同じ方法に従って、実施例2〜9と比較例1〜5において樹脂組成物、ワニス、及びプリプレグをそれぞれ得て、評価した。
表1に示すとおり、実施例1〜9では、比較例1〜2、及び4と異なり、耐熱性試験後の断面観察において「問題なし」との評価であった。従って、実施例1〜9のプリプレグは、比較例1〜2、及び4に比べて、応力又は変形等に対する強度の向上(靭性の向上)が図られていることが確認された。また、実施例1〜9では、比較例3、及び5と比べて、含侵性の評価結果に優れていることが確認された。そして、実施例1〜9は、比較例1〜5と比べて、電気特性の評価結果、及び耐熱性の評価結果が同等又は優れていることが確認された。このように、実施例1〜9では、比較例1〜5に対して、電気特性の向上、ピール強度の向上、靭性の向上、及び基板への含侵性の向上の、いずれも実現可能であることが確認された。

Claims (15)

  1. ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物であって、
    前記ポリフェニレンエーテルが、下記式(1):
    {式中、
    Xは、a価の任意の連結基であり、aは2.5以上の数であり、
    5は、各々独立に任意の置換基であり、kは各々独立に1〜4の整数であり、そしてk個あるR5のうちの少なくとも1つは、下記式(2):
    (式中、R11は、各々独立にC1-8のアルキル基であり、R12は、各々独立にC1-8のアルキレン基であり、bは各々独立に0又は1であり、R13は、水素原子、C1-8のアルキル基又はフェニル基のいずれかを示し、かつ前記アルキル基、アルキレン基、及びフェニル基は、C1-8の条件を満たす限度で置換基を含んでもよい)
    で表される部分構造を含み、
    Yは、各々独立に下記式(3):
    (式中、R21は、各々独立にC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R22は、各々独立に水素原子又はC1-6の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、かつ前記飽和又は不飽和の炭化水素基はC1-6の条件を満たす限度で置換基を有していてもよい)
    で表される構造を有する2価の連結基であり、nはYの繰り返し数を表し、各々独立に1〜200の整数であり、
    Lは、任意の2価の連結基又は単結合であり、かつ
    Aは、各々独立に、炭素−炭素二重結合、及び/又はエポキシ結合を含有する置換基を示す}
    で表される構造を含むポリフェニレンエーテル成分Aと、
    1分子当たりの平均フェノール性水酸基数が1.2個以上、かつ数平均分子量が8,000を超えるポリフェニレンエーテル成分Bとを含み、
    前記ポリフェニレンエーテルの総量100質量%を基準として、前記ポリフェニレンエーテル成分Aの含有量が60質量%以上98質量%未満であり、かつ前記ポリフェニレンエーテル成分Bの含有量が2質量%超え40質量%未満である、樹脂組成物。
  2. 前記ポリフェニレンエーテル成分Bの数平均分子量が50,000以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂組成物が、イソシアネート化合物を更に含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記架橋剤が、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンから成る群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記架橋剤が、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有し、
    前記架橋剤の数平均分子量が4,000以下であり、かつ前記ポリフェニレンエーテル:前記架橋剤の重量比が、25:75〜95:5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記有機過酸化物の1分間半減期温度が155℃以上185℃以下であり、
    前記ポリフェニレンエーテルと前記架橋剤の合計質量100質量%を基準とし、前記有機過酸化物の含有量が、0.05質量%以上0.9質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を更に含み、
    前記熱可塑性樹脂が、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体、及びその水素添加物、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体から成る群より選択される少なくとも1種であり、
    前記ブロック共重合体又はその水素添加物における、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有率が20質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、30,000〜300,000である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記熱可塑性樹脂の含有量が、
    前記ポリフェニレンエーテル、及び前記架橋剤の合計100質量%を基準とし、2質量%以上20質量%以下である、請求項7又は8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記樹脂組成物が、難燃剤を更に含み、かつ前記難燃剤が、前記樹脂組成物の硬化後に前記樹脂組成物中で他の含有成分と相溶しない、請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、電子回路基板材料。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂フィルム。
  13. 基材と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物との複合体である、プリプレグ。
  14. 前記基材がガラスクロスである、請求項13に記載のプリプレグ。
  15. 請求項12に記載の樹脂フィルム又は請求項13若しくは14に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔との積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113185828A (zh) * 2021-04-19 2021-07-30 上海材料研究所 一种低介电高强度树脂组合物及其制作半固化片与层压板

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