以下、本発明に係る決済システムの一形態を説明する。まず、図1を参照して、決済システムの全体構成を説明する。本形態の決済システム1は、複数の店舗2のそれぞれに設置された複数の課金対象機器3A、3B、…、3N(以下、参照符号3で代表することがある。)にて発生する課金に対応して、ユーザから課金内容に応じた量の仮想通貨を消費させるために設けられている。仮想通貨は、現金と引き換えにユーザが取得可能な金銭的価値の一例である。店舗2は、一例として、課金対象機器3の少なくとも一部が業務用の遊戯機(典型的にはゲーム機)とされたアミューズメント施設である。ただし、各店舗2において、全ての課金対象機器3が遊戯機である必要はない。各店舗2には、少なくとも一台の遊戯機に加えて、料金の支払いと引き換えにユーザに所定のサービスを提供する各種の機器が課金対象機器3として設けられてよい。例えば、店舗2にジュース等の商品を販売する自動販売機等が設置されている場合には、それらの機器も本形態の決済システム1における課金対象機器3に含まれてよい。課金対象機器3は、本実施形態の決済システムと所定のプロトコルに従って通信可能な限りにおいて、種々の仕様に準拠して構成されてよい。課金対象機器3の製造者、提供者も互いに異なっていてもよい。課金対象機器3は、決済システム1を用いた決済方式の他に、現金等を用いた他の決済方式が併用可能とされてもよい。
決済システム1は、店舗2毎に構築される店舗システム10と、各店舗システム10に対して共通に設けられるサーバシステム20とを含んでいる。なお、図1では、一の店舗システム10のみ詳細を示している。店舗システム10は、各課金対象機器3にて発生した課金内容に対応してユーザに消費させるべき仮想通貨の量を判別するとともに、ユーザが所持するカード4から決済参照情報としてカード毎にユニークなカードIDを読み取り、そのカードID及び仮想通貨の消費量を指定してサーバシステム20に決済を要求する。カード4は、ユーザを識別するためにユーザに付与される媒体であって、そこにはカード4毎にユニークなカードIDが媒体識別情報として記録されている。ただし、ユーザが所持する媒体は、媒体識別番号を保持できる限り、カード4に限らず、携帯電話に付属するICチップその他が媒体として利用されてもよい。媒体識別情報は、ユーザ毎にユニークに設定された識別情報であってもよい。要するに、媒体識別情報は、媒体毎にユニーク性が保証されていれば足りる。
サーバシステム20は、ユーザが保持する仮想通貨の量をユーザのカードIDと対応付けて管理し、店舗システム10からの要求に応じて、カードIDに対応する口座に保持されている仮想通貨を消費させ、その処理結果を店舗システム10に通知する。つまり、本形態の決済システム1は、ユーザが予め現金等と引き換えに仮想通貨を取得し、その残高の範囲内でユーザが仮想通貨を消費することにより課金対象機器3の料金を支払うプリペイド方式の決済システムである。また、ユーザが保持する仮想通貨の残高がサーバシステム20側に保持され、その残高の減少(引き落とし)をサーバシステム20側で実行するシンクライアント方式(サーバ処理方式)の決済システムである。
店舗システム10は、課金対象機器3のそれぞれに1対1で対応付けて取り付けられる情報読取端末装置としてのリーダ11と、管理PC(パーソナルコンピュータの略、以下同様。)12と、設定端末PC13と、業者用端末PC14と、ルータ15とを含んでいる。各リーダ11、管理PC12、設定端末PC13及び業者用端末PC14は、店舗2内に構築された店舗内LAN16により相互に通信可能に接続される。また、各リーダ11は、課金対象機器3とは物理的に異なる装置として構成され、対応する課金対象機器3の制御ユニット(不図示)と所定のプロトコルに従って双方向に通信可能な状態で課金対象機器3に取り付けられる。ルータ15はインターネット5に接続されている。それにより、店舗内LAN16に接続されるリーダ11、管理PC12、設定端末PC13のそれぞれは、インターネット5を介してサーバシステム20と接続可能であり、サーバシステム20に対するクライアントとして機能するコンピュータ装置である。
リーダ11は、課金対象機器3から課金情報を受け取り、かつ決済処理の結果を課金対象機器3に提供する情報入出力手段、及びユーザが所持するカード4からカードIDを読み取る情報読取手段として機能する。管理PC12は、リーダ11から提供される情報を参照しつつ、課金対象機器3にて発生した課金の内容に応じてユーザに所定の仮想通貨を消費させる決済処理をサーバシステム20と協働して実行する。設定端末PC13は、店舗2の管理PC12が保持する情報を店舗2の運営者が管理する手段として機能する。これらの機能は後に詳しく説明する。
業者用端末PC14は、サーバシステム20から提供される決済履歴等の情報を店舗2の運営者が閲覧する端末として機能する。なお、図1の例において、リーダ11及び設定端末PC13は、無線LANアクセスポイント17を介して管理PC12と接続されているが、これらは有線接続されてもよい。業者用端末PC14は必ずしも店舗2内に設けられなくともよい。例えば、店舗2の営業主体である法人の本社又は営業所等に業者用端末PC14が設置されてもよい。なお、店舗2の営業主体は、単一店舗2のみを営業する者であってもよいし、複数の店舗2を営業する者であってもよい。
サーバシステム20は、複数のコンピュータ装置としてのサーバユニット21A、21B…(以下、これらを参照符号21で代表することがある。)と、それらのサーバユニット21をインターネット5に接続するルータ22とを備えている。ただし、サーバシステム20は単一のサーバユニットを用いるものでもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にサーバシステム20が構築されてもよい。
