JP2020116919A - 射出成形品の製造方法、及び射出成形金型 - Google Patents

射出成形品の製造方法、及び射出成形金型 Download PDF

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Abstract

【課題】第二層の成形時における開口部への射出材料の流れ込みを防止して、第一層のうち第二層で覆われた部分に開口部を設けてなる二層構造の射出成形品を低コストに製造可能とする。【解決手段】第一層2を成形した後、第一層2の一部を覆うように第二層3を成形すると共に、少なくとも第二層3に開口する開口部4を形成するに際し、キャビティ20に設けられた成形面21の一部21aを有するスライドブロック90を型開き方向と異なる向きにスライドさせて、第一層2と成形面21の一部21aとの間に第二層3の射出空間42を形成した後、第二層3を成形すると共に、開口部4の成形面21cを有する追従ブロック130をスライドブロック90に設け、スライドブロック90のスライド動作の間、開口部4の成形面21cが第一層2のうち開口部4が形成される部分4aに密着した状態を維持するように、追従ブロック130をコア30及び第一層2に追従させる。【選択図】図8

Description

本発明は、射出成形品の製造方法、及び射出成形金型に関する。
例えば、自動車のインパネやバンパーなどの大型部品のうち、インパネについては、樹脂で成形するのが一般的である。また、バンパーについても、近年、樹脂化への取り組みが進められている。これら大型部品を成形するに際しては、成形品に対応する形状のコアとキャビティとからなる一対の成形用金型と、射出用ユニットとを備えた射出成形装置を用いて、射出成形を行うのが一般的である。
ここで、例えばインパネを射出成形で製造する場合、インパネの高品質化を図る目的で、特に意匠面の品質向上を図る目的で、射出成形材料に例えば所望の色彩、光沢感、質感などを示し得る樹脂やエラストマー、ゴムなどを使用することが検討され、開発が進められている。しかしながら、インパネは大型部品であるが故に高い強度、剛性が求められることから、意匠品質に優れた材料のみでインパネを成形することは難しい。また、上述した射出材料が汎用の樹脂に比べて高価であることも、上記射出材料のみで成形することを妨げる一因となっている。
そこで、強度や剛性などの機械的特性と、色彩や光沢感、質感などの意匠品質とを共に満たし得るインパネとして、インパネのベースとなる第一層と、第一層に密着して形成され、インパネの意匠面の少なくとも一部(例えば上面部の意匠面)を有する第二層との二層構造をなす射出成形品が考えられる。この二層構造をなす射出成形品の製造方法としては、第一の金型で第一層を成形した後、第二層を成形するためのコア上に第一層を移動させた状態で、コアと共に第二層を成形するためのキャビティを用意し、これらコアとキャビティとからなる第二の金型でインサート状態の第一層上に第二層を射出成形する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
あるいは、1個のコアと、成形面形状が互いに異なる2個のキャビティとを備えた射出成形装置を用いた射出成形品の製造方法であって、最初に一方のキャビティとコアとを使用して第一層を射出成形し、次に、一方のキャビティと他方のキャビティとを入れ替えて(例えば2個のキャビティを所定の軸まわりに回転又はスライドさせて)他方のキャビティをコアと対向配置した後、コアの成形面上に第一層を配置した状態で、第二層を射出成形する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
あるいは、一種類の金型(一対のコアとキャビティ)で二層構造の射出成形品を得ることを目的として、一対のコアとキャビティからなる一つの金型で射出成形品の第一層を射出成形した後、コアを型開き方向にスライドさせて(コアをバックさせて)、コア側に保持された第一層とキャビティとの間に新たに第二層を成形するための空間を形成した状態で、第一層を覆うように第二層を射出成形する方法が知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2015−168110号公報 特開2011−84016号公報 特開2005−111820号公報
ここで、特許文献3に記載の方法をインパネの射出成形に適用すれば、一種類の金型(一対のコアとキャビティ)で二層構造のインパネを得ることができ、二種類以上の金型を用意する手間、コスト、及びスペースの省略化による生産性の向上が期待できる。
一方で、インパネは複雑な形状の前面部と上面部とを一体に有する大型部品であるから、インパネを二層構造の射出成形品とする場合、アンダーカット部がなるべく生じないように、インパネの第一層の金型内における射出空間の位置及び姿勢を設定する必要が生じる。この場合、第一層の射出空間の位置及び姿勢が制限されるので、意匠面を有する第二層を形成しようとする位置や範囲によっては、第二層の表面が指向する向きと型開き方向とが大きく異なり、コアバックを利用して第二層を成形することが困難になる。
そこで、例えばインパネの上面部など、型開き方向と異なる向きを指向する表層部を第二層として成形する場合には、第一層の成形に使用したキャビティの成形面の一部を型開き方向とは異なる向きにスライドさせることが考えられる。このようにすれば、第一層とキャビティとの間に第二層を成形するための空間を形成することができるので、第二層の大部分が型開き方向とは異なる向きを指向するような形態のインパネであっても、その厚み方向に合わせて成形面の一部(すなわちキャビティの一部)をスライドさせることができる。よって、第二層の向きに関係なく、コアに第一層が保持された状態で第二層のための所望の射出空間を形成することができる。
