JP7293731B2 - 光学部材の製造方法 - Google Patents
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Description
本明細書中において、記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。なお、板面、フィルム面についても同様である。
図1は、実施形態の映像表示装置1を示す斜視図である。
図2は、映像表示装置1を側面から見た図である。
映像表示装置1は、スクリーン100、映像源LS等を有している。本実施形態のスクリーン(光学部材)100は、映像源LSから投影された映像光Lを反射して、画面上に映像を表示する反射スクリーンである。このスクリーン100の詳細に関しては、後述する。
本実施形態では、一例として、映像表示装置1は、建物の窓ガラスやショーウィンドウ等に代えてスクリーン100が配置され、このスクリーン100へ映像源LSから映像光Lを投影するものとして説明する。
また、スクリーン100の映像源側の正面方向に位置する観察者O1から見て水平方向の右側に向かう方向を+X方向、鉛直方向の上側に向かう方向を+Y方向、厚み方向において背面側(裏面側)から映像源側に向かう方向を+Z方向とする。
さらに、以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、このスクリーン100の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であり、それぞれ、Y方向、X方向、Z方向に平行であるとする。
この映像源LSは、映像表示装置1の使用状態において、スクリーン100の画面(表示領域)を正面方向(スクリーン面の法線方向)から見た場合に、スクリーン100の画面左右方向の中央であって、スクリーン100の画面よりも鉛直方向下方側に位置している。
映像源LSは、奥行き方向(Z方向)において、スクリーン100の表面からの距離が、従来のスクリーンの画面正面方向に位置する汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から斜めに映像光Lを投影できる。したがって、従来の汎用プロジェクタに比べて、映像源LSは、スクリーン100までの投射距離が短く、投射された映像光Lがスクリーン100に入射する入射角度が大きく、入射角度の変化量(入射角度の最小値から最大値までの変化量)も大きい。
スクリーン100の画面(表示領域)は、使用状態において、観察者O1側から見て長辺方向が画面左右方向となる略矩形状である。また、スクリーン100は、その画面サイズは、任意に設定可能であるが、例えば、対角40~100インチ程度であり、画面の横縦比が16:9とすることができる。
なお、これに限らず、スクリーン100は、例えば、観察者O1側から見た形状を他の形状としてもよいし、その画面サイズを40インチ以下の大きさとしてもよく、使用目的や使用環境等に応じて、その大きさや形状は適宜選択できるものとする。
図4は、実施形態の第1光学形状層12を説明する図である。図4は、第1光学形状層12を背面側(-Z側)から見た図であり、理解を容易にするために、反射層13等を省略して示している。
スクリーン100は、図2に示すように、厚み方向(Z方向)において、その映像源側(+Z側)から順に、第1支持体20、第1接着層40、光学機能層10、第2接着層50、第2支持体30等を備えている。
第2支持体30は、背面側の表面に配置されている。
第1支持体20及び第2支持体30は、いずれも光透過性を有するガラス板により形成されている。後述の光学機能層10は、樹脂製の薄い層の積層体等であり、それ単独では形状を維持するだけの十分な剛性を有していない。そのため、本実施形態のスクリーン100は、第1支持体20と第2支持体30との間に光学機能層10を配置してこれらを張り合わせた、合わせ板(合わせガラス)の構成として、画面の形状を維持している。なお、本実施形態では、図1等に示すように、スクリーン100は、平面であることから、第1支持体20及び第2支持体30は、平板形状のガラス板を用いているが、曲面ガラスを用いて、曲面のスクリーンを構成してもよい。
第2接着層50は、第2支持体30と光学機能層10との間に挟まれて配置されており、両者を接着する層である。
第1接着層40及び第2接着層50は、例えば、ガラス転移点Tgが低いPVB(ポリビニルブチラール)やCOP(シクロオレフィンポリマー)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)等、一般的に合わせガラス中間膜として使用される材料を用いることができる。
第1光学形状層12は、光学機能層10の映像源側(+Z側)に構成された光透過性を有する層である。第1光学形状層12の背面側(-Z側)の面には、単位光学形状121が複数配列されて設けられている。
単位光学形状121は、図4に示すように、真円の一部形状(円弧状)であり、スクリーン100の画面(表示領域)外に位置する点Cを中心として、同心円状に複数配列されている。即ち、第1光学形状層12は、点Cを中心(フレネルセンター)とする、いわゆるオフセット構造のサーキュラーフレネルレンズ形状を、その背面側に有している。
本実施形態では、図4に示すように、第1光学形状層12をスクリーン面の法線方向背面側から見たときに、点Cは、画面左右方向の中央であって画面外下方に位置しており、点Cと点Aとは、Y方向に平行な同一直線上に位置している。
単位光学形状121は、背面側(-Z側)に凸であり、映像光が入射する第1斜面(第1の面)121aと、これに対向する第2斜面(第2の面)121bとを有している。1つの単位光学形状121において、第1斜面121aは、頂点aを挟んで第2斜面121bの上側(+Y側)に位置している。
