以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。なお、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
<インクジェット印刷装置の構成>
図1は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置の全体構成図である。インクジェット印刷装置100(画像形成装置の一例)は、枚葉の被画像形成基材である用紙1に印刷を行って印刷物を生成する装置である。図1に示すように、インクジェット印刷装置100は、前処理液付与部40、画像形成部50、インク乾燥部80、給紙ユニット90、排紙ユニット92、及び搬送装置102を備えている。
搬送装置102は、給紙ユニット90から排紙ユニット92まで用紙1を搬送する。搬送装置102は、画像形成搬送部10、受渡搬送部20、乾燥搬送部30、剥離部60、及び吹付部70を備えている。
給紙ユニット90は、用紙1の搬送方向における画像形成搬送部10の上流側に配置される。給紙ユニット90は、用紙1を1枚ずつ画像形成搬送部10に受け渡す。一方、排紙ユニット92は、用紙1の搬送方向における乾燥搬送部30の下流側に配置される。排紙ユニット92は、乾燥搬送部30から受け渡された用紙1を受け取り、積み重ねて回収する。
〔画像形成搬送部〕
画像形成搬送部10(第1ベルト搬送部の一例)は、画像形成面を+Z方向(鉛直方向上方)に向けた用紙1を搬送方向(+Y方向)に搬送する。画像形成搬送部10は、第1上流側プーリ12、第1下流側プーリ14、第1ベルト16、第1吸着部18、及び用紙検知センサ19を備えている。
第1上流側プーリ12は、水平方向に延びる不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第1下流側プーリ14は、第1上流側プーリ12の回転軸と平行な不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第1上流側プーリ12及び第1下流側プーリ14の径は等しい。また、第1下流側プーリ14には、第1下流側プーリ14の回転角度に応じたエンコード信号を出力するロータリエンコーダ14Eが設けられている。
第1ベルト16は、ステンレス製(金属製の一例)の無端状のベルトである。第1ベルト16は、第1上流側プーリ12及び第1下流側プーリ14に架け渡されている。
図2は、第1ベルト16の側面拡大図である。図2に示すように、第1ベルト16は、外周面である搬送面に複数の突起16Aが設けられている。
突起16Aは、第1ベルト16の搬送面に底面を有し、頂点が面取りされた円錐形状である。突起16Aは、底面の直径DPが1mm、底面(搬送面)からの高さHPが50μmである。また、X方向及びY方向に隣接する突起16A同士の間隔GPが3.33mmで配置されている。突起16Aの直径、高さ、及び間隔の値は本実施形態の値に限定されず、適宜決定することができる。
突起16Aの形状は、円錐形状に限定されず、半球形状、又は凸形状であってもよい。ここでは頂点が面取りされた円錐形状としたが、頂点は面取りしていなくてもよい。なお、角が丸くなっている方が載置される用紙1に跡が付きにくいため、好ましい。
突起16Aにより、特に厚みが相対的に薄い用紙1について、第1ベルト16からの剥離が促進される。
図1の説明に戻り、第1下流側プーリ14は、駆動手段としてモータ14Mを有している。モータ14Mが駆動すると、第1下流側プーリ14が図1において左回りに回転する。第1上流側プーリ12は、第1下流側プーリ14の回転に従動して図1において左回りに回転する。第1上流側プーリ12及び第1下流側プーリ14の回転により、第1ベルト16は第1上流側プーリ12及び第1下流側プーリ14の間を走行経路に沿って走行する。
第1ベルト16の搬送面には、給紙ユニット90から供給された用紙1が載置される。画像形成搬送部10は、第1ベルト16に載置された用紙1を第1上流側プーリ12から第1下流側プーリ14に向かう搬送経路に沿って搬送し、受渡搬送部20に受け渡す。第1上流側プーリ12の上端から第1下流側プーリ14の上端まで、第1ベルト16の搬送面は平坦な面を形成する。第1ベルト16はステンレス製であるため、搬送面に載置された用紙1の平坦性を良好に保つことができる。
第1吸着部18は、平坦な面によって第1ベルト16を搬送面の裏面側から支持する不図示のチャンバと、チャンバの内部を排気する不図示の排気ポンプと、を備えている。また、第1ベルト16には、第1ベルト16を貫通する不図示の複数の第1吸着孔が設けられている。第1吸着部18は、チャンバの内部を排気ポンプが排気することで、第1ベルト16の第1吸着孔を吸引し、第1ベルト16の搬送面に載置された用紙1を搬送面に吸着保持する。
用紙検知センサ19は、用紙1の通過を検知する。用紙検知センサ19は、第1ベルト16に向けて光を照射する投光部19Aと、投光部19Aから照射された光を第1ベルト16の第1吸着孔を介して受光する受光部19Bと、を備える。第1ベルト16に載置された用紙1が投光部19Aと受光部19Bとの間を通過している間は、投光部19Aから照射された光は用紙1によって遮られる。これにより、用紙検知センサ19は、用紙1が用紙検知センサ19の位置を通過中であることを検知することができる。
用紙検知センサ19は、投光した光の反射光を受光する反射光受光型のセンサを用いてもよいし、2次元配列の受光素子を有するカメラを用いてもよい。
〔受渡搬送部〕
受渡搬送部20(第2ベルト搬送部の一例)は、画像形成搬送部10から受け取った用紙1を乾燥搬送部30に受け渡す中間搬送部として機能する。受渡搬送部20は、画像形成面を+Z方向に向けた用紙1を搬送方向(+Y方向)に搬送する。受渡搬送部20は、第2上流側プーリ22、第2下流側プーリ24、駆動プーリ25、第2ベルト26、及び第2吸着部28を備えている。
第2上流側プーリ22は、水平方向に延びる不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第2下流側プーリ24は、第2上流側プーリ22の回転軸と平行な不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第2上流側プーリ22及び第2下流側プーリ24の径は等しい。
駆動プーリ25は、第2上流側プーリ22の回転軸と平行な不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。また、駆動プーリ25には、駆動プーリ25の回転角度に応じたエンコード信号を出力するロータリエンコーダ25Eが設けられている。
第2ベルト26は、ゴム製(樹脂製の一例)の無端状のベルトである。第2ベルト26は、第2上流側プーリ22、第2下流側プーリ24、及び駆動プーリ25に架け渡されている。
駆動プーリ25は、駆動手段としてモータ25Mを有している。モータ25Mが駆動すると、駆動プーリ25が図1において左回りに回転する。第2上流側プーリ22及び第2下流側プーリ24は、駆動プーリ25の回転に従動して図1において左回りに回転する。第2上流側プーリ22、第2下流側プーリ24、及び駆動プーリ25の回転により、第2ベルト26は第2上流側プーリ22及び第2下流側プーリ24の間を走行経路に沿って走行する。
第2ベルト26の外周面である搬送面には、画像形成搬送部10から受け渡された用紙1が載置される。受渡搬送部20は、第2ベルト26に載置された用紙1を第2上流側プーリ22から第2下流側プーリ24に向かう搬送経路に沿って搬送し、乾燥搬送部30に受け渡す。第2上流側プーリ22の上端から第2下流側プーリ24の上端まで、第2ベルト26の搬送面は平坦な面を形成する。