ところで、インパネには、メーター表示部やカーナビ、アッパーボックスなど種々の部品を取付ける必要から、インパネのベースとなる第一層のうち第二層で覆われた部分に第一層及び第二層に開口する開口部を設けることがある。この場合、例えば型開き方向と異なる向きにスライドするスライドブロックに開口部の成形面を設けることによって、第一層及び第二層の成形と同時に開口部を成形することができるが、この方法だと、スライドブロックのスライド動作により、先に成形した第一層と、開口部の成形面との間に無視できない大きさの隙間が生じることがある。すなわち、図9(a)に示すように、第一層201を成形した後、スライドブロック202をコア203及び第一層201から離れる向き(図9(a)では上方向)にスライドさせることにより、第二層を射出成形するための空間204が第一層201とスライドブロック202との間に形成される。しかしながら、上述した射出空間204の端部204aにおいては、スライドブロック202に設けた第一層201の成形面202aから開口部の成形面202bが突出しているために、第二層の射出空間204を形成した状態では、開口部の成形面202bと第一層201との間に、無視できない大きさの隙間205が生じる(図9(b)を参照)。これでは第二層の射出空間204だけでなく、上述した隙間205にまで射出材料が流れ込むおそれが高まるため、開口部を安定的に形成することが難しい。また、不要な箇所に射出材料が流れ込むことで、材料の使用量が増加し、重量増並びに材料コストの高騰を招く。
上述した問題は何も自動車用インパネに限ったことではなく、第一層の一部を覆うように第二層を形成してなり、かつ上述の如き開口部を有する他の種類の射出成形品を製造する場合にも起こり得る。
以上の事情に鑑み、本発明では、第二層の成形時における開口部への射出材料の流れ込みを防止して、第一層のうち第二層で覆われた部分に開口部を設けてなる二層構造の射出成形品を低コストに製造可能とすることを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る射出成形品の製造方法によって達成される。すなわち、この製造方法は、第一層と、第一層の少なくとも一部を覆う第二層と、少なくとも第二層に開口する開口部とを備えた射出成形品の製造方法であって、第一層の成形面を有するコア及びキャビティを使用して第一層を成形する第一成形工程と、キャビティに設けられた成形面の一部を有するスライドブロックを型開き方向と異なる向きにスライドさせて、第一層と成形面の一部との間に第二層の射出空間を形成した後、第二層を成形する第二成形工程とを備え、開口部の成形面を有する追従ブロックをスライドブロックに設け、スライドブロックのスライド動作の間、開口部の成形面が第一層のうち開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、追従ブロックをコア及び第一層に追従させる点をもって特徴付けられる。
このように、本発明に係る射出成形品の製造方法では、型開き方向と異なる向きにスライドするスライドブロックを設け、このスライドブロックのスライド動作により第二層の射出空間を形成する場合に、開口部の成形面を有する追従ブロックをスライドブロックに設けて、スライドブロックのスライド動作の間、開口部の成形面が第一層のうち開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、追従ブロックをコア及び第一層に追従させるようにした。このように、スライドブロックに設けた追従ブロックをコア及び第一層に追従させることによって、第二層の射出空間を形成した状態では、開口部に隣接する第二層の射出空間の端部を第一層と追従ブロックに設けた開口部の成形面とでシールすることができる。これにより、第二層用の射出材料が開口部の成形面と第一層との間に流れ込む事態を防止して、第二層及び開口部をそれぞれ所要の位置及び範囲に形成することができる。また、材料増加に伴う射出成形品の重量増加を防止でき、またその分の材料コスト高騰を回避することが可能となる。また、第一層の表面と密着する追従ブロックの表面は、型締め時(第一層の成形時)には、開口部を区画する第一層の一部を成形するための成形面であり、コアバックの間、第一層のうち開口部を区画する部分を成形したときの状態を維持することになる。そのため、例えば第一層の表面と追従ブロックとが擦れて、第一層の表面が傷つくおそれもない。もちろん、本発明によれば、一種類の金型(一対のコア及びキャビティ)のみで二層構造の射出成形品を成形することができるので、製造コスト、設置スペースの面でも良好であり、また金型の交換動作等も必要ないため、生産性の面でも良好である。以上より、本発明に係る射出成形品の製造方法によれば、第一層のうち第二層で覆われた部分に開口部が設けられてなる高品質の自動車用インパネを低コストに量産することが可能となる。
また、本発明に係る射出成形品の製造方法においては、スライドブロックと別体に規制部材を設けて、規制部材により追従ブロックの型開き方向に直交する向きの移動を規制した状態で、コアの型開き動作に伴って、追従ブロックを規制部材に対して型開き方向に摺動するようにしてもよい。
このようにスライドブロックと別体に設けた規制部材で追従ブロックの型開き方向に直交する向きの移動を規制することにより、スライドブロックのスライド動作の間における追従ブロックの型開き方向に直交する向きの移動が規制される。また、上述のように追従ブロックの移動を規制した状態で、型開き動作の間、追従ブロックを規制部材に対して型開き方向に摺動させることで、コアと共に型開き方向に移動する第一層に密着した状態を維持したままで追従ブロックを追従させることができる。よって、簡易な構成で、第二層の射出空間の端部をシールして、開口部をより安定的に形成することが可能となる。
また、前記課題の解決は、本発明に係る射出成形金型によっても達成される。すなわち、この射出成形金型は、第一層と、第一層の少なくとも一部を覆う第二層と、少なくとも第二層に開口する開口部とを備えた射出成形品を成形するための射出成形金型であって、第一層の成形面を有するコア及びキャビティと、キャビティに設けられ成形面の一部を有するスライドブロックと、スライドブロックに設けられ開口部の成形面を有する追従ブロックとを備え、スライドブロックを型開き方向と異なる向きにスライドさせて、第一層と成形面の一部との間に第二層の射出空間を形成した後、第二層を成形し、スライドブロックのスライド動作の間、開口部の成形面が第一層のうち開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、追従ブロックがコア及び第一層に追従可能に構成される点をもって特徴付けられる。
