以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の
要素には同一の符号を付し、重複する説明を極力省略する。
第1実施形態に係るアンテナモジュール100について、図1から図3を参照して説明する。アンテナモジュール100は、集積回路110、誘電体基板200、複数のパッチアンテナ300、コネクタ400、放熱部材500、及び接続部材600を備える。アンテナモジュール100は、例えば、ミリ波帯の波長域の電波の送受信を行う。
図1の平面図に示されるように、誘電体基板200は基板部210、220、230、240、及び250を備える。
誘電体基板は、低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Co−fired Ceramics:LTCC)多層基板が用いられてもよい。LTCCと異なるセラミックスを用いた多層基板が用いられてもよい。
また、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板が用いられてもよい。低い誘電率を有する液晶ポリマー(Liquid Crystal Plolymer:LCP)から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板が用いられてもよい。また、フッ素系樹脂から構成される樹脂層を複数積層して形成された多層樹脂基板が用いられてもよい。
基板部210、220、230、240、250は、それぞれ長方形の基板である。基板部210には、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ310が表面211に配置される。
基板部220は、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ320が、基板部210の表面211側に配置される表面221を有する。
基板部230は、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ330が、基板部210の表面211側に配置される表面231を有する。
基板部240及び250も基板部220と同様に、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ340及び350が、基板部210の表面211側に配置される表面241及び251をそれぞれ有する。
基板部220、230には誘電体基板200と後述する放熱部材500とを接続する接続部材600が配置される。
図2は図1のアンテナモジュール100を裏面から見たときの平面図である。図2に示されるように、基板部210の裏面212には、集積回路110、バイアスティー回路120、電源制御回路121、パワーインダクタ122、及びコネクタ400が配置される。
集積回路110は、アンテナグループ310、320、330、340、350による電波の送受信を制御する。集積回路110は各パッチアンテナ300に対して電力を給電する。コネクタ400は集積回路110と外部との信号の入出力を行うために設けられる。
バイアスティー回路120は、インダクタ1201及びキャパシタ1202を有する。インダクタ1201の一端はコネクタ400に接続される。インダクタ1201の他端は、キャパシタ1202の一端に接続される。キャパシタ1202の他端は接地に接続される。バイアスティー回路120は、コネクタ400に入力された信号から直流成分を取り出すためのローパスフィルタとして機能する。
電源制御回路121は、インダクタ1201とキャパシタ1202との接続点に接続される。パワーインダクタ122は、一端が電源制御回路121に接続される。パワーインダクタ122の他端は集積回路に接続される。コネクタ400に供給される信号については後述する。
また、基板部210の裏面212側において、集積回路110に接するように放熱部材500が配置される。放熱部材500は、集積回路110が発生する熱を放熱させるために設けられる。放熱部材500は、誘電体基板200に対し、接続部材600によって取り付けられる。放熱部材500は例えば、アンテナモジュールが設けられる筐体やヒートシンクである。接続部材600は例えば、ピン、ねじ、両面テープ、接着剤である。
図3の断面図に示されるように、アンテナモジュール100において、基板部220の表面221は、基板部210の表面211に対して、基板部210の裏面212側に屈曲している。基板部230の表面231は、表面211に対して裏面212側に屈曲している。基板部240、250も同様に裏面212側に屈曲する。
基板部220、230、240、250を屈曲させる方法としては、誘電体基板に熱を加えて、屈曲させる方法を用いることができる。また、屈曲させる前の誘電体基板の裏面に溝を設け、その溝が狭まるように折り曲げることで、基板部220、230、240、250を屈曲させることが考えられる。
パッチアンテナ300は、誘電体基板200の表面に配置される。具体的には、パッチアンテナ300のそれぞれは、基板部210、220、230、240、250の表面211、221、231、241、251に沿って配置される。よって、各アンテナグループの放射方向は、アンテナグループ310の放射方向E1、アンテナグループ320の放射方向E2、アンテナグループ330の放射方向E3のように、それぞれ異なった方向となる。
ここで、図34を参照して、比較例としてのアンテナモジュール100Zについて説明する。アンテナモジュール100Zは、直交座標系において、Z軸正方向に誘電体基板である基板部210Zの表面211Zが向くように配置される。アンテナモジュール100Zには基板部210Zの裏面に集積回路(不図示)が配置され、アンテナグループ310Zによる電波の送受信が制御される。
アンテナモジュール100Zは、Z軸正方向に電波範囲P11Zに示されるように電波を放射することができる。
また、アンテナモジュール100Zはアンテナグループ310Zの指向性を調整するビームフォーミング制御を行うことができる。ビームフォーミング制御によって、アンテナモジュール100Zが放射する電波を、電波範囲P12Z又は電波範囲P13Zのように変化させることができる。
電波範囲を動かすことによって、アンテナモジュール100Zは、YZ平面において直線Z11から表面211Zを挟んで直線Z12に向かうまでの範囲に対して電波を放射することができる。