第2吸着部28は、平坦な面によって第2ベルト26を搬送面の裏面側から支持している不図示のチャンバと、チャンバの内部を排気する不図示の排気ポンプと、を備えている。また、第2ベルト26には、第2ベルト26を貫通する不図示の複数の第2吸着孔が設けられている。第2吸着部28は、チャンバの内部を排気ポンプが排気することで、第2ベルト26の第2吸着孔を吸引し、第2ベルト26の搬送面に載置された用紙1を搬送面に吸着保持する。
第2ベルト26の搬送面に、不図示の複数の突起を設けてもよい。
〔乾燥搬送部〕
乾燥搬送部30は、画像形成面を+Z方向に向けた用紙1を搬送方向(+Y方向)に搬送する。乾燥搬送部30は、第3上流側プーリ32、第3下流側プーリ34、第3ベルト36、及び第3吸着部38を備えている。
第3上流側プーリ32は、水平方向に延びる不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第3下流側プーリ34は、第3上流側プーリ32の回転軸と平行な不図示の回転軸を有し、回転軸が回転自在に軸支されている。第3上流側プーリ32及び第3下流側プーリ34の径は等しい。また、第3下流側プーリ34には、第3下流側プーリ34の回転角度に応じたエンコード信号を出力するロータリエンコーダ34Eが設けられている。
第3ベルト36は、ステンレス製の無端状のベルトである。第3ベルト36は、第3上流側プーリ32及び第3下流側プーリ34に架け渡されている。
第3下流側プーリ34は、駆動手段としてモータ34Mを有している。モータ34Mが駆動すると、第3下流側プーリ34が図1において左回りに回転する。第3上流側プーリ32は、第3下流側プーリ34の回転に従動して図1において左回りに回転する。第3上流側プーリ32及び第3下流側プーリ34の回転により、第3ベルト36は第3上流側プーリ32及び第3下流側プーリ34の間を走行経路に沿って走行する。
第3ベルト36の外周面である搬送面には、受渡搬送部20から受け渡された用紙1が載置される。乾燥搬送部30は、第3ベルト36に載置された用紙1を第3上流側プーリ32から第3下流側プーリ34に向かう搬送経路に沿って搬送し、排紙ユニット92に排紙する。第3上流側プーリ32の上端から第3下流側プーリ34の上端まで、第3ベルト36の搬送面は平坦な面を形成する。第3ベルト36はステンレス製であるため、搬送面に載置された用紙1の平坦性を良好に保つことができる。
第3吸着部38は、平坦な面によって第3ベルト36を搬送面の裏面側から支持している不図示のチャンバと、チャンバの内部を排気する不図示の排気ポンプと、を備えている。また、第3ベルト36には、第3ベルト36を貫通する不図示の複数の第3吸着孔が設けられている。第3吸着部38は、チャンバの内部を排気ポンプが排気することで、第3ベルト36の第3吸着孔を吸引し、第3ベルト36の搬送面に載置された用紙1を搬送面に吸着保持する。
第3ベルト36の搬送面に、不図示の複数の突起を設けてもよい。
〔各搬送部の構成と配置〕
画像形成搬送部10の用紙1の搬送経路における第1ベルト16の搬送面、受渡搬送部20の用紙1の搬送経路における第2ベルト26の搬送面、及び乾燥搬送部30の用紙1の搬送経路における第3ベルト36の搬送面は、同一平面を形成する。また、第1ベルト16、第2ベルト26、及び第3ベルト36は、それぞれ同一速度で走行する。
受渡搬送部20の第2上流側プーリ22の回転軸と第2下流側プーリ24の回転軸との間の距離は、画像形成搬送部10の第1上流側プーリ12の回転軸と第1下流側プーリ14の回転軸との間の距離、及び乾燥搬送部30の第3上流側プーリ32の回転軸と第3下流側プーリ34の回転軸との間の距離と比較して、小さいことが好ましい。本実施形態では、第2上流側プーリ22の回転軸と第2下流側プーリ24の回転軸との間の距離は、500mmである。また、第1上流側プーリ12の回転軸と第1下流側プーリ14の回転軸との間の距離、及び第3上流側プーリ32の回転軸と第3下流側プーリ34の回転軸との間の距離は、3mである。
また、第1ベルト16はステンレス製のため、第1上流側プーリ12及び第1下流側プーリ14の径は相対的に大きいものが使用される。同様に、第3ベルト36もステンレス製のため、第3上流側プーリ32及び第3下流側プーリ34の径は相対的に大きいものが使用される。これに対し、第2ベルト26はゴム製のため、第2上流側プーリ22及び第2下流側プーリ24の径は相対的に小さいものを使用することができる。
本実施形態では、第2上流側プーリ22の径は第1下流側プーリ14の径よりも小さく、第2下流側プーリ24の径は第3上流側プーリ32の径よりも小さい。また、駆動プーリ25の径は、第2上流側プーリ22及び第2下流側プーリ24の径よりも大きい。駆動プーリ25の径を相対的に大きく確保することで、第3ベルトを適切に走行させることができる。
画像形成搬送部10と受渡搬送部20との間隔、及び受渡搬送部20と乾燥搬送部30との間隔は、干渉しない程度になるべく近づけることが好ましい。図3は、搬送装置102の画像形成搬送部10、受渡搬送部20、及び乾燥搬送部30の配置を示す模式図である。
図3に示すように、画像形成搬送部10及び受渡搬送部20は、第1ベルト16と第2ベルト26とが最も近づく位置の距離をcとして配置している。距離cは、1〜30mmであることが好ましく、5〜15mmであることがさらに好ましい。ここでは、10mmとしている。
また、第1下流側プーリ14の径をD1、第2上流側プーリ22の径をD2Uとすると、前述したように、
D1>D2U …(式1)
を満たす。さらに、
D1/D2U≧2 …(式2)
を満たすことが好ましい。
このように、第1下流側プーリ14及び第2上流側プーリ22の径が少なくとも式1を満たすことで、画像形成搬送部10の搬送経路と受渡搬送部20の搬送経路との間の距離d12を相対的に小さくすることができ、用紙1の安定した搬送が可能となる。
さらに、画像形成搬送部10及び受渡搬送部20は、Z方向視において、第1下流側プーリ14及び第2上流側プーリ22の一部をオーバーラップさせて配置している。図3に示す例では、オーバーラップ量はdOV1である。このように、第1下流側プーリ14及び第2上流側プーリ22の一部をオーバーラップさせることで、距離d12をより小さくすることができ、用紙1の安定した搬送が可能となる。
同様に、受渡搬送部20及び乾燥搬送部30は、第2ベルト26と第3ベルト36とが最も近づく位置の距離をcとして配置している。距離cは、1〜30mmであることが好ましく、5〜15mmであることがさらに好ましい。ここでは、10mmとしている。
また、第3上流側プーリ32の径をD3、第2下流側プーリ24の径をD2Dとすると、前述したように、
D3>D2D …(式3)
を満たす。さらに、
D3/D2D≧2 …(式4)
を満たすことが好ましい。
これにより、受渡搬送部20の搬送経路と乾燥搬送部30の搬送経路との間の距離d23を相対的に小さくすることができ、用紙1の安定した搬送が可能となる。
さらに、受渡搬送部20及び乾燥搬送部30は、Z方向視において、第2下流側プーリ24及び第3上流側プーリ32の一部をdOV2だけオーバーラップさせて配置している。これにより、距離d23をより小さくすることができ、用紙1の安定した搬送が可能となる。
図3に示した例では、式2及び式4の両方を満たした構成としているが、式2及び式4の一方のみを満たした構成としてもよい。
〔前処理液付与部〕
図1の説明に戻り、画像形成搬送部10の第1ベルト16の搬送面に対向する位置には、前処理液付与部40が設けられている。前処理液付与部40は、処理液吐出ヘッド42及び処理液乾燥ユニット44を備えている。