このように、本発明に係る射出成形金型では、型開き方向と異なる向きにスライドするスライドブロックを設け、このスライドブロックのスライド動作により第二層の射出空間を形成する場合に、開口部の成形面を有する追従ブロックをスライドブロックに設けて、スライドブロックのスライド動作の間、開口部の成形面が第一層のうち開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、追従ブロックをコア及び第一層に追従させるようにした。このように、スライドブロックに設けた追従ブロックをコア及び第一層に追従させることによって、第二層の射出空間を形成した状態では、開口部に隣接する第二層の射出空間の端部を第一層と追従ブロックに設けた開口部の成形面とでシールすることができる。これにより、第二層用の射出材料が開口部の成形面と第一層との間に流れ込む事態を防止して、第二層及び開口部をそれぞれ所要の位置及び範囲に形成することができる。また、材料増加に伴う射出成形品の重量増加を防止でき、またその分の材料コスト高騰を回避することが可能となる。また、第一層の表面と密着する追従ブロックの表面は、型締め時(第一層の成形時)には、開口部を区画する第一層の一部を成形するための成形面であり、コアバックの間、第一層のうち開口部を区画する部分を成形したときの状態を維持することになる。そのため、例えば第一層の表面と追従ブロックとが擦れて、第一層の表面が傷つくおそれもない。もちろん、本発明によれば、一種類の金型(一対のコア及びキャビティ)のみで二層構造の射出成形品を成形することができるので、製造コスト、設置スペースの面でも良好であり、また金型の交換動作等も必要ないため、生産性の面でも良好である。以上より、本発明に係る射出成形金型によれば、第一層のうち第二層で覆われた部分に開口部が設けられてなる高品質の自動車用インパネを低コストに量産することが可能となる。
以上のように、本発明に係る射出成形品の製造方法及び射出成形金型によれば、第二層の成形時における開口部への射出材料の流れ込みを防止して、第一層のうち第二層で覆われた部分に開口部を設けてなる二層構造の射出成形品を低コストに製造することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る射出成形品の製造方法であって、インパネを射出成形品とする場合の射出成形の概要を説明するための要部斜視図である。 図1に示す射出成形装置の断面図である。 図2に示す金型の要部拡大断面図である。 図2に示す射出成形装置を用いた射出成形の一例を説明するための図であって、第一層を射出成形した時点における金型の要部拡大断面図である。 図2に示す射出成形装置を用いた射出成形の一例を説明するための図であって、可動型の型開き動作を開始した直後における金型の要部拡大断面図である。 図2に示す射出成形装置を用いた射出成形の一例を説明するための図であって、可動型の型開き動作が終了した時点における金型の要部拡大断面図である。 (a)スライドブロックのスライド案内面に沿ったスライド量のベクトル分解図と、(b)スライドブロックの第一スライド比調整面に沿ったスライド量のベクトル分解図、及び(c)第二追従ブロックの第二スライド比調整面に沿ったスライド量のベクトル分解図である。 図2に示す射出成形装置を用いた射出成形の一例を説明するための図であって、第二層を射出成形した時点における金型の要部拡大断面図である。 他の発明に係る射出成形品の製造方法を説明するための図であって、(a)型締め状態における金型要部断面図と、(b)コアバック後の状態における金型要部断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る射出成形品の製造方法、及び射出成形金型の内容を、自動車用インパネを射出成形する場合を例にとって説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る射出成形品の製造方法の概要を説明するための図であって、インパネ1(図8を参照)を射出成形するための射出成形金型を備えた射出成形装置10の概念図を斜視図として示している。この射出成形装置10は、相互に型締め及び型開き可能な固定型20及び可動型30と、固定型20と可動型30との間に形成される射出空間40と、射出空間40に向けて射出材料を射出するための射出ユニット50a〜50cとを主に備える。ここで、射出空間40は、射出成形品となる自動車用インパネ1の本体形状(図1中、実線で示す形状)をなしている。本実施形態では、3個の射出ユニット50a〜50cが配設されており、そのうち1個の射出ユニット50cは、後述するインパネ1の第一層2(図8を参照)の射出成形に使用され、残り2個の射出ユニット50a,50bは、インパネ1の第二層3(図8を参照)の射出成形に使用される。すなわち、1個の射出ユニット50cは、射出空間40のうち第一層2に対応した第一射出空間41に所定の射出材料P1を射出可能に構成される。また、残り2個の射出ユニット50a,50bは、射出空間40のうち第二層3に対応した第二射出空間42に所定の射出材料P2を射出可能に構成される。
ここで、各射出材料P1,P2の流路は、例えば以下のように構成される。固定型20の射出ユニット50a〜50c側には、各射出材料P1,P2の入口側ゲート部22が設けられると共に、固定型20の射出空間40側には、固定型20の成形面21側(図2を参照)に開口する複数の出口側ゲート部23,24が設けられる。そして、固定型20の内部には、入口側ゲート部22から出口側ゲート部23,24に至る複数の分岐した流路が形成されている(図1中破線及び細線で示す部分を参照)。ここで、射出空間40は、インパネ1のベースとなる部分、ここではインパネ1の前面部の一部表層領域及びインパネ1の上面部の表層領域を除いた残りの領域に対応する第一射出空間41と、インパネ1の前面部の一部表層領域及びインパネ1の上面部の表層領域に対応する第二射出空間42とで構成されている。このうち、第一射出空間41は、固定型20と可動型30とを型締めした状態で固定型20と可動型30との間に形成され(図3を参照)、第二射出空間42は、固定型20と可動型30とが所定量だけ型開きした状態で固定型20と可動型30と間に形成される(図6を参照)。そのため、型締めした状態では、1個の射出ユニット50cから射出された射出材料P1が、1個の入口側ゲート部22を介して固定型20内に流入し、1又は複数個(図1では1個)の出口側ゲート部23を介して第一射出空間41に供給されるようになっている。また、型開きした状態では、2個の射出ユニット50a,50bから射出された射出材料P2が、それぞれ1個の入口側ゲート部22を介して固定型20内に流入し、1又は複数個(図1では1個と2個)の出口側ゲート部24を介して第二射出空間42に供給されるようになっている。
