JP2020114651A - 発泡物の製造方法、発泡物の製造装置、及び発泡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発泡性被加工物の搬送を好適に行える発泡物の製造方法を提供する。【解決手段】発泡物の製造方法は、加熱により発泡し且つ搬送経路にわたって連続するシート状の被加工物を当該搬送経路に沿って搬送する過程において当該被加工物を加工し且つ発泡させる発泡物の製造方法であって、被加工物を断続的に搬送しながら当該被加工物を加工する加工工程(S1)と、加工工程で加工された被加工物をたるませた状態で搬送する搬送工程(S2)と、搬送工程で搬送された被加工物を連続的に搬送しながら加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡工程(S3)と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、発泡物の製造方法、発泡物の製造装置、及び発泡装置に関する。
シート状の発泡性被加工物に印刷、カット等の加工を施した後に当該被加工物を加熱して発泡させて、立体的な凹凸を備える発泡物を製造する製造方法が開発されている。
例えば、特許文献1は、テクスチャーのある表面被覆を形成する装置であって、支持層上に発泡可能層を積層して表面被覆原素材を形成するスクリーン・コーティング装置と、発泡可能層上に画像と発泡防止組成物とを印刷する、ラインプリンタの一種であるドラム式インクジェット印刷装置と、表面被覆原素材を加熱して所望の形状の凹部(テクスチャー)と画像とを有する表面被覆を形成する発泡装置とを備える装置を開示する。
特開2018−94554号公報
特許文献1に示すような、従来の発泡物の製造方法及び装置では、被加工物に印刷処理と発泡処理とを施すために、両方の処理で被加工物を同じ速度で連続的に搬送する。ここで、例えば、印刷処理をラインプリンタの代わりに走査型プリンタで行ったり、印刷処理の代わりにメディアのカッティング処理を行ったりすることも考えられるが、これらのような加工処理では被加工物を断続的に搬送することになるので、これらの処理に続く発泡処理でも同様に被加工物を断続的に搬送する必要がある。しかし、被加工物を断続的に搬送しながら発泡処理を行うと発泡にむらなどの不具合が生じるおそれがあった。
以上を鑑み、本発明は、発泡性被加工物の搬送を好適に行える、発泡物の製造方法、発泡物の製造装置、及び発泡装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る発泡物の製造方法は、
加熱により発泡し且つ搬送経路にわたって連続するシート状の被加工物を当該搬送経路に沿って搬送する過程において当該被加工物を加工し且つ発泡させる発泡物の製造方法であって、
前記被加工物を断続的に搬送しながら当該被加工物を加工する加工工程と、
前記加工工程で加工された前記被加工物をたるませた状態で搬送する搬送工程と、
前記搬送工程で搬送された前記被加工物を連続的に搬送しながら加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡工程と、
を備える。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
前記搬送工程で第1の長さだけ前記被加工物をたるませた状態から所定時間にわたって前記加工工程、前記搬送工程、及び前記発泡工程を行い、前記加工工程では、前記被加工物を前記所定時間にわたって第2の長さだけ搬送し、前記発泡工程では、前記被加工物を前記所定時間にわたって第3の長さだけ搬送する場合に、
前記第3の長さは前記第1の長さと前記第2の長さとの合計以下である、
ことが好ましい。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
前記発泡工程における前記被加工物の搬送速度を変更し、且つ、前記被加工物の搬送経路に沿った前記加熱領域の長さを変更後の前記搬送速度に応じて変更する発泡条件変更工程をさらに備える、
ことが好ましい。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
本発明の第2の観点に係る発泡物の製造装置は、
加熱により発泡し且つ搬送経路にわたって連続するシート状の被加工物を当該搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送経路の途中に設けられた加工領域において前記被加工物を加工する加工装置と、