処理液吐出ヘッド42は、第1ベルト16に載置される用紙1に対して前処理液を吐出して用紙1の画像形成面に前処理液を塗布する。ここで塗布される前処理液は、画像形成部50で使用されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液乾燥ユニット44は、用紙1の画像形成面に塗布された前処理液を乾燥させる。処理液乾燥ユニット44は、不図示の温風ヒータを備える。温風ヒータは、例えば、ハロゲンヒータ又は赤外線ヒータ等の熱源と、その熱源を用いて熱せられた気体を送風するファン又はブロアと、を備える。熱源を用いて熱せられる気体は、例えば空気である。空気に代えて、又は空気に加えて他の気体を用いてもよい。
〔画像形成部〕
第1ベルト16の搬送面に対向する位置であって、用紙1の搬送方向における前処理液付与部40の下流側には、画像形成部50が設けられている。
画像形成部50は、インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、52CL、及びカメラ54を備えている。
インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLは、用紙1の搬送経路に沿って一定の間隔で配置される。インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLは、それぞれ1枚の用紙1に対してシングルパスで画像形成が可能なラインヘッドである。ラインヘッドとは、液滴を吐出する不図示の複数のノズルが用紙1の搬送方向に直交する方向(±X方向)の幅以上の長さに渡って配置されたヘッドである。ラインヘッドは、不図示の複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成してもよい。
インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLは、画像形成搬送部10によって搬送される用紙1にそれぞれ水性のシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、及びクリアインクの液滴を吐出して、用紙1の画像形成面にカラー画像を形成する。
カメラ54は、用紙1の画像形成面に形成された画像を撮影する。カメラ54によって撮影された画像データは、インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLの不図示のノズルの吐出不良の検査に使用される。
以上のように、画像形成搬送部10によって搬送される用紙1は、前処理液の塗布、乾燥、画像形成、及び画像撮影が行われる。
〔剥離部〕
画像形成搬送部10の用紙1の搬送経路の終点近傍には、剥離部60が設けられている。剥離部60は、例えば用紙1の幅(X方向長さ)より細い幅で、かつ用紙1の長さ(Y方向長さ)より短い長さで、用紙1に対して気体を噴射することで、第1ベルト16から用紙1を剥離させる。剥離部60は、吹出部62及び吹上部64を備えている。
吹出部62は、第1ベルト16の搬送面の裏面側であって、第1吸着部18と第1下流側プーリ14との間に設けられる。
図4は、吹出部62に適用する気体噴射装置200の構成を示す模式断面図である。気体噴射装置200は、エアノズル202、圧力発生機構204、配管206,208,210、第1圧力調整機構212、及び第2圧力調整機構214を備えている。
圧力発生機構204は、不図示のブロア又はファンを備える。圧力発生機構204には、配管206が接続されている。不図示のブロア又はファンによって圧力が増加した気体は、配管206へ送り出される。
配管206には、第1圧力調整機構212を介して配管208に接続されている。また、配管206には、第2圧力調整機構214を介して配管210に接続されている。第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214は、例えばバルブで構成される。第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214は、それぞれ配管208及び配管210へ送り出す気体の量を調整する。
配管208へ送り出された気体は、エアノズル202のうち小サイズ紙用エアノズル202Aから噴出する。また、配管210へ送り出された気体は、エアノズル202のうち大サイズ紙用エアノズル202Bから噴出する。
吹出部62に適用した気体噴射装置200のエアノズル202は、第1ベルト16の搬送面の裏面に向けられている。エアノズル202から噴出された気体は、第1ベルト16の第1吸着孔を介して第1ベルト16の搬送面側に排出される。この排出された気体により、第1ベルト16に載置された用紙1が第1ベルト16から剥離される。
吹出部62は、第1下流側プーリ14の内部に設けてもよい。この場合、第1下流側プーリ14に不図示の孔を設け、孔を介して第1下流側プーリ14の内側から外側に向けて気体を吹き出す機構とすればよい。第1下流側プーリ14から吹き出された気体は、第1ベルト16の第1吸着孔を介して第1ベルトの搬送面側に排出され、第1ベルト16から用紙1を剥離する。
図1の説明に戻り、吹上部64は、画像形成搬送部10と受渡搬送部20との間に設けられる。吹上部64は、吹出部62と同様に気体噴射装置200を適用することができる。
吹上部64に適用した気体噴射装置200のエアノズル202は、第1下流側プーリ14の接線方向に、かつ第1ベルト16の走行方向とは反対向きに向けられている。吹上部64は、第1下流側プーリ14の接線方向に、かつ第1ベルト16の走行方向とは反対向きに、気体を噴出することで、第1ベルト16と用紙1の先端との間に気体を吹き上げる。吹き上げられた気体は、第1ベルト16と用紙1の先端との間に入り込み、第1ベルト16から用紙1を剥離する。なお、用紙1の先端とは、用紙1の端部であって、搬送方向の上流側に位置する端部である。
〔吹付部〕
吹付部70は、受渡吹付部72及び乾燥吹付部74を備えている。
受渡吹付部72は、受渡搬送部20の用紙1の搬送経路の始点近傍(最上流近傍)であって、第2ベルト26の搬送面に対向する位置に設けられている。受渡吹付部72は、吹出部62と同様に気体噴射装置200を適用することができる。受渡吹付部72に適用した気体噴射装置200のエアノズル202は、鉛直下方向(−Z方向)から10°程度、搬送方向下流側(−Y方向側)に傾けて配置される。この傾きの角度は、0°〜30°の範囲であればよい。
受渡吹付部72は、例えば用紙1の幅より細い幅で、かつ用紙1の長さより短い長さで、用紙1の画像形成面に対して気体を吹き付けることで、第2ベルト26の搬送面から用紙1が浮き上がることを防止する。
乾燥吹付部74は、乾燥搬送部30の用紙1の搬送経路の始点近傍(最上流近傍)であって、第3ベルト36の搬送面に対向する位置に設けられている。乾燥吹付部74は、吹出部62と同様に気体噴射装置200を適用することができる。乾燥吹付部74に適用した気体噴射装置200のエアノズル202は、鉛直下方向(−Z方向)から10°程度、搬送方向下流側(−Y方向側)に傾けて配置される。この傾きの角度は、0°〜30°の範囲であればよい。
乾燥吹付部74は、例えば用紙1の幅より細い幅で、かつ用紙1の長さより短い長さで、用紙1の画像形成面に対して気体を吹き付けることで、第3ベルト36の搬送面から用紙1が浮き上がることを防止する。
受渡吹付部72、及び乾燥吹付部74は、なるべく用紙1の先端から用紙1を期待により押さえつけたいが、噴射開始が早すぎると用紙1が浮き上がってしまう。そこで、噴射タイミングの調整を容易にするために、エアノズル202が搬送方向下流側に傾けている。
〔インク乾燥部〕
乾燥搬送部30の第3ベルト36の搬送面に対向する位置には、インク乾燥部80が設けられている。インク乾燥部80は、画像形成後の用紙1を加熱して、インクを乾燥させる。インク乾燥部80は、インク乾燥ユニット82を備えている。