本実施形態では、各射出ユニット50a〜50cと、入口側ゲート部22との間に、ホットランナ60が配設されている。この場合、各射出ユニット50a〜50cのシリンダノズルを前進させて、ホットランナ60の後端部を押圧することにより、ホットランナ60が前進し(固定型20に向けて移動し)、固定型20のランナ受け部と当接することで、上述した射出材料P1,P2の流路が形成されるようになっている。
ここで、射出材料P1,P2の材質は任意であり、第一層2及び第二層3に要求される特性に応じた材料を適宜選択することが可能である。例えば本実施形態のように第一層2がインパネ1のベースとなる場合、射出材料P1には、ポリプロピレンなどの汎用熱可塑性樹脂やエンプラなど、所要の機械的特性を示すと共に相対的に廉価な樹脂を採用することが可能である。また、第二層3が主に意匠品質(加飾性)の向上を目的とする場合、射出材料P2には、上記樹脂の他、ゴム、エラストマーなど色彩、光沢感、質感などの所定の外観特性を示し得る射出可能な材料を採用することが可能である。
図2は、射出成形装置10の鉛直方向断面図を示している。正確には、型締め方向(ここでは水平方向)をx方向、型締め方向に直交する向き(ここでは鉛直方向)をz方向としたときのxz仮想平面で切断したときに現れる断面図である。図2に示すように、この射出成形装置10は、上述のように、固定型20と、可動型30と、射出空間40と、射出ユニット50a〜50cとを備えると共に、固定型20が取付けられる固定プラテン70と、可動型30が取付けられる可動プラテン80と、固定型20に設けられるスライドブロック90と、第一追従ブロック100及び第二追従ブロック130とをさらに備える。これら二つの追従ブロック100,130のうち、第二追従ブロック130が、本発明に係る追従ブロックに相当する。
固定プラテン70と可動プラテン80とは図示しないタイバーを介して相対移動可能に連結されており、同じく図示しない駆動装置により可動プラテン80を固定プラテン70に近づける向きに移動させることで、可動プラテン80に取付けられた可動型30と固定プラテン70に取付けられた固定型20とが型締め状態となる。また、可動プラテン80を固定プラテン70から遠ざける向きに移動させることで、可動型30と固定型20が型開き状態となる。また、ホットランナ60を固定プラテン70内部に配設し、型開き方向に沿って移動可能とすることで、各射出ユニット50a〜50cからの押圧力を受けて、ホットランナ60を固定型20のランナ受け部に当接可能としている。
本実施形態では、固定型20はキャビティをなし、可動型30はコアをなしている。そのため、射出成形品としてのインパネ1の前面部の意匠面側が固定型20側、反意匠面側が可動型30側となるように、射出空間40が設定される。これにより、第一層2(図4)の射出成形後、第一層2がコアとしての可動型30に保持され、型開き動作時、第一層2が可動型30と共に型開き方向(図2ではx方向)に移動可能とされる。
スライドブロック90は、固定型20のうち第二層3に対応する領域に配設される。本実施形態では、インパネ1上面部の意匠面側表層領域を第二層3としているので(図8を参照)、射出空間40の上方にスライドブロック90が配設される。この場合、固定型20に設けられる成形面21のうちスライドブロック90で構成される部分が、第二層3を成形するための第二成形面21aとなり、第二成形面21aを含む成形面21全体が第一層2を成形するための第一成形面となる(以下、単に第一成形面21と称する)。よって、図3に示す型締め状態では、スライドブロック90の第二成形面21aは、可動型30に設けられた成形面31との間に第一射出空間41を形成するための第一成形面21を構成し、図6に示す型開き状態では、第二成形面21aは、第一層2の表面2aとの間に第二射出空間42を形成する。
固定型20には、スライドブロック90のスライドを案内するスライド案内面110が設けられる。このスライド案内面110は、常にスライドブロック90の上面90aと当接しており、上面90aがスライド案内面110と摺動することで、スライドブロック90を所定の方向にスライド可能としている。本実施形態では、第一層2(図4)の表面2aのうち上方を指向する領域2a1との間に所定の隙間t1(図6)を確保できるよう、スライド案内面110の型開き方向(本実施形態ではx方向)に対する傾斜角θ1(図3)が設定される。この場合、型開き方向から傾斜角θ1だけ鉛直上方に傾いた向きに沿ってスライドブロック90がスライド可能とされる。また、本実施形態では、スライドブロック90を付勢するための付勢部材91が固定型20に配設されている。この付勢部材91は、例えばばね等で構成され、スライドブロック90をスライド案内面110に沿ってスライド可能なように、その付勢方向が設定されている。
また、本実施形態では、可動型30に、スライドブロック90のスライド比を調整する第一スライド比調整面120が設けられている。この第一スライド比調整面120は、常にスライドブロック90の先端面90bと当接しており、型開きに伴い、先端面90bが第一スライド比調整面120と摺動することで、スライドブロック90を第一スライド比調整面120に沿って所定の方向にスライド可能としている。このスライド動作により、第一スライド比調整面120は、例えば第二層3が図8に示すようにインパネ1の上面部から前面部の一部にわたって形成される場合に、第二層3のうち前面部に形成される部分3bの厚み寸法が上面部に形成される部分3aの厚み寸法よりも大きく減少するのを防止する役割を有する。詳細は後述する。
ここで、スライドブロック90は、スライド案内面110により型開き方向から斜め上方に向けてスライドし、その際の型開き方向(図3のx方向)のスライド量と、型開き方向に垂直な向き(図3のz方向)のスライド量との割合が、スライド案内面110の傾斜角θ1で設定される。これに対し、スライドブロック90は、第一スライド比調整面120により鉛直上方に移動するにつれて型開き方向と反対の向き(すなわち型締め方向)に移動し、その際の型開き方向に垂直な向き(図3のz方向)のスライド量と、型締め方向のスライド量との割合が、第一スライド比調整面120の傾斜角θ2で設定される。
