以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)ビフェニル型構造を有するマレイミド化合物、(B)液状又は半固形状の硬化剤(以下、液状又は半固形状の硬化剤を、適宜「非固形状硬化剤」という。)、及び(C)高分子量成分を含む。本発明では、(A)〜(C)成分を含有させることで、ラミネート性に優れ、誘電特性及び密着性に優れる硬化物を得ることができる。
樹脂組成物は、(A)〜(C)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(D)無機充填材、(E)硬化剤、(F)硬化促進剤、(G)エポキシ樹脂、(H)重合開始剤、及び(I)その他の添加剤等が挙げられる。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(A)ビフェニル型構造を有するマレイミド化合物>
樹脂組成物は、(A)成分として(A)ビフェニル型構造を有するマレイミド化合物を含有する。(A)成分を樹脂組成物に含有させることで、誘電特性に優れる硬化物を得ることが可能となる。(A)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、下記式(A−1)で表されるマレイミド基を分子中に含有する化合物である。また、(A)成分は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、ビフェニル型構造を有する。ビフェニル型構造とは、下記式(A−2)で表される構造である。
式(A−2)中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に置換基を表す。a及びbはそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。*は結合手を表す。
R1及びR2が表す置換基としては、例えば、ハロゲン原子、−OH、−O−C1−10アルキル基、−N(C1−10アルキル基)2、C1−10アルキル基、C6−10アリール基、−NH2、−CN、−C(O)O−C1−10アルキル基、−COOH、−C(O)H、−NO2等が挙げられる。ここで、「Cx−y」(x及びyは正の整数であり、x<yを満たす。)という用語は、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がx〜yであることを表す。例えば、「C1−10アルキル基」という表現は、炭素原子数1〜10のアルキル基を示す。これら置換基は、互いに結合して環を形成していてもよく、環構造は、スピロ環や縮合環も含む。
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜3の整数を表すことが好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
(A)成分は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、(A)成分の両末端がマレイミド基であることが好ましい。
(A)成分は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、ビフェニル型構造に加えて、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれかを有することが好ましく、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の両方を有することがより好ましい。用語「芳香族炭化水素基」とは、芳香環を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香族炭化水素基は、芳香環のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素基を含んでいてもよく、芳香環は単環、多環、複素環のいずれであってもよい。
脂肪族炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、2価の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基が特に好ましい。
芳香族炭化水素基としては、2価の芳香族炭化水素基が好ましく、アリーレン基、アラルキレン基がより好ましく、アリーレン基がさらに好ましい。アリーレン基としては、炭素原子数6〜30のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6〜20のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6〜10のアリーレン基がさらに好ましい。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基等が挙げられる。アラルキレン基としては、炭素原子数7〜30のアラルキレン基が好ましく、炭素原子数7〜20のアラルキレン基がより好ましく、炭素原子数7〜15のアラルキレン基がさらに好ましい。このようなアラルキレン基としては、ベンジレン基、ビフェニレン−メチレン構造を有する基等が挙げられる。これらの中でも、フェニレン基、ベンジレン基、ビフェニレン−メチレン構造を有する基が好ましく、フェニレン基がより好ましい。
(A)成分における1分子当たりのマレイミド基の数は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは1個以上、より好ましくは2個以上、さらに好ましくは3個以上であり、好ましくは10個以下、より好ましく6個以下、さらに好ましくは3個以下である。
(A)成分において、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、マレイミド基の窒素原子は、芳香族炭化水素基と直接結合していることが好ましい。ここで、用語「直接」とは、マレイミド基の窒素原子と芳香族炭化水素基との間に他の基がないことをいう。
(A)成分は、例えば下記式(A−3)により表される構造を有することが好ましい。
式(A−3)中、R
3及びR
8はマレイミド基を表し、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、R
9及びR
10はそれぞれ独立に置換基を表す。a1及びb1はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、m1及びm2はそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、nは1〜100の整数を表す。
R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、水素原子が好ましい。
R4、R5、R6及びR7におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状又は環状であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基等が挙げられる。
R4、R5、R6及びR7におけるアリール基は、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、炭素原子数6〜15のアリール基がより好ましく、炭素原子数6〜10のアリール基がさらに好ましい。アリール基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
R4、R5、R6及びR7におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、式(A−2)中のR1と同様である。
R9及びR10はそれぞれ独立に置換基を表し、式(A−2)中のR1及びR2と同様である。
a1及びb1はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、式(A−2)中のa及びbと同様である。
m1及びm2はそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2であり、1がよりさらに好ましい。
nは1〜100の整数を表し、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜5である。
R3及びR8はマレイミド基を表し、マレイミド基は芳香族炭化水素基と直接結合している。R3及びR8が表すマレイミド基は、芳香族炭化水素基と結合している(CH2)m1又は(CH2)m2を基準として、オルト位、メタ位、及びパラ位のいずれかに直接結合していることが好ましく、パラ位に直接結合していることが好ましい。
(A)成分としては、式(A−4)で表される構造を有することが好ましい。
式(A−4)中、R
11及びR
16はマレイミド基を表し、R
12、R
13、R
14及びR
15は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。m3及びm4はそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、n1は1〜100の整数を表す。
R11及びR16はマレイミド基を表し、式(A−3)中のR3、R8と同様である。
R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、式(A−3)中のR4、R5、R6及びR7と同様である。
m3及びm4はそれぞれ独立に1〜10の整数を表し、式(A−3)中のm1及びm2と同様である。
n1は1〜100の整数を表し、式(A−3)中のnと同様である。
(A)成分としては、式(A−5)で表される構造を有することが好ましい。
式(A−5)中、R
17及びR
18はマレイミド基を表す。n2は1〜100の整数を表す。
R17及びR18はマレイミド基を表し、式(A−3)中のR3、R8と同様である。
n2は、1〜100の整数を表し、式(A−3)中のnと同様である。
(A)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、日本化薬社製の「MIR−3000−70MT」が挙げられる。
(A)成分の含有量は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
<(B)液状又は半固形状の硬化剤>
樹脂組成物は、(B)成分として(B)液状又は半固形状の硬化剤を含む。(B)成分を樹脂組成物に含有させることにより、ラミネート性を向上させることが可能となり、さらに密着性に優れる硬化物を得ることが可能となる。(B)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、液状、半固形状、及び固形の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行う。具体的な判定方法は、下記のとおりである。
(1)装置
恒温水槽:
攪拌機、ヒーター、温度計、自動温度調節器(±0.1℃で温度制御が可能なもの)を備えたもので深さ150mm以上のものを用いる。
なお、後述する実施例で用いた熱硬化性樹脂の判定では、いずれもヤマト科学社製の低温恒温水槽(型式BU300)と投入式恒温装置サーモメイト(型式BF500)の組み合わせを用い、水道水約22リットルを低温恒温水槽(型式BU300)に入れ、これに組み付けられたサーモメイト(型式BF500)の電源を入れて設定温度(20℃又は60℃)に設定し、水温を設定温度±0.1℃にサーモメイト(型式BF500)で微調整したが、同様の調整が可能な装置であればいずれも使用できる。
試験管:
試験管としては、図1に示すように、内径30mm、高さ120mmの平底円筒型透明ガラス製のもので、管底から55mmおよび85mmの高さのところにそれぞれ標線11A、12Bが付され、試験管の口をゴム栓13aで密閉した液状判定用試験管10aと、同じサイズで同様に標線が付され、中央に温度計を挿入・支持するための孔があけられたゴム栓13bで試験管の口を密閉し、ゴム栓13bに温度計14を挿入した温度測定用試験管10bを用いる。以下、管底から55mmの高さの標線を「A線」、管底から85mmの高さの標線を「B線」という。
温度計14としては、JIS B7410(1982)「石油類試験用ガラス製温度計」に規定する凝固点測定用のもの(SOP−58目盛範囲0〜100℃)を用いるが、0〜100℃の温度範囲が測定できるものであればよい。
(2)試験の実施手順
温度60±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料を、図1(a)に示す液状判定用試験管10aと図1(b)に示す温度測定用試験管10bにそれぞれ11A線まで入れる。2本の試験管10a、10bを低温恒温水槽に12B線が水面下になるように直立させて静置する。温度計は、その下端が11A線よりも30mm下となるようにする。
試料温度が設定温度±0.1℃に達してから10分間そのままの状態を保持する。10分後、液状判断用試験管10aを低温恒温水槽から取り出し、直ちに水平な試験台の上に水平に倒し、試験管内の液面の先端が11A線から12B線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。
同様に、温度20±5℃の大気圧下で24時間以上放置した試料についても、温度60±5℃の大気圧下で24時間以上放置した場合と同様に試験を実施し、試験管内の液面の先端が11A線から12B線まで移動した時間をストップウォッチで測定し、記録する。
20℃において、測定された時間が90秒以内のものを液状と判定する。
20℃において、測定された時間が90秒を超え、60℃において、測定された時間が90秒以内のものを半固形状と判定する。
60℃において、測定された時間が90秒を超えるものを固体状と判定する。
(B)成分としては、液状又は半固形状であり、(A)成分を硬化させる機能を有するものを用いることができる。このような非固形状硬化剤としては、例えば、アリル系非固形状硬化剤、マレイミド系非固形状硬化剤、(メタ)アクリル系非固形状硬化剤、アミン系非固形状硬化剤、及びブタジエン系非固形状硬化剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アリル系非固形状硬化剤、及びマレイミド系非固形状硬化剤の少なくともいずれかであることがより好ましい。
アリル系非固形状硬化剤とは、液状又は半固形状であり、アリル基を分子中に少なくとも1つ有する化合物である。アリル基は、(A)成分におけるマレイミド基と反応し、(A)成分を硬化させる機能を有する。アリル系非固形状硬化剤は、1分子あたり1個以上のアリル基を有することが好ましく、2個以上のアリル基を有することがより好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下とし得る。
また、アリル系非固形状硬化剤は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、アリル基に加えて、ベンゾオキサジン環、フェノール環、エポキシ基、及び環状構造を有するカルボン酸誘導体のいずれかを有することが好ましく、本発明の所望の効果をより顕著に得る観点から、ベンゾオキサジン環を有することがより好ましい。
ベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤において、アリル基は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、ベンゾオキサジン環を構成する窒素原子及びベンゾオキサジン環を構成する炭素原子のいずれかと結合していることが好ましく、炭素原子と結合していることがより好ましい。
ベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤としては、例えば、下記式(B−1)で表されるベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤であることが好ましい。
式(B−1)中、R
20、及びR
21はアリル基を表し、R
22はq価の基を表す。qは1〜4の整数を表し、p1は0〜4の整数を表し、p2は0〜2の整数を表す。
R22が表すq価の基は、アリル基、q価の芳香族炭化水素基、q価の脂肪族炭化水素基、酸素原子、又はこれらの組み合わせからなるq価の基が好ましい。R22がアリル基を有する場合、アリル基はq価の芳香族炭化水素基及びq価の脂肪族炭化水素基のいずれかの置換基であってもよい。例えばqが2の場合、R22は、アリーレン基、アルキレン基、酸素原子、又はこれら2種以上の2価の基の組み合わせからなる基であることが好ましく、アリーレン基又は2種以上の2価の基の組み合わせからなる基であることがより好ましく、2種以上の2価の基の組み合わせからなる基であることがさらに好ましい。
R22におけるアリーレン基としては、炭素原子数6〜20のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6〜15のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6〜12のアリーレン基がさらに好ましい。アリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、ビフェニレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
R22におけるアルキレン基としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられ、メチレン基が好ましい。
R22における2種以上の2価の基の組み合わせからなる基としては、例えば、1以上のアリーレン基と1以上の酸素原子とが結合した基;例えば、アリーレン−アルキレン−アリーレン構造を有する基等の1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基とが結合した基;1以上のアルキレン基と1以上の酸素原子とが結合した基;1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基と1以上の酸素原子とが結合した基等が挙げられ、1以上のアリーレン基と1以上の酸素原子とが結合した基、1以上のアリーレン基と1以上のアルキレン基とが結合した基が好ましい。
qは1〜4の整数を表し、1〜3の整数を表すことが好ましく、1又は2を表すことがより好ましい。
p1は0〜4の整数を表し、0〜2の整数を表すことが好ましく、0又は1を表すことがより好ましく、1がさらに好ましい。p2は0〜2の整数を表し、0又は1を表し、0が好ましい。
フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤としては、例えば、アリル基を含むクレゾール樹脂、アリル基を含むノボラック型フェノール樹脂、アリル基を含むクレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。中でも、フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤としては、下記式(B−2)で表されるフェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤であることが好ましい。
式(B−2)中、R
23、R
24、及びR
25はそれぞれ独立にアリル基を表し、s1はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、s2はそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、rは0〜3の整数を表す。
R23〜R25はそれぞれ独立にアリル基を表す。式(B−2)中、アリル基の個数は、好ましくは1個以上、より好ましくは2個以上、さらに好ましくは3個以上、好ましくは25個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは5個以下である。
s1は、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表し、より好ましくは1〜2の整数を表す。
s2は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表し、より好ましくは1〜2の整数を表す。
rは、0〜3の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表し、より好ましくは1〜2の整数を表す。
エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤は、エポキシ基を1分子中に2個以上含むことが好ましい。また、エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤は、芳香族構造を有することが好ましく、エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤を2種以上用いる場合は少なくとも1種が芳香族構造を有することがより好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤としては、ビスフェノール構造を有することが好ましく、ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAF型等が挙げられ、中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、ビスフェノールA型が好ましい。
環状構造を有するカルボン酸誘導体を有するアリル系非固形状硬化剤としては、環状構造を有するカルボン酸アリルが好ましい。環状構造としては、脂環式構造を含む環状基及び芳香環構造を含む環状基のいずれであってもよい。また、環状基は、炭素原子以外にヘテロ原子により環の骨格が構成されていてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられ、窒素原子が好ましい。ヘテロ原子は前記の環に1つ有していてもよく、2つ以上を有していてもよい。環状構造を有するカルボン酸誘導体は、環状構造によるネットワーク構造により、樹脂ワニスの相溶性、及び分散性が向上し、その結果、ラミネート性を向上させることが可能となり、さらに密着性に優れる硬化物を得ることが可能となる。
環状構造を有するカルボン酸としては、例えば、イソシアヌル酸、ジフェン酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。環状構造を有するカルボン酸誘導体を有するアリル系非固形状硬化剤としては、例えば、イソシアヌル酸アリル、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジフェン酸ジアリル、ジフェン酸アリル、オルトジアリルフタレート、メタジアリルフタレート、パラジアリルフタレート、シクロヘキサンジカルボン酸アリル、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル等が挙げられる。
アリル系非固形状硬化剤は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、明和化成社製「MEH−8000H」、「MEH−8005」(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤);日本化薬社製「RE−810NM」(エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤);四国化成工業社製「ALP−d」(ベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤);四国化成工業社製「L−DAIC」(イソシアヌル環を有するアリル系非固形状硬化剤);日本化成社製「TAIC」(イソシアヌル環を有するアリル系非固形状硬化剤(トリアリルイソシアヌレート));大阪ソーダ社製「MDAC」(シクロヘキサンジカルボン酸誘導体を有するアリル系非固形状硬化剤);日触テクノファインケミカル社製「DAD」(ジフェン酸ジアリル);大阪ソーダ社製「ダイソーダップモノマー」(オルトジアリルフタレート)等が挙げられる。
アリル系非固形状硬化剤のアリル基当量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは20g/eq.〜1000g/eq.、より好ましくは50g/eq.〜500g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.〜300g/eq.である。アリル基当量は、1当量のアリル基を含むアリル系非固形状硬化剤の質量である。
マレイミド系非固形状硬化剤とは、液状又は半固形状であり、マレイミド基を分子中に少なくとも1つ有する化合物である。但し、(A)成分に該当するものは除かれる。
マレイミド系非固形状硬化剤は、炭素原子数が5以上のアルキル基及び炭素原子数が5以上のアルキレン基の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
炭素原子数が5以上のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。このアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、中でも直鎖状が好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。炭素原子数が5以上のアルキル基は、炭素原子数が5以上のアルキレン基の置換基として有していてもよい。
炭素原子数が5以上のアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。このアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、中でも直鎖状が好ましい。ここで、環状のアルキレン基とは、環状のアルキレン基のみからなる場合と、直鎖状のアルキレン基と環状のアルキレン基との両方を含む場合も含める概念である。このようなアルキレン基としては、例えば、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、ヘプタデシレン基、ヘキサトリアコンチレン基、オクチレン−シクロヘキシレン構造を有する基、オクチレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基、プロピレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基等が挙げられる。
マレイミド系非固形状硬化剤は、本発明の効果を顕著に得る観点から、炭素原子数が5以上のアルキル基及び炭素原子数が5以上のアルキレン基の両方を含むことが好ましい。
炭素原子数が5以上のアルキル基及び炭素原子数が5以上のアルキレン基は、互いに結合して環を形成していてもよく、環構造は、スピロ環や縮合環も含む。互いに結合して形成された環としては、例えば、シクロヘキサン環等が挙げられる。
炭素原子数が5以上のアルキル基及び炭素原子数が5以上のアルキレン基は、置換基を有していないことが好ましいが、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記した式(A−2)中のR1が表す置換基と同様である。
マレイミド系非固形状硬化剤において、炭素原子数が5以上のアルキル基及び炭素原子数が5以上のアルキレン基は、マレイミド基の窒素原子に直接結合していることが好ましい。
マレイミド系非固形状硬化剤の1分子当たりのマレイミド基の数は、1個でもよいが、好ましくは2個以上であり、好ましくは10個以下、より好ましく6個以下、特に好ましくは3個以下である。1分子当たり2個以上のマレイミド基を有するマレイミド系非固形状硬化剤を用いることにより、本発明の効果を顕著に得ることができる。
マレイミド系非固形状硬化剤は、下記一般式(B−3)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤であることが好ましい。
一般式(B−3)中、Mは置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表す。
Mは、置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表す。Mのアルキレン基は、上記した炭素原子数が5以上のアルキレン基と同様である。Mの置換基としては、一般式(A−2)中のR1が表す置換基と同様であり、置換基は、好ましくは炭素原子数が5以上のアルキル基である。
Lは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−NR
0−(R
0は水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、C(=O)NR
0−、フタルイミド由来の2価の基、ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基、及びこれら2種以上の2価の基の組み合わせからなる基等が挙げられる。アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、フタルイミド由来の2価の基、ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基、及び2種以上の2価の基の組み合わせからなる基は、炭素原子数が5以上のアルキル基を置換基として有していてもよい。フタルイミド由来の2価の基とは、フタルイミドから誘導される2価の基を表し、具体的には一般式(A)で表される基である。ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基とは、ピロメリット酸ジイミドから誘導される2価の基を表し、具体的には一般式(B)で表される基である。式中、「*」は結合手を表す。
Lのおける2価の連結基としてのアルキレン基は、炭素原子数1〜50のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜45のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜40のアルキレン基が特に好ましい。このアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチルエチレン基、シクロヘキシレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、ヘプタデシレン基、ヘキサトリアコンチレン基、オクチレン−シクロヘキシレン構造を有する基、オクチレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基、プロピレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基等が挙げられる。