インク乾燥ユニット82は、不図示の複数の棒状のヒータを備える。複数のヒータは、用紙1の搬送経路に沿って一定の間隔で、それぞれ用紙1の搬送方向と直交して配置される。ヒータには、例えば、ハロゲンヒータ及び赤外線ヒータのうち少なくとも一方が使用される。インク乾燥ユニット82は、ファン又はブロアなどの送風手段を備えてもよい。
このように、乾燥搬送部30によって搬送される用紙1は、インクの乾燥が行われる。
なお、乾燥搬送部30と排紙ユニット92との間に、用紙受渡ユニット及び乾燥ユニットを追加してもよい。
以上のように構成されたインクジェット印刷装置100によれば、給紙ユニット90から排紙ユニット92まで、用紙1を搬送することができる。また、その間に用紙1に対して前処理液付与処理、画像形成処理、及び乾燥処理を行うことができる。前処理液付与処理及び画像形成処理が行われる画像形成搬送部10と乾燥処理が行われる乾燥搬送部30との間にプーリの径が相対的に小さい受渡搬送部20を設けたため、受渡搬送部20を介して画像形成搬送部10から乾燥搬送部30へ用紙1を適切に受け渡すことができる。
<インクジェット印刷装置の電気的構成>
図5は、インクジェット印刷装置100の電気的構成を示すブロック図である。図5に示すように、インクジェット印刷装置100は、搬送制御部110、前処理液付与制御部120、画像形成制御部130、画像取得部132、画像処理部134、剥離制御部140、吹付制御部150、状態取得部152、条件設定部154、及び乾燥制御部160を備えている。
搬送制御部110は、搬送装置102を制御する。即ち、搬送制御部110は、画像形成搬送部10のロータリエンコーダ14E、受渡搬送部20のロータリエンコーダ25E、及び乾燥搬送部30のロータリエンコーダ34Eの信号に基づいて、画像形成搬送部10のモータ14M、受渡搬送部20のモータ25M、及び乾燥搬送部30のモータ34Mを、同期させて駆動する。これにより、搬送制御部110は、第1ベルト16、第2ベルト26、及び第3ベルト36をそれぞれ同一速度で走行させる。
なお、モータ14M、モータ25M、及びモータ34Mを共通のモータとしてもよい。この場合、第1下流側プーリ14、駆動プーリ25、及び第3下流側プーリ34の径に応じて減速して伝達することで、第1ベルト16、第2ベルト26、及び第3ベルト36の走行速度を同一とすることができる。
モータ14M及びモータ34Mを共通のモータとしてモータ25Mと同期して駆動する態様、モータ14M及びモータ25Mを共通のモータとしてモータ34Mと同期して駆動する態様、モータ34M及びモータ25Mを共通のモータとしてモータ14Mと同期して駆動する態様も可能である。
前処理液付与制御部120は、前処理液付与部40を制御する。即ち、前処理液付与制御部120は、用紙検知センサ19の信号、及びロータリエンコーダ14Eの信号に基づいて用紙1が処理液吐出ヘッド42に対向する位置に到達したことを検知し、処理液吐出ヘッド42を制御して用紙1に前処理液を塗布する。また、前処理液付与制御部120は、処理液乾燥ユニット44を制御して用紙1に塗布された前処理液を乾燥させる。
画像取得部132は、不図示の入力部から画像形成部50が形成する画像を示す画像データを取得する。画像処理部134は、画像取得部132が取得した画像データに対して分版処理、ハーフトーン処理等を行い、ドットデータを生成する。分版処理は、画像データの各画素の表色系をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、及びライトマゼンタ毎の階調値に変換する。ハーフトーン処理は、画像データの色毎の階調値から画素毎にドットの有無を規定する2値化されたドットデータを生成する。
画像形成制御部130は、画像形成部50を制御する。即ち、画像形成制御部130は、用紙検知センサ19の信号、及びロータリエンコーダ14Eの信号に基づいて用紙1がインクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLに対向する位置に到達したことを検知し、画像処理部134から取得した色毎のドットデータに基づいてインクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLを制御し、用紙1の画像形成面にカラー画像を形成する。
状態取得部152は、用紙1の状態を取得する。用紙1の状態とは、用紙1の型番、種類、坪量、厚み、サイズ、紙目、及び剛度のうち少なくともいずれか1つの情報である。用紙1の状態には、用紙1の搬送速度及びインクジェット印刷装置100の環境温湿度を含めてもよい。状態取得部152は、例えば不図示の入力部を用いてユーザが入力した用紙1の状態を取得する。
なお、用紙1の型番とは、用紙1のメーカ毎の製品を識別する銘柄情報である。用紙1の種類とは、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、上質紙、中性紙等の用紙1の材質及び表面加工による分類情報である。また、インクジェット印刷装置100で画像を形成する基材は紙に限定されず、枚葉の基材であればよい。基材の種類は、プラスチックフィルム、金属箔、段ボール、人造皮革等であってもよい。
用紙1のサイズとは、縦方向及び横方向(幅方向及び長さ方向)の少なくともいずれか一方の寸法である。用紙1の紙目とは、繊維が流れている方向を指し、横目及び縦目がある。用紙1の剛度は、コシ、又はこわさ等ともいう。
条件設定部154は、状態取得部152が取得した用紙1の状態から剥離部60及び吹付部70の噴射条件を設定するためのテーブルを有している。条件設定部154は、用紙1が剥離部60及び吹付部70に到達する前に噴射条件を設定する。噴射条件は、噴射気体の噴射速度(風速)、噴射幅、及び噴射距離のうち少なくともいずれか1つを含む。
噴射速度とは、気体噴射装置200のエアノズル202から噴射された気体が用紙1に到達する直前の気体の速度である。噴射速度は、エアノズル202から噴射される気体の単位時間当たりの量によって決まる。
噴射幅とは、エアノズル202から噴射された気体が用紙1に当たるX方向長さである。気体噴射装置200は、小サイズ紙用エアノズル202Aのみから噴射する場合と、小サイズ紙用エアノズル202A及び大サイズ紙用エアノズル202Bから噴射する場合とで噴射幅を切り替える。
また、噴射距離とは、エアノズル202から噴射された気体が用紙1に当たるY方向長さである。噴射距離は、用紙1の搬送速度及びエアノズル202から気体を噴射する時間によって決まる。なお、気体噴射装置200は、気体の噴射位置に用紙1の先端が到達した際に気体の噴射を開始する。したがって、噴射距離は、用紙1の先端からの距離に等しい。
噴射速度、噴射幅、及び噴射距離は、それぞれ第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214によって調整することができる。
剥離制御部140は、剥離部60を制御する。即ち、剥離制御部140は、用紙検知センサ19の信号、及びロータリエンコーダ14Eの信号に基づいて用紙1が吹出部62の噴射位置に対向する位置に到達したことを検知し、条件設定部154によって設定された噴射条件に基づいて吹出部62の気体噴射装置200の第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214を制御し、エアノズル202から気体を噴射させる。
剥離制御部140は、設定された噴射速度が大きいほど第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214における気体の流量を多くする。これにより、設定された噴射速度に応じた噴射速度で気体を噴射することができる。
