JP2020131613A - 印刷物の製造方法 - Google Patents

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了 兼子
淳 浦崎
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淳 浦崎
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Abstract

【課題】インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機による印刷で印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができる印刷物の製造方法を提供する。【解決手段】課題は、原紙と塗工層とを有する坪量50g/m2以上100g/m2以下である印刷用塗工紙の塗工層を有する面に少なくともインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷する印刷物の製造方法であって、前記原紙が湿潤紙力増強剤を含有し、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対の面を、表面温度が80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接させる印刷物の製造方法よって達成される。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷用塗工紙に印刷する印刷物の製造方法に関する。
家庭用プリンタ及びオフィスプリンタとしてインクジェットプリンタが公知である。また、商業印刷機としてインクジェット印刷機が公知である(例えば、特許文献1参照)。インクジェット印刷機の例としては、SCREENグラフィックソリューションズ社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsper及びVERSAMARK、富士フイルム社のJetPress、Hewlett−Packard社のColorInkjetWebPressなどがある。
印刷記録媒体の種類に左右されず高画質の印刷物を得ることができる印刷機として、印刷記録媒体に吐出されたインクを乾燥させる乾燥手段を備えたインクジェット印刷機が公知である(例えば、特許文献2参照)。例えば特許文献2は、乾燥手段として、熱風を送出する熱風供給手段及び印刷記録媒体を支持するベッドの表面を加熱する加熱手段を開示する。
特許第6410978号公報 特開2004−330568号公報
インクジェットプリンタ及びインクジェット印刷機は、インク溶媒が水である水性インクを採用する機種が主流である。この理由は、インク溶媒が溶剤である油性インクは環境面で劣るからである。
一般にパルプからなる紙は、水分によってパルプの繊維が伸長することでコックリングを発生する。インクジェットプリンタ及びインクジェット印刷機の水性インクは、インク溶媒として水の含有比率がオフセット印刷機など他方式の印刷機に比べて高い。例えば、原紙と塗工層とを有する印刷用塗工紙では、インク溶媒が原紙まで浸透するとコックリングを発生する。原紙と塗工層とを有する印刷用塗工紙では、坪量が100g/m以下の場合、コックリングをより発生し易い。
特許文献2に記載された乾燥手段では、インクジェット印刷機の印刷時にインク溶媒によって印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することが困難である。そのために、特許文献2に記載された乾燥手段は、コックリングを発生した状態で印刷用塗工紙を乾燥する。
本発明の課題は、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機の印刷時にインク溶媒によって印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができる印刷用塗工紙の乾燥方法を有する印刷物の製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、本発明の目的は以下により達成される。
[1]原紙と塗工層とを有する坪量50g/m以上100g/m以下である印刷用塗工紙の塗工層を有する面に少なくともインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷する印刷物の製造方法であって、前記原紙が湿潤紙力増強剤を含有し、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対の面を、表面温度が80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接させることを特徴とする印刷物の製造方法。
[2]前記印刷用塗工紙が、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度1.0%以下である前記[1]に記載の印刷物の製造方法。
本発明によって、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機の印刷時にインク溶媒によって印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができる印刷物の製造方法を、提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
<印刷用塗工紙>
本発明の印刷物を得るための印刷用塗工紙は、原紙と塗工層とを有する坪量50g/m以上100g/m以下である。印刷用塗工紙の坪量が50g/m以上100g/m以下の印刷用塗工紙であると本発明の効果が顕著となる。印刷用塗工紙の坪量が50g/m未満であると、実用上問題にならない程度まで印刷用塗工紙のコックリング軽減効果が得られない場合がある。印刷用塗工紙の坪量が100g/m超であると、印刷用塗工紙のコックリングの発生が弱くなって、コックリング軽減効果が認め難い。
原紙は、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)、NBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)などの化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)、CGP(ChemiGroundwood Pulp)などの機械パルプ、及びDIP(DeInked Pulp)などの古紙パルプから選ばれる少なくとも1種のパルプに、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、さらに、内添サイズ剤、定着剤、歩留まり剤、濾水剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などの従来公知の各種添加剤を必要に応じて配合した紙料を抄造した抄造紙である。原紙には、抄造紙に対してカレンダー処理を施したもの及び/又はサイズプレス処理を施したものも含まれる。
