JP2020119858A - ワイヤハーネス - Google Patents

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Abstract

【課題】取り付け精度に優れたワイヤハーネスを提供する。【解決手段】ワイヤハーネス(100)は、複数のワイヤ(21)を備える第1ケーブル(20)と第2ケーブル(30)とが一体に束ねられた集合体であって、一方が車輪側に他方が車体側に配線される複合ケーブル(10)と、前記複合ケーブル(10)の端部において分岐する前記第1ケーブル(20)の前記各ワイヤ(21)の周囲を覆う保護材(50)と、を備え、前記保護材(50)は、前記ワイヤ(21)の長手方向に貫通する複数の空間が前記ワイヤ(21)の収容部(51,52)として設けられたチューブであり、前記複数のワイヤ(21)は、前記複数の収容部(51,52)に個別に収容されて、前記チューブ内での前記各ワイヤ(21)の位置が固定される。【選択図】図4

Description

本発明は、ワイヤハーネスに関する。
従来、車両に設けられた車輪速度センサにより車輪の回転速度を検出して、車輪の回転を制動するブレーキ装置を電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)によって制御するアンチロックブレーキシステムが知られている。また、ECUによってブレーキ装置の作動を制御することにより、パーキングブレーキを実現する電動パーキングブレーキも知られている。
ECUと車輪速度センサを接続するケーブルと、ECUと電動パーキングブレーキとして作動させるブレーキ装置を接続するケーブルは、いずれも一方が車輪側に配線され、配線の位置が近い。ケーブルの占有スペースを減らし、配線作業を簡易化する観点から、各ケーブルを一体にまとめた複合ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開2011−229351号公報 特開2017−107868号公報 特表2018−512695号公報
複合ケーブルの端部では、電動パーキングブレーキ用とセンサ用のケーブルに分岐する。電動パーキングブレーキ用のケーブルは複数のワイヤを含み、分岐によって各ワイヤが露出するため、飛石等からワイヤを保護することを目的として各ワイヤは保護材で覆われることがある。各ワイヤは、保護材の上から取付部材によって保持されて車体又は車輪に取り付けられる。
従来は、保護材として貫通孔を有するチューブ、ホース等が用いられ、貫通孔内にワイヤが挿入されるが、円形状の貫通孔内では隙間が多く各ワイヤの位置が固定されない。取付時に貫通孔内でワイヤが動くため、ワイヤのねじれがないように車体等に取り付けようとすると、取付部材の角度を一定に規制することができない。また、保護材の脱落を防ぐために取付部材の保護材の保持部分を締め付けるが、締め付け時にも貫通孔内でワイヤが動くため、締め付け方向を規制することができず、一定の保持力を得ることも難しかった。
本発明は、取り付け精度に優れたワイヤハーネスを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、複数のワイヤ(21)を備える第1ケーブル(20)と第2ケーブル(30)とが一体に束ねられた集合体であって、一方が車輪側に他方が車体側に配線される複合ケーブル(10)と、前記複合ケーブル(10)の端部において分岐する前記第1ケーブル(20)の前記各ワイヤ(21)の周囲を覆う保護材(50)と、を備え、前記保護材(50)は、前記ワイヤ(21)の長手方向に貫通する複数の空間が前記ワイヤ(21)の収容部(51,52)として設けられたチューブであり、前記複数のワイヤ(21)は、前記複数の収容部(51,52)に個別に収容されて、前記チューブ内での前記各ワイヤ(21)の位置が固定される、ワイヤハーネス(100)が提供される。
本発明によれば、取り付け精度に優れたワイヤハーネスを提供することができる。
本発明の一実施形態のワイヤハーネスを示す正面図である。 図1中のA−A線における断面図である。 複合ケーブルから分岐する第1ケーブルの拡大図である。 図3中のB−B線における断面図である。 保護材に収容される1対のワイヤを示す斜視図である。