サーバシステム20には、さらにユーザ端末装置6もインターネット5を介して接続可能とされる。ユーザ端末装置6は、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供されるコンピュータ装置である。例えば、据置型又はブック型のPC6A、あるいは携帯電話(スマートフォンを含む。)のようなモバイル端末装置6Bがユーザ端末装置6として利用される。その他にも、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末装置といった、ネットワーク接続が可能でかつユーザの個人用途に供される各種のコンピュータ装置がユーザ端末装置6として利用されてよい。ユーザ端末装置6は、例えばユーザがサーバシステム20にアクセスして自己の決済履歴を閲覧し、あるいはユーザが仮想通貨を購入して自己の口座に預けるチャージ操作を行なうために利用される。なお、決済システム1には、さらなる端末装置が設けられてもよい。例えば、店舗2において、ユーザが現金やクレジットカードを用いて仮想通貨を購入するためのチャージ機がさらに設けられてルータ15と接続されてもよい。
次に、図2及び図3を参照して決済システム1の制御系の構成を説明する。まず、サーバシステム20の制御系を先に説明する。図2に示すように、サーバシステム20には、そのサブシステムとして、仮想通貨に関する取引全般を管理する取引管理システム31と、仮想通貨を管理する通貨管理システム32と、仮想通貨の取引に伴って発生する店舗2の運営者への支払い等を管理する経理システム33とが設けられている。取引管理システム31には、コンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、取引制御部34が設けられている。取引制御部34は、店舗システム10から送られる決済要求に従って、仮想通貨の消費等に必要な各種の処理を実行する。
決済要求には、ユーザがどの店舗2のどの課金対象機器3にて仮想通貨をどのように消費しようとしているかを特定するために必要な取引情報として、例えば、ユーザのカード4から読み取られたカードID、仮想通貨の消費量、及び店舗2を特定する店舗コード等が含まれているとする。取引制御部34は、カードIDとユーザの仮想通貨の口座に付された口座特定情報(例えばユーザIDとする。)との対応関係を記録したユーザ情報D1にアクセスして、カードIDに対応するユーザIDを判別する。また、取引制御部34は、通貨管理システム32の残高情報のデータD2にアクセスし、そのデータD2にて、ユーザIDと対応付けて記録されている仮想通貨の口座の残高から消費量を減少させることにより、仮想通貨の消費を実行する。さらに、取引制御部34は、取引情報を通貨管理システム32の取引情報データD3にユーザIDと対応付けて記録する。取引情報データD3には、取引日時、店舗コード、仮想通貨の消費量といった取引内容を特定する情報がユーザIDと対応付けて記録される。通貨管理システム32にユーザ端末装置6からユーザがアクセスすることにより、ユーザは自己のユーザ端末装置6から自己の口座残高を確認し、所定のチャージ操作をすることにより、その口座の残高を増加させることができる。
取引制御部34は、通貨管理システム32にて仮想通貨を消費させる処理を行なわせると、その処理結果、つまり消費に成功したか否かを店舗システム10に通知する。また、一回の取引、すなわち店舗システム10からの決済要求に対応した仮想通貨の消費処理が終わると、取引制御部34は今回の決済処理の内容を消費情報のデータD4に記録する。消費情報のデータD4には、取引日時、店舗コード、仮想通貨の消費量、ユーザID(又はカードID)といった取引内容を特定する情報が記録される。それにより、消費情報のデータD4は仮想通貨の決済処理の履歴を記録した履歴情報として機能する。消費情報のデータD4は適当な集計期間(一例として一月)毎に集計されて集計情報のデータD5に記録される。経理システム33は集計情報のデータD5に基づいて、店舗2毎、あるいは店舗2の営業主体毎といった所定の集計単位で消費情報を集計し、その集計結果に従って、店舗2の営業主体に対する支払額を演算し、演算結果を支払情報のデータD6に記録する。仮想通貨の購入代金はサーバシステム20の営業主体の売上げとなり、課金対象機器3の料金が仮想通貨で支払われた場合には店舗2の営業主体には代金が入らないため、サーバシステム20の営業主体には、仮想通貨の消費量に対応する売上げ代金を按分して店舗2の営業主体に支払う必要が生じる。そのために、支払額の演算等の処理が必要となる。経理システム33は、支払情報のデータD7に基づいて、店舗2の営業主体に対する支払通知書PDを作成し、これを業者用端末PC14に送信する。なお、業者用端末PC14では、集計情報のデータD5にも適宜アクセスして消費履歴等を確認することが可能とされている。さらに、取引制御部34は、店舗システム10から管理PC12の機器管理情報のデータD10(図3参照)が送られた場合、その機器管理情報のデータD10を管理PC情報のデータD7に店舗コードと対応付けて保存する。
次に、図3を参照して店舗システム10の制御系を説明する。図3は、課金対象機器3と店舗システム10のリーダ11、管理PC12及び設定端末PC13との関係を示している。まず、店舗システム10においては、各課金対象機器3に課金管理部41が設けられている。課金管理部41は、課金対象機器3にて発生する課金の内容に応じた課金情報を生成し、その課金情報をリーダ11に出力する。課金対象機器3はコンピュータ装置の一種であり、そこにはコンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによる論理的装置として、所定の手順に従って機器を動作させる動作制御部7が設けられている。例えば、課金対象機器3がゲーム機の場合には、ユーザの操作に従ってゲームを進行させるゲーム制御部が動作制御部として設けられている。課金管理部41も動作制御部7と同様の論理的装置であり、動作制御部7を実現するためのプログラムに対して適宜のプログラムモジュールを追加することによって課金管理部41を実現することができる。