また、剥離制御部140は、設定された噴射幅が相対的に小さい場合は第1圧力調整機構212のみをオンにし、相対的に大きい場合は第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214をオンにする。これにより、設定された噴射幅に応じた噴射幅で気体を噴射することができる。したがって、用紙1の幅が相対的に小さい場合は小サイズ紙用エアノズル202Aのみから気体を噴出し、用紙1の幅が相対的に大きい場合は小サイズ紙用エアノズル202A及び大サイズ紙用エアノズル202Bから気体を噴出することができる。
さらに、剥離制御部140は、設定された噴射距離が大きいほど第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214のオン時間を長くする。これにより、設定された噴射距離に応じた噴射距離で気体を噴射することができる。
このように制御されることで、吹出部62、及び吹上部64は、用紙1の先端が噴射位置に対向する位置に到達した際に気体の噴射を開始し、設定された噴射距離だけ設定された噴射速度及び設定された噴射幅で気体を噴射する。
吹付制御部150は、吹付部70を制御する。即ち、吹付制御部150は、用紙検知センサ19の信号、ロータリエンコーダ14Eの信号、及びロータリエンコーダ25Eの信号に基づいて、用紙1が受渡吹付部72の噴射位置に対向する位置に到達したことを検知し、条件設定部154によって設定された噴射条件に基づいて受渡吹付部72の気体噴射装置200の第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214を制御し、エアノズル202から気体を噴射させる。
また、吹付制御部150は、用紙検知センサ19の信号、ロータリエンコーダ14Eの信号、ロータリエンコーダ25Eの信号、及びロータリエンコーダ34Eの信号に基づいて、用紙1が乾燥吹付部74の噴射位置に対向する位置に到達したことを検知し、条件設定部154によって設定された噴射条件に基づいて乾燥吹付部74の気体噴射装置200の第1圧力調整機構212及び第2圧力調整機構214を制御し、エアノズル202から気体を噴射させる。
吹付制御部150による受渡吹付部72、及び乾燥吹付部74の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離の制御については、剥離制御部140による吹出部62及び吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離の制御と同様である。これにより、受渡吹付部72、及び乾燥吹付部74は、用紙1の先端が噴射位置に対向する位置に到達した際に気体の噴射を開始し、設定された噴射距離だけ設定された噴射速度及び設定された噴射幅で気体を噴射する。
剥離制御部140及び吹付制御部150は、噴射位置に対向する位置に到達したことを検知するめに用紙検知センサ19の信号を用いたが、印刷制御ソフトウェアから出力される給紙タイミング信号を用いてもよい。また、微調整パラメータを用いて噴射タイミングを微調整してもよい。
乾燥制御部160は、インク乾燥部80を制御する。即ち、乾燥制御部160は、不図示の棒状のヒータを制御し、用紙1を乾燥させる。
<状態取得部の他の態様>
状態取得部152は、不図示の入力部から用紙1の状態を取得するのに代えて、又は不図示の入力部から用紙1の状態を取得するのに加えて、用紙1のサイズ、剛度、搬送速度、及び環境温湿度のうちの少なくとも1つを測定して用紙1の状態を取得してもよい。
例えば、用紙1の剛度を測定することが可能である。図6は、状態取得部152が備える剛度測定部220の上面図である。また、図7は、剛度測定部220の側面図である。剛度測定部220は、給紙ユニット90と画像形成搬送部10との間に設けられる。図6及び図7に示すように、剛度測定部220は、突き上げバー222及び荷重センサ224を備えている。
突き上げバー222は、用紙1の幅(X方向長さ)よりも大きい幅を有する棒状部材である。荷重センサ224は、−Z方向の荷重を測定するロードセル素子である。
荷重センサ224は、突き上げバー222の−Z方向側であって、X方向中央部に配置される。突き上げバー222は、不図示の支持部材によって荷重センサ224を介してX方向に平行に支持される。突き上げバー222は、通常は画像形成搬送部10の搬送経路における第1ベルト16の搬送面よりも−Z方向に配置される。また、突き上げバー222は、不図示の昇降機構により第1ベルト16の搬送面よりも+Z方向に上昇可能に構成されている。
剛度測定部220は、用紙1が突き上げバー222と対向する位置に送られた際に、不図示の昇降機構により突き上げバー222を第1ベルト16の搬送面よりも+Z方向に突出させる。これにより、用紙1は一定量変形する。荷重センサ224は、用紙1が一定量変形した状態で、荷重を測定する。これにより、剛度測定部220は、用紙1の剛度を測定することができる。
用紙1の剛度測定は、用紙1を下から突き上げる方法に限定されない。図8は、状態取得部152が備える剛度測定部230の上面図である。また、図9は、剛度測定部230の側面図である。剛度測定部230は、給紙ユニット90に設けられる。図8及び図9に示すように、剛度測定部230は、吸着部材232及び荷重センサ234を備えている。
吸着部材232は、不図示のポンプと連通する不図示の吸着口を有する。荷重センサ224は、−Z方向の荷重を測定するロードセル素子である。
吸着部材232は、−Z方向に吸着口を向けて荷重センサ224を介して支持部材によって吊り下げ支持される。吸着部材232は、給紙ユニット90に積載された最上段の用紙1の上面よりも+Z方向に配置される。また、吸着部材232は、不図示の昇降機構により給紙ユニット90に積載された最上段の用紙1の上面に吸着口が接する位置まで下降可能に構成されている。
剛度測定部230は、不図示の昇降機構により吸着部材232を給紙ユニット90に積載された最上段の用紙1の上面に吸着口が接する位置まで、−Z方向に下降させる。また、剛度測定部230は、ポンプを駆動して吸着部材232の吸着口から用紙1を吸着させる。さらに、剛度測定部230は、吸着口から用紙1を吸着させた状態で、昇降機構により吸着部材232を+Z方向に一定量上昇させる。これにより、用紙1は一定量変形する。荷重センサ224は、用紙1が一定量変形した状態で、荷重を測定する。これにより、剛度測定部230は、用紙1の剛度を測定することができる。
剛性の指標としては、例えばJIS−P8125(テーバー法)等を用いる。なお、剛性の指標はテーバー法に限定されず、その他の指標を用いてもよい。
また、用紙1のサイズを測定することも可能である。図10は、状態取得部152が備える用紙幅測定部240の上面図である。また、図11は、用紙幅測定部240の側面図である。用紙幅測定部240は、給紙ユニット90と画像形成搬送部10との間に設けられる。図10及び図11に示すように、用紙幅測定部240は、2対の光電センサ242及び244を備えている。
光電センサ242は、用紙1の搬送経路の+Z方向側に配置され、通過する用紙1に向けて光を照射する投光部242Aと、用紙1の搬送経路の−Z方向側に配置され、投光部242Aから照射された光を受光する受光部242Bと、を備える。同様に、光電センサ244は、用紙1の搬送経路の+Z方向側に配置され、通過する用紙1に向けて光を照射する投光部244Aと、用紙1の搬送経路の−Z方向側に配置され、投光部244Aから照射された光を受光する受光部244Bと、を備える。
光電センサ242は、用紙1の+X方向側の端部の近傍を±X方向に走査可能に支持される。投光部242Aと受光部242Bとの間に用紙1が存在する場合、投光部242Aから照射された光は用紙1によって遮られる。これにより、光電センサ242は、用紙1の+X方向側の端部の位置を検知する。