前記搬送経路の途中且つ前記加工領域の下流に設けられた加熱領域において、前記加工装置で加工された前記被加工物を加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡装置と、を備え、
前記搬送装置は、
前記加工領域において前記被加工物を断続的に搬送し、
前記加熱領域において前記被加工物を連続的に搬送し、且つ、
前記加工装置と前記発泡装置との間で前記被加工物をたるませる。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
前記搬送装置は、前記加熱領域における前記被加工物の搬送速度を変更可能に構成されており、
前記発泡装置は、前記搬送速度に応じて前記加熱領域の長さを変更可能に構成されている、
ことが好ましい。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
本発明の第3の観点に係る発泡装置は、
連続的に搬送される、加熱により発泡するシート状被加工物を加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡装置であって、
前記加熱領域における加熱を行う加熱手段と、
前記加熱領域における前記被加工物の搬送速度に応じて前記加熱領域の長さを変更する変更手段と、
を備える。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、被加工物に印刷する画像の解像度に対して印刷速度を最適化できる。
前記加熱手段は、前記被加工物の搬送経路に沿って並んで配置された複数個の加熱装置を備え、
前記変更手段は、動作させる前記加熱装置の数を変更することで、前記加熱領域の前記長さを変更する、
ことが好ましい。
以上の構成によれば、発泡物を製造するにあたって、被加工物の搬送を好適に行うことができる。特に、加熱領域の長さの変更を簡便に行うことができる。
以上によれば、発泡物を製造する際に、発泡性被加工物の搬送を好適に行える。
発泡性被加工物の断面模式図。 第1の実施形態に係る発泡物の製造装置の概略図。 平面視での発泡装置の加熱領域と発泡装置内の発泡性被加工物との位置関係を示す模式図。 第2の実施形態に係る発泡物の製造方法の流れ図。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る発泡物の製造装置100について、図面を参照しつつ、説明する。製造装置100は、発泡性被加工物10に印刷を施した後に当該被加工物を発泡させて発泡物を製造するロール・ツー・ロール方式の製造装置である。
(発泡性被加工物10の構成)
発泡性被加工物10は、シート(厚さは任意であり、薄いシートであるフィルムを含む)状の被加工物であり、保管や輸送のために、ロール状に巻き取り可能である。発泡性被加工物10は、図1(a)に示すように、基材11と、基材11の一面上に形成された発泡層12とを備える。
基材11は、任意の材料からなるシートである。例えば、基材11の材料としては、紙、布、プラスチックなどが挙げられる。基材11は、特に、耐水性と後述の発泡層12への密着性とが高いことが好ましい。こうした基材11としては、不織布製シート、フリース製シート、多孔質フィルムなどが挙げられる。
発泡層12は、当該層内の発泡成分が加熱されて発泡することで膨張し発泡前よりも厚みが増加する熱可塑性樹脂層である。本明細書では、発泡層12がこのように加熱により膨張することを、発泡層12が『発泡』するとも表現する。また、発泡成分が発泡する温度を発泡温度ともいう。
加熱による発泡原理は任意であり、発泡成分として、例えば、熱分解など加熱に伴い気体を発生する化学発泡剤や、加熱により揮発し膨張する揮発溶媒を包み込んだ熱可塑性樹脂マイクロカプセルを用いることができる。
例えば、前述の化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、特に、アゾジカルボンアミドが望ましい。
また、前述のマイクロカプセルとしては、揮発性有機溶媒が封入された熱可塑性樹脂のマイクロカプセルが挙げられる。揮発性有機溶媒としては、例えば、石油エーテル、炭化水素(イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど)、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシランなどが挙げられる。マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂として、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体などが挙げられる。