課金対象機器3においては、複数の課金品目がユーザの選択肢として設けられてもよい。例えば、課金対象機器3がゲーム機の場合、そのゲーム機によって提供されるゲームにおいては、一般に、ゲームの開始又は継続、ゲームのモード、アイテムの購入、使用といった事項がユーザの選択肢として用意される。また、業務用のゲーム機において、ユーザが希望するモード等を選択してこれをプレイするためには、選択内容に応じた料金がユーザに課金される。つまり、ゲーム機では、ユーザの選択肢のそれぞれが課金対象の品目(課金品目)として用意され、それらの課金品目に応じて料金が設定されている。課金対象機器3が自動販売機の場合には、複数の商品のそれぞれが課金品目として用意される。動作制御部7は、ユーザの指示に従って課金品目のいずれが選択されたかを判別し、課金管理部41はその選択結果、つまりどの課金品目が選択されたかを動作制御部7から取得する。数量が選択可能な課金品目(例えば購入数量を選択可能なアイテム等)であれば、ユーザが選択した数量も課金管理部41が取得する。課金管理部41にてユーザの選択結果を取得することにより決済システム1による決済処理が開始される。そして、課金管理部41から決済完了が通知されると、動作制御部7はユーザが選択した課金品目に対応したサービスをユーザに提供する。例えば、課金対象機器3がゲーム機の場合、動作制御部7は、ユーザが選択したゲームモードによるゲームのプレイを開始させ、あるいはユーザが選択したアイテムをユーザに付与する。課金対象機器3が自動販売機の場合にはユーザが選択した商品が払い出される。なお、アイテムの購入には、対価を消費して、ゲーム中でアイテムを使用するための許諾を獲得すること等を含む。
課金管理部41は、動作制御部7から提供される課金内容、つまり、ユーザが選択した課金品目、あるいはユーザが選択した課金品目及び数量に従って課金情報を生成する。ここでは、課金品目の単価と数量とを乗算してユーザに課金すべき料金を演算し、その料金を指定する情報を課金情報として生成するものとする。数量が選択不可能な課金品目については数量を1として料金が演算される。課金管理部41は、生成した課金情報(つまり、プレイ料金やアイテム等の購入料金)を所定のプロトコルに従ってリーダ11に送信する。
リーダ11には、情報管理部42とID読取部43とが設けられている。情報管理部42はリーダ11のコンピュータハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置である。ID読取部43は、カード4に記録されたカードIDを読み取る周辺機器として設けられている。例えば、カード4のICチップにカードIDが記録されている場合には、そのICチップから情報を読み取るようにID読取部43が構成されている。ただし、カードIDはICチップに限らず、磁気記憶層や光学的記憶層に記録されてもよいし、バーコードのように光学的に読み取り可能な態様で記録されてもよい。カード4に対するカードIDの記録方式に応じてID読取部43は適宜に構成することができる。なお、リーダ11には、仮想通貨の消費量等を表示するためのディスプレイを備えるが、図3では図示が省略されている。
情報管理部42には、課金対象機器3を識別するための機器識別情報として、機器IDが設定されている。機器IDは、一例としてリーダ11をネットワーク上で一意に特定するために付されるMACアドレスのように、リーダ11に固有の識別情報でもよいし、課金対象機器3を区別するために店舗2の運営者等が設定した機器番号等でもよい。機器IDは、一例としてリーダ11の記憶部(例えばEEPROM)に保持されている。情報管理部42は、課金対象機器3の課金管理部41から課金情報を受け取ると、ID読取部43を起動させてカードIDの読み取りを開始させる。その読み取りが完了すると、情報管理部42は、取得したカードIDと、自己の機器IDとを指定して、課金管理部41から受け取った課金情報を管理PC12に送信する。
管理PC12には、論的装置として、取引制御部44が設けられている。取引制御部44は、リーダ11から受け取った課金情報及び機器IDに基づいて、ユーザに消費させるべき仮想通貨の量を判別し、判別した仮想通貨の消費量と、リーダ11から受け取ったカードIDと、店舗2毎にユニークに設定された店舗コードとを含む取引情報をサーバシステム20に提供して決済を要求する。店舗コードは、一例として管理PC12の記憶部45に保持されている。記憶部45には、さらに消費量の判別等に用いられる課金管理情報のデータD10及び決済履歴情報のデータD11が記録されている。
機器管理情報のデータD10は、課金対象機器3の課金管理部41から通知される料金と仮想通貨の消費量との対応関係を示す設定情報、及び割引情報を含んでいる。課金管理データD10は、どの課金対象機器3に対応するデータかを判別できるように、機器IDと対応付けて記録されている。取引制御部44は、機器IDを利用して、課金が発生した課金対象機器3の機器管理情報のデータD10を特定し、その管理データD10に従って、課金管理部41から通知される料金に対応してユーザが消費すべき仮想通貨の消費量を判別することができる。
機器管理情報のデータD10における消費量の設定情報には、通貨単位で表現される課金対象機器3の料金(課金額)と仮想通貨の消費量との対応関係が記述される。例えば、1円の料金に対して1ポイントを対応付けるように設定情報が記述される。その設定情報における仮想通貨の消費量の設定値を操作することにより、課金対象機器3で課金される料金をユーザが仮想通貨にて支払う際にユーザが消費すべき金銭的価値の量を適宜に変更することができる。例えば、通常は100円の現金で100ポイントの仮想通貨を購入でき、課金対象機器3の課金管理部41から出力される課金情報にて100円の料金が指定されている場合、80ポイントの消費量がデータD10の設定情報に記述されていれば、20円相当の割引が実現されることになる。このような割引は、必ずしも設定する必要はない。また、設定情報にて記述された料金と消費量との対応関係は、ユーザを問わず適用されるものである。
これに対して、機器管理情報のデータD10の割引情報は、ユーザによる仮想通貨の消費状況が所定の割引条件(特典付与条件)を満たす場合、その特典として、設定情報に従って特定される仮想通貨の消費量を割引くために用いられる情報である。割引情報には、割引条件及びその割引条件が満たされた場合の割引の内容が記述される。割引条件は、店舗2における少なくとも一台の課金対象機器3におけるユーザの消費状況と関連付けて設定される。例えば、店舗2に設置された複数の課金対象機器3から選択された特定の課金対象機器3にてユーザが仮想通貨を消費させた場合に満たされるように割引条件が設定される。割引条件には、時間的要件や量的要件をさらに付してもよい。例えば、特定の課金対象機器3にてユーザが一定期間内に仮想通貨を一定量以上消費させた場合に割引条件が満たされるものとしてもよい。具体的な例を挙げれば、課金対象機器としての自動販売機をユーザが利用する際に、その時点から過去に向かって一定期間内にユーザが特定のゲーム機にて一定量以上の仮想通貨を消費していれば割引が実施されるように割引条件を設定することができる。この場合、ゲーム機が割引条件を満たすか否かを判別する対象の第1の課金対象機器、自動販売機が割引実施対象の第2の課金対象機器とすれば、第2の課金対象機器3の機器IDに対応付けられた機器管理情報のデータD10の割引情報にて、第1の課金対象機器3の機器IDと関連付けて割引条件、及び割引の内容(割引量又は割引率)を記述すればよい。つまり、割引の対象となるべき課金対象機器3の機器IDに対応する機器管理情報のデータD10に割引条件及び割引内容を記述すればよい。ただし、割引対象となる課金対象機器(上記の第2の課金対象機器)は、店舗2に設置された課金対象機器3の全てでもよいし、一部の課金対象機器3に限られていてもよい。また、割引情報は、機器IDと対応付けられた機器管理情報のデータD10とは異なるデータとして記憶部45に記録されてもよい。