以下、本発明のワイヤハーネスの実施の形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する構成は、本発明の一実施態様としての一例(代表例)であり、本発明は以下に説明する構成に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態のワイヤハーネスを示す。図2は、図1中のA−A線における断面図である。
図1に示すように、ワイヤハーネス100は、複合ケーブル10を備える。複合ケーブル10は、第1ケーブル20と第2ケーブル30が一体に束ねられたケーブル集合体であり、一方が車両の車輪側に他方が車体側に配線される。複合ケーブル10の長さは、通常50cm〜1m程度であるが、車両のサイズによって長さは調整される。
複合ケーブル10の両端部では、第1ケーブル20と第2ケーブル30が分岐して延出する。ワイヤハーネス100は、第1ケーブル20の両端にそれぞれ装着されたコネクタ61及び62と、第2ケーブル30の両端にそれぞれ装着されたコネクタ63及び64を備える。また、ワイヤハーネス100は、複合ケーブル10に装着されたグロメット65を備える。グロメット65が車体への固定部材と嵌合し、複合ケーブル10が車両に固定される。
複合ケーブル10の耐振動性及び屈曲性を高める観点から、第1ケーブル20と第2ケーブル30は撚られている。複合ケーブル10は、図2に示すように、第1ケーブル20と第2ケーブル30の撚り線40と、撚り線40を束ねるテープ12と、テープ12上から撚り線40の周囲を被覆するアウタージャケット11とを備える。複合ケーブル10の両端部のアウタージャケット11を剥がして第1ケーブル20と第2ケーブル30を露出させることにより、各ケーブル20及び30を分岐させることができる。
(第1ケーブル)
第1ケーブル20は、一方がコネクタ61によって電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)として作動させる電動ブレーキ装置300に接続され、他方がコネクタ62によってECU201に接続される電源線である。EPBとして作動する電動ブレーキ装置300は、液圧により車輪のディスクロータにブレーキパッドを押し当てて車輪の回転を制動する制動機構と、液圧によらずブレーキパッドの位置を移動させるモータと、を備える。第1ケーブル20によって車体に搭載されるECU201から電動ブレーキ装置300へモータの駆動電流が供給され、この駆動電流によってモータの駆動が制御される。なお、電動ブレーキ装置300は、液圧ではなくモータでブレーキパッドを移動させる電気機械式ブレーキ(EMB:Electro-Mechanical Brake)であってもよい。
第1ケーブル20は、図2に示すように、1対のワイヤ21を備える。ワイヤ21は、導線22と、導線22の周囲を被覆する絶縁体23とを備える。導線22としては、例えば銅、銅合金等の電導性の金属線を使用できる。絶縁体23としては特に限定されないが、絶縁性及び耐熱性の観点から樹脂が好ましい。好ましく使用できる樹脂としては、例えば架橋性ポリエチレンであるXLPE(Cross Linked PolyEthylene)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE:Ethylene-TetraFluoroEthylene)等が挙げられる。
(第2ケーブル)
第2ケーブル30は、一方がコネクタ63によって車輪速度センサ(WSS:Wheel Speed Sensor)400に接続され、他方がコネクタ64によってECU202に接続される信号線である。第2ケーブル30によってセンサ400からECU202へ信号が送信され、ECU202が当該信号に基づいて各車輪のブレーキ液圧を制御することにより、アンチロックブレーキシステム(ABS:Anti-lock Brake System)を実現する。なお、図1においてECU201及び202は別体であるが、同一のECUであってもよい。また、第2ケーブル30は、コネクタ63を介さずWSS400に直接接続してもよい。