発泡層12の主体となる熱可塑性樹脂は、発泡成分の発泡原理に適合し、発泡成分の発泡によって膨張するのであれば任意である。例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル樹脂は、後述の可塑剤を併用した軟質ポリ塩化ビニルをベース樹脂とするのが好ましい。
発泡層12は、発泡成分に応じて、追加の成分をさらに含んでもよい。例えば、発泡成分として化学発泡剤を用いる場合、熱可塑性樹脂に化学発泡剤の発泡を促進し発泡温度を低下させる発泡助剤をさらに配合することが好ましい。こうした発泡助剤としては、ステアリン酸亜鉛などの亜鉛化合物、ステアリン酸バリウムなどのバリウム化合物などが挙げられる。
(製造装置100の構成)
製造装置100は、図2に示すように、搬送装置30と、印刷装置50と、発泡装置70とを備える。さらに、製造装置100は、搬送装置30、印刷装置50、及び、発泡装置70を制御する制御部90も備える。下記で説明される搬送装置30、印刷装置50、及び、発泡装置70の動作は、制御部90の制御にもとで行われる。なお、搬送装置30、印刷装置50、及び、発泡装置70それぞれに動作を制御するための制御部を設け、制御部90は、各制御部を介して各装置の動作を制御してもよい。
(搬送装置30)
搬送装置30は、発泡性被加工物10を印刷装置50及び発泡装置70内を通して所定の搬送経路に沿って搬送する、ロール・ツー・ロール方式の任意の搬送装置である。
搬送装置30は、例えば、図2に示すように、発泡性被加工物10の原料ロールから発泡性被加工物10を繰り出す繰り出しローラー31と、繰り出された発泡性被加工物10を適宜方向変換し印刷装置50及び発泡装置70内を通して搬送するガイドローラー32〜39と、発泡装置70により発泡した後の発泡性被加工物10(以下、発泡済み被加工物10’)を製品ロールとして巻き取る巻き取りローラー40とを備える。さらに、搬送装置30は、繰り出しローラー31を回転させる駆動モーター(図示せず)、巻き取りローラー40を回転させる駆動モーター(図示せず)、ガイドローラー32〜39のうち後述のように駆動ローラーとなるガイドローラーそれぞれを回転させる駆動モーターなども備える(上記制御部90は、各駆動モーターを制御することで、搬送装置30の動作を制御する)。
ガイドローラー32〜39のうち、ガイドローラー32、33は、印刷装置50用の搬送機構Aを構成し、ガイドローラー34〜36は、後述のたるみ保持装置Bを構成し(搬送装置30は、たるみ保持装置Bを備える)、ガイドローラー37、38は、発泡装置70用の搬送機構Cを構成する。
搬送装置30は、後述するように、発泡性被加工物10が原料ロールを出てから、たるみ保持装置Bに供給されるまでの間は、発泡性被加工物10を断続的に搬送し、発泡性被加工物10がたるみ保持装置Bを出てから製品ロールに入るまでの間は、発泡性被加工物10を定速で連続的に搬送する。
(印刷装置50)
印刷装置50は、発泡促進インク、発泡抑制インク、及び着色インクを用いて、図1(b)に示すように、発泡性被加工物10に、発泡促進層13、発泡抑制層14、及び画像層15を印刷する、任意の、ロール・ツー・ロール方式の走査型インクジェットプリンタである。
走査型インクジェットプリンタで被加工物に印刷を行う場合、被加工物を印刷幅分だけ搬送方向に搬送した後、被加工物の搬送を停止し、この間に、搬送方向(副走査方向)に垂直な方向(主走査方向)に沿ってプリントヘッドを走査して被加工物への印刷を行うという工程が繰り返される。そのため、印刷装置50において、発泡性被加工物10は、断続的に搬送される。こうした断続的な搬送の影響は、後述するように、たるみ保持装置Bで形成されるたるみにより相殺される。
また、例えば、画像層15として印刷する画像の解像度が高くなるほど、それに応じて、パス数を増やす必要がある。パス数が増えると、同一箇所でプリントヘッドを走査する回数が増えるので、上述の搬送の停止時間も増大し、最終的に、印刷装置50による発泡性被加工物10の平均搬送速度(印刷速度)(画像の印刷終了までの時間に対する印刷終了までに印刷装置50から搬送される発泡性被加工物10の長さ)が低下する。このように、印刷する画像の解像度に応じて印刷速度も変わる。こうした印刷速度の変更の影響は、後述するように、たるみ保持装置Bで形成されるたるみ及び発泡装置70の加熱領域Hの長さの調節の両方又は一方により相殺される。
(発泡促進インク)
発泡促進インクは、加熱による発泡層12の発泡を促進する発泡促進剤を含有する任意のインクジェット印刷用インクである。当該インクにより発泡促進層13が形成される。