Lにおける2価の連結基としてのアルケニレン基は、炭素原子数2〜20のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数2〜15のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数2〜10のアルケニレン基が特に好ましい。このアルケニレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。このようなアルケニレン基としては、例えば、メチルエチレニレン基、シクロヘキセニレン基、ペンテニレン基、へキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等が挙げられる。
Lにおける2価の連結基としてのアルキニレン基は、炭素原子数2〜20のアルキニレン基が好ましく、炭素原子数2〜15のアルキニレン基がより好ましく、炭素原子数2〜10のアルキニレン基が特に好ましい。このアルキニレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。このようなアルキニレン基としては、例えば、メチルエチニレン基、シクロヘキシニレン基、ペンチニレン基、へキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基等が挙げられる。
Lにおける2価の連結基としてのアリーレン基は、炭素原子数6〜24のアリーレン基が好ましく、炭素原子数6〜18のアリーレン基がより好ましく、炭素原子数6〜14のアリーレン基がさらに好ましく、炭素原子数6〜10のアリーレン基がさらにより好ましい。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基等が挙げられる。
Lにおける2価の連結基であるアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、一般式(A−2)中のR1が表す置換基と同様であり、好ましくは炭素原子数が5以上のアルキル基である。
Lにおける2種以上の2価の基の組み合わせからなる基としては、例えば、アルキレン基、フタルイミド由来の2価の基及び酸素原子との組み合わせからなる2価の基;フタルイミド由来の2価の基、酸素原子、アリーレン基及びアルキレン基の組み合わせからなる2価の基;アルキレン基及びピロメリット酸ジイミド由来の2価の基の組み合わせからなる2価の基;等が挙げられる。2種以上の2価の基の組み合わせからなる基は、それぞれの基の組み合わせにより縮合環等の環を形成してもよい。また、2種以上の2価の基の組み合わせからなる基は、繰り返し単位数が1〜10の繰り返し単位であってもよい。
中でも、一般式(B−3)中のLとしては、酸素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜24のアリーレン基、置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜50のアルキレン基、炭素原子数が5以上のアルキル基、フタルイミド由来の2価の基、ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基、又はこれらの基の2以上の組み合わせからなる2価の基であることが好ましい。中でも、Lとしては、アルキレン基;アルキレン基−フタルイミド由来の2価の基−酸素原子−フタルイミド由来の2価の基の構造を有する2価の基;アルキレン基−フタルイミド由来の2価の基−酸素原子−アリーレン基−アルキレン基−アリーレン基−酸素原子−フタルイミド由来の2価の基の構造を有する2価の基;アルキレン−ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基の構造を有する2価の基がより好ましい。
一般式(B−3)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤は、一般式(B−4)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤であることが好ましい。
一般式(B−4)中、M
1はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表し、Aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基又は置換基を有していてもよい芳香環を有する2価の基を表す。tは1〜10の整数を表す。
M1はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表す。M1は、一般式(B−3)中のMと同様である。
Aはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基又は置換基を有していてもよい芳香環を有する2価の基を表す。Aにおけるアルキレン基としては、鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、中でも環状、即ち置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上の環状のアルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。このようなアルキレン基としては、例えば、オクチレン−シクロヘキシレン構造を有する基、オクチレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基、プロピレン−シクロヘキシレン−オクチレン構造を有する基等が挙げられる。
Aが表す芳香環を有する2価の基における芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フタルイミド環、ピロメリット酸ジイミド環、芳香族複素環等が挙げられ、ベンゼン環、フタルイミド環、ピロメリット酸ジイミド環が好ましい。即ち、芳香環を有する2価の基としては、置換基を有していてもよいベンゼン環を有する2価の基、置換基を有していてもよいフタルイミド環を有する2価の基、置換基を有していてもよいピロメリット酸ジイミド環を有する2価の基が好ましい。芳香環を有する2価の基としては、例えば、フタルイミド由来の2価の基及び酸素原子との組み合わせからなる基;フタルイミド由来の2価の基、酸素原子、アリーレン基及びアルキレン基の組み合わせからなる基;アルキレン基及びピロメリット酸ジイミド由来の2価の基の組み合わせからなる基;ピロメリット酸ジイミド由来の2価の基;フタルイミド由来の2価の基及びアルキレン基の組み合わせからなる基;等が挙げられる。上記アリーレン基及びアルキレン基は、一般式(B−3)中のLが表す2価の連結基におけるアリーレン基及びアルキレン基と同様である。
Aが表す、アルキレン基及び芳香環を有する2価の基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上記した式(A−2)中のR1が表す置換基と同様である。
Aが表す基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
一般式(B−3)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤は、一般式(B−5)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤、及び一般式(B−6)で表されるマレイミド系非固形状硬化剤のいずれかであることが好ましい。
一般式(B−5)中、M
2及びM
3はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表し、R
30はそれぞれ独立に、酸素原子、アリーレン基、アルキレン基、又はこれらの基の2以上の組み合わせからなる2価の基を表す。t1は1〜10の整数を表す。
一般式(B−6)中、M
4、M
6及びM
7はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表し、M
5はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香環を有する2価の基を表し、R
31及びR
32はそれぞれ独立に炭素原子数が5以上のアルキル基を表す。t2は0〜10の整数を表し、u1及びu2はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。
M2及びM3はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表す。M2及びM3は、一般式(B−3)中のMが表す炭素原子数が5以上のアルキレン基と同様であり、ヘキサトリアコンチレン基が好ましい。
R30はそれぞれ独立に、酸素原子、アリーレン基、アルキレン基、又はこれら2種以上の2価の基の組み合わせからなる基を表す。アリーレン基、アルキレン基は、一般式(B−3)中のLが表す2価の連結基におけるアリーレン基及びアルキレン基と同様である。R30としては、2種以上の2価の基の組み合わせからなる基又は酸素原子であることが好ましい。
R
30における2種以上の2価の基の組み合わせからなる基としては、酸素原子、アリーレン基、及びアルキレン基の組み合わせが挙げられる。2種以上の2価の基の組み合わせからなる基の具体例としては、以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
M4、M6及びM7はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基を表す。M4、M6及びM7は、一般式(B−3)中のMが表す置換基を有していてもよい炭素原子数が5以上のアルキレン基と同様であり、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基が好ましく、オクチレン基がより好ましい。
M5はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香環を有する2価の基を表す。M5は、一般式(B−4)中のAが表す置換基を有していてもよい芳香環を有する2価の基と同様であり、アルキレン基及びピロメリット酸ジイミド由来の2価の基の組み合わせからなる基;フタルイミド由来の2価の基及びアルキレン基の組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基及びピロメリット酸ジイミド由来の2価の基の組み合わせからなる基がより好ましい。上記アリーレン基及びアルキレン基は、一般式(B−3)中のLが表す2価の連結基におけるアリーレン基及びアルキレン基と同様である。
M
5が表す基の具体例としては、例えば以下の基を挙げることができる。式中、「*」は結合手を表す。
R31及びR32はそれぞれ独立に炭素原子数が5以上のアルキル基を表す。R31及びR32は、上記した炭素原子数が5以上のアルキル基と同様であり、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が好ましく、ヘキシル基、オクチル基がより好ましい。
u1及びu2はそれぞれ独立に1〜15の整数を表し、1〜10の整数が好ましい。
マレイミド系非固形状硬化剤の具体例としては、以下の(1)〜(3)の化合物を挙げることができる。但し、マレイミド系非固形状硬化剤はこれら具体例に限定されるものではない。式中、vは1〜10の整数を表す。
マレイミド系非固形状硬化剤の具体例としては、デザイナーモレキュールズ社製の「BMI1500」(式(1)の化合物)、「BMI1700」(式(2)の化合物)、「BMI689」(式(3)の化合物)、等が挙げられる。
マレイミド系非固形状硬化剤のマレイミド基当量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50g/eq.〜2000g/eq.、より好ましくは100g/eq.〜1000g/eq.、さらに好ましくは150g/eq.〜500g/eq.である。マレイミド基当量は、1当量のマレイミド基を含むマレイミド系非固形状硬化剤の質量である。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤とは、液状又は半固形状であり、アクリロイル基及びメタクリロイル基並びにそれらの組み合わせを包含する硬化剤である。(メタ)アクリル系非固形状硬化剤としては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、1分子あたり2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。用語「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基並びにそれらの組み合わせを包含する。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、環状構造を有することが好ましい。環状構造としては、2価の環状基が好ましい。2価の環状基としては、脂環式構造を含む環状基及び芳香環構造を含む環状基のいずれであってもよい。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、脂環式構造を含む環状基であることが好ましい。
2価の環状基は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは3員環以上、より好ましくは4員環以上、さらに好ましくは5員環以上であり、好ましくは20員環以下、より好ましくは15員環以下、さらに好ましくは10員環以下である。また、2価の環状基としては、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
2価の環状基における環は、炭素原子以外にヘテロ原子により環の骨格が構成されていてもよい。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられ、酸素原子が好ましい。ヘテロ原子は前記の環に1つ有していてもよく、2つ以上を有していてもよい。
2価の環状基の具体例としては、下記の2価の基(i)〜(xi)が挙げられる。中でも、2価の環状基としては、(x)又は(xi)が好ましい。
2価の環状基は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールアルキル基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。
