JP2020129052A - 反射型透明スクリーン - Google Patents

反射型透明スクリーン Download PDF

Info

Publication number
JP2020129052A
JP2020129052A JP2019021348A JP2019021348A JP2020129052A JP 2020129052 A JP2020129052 A JP 2020129052A JP 2019021348 A JP2019021348 A JP 2019021348A JP 2019021348 A JP2019021348 A JP 2019021348A JP 2020129052 A JP2020129052 A JP 2020129052A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent
screen
reflective
refractive index
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019021348A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7217518B2 (ja
Inventor
榮三郎 樋口
Eizaburo Higuchi
榮三郎 樋口
泰磨 一夫
Kazuo Taima
一夫 泰磨
泰 村上
Yasushi Murakami
泰 村上
小林 正美
Masami Kobayashi
正美 小林
智也 根岸
Tomoya Negishi
智也 根岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Jushi Kogyo Co Ltd filed Critical Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Priority to JP2019021348A priority Critical patent/JP7217518B2/ja
Publication of JP2020129052A publication Critical patent/JP2020129052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7217518B2 publication Critical patent/JP7217518B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】透過可能で視野角特性、透明性、反射特性に優れた反射型透明スクリーンを提供する。【解決手段】観察面側から投射された映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーン100であって、透明基材10の一方の面に凹凸面が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料21からなる反射層20が設けられる一対の第1スクリーン部材30及び第2スクリーン部材31を備え、第1スクリーン部材30及び第2スクリーン部材31の反射層は、互いに透明接着材層40を介して接合される。【選択図】図2