第2ケーブル30は、図2に示すように、1対のワイヤ31と、各ワイヤ31の周囲を被覆するインナージャケット34とを備える。外部ノイズを減らすことを目的として、ワイヤ31とインナージャケット34間には金属シールドが設けられてもよい。同じ目的から、インナージャケット34の外側、すなわち第2ケーブル30の外周面が金属シールドで被覆されていることが好ましい。金属シールドとしては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の導電性を有する金属を用いた金属箔、これら金属箔と樹脂フィルムの積層体(例えば、アルミニウム箔とポリエステル樹脂フィルムの積層体)、編組線、金属メッシュ等が挙げられる。複合ケーブル10の端部において分岐し、延出する第2ケーブル30の各ワイヤ31は、インナージャケット34により保護される。ワイヤ31は、導線32と、導線32の周囲を被覆する絶縁体33とを備える。導線32及び絶縁体33としては、第1ケーブル20の導線22及び絶縁体23と同様の材料を使用できる。
インナージャケット34の材料は、可撓性及び屈曲性の観点からは熱可塑性樹脂が好ましく、柔軟性の観点からは架橋処理していない熱可塑性樹脂が好ましい。好ましく使用できる熱可塑性樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂等が挙げられる。ポリウレタン樹脂を用いたインナージャケット34は柔らかく弾性があり、耐振動性及び耐衝撃性に優れるため、飛び石等の異物との接触及び振動が多い車輪付近に配置されるワイヤ31の保護に適している。インナージャケット34に熱可塑性樹脂を用いる場合、1対のワイヤ31の周囲に熱可塑性樹脂を溶融押出しすることにより、インナージャケット34を形成することができる。
第2ケーブル30の外周面は、滑剤13をまぶす等の処理によって、滑剤13で被覆される。使用できる滑剤13としては、例えばタルクパウダー等が挙げられる。滑剤13により、第1ケーブル20と第2ケーブル30間の摩擦、屈曲時に第2ケーブル30に加わるストレス等を減らすことができる。特に、タルクの融点はアウタージャケット11に用いられる樹脂の融点よりも高いことが一般的である。溶融押出しによりアウタージャケット11を形成するとき、インナージャケット34の表面は高温に晒されるが、その温度より融点が高いタルクがインナージャケット34の表面の溶融を抑えてテープ12への溶着を減らすことができる。なお、第2ケーブル30だけでなく、第1ケーブル20の周囲も滑剤13で被覆されていてもよい。
(テープ)
テープ12は、第1ケーブル20と第2ケーブル30の撚り線40の周囲にらせん状に巻き付けられて、第1ケーブル20と第2ケーブル30を一体に束ねる。テープ12により第1ケーブル20と第2ケーブル30の撚られた状態を安定化できるとともに、溶融押出しによるアウタージャケット11の形成時にアウタージャケット11と撚り線40が融着することを防ぐことができる。また、テープ12はインナージャケット34等と比べて滑り性が高いため、アウタージャケット11を剥がす作業が容易となる。
テープ12の材料としては、滑り性が良好であり、テープ12とアウタージャケット11間の摩擦係数(例えば、静摩擦係数)が、アウタージャケット11と、撚り線40すなわちワイヤ21の絶縁体23及びインナージャケット34との間の摩擦係数よりも小さい材料が用いられる。そのようなテープ12の具体例としては、例えば紙、不織布、樹脂フィルム等が挙げられる。なかでも、紙は低コストで切れやすくアウタージャケット11とともに剥がしやすいため、好ましい。
テープ12の巻き方向は、第1ケーブル20と第2ケーブル30の撚り方向と同じであることが好ましい。これにより、第1ケーブル20と第2ケーブル30の撚りを維持しやすく、撚り線40のたるみを抑えることができる。
(アウタージャケット)
アウタージャケット11は、テープ12が巻き付けられた撚り線40の周囲を被覆する。アウタージャケット11は、例えば材料としてインナージャケット34と同様に熱可塑性樹脂を使用し、撚り線40の周囲に熱可塑性樹脂を溶融押出しすることにより形成することができる。なかでも、ポリウレタン樹脂を用いたアウタージャケット11は、柔らかく弾性があり、耐振動性及び耐衝撃性に優れるため、飛び石等の異物との接触及び振動が多い複合ケーブル10の保護に適している。