一方、光電センサ244は、用紙1の−X方向側の端部の近傍を±X方向に走査可能に支持される。投光部244Aと受光部244Bとの間に用紙1が存在する場合、投光部244Aから照射された光は用紙1によって遮られる。これにより、光電センサ244は、用紙1の−X方向側の端部の位置を検知する。
したがって、光電センサ242の検知結果及び光電センサ244の検知結果から、用紙1の幅(X方向長さ)を測定することができる。ここでは2対の光電センサ242及び244を用いて用紙1の幅を測定したが、1対の光電センサで測定してもよい。
なお、用紙1の長さ(Y方向長さ)については、ロータリエンコーダ14Eの検知結果及び用紙検知センサ19の検知結果を用いることで、測定することができる。即ち、ロータリエンコーダ14Eの検知結果から画像形成搬送部における用紙1の搬送速度V1を算出し、用紙検知センサ19の検知結果から用紙1が用紙検知センサ19を横切るのに要した時間T1を算出することで、用紙1の長さをV1×T1として算出することができる。
また、センサを走査することで用紙1の長さを測定してもよい。図12は、状態取得部152が備える用紙長測定部250の上面図である。また、図13は、用紙長測定部250の側面図である。用紙長測定部250は、給紙ユニット90と画像形成搬送部10との間に設けられる。図12及び図13に示すように、用紙長測定部250は、用紙1の搬送経路に配置される1対の光電センサ252を備えている。
光電センサ252は、搬送経路を通過する用紙1に向けて光を照射する投光部252Aと、投光部252Aから照射された光を受光する受光部252Bと、を備える。光電センサ252は、±Y方向を走査可能に支持される。投光部252Aと受光部252Bとの間に用紙1が存在する場合、投光部252Aから照射された光は用紙1によって遮られる。これにより、光電センサ252は、用紙1の+Y方向側の端部の位置及び−Y方向側の端部の位置を検知する。
したがって、光電センサ252の検知結果から、用紙1の長さを測定することができる。
状態取得部152は、インクジェット印刷装置100に入力された印刷条件、又はインクジェット印刷装置100に不図示のネットワークを介して接続される不図示の制御装置に入力された印刷条件から、用紙1の状態及び用紙1の搬送速度を自動的に取得してもよい。
環境温湿度は、不図示の温湿度センサにより測定すればよい。環境温湿度を測定することで、用紙1の反りの状態を推測することが可能となる。
<印刷方法>
図14は、インクジェット印刷装置100による印刷方法(搬送方法の一例)の処理を示すフローチャートである。印刷方法は、画像取得工程(ステップS1)、状態取得工程(ステップS2)、条件設定工程(ステップS3)、第1ベルト搬送工程(ステップS4)、前処理液付与工程(ステップS5)、画像形成工程(ステップS6)、剥離工程(ステップS7)、第2ベルト搬送工程(ステップS8)、受渡吹付工程(ステップS9)、乾燥搬送工程(ステップS10)、乾燥吹付工程(ステップS11)、及びインク乾燥工程(ステップS12)を備えている。
ステップS1では、画像取得部132は、不図示の入力部から印刷をする画像を示す画像データを取得する。また、画像処理部134は、取得した画像データからドットデータを生成する。
ステップS2では、状態取得部152は、例えば不図示の入力部から印刷に用いる用紙1の状態を取得する。また、ステップS3では、条件設定部154は、ステップS2で取得した用紙1の状態に基づいて剥離部60及び吹付部70の噴射条件を設定する。
なお、条件設定部154は、吹出部62の噴射速度、噴射幅、噴射距離、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離、のうち少なくともいずれか1つを用紙1の状態に基づいて設定すればよい。用紙1の状態に基づいて設定した条件以外は、予め定められた条件に設定すればよい。例えば、吹出部62の噴射速度のみを用紙1の状態に基づいて設定し場合は、吹出部62の噴射幅、噴射距離、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離については、予め定められた条件を設定する。
ステップS4では、画像形成搬送部10による用紙1の搬送を開始する。即ち、搬送制御部110は、給紙ユニット90から画像形成搬送部10に用紙1を供給させる。また、搬送制御部110は、第1吸着部18によって用紙1を第1ベルト16に吸着させる。さらに、搬送制御部110は、モータ14Mを駆動させて第1ベルト16を走行させ、第1上流側プーリ12から第1下流側プーリ14に向かう搬送経路に沿って用紙1を搬送させる。
ステップS4において、剛度測定部220又は剛度測定部230によって用紙1の剛度を測定することで用紙1の状態を取得もよい。また、用紙幅測定部240及び用紙長測定部250によって用紙1の幅及び長さを測定することで用紙1の状態を取得してもよい。
ステップS5では、用紙1に前処理液を付与する。即ち、用紙1が前処理液付与部40と対向する位置に搬送されると、前処理液付与制御部120は、前処理液付与部40によって前処理液を付与する。即ち、前処理液付与制御部120は、用紙1の画像形成面に処理液吐出ヘッド42によって前処理液を塗布させ、塗布された前処理液を処理液乾燥ユニット44によって乾燥させる。
ステップS6では、用紙1に画像を形成する。即ち、用紙1が画像形成部50と対向する位置に搬送されると、画像形成制御部130は、画像形成搬送部10によって搬送される用紙1に画像形成部50によって画像を形成する。即ち、画像形成制御部130は、インクジェットヘッド52C、52M、52Y、52K、52LC、52LM、及び52CLによってインクの液滴を吐出させ、用紙1の画像形成面にカラー画像を形成する。
ステップS7では、剥離制御部140は、第1ベルト16から用紙1を剥離させる。即ち、剥離制御部140は、用紙1が吹出部62と対向する位置に搬送されると、ステップS3で設定された噴射条件に基づいて吹出部62によって気体を吹き出させる。また、剥離制御部140は、用紙1が吹上部64と対向する位置に搬送されると、ステップS3で設定された噴射条件に基づいて吹上部64によって気体を吹き上げさせる。
ステップS8では、受渡搬送部20による用紙1の搬送を開始する。即ち、搬送制御部110は、画像形成搬送部10から受渡搬送部20に用紙1を受け渡させる。また、搬送制御部110は、第2吸着部28によって用紙1を第2ベルト26に吸着させる。さらに、搬送制御部110は、モータ25Mを駆動させて第2ベルト26を走行させ、第2上流側プーリ22から第2下流側プーリ24に向かう搬送経路に沿って用紙1を搬送する。
ステップS9では、受渡吹付部72は、第2ベルト26からの用紙1の浮き上がりを防止する。即ち、吹付制御部150は、用紙1が受渡吹付部72と対向する位置に搬送されると、ステップS3で設定された噴射条件に基づいて受渡吹付部72によって用紙1に気体を吹き付ける。
ステップS10では、乾燥搬送部30による用紙1の搬送を開始する。即ち、搬送制御部110は、受渡搬送部20から乾燥搬送部30に用紙1を受け渡させる。また、搬送制御部110は、第3吸着部38によって用紙1を第3ベルト36に吸着させる。さらに、搬送制御部110は、モータ34Mを駆動させて第3ベルト36を走行させ、第3上流側プーリ32から第3下流側プーリ34に向かう搬送経路に沿って用紙1を搬送する。
ステップS11では、乾燥吹付部74は、第3ベルト36からの用紙1の浮き上がりを防止する。即ち、吹付制御部150は、用紙1が乾燥吹付部74と対向する位置に搬送されると、ステップS3で設定された噴射条件に基づいて乾燥吹付部74によって用紙1に気体を吹き付ける。
ステップS12では、インク乾燥部80は、用紙1の画像形成面のインクを乾燥させる。即ち、乾燥制御部160は、インク乾燥ユニット82により、インク乾燥部80と対向する位置を通過する用紙1を加熱させる。
<実施例>