発泡促進剤は、後述の発泡装置70の加熱温度で発泡層12の発泡を促進できれば任意である。発泡促進剤が発泡成分の発泡を促進する原理は特に限定されず、例えば、発泡促進剤として、発泡成分の発泡に必要な化学反応を化学的に促進する剤(化学的発泡促進剤)や、塗布箇所の温度を局所的に高める吸熱剤を用いることができる。例えば、発泡成分として上述の化学発泡剤を用いる場合、発泡促進剤として、尿素化合物(尿素など)、亜鉛化合物などの化学的発泡促進剤を用いることができる。また、発泡成分として上述のマイクロカプセルを用いる場合、発泡促進剤として、カーボンブラックなどの吸熱剤を用いることができる。
(発泡促進層13)
発泡促進層13は、前述の発泡促進剤を含有する層である。このため、発泡性被加工物10を後述の発泡装置70で加熱し発泡済み被加工物10’を形成した場合、図1(c)に示すように、発泡層12における発泡促進層13が設けられた領域は、発泡促進層13が設けられていない領域よりも、高く盛り上がる。この結果、発泡済み被加工物10’には、平面視した際の発泡促進層13の形状を有する凸部13aが形成される。
(発泡抑制インク)
発泡抑制インクは、加熱による発泡層12の発泡を抑制する発泡抑制剤を含有する任意のインクジェット印刷用インクである。当該インクにより発泡抑制層14が形成される。
発泡抑制剤は、発泡層12を加熱して発泡させる温度で発泡層12の発泡を抑制できれば任意である。発泡抑制剤が発泡成分の発泡を抑制する原理は特に限定されず、例えば、発泡抑制剤として、発泡成分の発泡に必要な化学反応を化学的に抑制する剤(化学的発泡抑制剤)、塗布箇所の温度を局所的に下げる放熱剤、発泡成分を化学的又は物理的に分解する分解剤などを用いることができる。例えば、発泡成分として上述の化学発泡剤を用いる場合、発泡抑制剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール、2、2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールなどのベンゾトリアゾール系化合物をはじめとする化学的発泡抑制剤を用いることができる。また、発泡成分として上述のマイクロカプセルを用いる場合、発泡抑制剤として、アセトン、メチルエチルケトン、エチルブチルケトン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、εカプロラクト、ジメチルホルムアミドなどの溶剤を用いることができる。
(発泡抑制層14)
発泡抑制層14は、前述の発泡抑制剤を含有する層である。このため、発泡性被加工物10を後述の発泡装置70で加熱し発泡済み被加工物10’を形成した場合、図1(c)に示すように、発泡層12における発泡抑制層14が設けられた領域は、発泡抑制層14が設けられていない領域よりも低く盛り上がる又はまったく盛り上がらない。この結果、発泡済み被加工物10’には、平面視した際の発泡抑制層14の形状を有する凹部14aが形成される。
(着色インク)
着色インクは、インクジェット印刷可能な有色インクである。例えば、着色インクとして、CMYKの各インク(顔料が水に分散した水性インク、顔料が有機溶剤に分散した溶剤顔料インク、水に染料が溶けている水性染料インク、又は、有機溶剤に染料が溶けている溶剤染料インクなど)を用いることができる。
(画像層15)
画像層15は、前述の着色インクにより発泡性被加工物10の表面に形成された画像を構成するインク層である。
画像層15は、例えば、図1(b)及び(c)に示すように、発泡層12、発泡促進層13、及び/又は発泡抑制層14の上に直接形成されてもよい。また、発泡層12、発泡促進層13、及び/又は発泡抑制層14に、白色インクなどによる下塗り層を形成した後、その下塗り層の上に画像層15を形成してもよい。
画像層15は、発泡層12の上と発泡促進層13又は発泡抑制層14の上とにまたがって形成されてもよい。この場合、画像層15の塗料は、図1(c)に示すように、発泡促進層13又は発泡抑制層14により発泡済み被加工物10’上に形成される凸部13a又は凹部14aの形状に沿って変形する程度の破断強度を画像層15にもたらす塗料であってもよい。また、画像層15のインクは、所望の意匠性に応じて、凸部13a又は凹部14aと周辺との境界で破断する程度の破断強度を画像層15にもたらすインクであってもよい。
(印刷装置50の構成例)
印刷装置50は、例えば、図2に示すように、インク貯蔵部(図示せず)と、インク供給機構(図示せず)と、発泡促進インク及び発泡抑制インク吐出用プリントヘッド52と、プリントヘッド52の駆動装置53と、着色インク吐出用プリントヘッド54と、プリントヘッド54の駆動装置55とを備える。