(メタ)アクリロイル基は、2価の環状基に直接結合していてもよく、2価の連結基を介して結合していてもよい。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−C(=O)O−、−O−、−NHC(=O)−、−NC(=O)N−、−NHC(=O)O−、−C(=O)−、−S−、−SO−、−NH−等が挙げられ、これらを複数組み合わせた基であってもよい。アルキレン基としては、炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキレン基、又は炭素原子数1〜4のアルキレン基がさらに好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、1,1−ジメチルエチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、1,1−ジメチルエチレン基が好ましい。アルケニレン基としては、炭素原子数2〜10のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数2〜6のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数2〜5のアルケニレン基がさらに好ましい。アリーレン基、ヘテロアリーレン基としては、炭素原子数6〜20のアリーレン基又はヘテロアリーレン基が好ましく、炭素原子数6〜10のアリーレン基又はヘテロアリーレン基がより好ましい。2価の連結基としては、アルキレン基が好ましく、中でもメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基が好ましい。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤は、下記式(B−7)で表されることが好ましい。
(式(B−7)中、R
33及びR
36はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、R
34及びR
35はそれぞれ独立に2価の連結基を表す。環Dは、2価の環状基を表す。)
R33及びR36はそれぞれ独立にアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、アクリロイル基が好ましい。
R34及びR35はそれぞれ独立に2価の連結基を表す。2価の連結基としては、(メタ)アクリロイル基が結合していてもよい2価の連結基と同様である。
環Dは、2価の環状基を表す。環Dとしては、上記の2価の環状基と同様である。環Dは、置換基を有していてもよい。置換基としては、上記の2価の環状基が有していてもよい置換基と同様である。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤は、市販品を用いてもよく、例えば、新中村化学工業社製の「A−DOG」、共栄社化学社製の「DCP−A」、日本化薬社製「NPDGA」、「FM−400」、「R−687」、「THE−330」、「PET−30」、「DPHA」、新中村化学工業社製の「NKエステルDCP」等が挙げられる。
(メタ)アクリル系非固形状硬化剤の(メタ)アクリロイル基当量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは30g/eq.〜400g/eq.、より好ましくは50g/eq.〜300g/eq.、さらに好ましくは75g/eq.〜200g/eq.である。(メタ)アクリロイル基当量は、1当量の(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリル系非固形状硬化剤の質量である。
アミン系非固形状硬化剤としては、液状又は半固形状のアミン系硬化剤を用いることができる。また、アミン系非固形状硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系非固形状硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。
アミン系非固形状硬化剤の具体例としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4'−メチレンジ−2,6−キシリジン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C−200S」、「「KAYAHARD A−A」、「カヤハードA−B」、「カヤハードA−S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」、「jERキュアW」等が挙げられる。
ブタジエン系非固形状硬化剤とは、液状又は半固形状であり、ブタジエン骨格を分子中に少なくとも1つ有する化合物である。ポリブタジエン構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。なお、ポリブタジエン構造は、一部又は全てが水素添加されていてもよい。ブタジエン系非固形状硬化剤としては、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ブタジエン樹脂、酸無水物基含有ブタジエン樹脂、エポキシ基含有ブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ブタジエン樹脂及びウレタン基含有ブタジエン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましい。
ブタジエン系非固形状硬化剤の具体例としては、日本曹達社製の「JP−100」、CRAY VALLEY社製の「Ricon100」、「Ricon150」、「Ricon130MA8」、「Ricon130MA13」、「Ricon130MA20」、「Ricon131MA5」、「Ricon131MA10」、「Ricon131MA17」、「Ricon131MA20」、「Ricon 184MA6」等が挙げられる。
(B)成分の含有量としては、ラミネート性を向上させることが可能となり、さらに密着性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5.5質量%以下である。
(B)成分の樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量をb1とし、(A)成分の樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量をa1とした場合、a1/b1は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、4以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、15以下、10以下である。a1/b1を斯かる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることが可能となる。
<(C)高分子量成分>
樹脂組成物は、(C)成分として高分子量成分を含有する。(C)成分を樹脂組成物に含有させることで、樹脂組成物の応力が緩和され、その結果、誘電特性に優れる硬化物を得ることが可能となる。(C)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の重量平均分子量(Mn)は、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは8000以上、特に好ましくは10000以上であり、好ましくは100000以下、より好ましくは80000以下、特に好ましくは50000以下である。(C)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(C)成分としては、重量平均分子量が高分子量であるものを使用することができる。このような成分としては、例えばポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも、(C)成分としては、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂及びフェノキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ポリイミド樹脂は、イミド構造を有する樹脂を用いることができる。ポリイミド樹脂は、一般に、ジアミン化合物と酸無水物とのイミド化反応により得られるものを含む。
ポリイミド樹脂を調製するためのジアミン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン化合物、及び芳香族ジアミン化合物を挙げることができる。
脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン等の直鎖状の脂肪族ジアミン化合物;1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタン、及び2−メチル−1,5−ジアミノペンタン等の分岐鎖状の脂肪族ジアミン化合物;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環式ジアミン化合物;ダイマー酸型ジアミン(以下「ダイマージアミン」ともいう)等が挙げられる。ダイマー酸型ジアミンとは、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(−COOH)が、アミノメチル基(−CH2−NH2)又はアミノ基(−NH2)に置換されて得られるジアミン化合物を意味する。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数11〜22のもの、特に好ましくは炭素数18のもの)を二量化することにより得られる既知の化合物であり、その工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されている。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、フェニレンジアミン化合物、ナフタレンジアミン化合物、ジアニリン化合物等が挙げられる。
フェニレンジアミン化合物とは、2個のアミノ基を有するベンゼン環からなる化合物を意味し、さらに、ここにおけるベンゼン環は、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここにおける置換基は、特に限定されない。フェニレンジアミン化合物としては、具体的に、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノビフェニル、2,4,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン等が挙げられる。
ナフタレンジアミン化合物とは、2個のアミノ基を有するナフタレン環からなる化合物を意味し、さらに、ここにおけるナフタレン環は、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここにおける置換基は、特に限定されない。ナフタレンジアミン化合物としては、具体的に、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン等が挙げられる。
ジアニリン化合物とは、分子内に2個のアニリン構造を含む化合物を意味し、さらに、2個のアニリン構造中の2個のベンゼン環は、それぞれ、さらに任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここにおける置換基は、特に限定されない。ジアニリン化合物における2個のアニリン構造は、直接結合、並びに/或いは炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜100個の骨格原子を有する1又は2個のリンカー構造を介して結合し得る。ジアニリン化合物には、2個のアニリン構造が2個の結合により結合しているものも含まれる。
ジアニリン化合物における「リンカー構造」としては、具体的に、−NHCO−、−CONH−、−OCO−、−COO−、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CH=CH−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NH−、−Ph−、−Ph−Ph−、−C(CH3)2−Ph−C(CH3)2−、−O−Ph−O−、−O−Ph−Ph−O−、−O−Ph−SO2−Ph−O−、−O−Ph−C(CH3)2−Ph−O−、−C(CH3)2−Ph−C(CH3)2−、
等が挙げられる。本明細書中、「Ph」は、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または1,2−フェニレン基を示す。
一実施形態において、ジアニリン化合物としては、具体的に、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジトリフルオロメチル−1,1’−ビフェニル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4−アミノフェニル4−アミノベンゾエート、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、α,α−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)ベンゼン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチル−1,1’−ビフェニル、9,9’−ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)フルオレン、5−(4−アミノフェノキシ)−3−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダン等が挙げられる。
ジアミン化合物は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを使用してもよい。ジアミン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂を調製するための酸無水物は、特に限定されるものではないが、好適な実施形態においては、芳香族テトラカルボン酸二無水物である。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、アントラセンテトラカルボン酸二無水物、ジフタル酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、ジフタル酸二無水物である。
ベンゼンテトラカルボン酸二無水物とは、4個のカルボキシ基を有するベンゼンの二無水物を意味し、さらに、ここにおけるベンゼン環は、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここで、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、及び−X33−R33(下記式(1B)の定義と同じ)から選ばれるものが好ましい。ベンゼンテトラカルボン酸二無水物としては、具体的に、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物とは、4個のカルボキシ基を有するナフタレンの二無水物を意味し、さらに、ここにおけるナフタレン環は、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここで、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、及び−X33−R33(下記式(1B)の定義と同じ)から選ばれるものが好ましい。ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、具体的に、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