この単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状を有している。この微細な凹凸形状は、凸形状と凹形状とが2次元方向に不規則に配列されて形成されており、凸形状及び凹形状は、その大きさや形状、高さ等が不規則である。
理解を容易にするために、図3では、単位光学形状121の配列ピッチP、角度θ1,θ2は、単位光学形状121の配列方向において一定である例を示している。しかし、本実施形態の単位光学形状121は、実際には、配列ピッチPは一定であるが、角度θ1が単位光学形状121の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなっている。
また、角度θ1,θ2、配列ピッチP等は、映像源LSからの映像光の投射角度(スクリーン100への映像光の入射角度)や、映像源LSの画素(ピクセル)の大きさ、スクリーン100の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜設定してよい。例えば、単位光学形状121の配列方向に沿って、配列ピッチPや角度θ1等が変化する形態としてもよい。
なお、本実施形態では、第1光学形状層12を構成する樹脂として、紫外線硬化型樹脂を例に挙げて説明するが、これに限らず、例えば、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
前述のように、第1斜面121a及び第2斜面121b(単位光学形状121の表面)には、微細な凹凸形状が形成されており、反射層13は、この微細な凹凸形状に追従して形成され、かつ、単位光学形状121側とは反対側の面にも、この微細かつ不規則な凹凸形状が維持された状態で成膜されている。したがって、反射層13の映像源側の面(第1光学形状層12側の面)と、背面側の面(第2光学形状層14側の面)とは、微細かつ不規則な凹凸形状を有するマット面(粗面)となっている。
この反射層13は、入射した光の一部を反射面の微細な凹凸形状により拡散して反射し、反射しない他の光を拡散しないで透過するという機能を有する。
反射層13は、金属を用いる場合、光反射性の高い金属、例えば、Cr、アルミニウム、銀、ニッケル等により形成され、その厚さは、数10Å程度である。反射層13は、これに限らず、例えば、上述のような光反射性の高い金属をスパッタリングして形成してもよい。
また、金属を用いた反射層13の反射率及び透過率は、所望する光学性能に合わせて適宜に設定できるが、映像光を良好に反射させるとともに、映像光以外の光(例えば、太陽光等の外界からの光)を良好に透過させる観点から、例えば、透過率が30~80%程度、反射率が5~60%程度の範囲とすることができる。なお、上記透過率を含めて、以下に示す各層の透過率に関する数値は、空気界面における反射については考慮していない値を示している。また、スクリーン100の表面(空気界面)における反射は、その表面処理によって大きく左右されるが、例えば、10%程度を考慮するとよい。
本実施形態で金属を用いて構成した反射層13は、アルミニウムを蒸着することにより形成されており、反射層13のみでの透過率が約70%、反射率が約5%、吸収率が約25%のハーフミラー状である。
高屈折率誘電体膜は、例えば、TiO2(二酸化チタン)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZnS(硫化亜鉛)等により形成される。高屈折率誘電体膜の屈折率は、2.0~2.6程度である。
低屈折率誘電体膜は、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)、MgF2(フッ化マグネシウム)等により形成される。低屈折率誘電体膜の屈折率は、1.3~1.5程度である。
高屈折率誘電体膜及び低屈折率誘電体膜の膜厚は、約5~100nmであり、これらが交互に2~10層程積層されて形成されており、誘電体多層膜の総厚は、10~1000nm程度である。
この誘電体多層膜を用いて構成された反射層13は、波長域400~800nmの光に対して、その透過率が90%程度、反射率が10%程度である。
この反射層13は、単位光学形状121上(第1斜面121a及び第2斜面121b上)に、上述のような誘電体多層膜を蒸着加工する、スパッタ加工する等により、所定の厚さで形成される。
本実施形態で誘電体多層膜を用いて構成した本実施形態の反射層13は、TiO2(二酸化チタン)により形成された高屈折率誘電体膜と、SiO2により形成された低屈折率誘電体膜を交互に計5層積層(高屈折率誘電体膜が3層、低屈折率誘電体膜が2層)して形成されており、透過率が約90%、反射率が約10のハーフミラー状である。
なお、反射層13の厚さは、その材質や所望する光学性能等によって適宜設定してよい。
反射層13は、単層の誘電体膜を用いる場合、上述の第1光学形状層12及び後述の第2光学形状層14よりも高い屈折率となる材料により形成されており、例えば、TiO2(二酸化チタン)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、Ta2O5(五酸化タンタル)、ZnS(硫化亜鉛)等により形成され、、屈折率は、2.0~2.6程度である。この誘電体膜(反射層13)と、第1光学形状層12(第2光学形状層14)との屈折率差は、0.5以上であることが望ましい。
この反射層13は、単位光学形状121上(第1斜面121a及び第2斜面121b上)に、上述のような誘電体膜を蒸着加工する、スパッタ加工する等により、所定の厚さで形成される。
本実施形態の反射層13は、ZnS(屈折率2.36)により形成された誘電体膜である。
第2光学形状層14は、単位光学形状121間の谷部を埋めるように充填され、第1光学形状層12の背面側(-Z側)の面は、平坦化である。この第2光学形状層14の映像源側(+Z側)の面は、第1光学形状層12の単位光学形状121の略逆型の形状が複数配列されて形成されている。