アンテナモジュール100における放射範囲について、図3を用いて説明する。アンテナグループ310は直線A11から表面211を挟んでA12に向かうまでの範囲、アンテナグループ320は直線A21から表面221を挟んで直線A22に向かうまでの範囲、アンテナグループ330は直線A31から表面231を挟んで直線A32に向かうまでの範囲において、電波を放射することができる。
コネクタ400を通じて集積回路110に供給される信号について、図4を参照して説明する。コネクタ400には、ベースバンドIC(不図示)から入力信号が供給される。入力信号には、集積回路110の電源として用いられる直流信号、局部発振信号(Lo)、及び制御信号が含まれる。また、スーパーヘテロダイン方式を用いる場合には、中間周波数(IF)帯域の信号が入力信号にさらに含まれる。
局部発振信号は、ベースバンドICにおいて生成される信号である。局部発振信号は、アンテナモジュール100の受信信号又は送信信号に合成される。中間周波数帯域の信号を用いて送信信号の処理を行う場合、ベースバンドICは、送信信号に局部発振信号を合成することによって中間周波数帯域の信号を生成する。
制御信号は、パッチアンテナ300による電波の入出力を制御するために、集積回路110に供給される信号である。制御信号は、局部発信信号の周波数や中間周波数よりも低い周波数の信号である。
コネクタ400が同軸コネクタである場合、コネクタ400には入力信号の各信号が重畳されて供給される。直流信号の電圧は、例えば3.3Vである。局部発振信号の周波数は、例えば数GHzである。中間周波数信号の周波数は、例えば10数GHzである。制御信号の周波数は、例えば数百MHzである。
コネクタ400に供給される信号の直流成分は、バイアスティー回路120によって取り出されて、電源制御回路121へと入力される。電源制御回路121及びパワーインダクタ122によって電圧変換がなされた電源電圧が、集積回路110に供給される。集積回路110に供給される電源電圧は、例えば1.0V又は1.8Vである。
図5に示されるように、コネクタ400を多極コネクタ401に置き換えてもよい。多極コネクタ401を用いる場合、電源電圧は、電源管理を行うPMIC(Power Management IC)124及びパワーインダクタ1231、1232、及び1233によって管理される。PMIC124によって、アンテナの出力に応じて、例えば1.8V、1.5V、1.0Vといった、複数の電源電圧を供給することが可能となる。
図6は、第1実施形態に係るアンテナモジュール100のブロック図である。図6を参照して、集積回路110について説明する。
図6では、説明を容易にするために、アンテナグループ310を構成する複数のパッチアンテナ300のうち、4つのパッチアンテナ300に対応する構成のみ示され、同様の構成を有する他のパッチアンテナ300に対応する構成については省略されている。また図6では集積回路110の構成のうち、アンテナグループ310に対応する構成のみが示される。
図6には、集積回路110、アンテナグループ310、及びコネクタ400が示される。アンテナモジュール100は、コネクタ400を通じてアンテナモジュール100へ入力された信号を高周波信号にアップコンバートしてアンテナグループ310から放射する。アンテナモジュール100は、アンテナグループ310で受信した高周波信号をダウンコンバートしてコネクタ400を通じて出力する。
集積回路110は、スイッチ111Aから111D、113Aから113D、1171、1172、パワーアンプ112ATから112DT、ローノイズアンプ112ARから112DR、減衰器114Aから114D、移相器115Aから115D、信号合成/分波器116、ミキサ118、及び増幅回路119を備える。
高周波信号を送信する場合には、スイッチ111Aから111D、113Aから113Dがパワーアンプ112ATから112DT側へ切り換えられるとともに、スイッチ1171及びスイッチ1172が増幅回路119の送信側アンプに接続される。高周波信号を受信する場合には、スイッチ111Aから111D、113Aから113Dがローノイズアンプ112ARから112DR側へ切り換えられるとともに、スイッチ1171及びスイッチ1172が増幅回路119の受信側アンプに接続される。
コネクタ400へ入力された信号は、増幅回路119で増幅され、ミキサ118でアップコンバートされる。アップコンバートされた高周波信号である送信信号は、信号合成/分波器116で4分波され、4つの信号経路を通過して、それぞれ異なるパッチアンテナ300に給電される。このとき、各信号経路に配置された移相器115Aから115Dの移相度が個別に調整されることにより、アンテナグループ310の指向性を調整することができる。
各パッチアンテナ300で受信された高周波信号である受信信号は、それぞれ、異なる4つの信号経路を経由し、信号合成/分波器116で合波される。合波された受信信号は、ミキサ118でダウンコンバートされ、増幅回路119で増幅されてコネクタ400から出力される。
集積回路110は、例えば、上記回路構成を含む1チップの集積回路部品として形成される。あるいは、集積回路110におけるパッチアンテナ300に対応する機器(スイッチ、パワーアンプ、ローノイズアンプ、減衰器、移相器)については、対応するパッチアンテナ300毎に1チップの集積回路部品として形成されてもよい。
図7に示されるように、集積回路110は、アンテナグループ310に加えて、アンテナグループ320、330、340、350にも接続される。集積回路110は、アンテナグループ320、330、340、350に対して、アンテナグループ310と同様に電波の送受信を制御する。
集積回路110によって、アンテナグループ310、320、330、340、350が制御されることにより、アンテナモジュール100は、図3における放射方向E1、E2、E3のように複数の方向に対して電波を放射できるような構成となっている。
図34のアンテナモジュール100Zのように、一方向に対して電波を放射する場合との相違点について説明する。アンテナモジュール100とアンテナモジュール100Zに対して同量の電力が供給されるとする。アンテナモジュール100Zの場合は、供給された電力によって、アンテナグループ310Zから一方向のみに対して電波を放射することとなるため、アンテナの放射可能距離は、図34におけるZ軸正方向に長い。