アントラセンテトラカルボン酸二無水物とは、4個のカルボキシ基を有するアントラセンの二無水物を意味し、さらに、ここにおけるアントラセン環は、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここで、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、及び−X33−R33(下記式(1B)の定義と同じ)から選ばれるものが好ましい。アントラセンテトラカルボン酸二無水物としては、具体的に、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジフタル酸二無水物とは、分子内に2個の無水フタル酸を含む化合物を意味し、さらに、2個の無水フタル酸中の2個のベンゼン環は、それぞれ、任意で1〜3個の置換基を有し得る。ここで、置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、及び−X33−R33(下記式(1B)の定義と同じ)から選ばれるものが好ましい。ジフタル酸二無水物における2個の無水フタル酸は、直接結合、或いは炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜100個の骨格原子を有するリンカー構造を介して結合し得る。
ジフタル酸二無水物としては、例えば、式(1B):
[式中、
R31及びR32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、又は−X33−R33を示し、
X33は、それぞれ独立して、単結合、−NR33’−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−NR33’CO−、−CONR33’−、−OCO−、又は−COO−を示し、
R33は、それぞれ独立して、置換又は無置換のアルキル基、又は置換又は無置換のアルケニル基を示し、
R33’は、それぞれ独立して、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、又は置換又は無置換のアルケニル基を示し、
Yは、単結合、或いは炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜100個の骨格原子を有するリンカー構造を示し、
n10及びm10は、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す。]
で表される化合物が挙げられる。
Yは、好ましくは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜100個の骨格原子を有するリンカー構造である。n及びmは、好ましくは、0である。
Yにおける「リンカー構造」は、炭素原子、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれる1〜100個の骨格原子を有する。「リンカー構造」は、好ましくは、−[A1−Ph]a10−A1−[Ph−A1]b10−〔式中、A1は、それぞれ独立して、単結合、−(置換又は無置換のアルキレン基)−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、又は−OCO−を示し、a10及びb10は、それぞれ独立して、0〜2の整数(好ましくは、0又は1)を示す。〕で表される二価の基である。
Yにおける「リンカー構造」は、具体的に、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−O−、−CO−、−SO2−、−Ph−、−O−Ph−O−、−O−Ph−SO2−Ph−O−、−O−Ph−C(CH3)2−Ph−O−等が挙げられる。本明細書中、「Ph」は、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基または1,2−フェニレン基を示す。
ジフタル酸二無水物としては、具体的に、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、メチレン-4,4’−ジフタル酸二無水物、1,1−エチニリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2−プロピリデン-4,4’−ジフタル酸二無水物、1,2−エチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−トリメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,4−テトラメチレン-4,4’−ジフタル酸二無水物、1,5−ペンタメチレン−4,4’−ジフタル酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法又はこれに準ずる方法により合成したものを使用してもよい。酸無水物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂は市販品を用いることができる。市販品としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、カーボネート構造を有する樹脂である。このような樹脂としては、反応基を持たないカーボネート樹脂、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂、エポキシ基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ここで反応基とは、ヒドロキシ基、フェノール性水酸基、カルボキシ基、酸無水物基、イソシアネート基、ウレタン基、及びエポキシ基等他の成分と反応し得る官能基のことをいう。
カーボネート樹脂は市販品を用いることができる。市販品としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、「FPC2136」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C−1090」、「C−2090」、「C−3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は、重量平均分子量が30,000以上のフェノキシ樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」;等が挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂は、アミドイミド構造を有する樹脂である。ポリアミドイミド樹脂は、樹脂組成物中の他の成分との相溶性の観点から、分子構造中に脂環式構造を有するポリアミドイミド樹脂、特開平05−112760号公報に記載のシロキサン構造を有するポリアミドイミド樹脂、嵩高い分岐鎖構造を有するポリアミドイミド樹脂、非対称モノマーを原料とするポリアミドイミド樹脂、多分岐構造を有するポリアミドイミド樹脂等を用いることが好ましい。
中でも、ポリアミドイミド樹脂は、イソシアヌル環構造を有することで、樹脂ワニスの相溶性、及び分散性が向上する観点から、(i)分子構造中にイソシアヌル環構造を有するポリアミドイミド樹脂(すなわち、イソシアヌル環構造とイミド骨格又はアミド骨格とを有するポリアミドイミド樹脂)(ii)分子構造中にイソシアヌル環構造と脂環式構造とを有するポリアミドイミド樹脂(すなわち、イソシアヌル環構造と脂環式構造とイミド骨格又はアミド骨格とを有するポリアミドイミド樹脂)、(iii)イソシアヌル環構造と脂環式構造とを含む繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂(すなわち、イソシアヌル環構造と脂環式構造とイミド骨格又はアミド骨格とを含む繰り返し単位を有するポリアミドイミド樹脂)がより好ましい。
前記(i)〜(iii)のポリアミドイミド樹脂の好適な一実施形態としては、(1)脂環式構造ジイソシアネートから誘導されるイソシアヌル環含有ポリイソシアネート化合物と3個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸の酸無水物とを反応させて得られる化合物であるカルボン酸基含有分岐型ポリアミドイミド(以下、当該化合物を「(化合物C−1)」ということがある。)、(2)化合物(C−1)に1個のエポキシ基と1個以上のラジカル重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる化合物であるカルボン酸基含有分岐型重合性ポリアミドイミド(以下、「化合物(C−2)」ということがある。)、或いは、(3)化合物(C−1)の合成過程で残イソシアネート基に1個の水酸基と1個以上のラジカル重合性不飽和基を有する化合物を反応させて得られる化合物であるカルボン酸基含有分岐型重合性ポリアミドイミド(以下、「化合物(C−3)」ということがある。)等が挙げられる。
化合物(C−1)としては、具体的に下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。なお、一般式(I)で表される化合物中の繰り返し単位を繰り返し単位(I−1)とする。
(式中、wは0〜15を表す。)
化合物(C−2)としては、一般式(I)中の繰り返し単位(I−1)の任意の一部のカルボキシル基及び/又は末端カルボキシル基にGMA(グリシジルメタクリレート)が付加した構造(I−2)を有する化合物(II)が挙げられる。
(式中、Rは式(I)中の残基を表す。)
カルボキシル基のGMA変性の割合は化合物(C−1)のカルボキシル基のモル数に対して、GMAを付加する範囲が好ましくは0.3mol%以上、より好ましくは0.5mol%以上、さらに好ましくは0.7mol%以上、又は0.9mol%以上である。上限は、好ましくは50mol%以下、より好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、又は20mol%以下である。
化合物(C−3)としては、上記式(I)において繰り返し単位(I−1)の任意の一部及び/又は末端イミド基がイソシアネート残基であり、これらにペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基が付加した構造(I−3)を有する化合物(III)が挙げられる。
(式中、R’は式(I)中の残基を表す。)
ペンタエリスリトールトリアクリレートの付加量は、仕込み時のポリイソシアネートのイソシアネート基のmol数に対して、好ましくは40mol%以下、より好ましくは38mol%以下、さらに好ましくは35mol%以下である。一方、ペンタエリスリトールトリアクリレートの付加量は、付加することによる効果を十分に得るという観点から、仕込み時のポリイソシアネートのイソシアネート基のmol数に対して、好ましくは0.3mol%以上、より好ましくは3mol%以上、さらに好ましくは5mol%以上である。
ポリアミドイミド樹脂は、公知の種々の方法で合成することができる。ポリアミドイミド樹脂の合成方法としては、例えば国際公開第2010/074197号の段落0020〜0030の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
ポリアミドイミド樹脂は市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、DIC社製の「ユニディックV−8000」、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリスチレン樹脂としては、スチレンを重合して得られる構造を有する繰り返し単位(スチレン単位)を含む任意のエラストマーを用いることができる。また、ポリスチレン樹脂は、スチレン単位に組み合わせて、前記のスチレン単位とは異なる任意の繰り返し単位を含む共重合体であってもよく、水添ポリスチレン樹脂であってもよい。
任意の繰り返し単位としては、例えば、共役ジエンを重合して得られる構造を有する繰り返し単位(共役ジエン単位)、それを水素化して得られる構造を有する繰り返し単位(水添共役ジエン単位)等が挙げられる。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の脂肪族共役ジエン;クロロプレン等のハロゲン化脂肪族共役ジエン等が挙げられる。共役ジエンとしては、本発明の効果を顕著に得る観点から脂肪族共役ジエンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。共役ジエンは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、ポリスチレン樹脂は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
ポリスチレン樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、ポリスチレン樹脂としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
ポリスチレン樹脂の具体例としては、CRAY VALLEY社製の「EF−40」、旭化成社製の「H1043」等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、樹脂組成物中の他の成分との相溶性の観点から、分子構造中にフルオレン構造を有することが好ましく、フルオレン構造に加えて、ジオール由来の構造単位と、ジカルボン酸由来の構造単位とを有することが好ましい。
ポリエステル樹脂の具体例としては、大阪ガスケミカル社製の「OKP4HT」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX−5Z)、KSシリーズ(例えばKS−1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE−2St 1200」等が挙げられる。
(C)成分の含有量としては、誘電特性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
(C)成分の樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量をc1とし、(A)成分の樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量をa1とした場合、a1/c1は、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、12以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下、15以下である。a1/c1を斯かる範囲内とすることにより、本発明の効果を顕著に得ることが可能となる。