原紙の坪量は、30g/m以上90g/m以下が好ましい。
原紙は、製紙分野で従来公知の湿潤紙力増強剤を含有する。湿潤紙力増強剤を原紙が含有することによって印刷用塗工紙はコックリング軽減効果を得ることができる。湿潤紙力増強剤は、紙に強度を持たせるために添加される薬剤である。一般に、湿潤紙力増強剤は、紙ナプキン、ティッシュペーパー、耐水段ボールなどが濡れて水分を帯びた状態での紙力強度を持たせ且つサイズ効果を持たせない薬剤である。湿潤紙力増強剤の例としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエポキシ樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン、ジアルデヒド澱粉、グリオキザール変性ポリアクリルアミドなどを挙げることができる。湿潤紙力増強剤は、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上である。
原紙中の湿潤紙力増強剤の含有量は、原紙中のパルプに対して1質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
塗工層は、塗工層塗工液を塗工及び乾燥することによって原紙の少なくとも片面に設けた、塗工紙分野で従来公知の白色顔料及びバインダーを含有する層である。塗工層は、一層又は二層以上である。白色顔料の例としては、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、サチンホワイト、リトポン、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、活性白土、珪藻土などの無機顔料、及びプラスチック顔料などの有機顔料を挙げることができる。白色顔料は、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上である。バインダーの例としては、スチレン−ブタジエン共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルの重合体又はメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、又はこれらの各種共重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス、あるいはメラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂を挙げることができる。さらに、澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉及びリン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール及びシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体、カゼイン及びゼラチン又はそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム及びアルブミンなどの天然高分子樹脂並びにこれらの誘導体、ポリアクリル酸ソーダなどのビニルポリマー、アルギン酸ソーダ、無水マレイン酸及びその共重合体などを挙げることができる。バインダーは、これらからなる群から選ばれる一種又は二種以上である。塗工層は、必要に応じて塗工紙分野で従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤の例としては、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、滑剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤等を挙げることができる。
塗工層の塗工量は、乾燥固形分量で片面あたり、5g/m以上35g/m以下が好ましい。
塗工層を得るための塗工層塗工液の塗工及び乾燥は、塗工紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いた方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、コンマコーター、フィルムプレスコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーターなどを挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
印刷用塗工紙は、塗工層を設けた後にカレンダー処理を施すことができる。カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置としては、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダーなどを挙げることができる。
印刷用塗工紙は、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度が1.0%以下であることが好ましい。この理由は、本発明の効果が良化するからである。本発明の水中伸度は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法No.27:2000「紙及び板紙−水中伸度試験方法」のA法に準拠して求められる、浸水時間30秒の条件で求められる値である。本発明における水中伸度は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法No.27:2000「紙及び板紙−水中伸度試験方法」に準拠する各種水中伸度測定装置によって測定することができる。水中伸度測定装置の例としては、DPM−30(emco社製)などを挙げることができる。
本発明に係る水中伸度を有する印刷用塗工紙は、従来公知の方法で得ることができる。例えば、原紙の繊維配向を調整する方法、抄紙機における紙の流れ方向の張力(ドロー)等を調整する方法を挙げることができる。特に、原紙の繊維配向を調整する方法が紙質の変化が少ないことと本発明の効果を得る点で好ましい。繊維配向は、抄紙機の操業条件、特にヘッドボックスから噴出される紙料の速度(J)とワイヤー速度(W)との比(J/W比)に左右される。一般に、繊維配向が小さい程、水中伸度は小さくなる。水中伸度は原紙及び/又は印刷用塗工紙の坪量によって変化する。一般に、坪量が大きい程、水中伸度は小さくなる。また、水中伸度は原紙の湿潤紙力増強剤の含有量によって幾分変化する。一般に、湿潤紙力増強剤の含有量が多目のとき、水中伸度は小さくなる。