第一追従ブロック100は、スライドブロック90のうち第二層3の第一の方向(ここではx方向)側の端部に対応する位置に設けられる。本図示例では、この第一の方向側の端部は、本図示例では、第二層3のうちインパネ1の前面部に形成される部分3b(図8)に対応している。ここで、第一追従ブロック100は、型開き時にスライドブロック90と共に移動し、かつ可動型30に追従して型開き方向(ここではx方向)にスライドする。これにより、二層構造をなすインパネ1の第二層3をなす射出材料P2の射出時、第一層2側への漏れ出しを防止する機能を有する。本実施形態では、インパネ1前面部の上面部側に第二層3の第一の方向側の端部が位置しているので(図8を参照)、第一射出空間41のうちインパネ1前面部の上面部側に対応する領域を成形可能な位置に、第一追従ブロック100が配設される。この場合、スライドブロック90に設けられる第二成形面21aのうち第一追従ブロック100で構成される部分が、第一層2のうち第二層3との境界付近を成形するための第三成形面21bとなる。よって、図3に示す型締め状態では、第一追従ブロック100の第三成形面21bは、可動型30の成形面31との間に第一射出空間41を形成するための第一成形面21を構成し、図5及び図6に示す型開き状態では、第三成形面21bは、第一層2の表面2aに密着する。
また、第一追従ブロック100には、図示は省略するが、第一追従ブロック100を第一層2の表面2aに向けて付勢する付勢部材が設けられている。この付勢部材は、例えばスライドブロック90を貫通する支持ピン(図示は省略)で支持されており、スライドブロック90のスライド動作に関係なく、常に所定の方向(本実施形態ではx方向)に第一追従ブロック100を付勢可能としている。
第二追従ブロック130は、スライドブロック90の内部に配設され、インパネ1の第一層2及び第二層3に開口する開口部4(図8を参照)を成形するための成形面(後述する第四成形面21c)を有する。この第二追従ブロック130は、型開き動作の間、可動型30及び可動型30に保持された状態の第一層2に追従してx方向にスライドするように構成されている。この場合、スライドブロック90に設けられる第二成形面21aのうち第二追従ブロック130で構成される部分が第四成形面21cとなる。よって、第二追従ブロック130の第四成形面21cは、図3に示す型締め状態では、可動型30の成形面31との間に第一射出空間41を形成するための第一成形面21を構成し、図5及び図6に示す型開き状態では、第一層2のうち開口部4を形成する部分(開口部4の第一内面4a)に密着した状態となる。
本実施形態では、第二追従ブロック130は、規制部材としての規制ピン140によりz方向への移動を規制された状態にある。この場合、規制ピン140は、スライドブロック90及び第二追従ブロック130の何れとも独立して設けられており、型開き動作の間、固定型20の本体と共に所定の位置に停止した状態を維持する。また、この場合、規制ピン140の下端面140aは、第二追従ブロック130と連結された受け部150と当接し、その法線方向は型開き方向に直交する向きを指向している。すなわち、規制ピン140の下端面140aは、可動型30の型開き方向、すなわちx方向に沿って延在している。これにより、受け部150及び第二追従ブロック130は、規制ピン140に対してx方向に沿って摺動可能とされている。
また、第二追従ブロック130と受け部150の間には、ばね等の付勢部材160が配設されている。この付勢部材160は、型開き動作の間、スライドブロック90のスライド動作に関係なく、常に所定の方向(本実施形態ではx方向に対して傾斜角θ3だけ傾いた向き)に第二追従ブロック130を付勢可能としている。
また、スライドブロック90には、第二追従ブロック130のスライド比を調整する第二スライド比調整面170が設けられている。この第二スライド比調整面170は、少なくともスライドブロック90のスライド動作の間、第二追従ブロック130の側面130aと当接しており、型開き動作に伴い、側面130aが第二スライド比調整面170と摺動することで、第二追従ブロック130を第二スライド比調整面170に沿って所定の方向にのみスライド可能としている。すなわち、第二スライド比調整面170の傾斜角θ3を、第一スライド比調整面120の傾斜角θ2と同じ大きさに設定することで、スライドブロック90が、第一スライド比調整面120により鉛直上方に移動するにつれて型開き方向と反対の向きに移動した分だけ、第二追従ブロック130を型開き方向に移動可能としている。これにより、型開き動作の間における第二追従ブロック130のx方向のスライド量は、可動型30及び第一層2のx方向のスライド量と等しくなる。また、本実施形態では、第二追従ブロック130は受け部150を介して規制ピン140にz方向へのスライドを規制された状態にあるため、固定型20に原点を置いた座標系で見た場合には、スライドブロック90のz方向への移動量は零となる。
次に、上記構成の射出成形装置10を用いたインパネ1の製造方法の一例を、主に図3〜図8に基づいて説明する。
(S1)第一成形工程
まず図3に示すように固定型20と可動型30とを型締めした状態で、1個の射出ユニット50c(図1)を駆動して、射出材料P1を射出空間40に向けて射出する。固定型20と可動型30とを型締めした状態では、射出空間40のうち第一射出空間41のみが固定型20と可動型30との間に形成されているので(図3)、出口側ゲート部23を介して射出材料P1が第一射出空間41に射出され、第一射出空間41に対応した形状の成形部、すなわち第一層2が形成される(図4を参照)。また、スライドブロック90に設けた第二追従ブロック130の第四成形面21cにより、開口部4(図8)のうち第一層2により構成される部分、すなわち開口部4の第一内面4aが第一層2に形成される(図4を参照)。
なお、この際(第一層2の成形時)、スライドブロック90は、可動型30に設けた第一スライド比調整面120によってスライド案内面110に沿ったスライドを規制された状態にある。また、第一追従ブロック100は、可動型30に設けたスライド規制面(図示は省略)によって型開き方向に沿ったスライドを規制され、第二追従ブロック130は、可動型30に設けられたスライド規制面30a(図4を参照)によって第二スライド比調整面170に沿ったスライドを規制された状態にある。また、図4に示す状態では、スライドブロック90の付勢部材91と第一追従ブロック100の付勢部材(図示は省略)、及び第二追従ブロック130の付勢部材160にそれぞれ、所定の付勢力(ばねの場合、弾性復元力)が蓄積された状態にある。