Description

本発明は、映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーンに関する。
従来から、ショーウィンドウや車両のヘッドアップディスプレイなど、投影された映像を反射させて視認させつつ、透明性を備えた反射型の透明スクリーンの研究が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、透明性と光散乱性を両立する光散乱性被膜の発明が開示され、ガラス基材に光散乱性被膜を施した反射型透明スクリーンの評価結果(実施例29〜33に対応)が段落0074の表3に示されている。
また、特許文献2には、映像表示透明部材の発明が開示され、図1等に示されるように、着色等を施した光減衰層を設けることを必須とし、映像表示透明部材の光景視認性と投影される映像の視認性を向上させようとしたものである。
特開2018−004758号公報 国際公開第2015/199026号
しかしながら、特許文献1の段落0074の表3を参酌すると、いずれの実施例(実施例29〜33)においても、透過率が低く、官能評価の結果を見ても透明性に関して依然として課題が残る結果となっている。また、特許文献2に開示された発明は、着色等を施した光減衰層を設ける必要がある上、その断面構成も多層構造であり、生産性やコストの面で容易に量産できるようなものではなかった。
そこで、本願発明は、透過可能で、視野角特性、透明性、反射特性に優れた反射型透明スクリーンを提供することを目的とする。
(1)観察面側から投射された映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーン(100)であって、透明基材(10)の一方の面に凹凸面(11)が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料(21)からなる反射層(20)が設けられる一対の第1スクリーン部材(30)及び第2スクリーン部材(31)を備え、前記第1スクリーン部材及び前記第2スクリーン部材の前記反射層は、互いに透明接着材層(40)を介して接合されることを特徴とする反射型透明スクリーン(100)。
上記(1)に記載の構成によれば、例えば、図2に記載された実施例のように、透明基材(10)の凹凸面(11)に高屈折率材料(21)からなる反射層(20)を設けたスクリーン部材を、透明接着材層(40)を介して互いに接合することで、図8のスクリーン特性に示されるような、視野角特性、透明性、反射特性に優れた反射型透明スクリーン(100)を得ることが可能となる。
(2)前記透明接着材層(40)は、透明な接着剤(41)からなる上記(1)に記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(2)に記載の構成によれば、反射型透明スクリーン(100)の透明性をより一層確保することが可能となる。
(3)前記凹凸面(11)のα値角は10°以上である上記(1)または(2)に記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(3)に記載の構成によれば、α値角を10°以上とすることで、映像が良く見える範囲を広くすることが可能となる。
(4)前記高屈折率材料(21)からなる前記反射層(20)は、屈折率が1.7以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(4)に記載の構成によれば、屈折率が1.7以上となる高屈折率材料を反射層に利用することにより、投影画像の視認性を向上することが可能となる。
(5)前記透明接着材層(40)と接する前記反射層(20)の表面には、接着成分がコートされている上記(1)〜(4)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(5)に記載の構成によれば、反射層(20)の表面に接着成分をコートすることにより、反射型透明スクリーン(100)の一体性を強固にすることが可能となる。
(6)前記反射型透明スクリーン(100)の透過率が70%以上である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(6)に記載の構成によれば、反射型透明スクリーン(100)の透過率を70%以上確保することにより、透明スクリーンとしての機能を確保することが可能となる。
(7)前記高屈折率材料(21)からなる前記反射層(20)の厚さが、550×1/4×1/n(nm)の±40%の範囲内である(1)〜(6)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(7)に記載の構成によれば、反射層(20)の厚さを、可視光線の波長(380〜780nm)の中間波長である550nmに1/4波長を乗算し、さらに高屈折率材料(21)の屈折率(n)で除して求めた光学薄膜厚さ(t)の±40%の範囲内に設定することで、視認性に優れた反射型透明スクリーン(100)を得ることが可能となる。
(8)前記透明接着材層(40)の厚さは、0.03〜1mmである上記(1)〜(7)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(8)に記載の構成によれば、透明接着材層(40)の厚さを0.03〜1mmとすることで、透明性及び反射特性を満たす反射型透明スクリーン(100)を得ることが可能となる。
(9)前記透明接着材層(40)の屈折率と、前記高屈折率材料(21)からなる前記反射層(20)の屈折率との差は0.2以上である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(9)に記載の構成によれば、透明接着材層(40)の屈折率と、高屈折率材料(21)からなる前記反射層(20)の屈折率との差を0.2以上とすることで、透明性及び反射特性に優れた、反射型透明スクリーン(100)を得ることが可能となる。
(10)前記第1スクリーン部材(30)における前記透明基材(10)の他方の面に反射防止層(50)が設けられる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(10)に記載の構成によれば、反射型透明スクリーン(100)の一方の面に反射防止層(50)を設けることにより、外光などの映り込みを防止することが可能となる。