<(D)無機充填材>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(D)成分として無機充填材を含有していてもよい。
無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(D)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP−30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60−05」、「SP507−05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」;などが挙げられる。
(D)成分の比表面積としては、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m2/g以下、50m2/g以下又は40m2/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM−1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(D)成分の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
(D)成分の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で(D)成分の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA−960」等が挙げられる。
(D)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤が好ましい。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM1003」(ビニルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM−7103」(3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部〜5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部〜3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部〜2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」等を使用することができる。
(D)成分の含有量は、誘電特性を低くする観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
<(E)硬化剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(E)成分として硬化剤を含有していてもよい。但し、(E)成分は、(B)成分に該当するものは除かれる。(E)成分は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行った試験において、固体状と判定された硬化剤である。よって、(E)成分は、固体状の硬化剤である。試験方法は上記したとおりである。
(E)成分としては、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤などが挙げられる。(E)成分は1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を併用してもよい。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC8000−65T」、「HPC8000H−65TM」、「EXB8000L−65TM」、「EXB8150−65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤として「EXB9416−70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金化学社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN−495V」「SN375」;DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」;等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「ODA−BOZ」、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C−100」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
(E)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<(F)硬化促進剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(F)成分として硬化促進剤を含有していてもよい。
(F)成分としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。(F)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(F)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
<(G)エポキシ樹脂>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(G)成分としてエポキシ樹脂を含有していてもよい。但し、(G)成分は、(B)成分に該当するものは除かれる。
(G)成分としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(G)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(G)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(G)成分の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
(G)成分には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(G)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよいが、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、液状エポキシ樹脂のみを含むことが好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:1〜1:20、より好ましくは1:1.5〜1:15、特に好ましくは1:2〜1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。さらに、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、適度な粘着性がもたらされる。また、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、通常は、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる。
(G)成分のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.〜5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.〜3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.〜2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.〜1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(G)成分の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。(G)成分の重量平均分子量は、(C)成分の重量平均分子量と同様の方法にて測定できる。
(G)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。
<(H)重合開始剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(H)成分として重合開始剤を含んでいてもよい。(H)成分は1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を併用してもよい。
(H)成分としては、例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過酸化物が挙げられる。
(H)成分の市販品としては、例えば、日油社製の「パーブチルC」、「パーブチルA」、「パーブチルP」、「パーブチルL」、「パーブチルO」、「パーブチルND」、「パーブチルZ」、「パークミルP」、「パークミルD」等が挙げられる。
(H)成分の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以下である。
<(I)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の樹脂添加剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。それぞれの含有量は当業者であれば適宜設定できる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合・分散する方法などが挙げられる。
<樹脂組成物の物性、用途>
樹脂組成物は、(A)ビフェニル型構造を有するマレイミド化合物、(B)液状又は半固形状の硬化剤、及び(C)高分子量成分、を含む。これにより、ラミネート性に優れ、誘電特性及び密着力に優れる硬化物を得ることができる。すでに上記したが、一般に、マレイミド化合物を樹脂組成物に含有させると、誘電特性に優れるようになるが、マレイミド化合物は通常軟化点が高いため樹脂組成物及びその硬化物が脆くなってしまう。しかし、(B)液状又は半固形状の硬化剤を含有させることで硬化前の樹脂組成物の粘度が上昇し、その結果脆さを改善することができる。さらに、(C)高分子量成分を含有させることで硬化物内の応力が緩和され、硬化物の脆さも改善することが可能となる。
樹脂組成物を100℃で30分間、その後180℃で30分間熱硬化させた硬化物は、メッキで形成された導体層(メッキ導体層)との間のピール強度に優れるという特性を示す。よって、前記硬化物は、メッキ導体層との間のピール強度に優れる絶縁層をもたらす。ピール強度は、好ましくは0.3kgf/cm以上、より好ましくは0.4kgf/cm以上、さらに好ましくは0.45kgf/cm以上である。ピール強度の上限値は、10kgf/cm以下等とし得る。メッキ導体層のピール強度の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、銅箔引き剥がし強度に優れるという特性を示す。よって、前記硬化物は、銅箔引き剥がし強度に優れる絶縁層をもたらす。銅箔引き剥がし強度は、好ましくは0.3kgf/cm以上、より好ましくは0.4kgf/cm以上、さらに好ましくは0.5kgf/cm以上である。銅箔引き剥がし強度の上限値は、10kgf/cm以下等とし得る。銅箔引き剥がし強度の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、誘電率が低いという特性を示す。よって、前記硬化物は、誘電率が低い絶縁層をもたらす。誘電率は、好ましくは4以下、より好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下である。誘電率の下限値は、0.001以上等とし得る。誘電率の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物を200℃で90分間熱硬化させた硬化物は、誘電正接が低いという特性を示す。よって、前記硬化物は、誘電正接が低い絶縁層をもたらす。誘電正接は、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.004以下、さらに好ましくは0.003以下である。誘電正接の下限値は、0.0001以上等とし得る。誘電正接の測定は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
樹脂組成物はラミネート性に優れるという特性を示す。具体的には、導体厚35μmの櫛歯状の導体パターンを形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板導体上に樹脂組成物をラミネート後、100℃で30分間、その後180℃で30分間熱硬化させて絶縁層を形成する。絶縁層における導体上とそれ以外の部分の凹凸差を、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIモード、10倍レンズにより測定範囲を1.2mm×0.91mmとして得られる数値により求める。このとき、通常、ラミネート後にボイドの発生はなく、導体上とそれ以外の部分の凹凸差が5μm未満である。ラミネート性の評価の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、ラミネート性に優れ、誘電特性を低くできるとともに、密着性に優れる絶縁層をもたらすことができる。したがって、本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物として好適に使用することができる。具体的には、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。
また、後述する多層プリント配線板において、多層プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(多層プリント配線板の絶縁層形成用樹脂組成物)、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。