決済履歴情報のデータD11は、店舗2の課金対象機器3のそれぞれにて発生した課金に対する決済処理の履歴を記録したデータである。決済履歴情報のデータD11には、決済処理毎に、処理日時、機器ID、カードID及び仮想通貨の消費量といった決済内容を判別するために必要な情報が記録される。カードIDを利用して決済履歴情報のデータD11を検索することにより、店舗2におけるユーザの仮想通貨の消費状況を把握し、割引条件の成否等を判別することができる。
図4は、上述した割引情報を用いた割引のさらに具体的な例を示している。ユーザが第1の課金対象機器3Aにて課金品目a1を仮想通貨Naポイントの消費と引き換えに購入したとする。決済履歴情報のデータD11には、こうした決済の内容を示す情報が随時記録される。その後、ユーザが同一店舗2内の第2の課金対象機器3Bにて何らかの課金品目を購入するものとする。第2の課金対象機器3Bに対応する機器管理情報のデータD10においては、割引条件として、ユーザが一定期間内に第1の課金対象機器3AにてNcポイント(<Naポイント)以上の仮想通貨の消費をしたこと、が設定される。その条件が満たされたときに仮想通貨の消費量をNbポイント割引くことが割引の内容として設定される。この場合、ユーザが第2の課金対象機器3Bにて何らかの課金品目を購入する際に、第2の課金対象機器3Bに対応する機器管理情報のデータD10を用いて割引条件及び割引内容が特定され、ユーザのカードIDと第1の課金対象機器3Aに対応する機器IDとを手掛かりとして割引条件を満たす決済の記録が決済履歴情報のデータD11に存在するか否かが判別される。そして、記録が存在する場合には割引条件が満たされたものとして、第2の課金対象機器3Bの課金に対する仮想通貨の消費量が、同機器3Bに対する設定情報に従って定まる本来の消費量に対して、Nbポイント割引かれる。なお、割引内容は、有償の品目が無料でユーザに提供されるように設定されてもよい。つまり、課金しない態様も課金に対する割引の概念に含まれる。
図3に戻って、管理PC12には、機器管理情報のデータD10の設定情報及び割引情報を店舗2の運営者に適宜に設定させるための論理的装置として、設定管理部46が設けられている。設定管理部46は、設定端末PC13に対して機器管理情報のデータD10の設定情報や割引情報を閲覧し、あるいは設定情報や割引情報を変更するためのWebページとしての管理ページを提示する。したがって、店舗2の運営者は、設定端末PC13のWebブラウズ機能を利用して管理PC12が提供する管理ページにアクセスし、設定情報や割引情報の設定状況を確認し、料金と仮想通貨の消費量との対応関係や割引条件、あるいは割引条件が満たされた場合の割引内容等を適宜に変更することができる。この機能を利用すれば、柔軟な料金設定や割引設定が可能となる。
次に、図5及び図6を参照して、決済システム1にて実行される処理を説明する。図5は課金対象機器3にて発生した課金に対応してユーザに仮想通貨を消費させる際の処理の手順を示している。課金対象機器3において、ユーザが課金品目としてのモード、アイテム等を選択すると、課金対象機器3の課金管理部41は課金が発生したものとして図4の処理を開始し、まず、動作制御部7からの情報に基づいて課金品目等(数量が含まれることもある。)を判別する(ステップS11)。次に、課金管理部41は、ステップS1の判別結果に従って課金すべき料金(課金額)を算出し、その料金を指定する課金情報をリーダ11に通知する(ステップS12)。リーダ11の情報管理部42は、課金対象機器3から課金情報を受け取ると、その課金情報を保存した上で図5の処理を開始し、まずID読取部43を起動させてカードIDの読み取りに備え、これに応じてユーザがカードIDを読み取らせる操作(一例としてカード4をリーダ11にタッチする操作)を行なうと、カード4のカードIDを読み取る(ステップS21)。次いで、情報管理部42は、読み取ったカードIDと、自己の機器IDと、先に保存した課金管理情報とを管理PC12に通知する(ステップS22)。
管理PC12の取引制御部44は、リーダ11から機器ID等を受け取ると、機器IDに対応する機器管理情報のデータD10を特定し、その機器管理情報のデータD10に記録されている設定情報に基づいて、課金情報で指定された料金に対応してユーザに消費させるべき仮想通貨の消費量を判別する(ステップS31)。次いで、取引制御部44は、機器管理情報のデータD10に記録されている割引情報と決済履歴データD11とを参照して割引処理を実施する(ステップS32)。例えば、取引制御部44は、リーダ11から通知されたカードIDをキーとして、ユーザの決済処理の情報を決済履歴情報のデータD11から抽出し、抽出された情報に従ってユーザの消費状況が割引情報に記録されている割引条件を満たすか否かを判別する。そして、割引条件を満たしている場合、取引制御部44はステップS31で判別した消費量を割引情報に記述されている割引内容に従って割引き、その割引いた後の消費量をユーザに消費させるべき仮想通貨の量として最終的に決定する。割引条件が満たされていない場合、又は機器管理情報のデータD10にて割引条件が設定されていない場合、取引制御部44はステップS31で判別した消費量をそのまま最終的な消費量として決定する。ステップS32の処理後、取引制御部44は、記憶部45に保持されている店舗コードと、リーダ11から受け取ったカードIDと、ステップS32で決定した仮想通貨の消費量とを指定する取引情報を添えてサーバシステム20に決済を要求する(ステップS33)。