一方、アンテナモジュール100では複数のアンテナグループ310、320、330、340、350に配置されたパッチアンテナ300から電波を放射することになる。アンテナモジュール100Zと同量の電力を供給された場合に、アンテナグループ310、320、330、340、350それぞれに供給される電力は、アンテナグループ310Zに供給される電力と比較すると少量となる。各アンテナグループへの電力供給量が小さくなると、各アンテナグループから放射される電波は、各アンテナグループにより近い位置まで届くこととなる。
ところが、アンテナモジュール100では、各アンテナグループの放射方向が放射方向E1、E2、E3のように異なっている。よって、アンテナモジュール100は、電波の送受信が可能な角度範囲、つまりカバレッジがアンテナモジュール100Zよりも広くなっている。
アンテナモジュール100は、一つの集積回路110を用いて同量の電力供給を受ける場合、一方向に電波を放射するようなアンテナモジュール100Zよりも、カバレッジを広くすることができる。
例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレットなどの携帯端末、又は通信機能を備えたパーソナルコンピュータのような通信機器に対して、アンテナモジュール100を用いる場合が考え得る。これらの通信機器においては、使用時に通信機器の姿勢が変化する場合があり、その変化に対応可能なように、アンテナモジュールのカバレッジが広いことが望ましい。
アンテナモジュール100はアンテナモジュール100Zに比べてカバレッジが広い。よって、より少ない個数のアンテナモジュール100により、通信機器に必要な通信範囲を確保することができる。
また、アンテナモジュール100Zを用いて、アンテナモジュール100と同様のカバレッジを得るためには、複数のアンテナモジュール100Zを複数の方向に向けてる必要がある。つまり、アンテナモジュール100は、より少ない個数で複数のアンテナモジュール100Zと同等のカバレッジを得ることができるため、モジュールの省スペース化が可能となる。
第2の実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
第2実施形態に係るアンテナモジュール100Aについて、図8及び図9を参照して説明する。アンテナモジュール100Aにも、集積回路110、放熱部材500、接続部材600は備えられるが、図8及び図9においては、これらの図示は省略している。アンテナモジュール100Aでは、誘電体基板200Aにパッチアンテナ300が配置される。誘電体基板200は基板部210A、220A、230Aを有する。
なお、図8は基板部210A、220A、230Aを同一平面上に展開した展開図である。本実施形態以降に示す展開図は、アンテナモジュールの基板部を屈曲させる前の状態が示される。
図8では、各基板部の裏面212A、222A、232Aが見えるように示されている。アンテナモジュール100Aは、基板部220Aを矢印B1の方向へ90度折り曲げ、基板部230Aを矢印B2の方向へ90度折り曲げることによって、形成される。
図9に示すように、基板部210Aに配置されたパッチアンテナ300によって放射方向E4へ電波が放射される。基板部220Aに配置されたパッチアンテナ300によって放射方向E5へ電波が放射される。基板部230Aに配置されたパッチアンテナ300によって放射方向E6へ電波が放射される。
アンテナモジュール100Aは、3つの放射方向E4、E5、E6に対して電波を放射することができるので、アンテナモジュール100Aによっても、アンテナモジュールのカバレッジが向上する。
第3実施形態に係るアンテナモジュール100Bについて、図10及び11を参照して説明する。図10はアンテナモジュール100Bの表面から見た展開図である。なお、アンテナモジュール100Bは、集積回路及びコネクタ(不図示)を裏面に有する。第1実施形態に係るアンテナモジュール100との相違点は、基板部220B、230B、240B、250Bの折り曲げ方である。
基板部220Bの表面221Bは、基板部210Bの表面211Bに対して、基板部210Bの裏面側に90度折り曲げられる。基板部230Bの表面231Bは、基板部210Bの表面211Bに対して、基板部210Bの裏面側に90度折り曲げられる。基板部240B、250Bも同様に、表面241B、251Bが基板部210Bの裏面側に90度折り曲げられる。
図11にはアンテナモジュール100Bを、基板部210BがZ軸正方向を向くように直交座標系に配置した状態が示される。アンテナモジュール100Bの形状は、直方体の一面がない5面体となる。
アンテナモジュール100Bでは、基板部210Bに配置されたパッチアンテナ300からZ軸正方向に電波範囲P1のように電波が放射される。基板部220BはX軸正方向に電波範囲P2、基板部230B(不図示)はX軸負方向に電波範囲P3のように電波を放射する。基板部240B(不図示)はY軸負方向に電波範囲P4、基板部250BはY軸正方向に電波範囲P5のように電波を放射する。
アンテナモジュール100Bにおいても、誘電体基板200Bを複数の方向に向くような基板部210B、220B、230B、240B、250Bによって構成することで、カバレッジを広くすることができる。
アンテナモジュール100Bの変形例であるアンテナモジュール100Cについて、図12及び図13を参照して説明する。図12の展開図に示されるように、基板部200Cは基板部230Bから延びる基板部260Cを有する。基板部260Cの表面261Cには、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ360が配置される。アンテナモジュール100Cは、集積回路及びコネクタ(不図示)を裏面に有する。
基板部220Bから基板部250Bまではアンテナモジュール100Bと同様に折り曲げられる。基板部260Cは、基板部230Bの裏面側に90度折り曲げられる。基板部260Cは折り曲げられた状態において、基板部210Bと対向する。
図13にはアンテナモジュール100Cを、基板部210BがZ軸正方向を向くように直交座標系に配置した状態が示される。アンテナモジュール100Cの形状は、直方体状の6面体となる。