(S2)第二成形工程
第一層2を形成した後、可動プラテン80を駆動して可動型30の型開き動作を開始する(図5を参照)。この際、可動型30の型開き動作に伴って、第一スライド比調整面120が型開き方向(ここではx方向)に移動するので、スライドブロック90のスライド規制状態が解消される。これにより、スライドブロック90が付勢部材91から付勢力を受けて、スライド案内面110に沿った向きのスライドを開始する。図5でいえば、型開き方向(左方向)から時計回りに傾斜角θ1だけ傾斜した向きに、スライドブロック90がスライドを開始する。
一方、本実施形態では、可動型30に第一スライド比調整面120を設けているので、スライドブロック90がスライドを開始することで、スライドブロック90の先端面90bは、第一スライド比調整面120との摺動を開始する。これにより、スライドブロック90がスライド案内面110に沿った向きのスライドを開始すると共に、第一スライド比調整面120に沿った向きのスライドを開始する。図5でいえば、型開き方向と反対の向き(右方向)から反時計回りに傾斜角θ2だけ傾斜した向きに、スライドブロック90がスライドを開始する。
また、可動型30の型開き動作に伴って、第一層2は可動型30の成形面31に保持された状態で可動型30と一体的に型開き方向への移動を開始すると共に、可動型30に設けた図示しないスライド規制面も型開き方向への移動を開始するので、第一追従ブロック100のスライド規制状態が解消される。これにより、第一追従ブロック100は、スライドブロック90のスライド方向に移動しながら、図示しない付勢部材から付勢力を受けて、型開き方向に向けたスライドを開始する。この場合、第一追従ブロック100の第三成形面21bが第一層2の表面2aに密着した状態を保ちながら、第一追従ブロック100が可動型30及び第一層2に追従して型開き方向に移動する。
このようにしてスライドブロック90がスライドするにつれて、スライドブロック90とその下方に位置する第一層2との間には鉛直方向(図5のz方向)の隙間が形成され、拡大していく。この隙間が最終的に第二層3を成形するための第二射出空間42となる(図6)。一方、上述のようにして第一追従ブロック100がスライドすることで、第一追従ブロック100に設けた第三成形面21bと第一層2の表面2aとの密着状態が維持されるので、型開き動作の終了時まで、第一追従ブロック100と第一層2との間に隙間が生じることはない(図6)。
そして、可動型30を所定量だけ型開きした状態で停止させる。これにより、可動型30に保持された状態の第一層2の表面2aのうち上方を指向する領域2a1と、スライドブロック90との間に所定の鉛直方向隙間t1が形成される(図6)。また、第一層2の表面2aのうち前方(型開き方向と反対の向き)を指向する領域でかつ第二層3が形成される領域2a2と、スライドブロック90との間に所定の水平方向隙間t2が形成される(図6)。これら隙間t1,t2を有する空間が、第二層3を射出成形するための第二射出空間42となる。
ここで、図4に示す状態から図6に示す状態に至るまでの、スライドブロック90のスライド案内面110に沿った向きのスライド量(以後、第一スライド量と称する。)をS1としたとき、第一スライド量S1は、鉛直方向成分S1zと、水平方向成分S1xとに分解することができる(図7(a)を参照)。また、上記スライドブロック90の第一スライド比調整面120に沿った向きのスライド量(以後、第二スライド量と称する。)をS2としたとき、第二スライド量S2は、鉛直方向成分S2zと、水平方向成分S2xとに分解することができる(図7(b)を参照)。このうち、第一スライド量S1の鉛直方向成分S1zは、第二射出空間42のインパネ1上面部における鉛直方向隙間t1に相当し、また、スライド案内面110と第一スライド比調整面120とで鉛直方向のスライド量は同じ(S1z=S2z)になることを考慮すれば、図6に示す状態における第二射出空間42の水平方向隙間t2は、S1x−S2xに等しいと考えることができる。以上より、可動型30の型開き量と、スライド案内面110の傾斜角θ1と、第一スライド比調整面120の傾斜角θ2とを適宜設定することにより、第二射出空間42における鉛直方向隙間t1と水平方向隙間t2がそれぞれ所定の大きさに制御される。
また、上述のように、型開き動作に伴い可動型30がx方向に移動することで、第二追従ブロック130のスライド規制状態が解消される。これにより、第二追従ブロック130は、固定型20に原点を置く座標系で見た場合、スライドブロック90と共にスライド案内面110に沿って移動する。一方で、スライドブロック90に原点を置く座標系で見た場合、第二追従ブロック130は、付勢部材160から付勢力を受けて、第二スライド比調整面170に沿った向きのスライドを開始する。この場合、第二追従ブロック130の第四成形面21cが第一層2のうち開口部4を構成する第一内面4aに密着した状態を保ちながら、第二追従ブロック130が可動型30及び第一層2に追従して移動する。これにより、型開き動作が終了した状態では、図6に示すように、第二追従ブロック130の第四成形面21cと第一層2の表面(第一内面4a)との密着状態が維持され、この密着部分に、第二層3を射出成形するための射出材料P2(図1)をシールするためのシール部180が形成された状態となる。
この場合、図4に示す状態から図6に示す状態に至るまでの、第二追従ブロック130の第二スライド比調整面170に沿った向きのスライド量(以後、第三スライド量と称する。)をS3としたとき、第三スライド量S3は、スライドブロック90に原点を置いた座標系から見た場合、鉛直方向成分S3zと、水平方向成分S3xとに分解することができる(図7(c)を参照)。ここで、第二追従ブロック130はスライドブロック90と共にスライド案内面110及び第一スライド比調整面120に沿って移動し、かつ固定型20に固定された規制ピン140によりz方向への移動(特に鉛直上方への移動)を規制された状態にある。そのため、第三スライド量S3のz方向成分S3zと第二スライド量S2のz方向成分S2zとは正負反対でかつ同じ大きさであり、相互に打ち消し合うことで、固定型20に原点を置いた座標系から見た場合の第二追従ブロック130のz方向へのスライド量は零となる。