管理PC12からの決済要求を受けて、サーバシステム20の取引制御部34はカードIDに対応するユーザIDをユーザ情報のデータD1から取得し、そのユーザIDに対応付けて残高情報のデータD2に記録されている仮想通貨の口座の残高から、取引情報で指定された消費量を減算することにより、課金品目に対応した量の仮想通貨をユーザに消費させる(ステップS41)。ただし、残高が消費量に満たないときは消費が中止される。その後、取引制御部34は決済結果を管理PC12に通知する(ステップS42)。決済結果は、消費量の減算に成功した場合には決済完了、残高不足等により消費ができなかった場合には決済失敗として通知される。なお、決済に際して、サーバシステム20は、取引情報のデータD3や消費情報のデータD4への記録等も併せて実行するが、それらの処理は説明を省略する。
管理PC12の取引制御部44は、サーバシステム20から通知される結果を、課金が発生した課金対象機器3のリーダ11に通知する(ステップS34)。続いて、とりひき制御部44は、今回の決済処理における決済内容、すなわち処理日時、機器ID、カードID及び仮想通貨の消費量等を決済履歴情報のデータD11に記録する(ステップS35)。また、リーダ11の情報管理部42は、管理PC12からの決済処理の結果の通知に対応して、その結果をさらに課金対象機器3の課金管理部41に通知する(ステップS25)。なお、管理PC12とサーバシステム20との間で決済処理が行なわれる際、どの課金対象機器3で発生した課金に対応する処理かを特定可能とするため、例えばステップS33の決済要求毎に取引ID等を利用して決済要求が互いに区別される。
課金対象機器3の課金管理部41は、リーダ11から決済結果を受け取ると、その結果を動作制御部7に通知する(ステップS13)。動作制御部7は決済完了であれば、ユーザの選択に従ってサービスを提供する。例えば、動作制御部7は、ユーザが選択したモードでゲームを開始させ、あるいはユーザがプレイしているゲームを継続させ、あるいはユーザが購入したアイテムをユーザに付与する。決済失敗の場合、動作制御部7は例えば所定のエラー処理を実行する。
図6は、店舗2の運営者が設定端末PC13を用いて機器管理情報のデータD10を操作する際の処理の手順を示している。運営者が設定端末PC13のWebブラウザを起動して管理PC12の管理ページのURLを指定すると、設定端末PC13から管理PC12に対して管理ページのアクセスが要求される(ステップS51)。これを受けて、管理PC12の設定管理部46は管理ページのデータを設定端末PC13に送信する(ステップS61)。運営者が設定端末PC13にて、いずれかの課金対象機器3に関する機器管理情報のデータD10の設定値を更新すると、その更新情報が設定端末PC13から管理PC12に提供される(ステップS52)。これを受けて、管理PC12の設定管理部46は、更新情報に従って機器管理情報のデータD10を更新する(ステップS62)。次に、設定管理部46は、更新された機器管理情報のデータD10を店舗コードとともにサーバシステム20に送信する(ステップS63)。これを受けて、サーバシステム20の取引制御部34は管理PC情報のデータD7に店舗コードと対応付けて保存されている機器管理情報のデータD10を、管理PC12から提供された新たなデータD10で更新する(ステップS71)。
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変更が可能である。以下、変形例を順次説明する。上記の形態では、課金対象機器3の課金管理部41から課金情報として料金をリーダ11に通知し、管理PC12にて料金に対応した消費量を判別したが、これに代えて、図5のステップS12で課金対象機器3の課金管理部41から課金品目と数量とを課金情報として出力させ、ステップS31で管理PC12の取引制御部44が課金品目及び数量に従って仮想通貨の消費量を算出するものとしてもよい。この場合、記憶部45の機器管理情報のデータD10には、課金品目と、1品あたりの仮想通貨の消費量(単位消費量)との対応関係を記述した情報を設定情報として保存すればよい。
機器管理情報のデータD10を各リーダ11に配信してリーダ11の記憶部に記憶させることにより、仮想通貨の消費量(割引処理も含む。)をリーダ11に決定させることも可能である。ただし、リーダ11にて判別した消費量を管理PC12に提供し、割引処理を管理PC12で行なって最終的な消費量をリーダ11に指示するものとしてもよい。なお、上述した形態では、リーダ11を課金対象機器3と双方向に通信可能に接続して、課金対象機器3からリーダ11に情報を取り込むものとしたが、従来型のリーダ、すなわち、課金対象機器から情報を読み出すことなく、決済完了信号を課金対象機器3に通知するリーダが少なくとも一部の課金対象機器に対して使用されてもよい。
仮想通貨の消費量の判別及び割引処理はサーバシステム20にて実施することも可能である。この場合、管理PC12の設定情報のデータD10が管理PC情報のデータD7に店舗コードと対応付けて記録され、かつ、決済処理の内容も消費情報のデータD4に記録されているので、店舗システム10側から店舗コード、機器ID、カードID及び課金情報を指定する取引情報を添えてサーバシステム20に決済を要求し、データD4、D7を利用して消費量の判別や割引処理を実施すればよい。その一例の処理手順を図7に示す。この例では、リーダ11の情報管理部42にてステップS21及びステップS22が実行されて管理PC12にカードID、機器ID及び課金情報が通知された場合、その通知された情報に対して管理PC12の取引制御部44が機器IDを加えて取引情報を生成し、これを添えてサーバシステム20の取引制御部34に決済を要求する(ステップS33a)。これを受けて取引制御部34は、店舗コードに対応する管理PC情報のデータD7にアクセスして、店舗コード及び機器IDに対応する機器管理情報のデータD10を特定し、そのデータD10に含まれている設定情報に従って、課金情報に対応する仮想通貨の消費量を判別する(ステップS31a)。続いて、取引制御部34は、ステップS31aで特定したデータD10に含まれている割引情報を参照して割引処理を実施し(ステップS32a)、最終的な仮想通貨の消費量を決定する。さらに、取引制御部34は、管理PC12から提供されたカードIDと管理PC12から取得した課金情報とを利用して決済処理を実行し、ユーザが所持する仮想通貨の残高を消費させる(ステップS41)。その後、取引制御部34は管理PC12に決済処理の結果を通知する(ステップS42)。その結果は管理PC12から課金対象機器3の課金管理部7へと順次通知される(ステップS34、S25)。サーバシステム20の取引制御部34は、決済処理の結果の通知後、今回の決済処理の内容を取引情報のデータD3及び消費情報のデータD7に記録する(ステップS43)。