アウタージャケット11に用いられる熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)は、インナージャケット34に用いられる熱可塑性樹脂の融点(又は軟化点)よりも低いことが好ましい。溶融押出しによるアウタージャケット11の成形温度をインナージャケット34の融点より低くできるため、インナージャケット34の溶融又は軟化を抑えることができる。これにより、インナージャケット34として架橋性ではない熱可塑性樹脂を選択してインナージャケット34の屈曲性を高めることができる。熱可塑性樹脂の融点は、例えば結晶度の異なる熱可塑性樹脂を選択することにより調整することができる。なお、融点は示差走査熱量分析(DSC:Differential scanning calorimetry)により測定することができ、軟化点は熱機械分析(TMA:Thermomechanical Analysis)により測定することができる。
アウタージャケット11は、耐衝撃性を高める観点から、インナージャケット34よりも柔軟性が高いことが好ましい。一例として、アウタージャケット11の柔軟性の指標値の1つであるショアA硬度は80〜95の範囲内で、インナージャケット34のショアA硬度は80〜95の範囲内で選択でき、各範囲内でアウタージャケット11のショアA硬度がインナージャケット34のショアA硬度よりも5〜11程度低いことが好ましい。インナージャケット34とアウタージャケット11とで同種の熱可塑性樹脂を使用する場合、例えばポリウレタン樹脂を使用する場合、リン酸エステル等の可塑剤の配合量を変えることで柔軟性を調整できる。
(保護材)
複合ケーブル10は、図1に示すように、端部において分岐する第1ケーブル20の各ワイヤ21の周囲を覆う保護材50を備える。保護材50により第1ケーブル20の各ワイヤ21を束ねるとともに、露出した各ワイヤ21を飛び石等から保護することができる。使用できる保護材50の材料としては、耐振動性及び可撓性を有する材料、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)等のゴムが挙げられる。保護材50は、例えばダイスを用いた溶融押出しにより形成することができる。
図3は、複合ケーブル10の端部において分岐した第1ケーブル20の拡大図である。図4は、図3中のB−B線における断面図である。なお、図3及び図4中のx、y及びzの方向は説明のために使用される方向であって、実際の方向を示すわけではない。
図3及び図4に示すように、分岐した第1ケーブル20の1対のワイヤ21の周囲が保護材50によって覆われている。1対のワイヤ21は保護材50上からブラケット66によって保持され、車両の取付面Csに取り付けられる。
図4に示すように、ブラケット66は、一方の端部が折り曲げられて、内壁の断面形状がU字状の保持部66aが設けられる。保持部66aの開放部分から保護材50に覆われた第1ケーブル20を挿入し、保持部66aの外壁にz方向から負荷を加えて締め付けることにより、保持部66aに第1ケーブル20を保持させることができる。保護材50の外周面と保持部66aの内壁面が接触するように保護材50のサイズが調整されると、脱落を防ぎやすく、少ない負荷で締め付けることも可能である。保持部66aの端部には加締め部66bが設けられる。保護材50のx方向の一端部が保持部66aの内壁と接触し、もう一端部が加締め部66bと接触して、保護材50の位置が固定される。
図3及び図4に示すように、保護材50は、ワイヤ21の長手方向(図3中のy方向)に貫通する2つの空間が1対のワイヤ21の収容部51及び52として設けられたチューブである。1対のワイヤ21は、2つの収容部51及び52に個別に収容されて、チューブ内での各ワイヤ21の位置が固定される。撚り線40から分岐したワイヤ21は撚られていたときの状態に戻ろうとして動きやすいが、収容部51及び52によりこの動きを制止できる。収容部51及び52に余裕がありワイヤ21が動ける場合でも収容部51及び52内部での動きに限られるため、ワイヤ21の位置は収容部51及び52の位置に固定される。一定の位置関係で各ワイヤ21をブラケット66に保持させることができるため、ブラケット66を取り付ける角度を一定に規制することができる。ブラケット66の締め付け時にもチューブ内でワイヤ21の位置は固定されているため、締め付け方向を常に一定に規制することができる。チューブ内でワイヤ21同士の擦れによるワイヤ21の損傷も減らすことができる。