用紙1の状態に応じて噴射条件を設定することで、用紙1を適切に搬送することができることを確認した。
図15〜図19は、搬送装置102による用紙1の搬送の実施例及び実験例の用紙1の状態、搬送条件、噴射条件、及び評価結果を示す図である。なお、図15〜図18に示した例では、剥離部60の吹出部62は使用しておらず、吹上部64のみを使用している。また、特に記載がない場合の用紙1の紙目は、縦目(T目)である。
搬送の良否の分類は、以下の通りである。
A:浮き上がり無し
B:浮き上がり量が0.5mm未満(許容範囲内)
C:浮き上がり量が0.5mm以上、又は画像形成搬送部10から受渡搬送部20への受け渡し失敗(許容範囲外)
図15は、実施例1、実施例1−2、及び実験例A、B、Cについて示している。実施例1、及び実験例A、B、Cの用紙1は、紙種(型番及び種類に相当)が王子製紙株式会社製OKトップコート+Gloss、坪量が73g/m2、X方向×Y方向のサイズが750mm×532mmである。
図15に示すように、実施例1の搬送条件は、画像形成搬送部10、受渡搬送部20、及び乾燥搬送部30の搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の搬送面の突起16Aを有りとした。また、実施例1の噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、760mm、及び100mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、760mm、及び500mmとした。実施例1では、用紙1の浮き上がりがなく、評価結果はAであった。
なお、吹上部64及び受渡吹付部72は、気体噴射装置200の小サイズ紙用エアノズル202A及び大サイズ紙用エアノズル202Bを用いて噴射幅760mmを実現している。
実施例1−2の搬送条件は、搬送速度を0.5m/s、第1ベルト16の突起16Aを無しとした。また、実施例1−2の噴射条件は、吹上部64の噴射速度を3.0m/sとした点が実施例1とは異なる。実施例1−2では、浮き上がり量が0.5mm未満であり、評価結果はBであった。
一方、実験例Aの搬送条件は、搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の突起16Aを無しとした。これに対し、実施例Aの噴射条件は、実施例1−2と同様とした。実験例Aの評価結果は、Cであった。
また、実験例Bは、搬送条件を実施例1と同様としたのに対し、噴射条件は、吹上部64の噴射速度を0m/sとした(吹上部64を不使用とした)点が実施例1とは異なる。実験例Bの評価結果は、Cであった。
さらに、実験例Cは、搬送条件を実施例1と同様としたのに対し、噴射条件は、受渡吹付部72の噴射速度を0m/sとした(受渡吹付部72を不使用とした)点が実施例1とは異なる。実験例Cの評価結果は、Cであった。
実施例1、実施例1−2、及び実験例Aの結果から、第1ベルト16の突起16Aがあると搬送性が改良されることがわかった。また、突起16Aが無い場合であっても搬送は可能であるが、用紙1が浮きやすくなるため、搬送速度を低下、又は吹上部64の噴射速度を大きくすることが必要となることがわかった。
また、実施例1及び実験例Bの結果から、吹上部64による吹き上げにより、搬送性が改良されることがわかった。さらに、実施例1及び実験例Cの通り、受渡吹付部72による吹き付けにより、搬送性が改良されることがわかった。
図16は、実施例2、及び実験例D、E、Fについて示している。実施例2、及び実験例D、E、Fの用紙1は、紙種が王子製紙株式会社製OKトップコート+Gloss、坪量が73g/m2、X方向×Y方向のサイズが545mm×394mmである。
図16に示すように、実施例2の搬送条件は、搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の搬送面の突起16Aを有りとした。また、実施例2の噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、535mm、及び100mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、535mm、及び350mmとした。実施例2では、用紙1の浮き上がりがなく、評価結果はAであった。
なお、吹上部64及び受渡吹付部72は、気体噴射装置200の小サイズ紙用エアノズル202Aのみを用いて噴射幅535mmを実現している。
一方、実験例Dは、搬送条件を実施例2と同様としたのに対し、噴射条件は実施例1と同様にした。実験例Dの評価結果は、Cであった。
また、実験例Eは、搬送条件を実施例2と同様としたのに対し、噴射条件は、受渡吹付部72の噴射距離を500mmとした点が実施例2とは異なる。実験例Eの評価結果は、Cであった。
さらに、実験例Fは、搬送条件を実施例2と同様としたのに対し、噴射条件は、受渡吹付部72の噴射幅を760mmとした点が実施例2とは異なる。実験例Fの評価結果は、Bであった。
実施例1、実施例2、実験例D、及び実験例Fの結果から、用紙1のサイズが変更された場合は、噴射幅及び噴射距離の調整が必要となることがわかった。
また、実施例2及び実験例Eの結果から、噴射距離が用紙1のサイズ(Y方向長さ)に対して長すぎると搬送性が低下することがわかった。これは、噴射距離が長いと受渡吹付部72の噴射位置に次に搬送される用紙1が到達してしまい、次の用紙に浮き上がりが発生するためである。したがって、用紙1のサイズに応じて噴射距離を修正する必要がある。
図17は、実施例3、4及び実験例G、H、及びIについて示している。
図17に示すように、実施例3の用紙1は、紙種が王子製紙株式会社製ボンアイボリー、坪量が310g/m2、X方向×Y方向のサイズが545mm×394mmである。これに対し、実施例3の搬送条件は、搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の搬送面の突起16Aを有りとした。また、実施例3の噴射条件は、吹上部64及び受渡吹付部72を不使用とした。実施例3では、結果がAであった。
実施例4の用紙1は、紙種が北越コーポレーション株式会社製NEW−DVであり、坪量及びX方向×Y方向のサイズは実施例3と同様である。なお、実施例4の用紙1は、湿気により両端が−Z方向に向けて反った状態(+Z方向に凸の状態)となっている。
実施例4の搬送条件は、搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の搬送面の突起16Aを有りとした。また、実施例4の噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ3.0m/s、535mm、及び100mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ3.0m/s、535mm、及び350mmとした。実施例4の評価結果は、Aであった。
実験例Gの用紙1は、実施例4と同様である。また、実験例Gの用紙1は、湿気により両端が−Z方向に向けて反った状態となっている。実験例Gは、搬送条件を実施例4と同様としたのに対し、吹上部64の噴射条件を実施例3と同様とし、受渡吹付部72の噴射条件を実施例4と同様とした。実験例Gの評価結果は、Cであった。
また、実験例Hの用紙1は、紙種及び坪量が実施例4と同様であるが、X方向×Y方向のサイズが750mm×535mmである点が実施例4とは異なる。また、実験例Hの用紙1は、湿気により両端が−Z方向に向けて反った状態となっている。
実験例Hの搬送条件は、搬送速度が0.5m/sである点が実施例4とは異なる。さらに、実験例Hの噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、760mm、及び400mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ3.0m/s、760mm、及び500mmとした。実験例Hの評価結果は、Cであった。