<印刷物の製造>
本発明は、印刷用塗工紙の塗工層を有する面に少なくともインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷し、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対の面を、表面温度が80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接させる印刷物の製造方法である。すなわち、本発明の印刷物の製造方法は、原紙と塗工層とを有する印刷用塗工紙の準備と、前記印刷用塗工紙の塗工層を有する面に少なくともインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いた印刷と、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対面を表面温度80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接とを具備する。ここで、本発明の効果が顕著である観点から、インクジェットプリンタ及びインクジェット印刷機のインクは水性インクが好ましい。
印刷用塗工紙は上記の通りであり、ここでは説明を割愛する。また、このような印刷用塗工紙は既に市販される。印刷用塗工紙の準備とは、上記の印刷用塗工紙を製造する又は市販の印刷用塗工紙から入手することである。
水性インク又は油性インクを採用するインクジェットプリンタ及びインクジェット印刷機は、既に市販される。インクジェットプリンタはキヤノン社、セイコーエプソン社、ヒューレット・パッカード社、理想科学工業社などから市販される。インクジェット印刷機は、例えば、SCREENグラフィックソリューションズ社のTruepressJet、ミヤコシ社のMJPシリーズ、コダック社のProsper及びVERSAMARK、富士フイルム社のJetPress、Hewlett−Packard社のColorInkjetWebPressなどを挙げることができる。インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷とは、このようなインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷用塗工紙の塗工層を有する面に印刷することである。
シリンダードライヤーは、例えば、特開昭51−133508号公報及び特開平07−102495号公報に記載されるが如く乾燥機として既に知られる。シリンダードライヤーに圧接とは、シリンダードライヤーのシリンダーに印刷用塗工紙の印刷面とは反対面を圧力を伴ってシリンダーに密着させることである。乾燥装置において搬送ロールがヒートロール又は加熱シリンダーになって印刷用塗工紙が搬送中にヒートロール又は加熱シリンダーと単に接触する方法とは、圧力を伴って密着の点で異なる。圧接は、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満に実施される。また、シリンダーの表面温度は80℃以上180℃以下である。
インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機の印刷時にインク溶媒によって印刷用塗工紙にコックリングが発生する。インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対面を表面温度80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接することによって、印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができる。この理由は、発明者は以下と考える。インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満では、インク溶媒が印刷用塗工紙の内部に未だ存在し、そしてシリンダードライヤーに圧接することによってアイロン掛けのような効果が得られる。
シリンダードライヤーの表面温度が80℃未満では印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができない。シリンダードライヤーの表面温度が180℃超では印刷用塗工紙を変色させる場合があり、好ましくない。
シリンダードライヤーへ印刷用塗工紙の圧接は1秒以上が好ましく、印刷用塗工紙を傷めない時間内が好ましい。圧接は、3秒以上30秒以下がより好ましい。シリンダードライヤーのシリンダーは1本又は2本以上である。コストの点から、シリンダードライヤーのシリンダーは1本が好ましい。シリンダードライヤーのシリンダーが2本以上の場合、圧接の時間は、それらの合計が1秒以上が好ましく、3秒以上30秒以下がより好ましい。
印刷物の製造方法において、シリンダードライヤー以外の従来公知の乾燥装置を併用することができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機などの各種乾燥装置を挙げることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。質量部は、乾燥固形分量又は実質成分量を示す。塗工量は乾燥固形分量を示す。
<塗工層塗工液>
水に対して、重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、エスカロン#1500)50質量部、カオリン(日成共益社製、ハイドラファイン90)50質量部及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(旭化成ケミカルズ社製、EA094)10質量部を混合して、塗工層塗工液を調製した。
<印刷用塗工紙1>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部及びアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.1質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙1を得た。得られた印刷用塗工紙1は坪量70g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は1.0%であった。
<印刷用塗工紙2>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部及びアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.5質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙2を得た。得られた印刷用塗工紙2は坪量70g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は0.8%であった。