(11)前記第1スクリーン部材(30)における前記透明基材(10)の他方の面、及び、前記第2スクリーン部材(31)における前記透明基材(10)の他方の面に反射防止層(50)が設けられる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(11)に記載の構成によれば、反射型透明スクリーン(100)の両方の面に反射防止層(50)を設けることにより、反射型透明スクリーン(100)に対する観察方向に関わらず、外光などの映り込みを防止することが可能となる。
(12)前記反射層(20)は、前記高屈折率材料(21)と低屈折率材料(22)との2層構造からなる上記(1)〜(11)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(12)に記載の構成によれば、反射層(20)として、高屈折率材料(21)と低屈折率材料(22)との2層構造とすることで、投影画像の視認性をより向上することが可能となる。
(13)前記高屈折率材料(21)は、ゾルゲル塗料で作製される上記(1)〜(12)のいずれかに記載の反射型透明スクリーン(100)。
上記(13)に記載の構成によれば、高屈折率材料(21)をゾルゲル塗料で作製することにより、高い屈折率と高い透過率を兼ね備えた反射層を形成することが可能となる。
(14)観察面側から投射された映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーン(100’)であって、透明基材(10)の一方の面に凹凸面(11)が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料(21)からなる反射層(20)が設けられる第1スクリーン部材(30)と、透明基材(10)の両方の面に凹凸面(11)が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料(21)からなる反射層(20)が設けられる第2スクリーン部材(31)と、透明基材の両方の面に平滑面が形成される透明スクリーン部材(60)と、を備え、前記第1スクリーン部材の反射層と前記第2スクリーン部材の一方の面の反射層とが互いに透明接着材層(40)を介して接合され、前記第2スクリーン部材の他方の面の反射層と前記透明スクリーン部材(60)の一方の面とが互いに透明接着材層(40)を介して接合されることを特徴とする反射型透明スクリーン(100’)。
上記(14)に記載の構成によれば、例えば、図10に記載された実施例のように、透明基材(10)の凹凸面(11)に高屈折率材料(21)からなる反射層(20)を設けたスクリーン部材を、透明接着材層(40)を介して互いに接合するとともに、高屈折率材料(21)からなる反射層(20)を3層構造とすることで、図8のスクリーン特性に示されるような、視野角特性、透明性、反射特性に優れた反射型透明スクリーン(100’)を得ることが可能となる。
本発明の一実施例における、透明基材に対する高屈折率材料の設置態様を説明する図であって、(a)には高屈折率材料の塗布態様が示され、(b)には高屈折率材料塗布後の断面拡大図が示されている。 本発明の一実施例(実施例−1)における、反射型透明スクリーンの断面概略構成を説明する図であって、(a)には各層の接合態様が示され、(b)には全体の断面概略構成が示されている。 本発明の各実施例における反射型透明スクリーンの断面構成を説明する一覧表である。 本発明の各実施例における反射型透明スクリーンの断面構成を説明する一覧表である。 本発明における各比較対象スクリーンの断面構成を説明する図である。 本発明の各実施例(実施例−1〜6)における反射型透明スクリーンの断面構成を説明する図である。 本発明の各反射型透明スクリーン(実施例−1〜6)を構成する素材の物性を説明する一覧表である。 本発明の各実施例(実施例−1〜6)における反射型透明スクリーンの諸物性を説明する一覧表である。 本発明において、波長と反射率との関係を高屈折率材料の積層数ごとにと示したグラフである。 本発明の実施例において、高屈折率材料を3層構造(実施例−5)とした反射型透明スクリーンの断面概略構成を説明する図であって、(a)には各層の接合態様が示され、(b)には断面概略構成が示されている。
以下、図面を参照しつつ、本発明の反射型透明スクリーンについて説明する。
本発明の反射型透明スクリーンの一実施例として、図1(a)には反射型透明スクリーン100の断面構成の一部が図示されており、透明基材10の一方の面(図示右側側面)に凹凸面11が形成され、当該凹凸面11に高屈折率材料21からなる反射層20が設けられている。
図1(b)には、透明基材10における凹凸面11の拡大模式断面図が図示されている。図示されるように、透明基材10の凹凸面11には高屈折率材料21が薄膜を形成するように塗布されており、これにより反射層20が形成されている。本実施例では、図7の表中、実施例−1〜6における「屈折材料のコーチング」及び「片面マット基材の特性」に示されるように、表面粗さRa0.2μmの透明基材10の凹凸面11(図3表中の「片面凹凸アクリル板」に対応)に対し、高屈折率材料21(図3表中の「高屈折率材コート」に対応)が塗工厚さ75nmで塗布され、屈折率が1.9の反射層20が設けられている。
また、本実施例の透明基材10は、実施例−1〜5において、厚さ1mmのアクリル板を使用し、実施例−6では厚さ0.1mmのPETフィルムを使用しているが、必ずしもこのような素材及び厚さに限定されるものではない。
続いて、図2には、図3、4、7、8の表中の実施例−1に対応する断面構成が図示されている。図2(a)に図示されるように、実施例−1では、透明基材10の一方の面に反射層20が設けられた、一対の第1スクリーン部材30と第2スクリーン部材31とが、互いに透明接着材層40を介して接合されて、図2(b)の模式断面図に示されるような反射型透明スクリーン100が形成されている。
また、図2(b)に破線で示されるように、本発明の反射型透明スクリーン100は、透明基材10の他方の表面に反射防止層50(AR層)を設けることも可能であり、反射型透明スクリーン100の表面での反射や、外光の映りこみを防止することができる。