アンテナモジュール100Cは、電波範囲P1、P2、P3、P4、P5に加えて、基板部260Cに配置されたアンテナグループ360から、Z軸負方向に電波範囲P6のように電波を放射する。アンテナモジュール100Cでも、カバレッジを広くすることができる。
第4実施形態に係るアンテナモジュール100Dについて、図14を参照して説明する。図14では、アンテナモジュール100Dの表面から見た平面図が示される。アンテナモジュール100Dは、集積回路及びコネクタ(不図示)を裏面に有する。
アンテナモジュール100Dの基板部200Dは、基板部210D、220D、230D、240D、250D、260D。270D、280D、及び290Dを有する。基板部210Dの表面211Dは8角形である。表面211Dは一辺2132D、2133D、2134D、2135D、2136D、2137D、2138D及び2139Dを有する。
基板部220Dは、一辺2132Dから延伸するように形成される。本明細書に記載の実施形態では、「延伸」するという言葉を、ある基板部の内側から、その基板部の外周方向へと向かうという意味で用いる。アンテナモジュール100Dにおいては、多角形状の基板部210Dの内側から基板部210Dの外周方向へと向かうように延びることを意味する。
基板部230Dは、一辺2133Dから延伸するように形成される。基板部240Dから290Dもそれぞれ、一辺2134Dから2139Dまでの各辺から延伸するように形成される。
アンテナモジュール100Dでは、基板部220Dから290Dまでを基板部210Dの裏面側に屈曲させることによって、アンテナモジュール100Dのカバレッジを向上させることができる。
第5実施形態に係るアンテナモジュール100Eについて図15を参照しつつ説明する。第5実施形態においては、各基板部は長方形の基板によって構成されるものとする。図13には第5実施形態に係るアンテナモジュール100Eの断面図が示される。断面図は、各基板部の主面に対して垂直な平面による断面図である。
アンテナモジュール100Eの誘電体基板200Eは、基板部210E、220E、230E、240E及び250Eを有する。各基板部には複数のパッチアンテナ300を有するアンテナグループ310E、320E、330E、340E、350Eが配置される。
基板部220Eは、基板部210Eの一辺2132Eから延伸するように形成される。基板部230Eは、基板部210Eの他の一辺2133Eから延伸するように形成される。
基板部240Eは、基板部220Eから延伸するように形成される。基板部250Eは、基板部230Eから延伸するように形成される。
基板部220Eの表面221Eは、基板部210Eの表面211Eに対して、基板部210Eの裏面212E側に屈曲している。基板部230Eの表面231Eは、表面211Eに対して裏面212E側に屈曲している。
基板部240Eの表面241Eは、基板部220Eの表面221Eに対して、基板部220Eの裏面222E側に屈曲している。基板部250Eの表面251Eは、表面231Eに対して裏面232E側に屈曲している。つまり、表面241E及び251Eは、基板部210Eの裏面212E側に屈曲している。
アンテナモジュール100Eでは、5つの基板部210E、220E、230E、240E及び250Eによって5つの放射方向へと電波を発信できるので、カバレッジが向上する。
図16には、第5実施形態に係るアンテナモジュール100Eの変形例として、アンテナモジュール100Fが示される。アンテナモジュール100Fは4つの基板部210F、220F、230F及び240Fを有している。また、基板部220F、230F、240Fはアンテナモジュール100Eと同様に、基板部210Fの裏面212F側に屈曲している。アンテナモジュール100Fにおいても、カバレッジの向上が可能となる。
図17には、第5実施形態に係るアンテナモジュール100Eの変形例として、アンテナモジュール100Gが示される。アンテナモジュール100Gは6つの基板部210G、220G、230G、240G、250G及び260Gを有している。また、基板部220G、230G、240G、250G及び260Gは、アンテナモジュール100Eと同様に、基板部210Gの裏面212G側に屈曲している。アンテナモジュール100Fにおいても、カバレッジの向上が可能となる。
第6実施形態に係るアンテナモジュール100Hについて、図18を参照して説明する。図18には、アンテナモジュール100Hの表面から見た平面図が示される。アンテナモジュール100Hは、集積回路及びコネクタ(不図示)を裏面に有する。
アンテナモジュール100Hの誘電体基板200Hは基板部210H、220H、230H及び240Hを有する。基板部210Hの表面211Hは円形である。
基板部220Hは、表面211の円形の外周の一部2132Hから延伸するように形成される。基板部230Hは、表面211の円形の外周の一部2133Hから延伸するように形成される。
表面211H、221H、231H、241H、251Hには、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ310H、320H、330H、340H、350Hがそれぞれ配置される。
アンテナモジュール100Hでは、基板部220Hから250Hまでを基板部210Hの裏面側に屈曲させることによって、アンテナモジュール100Hのカバレッジを向上させることができる。
第6実施形態に係るアンテナモジュール100Hの変形例であるアンテナモジュール100Iの平面図を図19に示す。アンテナモジュール100Iは、基板部210I、220I、230I、240I及び250Iを有する。基板部220I、230I、240I、250Iどうしの円周方向における隙間が、基板部210Iに近づくにつれて狭くなる点が、アンテナモジュール100Hとの相違点である。
アンテナモジュール100Iでも、基板部220Hから250Hまでを基板部210Hの裏面側に屈曲させることによって、アンテナモジュール100Hのカバレッジを向上させることができる。
第6実施形態に係るアンテナモジュール100Hの変形例のアンテナモジュール100Jの平面図を図20に示す。アンテナモジュール100Jは、基板部210J、220J及び230Jを有する。基板部210J、220J。230Jには複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ310J、320J、330Jがそれぞれ配置される。
