JP2020125850A - 深溝玉軸受及びクリープ抑制用の環状溝の形成方法 - Google Patents

深溝玉軸受及びクリープ抑制用の環状溝の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転がり軸受において、ハウジングとの間で生じる局部的な接触面圧を緩和することができ、更に、クリープ抑制のための環状溝の溝幅の寸法のばらつきを抑える。【解決手段】転がり軸受7は、内輪11と、外輪12と、複数の玉13と、これら玉13を保持する保持器14とを備えている。外輪12が取り付けられるハウジング2との嵌め合い面22に、クリープ抑制用の環状溝32が形成されている。環状溝32は、溝底部33と、溝底部33の軸方向両側から延び嵌め合い面22側に向かうにしたがって溝幅X0を広くしている一対のテーパー面部34,35とを有している。軸受中心線C0を含む断面におけるテーパー面部34,35の断面形状は、嵌め合い面22に対して傾いている直線形状である。【選択図】 図2

Description

本発明は、転がり軸受に関する。
各種産業機器には多くの転がり軸受が用いられている。転がり軸受は、内輪、外輪、これら内輪と外輪との間に介在している複数の転動体、及びこれら転動体を保持する保持器を備えている。例えば、図6に示すように、ハウジング97内の回転軸95を支持する転がり軸受90では、内輪91が回転軸95に外嵌して取り付けられており、外輪92がハウジング97の内周面98に取り付けられている。
特に、転がり軸受90が深溝玉軸受であり、また、一方向の軸方向荷重が作用する軸受である場合、内輪91と回転軸95とは「締まり嵌め」の状態で組み立てられるのに対して、外輪92とハウジング97とは「すきま嵌め」の状態で組み立てられることが多い。このため、回転軸95が回転している使用状態で、外輪92とハウジング97との間においてクリープ(ハウジング97に対する外輪92の周方向の滑り)が発生しやすい。
そこで、外輪92の外周面にクリープ発生を抑制するための溝(環状溝)93を形成した転がり軸受が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。この転がり軸受によれば、径方向(ラジアル方向)の大きな荷重が作用している場合に発生しやすいクリープを抑制することが可能となる。なお、このような荷重が作用している場合に発生しやすいクリープは、軸受回転方向と同方向へゆっくりと外輪92が滑るクリープである。
特開2006−322579号公報 特開平10−37967号公報
前記のとおり、外輪92の外周面に環状溝93を形成することで前記のようなクリープを抑制することが可能となるが、この場合、外輪92の外周面とハウジング97との接触面積が狭くなり、ハウジング97における接触面圧が高くなる。特に、環状溝93の側面と、この環状溝93の両側の円筒部94の外周面とが直交する部分99が、ハウジング97に接触することで、面圧が局部的に高くなり、外輪92が少しでもクリープすると、ハウジング97の摩耗が進行しやすくなる。
一方、特許文献2に記載の転がり軸受の場合、図7の断面図に示すように、外輪92の外周面に形成されている環状溝93は円弧形状である。この場合、環状溝93と、円筒部94の外周面とが交差する部分99がハウジング97に接触しても、ハウジング97おける接触面圧は、特許文献1の場合と比較して大きくなりにくい。
しかし、環状溝93を断面円弧形状にすると、外輪92の製造工程において寸法管理・生産管理が少々難しくなる。すなわち、環状溝93の形成は、図8(A)に示すように、外輪92の外周面に対して砥石96を接近させ、更に、二点鎖線で示すように接触させることで行われるが、図8(B)に示すように、外輪92に対する砥石96の切り込み深さE1が設定値E0(図8(A)参照)よりも少しでも深くなると、形成される環状溝93の溝幅X1は、規定の溝幅X0(図8(A)参照)と比較して極端に大きくなる。これとは反対に、図8(C)に示すように、砥石96の切り込み深さE2が設定値E0(図8(A))よりも少しでも浅くなると、その溝幅X2は、規定の溝幅X0(図8(A))と比較して極端に小さくなってしまう。つまり、砥石96の切り込み深さE0にばらつき(E1,E2)があると、環状溝93の溝幅(X1,X2)の寸法に大きな影響を与えてしまい、寸法管理・生産管理が難しい。