図7の処理によれば、管理PC12の決済履歴情報のデータD11に代えてサーバシステム20の消費情報のデータD4を利用しているので、管理PC12における決済履歴情報の管理を省略することができる。なお、図5のステップS32において、サーバシステム20の消費情報のデータD4を管理PC12に取り込むようにすれば、管理PC12における決済履歴情報の管理を省略することができる。管理PC12にて決済処理の内容を決済履歴情報のデータD11に逐次記録する場合、そのデータD11は自店舗2にて発生した課金に対応する決済処理の内容に限定され、自店舗2におけるユーザの消費状況に基づいて割引条件の成否を判別することになる。しかし、サーバシステム20における消費情報のデータD4を用いる場合には、他店舗2の消費状況も加味して割引の適用の可否を判別できるようになる。例えば、同一の営業主体に係る複数の店舗2の消費情報のデータD4を参照し、それらの店舗2の群においてユーザが第1の課金対象機器3に関して仮想通貨を一定量以上消費したか否かを判別し、一定量以上消費している場合には、それらの店舗2群に設置された第2の課金対象機器3のいずれでも割引を実施するといった処理も可能である。あるいは、店舗コードを参照することなく、いずれかの店舗2でユーザが第1の課金対象機器3に関して仮想通貨を一定量以上消費した場合に、どの店舗2であるかを問わずに第2の課金対象機器3における割引を実施する、といった処理も可能である。なお、管理PC12は店舗2内の各リーダ11に対して店舗内サーバとして実質的に機能するものであるが、その管理PC12に実装される機能をサーバシステム20に搭載すれば、店舗2に管理PC12を設けることなく、店舗単位での管理を実現することができる。
上記の形態では、割引条件をユーザによる仮想通貨の消費量と関連付けて設定したが、これに代えて、又は加えて、消費の回数と関連付けて割引条件を設定することもできる。さらに、決済履歴情報のデータD11又は消費情報のデータD4に含まれている取引日時を参照することにより、ユーザが適当な期間(例えば一日、一週間、あるいは一月)内で初めて自店舗2で課金対象機器3を利用する場合に割引条件が満たされるものとしてもよい。あるいは、ユーザが自店舗2あるいは同一の営業主体に係る店舗2群で一定回数以上連続して課金対象機器3を利用している場合等に割引条件が満たされるものとしてもよい。消費状況としては、消費量、消費の回数、初回の消費か否か、連続回数の他にも、ユーザが仮想通貨を消費する頻度、所定の単位期間内におけるユーザの消費量の平均値等により消費状況を判別してもよい。
上記の形態では、リーダ11が課金対象機器3等の課金対象機器に直接取り付けられているが、課金対象機器の制御部と双方向に通信可能に接続されることにより、課金情報の受信と決済処理の結果の通知とが可能である限り、リーダ11は課金対象機器に対して物理的に離されて設置されてもよい。リーダ11は課金対象機器3の製造時点で課金対象機器3と一体化されるように取り付けられてもよいし、課金対象機器3の製造後にいわゆる後付けの機器として取り付けられてもよい。本形態の決済システム1では、課金対象機器3において、課金管理部41を構成するためのプログラムを実装する必要があり、リーダ11を後付けする場合には課金対象機器3の改修が必要である。しかし、動作制御部7のように課金対象機器3の本来的な動作制御に必要な制御部から課金情報、すなわち課金されるべき料金、あるいは課金品目や数量を取り出してリーダ11に提供し、リーダ11から決済処理の結果を受け取って課金対象機器3の制御部に通知する機能を課金対象機器3に付加すれば足り、その改修の負担は比較的小さくて足りる。
上記の形態では、プリペイド方式でかつシンクライアント方式の決済システムを例に挙げたが、本発明の決済システムはこれに限定されず、ポストペイド方式の決済システムにも適用可能である。本発明の決済システムは、カード等の媒体に金銭的価値の残高を記録し、その残高情報を用いて決済を行なう方式の決済システムでも適用可能である。また、カード等の媒体に残高情報が記録されている場合でも、情報読取端末装置の側で残高情報を読み出して店舗内の管理PCやサーバシステム側で残高からの金銭的価値の消費を実行し、消費後の残高情報をカード等の媒体に書き戻す方式の決済システムにも本発明は適用可能である。この場合は、媒体から取得する決済参照情報がカードIDのような媒体識別情報のみならず、残高情報等も決済参照情報としてユーザの媒体から取得する。一方、残高情報を媒体に記録せず、サーバ側にて保持する方式の決済システムでは、サーバ上の残高情報を特定するために必要な情報(上記の形態ではカードID)を媒体から決済参照情報として取得すれば足りる。決済処理の内容も決済システムの方式に応じて当然に適宜に変更されるものである。
また、本発明の決済システムは、サーバクライアント方式の決済システムであることを必ずしも必要としない。例えば、上述した形態において、ユーザが所持するカード4に仮想通貨の残高情報が保持されている場合には、リーダ11又は管理PC12にてユーザが消費すべき仮想通貨の消費量の判別及び割引適用の可否を判別し、それらの結果に基づいてリーダ11とカード4との間で決済処理を実行することにより、店舗2内のコンピュータ装置のみで本発明の決済システムを実施することが可能である。
上記の形態において、複数の課金対象機器が設置される施設は、有償でユーザの遊戯に供される少なくとも一台の遊戯機が課金対象機器として設置されているアミューズメント施設としたが、本発明はそのような施設に設置される課金対象機器についての決済を対象とする例に限らない。また、遊戯機等の課金対象機器は、ユーザに対する入出力機能と、ユーザの操作に応じた動作制御に必要な各種の演算処理機能とが単一の物理的装置としてのコンピュータ装置に集約された構成に限らない。例えば、ゲーム機を例にとれば、そのゲームの進行に必要な演算制御をサーバ側で実行し、そのサーバに対するクライアントとしてのコンピュータ装置が入出力機能を担うべき遠隔操作端末装置として利用されることにより、複数のコンピュータ装置が協働して論理的なゲーム機として機能する構成であっても本発明の課金対象機器に含めることができる。また、遊戯機には、パチンコ機やパチスロ機(スロットマシン含む。)といった遊技機を含む。したがって、アミューズメント施設には、パチンコ機やパチスロ機等が設置された遊技場も含まれる。