また、例えば、以下の(1)〜(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本発明の樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に更に再配線層を形成してもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用し得る。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃〜240℃、より好ましくは150℃〜220℃、さらに好ましくは170℃〜210℃である。硬化時間は好ましくは5分間〜120分間、より好ましくは10分間〜100分間、さらに好ましくは15分間〜100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間、さらに好ましくは15分間〜100分間)予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)〜工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」、「スウェリングディップ・セキュリガントP」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に絶縁層を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に1分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、別途明示のない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
<(B)液状又は半固形状の硬化剤の液状、及び半固形状の判定>
(B)液状又は半固形状の硬化剤の液状、半固形状、及び固形状の判定は、危険物の試験及び性状に関する省令(平成元年自治省令第1号)の別紙第2の「液状の確認方法」に準じて行った。「液状の確認方法」は上記したとおりに行った。結果を以下に示す。
「jERキュアW」三菱ケミカル社製:液状
「KAYAHARD A−A」日本化薬社製:液状
「MEH−8000H」明和化成社製:液状
「NKエステルDCP」新中村化学工業社製:液状
「NKエステルA−DOG」新中村化学工業社製:液状
「RE−810NM」日本化薬社製:液状
「BMI689」デザイナーモレキュールズ社製:液状
「Ricon100」CRAY VALLEY社製:液状
「Ricon130MA13」CRAY VALLEY社製:液状
「Ricon150」CRAY VALLEY社製:液状
「JP−100」日本曹達社製:液状
「ALP−d」四国化成工業社製:液状
「L−DAIC」四国化成工業社製:液状
「TAIC」日本化成社製:液状
「ダイソーダップモノマー」大阪ソーダ社製:液状
「MDAC」大阪ソーダ社製:液状
「DAD」日触テクノファインケミカル社製:液状
[合成例:ポリイミド樹脂の合成]
環流冷却器を連結した水分定量受器、窒素導入管、及び攪拌器を備えた、500mLのセパラブルフラスコを用意した。このフラスコに、4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)20.3g、γ−ブチロラクトン200g、トルエン20g、及び、5−(4−アミノフェノキシ)−3−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,3−トリメチルインダン29.6gを加えて、窒素気流下で45℃にて2時間攪拌して反応を行った。次いで、この反応溶液を昇温し、約160℃に保持しながら、窒素気流下で縮合水をトルエンとともに共沸除去した。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、及び、水の流出が見られなくなっていることを確認した。確認後、反応溶液を更に昇温し、200℃で1時間攪拌した。その後、冷却して、1,1,3−トリメチルインダン骨格を有するポリイミド樹脂を含むポリイミド溶液(不揮発分20質量%)を得た。得られたポリイミド樹脂は、下記式(X1)で表される繰り返し単位及び下記式(X2)で示す繰り返し単位を有していた。また、前記のポリイミド樹脂の重量平均分子量は、12,000であった。
[実施例1.樹脂組成物1の調製]
ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)180部、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部をトルエン30部、MEK30部に撹拌しながら加熱溶解させた。得られた溶液を室温にまで冷却した後、この溶液にアミン系非固形状硬化剤(三菱ケミカル社製「jERキュアW」)18部、無機充填材(ビニル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM1003」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して樹脂組成物1を得た。
MIR−3000−70MTは、下記構造式で示される化合物である。式中e1は1〜100の整数を表す。
[実施例2.樹脂組成物2の調製]
実施例1において、
1)アミン系非固形状硬化剤(三菱ケミカル社製「jERキュアW」)18部を、アミン系非固形状硬化剤(日本化薬社製「KAYAHARD A−A」)25部に変え、
2)ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部を、合成例にて得たポリイミド樹脂を20質量%含むワニス50部に変えた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物2を得た。
[実施例3.樹脂組成物3の調製]
実施例1において、
1)アミン系非固形状硬化剤(三菱ケミカル社製「jERキュアW」)18部を、アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部に変え、
2)ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部を、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液、重量平均分子量35000)33.3部に変え、
3)さらに、重合開始剤(日油社製「パーブチルC」)0.5部を用いた。
以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂組成物3を得た。
[実施例4.樹脂組成物4の調製]
実施例3において、
1)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液、重量平均分子量35000)33.3部を、合成例にて得たポリイミド樹脂20質量%含むワニス50部に変え、
2)さらにカルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「V−03」、活性基当量約216、固形分50質量%のトルエン溶液)10部を用いた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物4を得た。
[実施例5.樹脂組成物5の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、2官能メタクリレート((メタ)アクリル系非固形状硬化剤、新中村化学工業社製「NKエステルDCP」、分子量332)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液、重量平均分子量35000)33.3部を、ポリアミドイミド樹脂(DIC社製「ユニディックV−8000」、重量平均分子量11000、不揮発成分40質量%のエチルジグリコールアセテート溶液)25部に変え、
3)無機充填材(ビニル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM1003」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部を、無機充填材(メタクリル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM503」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物5を得た。
ユニディックV−8000は、下記構造式で示される化合物である。式中e2は0〜15の整数を表す。
[実施例6.樹脂組成物6の調製]
実施例5において、
1)2官能メタクリレート((メタ)アクリル系非固形状硬化剤、新中村化学工業社製「NKエステルDCP」、分子量332)13部を、2官能アクリレート((メタ)アクリル系非固形状硬化剤、新中村化学工業社製「NKエステルA−DOG」、分子量326)13部に変え、
2)ポリアミドイミド樹脂(DIC社製「ユニディックV−8000」、重量平均分子量11000、不揮発成分40質量%のエチルジグリコールアセテート溶液)25部を、酸無水物基含有ビニル系樹脂(ポリスチレン樹脂、CRAY VALLEY社製「EF−40」、重量平均分子量11000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物6を得た。
EF−40は、下記構造式で示される化合物である。式中e3は8〜12の整数を表し、e4は1〜8の整数を表す。
[実施例7.樹脂組成物7の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤(日本化薬社製「RE−810NM」、エポキシ当量220)13部に変え、
2)さらに、硬化促進剤(2P4MZ(2−フェニル−4−メチルイミダゾール)の固形分2.5%のMEK溶液)2部を用いた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物7を得た。
RE−810NMは、下記構造式で示される化合物である。e5は0〜5の整数を表す。
[実施例8.樹脂組成物8の調製]
実施例7において、
1)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液、重量平均分子量35000)33.3部を、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製「H1043」、重量平均分子量35000)10部に変え、
2)さらに、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量223、固形分65質量%のトルエン溶液)10部を用い、
3)硬化促進剤(2P4MZの固形分2.5%のMEK溶液)2部を、硬化促進剤(1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)の固形分2.5%のMEK溶液)2部に変え、
4)無機充填材(ビニル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM1003」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部を、無機充填材(フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部に変えた。
以上の事項以外は実施例7と同様にして樹脂組成物8を得た。
[実施例9.樹脂組成物9の調製]
実施例5において、
1)2官能メタクリレート((メタ)アクリル系非固形状硬化剤、新中村化学工業社製「NKエステルDCP」、分子量332)13部を、液状ビスマレイミド(マレイミド系非固形状硬化剤、デザイナーモレキュールズ社製「BMI689」、マレイミド基当量345)13部に変え、
2)ポリアミドイミド樹脂(DIC社製「ユニディックV−8000」、重量平均分子量11000、不揮発成分40質量%のエチルジグリコールアセテート溶液)25部を、ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル社製「OKP4HT」、重量平均分子量50000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂組成物9を得た。
BMI689は、下記構造式で示される化合物である。
[実施例10.樹脂組成物10の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、液状スチレンブタジエンポリマー(ブタジエン系非固形状硬化剤、CRAY VALLEY社製「Ricon100」、スチレン含有量25%、Mn約4500)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製「H1043」、重量平均分子量35000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物10を得た。
[実施例11.樹脂組成物11の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、酸無水物基含有液状ブタジエンポリマー(ブタジエン系非固形状硬化剤、CRAY VALLEY社製「Ricon130MA13」、酸無水物当量732、Mn約2900)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、酸無水物基含有ビニル系樹脂(CRAY VALLEY社製「EF−40」、重量平均分子量11000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物11を得た。
[実施例12.樹脂組成物12の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、液状ブタジエンポリマー(ブタジエン系非固形状硬化剤、CRAY VALLEY社製「Ricon150」、Mn約3900)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、合成例にて得たポリイミド樹脂を20質量%含むワニス50部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物12を得た。
[実施例13.樹脂組成物13の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、エポキシ化ポリブタジエン(ブタジエン系非固形状硬化剤、日本曹達社製「JP−100」、エポキシ当量210、Mn約1300)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリアミドイミド樹脂(DIC社製「ユニディックV−8000」、重量平均分子量11000、不揮発成分40質量%のエチルジグリコールアセテート溶液)25部に変え、
3)さらに、硬化促進剤(1B2PZの固形分2.5%のMEK溶液)2部を用いた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物13を得た。
[実施例14.樹脂組成物14の調製]
実施例7において、
1)エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤(日本化薬社製「RE−810NM」、エポキシ当量220)13部を、エポキシ化ポリブタジエン(ブタジエン系非固形状硬化剤、日本曹達社製「JP−100」、エポキシ当量210、Mn約1300)13部に変え、
2)さらに、ベンゾオキサジン系硬化剤(JFEケミカル社製「ODA−BOZ」)3部を用い、
3)無機充填材(ビニル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM1003」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部を、無機充填材(フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))300部に変えた。
以上の事項以外は実施例7と同様にして樹脂組成物14を得た。