なお、環状溝93の溝幅X0の寸法管理は重要であり、図8(C)に示すように溝幅X2が狭くなってしまうと、環状溝93によるクリープ抑制作用が弱くなってしまう。その一方で、図8(B)に示すように溝幅X1が大きくなりすぎると、円筒部94の外周面が狭くなってハウジング97との間の接触面圧が高くなってしまい、摩耗の原因となる。
そこで、相手部材との間で生じる局部的な接触面圧を緩和することができ、更に、環状溝の溝幅の寸法のばらつきを抑えることが可能となる構成を備えた転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、を備え、前記内輪と前記外輪との内の一方が回転輪であって他方が固定輪である転がり軸受であって、前記固定輪が取り付けられる相手部材との嵌め合い面に、クリープ抑制用の環状溝が形成されており、前記環状溝は、溝底部と、当該溝底部の軸方向両側から延び前記嵌め合い面側に向かうにしたがって溝幅を広くしている一対のテーパー面部と、を有し、軸受中心線を含む断面における前記テーパー面部の断面形状は、前記嵌め合い面に対して傾いている直線形状である。
この転がり軸受によれば、環状溝は前記テーパー面部を有していることから、この環状溝と嵌め合い面との交差部分と相手部材とが接触することによる接触面圧が、局部的に高くなるのを緩和することができ、固定輪にクリープが発生しても摩耗が進行しにくくなる。更に、環状溝を砥石によって形成する場合、形成される環状溝は、溝底部の軸方向両側に、断面において直線形状となるテーパー面部を有することから、その砥石の切り込み深さにばらつきがあったとしても、その影響を環状溝の溝幅の寸法精度に与えにくくすることができ、環状溝の溝幅の寸法のばらつきを抑えることが可能となる。
また、前記断面において、直線形状である前記テーパー面部の延長仮想線と前記嵌め合い面との間の角度は、5°〜45°であるのが好ましい。つまり、前記角度が小さすぎる場合、砥石の切り込み深さにばらつきがあると、その影響を環状溝の溝幅の寸法精度に与えにくくする作用が弱くなる。これに対して、前記角度が大きくなると、接触面圧が局部的に高くなるのを緩和する作用が弱くなる。
また、固定輪に環状溝を形成しても、転がり軸受の実使用時に、固定輪が弾性変形して溝底部(溝底部の一部)が相手部材に接触すると、その接触状態の変化(脈動)によって、クリープが発生する可能性がある。そこで、前記環状溝は、径方向の静定格荷重が作用した際に前記溝底部が前記相手部材に接触不可能である深さを有しているのが好ましい。これにより、転がり軸受は、実使用時、静定格荷重以下で使用される場合が多いことから、実使用時においてクリープを発生し難くすることが可能となる。
本発明によれば、固定輪と相手部材とが接触することによる接触面圧が、局部的に高くなるのを緩和することができ、固定輪にクリープが発生しても摩耗が進行しにくくなる。そして、環状溝を砥石によって形成する場合、その砥石の切り込み深さにばらつきがあったとしても、その影響を環状溝の溝幅の寸法精度に与えにくくすることができ、環状溝の溝幅の寸法のばらつきを抑えることが可能となる。
本発明の転がり軸受を含む回転装置の実施の一形態を示す縦断面図である。 転がり軸受の断面図である。 環状溝及びその形成を説明する説明図である。 転がり軸受に静定格荷重が作用している場合の外輪及びハウジングの拡大断面図である。 他の形態の転がり軸受の断面図である。 従来の転がり軸受を説明するための断面図である。 従来の環状溝を説明する説明図である。 従来の環状溝を説明する説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の転がり軸受7を含む回転装置1の実施の一形態を示す縦断面図である。回転装置1はハウジング2及び回転軸4を有しており、一対の転がり軸受7,7によって回転軸4がハウジング2に回転自在となって支持されている。回転軸4は、転がり軸受7,7が取り付けられている小径軸部4a,4aと、転がり軸受7,7(内輪11,11)の間に介在し小径軸部4aよりも外径が大きい大径軸部4bとを有している。
ハウジング2の内周面3(以下、ハウジング内周面3ともいう。)の軸方向両側には、環状部5a,5bが設けられている。そして、転がり軸受7,7は、モータ用の予圧付与型の軸受であり、転がり軸受7,7は軸方向一方側の荷重(予圧)が付与された状態にある。
軸方向一方側(図1では右側)の転がり軸受7と、軸方向他方側(図1では左側)の転がり軸受7とは同じ構成である。以下において、軸方向一方側(図1では右側)の転がり軸受7を代表として詳細な構成を説明する。