基板部210Jの表面211Jは円形である。基板部220Jは、表面211の円形の外周の一部2132Jから延伸するように形成される。基板部230Jは、表面211の円形の外周の一部2133Jから延伸するように形成される。
アンテナモジュール100Jでも、基板部220Jから250Jまでを基板部210Jの裏面側に屈曲させることによって、アンテナモジュール100Jのカバレッジを向上させることができる。
第7実施形態に係るアンテナモジュール100Kについて、図21を参照して説明する。図21はアンテナモジュール100Kの断面図である。誘電体基板200はドーム状の形状であり、長手方向に垂直な平面における断面が示される。アンテナモジュール100Kの誘電体基板200は、折れ目なく一体的に湾曲して形成される基板部210K、220K及び230Kを有する。
基板部210K、220K、230Kには複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ310K、320K、330Kがそれぞれ配置される。アンテナグループ310Kは放射方向E7に、アンテナグループ320Kは放射方向E8に、アンテナグループ330Kは放射方向E9に電波を放射する。
アンテナモジュール100Kは、複数の放射方向E7、E8、E9に対して電波を放射することができるので、アンテナモジュール100Kによっても、アンテナモジュールのカバレッジが向上する。
以上、本発明の第1から第7までの形態について説明した。アンテナモジュール100は、誘電体基板200と、複数のパッチアンテナ300と、複数のパッチアンテナ300による電波の送受信を制御する集積回路110と、集積回路110と外部との信号の入出力に用いられるコネクタ400と、集積回路110が発生する熱を放熱させる放熱部材500と、誘電体基板200と放熱部材500とを接続する接続部材600と、を備える。誘電体基板200は、複数のパッチアンテナ300のうちアンテナグループ310のパッチアンテナ300が配置される表面211と、集積回路110及びコネクタ400が配置される裏面212とを有する基板部210と、複数のパッチアンテナ300のうちのアンテナグループ320のパッチアンテナ300が配置される基板部210の表面211側の表面221を有する基板部220と、複数のパッチアンテナ300のうちのアンテナグループ330のパッチアンテナ300が配置される基板部210の表面211側の表面231を有する基板部230と、を含む。基板部220は、基板部210の表面211に対して基板部210の裏面212側に屈曲し、基板部230は、基板部210の表面211に対して基板部210の裏面212側に屈曲する。アンテナグループ310のパッチアンテナ300、アンテナグループ320のパッチアンテナ300、及びアンテナグループ330のパッチアンテナ300は、それぞれ放射方向が異なる。放熱部材500は、基板部210の裏面212側において集積回路110に接するように配置される。
アンテナモジュール100は、基板部210、220、230を有する。基板部220、230は表面211に対して、裏面212側に屈曲しているので、基板部220及び230に複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ320、330を設けることによって、基板部210に設けられるアンテナグループ310とは異なる方向に電波を放射することができる。すなわち、アンテナモジュール100は複数の方向に向けて電波を放射することができる。
また、アンテナモジュール100は集積回路110によって制御されるので、複数の集積回路110を設けることによるサイズ増加を抑制することができる。誘電体基板200は接続部材600によって、放熱部材500に取り付けられるため、誘電体基板200を屈曲させた状態を変化させないようにすることができる。
また、複数の方向に電波を放射する場合に、コネクタ400を通じてまとめて信号を入力することができるので、アンテナモジュール100につながる配線をまとめることができる。配線をまとめることができるので、複数方向に電波を放射する場合であっても、アンテナモジュール100の配線によるサイズ増加を抑制することができる。
また、アンテナモジュール100、100A、100B、100C、100Dは基板部210、210A、210B、210C、210Dの表面211、211A、211B、211C、211Dは多角形であり、基板部220、220A、220B、220C、220Dは、基板部210、210A、210B、210C、210Dの表面211、211A、211B、211C、211Dの多角形の一辺2132、2132A、2132B、2132C、2132Dから延伸するように形成され、基板部230、230A、230B、230C、230Dは、基板部210、210A、210B、210C、210Dの表面211、211A、211B、211C、211Dの多角形の他の一辺2133、2133A、2133B、2133C、2133Dから延伸するように形成される。
アンテナモジュール100、100A、100B、100C、100Dは、多角形の一辺2132、2132A、2132B、2132C、2132Dに沿って基板部220、220A、220B、220C、220Dを折り曲げることができる。直線状の折り曲げ方となるため、折り曲げる加工を容易に行うことができる。
アンテナモジュール100H、100I、100Jは、基板部210H、210I、210Jの表面211H、211I、211Jは円形であり、基板部220H、220I、220Jは、基板部210H、210I、210Jの表面211H、211I、211Jの円形の外周の一部2132H、2132I、2132Jから延伸するように形成され、基板部230H、230I、230Jは、基板部210H、210I、210Jの表面211H、211I、211Jの円形の外周の他の一部2133H、2133I、2133Jから延伸するように形成される。
アンテナモジュール100H、100I、100Jは、基板部220H、220I、220Jが作る曲面に沿って電波を放射することができ、平面状の基板部の場合と比べて、電波が放射可能な範囲をより広げることができる。