収容部51及び52のサイズは目的に応じて調整することができる。ワイヤ21の動きを減らす観点からは、収容部51及び52の内壁とワイヤ21の外周が接するように、収容部51及び52のサイズを調整すればよい。ワイヤ21の収容部51及び52への挿入の容易性の観点からは、収容部51及び52の内壁とワイヤ21間にギャップが設けられるように、収容部51及び52のサイズを調整すればよい。ギャップがあっても、ワイヤ21の動きは収容部51及び52内に限定されるため、1対のワイヤ21の位置関係は一定に維持することができる。
収容部51及び52の内壁の断面形状は、ワイヤ21の外周に沿った円形状であるが、他の形状であってもよい。収容部51及び52内の隙間を減らし、モールド等の混入を防ぐ観点からは、収容部51及び52の内壁の断面形状が円形状で、収容部51及び52の内壁とワイヤ21の外周が接していることが好ましい。
図4に示すように、2つの収容部51及び52の互いの一部が連通して1対のワイヤ21間には隔壁53が設けられる。収容部51及び52の連通により省スペース化できるとともに締め付け時に弾性変形しやすくなる。連通しても隔壁53によって各ワイヤ21は隔てられるため、チューブ内での各ワイヤ21の位置は固定される。隔壁53は1対のワイヤ21間の一部を隔てるが、2つの収容部51及び52をそれぞれ独立した空間として設けて、1対のワイヤ21間の全部を隔てる隔壁を設けてもよい。
貫通孔が設けられた一般的なチューブを用いても、貫通孔のサイズを小さくして内壁とワイヤ21間の隙間を減らすことでワイヤ21を固定できるかもしれないが、貫通孔の高い加工精度が求められる。これに対し、上記保護材50は、1対のワイヤ21間に隔壁53が設けられることにより、収容部51及び52のサイズによらず各ワイヤ21の位置を各収容部51及び52の位置に固定することができるため、保護材50の加工の自由度が向上する。
保護材50の外周の形状は、ブラケット66の保持部66aの内壁に沿った形状であると、保護材50の保持が容易で締め付け時の変形も防ぐことができる。例えば、断面形状がU字状である保持部66aに対しては、図4に示すように、保護材50の外周の断面形状が長円形であることが好ましい。取付部材がブラケット66ではなく、バンドでケーブルを結束して保持するクリップであり、当該クリップの保持部の内壁の断面形状が円形状である場合は、保護材50の外周の断面形状も円状とすることが好ましい。なお、外周の形状が長円形の保護材50は、長径の外側面の方が短径の外側面よりも屈曲しやすいため、屈曲の方向性も規制できる。
図5は、保護材50に収容される1対のワイヤ21を示す。
図5に示すように、保護材50の開口から一方のワイヤ21を収容部51に挿入し、他方のワイヤ21を収容部52に挿入することで、第1ケーブル20を保護材50で覆うことができる。保護材50に収容後、図3に示すように、アウタージャケット11が剥がされた位置から保護材50までの間は、テープ、モールド、熱収縮性のチューブ等の封止材67によって覆うことにより、保護材50に異物が混入しないように封止できる。
なお、車輪側に配線される第1ケーブル20の保護材50の例を説明したが、車体側に配線される第1ケーブル20にも同様の保護材50を設けることもできる。
以上のように、本実施形態のワイヤハーネス100によれば、複合ケーブル10の端部において分岐する第1ケーブル20の1対のワイヤ21が保護材50の2つの収容部51及び52に個別に収容されて、各ワイヤ21の位置が各収容部51及び52の位置に固定される。一定の位置関係で各ワイヤ21をブラケット66に保持させることができるため、ワイヤ21のねじれがないようにブラケット66を取り付ける角度を一定の角度に規制することができる。ブラケット66での締め付け時にもワイヤ21の位置が一定であるため、締め付け方向も一定に規制することができる。したがって、取り付け精度に優れたワイヤハーネス100を提供することができる。