このような第2光学形状層14を設けることにより、反射層13を保護することができる。また、このような第2光学形状層14を設けることにより、スクリーン100の背面側に第2支持体30等を積層しやすくできる。
本実施形態の第2光学形状層14は、第1光学形状層12と同じ紫外線硬化型樹脂により形成されている。
また、スクリーン100に対する入射角が直角に近い角度で光源側からスクリーン100へ入射する光は、反射層13を透過して背面側へ出射する。これと同様にスクリーン100に対する入射角が直角に近い角度で背面側からスクリーン100へ入射する光は、反射層13を透過して光源側へ出射する。スクリーン100は、拡散粒子を含有する拡散材等を含有していないので、このスクリーン100を透過する光は、拡散されない。したがって、スクリーン100を通して、スクリーン100の向こう側の景色を観察した場合に、スクリーン100の向こう側の景色がぼやけたり、白くにじんだりすることなく、高い透明性を有して観察することができる。
先ず、基材41を用意する(図5(a))。基材41は、スクリーン100の完成後は、第1接着層40の一部を構成するので、基材41は、先に示した第1接着層40の材料を用いて構成される。
次に、基材41の一方の面に、単位光学形状121を賦形する成形型500に紫外線硬化型樹脂を充填した状態で積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるUV成形法により第1光学形状層12を形成する(図5(b)、(c))。このとき、単位光学形状121を賦形する成形型の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面には、微細な凹凸形状が形成されている。この微細な凹凸形状は、成形型500の第1斜面121a及び第2斜面121bを賦形する面に、条件の異なるめっきを2回以上繰り返したり、エッチング処理を行ったりすること等によって形成できる。
この工程までが、光学機能層10を作製する光学機能層作製工程に相当する。その後、必要であれば所定の大きさに裁断する等して、次の工程に移る。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
特に、スクリーン100の映像源側の表面に反射防止層を設けた場合には、反射層13で反射した映像光が、映像源側の空気との界面で反射して、背面側から出射して背面側に映像が漏れたように表示されることを防止できる。
この場合、単位光学形状121の配列方向は、映像源LSの位置に合わせて傾けた形態とする。このような形態とすることにより、映像源LSの位置等を自由に設定することができる。
また、単位光学形状121は、3つ以上の複数の面によって形成される多角形形状としてもよい。
また、第1斜面121a及び第2斜面121bは、微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている例を示したが、これに限らず、第1斜面121aにのみ微細かつ不規則な凹凸形状が形成されている形態としてもよい。
また、反射層13は、単位光学形状121の第1斜面121a及び第2斜面121bに形成される例を示したが、これに限らず、例えば、第1斜面121aの少なくとも一部に形成される形態としてもよい。
10 光学機能層
12 第1光学形状層
13 反射層
14 第2光学形状層
20 第1支持体
30 第2支持体
40 第1接着層
41 基材
42 接着層シート
50 第2接着層
51 基材
52 接着層シート
100 スクリーン(光学部材)
121 単位光学形状
121a 第1斜面
121b 第2斜面
500 成形型
Claims (4)
- 映像源から投射された映像光を観察者側へ反射し、かつ、透明性を有する光学機能層と、
前記光学機能層よりも前記映像源側に設けられた透明性を有する第1支持体と、
前記光学機能層と前記第1支持体との間に配置され、前記光学機能層に直接接着している第1接着層と、
前記映像源側とは反対の背面側に設けられた透明性を有する第2支持体と、
前記光学機能層と前記第2支持体との間に配置され、前記光学機能層に直接接着している第2接着層と、
を備える光学部材を製造する光学部材の製造方法であって、
前記光学機能層を作製する光学機能層作製工程と、
前記第1支持体と、前記第1接着層と、前記光学機能層と、前記第2接着層と、前記第2支持体と、を接着する接着工程と、
を備え、
前記光学機能層作製工程は、前記第1接着層及び前記第2接着層と同一の素材を用いて構成された2枚の基材の間に前記光学機能層の作製を行う光学部材の製造方法。 - 請求項1に記載の光学部材の製造方法において、
前記光学機能層は、
光透過性を有する層であって、当該光学部材の厚み方向の背面側の面に、映像光が入射する第1の面とこれに対向する第2の面とを有する単位光学形状が複数配列されて形成された第1光学形状層と、
前記単位光学形状の少なくとも前記第1の面の一部に形成され、入射した光の少なくとも一部を反射し、その他の光を透過する機能を有する反射層と、
前記反射層よりも背面側に設けられた光透過性を有する層であって、前記単位光学形状の間の谷部を充填するように積層された第2光学形状層と、
を備え、
接着工程は、前記第1接着層を前記第1光学形状層に直接接着し、前記第2接着層を前記第2光学形状層に直接接着すること、
を特徴とする光学部材の製造方法。 - 請求項2に記載の光学部材の製造方法において、
接着工程は、前記第1接着層を第1支持体に直接接着し、前記第2接着層を第2支持体に直接接着すること、
を特徴とする光学部材の製造方法。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の光学部材の製造方法において、
前記第2支持体は、光吸収性を有する構成として作製されること、
を特徴とする光学部材の製造方法。
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