図2は、転がり軸受7の断面図である。転がり軸受7は、回転軸4に外嵌して取り付けられている内輪11と、ハウジング内周面3に取り付けられている外輪12と、これら内輪11と外輪12との間に介在している複数の転動体と、これら転動体を保持する環状の保持器14とを備えている。本実施形態の転動体は玉13であり、図2に示す転がり軸受7は深溝玉軸受である。そして、前記のとおり、この転がり軸受7には一方向の軸方向荷重が作用している。
本実施形態では、内輪11と回転軸4とは「締まり嵌め」の状態で組み立てられており、内輪11は回転軸4に密着して嵌合しており回転軸4と一体回転可能である。これに対して、外輪12は、固定状態にあるハウジング2に取り付けられているが、この外輪12はハウジング内周面3に「すきま嵌め」の状態で組み立てられている。
このため、回転軸4が内輪11と共に回転している使用状態で、外輪12とハウジング2との間においてクリープ(ハウジング2に対する外輪12の周方向の滑り)が発生することがある。なお、クリープについては、後にも説明する。
内輪11の外周面には、玉13が転動する内輪軌道溝(軌道面)11aが設けられており、外輪12の内周面には、玉13が転動する外輪軌道溝(軌道面)12aが設けられている。そして、複数の玉13は、内輪11と外輪12との間の環状空間15に設けられており、転がり軸受7が回転すると(内輪11が回転すると)、これら玉13は保持器14によって保持された状態で内輪軌道溝11aと外輪軌道溝12aとを転動する。
保持器14は、複数の玉13を周方向に沿って所定間隔(等間隔)をあけて保持することができ、このために、保持器14には玉13を収容するためのポケット18が周方向に沿って複数形成されている。本実施形態の保持器14は、玉13の軸方向一方側に設けられている円環部14aと、この円環部14aから軸方向他方側に延在している複数の柱部14bとを有している。そして、円環部14aの軸方向他方側(図2では左側)であって、周方向で隣り合う一対の柱部14b,14b間が、ポケット18となる。なお、保持器14は、他の形態であってもよく、例えば、軸方向他方側にも円環部を有する構成とすることができる。
本実施形態の転がり軸受7では、固定輪である外輪12がハウジング2(相手部材)に取り付けられており、この外輪12の外周面が、ハウジング2(内周面3)に対する嵌め合い面22となっている。そして、図2に示すように、この嵌め合い面22に環状溝32が形成されている。環状溝32は、周方向に連続する環状の凹溝からなる。また、環状溝32は、嵌め合い面22の軸方向の中央部に形成されている。そして、外輪軌道溝12aに対する玉13の接触点の径方向外側の位置が、環状溝32の軸方向の中央と一致する。
ここで、ハウジング2と外輪12との間で生じるクリープについて説明する。転がり軸受7において発生する可能性のあるクリープには、次の三つが考えられる。なお、下記の軸受回転方向とは、本実施形態の場合、回転輪である内輪11の回転方向である。
・第1のクリープ:軸受回転方向と同方向へゆっくりと外輪12が滑るクリープ
・第2のクリープ:軸受回転方向と同方向へ速く外輪12が滑るクリープ
・第3のクリープ:軸受回転方向と逆方向に外輪12が滑るクリープ
第1のクリープは、転がり軸受7に径方向(ラジアル方向)の大きな荷重が作用している場合に発生しやすく、下記のメカニズムによって発生すると考えられる。すなわち、転がり軸受7に径方向の大きな荷重が作用している場合、玉13が高負荷を受けて外輪軌道溝12aを通過する際、その直下である外輪外周側において部分的に弾性変形する。玉13は外輪軌道溝12aに沿って移動することから、外輪12は脈動変形(脈動変位)する。これにより、外輪12のハウジング2との接触領域における弾性変形に起因して相対滑りが生じ、この相対滑りにより第1のクリープが発生すると考えられる。
第2のクリープは、第1のクリープと外輪12の移動方向(滑り方向)は同じであるが、転がり軸受7が径方向に関して無負荷である状態で発生しやすい。つまり、径方向に無負荷である場合、内輪11の回転によって外輪12を連れ回りさせ、これにより第2のクリープが発生すると考えられる。
第3のクリープは、外輪12の移動方向(滑り方向)が第1及び第2のクリープと反対であり、これは、例えば径方向の荷重が偏荷重となることで外輪12がハウジング内周面3に沿って振れ回りすることで発生すると考えられる。