また、第二スライド比調整面170の傾斜角θ3を、第一スライド比調整面120の傾斜角θ2と同じ大きさに設定することで、スライドブロック90が、第一スライド比調整面120により鉛直上方に移動するにつれて型開き方向と反対の向きに移動した分だけ、第二追従ブロック130は型開き方向に移動する。このことから、型開き動作の間における第三スライド量S3のx方向成分S3xと、第二スライド量S2のx方向成分S2xとが正負反対でかつ同じ大きさであり、相互に打ち消し合う。よって、第二追従ブロック130のx方向のスライド量は、スライドブロック90のx方向のスライド量である第一スライド量S1のx方向成分S1x、すなわち、可動型30及び第一層2のx方向のスライド量と等しくなる。以上より、スライドブロック90に第二追従ブロック130を設ける場合において、第二追従ブロック130は、可動型30及び第一層2に追従して型開き方向(x方向)に移動する。
以上のようにして、第二射出空間42を形成した後、可動型30を図6に示す位置に維持した状態で、2個の射出ユニット50a,50b(図1)を駆動して、射出材料P2を射出空間40に向けて射出する。固定型20と可動型30とを図6に示すように型開きした状態では、射出空間40のうち第二射出空間42が固定型20と可動型30との間、正確には、固定型20及び固定型20に設けたスライドブロック90と、可動型30に保持された第一層2との間に形成されているので(図6)、出口側ゲート部24を介して射出材料P2が第二射出空間42に射出され、第二射出空間42に対応した形状の成形部、すなわち第二層3が形成される(図8を参照)。また、スライドブロック90に設けた第二追従ブロック130の第四成形面21cにより、開口部4のうち第二層3により構成される部分、すなわち開口部4の第二内面4bが第二層3に形成される(図8を参照)。これにより、開口部4が第一層2と第二層3にそれぞれ開口した状態で形成される。本実施形態では、第一層2と第二層3を貫通するように開口部4がインパネ1の上面部に形成される(図8を参照)。この開口部4として、例えばエアコン用の穴(通風口)を挙げることができる。
図8に示すように射出成形を行った後、可動型30を図8に示す状態からさらに型開き方向に移動させることで、インパネ1を固定型20と可動型30との間から取り出す。これにより、前面部及び上面部の大部分をなす第一層2と、第一層2の上面部の表層部及び前面部の表層部の一部をなす第二層3、及び第一層2及び第二層3に開口する開口部4とを一体に有する二層構造の射出成形品であるインパネ1が得られる。
このように、本発明に係るインパネ1の製造方法では、キャビティとしての固定型20に、型開き方向と異なる向きにスライドするスライドブロック90を設け、このスライドブロック90のスライド動作により第二層3の射出空間42を形成する場合に、開口部4の成形面21cを有する第二追従ブロック130をスライドブロック90に設けて、スライドブロック90のスライド動作の間、第四成形面21cが第一層2のうち開口部4が形成される部分(第一内面4a)に密着した状態を維持するように、第二追従ブロック130をコアとしての可動型30及び第一層2に追従させるようにした。このように、スライドブロック90に設けた第二追従ブロック130を可動型30及び第一層2に追従させることによって、第二層3の射出空間42を形成した状態では、開口部4に隣接する第二層3の射出空間42の端部を第一層2と第二追従ブロック130に設けた第四成形面21cとでシールすることができる。これにより、第二層3用の射出材料P2が第四成形面21cと第一層2との間に流れ込む事態を防止して、第二層3及び開口部4をそれぞれ所要の位置及び範囲に形成することができる。また、材料増加に伴う射出成形品の重量増加を防止でき、またその分の材料コスト高騰を回避することが可能となる。また、第一層2の表面2aと密着する第二追従ブロック130の表面は、型締め時(第一層2の成形時)には、開口部4を区画する第一層2の第一内面4aを成形するための成形面(第四成形面21c)であり、コアバックの間、第一層2のうち開口部4を区画する第一内面4aを成形したときの状態を維持することになる。そのため、例えば第一層2の表面2a(4a)と第二追従ブロック130とが擦れて、第一層2の表面2a(4a)が傷つくおそれもない。また、第一層2の表面2a(4a)の形状に関係なく、常に安定した密着状態(シール状態)を得ることが可能となる。
また、本実施形態では、規制部材としての規制ピン140を固定型20に設けて、第二追従ブロック130と連結される受け部150を規制ピン140で支持することで、第二追従ブロック130のz方向への移動を規制した状態で、可動型30の型開き動作に伴って、第二追従ブロック130を規制ピン140に対して型開き方向に摺動するようにした。このようにスライドブロック90と別体に設けた規制ピン140を設けることで、スライドブロック90のスライド動作の間における第二追従ブロック130のz方向への移動が規制される。また、上述のように第二追従ブロック130の移動を規制した状態で、型開き動作の間、第二追従ブロック130を規制ピン140の下端面140aに対してx方向に摺動させることで、可動型30と共に型開き方向に移動する第一層2に密着した状態を維持したままで第二追従ブロック130を追従させることができる。また、本実施形態では、第二追従ブロック130と受け部150との間に付勢部材160を配設し、スライドブロック90のスライド動作の間、常に第二追従ブロック130を可動型30のスライド規制面30aに押圧するようにしたので、スライド動作の間、常に第二追従ブロック130とスライド規制面30aとの密着状態を維持することができる。
また、本実施形態では、第二追従ブロック130の側面130aを第二スライド比調整面170に沿って摺動可能とし、かつこの第二スライド比調整面170の型開き方向に対する傾斜角θ3を、第一スライド比調整面120の傾斜角θ2と同じ大きさにしたので、無理な力を作用させることなく、第二追従ブロック130のx方向へのスライド量を、可動型30及び第一層2のx方向へのスライド量に等しくすることができる。
以上より、本実施形態に係る第二追従ブロック130の追従構造によれば、簡易な構成で、第四成形面21cを確実に第一内面4aに密着させて第二層3の射出空間42の端部をシールすることができるので、開口部4をより安定的に形成することが可能となる。