[実施例15.樹脂組成物15の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、2官能アクリレート((メタ)アクリル系非固形状硬化剤、新中村化学工業社製「NKエステルA−DOG」、分子量326)5部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部に変え、
3)さらに、4,4−Diaminodiphenylmethaneの固形分50%のMEK溶液20部を用いた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物15を得た。
[実施例16.樹脂組成物16の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、ベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤(四国化成工業社製「ALP−d」、固形分65%のMEK溶液)20部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル社製「OKP4HT」、重量平均分子量50000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物16を得た。
[実施例17.樹脂組成物17の調製]
実施例8において、
1)エポキシ基を有するアリル系非固形状硬化剤(日本化薬社製「RE−810NM」、エポキシ当量220)13部を、ベンゾオキサジン環を有するアリル系非固形状硬化剤(四国化成工業社製「ALP−d」、固形分65%のMEK溶液)20部に変え、
2)水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製「H1043」、重量平均分子量35000)10部を、ポリアミドイミド樹脂(DIC社製「ユニディックV−8000」、重量平均分子量11000、不揮発成分40質量%のエチルジグリコールアセテート溶液)25部に変え、
3)活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量223、固形分65質量%のトルエン溶液)10部を、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)5部に変えた。
以上の事項以外は実施例8と同様にして樹脂組成物17を得た。
[実施例18.樹脂組成物18の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、イソシアヌル環を有するアリル系非固形状硬化剤(四国化成工業社製「L−DAIC」)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル社製「OKP4HT」、重量平均分子量50000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物18を得た。
[実施例19.樹脂組成物19の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、イソシアヌル環を有するアリル系非固形状硬化剤(トリアリルイソシアヌレート、日本化成社製「TAIC」、分子量249)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物19を得た。
[実施例20.樹脂組成物20の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、アリル系非固形状硬化剤(オルトジアリルフタレート、大阪ソーダ社製「ダイソーダップモノマー」、分子量246)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、合成例にて得たポリイミド樹脂を20質量%含むワニス50部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物20を得た。
[実施例21.樹脂組成物21の調製]
実施例3において、
1)アリル基含有フェノール樹脂(フェノール環を有するアリル系非固形状硬化剤、明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(アリル系非固形状硬化剤、大阪ソーダ社製「MDAC」、分子量252)13部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部を、ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル社製「OKP4HT」、重量分子量50000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例3と同様にして樹脂組成物21を得た。
[実施例22.樹脂組成物22の調製]
ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)180部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、重量平均分子量35000、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)33.3部、トルエン20部、MEK20部、シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(大阪ソーダ社製「MDAC」、分子量252)13部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828US」、エポキシ当量約180)5部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」、水酸基当量約151の固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)3部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量223、固形分65質量%のトルエン溶液)5部、重合開始剤(日油社製「パーブチルC」)0.5部、硬化促進剤(1B2PZの固形分2.5%のMEK溶液)2部、無機充填材(ビニル系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM1003」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))150部、無機充填材(フェニルアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm))150部を高速回転ミキサーで均一に分散して樹脂組成物22を得た。
[実施例23.樹脂組成物23の調製]
実施例9において、
1)液状ビスマレイミド(マレイミド系非固形状硬化剤、デザイナーモレキュールズ社製「BMI689」、マレイミド基当量345)13部を、ジフェン酸ジアリル(アリル系非固形状硬化剤、日触テクノファインケミカル社製「DAD」、分子量322)13部に変え、
2)ポリエステル樹脂(大阪ガスケミカル社製「OKP4HT」、重量平均分子量50000)10部を、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学社製「FPC2136」、重量平均分子量30000)10部に変えた。
以上の事項以外は実施例9と同様にして樹脂組成物23を得た。
[比較例1.比較用樹脂組成物1の調製]
実施例3において、アリル基含有フェノール樹脂(明和化成社製「MEH−8000H」、フェノール当量240)20部を用いなかった。
以上の事項以外は実施例3と同様にして比較用樹脂組成物1を得た。
[比較例2.比較用樹脂組成物2の調製]
実施例11において、酸無水物基含有ビニル系樹脂(CRAY VALLEY社製「EF−40」、重量平均分子量11000)10部を使用しなかった。
以上の事項以外は実施例11と同様にして比較用樹脂組成物2を得た。
[比較例3.比較用樹脂組成物3の調製]
実施例2において、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR−3000−70MT」、マレイミド基当量:275g/eq、不揮発分70%のMEK/トルエン混合溶液)180部を、ポリフェニルメタンマレイミド(大和化成工社製「BMI2300」)126部に変えた。
以上の事項以外は実施例2と同様にして比較用樹脂組成物3を得た。
BMI2300は、下記構造式で示される化合物である。n10は1〜10の整数を表す。
[樹脂シートの作製]
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃)を用意した。
樹脂組成物1〜23、比較用樹脂組成物1〜3をそれぞれ支持体上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、70℃から95℃で4分間乾燥することにより、支持体上に樹脂組成物層を形成した。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA−411」、厚み15μm)の粗面を貼り合わせた。これにより、支持体、樹脂組成物層、及び保護フィルムをこの順に有する樹脂シートAを得た。
[メッキ導体層のピール強度の測定]
(1)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートがラミネートされた内層基板を、100℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで180℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、内層基板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板Aを得た。
(4)粗化処理
硬化基板Aに、粗化処理としてのデスミア処理を行った。デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
(湿式デスミア処理)
硬化基板Aを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で15分間浸漬し、次いで、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
(5)導体層の形成
セミアディティブ法に従って、絶縁層の粗化面に導体層を形成した。すなわち、粗化処理後の基板を、PdCl2を含む無電解メッキ液に40℃で5分間浸漬した後、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。次いで、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによりパターン形成した。その後、硫酸銅電解メッキを行い、厚さ30μmの導体層を形成し、アニール処理を200℃にて60分間行った。得られた基板を「評価基板B」と称する。
<メッキ導体層のピール強度の測定>
絶縁層と導体層のピール強度の測定は、日本工業規格(JIS C6481)に準拠して行った。具体的には、評価基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC−50C−SL」)を使用した。
[銅箔引き剥がし強度の測定]
(1)銅箔の下地処理
三井金属鉱山社製「3EC−III」(電界銅箔、35μm)の光沢面をマイクロエッチング剤((メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行い、次いで防錆処理(CL8300)を施した。さらに、130℃のオーブンで30分間加熱処理した。この銅箔をCZ銅箔という。
(2)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(3)銅箔のラミネートと絶縁層の形成
樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。その樹脂組成物層上に、CZ銅箔の処理面を、上記と同様の条件で、ラミネートした。そして、200℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成することで、サンプルAを作製した。
<銅箔引き剥がし強度(銅箔密着性)の測定>
作製したサンプルAを150×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれて、銅箔の一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC−50C−SL」)を使用した。測定は日本工業規格(JIS C6481)に準拠して行った。
[誘電特性(誘電率、誘電正接)の測定]
実施例及び比較例で作製した樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離した。得られた硬化物を「評価用硬化物C」と称する。評価用硬化物Cを、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電率、誘電正接を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
なお、(C)成分を使用していない比較例2の評価用硬化物Cは、強度が脆く取り扱いが困難であった。このため、比較例2の誘電特性は測定できなかった。
[ラミネート性の評価]
(1)内層基板の用意
導体厚35μmでL(ライン:配線幅)/S(スペース:間隔幅)=160μm/160μmの櫛歯状の導体パターンを形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層がガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板と接するように、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートがラミネートされたガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を、100℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで180℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板Dを得た。
(4)ラミネート性評価
硬化基板Dの絶縁層における導体上とそれ以外の部分の凹凸差(Rt:最大のpeak−to−valley)の値は非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製WYKO NT3300)を用いて、VSIモード、10倍レンズにより測定範囲を1.2mm×0.91mmとして得られる数値により求めた。なお、ラミネート後にボイドの発生は無く、さらに導体上とそれ以外の部分の凹凸差が5μm未満の場合を「○」とし、ラミネート後にボイドの発生は無いが、導体上とそれ以外の部分の凹凸差が5μm以上の場合を「△」、ラミネート後にボイドが発生した場合を「×」と評価した。
実施例1〜23において、(D)成分〜(H)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。