そして、本実施形態の転がり軸受7では、前記第1のクリープを抑制するために、外輪12の嵌め合い面22であって外輪軌道溝12aの径方向外側に前記環状溝32が形成されている。図2に示す環状溝32は、外輪軌道溝12aの軸方向幅Yよりも大きな溝幅X0を有しているが、外輪軌道溝12aの軸方向幅Y以下の溝幅X0を有していてもよい。
このようにハウジング2に対する外輪12の嵌め合い面22に環状溝32が形成されていることで、前記の第1のクリープの発生メカニズムで説明したような弾性変形に起因する相対滑りの発生を抑えることができ、第1のクリープを抑制することが可能となる。
つまり、転がり軸受7に径方向の大きな荷重が作用している場合、外輪12のうちの外輪軌道溝12aの径方向外側の領域は径方向外側に弾性変形(拡径)するが、その領域に環状溝32が形成されていることにより、弾性変形(拡径)を主に環状溝32の範囲で生じさせることができる。このため、弾性変形部分とハウジング内周面3とが直接的に接触する作用を低減することができ、弾性変形が相手部材であるハウジング2に(ほとんど)伝わらず、外輪12とハウジング2との間における第1のクリープの発生が抑制される。以上より、環状溝32は、第1のクリープ抑制用の溝(逃げ溝)となる。
このような環状溝32が設けられていることから、外輪12は、環状溝32の軸方向両側に円筒部36,37を有している。これら円筒部36,37の外周面36a,37aは、転がり軸受7の軸受中心線C0を中心とする円筒面からなり、ハウジング2(内周面3)に沿って接触可能な面となる。図2に示すように、軸受中心線C0を含む断面において、円筒部36,37の外周面36a,37aの断面形状は、軸受中心線C0に平行な直線形状を有している。
環状溝32の具体的構成について説明する。環状溝32は、溝底部33と、一対のテーパー面部34,35とを有している。本実施形態の溝底部33は、軸受中心線C0を中心とする円筒面形状を有している。この溝底部33の軸方向両側の端部33a(33b)から、テーパー面部34(35)が、円筒部36(37)の外周面36a(37a)側に向かって延びて設けられている。そして、これら一対のテーパー面部34,35によって、嵌め合い面22側(つまり、径方向外側)に向かうにしたがって環状溝32の溝幅は広くなっている。図2において、最も径方向外側における環状溝32の溝幅(軸方向の幅寸法)をX0としている。
そして、軸受中心線C0を含む断面において、軸方向一方側のテーパー面部35の断面形状は、溝底部33の端部33bから嵌め合い面22(外周面37a)に向かって延びている形状を有し、嵌め合い面22(外周面37a)に対して傾いている直線形状となっており、また、軸方向他方側のテーパー面部34の断面形状は、溝底部33の端部33aから嵌め合い面22(外周面36a)に向かって延びている形状を有し、嵌め合い面22(外周面36a)に対して傾いている直線形状となっている。本実施形態では、軸方向一方側のテーパー面部35と、軸方向他方側のテーパー面部34とは、図2において左右対称形状を有している。
図2に示す断面において、直線形状である一方側のテーパー面部35の延長仮想線35aと、嵌め合い面22(外周面37a)との間の角度θ1は、5°〜45°(5°以上であり45°以下)に設定されている。これと同様に、直線形状である他方側のテーパー面部34の延長仮想線34aと、嵌め合い面22(外周面36a)との間の角度θ2は、5〜45°に設定されている。
角度θ1,θ2の上限値については45°とする以外に、30°としてもよく、更に15°とすることもできる、そして、角度θ1,θ2の下限値については5°とする以外に、8°としてもよい。なお、図2では、環状溝32の断面形状をわかり易くするために、実際よりも角度θ1,θ2及び深さhを大きくして記載している。
環状溝32の形成は、砥石60(図3(A)参照)を外輪12の外周面に接触させることで行うことができる。このため、砥石60は、前記溝底部33及び前記テーパー面部34,35に一致する凸形状を有するものとすればよく、これにより、環状溝32の形成が容易となる。なお、円筒部36,37の外周面36a,37aの研磨は、環状溝32の形成前に終了させておくことができる。
以上の構成を備えている転がり軸受7によれば(図2参照)、環状溝32は、断面において直線形状であるテーパー面部34,35を有している。このため、この環状溝32(テーパー面部34,35)と嵌め合い面22(外周面36a,37a)との交差部分39a,39bの形状が、鋭く尖った形状(例えば、直角になって尖った形状)となっておらず大きな鈍角となっていることから、交差部分39a,39bそれぞれとハウジング2とが接触することによる、ハウジング2における接触面圧が、局部的に高くなるのを緩和することができる。この結果、外輪12にクリープが発生しても摩耗が進行しにくくなる。