また、アンテナモジュール100Kでは、基板部210K、220K、及び230Kは、一体的に湾曲して形成される。アンテナモジュール100Kの基板部210K、220K、230Kを一体的に形成することで、曲面に沿って電波を放射することができ、平面状の基板部の場合と比べて、電波が放射可能な範囲をより広げることができる。
また、アンテナモジュール100、100B、100D、100E、100H、100I、100Jでは、基板部220、220B、220D、220E、220H、220I、220J及び230、230B、230D、230E、230H、230I、230Jは、基板部210、210B、210D、210E、210H、210I、210Jに対して対称的に形成される。
この構成とすることで、アンテナモジュール100、100B、100D、100E、100H、100I、100Jは、対称的な方向に対して電波を放射することができる。
第8実施形態に係るアンテナモジュール100Lについて、図22を参照して説明する。図22はアンテナモジュール100Lの主面に沿う方向から見た正面図である。図22には、アンテナモジュール100Lが屈曲する前の状態が示される。
アンテナモジュール100Lは、集積回路110、誘電体基板200L、及び複数のパッチアンテナ300を備える。また、それぞれ図示されない、コネクタ、放熱部材、及び接続部材を備える。コネクタ、放熱部材、及び接続部材は第8から第12までの実施形態において図示されない。
基板部210Lの表面211Lには、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ310が配置される。基板部210Lは、基板部210Lの表面211Lから基板部210Lの裏面212Lに向かう厚さ方向に沿う側面214を有する。側面214は、例えば、矩形状の面である。
基板部210Lの裏面212Lに集積回路110が配置される。基板部210Lの内部を通る配線3011によって、集積回路110と基板部210Lに設けられるパッチアンテナ300が接続される。
基板部220Lは、複数のパッチアンテナ300からなるアンテナグループ320が、基板部210Lの表面211L側に配置される表面221Lを有する。基板部220Lは、側面214の一部から延びるように、基板部210Lに接続する接続部2201を有する。接続部2201は、図22において、基板部220L内部の厚さ方向に伸びる点線で区切られた領域にある。基板部220Lの内部を通る配線3012によって、集積回路110と基板部220Lに設けられるパッチアンテナ300が接続される。
基板部210L及び基板部220Lは多層基板であり、それぞれ複数の導電層を有する。基板部210Lは、基板部210Lだけでなく基板部220Lにあるパッチアンテナ300にも接続される。よって、適切な配線を行うために、基板部210Lは、基板部220Lよりも多くの導電層の層数を必要とする。ここでは、例として、基板部210Lが5層、基板部220Lが3層の場合を図示している。
基板部210L及び基板部220Lは連続する導電層である配線層Lを有する。配線3011及び配線3012は、厚さ方向に延びるビア及び、配線層L内に形成される配線パターンを通じて、各パッチアンテナ300に接続される。
図22において、配線3011及び3012は、集積回路110から配線層Lに至るまでに、2層分のビアを用いて、各パッチアンテナ300に接続する。
なお、図22においては、配線3011及び配線3012の厚さ方向における位置を分けて表現しているが、実際には、配線層Lにおいて、各配線3011及び3012は同一面内に形成される。
基板部220Lは基板部210Lよりも必要な層数が少ないので、基板部220Lの一部である接続部2201の厚さ方向における厚さT2は、基板部210Lの厚さ方向における厚さT1よりも小さくなる。
第1実施形態に係るアンテナモジュール100のように基板部220Lを屈曲させることで、アンテナモジュール100Lでも、アンテナのカバレッジを確保することができる。基板部220Lを屈曲させる方法としては、誘電体基板200Lに熱を加えて曲げる方法がある。接続部2201の厚さが薄い場合、基板部220Lを、矢印Aで示される基板部210Lの裏面212L側へと屈曲させやすくなる。
アンテナモジュール100Lの製造時において、基板部220Lを曲げた後のアンテナモジュール100Lのそれぞれには、曲がり方のばらつきが生じる。曲がり方のばらつきは、アンテナモジュール100Lを筐体に固定することで調整される。基板部220Lを屈曲させやすくすることで、曲がり方のばらつきの補正が容易になる。
本実施形態の変形例に係るアンテナモジュール100Mについて、図23を参照して説明する。アンテナモジュール100Mは、接続部2201の厚さT2が基板部210Mの厚さT1よりも小さい。厚さT2は基板部220Mの接続部2201以外の部分の厚さT3よりも小さい。このようにすることで、接続部2201を曲げやすくなる。よって、アンテナモジュール100Mでも、曲がり方のばらつきの補正が容易になる。
第9実施形態に係るアンテナモジュール100Nについて図24を参照して説明する。図24に示されるように、アンテナモジュール100Nは、アンテナモジュール100Lと比較して、基板部220Nの裏面222Nが、基板部210Nの裏面212Nと連接している点が異なる。なお、図24においても、配線層Lにおいて、配線3011及び3012は同一面内に形成される。
図25には、基板部210N及び基板部220Nの各層の一部が模式的に示される。基板部210Nは、グランドパターンが形成される導電層であるグランド層G11、G12を有する。基板部220Nも同様にグランド層G21、G22を有する。基板部210Nにおける配線層Lは、グランド層G11及びG12に挟まれた位置にある。基板部210Nにおける配線層Lは、グランド層21及びグランド層22に挟まれた位置にある。
この場合、配線3011及び3012は、集積回路110から配線層Lに至るまでに、1層分のビアを用いて、各パッチアンテナ300に接続する。よって、アンテナモジュール100Lと比較して、ビアによる損失を小さくすることが可能となる。基板部220Nの厚さを薄くしつつ、ビアによる損失を小さくすることによって、基板部220Nの曲げやすさを確保しつつ、アンテナモジュール100Nの効率を向上させることができる。