印刷装置50は、搬送装置30の印刷装置50用の搬送機構Aにより搬送される発泡性被加工物10に印刷を施す。搬送機構Aは、原料ロールから繰り出された発泡性被加工物10を搬送方向(副走査方向)に沿って搬送する。例えば、搬送機構Aは、上述のように、ガイドローラー32、33から構成され、少なくとも、ガイドローラー33は、駆動ローラーである。ガイドローラー32は、従動ローラーでも駆動ローラーでもよい。
インク貯蔵部は、発泡促進インク、発泡抑制インク、及び着色インクをそれぞれ貯蔵する複数のタンク又はボトルから構成され、インク供給機構を介して、これらのインクを対応するプリントヘッド(発泡促進インク、発泡抑制インクならプリントヘッド52、着色インクならプリントヘッド54)に供給する。
発泡促進インク及び発泡抑制インク吐出用プリントヘッド52は、発泡促進インク及び発泡抑制インクをインクジェット方式で発泡性被加工物10に吐出する。プリントヘッド52に採用するインクジェット方式は任意であり、例えば、ピエゾ方式又はサーマル方式である。プリントヘッド52は、通常、インクを吐出するノズルを複数備えるが、発泡促進インク及び発泡抑制インクのそれぞれについて単一のノズルのみを備えていてもよい。また、プリントヘッド52は、単一のプリントヘッドであってもよいし、複数のプリントヘッドから構成されていてもよい。
プリントヘッド52の駆動装置53は、プリントヘッド52を発泡性被加工物10の搬送方向と直行する方向(主走査方向)に移動させる。駆動装置53は、例えば、プリントヘッド52を搭載するキャリッジ53aと、キャリッジ53aを主走査方向に移動可能に支持するガイドレール53bと、ガイドレール53bの各端部に一組配置される、キャリッジ53aを牽引索及び牽引索を巻き取る巻き取り機構とを備える。
着色インク吐出用プリントヘッド54は、着色インク(例えば、CMYKの各インク)をインクジェット方式で発泡性被加工物10に吐出する。プリントヘッド54に採用するインクジェット方式は任意であり、例えば、ピエゾ方式又はサーマル方式である。プリントヘッド54は、通常、インクを吐出するノズルを複数備えるが、着色インクのそれぞれについて単一のノズルのみを備えていてもよい。また、プリントヘッド52は、単一のプリントヘッドであってもよいし、複数のプリントヘッドから構成されていてもよい。
プリントヘッド54の駆動装置55は、プリントヘッド52を発泡性被加工物10の搬送方向と直行する方向(主走査方向)に移動させる。駆動装置55は、例えば、プリントヘッド52を搭載するキャリッジ55aと、キャリッジ55aを主走査方向に移動可能に支持するガイドレール55bと、ガイドレール55bの各端部に一組配置される、キャリッジ55aを牽引索及び牽引索を巻き取る巻き取り機構とを備える。
上述の構成例の印刷装置50では、発泡促進インク及び発泡抑制インク吐出用プリントヘッド52により、発泡促進層及び発泡抑制インクを発泡性被加工物10に吐出した後に、着色インク吐出用プリントヘッド54により、着色インクを吐出して、図1(b)に示すように、発泡促進層13、発泡抑制層14、及び画像層15を形成する。
なお、図1(b)の例では、発泡促進層13、発泡抑制層14、及び画像層15の全てを発泡性被加工物10上に形成する場合について説明したが、所望の意匠性に応じて、これらの層のうち2種又は1種のみを形成してもよい。
(たるみ保持装置B)
搬送装置30は、たるみ保持装置Bを備える。たるみ保持装置Bは、印刷装置50から発泡装置70まで発泡性被加工物10をたるませた状態で搬送する。たるみ保持装置Bは、第1の搬送機構B1と、第2の搬送機構B2とを備える。
第1の搬送機構B1と第2の搬送機構B2とは、たるませた状態で発泡性被加工物10を支持できるように離間して配置されており、それぞれの搬送速度が独立して制御可能な搬送装置である。例えば、図2では、第1の搬送機構B1はガイドローラー34から、第2の搬送機構B2はガイドローラー35、36から、それぞれ構成されており、ガイドローラー34、35は、それらの上部(図2上では紙面上側)に差し渡された発泡性被加工物10をたるませた状態で支持している。
搬送装置30に発泡性被加工物10を配置するときに、発泡性被加工物10は所定量のたるみがある状態でたるみ保持装置Bに配置される。そして、たるみ保持装置B内で発泡性被加工物10のたるみが維持されるように、発泡性被加工物10の搬送が行われる。