なお、反射防止層50(AR層)は、反射型透明スクリーン100における投影画像の観察者側の面に設けることが好ましく、本発明の実施例−2(図4等参照)では、反射型透明スクリーン100の観察者側の面にのみ反射防止層50(AR層)を設けている。また、実施例−3(図4等参照)では、反射型透明スクリーン100の両方の面に反射防止層50(AR層)を設けている。本実施例では分光反射率0.5%以下の反射防止層50(AR層)を設けている。
[1.比較対象スクリーンと、本発明の各実施例との比較試験]
本発明の反射型透明スクリーン100の優位性を確認するため、従来型の比較対象スクリーンと、本発明の各実施例との比較試験を行っており、図3〜6には、各比較対象スクリーン及び本発明の各実施例における断面構成が示されている。すなわち、比較対象スクリーンとして構成No,(1)〜(5)の5つの比較対象スクリーン試験体を作製し、本発明の実施例−1〜6の各試験体と比較試験を実施している。なお、図5には上記比較対象スクリーンである構成No,(1)〜(5)の模式断面図が示され、図6には本発明の実施例−1〜6の模式断面図が示されている。
(断面構成素材の性状)
続いて、図4及び図7には、各比較対象スクリーンと本発明の実施例−1〜6における、断面構成素材の性状が示されている。各比較対象スクリーン及び本発明の各実施例ともに、スクリーンの表面及び裏面は透明基材10の一方の面に凹凸面11が設けられた厚さ1mmの透明なアクリル板が使用されており、ヘイズ値50%、凹凸面11の表面粗さRa0.2μm、拡散透過率46%の性状を有している。
また、比較対象スクリーンの構成No,(3)と、実施例−6では、スクリーンの一方の側に厚さ0.1mmの透明なPETフィルムを透明基材10として使用しており、当該PETフィルムは、ヘイズ値79%、凹凸面11の表面粗さRa0.64μm、拡散透過率74%の性状を有している。
なお、透明基材10の一方の面に形成される凹凸面11については、特にその態様や形成方法が限定されるものではなく、不規則な凹凸構造のものや規則性のある凹凸構造のものを適宜採用することができる。また、凹凸面11の形成方法等についても、透明基材に直接蒸着する方法のほか、有機又は無機の微粒子を混合した混合物を、透明基材10の一方の面に塗布して凹凸面11を形成することも可能である。
図7の表中(特に「屈折材料のコーチング」参照)に記載されるように、本発明の反射型透明スクリーン100は、高屈折率材料21からなる反射層20が形成されるとともに、当該反射層20が複数層設けられていることを特徴としており、具体的には本発明の実施例−1〜4、6では高屈折率材料21からなる反射層20が2層設けられ、実施例−5では高屈折率材料21からなる反射層20が3層設けられている。
また、図7の表中(特に「屈折材料のコーチング」参照)に記載されるように、本発明の各実施例では、高屈折率材料21が透明基材10の凹凸面11に塗工厚さ75nmで塗布され、屈折率1.9の反射層20が形成されている。なお、本発明の反射型透明スクリーン100における高屈折率材料21による反射層20は、少なくとも屈折率1.7以上とし、より好ましくは屈折率を2.0前後とする。また、後述する透明接着材層40の屈折率と、高屈折率材料21による反射層20の屈折率との差が0.2以上となるように設定することが好ましい。上記のような構成により、視野角特性、透明性、反射特性に優れた反射型透明スクリーン100を得ることが可能となっている。
続いて、本発明の反射型透明スクリーン100は、前述したように高屈折率材料21からなる反射層20を複数層設けていることを特徴としており、図2等に示されるように、当該反射層20同士が透明接着材層40を介して接合されている。本発明の各実施例では図7の表中(特に「接着材料の特性」参照)に示されるように、アクリル系の透明な接着剤41が前述の反射層20の表面に塗布され、厚さ0.05mmの透明接着材層40を形成して互いの反射層20が接着されている。
なお、上記透明接着材層40の厚さは必ずしも上記寸法に限られるものではなく、厚さ0.03〜1mmの間で設定されることが好ましい。また、上記反射層20と透明な接着剤41との接着性能を向上させるために、別途、反射層20の表面に透明な接着成分をコートすることも可能である。これにより、反射型透明スクリーン100の一体性を強固に確保することが可能となる。
(反射型透明スクリーンのスクリーン特性)
続いて、図8には、各比較対象スクリーンと、本発明の各実施例におけるスクリーン特性が示されている。表中にはスクリーン特性として、製品透過率(%)、ピークゲイン(P.G)、α値角が示され、さらに、生産コストの良否、画像投影時のホットスポットの発生状態、投影画像の目視判定結果、生産コストと目視判定結果による総合評価結果が示されている。
図8の表中において、「生産コスト」は比較的安価なものを「○」で示し、比較的高価なものを「△」で示している。続いて表中の「ホットスポット」は、投影中心点から5°ずれた場所で投影画像にホットスポットが出現するか否かを評価したものであり、ホットスポットが出現しなかった場合は「○」、出現した場合は「×」として表中に示している。また、スクリーンに投影された投影画像の「目視判定」では、視認性の評価として不良なものを「×」、良好なものを「○」、優良なものを「◎」で示し、さらに以下に示す5段階の官能評価を行って表中に示している。
(官能評価値)
「1」・・・投射された映像が極めて鮮やかで、輪郭も極めてはっきりと見える。
「2」・・・投射された映像が鮮やかで、輪郭がはっきりと見える。
「3」・・・投射された映像が鮮やかであるが、輪郭がはっきりしない。
(ピントが合いづらい)
「4」・・・投射された映像が薄く、輪郭も薄い。
「5」・・・投射された映像が極めて薄く、輪郭も極めて薄い。
図8の実施例−1〜6の官能評価値から明らかなように、高屈折率材料21からなる反射層20を2層以上積層した本発明の反射型透明スクリーン100は、いずれも投影像が鮮やかに視認され、さらに、映像の輪郭をはっきりと視認することが可能となっている。
一方、中屈折率材料からなる反射層を単層または複数層積層した比較対象スクリーンや、高屈折率材料を使用するも、当該高屈折率材料による反射層が単層であるものは、いずれも投影された映像が薄く、輪郭もはっきりと視認することができない結果となっている。