上記の形態では、ユーザが特定の課金対象機器3にて仮想通貨を消費したことを条件として他の課金対象機器における消費量を割引くものとしたが、ユーザへの特典は割引以外の態様で付与されてもよい。例えば、特定の店舗2における仮想通貨の消費に応じてユーザに同一店舗2のみ、あるいは同一主体に係る店舗2の群のみで通用するポイントを付与し、そのポイントの獲得数に応じてユーザに景品(例えばゲームのキャラクタ商品やアイテム等)を付与するサービスを実施している場合には、特典付与条件の成立に対応して一定数のポイントをユーザに付与し、あるいはポイント数を割り増して付与するといった態様で特典を付与してもよい。また、割引を実施する場合でもその割引条件を判別する対象及び割引適用の対象は、課金対象機器を単位とすることを必ずしも要しない。例えば、ゲーム機にて特定のアイテムをユーザが購入した場合、自動販売機で一部又は全部の商品を割引対象とする、といったように課金品目単位での設定も可能である。さらに、店舗等の施設における割引等の実施について、店舗内又は店舗外のユーザに対して報知する手段がシステムに設けられてもよい。例えば、サーバシステム20からユーザ端末装置6に対して各店舗2の割引実施状況を示す情報を送信することにより、店舗外のユーザを店舗2に誘導するようにしてもよい。あるいは、店舗2に、店内の課金対象機器3における割引の実施状況をユーザに報知する案内装置等を設けることにより、課金対象機器3の利用を促し、それにより自店舗2における仮想通貨の消費増を図るようにしてもよい。
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書にて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の一態様に係る決済システム(1)は、複数の課金対象機器(3A、3B…3N)のそれぞれにおける課金の発生に対応してユーザに金銭的価値を消費させる決済処理を実行する決済システムであって、前記複数の課金対象機器のそれぞれに対応付けて設けられ、前記決済処理にて参照されるべき情報として前記ユーザが所持する媒体(4)に保持され、かつ前記媒体毎にユニークな媒体識別情報(一例としてカードID)を含んだ決済参照情報を前記課金の発生に対応して前記媒体から読み取る複数の情報読取装置(11)と、各情報読取装置が読み取った決済参照情報を参照して前記決済処理を実行する決済実行装置(12、20)と、を備え、前記複数の情報読取装置のそれぞれには、前記課金対象機器毎にユニークな機器識別情報(一例として機器ID)が設定され、前記決済実行装置には、前記複数の課金対象機器のそれぞれの課金に対して行なわれた決済処理の内容を、前記機器識別情報及び前記媒体識別情報と対応付けて決済履歴情報(D11;D4)に記録する履歴記録手段(44、S35;34、S43)と、前記複数の課金対象機器の少なくとも一部をユーザが利用する際に、該ユーザの前記金銭的価値の消費状況が所定の特典付与条件を満たすか否かを前記決済履歴情報に基づいて判別し、前記特典付与条件を満たすユーザに対して所定の特典を付与する特典付与手段(44、S32;34、S32a)と、が設けられているものである。
また、本発明の一態様に係る特典管理方法は、複数の課金対象機器(3A、3B…3N)のそれぞれにおける課金の発生に対応してユーザに金銭的価値を消費させる決済処理を実行するように構成され、前記複数の課金対象機器のそれぞれに対応付けて設けられ、前記決済処理にて参照されるべき情報として前記ユーザが所持する媒体(4)に保持され、かつ前記媒体毎にユニークな媒体識別情報(一例としてカードID)を含んだ決済参照情報を前記課金の発生に対応して前記媒体から読み取る複数の情報読取装置(11)と、各情報読取装置が読み取った決済参照情報を参照して前記決済処理を実行する決済実行装置(12、20)と、を備え、前記複数の情報読取装置のそれぞれには、前記課金対象機器毎にユニークな機器識別情報が設定された決済システム(1)に適用される特典管理方法であって、前記複数の課金対象機器のそれぞれの課金に対して行なわれた決済処理の内容を、前記機器識別情報及び前記媒体識別情報と対応付けて決済履歴情報(D11;D4)に記録する手順(S35;S43)と、前記複数の課金対象機器の少なくとも一部をユーザが利用する際に、該ユーザの前記金銭的価値の消費状況が所定の特典付与条件を満たすか否かを前記決済履歴情報に基づいて判別し、前記特典付与条件を満たすユーザに対して所定の特典を付与する手順(S32;S32a)と、を備えたものである。
さらに、本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、複数の課金対象機器(3A、3B…3N)のそれぞれにおける課金の発生に対応してユーザに金銭的価値を消費させる決済処理を実行するように構成され、前記複数の課金対象機器のそれぞれに対応付けて設けられ、前記決済処理にて参照されるべき情報として前記ユーザが所持する媒体(4)に保持され、かつ前記媒体毎にユニークな媒体識別情報(一例としてカードID)を含んだ決済参照情報を前記課金の発生に対応して前記媒体から読み取る複数の情報読取装置(11)と、各情報読取装置が読み取った決済参照情報を参照して前記決済処理を実行する決済実行装置(12、20)と、を備え、前記複数の情報読取装置のそれぞれには、前記課金対象機器毎にユニークな機器識別情報(一例として機器ID)が設定された決済システムに適用される特典管理用のコンピュータプログラムであって、前記決済システムに設けられた少なくとも一つのコンピュータ(12;20)を、前記複数の課金対象機器のそれぞれの課金に対して行なわれた決済処理の内容を、前記機器識別情報及び前記媒体識別情報と対応付けて決済履歴情報(D11;D4)に記録する履歴記録手段(44、S35;34、S43)、及び、前記複数の課金対象機器の少なくとも一部をユーザが利用する際に、該ユーザの前記金銭的価値の消費状況が所定の特典付与条件を満たすか否かを前記決済履歴情報に基づいて判別し、前記特典付与条件を満たすユーザに対して所定の特典を付与する特典付与手段(44、S32;34、S32a)、として機能させるように構成されたものである。