実験例Iの用紙1は、紙種、坪量、及びX方向×Y方向のサイズが実験例Hと同様である。ただし、実験例Iの用紙1は、湿気により両端が+Z方向に向けて反った状態(−Z方向に凸の状態)となっている点が実験例Hとは異なる。
実験例Iは、搬送条件を実験例Hと同様としたのに対し、噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ3.0m/s、760mm、及び400mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ1.5m/s、760mm、及び500mmとした。実験例Iの評価結果は、Bであった。
実施例2及び実施例3の結果から、用紙1が厚い(坪量が大きい)場合は、搬送が容易になることがわかった。また、実施例4及び実験例Gの結果から、環境温湿度、保存状態、及び印刷状態等により用紙1に反りが発生している場合には、吹上部64及び受渡吹付部72の噴射速度を大きくする必要があることがわかった。
図18は、実施例5、6、及び実験例Jについて示している。実施例5、6、及び実験例Jの用紙1は、紙種が北越コーポレーション株式会社製NEW−DV、坪量が310g/m2、X方向×Y方向のサイズが545mm×394mmである。
図18に示すように、実施例5の用紙1は、紙目が横目(Y目)である。これに対し、実施例5の搬送条件は、搬送速度を1.5m/s、第1ベルト16の搬送面の突起16Aを有りとした。また、実施例5の噴射条件は、吹上部64の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ0.5m/s、535mm、及び100mmとし、受渡吹付部72の噴射速度、噴射幅、及び噴射距離をそれぞれ3.0m/s、535mm、及び350mmとした。実施例5の評価結果は、Aであった。
一方、実施例6の用紙1は紙目がT目である。これに対し、実施例6の搬送条件は実施例5と同様とし、実施例6の噴射条件は実施例4と同様とした。実施例6の評価結果は、Aであった。
また、実験例Jの用紙1は、実施例6と同様に紙目がT目である。これに対し、実験例Jの搬送条件及び噴射条件は実施例5と同様である。実験例Jの評価結果は、Cであった。
実施例5、実施例6、及び実験例Jの結果から、紙目により最適な噴射条件が異なることが分かった。Y目よりもT目の方が、搬送方向(Y方向)に用紙1が反りやすい。このため、第1ベルト16からの用紙1の剥離は困難となる。
図19は、実施例7及び実施例8について、すでに説明した実施例2とともに示している。実施例7及び実施例8の用紙1は、実施例2と同様である。
これに対し、実施例7の搬送条件は、実施例2と同様とした。また、実施例7の噴射条件は、吹出部62の噴射速度を0.5m/sとし、受渡吹付部72の噴射速度を1.5m/sとした。吹出部62の噴射幅及び噴射距離は、図19には記載されていないが、実施例2の吹上部64の噴射幅及び噴射距離と同様に、それぞれ535mm及び100mmである。同様に、受渡吹付部72の噴射幅及び噴射距離は、図19には記載されていないが、実施例2の受渡吹付部72の噴射幅及び噴射距離と同様に、それぞれ535mm及び350mmである。実施例7では、結果がAであった。
また、実施例8は、搬送条件は実施例2と同様とし、実施例8の噴射条件は、吹出部62の噴射速度を0.1m/sとし、吹上部64の噴射速度を0.5m/sとし、受渡吹付部72の噴射速度を1.0m/sとした。吹出部62及び吹上部64の噴射幅及び噴射距離はともに535mm及び100mmであり、受渡吹付部72の噴射幅及び噴射距離は、それぞれ535mm及び350mmである。実施例8では、結果がAであった。
実施例2では、剥離部60は吹出部62を使用せず、吹上部64のみを使用していたが、実施例7では吹上部64に代えて吹出部62を使用した。また、実施例8は、吹出部62及び吹上部64を併用した。
吹出部62の使用、及び吹出部62及び吹上部64の併用により、全体の噴射速度を減少させることができる。これにより、装置コストの低減、及び騒音の低減が可能となる。
<その他の態様>
本実施形態では、インクジェット印刷装置100は、第1ベルト16の複数の突起16A、吹出部62、吹上部64、受渡吹付部72、及び乾燥吹付部74を含んで構成されているが、これらのうちのいずれかを含まない構成であってもよく、適宜組み合わせて使用することができる。
例えば、インクジェット印刷装置100は、剥離部60の吹出部62及び吹上部64のうちの一方のみを備える態様も可能である。
また、インクジェット印刷装置100は、用紙1の浮き上がりがほぼない場合には、吹付部70の受渡吹付部72及び乾燥吹付部74を備えない態様、又は乾燥吹付部74のみを備える態様も可能である。この場合、第1ベルト16の複数の突起16Aを備えなくてもよいし、剥離部60の吹出部62及び吹上部64のうちのいずれか一方のみを備えてもよい。また、吹付部70の受渡吹付部72のみを備える態様も可能である。
このように、剥離部60は、吹出部62及び吹上部64のうちのいずれか一方のみを備えてもよい。また、吹付部70は、受渡吹付部72及び乾燥吹付部74のうちいずれか一方のみを備えてもよい。
プーリ径が相対的に大きい搬送部からプーリ径が相対的に小さい搬送部へ用紙1を受け渡す際に、剥離機構が必要となる。このため、インクジェット印刷装置100では画像形成搬送部10に剥離部60を設けているが、受渡搬送部20に第2ベルト26から用紙1を剥離させる剥離機構を設けてもよい。剥離機構としては、剥離部60と同様の構成を適用することができる。
本実施形態では、画像形成搬送部10に対向する位置に画像形成部50が配置されているが、乾燥搬送部30に対向する位置に画像形成部50を配置してもよい。これにより、受渡搬送部20から乾燥搬送部30に受け渡された用紙1に対して画像を形成することができる。
本実施形態では、搬送装置102をインクジェット印刷装置100に適用した場合について説明したが、搬送装置102が搬送する基材は、被画像形成基材に限定されない。搬送装置102は、フレキシブル基板等の電子部品、偏光フィルム等の光学部品、経皮吸収性シート等の医薬品等の枚葉のシート体のベルト搬送に広く応用することが可能である。
上記の搬送方法は、各工程をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成し、このプログラムを記憶したCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)等の非一時的な記憶媒体を構成することも可能である。
ここまで説明した実施形態において、例えば、搬送制御部110、前処理液付与制御部120、画像形成制御部130、画像取得部132、画像処理部134、剥離制御部140、吹付制御部150、状態取得部152、条件設定部154、及び乾燥制御部160の各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、画像処理に特化したプロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサ(例えば、複数のFPGA、或いはCPUとFPGAの組み合わせ、又はCPUとGPUの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、サーバ及びクライアント等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組合せで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。