[2.高屈折率材料の塗布態様]
図9には、透明アクリル板に対する高屈折率材料21の積層数による、反射率と反射光の波長との関係がグラフとして示されている。なお、表示される「(表)」は高屈折率材料21の塗布面における反射率が示され、「(裏)」は高屈折率材料21の塗布面の反対側である透明アクリル板面における反射率が示されている。この測定結果グラフから、可視光線のアクリル板単体の反射率が約6%、アクリル板に中屈折率材料を塗布した場合の反射率が約10%であるのに対し、高屈折率材料21の積層数が増加するにつれて高い反射率が得られることが判る。
(高屈折率材料による反射層の製造方法)
本発明の反射型透明スクリーン100の各実施例−1〜6で使用される高屈折率材料21は、波長633nmの光における屈折率が1.9以上で、かつ波長350nmの光における消衰係数が0.05以下の酸化チタンを主成分とするものであり、高屈折率材料21の製造に際して、チタニウムアルコキシド、有機溶媒、ヒドラジン誘導体塩および水を混和して反応させる反応工程と、当該反応工程によって得られる溶液を透明基材10に供給して膜を形成する膜形成工程と、当該膜形成工程後に60℃以上100℃未満の温度にて加熱する加熱工程とを経て製造される、ゾルゲル塗料によるものである。このようなゾルゲル塗料により、高い屈折率と高い透過率を兼ね備えた反射層を形成することが可能となる。
また、上記したチタニウムアルコキシドを、チタニウムテトライソプロポキシド若しくはチタニウムテトラ−n−ブトキシドとすることも可能であり、有機溶媒を炭素数3以下のアルコールとすることも可能である。さらに、上記加熱工程に先立ち、湿度10%R.H以下で行う乾燥工程を加えることも可能である。
また、本発明の反射型透明スクリーン100の各実施例においては、高屈折率材料21からなる反射層20の厚さを、下記(1)の式で算出される厚さに設定している。
t(nm)= 550 × 1/4 × 1/n ・・・・・・(1)
すなわち、上記(1)による式では、可視光線の波長(380〜780nm)の中間波長である550nmに1/4波長を乗算し、さらに高屈折率材料21の屈折率(n)で除して光学薄膜厚さ(t)を設定している。なお、必ずしも、上記(1)の式で求められた光学薄膜厚さ(t)に限定されるものではなく、±40%の範囲で光学薄膜厚さ(t)を設定することが可能であり、より好ましくは、バラツキを抑えるために±20%の範囲で光学薄膜厚さ(t)が設定されて、反射層20が形成されることが好ましい。このような構成により、視認性に優れた反射型透明スクリーン100を得ることが可能となる。
[3.別実施形態]
本発明の反射型透明スクリーンは、前述したように高屈折率材料21からなる反射層20を2層以上設けていることを特徴としているところ、当該特徴点を共通とする別実施形態が、図8中の実施例−4及び実施例−5であり、当該実施例−4の模式断面図が図6(D)に、実施例−5の模式断面図が図6(E)及び図10に示されている。
実施例−4では、透明基材10の凹凸面11に対して、まず低屈折率材料が塗布されて屈折率1.43以下の反射層が形成され、その上に高屈折率材料21が塗工厚さ75nmで塗布されて屈折率1.9の反射層を形成している。そして、アクリル系の透明な接着剤が反射層にコートされ、厚さ0.05mmの透明接着材層を介して図6(D)に示されるような断面構成で接合されている。
実施例−4の断面構成によれば、官能評価の結果に示されるように、投影画像が極めて鮮やかで、投影画像の輪郭も極めてはっきりと視認することが可能となる。
続いて、実施例−5では、図10の模式断面図に示されるように、透明基材10の一方の面に凹凸面11が形成されるとともに、当該凹凸面11に高屈折率材料21からなる反射層20が設けられる第1スクリーン部材30と、透明基材10の両方の面に凹凸面11が形成されるとともに、当該凹凸面11に高屈折率材料21からなる反射層20が両方の面に設けられる第2スクリーン部材31とを有しており、上記第1スクリーン部材30の反射層20と上記第2スクリーン部材31の一方の面の反射層20とが互いに透明接着材層40を介して接合され、さらに、上記第2スクリーン部材31の他方の面の反射層20と、透明基材の両方の面に平滑面が形成された透明スクリーン部材60の一方の面とが互いに透明接着材層40を介して接合されている。
図8中の上記実施例−5における官能評価の結果に示されるように、実施例−4と同様に、投影画像が極めて鮮やかで、投影画像の輪郭も極めてはっきりと視認することが可能となる。
[4.総合的な評価]
以上、本発明の各実施例−1〜6による反射型透明スクリーン100の投影画像の視認性能について評価したが、反射型透明スクリーンを市場で流通させるためには生産コストを併せて考慮する必要がある。特に、投影画像の視認性能が極めて良好なものであっても、反射型透明スクリーンの断面構成が多層になると、生産コストの上昇を招いてしまう。このようなことから、図8中に記載された「生産コスト」の評価結果と官能評価の評価結果を併せて評価すると、図8中の「総合評価」に記載されているように、実施例−1及び実施例−6における反射型透明スクリーンが比較的に適した断面構成であることが判る。
(他の実施態様)
以上、本発明の反射型透明スクリーンの一実施例について、図表にもとづいて説明したが、具体的な構成は上記した実施形態に必ずしも限定されるものではない。例えば、図8の表中に本発明の各実施例における「α値角」が記載されている。「α値角」はピークゲインが1/2になる角度に相当し、当該α値角が狭いほど、映像の良く見える範囲も狭くなってしまう。したがって、少なくともα値角は10°以上とし、より好ましくは20〜30°とするのが良い。
本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。また、上記実施例に記載された具体的な数値範囲、寸法形状・機能等は本発明の課題を解決する範囲において、変更が可能である。
100、100’ 反射型透明スクリーン
10 透明基材
11 凹凸面
20 反射層
21 高屈折率材料
22 低屈折率材料
30 第1スクリーン部材
31 第2スクリーン部材
40 透明接着材層
41 接着剤
50 反射防止層
60 透明スクリーン部材