本発明の各態様によれば、複数の課金対象機器に関するユーザの仮想通貨の消費状況が、そのユーザの所持に係る媒体の媒体識別情報、及びユーザが利用した課金対象機器に対する機器識別情報と対応付けて決済履歴情報に記録される。したがって、複数の課金対象機器の少なくとも一部におけるユーザの利用に対して、特定の課金対象機器(一台でも複数台でもよい。)におけるユーザの仮想通貨の消費状況と関連付けて特典付与条件を設定しておけば、複数の課金対象機器間における課金を相互に連携付けてユーザに特典を付与するサービスを提供することができる。
なお、上記の形態では、管理PC12及びサーバシステム20を動作させるためのコンピュータプログラムモジュールの組み合わせが本発明の一態様に係るコンピュータプログラムに相当する。本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。この記憶媒体を用いれば、例えばコンピュータに本発明に係るコンピュータプログラムをインストールして実行することにより、そのコンピュータを利用して本発明のゲームシステムを実現することができる。コンピュータプログラムを記憶した記憶媒体は、CDROM等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
本発明の一態様において、前記特典付与手段は、前記複数の課金対象機器の少なくとも一部(一例として図4の課金対象機器3B)における課金と関連付けて前記特典を付与するものとしてもよい。これによれば、少なくとも一部の課金対象機器をユーザが利用する際に、決済履歴情報を参照してユーザの消費状況が所定の特典付与条件を満たすか否かを判別し、満たしている場合には、ユーザが利用しようとしている課金対象機器の課金に対して何らかの特典を与えることができる。例えば、課金対象機器の利用に対してユーザが消費すべき仮想通貨の量の一部又は全部を割引くといった特典を付与することができる。
前記特典付与条件は、前記複数の課金対象機器から選ばれた第1の課金対象機器(一例として図4の課金対象機器3A)における課金に対応した前記金銭的価値の消費と関連付けて設定され、前記特典付与手段は、前記複数の課金対象機器から選ばれ、かつ前記第1の課金対象機器とは異なる第2の課金対象機器(一例として図4の課金対象機器3B)における課金と関連付けて前記特典を付与するものとしてもよい。これによれば、ユーザが第1の課金対象機器にて特典付与条件を満たすように仮想通貨を消費すれば、その後に第2の課金対象機器を利用する際にその課金対象機器の課金と関連付けられた特典をユーザが受けることができる。これにより、第1及び第2の課金対象機器の利用に相乗効果を生じさせ、それらの課金対象機器を利用する動機付けをユーザに与えることができる。
さらに、前記複数の課金対象機器が、所定の営業主体によって所定の施設(2)に設置される業務用機器として構成され、前記第1の課金対象機器及び前記第2の課金対象機器は、同一施設に設置された課金対象機器の群、又は同一の営業主体に係る複数箇所の施設に設置された課金対象機器の群から選択されてもよい。これによれば、営業主体が一致する範囲内で、課金対象機器における課金と関連付けられた特典が付与される。したがって、特典の付与に関連した複数の営業主体間における精算等の発生を防ぎ、経理処理に要する手間等を軽減することができる。
前記施設には、前記特典付与条件及び前記特典の内容の少なくとも一方を変更する特典設定手段(46、S62)がさらに設けられてもよい。これによれば、施設の営業主体や運営者の都合に合せて特典付与条件や特典の内容を適宜に変更することができる。
本発明の一態様に係る決済システムは、前記課金対象機器に設けられ 、前記課金の発生に応答して、課金内容を判別するための課金情報を生成し、出力する課金管理手段(41、S12)をさらに具備してもよい。その場合、前記情報読取装置は、前記課金管理手段からの前記課金情報の出力に対応して、前記決済参照情報を前記媒体から読み取り、前記決済実行装置には、前記課金情報に基づいて判別される課金内容と前記ユーザに消費させるべき金銭的価値の量との対応関係の設定情報に従って、前記課金管理手段から出力された課金情報に対応して前記ユーザに消費させるべき金銭的価値の量を判別する消費量判別手段(44、S31;34、S31a)と、前記決済参照情報と前記消費量判別手段の判別結果とに基づいて前記決済処理を実行する決済実行手段(44、34、S33、S41;44、34、S33a、S41)と、が設けられ、前記特典付与手段は、前記消費量判別手段にて判別された金銭的価値の量を減少させることにより前記特典を付与するものとしてもよい。これによれば、課金対象機器毎の構成の相違等があっても、それらの機器に課金管理手段を設けて課金情報を出力させるようにすれば、その課金情報に対応してユーザに消費させるべき金銭的価値の量を判別し、さらに所定の特典付与条件が満たされていれば、その消費量を減少させてユーザに特典を付与することができる。したがって、機器同士を連携させた割引き等に機器側が対応していなくても、決済実行装置側における決済処理の過程で割引き等を決定することが可能である。
本発明の一態様に係る決済システムにおいて、前記複数の情報読取装置のそれぞれは、前記課金対象機器とは物理的に異なる装置として構成され、かつ前記課金対象機器と通信可能な状態で当該課金対象機器に取り付けられてもよい。これによれば、課金対象機器に対して情報読取装置を別個の装置として構成し、課金対象機器の製造時のみならず、既に運営されている既設の課金対象機器に対しても情報読取端末装置を取り付けることができる。さらに、既設の課金対象機器に対して課金内容を検出して課金情報を生成する機能を付加すれば、その課金対象機器から取り出した課金情報と情報読取装置にて読み取った決済参照情報を利用しつつ、本発明に従って決済処理を実行することが可能である。
本発明の一態様に係る決済システムにおいて、前記複数の課金対象機器の少なくとも一部が遊戯機であってもよい。これによれば、遊戯機が設置されたアミューズメント施設にて、遊戯機相互、あるいは遊戯機とそれ以外の他の課金対象機器とを相互に連携付けてユーザに特典を付与することができる。