第10実施形態に係るアンテナモジュール100Oについて、図26及び図27を参照しつつ説明する。アンテナモジュール100Oは、厚さT1が厚さT2よりも薄い点で、アンテナモジュール100Lと異なる。
なお、厚さT2は異なるが、基板部220Oの層数は3層である。基板部220Oでは、配線層Lとグランド層G21及びG22との間隔が、アンテナモジュール100Lよりも、広くなっている。
図27は、基板部210O及び基板部220Oの平面図であり、表面のパッチアンテナ300と、表面より内部にある配線層Lに形成される配線3011及び配線3012Oが示される。図27に示されるように、基板部220Oにおける配線3102Oの幅Lw2は、基板部210Oにおける配線3102Oの幅Lw1よりも大きい。そして、基板部210Oにおける配線3012Oの進行方向Bに対する配線3012Oの断面の周囲長は、基板部220Oの進行方向Bに対する配線3102Oの断面の周囲長よりも大きい。
高周波信号の配線損失は、配線の断面の周囲長に反比例する。そのため、配線3102Oの断面の周囲長を大きくすることによって、基板部220Oでの配線3012における損失を低下させることができる。
一方、基板部220Oにおいて配線3102Oの断面の周囲長を大きくした場合、配線3012Oのインピーダンスは小さくなる。配線3012のインピーダンスが途中で変化することは、信号を伝達するうえで好ましくない。そのため、配線層Lとグランド層G21及びG22との間隔を拡げている。間隔を拡げた場合、配線3012Oのインピーダンスは大きくなる。つまり、基板部220Oにおいて配線3012Oの断面の周囲長を大きくすることによる配線3012Oのインピーダンスの減少を、配線層Lとグランド層G21及びG22との間隔を広げることによる配線3012Oのインピーダンスの増加によって、補うことが可能となる。
また、図26に示されるように、基板部210Oの厚さT1に集積回路110の厚さT4を加えた厚さが、基板部220Oの厚さT2よりも小さくなるような場合には、基板部220Oを矢印A方向に曲げた際のアンテナモジュール100Oの厚さの増加にはつながらない。ただし、基板部220Oを曲げる角度によっては、アンテナモジュール100Oの厚さは増加することがある。
第11実施形態に係るアンテナモジュール100Pについて、図28から図30までを参照して説明する。図28は、アンテナモジュール100Pの平面図である。アンテナモジュール100Pは、側面214Pが、基板部210Pの表面211Pに沿う面方向に長辺を有する矩形状である。面方向における基板部210Pの幅Pw1は、面方向における基板部220Pの幅Pw2よりも大きい。なお、幅Pw1及びPw2を変更するにあたり、基板部220Pの表面221Pに配置されるパッチアンテナ300の個数は幅を変化させない場合と同じ個数である。
基板部220Pの幅Pw2が小さくなるため、アンテナモジュール100よりも基板部220Pを曲げやすくなる。よって、アンテナモジュール100Pにおいても、曲がり方のばらつきの補正が容易になる。
基板部220Pの幅を変えることにより、アンテナモジュール100Pの取り個数を増加させることができる。取り個数について、図29及び図30を参照して説明する。アンテナモジュールは、母材に複数個のアンテナモジュールを形成し、それを切り分けることによって形成される。
図29には、横幅w及び縦幅hの母材800に、それぞれが正方形の基板部210X、220X及び230Xを有するアンテナモジュールが複数個形成された場合の平面図が示される。この場合、母材800からは、8個のアンテナモジュールを取り出すことができる。
図30には、母材800に正方形の基板部210P、それぞれ長方形の基板部220P及び基板部230Pを有するアンテナモジュールが複数個形成された場合の平面図が示される。
このとき、母材800からは、図29における場合と同じ8個のアンテナモジュールを取り出すことができる。図30における場合と比較して、基板部220P及び基板部230Pの幅を小さくしているため、アンテナモジュールを取り出すために必要な母材の横幅wが小さくなっている。よって、アンテナモジュールの取り個数を多くすることができる。
第12実施形態に係るアンテナモジュール100Qについて、図31を参照して説明する。図31には、アンテナモジュール100Qの平面図が示される。アンテナモジュール100Qは、接続部2201Qに、開口部2202Qを有する。
開口部2202Qは、基板部210Qの裏面に配置された集積回路(不図示)から基板部210Qの内部及び接続部2201Qを通じて、パッチアンテナ300へとつながる配線3102Qどうしの間に形成される。開口部2202Qは、基板部220Qを厚さ方向に貫通して設けられる。開口部2202Qは、基板部220Qを貫通しない所定の深さであってもよい。
基板部210Q及び基板部220Qの接続部2201Qの近くには、配線3012Qに沿って複数のビア900が設けられる。ビア900は、配線3012Qどうしの干渉を低減させるために設けられる。
アンテナモジュール100Qにおいても、開口部2202Qを設けることによって接続部2201Qを曲げることが、アンテナモジュール100の場合と比べて容易になる。加えて、開口部2202Qによって、接続部2201Qを通る配線3012Qどうしの干渉を低減させることができる。
以上、第8から第12までの実施形態について説明した。アンテナモジュール100Lは、アンテナモジュールであって、誘電体基板200と、複数のパッチアンテナ300と、複数のパッチアンテナ300による電波の送受信を制御する集積回路110と、集積回路110と外部との信号の入出力に用いられるコネクタと、集積回路110が発生する熱を放熱させる放熱部材と、誘電体基板200と放熱部材とを接続する接続部材と、を備える。誘電体基板200は、複数のパッチアンテナ300のうちのアンテナグループ310のパッチアンテナ300が配置される表面211Lと、集積回路110及びコネクタが配置される裏面212Lとを有する基板部210Lと、複数のパッチアンテナ300のうちのアンテナグループ320のパッチアンテナ300が基板部210Lの表面211L側の表面221Lに配置され、基板部210Lの表面211Lから基板部210Lの裏面212Lに向かう厚さ方向に沿う基板部210Lの側面214の一部から延びるように、基板部210Lに接続する接続部2201を有する基板部220Lと、を含む。基板部220Lの表面221Lは、基板部210Lの表面211Lに対して基板部210Lの裏面212L側に屈曲し、アンテナグループ310のパッチアンテナ300及びアンテナグループ320のパッチアンテナ300は、放射方向が異なり、放熱部材は、基板部210Lの裏面212L側において集積回路110に接するように配置され、基板部210Lの厚さT1は、接続部2201の厚さT2と異なる。