更に、環状溝32を砥石60(図3(A)参照))によって形成する際、形成される環状溝32は、溝底部33の軸方向両側に、断面において直線形状となるテーパー面部34,35を有することから、その砥石60の切り込み深さE0に多少のばらつきがあったとしても、その影響を環状溝32の溝幅X0の寸法精度に与えにくくすることができる。このため、環状溝32の溝幅X0の寸法のばらつきを抑えることが可能となる。このようなばらつきを抑えることが可能となる作用について、以下に説明する。
環状溝32の形成は、図3(A)に示すように、外輪12の外周面(嵌め合い面22)に対して砥石60を接近させ、更に、二点鎖線で示すように砥石60を接触させることで行われる。図3(A)は、所望の(設計値とおりの)環状溝32が形成される場合を示しており、砥石60の切り込み深さが設定値E0であり、この場合、所望の(設計値とおりの)溝幅X0が形成される。
これに対して、図3(B)は、外輪12に対する砥石60の切り込み深さE1が、設定値E0(図3(A)参照)よりも深くなった場合を示している。この場合、形成される環状溝32の溝幅X1は、規定の溝幅X0よりも僅かに大きくなるが、従来例(図8(B))と比較して、その変化量(X1−X0)は小さい。
また、図3(C)は、砥石60の切り込み深さE2が、設定値E0(図3(A))よりも浅くなった場合を示している。この場合、形成される環状溝32の溝幅X2は、規定の溝幅X0よりも僅かに小さくなるが、従来例(図8(C))と比較して、その変化量(X0−X2)は小さい。
以上のように、本実施形態の環状溝32は、断面において直線形状であるテーパー面部34,35を有していることから、砥石60の切り込み深さE0にばらつき(E1,E2)があっても、環状溝32の溝幅X0の寸法に影響を与えにくくすることができ、環状溝32の寸法管理・生産管理が、従来例(図8参照)と比較して容易となる。
この結果、環状溝32の溝幅X0を設計値に近づけることが容易となり、環状溝32によるクリープ抑制の作用を適切に発揮させることができ、また、前記交差部分39a,39b(図2参照)とハウジング2とが接触することによる、ハウジング2における面圧が高くなるのを抑えることができる。また、環状溝32の溝幅X0の寸法のばらつきを抑えることが可能となることから、量産にも適している。
ここで、外輪12に環状溝32を形成しても、転がり軸受7の実使用時に、外輪12が弾性変形して溝底部33の一部がハウジング2(内周面3)に接触すると、前記のとおり、その接触状態の変化(脈動)によって、第1のクリープが発生する可能性がある。そこで、本実施形態の転がり軸受7では、図4に示すように、環状溝32の深さhは、径方向の静定格荷重(基本静定格荷重)が作用しても溝底部33がハウジング2(内周面3)に接触不可能である値に設定されている。つまり、静定格荷重が転がり軸受7に作用して外輪12の一部が弾性変形した際に、溝底部33とハウジング2の内周面3との間に隙間Sが形成され、両者は非接触の状態にある。
転がり軸受7は、実使用時、動的荷重として静定格荷重以下の径方向荷重が作用する条件で使用される場合が多いことから、前記構成によれば、実使用時において第1のクリープの発生をより効果的に抑えることが可能となる。なお、図4は、転がり軸受7に静定格荷重が作用している場合の外輪12及びハウジング2の拡大断面図である。この図4において、実線は静定格荷重が作用することで弾性変形した後の状態を示しており、二点鎖線は荷重が作用していない状態を示している。
なお、前記静定格荷重とは、JIS B 1519:2009による「基本静ラジアル定格荷重」である。
環状溝32の深さhは、嵌め合い面22(外周面36a,37a)を基準とした深さである。軸受の型番が異なると前記静定格荷重は異なることから、環状溝32の深さhは、軸受の型番によって異なる。なお、深さhを例えば0.1mm未満とすることができる。
また、環状溝32が深くなりすぎると、外輪12の強度・剛性が低下してしまう。そこで、環状溝32は、前記静定格荷重を超える大きな径方向荷重が作用すると、溝底部33がハウジング2に接触可能となる深さhを有している。このように環状溝32の深さhが設定されていることで、静定格荷重を超える大きな径方向荷重が作用した場合には、溝底部33の一部がハウジング2に接触して、この大きな荷重をハウジング2に伝達させることが可能となる。