Claims (3)

  1. 観察面側から投射された映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーンであって、
    透明基材の一方の面に凹凸面が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料からなる反射層が設けられる一対の第1スクリーン部材及び第2スクリーン部材を備え、
    前記第1スクリーン部材及び前記第2スクリーン部材の前記反射層は、互いに透明接着材層を介して接合される
    ことを特徴とする反射型透明スクリーン。
  2. 前記反射層は、前記高屈折率材料と低屈折率材料との2層構造からなる
    請求項1に記載の反射型透明スクリーン。
  3. 観察面側から投射された映像光を反射して映像を表示するとともに透明性を有する反射型透明スクリーンであって、
    透明基材の一方の面に凹凸面が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料からなる反射層が設けられる第1スクリーン部材と、
    透明基材の両方の面に凹凸面が形成されるとともに、当該凹凸面に高屈折率材料からなる反射層が設けられる第2スクリーン部材と、
    透明基材の両方の面に平滑面が形成される透明スクリーン部材と、を備え、
    前記第1スクリーン部材の反射層と前記第2スクリーン部材の一方の面の反射層とが互いに透明接着材層を介して接合され、
    前記第2スクリーン部材の他方の面の反射層と前記透明スクリーン部材の一方の面とが互いに透明接着材層を介して接合される
    ことを特徴とする反射型透明スクリーン。
JP2019021348A 2019-02-08 2019-02-08 反射型透明スクリーン Active JP7217518B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019021348A JP7217518B2 (ja) 2019-02-08 2019-02-08 反射型透明スクリーン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019021348A JP7217518B2 (ja) 2019-02-08 2019-02-08 反射型透明スクリーン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020129052A true JP2020129052A (ja) 2020-08-27
JP7217518B2 JP7217518B2 (ja) 2023-02-03