また、チューブ内での各ワイヤ21の位置関係が固定されると、チューブ内での各ワイヤ21のねじれ状態も一定となり、屈曲時の負荷が均等にかかるため、ワイヤハーネス100の製品寿命が安定化する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、第2ケーブル30がWSS400に接続された例を説明したが、第2ケーブル30の接続先は車輪又は車輪付近に設けられる空気圧センサ、温度センサ、ブレーキパッドの摩耗を検出するセンサ(BPWS:Break Pad Wear Sensor)等であってもよい。
また、複合ケーブル10は、EPB用の第1ケーブル20とWSS400用の第2ケーブル30が撚られた4芯ケーブルであったが、さらに他のケーブルを加えた6芯ケーブル等のケーブル集合体であってもよい。他のケーブルとしては、例えばアクティブダンパシステムに用いられるケーブル等が挙げられる。アクティブダンパシステム用のケーブルは、一方が車輪のダンパに接続され、他方がECUに接続されて、ECUから車輪のダンパの減衰制御の信号をダンパに送信する信号線である。
また、第1ケーブル20及び第2ケーブル30が2対以上のワイヤ21又は31を備えてもよい。この場合も本発明を適用して保護材50にワイヤ21ごとの複数の収容部を設け、各収容部に各ワイヤ21を個別に収容すれば各ワイヤ21の位置を固定することができる。
100・・・ワイヤハーネス、10・・・複合ケーブル、20・・・第1ケーブル、21・・・ワイヤ、30・・・第2ケーブル、40・・・撚り線、11・・・アウタージャケット、50・・・保護材、51及び52・・・収容部、66・・・ブラケット、66a・・・保持部

Claims (5)

  1. 複数のワイヤ(21)を備える第1ケーブル(20)と第2ケーブル(30)とが一体に束ねられた集合体であって、一方が車輪側に他方が車体側に配線される複合ケーブル(10)と、
    前記複合ケーブル(10)の端部において分岐する前記第1ケーブル(20)の前記各ワイヤ(21)の周囲を覆う保護材(50)と、を備え、
    前記保護材(50)は、前記ワイヤ(21)の長手方向に貫通する複数の空間が前記ワイヤ(21)の収容部(51,52)として設けられたチューブであり、
    前記複数のワイヤ(21)は、前記複数の収容部(51,52)に個別に収容されて、前記チューブ内での前記各ワイヤ(21)の位置が固定される、
    ワイヤハーネス(100)。
  2. 前記複数のワイヤ(21)は、1対のワイヤ(21)であり、
    前記複数の収容部(51,52)は、前記1対のワイヤ(21)を個別に収容する2つの収容部(51,52)であり、
    前記2つの収容部(51,52)の互いの一部が連通して前記1対のワイヤ(21)間に隔壁(53)が設けられた、
    請求項1に記載のワイヤハーネス(100)。
  3. 前記第1ケーブル(20)の前記各ワイヤ(21)は、取付部材(66)によって保持されて前記車体又は前記車輪に取り付けられ、
    前記取付部材(66)は、前記保護材(50)の保持部(66a)を備え、
    前記保護材(50)の外周の形状は、前記保持部(66a)の内壁に沿った形状である、
    請求項1又は2のいずれか一項に記載のワイヤハーネス(100)。
  4. 前記保持部(66a)の内壁の断面形状は、U字状であり、
    前記保護材(50)の外周の断面形状は、長円形である、
    請求項3に記載のワイヤハーネス(100)。
  5. 前記第1ケーブル(20)の一方は、電動ブレーキ装置(300)に接続され、
    前記第2ケーブル(30)の一方は、車輪速度センサ(400)に接続される、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイヤハーネス(100)。

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