前記実施形態(図1参照)では、内輪11が、この内輪11が取り付けられている相手部材(回転軸4)と一体回転する回転輪であり、外輪12が、この外輪12が取り付けられている相手部材(ハウジング2)に(クリープするが)固定されている固定輪である。
しかし、本発明では、内輪11と外輪12との内の一方が回転輪であって他方が固定輪であればよく、前記実施形態と反対に、図5に示すように、軸54に取り付けられている内輪11が固定輪であって、外輪12がハウジング55と共に一体回転する回転輪であってもよい。この場合、内輪11と軸54との間がすきま嵌めの状態とされ、軸54に対して内輪11がクリープすることから、相手部材である軸54に対する内輪11の嵌め合い面(内周面)21に(図2の形態と同様に)環状溝42が形成される。そして、この環状溝42は、溝底部43と、嵌め合い面(内周面)21側に向かうにしたがって溝幅を広くしている一対のテーパー面部44,45とを有している。軸受中心線C0を含む断面におけるこれらテーパー面部44,45の断面形状は、嵌め合い面(内周面)21に対して傾いている直線形状となっている。
この図5に示す形態においても、内輪11と軸54とが接触することによる接触面圧が、局部的に高くなるのを緩和することができ、内輪11にクリープが発生しても摩耗が進行しにくくなる。そして、前記実施形態の場合と同様に、環状溝42を砥石(図示せず)によって形成する場合、その砥石の切り込み深さにばらつきがあったとしても、その影響を環状溝42の溝幅の寸法精度に与えにくくすることができ、環状溝42の溝幅の寸法のばらつきを抑えることが可能となる。また、この図5に示す環状溝42に対して、図2に示す環状溝32の構成(例えば、角度θ1,θ2や、深さh等の構成)を適用することができる。
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の転がり軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。
例えば、溝底部33は、凹形の円弧面であってもよい。また、溝底部33とテーパー面部34(35)との境界部は、凹状のアール面を介して連続していてもよい。
また、図1では、転がり軸受7をモータ用の予圧付与型の軸受として説明したが、モータ用以外であってもよく、本発明の転がり軸受は、クリープが課題となる回転機器に適用可能である。
また、転がり軸受は深溝玉軸受以外にアンギュラ玉軸受であってもよく、また、転動体は玉以外であってもよく、円筒ころや円すいころであってもよい。
2:ハウジング(相手部材) 7:転がり軸受 11:内輪
12:外輪 13:玉(転動体) 14:保持器
21:内輪の内周面(嵌め合い面) 22:外輪の外周面(嵌め合い面)
32:環状溝 33:溝底部 34,35:テーパー面部
34a,35a:延長仮想線 42:環状溝 43:溝底部
44,45:テーパー面部 54:軸(相手部材) 55:ハウジング
C0:軸受中心線 θ1,θ2:角度 h:深さ
X0:溝幅

Claims (3)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、を備え、前記内輪と前記外輪との内の一方が回転輪であって他方が固定輪である転がり軸受であって、
    前記固定輪が取り付けられる相手部材との嵌め合い面に、クリープ抑制用の環状溝が形成されており、
    前記環状溝は、溝底部と、当該溝底部の軸方向両側から延び前記嵌め合い面側に向かうにしたがって溝幅を広くしている一対のテーパー面部と、を有し、
    軸受中心線を含む断面における前記テーパー面部の断面形状は、前記嵌め合い面に対して傾いている直線形状である、転がり軸受。
  2. 前記断面において、直線形状である前記テーパー面部の延長仮想線と前記嵌め合い面との間の角度は、5°〜45°である、請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記環状溝は、径方向の静定格荷重が作用した際に前記溝底部が前記相手部材に接触不可能である深さを有している、請求項1又は2に記載の転がり軸受。
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