Family

ID=72174773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019021348A Active JP7217518B2 (ja) 2019-02-08 2019-02-08 反射型透明スクリーン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7217518B2 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014509963A (ja) * 2011-01-31 2014-04-24 サン−ゴバン グラス フランス 拡散反射を備えた透明部材
WO2015186668A1 (ja) * 2014-06-02 2015-12-10 旭硝子株式会社 映像投影構造体、映像投影構造体の製造方法、映像投影方法及び自動車用窓
US20160011342A1 (en) * 2013-03-07 2016-01-14 The Technology Partnership Plc Embedded Diffuser Structure
JP2017083743A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 旭硝子株式会社 ミラースクリーン
WO2017094581A1 (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 旭硝子株式会社 透明スクリーンシート、透明スクリーン、および映像表示システム
JP2017111429A (ja) * 2015-12-11 2017-06-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 スクリーン及び映像表示システム
WO2017110629A1 (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 富士フイルム株式会社 透明スクリーン
JP2018040892A (ja) * 2016-09-06 2018-03-15 大日本印刷株式会社 反射スクリーン、映像表示装置
JP2018077322A (ja) * 2016-11-09 2018-05-17 大日本印刷株式会社 反射スクリーン、映像表示装置

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014509963A (ja) * 2011-01-31 2014-04-24 サン−ゴバン グラス フランス 拡散反射を備えた透明部材
US20160011342A1 (en) * 2013-03-07 2016-01-14 The Technology Partnership Plc Embedded Diffuser Structure
WO2015186668A1 (ja) * 2014-06-02 2015-12-10 旭硝子株式会社 映像投影構造体、映像投影構造体の製造方法、映像投影方法及び自動車用窓
JP2017083743A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 旭硝子株式会社 ミラースクリーン
WO2017094581A1 (ja) * 2015-12-01 2017-06-08 旭硝子株式会社 透明スクリーンシート、透明スクリーン、および映像表示システム
JP2017111429A (ja) * 2015-12-11 2017-06-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 スクリーン及び映像表示システム
WO2017110629A1 (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 富士フイルム株式会社 透明スクリーン
JP2018040892A (ja) * 2016-09-06 2018-03-15 大日本印刷株式会社 反射スクリーン、映像表示装置
JP2018077322A (ja) * 2016-11-09 2018-05-17 大日本印刷株式会社 反射スクリーン、映像表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7217518B2 (ja) 2023-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7060137B2 (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
JP2017156452A (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
TWI464523B (zh) 投影螢幕、投影系統及該投影螢幕之製造方法
JP2005208557A (ja) 反射型スクリーン
JP4629656B2 (ja) 背面投影型及び/又は投影型スクリーン
JP2005208558A (ja) 反射型スクリーン
JP6642043B2 (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
JP6398450B2 (ja) 反射スクリーン、映像表示システム
JP6953728B2 (ja) スクリーン、映像表示装置
JP7217518B2 (ja) 反射型透明スクリーン
JP2018109687A (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
WO2020017591A1 (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
JP2004361923A (ja) スクリーン及びその製造方法
JP7176177B2 (ja) 映像表示装置、車両
JPH09211729A (ja) 反射型スクリーン
JP7110575B2 (ja) 映像表示装置、車両
JP5949356B2 (ja) 反射スクリーン、立体映像表示システム
JP6638503B2 (ja) 反射スクリーン、映像表示システム
JP6957891B2 (ja) 反射スクリーン、映像表示装置
JP2020515488A (ja) Hud機能を実施するための積層ガラス
JP7001132B2 (ja) 透過型スクリーン、背面投射型表示装置
CN220399667U (zh) 抬头显示薄膜及抬头显示系统
JP7070613B2 (ja) 映像表示装置
JP2005266264A (ja) スクリーン
JP7293731B2 (ja) 光学部材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220712

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220719

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7217518

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150