もちろん、本発明に係るインパネ1の製造方法によれば、一種類の金型(一対の固定型20及び可動型30)のみで二層構造のインパネ1を射出成形することができるので、製造コスト、設置スペースの面でも良好であり、また金型(固定型20及び可動型30)の交換動作等も必要ないため、生産性の面でも良好である。以上より、本発明によれば、第一層2のうち第二層3で覆われた部分に開口部4が設けられてなる高品質の自動車用インパネ1を低コストに量産することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る射出成形品の製造方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
例えば、上記実施形態では、開口部4が第一層2及び第二層3を貫通して形成される場合を例示したが(図8を参照)、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、第一層2の表面2aが第二追従ブロック130のスライド規制面となるように、開口部4を第一層2の厚み方向中間位置まで形成する場合に本発明を適用することも可能である。あるいは、この場合も図示は省略するが、第一内面4aを省略し、第二層3(第二内面4b)のみで内面を構成してなる開口部4を第二層3に設ける場合に本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では、第二追従ブロック130をばね等の付勢部材160で型開き動作に伴いスライドが可能になる方向に付勢することで、可動型30の型開き動作に伴い、追従ブロック100,130を可動型30及び第一層2に追従してスライド可能とした場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば設置スペースの面で問題がないようであれば、シリンダなど所定の駆動装置で第二追従ブロック130を型開き動作に応じてスライドさせる構成を採ることも可能である。
また、上記実施形態では、第二層3をインパネ1の上面部から前面部の一部にわたって形成する場合を例示したが、第二層3をインパネ1の上面部のみに形成してもよい。この場合には、可動型30に設けた第一スライド比調整面120を省略してもよい。もちろん、第二層3を第一層2の表面2aの全域にわたって形成してもよい。
また、上記実施形態では、スライドブロック90とスライド案内面110を設けて、型開き動作に伴い、スライドブロック90をスライド案内面110に沿ってスライドさせることで、第一層2の表面2aのうち上方を指向する領域2a1と固定型20(キャビティ)との間に第二射出空間42を形成する場合を例示したが、もちろん第二射出空間42の形成手段は、これには限られない。例えば設置スペース等の点で問題がないようであれば、シリンダなど所定の駆動装置でスライドブロック90を型開き方向と異なる向きにスライドさせる構成を採ることも可能である。この場合、スライド案内面110を省略してもよい。
また、以上の説明では、射出成形品としてインパネ1を射出成形品として製造する場合を例示したが、もちろん、インパネ1以外の種類の射出成形品を二層構造とする場合にも、本発明を適用することが可能である。
1 インパネ
2 第一層
3 第二層
10 射出成形装置
20 固定型
21 成形面(第一成形面)
21a 第二成形面
21b 第三成形面
21c 第四成形面
22 入口側ゲート部
23,24 出口側ゲート部
30 可動型
30a スライド規制面
31 成形面
40 射出空間
41 第一射出空間
42 第二射出空間
50a,50b,50c 射出ユニット
60 ホットランナ
70 固定プラテン
80 可動プラテン
90 スライドブロック
91,160 付勢部材
100 第一追従ブロック
110 スライド案内面
120 第一スライド比調整面
130 第二追従ブロック
140 規制ピン
170 第二スライド比調整面
180 シール部
P1,P2 射出材料
S1 第一スライド量(スライド案内面)
S2 第二スライド量(第一スライド比調整面)
S3 第二スライド量(第二スライド比調整面)
θ2 傾斜角(第一スライド比調整面)
θ3 傾斜角(第二スライド比調整面)

Claims (3)

  1. 第一層と、前記第一層の少なくとも一部を覆う第二層と、少なくとも前記第二層に開口する開口部とを備えた射出成形品の製造方法であって、
    前記第一層の成形面を有するコア及びキャビティを使用して前記第一層を成形する第一成形工程と、
    前記キャビティに設けられた前記成形面の一部を有するスライドブロックを型開き方向と異なる向きにスライドさせて、前記第一層と前記成形面の一部との間に前記第二層の射出空間を形成した後、前記第二層を成形する第二成形工程とを備え、
    前記開口部の成形面を有する追従ブロックを前記スライドブロックに設け、前記スライドブロックのスライド動作の間、前記開口部の成形面が前記第一層のうち前記開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、前記追従ブロックを前記コア及び前記第一層に追従させる、射出成形品の製造方法。
  2. 前記スライドブロックと別体に規制部材を設けて、前記規制部材により前記追従ブロックの前記型開き方向に直交する向きの移動を規制した状態で、前記コアの前記型開き動作に伴って、前記追従ブロックを前記規制部材に対して前記型開き方向に摺動するようにした請求項1に記載の射出成形品の製造方法。
  3. 第一層と、前記第一層の少なくとも一部を覆う第二層と、少なくとも前記第二層に開口する開口部とを備えた射出成形品を成形するための射出成形金型であって、
    前記第一層の成形面を有するコア及びキャビティと、
    前記キャビティに設けられ前記成形面の一部を有するスライドブロックと、
    前記スライドブロックに設けられ前記開口部の成形面を有する追従ブロックとを備え、
    前記スライドブロックを型開き方向と異なる向きにスライドさせて、前記第一層と前記成形面の一部との間に前記第二層の射出空間を形成した後、前記第二層を成形し、
    前記スライドブロックのスライド動作の間、前記開口部の成形面が前記第一層のうち前記開口部が形成される部分に密着した状態を維持するように、前記追従ブロックが前記コア及び前記第一層に追従可能に構成される、射出成形金型。
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