この構成とすることで、パッチアンテナ300を異なる放射方向に放射させつつ、基板部220Lを、設計要求に応じた適切な厚さとすることができる。
また、アンテナモジュール100L、100M、100Nでは、厚さT2は、厚さT1よりも小さい。よって、基板部220L、220M、220Nを、基板部210L、210M、210Nに対して曲げやすくすることができる。
また、アンテナモジュール100Mでは、接続部2201は、基板部210Mの裏面212Mと連接する裏面222Mを有する。これにより、基板部210Mにおけるビアによる損失を小さくすることができ、アンテナモジュール100Mの効率が向上する。
また、アンテナモジュール100Oでは、厚さT2は、厚さT1よりも大きく、集積回路110から、基板部210Oの内部及び接続部2201の内部又は表面を通じて、アンテナグループ320のパッチアンテナ300へとつながる配線3012は、基板部210Oにおける、配線3012の進行方向Bに対する配線3012の断面の周囲長よりも、基板部220Oにおける、進行方向Bに対する配線3012の断面の周囲長の方が大きい。
これにより、配線3012における損失を低減させることができ、アンテナモジュール100Oの効率が向上する。
また、アンテナモジュール100Pでは、基板部210Pの側面214Pは、基板部210Pの表面211Pに沿う面方向に長辺を有する矩形状であり、面方向における基板部210Pの幅Pw1は、面方向における基板部220の幅Pw2よりも大きい。
これにより、アンテナモジュール100Pを曲げやすくしつつ、製造時の取り個数を増加させることができる。
また、アンテナモジュール100Qでは、接続部2201Qには、接続部2201Qの厚さ方向に向かう開口部2202Qが形成される。これによっても、基板部220Qを曲げやすくすることができる。
また、アンテナモジュール100Qでは、開口部2202Qは、集積回路110から基板部210Qの内部及び接続部2201Qを通じて、アンテナグループ320のパッチアンテナへとつながる配線3012Qどうしの間に形成される。これにより、配線3012Qどうしの干渉を低減することができる。
第13実施形態に係るアンテナ機器10について、図32及び図33を参照して説明する。図32に示されるように、アンテナ機器10は、アンテナモジュール101、102、103及び筐体部700を有する。
アンテナ機器10は、図32の概略図に示されるように、人間の頭部Hの周囲に装着される装置に設けられる機器である。装置は、例えばヘッドマウントディスプレイである。図32では装置の図示は省略し、アンテナ機器10のみを示している。
アンテナ機器10に設けられるアンテナモジュール101は、例えば図33に示すような、第1実施形態に係るアンテナモジュール100と同等のアンテナモジュールである。アンテナモジュール102及び103についても同様である。
図32に示されるように、筐体部700は環状の部材である。アンテナモジュール101、102、103が筐体部700の周上に等間隔で配置されている。アンテナモジュール101の基板部の表面と、アンテナモジュール102の基板部の表面と、アンテナモジュール103の基板部の表面は互いに異なる方向に面するように配置される。
各アンテナモジュールによって電波の送受信が可能な角度範囲Φは120°である。3つのアンテナモジュール101、102、103を用いることによって、アンテナ機器10は頭部Hの周囲360°の角度範囲に対して電波の送受信が可能となる。
図33を参照して、アンテナモジュール101により電波の送受信が可能な角度範囲について説明する。基板部210に設けられたアンテナグループ310は、直線B11から基板部210を挟んで直線B12までの角度Φ1の範囲に対して電波を放射可能である。アンテナグループ320は、直線B21から基板部220を挟んで直線B11までの角度Φ2に対して電波を放射可能である。アンテナグループ330は、直線B32から基板部230を挟んで直線B12までの角度Φ3に対して電波を放射可能である。
図33では、角度Φ1、Φ2、Φ3はいずれも40°である。アンテナモジュール101が120°の範囲に対して電波を放射するために、基板部220及び基板部230が、基板部210に対して折り曲げられる角度である折り曲げ角度Θは40°である。
各アンテナグループ310、320、330による電波の放射が可能な角度範囲がいずれも等しい場合、その角度と、基板部220、230の折り曲げ角度Θを等しくすることで、各アンテナグループ310の角度範囲を重複させることなく、電波の放射を行うことができる。
アンテナ機器10によって電波の送受信を行いたい角度範囲をΦs、アンテナ機器10に設けられるアンテナモジュールの個数をN、各アンテナモジュールの基板部の折り曲げ回数をMとすると、折り曲げ角度Θは以下に示される数式を満たす。
アンテナ機器10においては、Φs=360°、N=3、M=2であり、Θ=40°である。この式に基づいて、アンテナ機器10とは異なるアンテナ機器に対しても、配置するアンテナモジュールの個数及び各アンテナモジュールの折り曲げ回数を調整することができる。よって目的とする角度範囲に対して電波の送受信が可能なアンテナ機器10が設計可能となる。
また、アンテナ機器10は、アンテナモジュール101及びアンテナモジュール102と、アンテナモジュール101とアンテナモジュール102が配置される筐体部700と、を備え、アンテナモジュール101の基板部の表面は、アンテナモジュール102の基板部の表面とは異なる方向に面するように配置される。
アンテナモジュール101、102の誘電体基板が屈曲しているため、各アンテナモジュールは広い範囲に電波を放射することができる。このようなアンテナモジュール101、102を筐体部700に設けることによって、アンテナ機器10が、アンテナモジュールの個数を少なくしつつ十分な範囲に電波を放射可能となる。
なお、以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。