<印刷用塗工紙3>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))1質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙3を得た。得られた印刷用塗工紙3は坪量70g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は0.8%であった。
<印刷用塗工紙4>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.1質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙4を得た。得られた印刷用塗工紙4は坪量70g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は1.4%であった。
<印刷用塗工紙5>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.1質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙5を得た。得られた印刷用塗工紙5は坪量100g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は0.8%であった。
<印刷用塗工紙6>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.5質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙6を得た。得られた印刷用塗工紙6は坪量50g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は1.0%であった。
<印刷用塗工紙7>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエポキシ樹脂(田岡化学工業社製、Sumirez Resin 650(30))0.5質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり5g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙7を得た。得られた印刷用塗工紙7は坪量40g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は0.7%であった。
<印刷用塗工紙8>
濾水度400mlcsfのLBKP70質量部と濾水度400mlcsfのNBKP30質量部からなるパルプスラリーに、填料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP121)9質量部、タピオカ澱粉(ジー・エス・エルジャパン株式会社製、キャスターチM)0.8質量部、硫酸バンド1質量部およびアルキルケテンダイマー型サイズ剤(星光PMC社製、AS263)2質量部を添加した紙料を、J/W比を調整しつつ長網抄紙機で抄造した。抄造して得た原紙の両面に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥固形分塗工量が片面当たり7g/mとなるように前記塗工層塗工液を塗工して印刷用塗工紙8を得た。得られた印刷用塗工紙8は坪量80g/m、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度は0.8%であった。
<印刷物>
セイコーエプソン社製ビジネスインクジェットプリンターPX−105を用いて、A4サイズの印刷用塗工紙を印刷した。印刷画像は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色各色の4cm幅の帯状ベタ画像とした。印刷後の印刷用塗工紙をシリンダードライヤー又は熱風乾燥機を用いて乾燥した。印刷後からの時間及び温度は表1に記載する。シリンダードライヤーでは、印刷用塗工紙の印刷面とは反対の面をシリンダーに圧接した。圧接時間は約20秒とした。熱風乾燥機では、印刷用塗工紙の印刷面が熱風に当たるようにした。熱風が当たる時間は20秒とした。
<コックリングの評価>
印刷後及び乾燥後の印刷用塗工紙に存在するコックリングの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。本発明において、評価2、3又は4であれば、印刷用塗工紙に発生したコックリングを軽減することができる印刷物の製造方法であるとする。
4:印刷後に比べて乾燥後はコックリングがおおよそ解消され、良好である。
3:印刷後に比べて乾燥後はコックリングが軽減され、概ね良好である。
2:上記3よりも劣るものの軽減され、実用上問題無い程度である。
1:乾燥後、実用上問題になるコックリングが認められる。
結果を表1に記載する。
Figure 2020131613
表1から、本発明の印刷物の製造方法に該当する実施例1〜9は、得られた印刷物において、印刷で発生したコックリングが軽減されたことが分かる。一方、本発明の印刷物の製造方法に該当しない比較例1及び3〜6は、印刷で発生したコックリングが軽減されないことが分かる。比較例2は、印刷用塗工紙の変色が認められた。また主に、実施例1〜3及び5〜6と実施例4との対比から、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度1.0%以下である印刷用塗工紙を用いた場合、本発明の印刷物の製造方法は、より良好にコックリングを軽減できると分かる。

Claims (2)

  1. 原紙と塗工層とを有する坪量50g/m以上100g/m以下である印刷用塗工紙の塗工層を有する面に少なくともインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷する印刷物の製造方法であって、前記原紙が湿潤紙力増強剤を含有し、インクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した後の1分又は1分未満にインクジェットプリンタ又はインクジェット印刷機を用いて印刷した印刷用塗工紙の印刷面とは反対の面を、表面温度が80℃以上180℃以下であるシリンダードライヤーに圧接させることを特徴とする印刷物の製造方法。
  2. 前記印刷用塗工紙が、浸水時間30秒におけるCD方向の水中伸度1.0%以下である請求項1に記載の印刷物の製造方法。
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