具体的に、ある時点でたるみ保持装置B内で発泡性被加工物10が第1の長さだけたるませられており、当該時点以降の所定時間にわたって、印刷装置50からたるみ保持装置Bに発泡性被加工物10が第2の長さだけ断続的に送られ、且つ、たるみ保持装置Bから発泡装置70に発泡性被加工物10が第3の長さだけ定速で連続的に送られるとした場合、第3の長さを、第1の長さと第2の長さの合計以下となる状態が維持されるよう発泡性被加工物10は搬送装置30により搬送される。
第1の長さは、たるみ保持装置B内で発泡性被加工物10が搬送される領域(以下、搬送領域)内にある発泡性被加工物10の長さ(例えば、図2ではガイドローラー34〜36にわたされている実線で示す発泡性被加工物10の長さ)から、搬送領域を最短距離で通過する際の発泡性被加工物10の長さ(例えば、図2ではガイドローラー34〜36にわたされている一点鎖線で示す発泡性被加工物10の長さ)を減算した長さである。なお、図2では、可視性の都合で、ガイドローラー35、36の間で、実線と一点鎖線をずらして示しているが、実際は両者は一致する。
印刷装置50の印刷速度(第2の長さ)に対して発泡装置70の搬送速度(第3の長さ)を以上のように適宜調節すれば、印刷装置50から発泡性被加工物10が断続的に搬送されたり、印刷装置50の印刷速度の変更などにより当該印刷速度と発泡装置70の搬送速度とが異なっていたりしても、それらの影響をたるみで吸収し相殺することができる。このため、印刷装置50による断続的な搬送を発泡装置70による連続的な搬送につなげ、印刷と発泡とをロール・ツー・ロール方式で連続して行うことができる。
第1の搬送機構B1は、印刷装置50の搬送機構Aと同じ搬送速度で(即ち、所定時間にわたって第1の長さだけ)発泡性被加工物10を搬送する。
第1の搬送機構B1は、搬送機構Aに従属して、泡性被加工物10を受動的に搬送する搬送機構であってもよい。例えば、第1の搬送機構B1は、従動ローラーであるガイドローラー34であってもよい。この場合、ガイドローラー33とガイドローラー34との間で発泡性被加工物10に皺が寄らないように発泡性被加工物10を支持する搬送機構(例えば、平坦な架台やベルトコンベアなど)をガイドローラー33とガイドローラー34との間に設けることが好ましい。
第1の搬送機構B1は、搬送機構Aと連動して駆動する搬送機構であってもよい。例えば、第1の搬送機構B1は、搬送機構Aと連動して駆動する駆動ローラーであるガイドローラー34であってもよい。また、搬送機構Aのガイドローラー33が駆動ローラーである場合、それを、第1の搬送機構B1の駆動ローラーとして使用し、ガイドローラー34を省略してもよい。
第2の搬送機構B2は、発泡装置70用の搬送機構Cと同じ搬送速度で(即ち、所定時間にわたって第2の長さだけ)発泡性被加工物10を搬送する。
第2の搬送機構B2は、発泡装置70用の搬送機構Cから独立して、発泡性被加工物10を能動的に搬送するものでもよい。この場合、第2の搬送機構B2は、発泡性被加工物10を発泡装置70用の搬送機構Cと同じ搬送速度で(即ち、所定時間にわたって第2の長さだけ)定速で連続的に送り出す駆動機構である。例えば、第2の搬送機構B2は、ガイドローラー35、36から構成され、少なくとも、ガイドローラー36は、駆動ローラーであり、ガイドローラー35は、従動ローラーでも駆動ローラーでもよい。
また、第2の搬送機構B2は、発泡装置70用の搬送機構Cに従属して、発泡性被加工物10を受動的に搬送するものでもよい。この場合、発泡装置70用の搬送機構Cは、第2の搬送機構B2から発泡性被加工物10を発泡装置70用の搬送機構Cと同じ搬送速度で(即ち、所定時間にわたって第2の長さだけ)定速で連続的に引き込む。例えば、第2の搬送機構B2は、従動ローラーであるガイドローラー35、36から構成されてもよい。
第1の搬送機構B1と第2の搬送機構B2との間にある発泡性被加工物10のたるんでいる部分(以下、たるみ部)は、その重量により、第1の搬送機構B1から送られてきた発泡性被加工物10と、第2の搬送機構B2に送られる発泡性被加工物10とに張力をもたらす。このため、たるみ部の重量が十分に大きければ、第1の搬送機構B1及びその上流の搬送装置30の部分(例えば、ガイドローラー33とガイドローラー34との間の領域)、及び、第2の搬送機構B2及びその下流の搬送装置30の部分(例えば、ガイドローラー35とガイドローラー36との間の領域)ではたるみやしわが生じない。このような十分な張力をもたらすたるみ部の最小重量をもたらす発泡性被加工物10の長さを第4の長さとすると、上述のように第3の長さを設定する際に、第1の長さと第2の長さとの合計から第3の長さを減算した値が第4の長さ以上となるように、第3の長さを設定すれば、上述のような好適なたるみを維持できる。
特に、たるみ部の長さ(ひいては重量)をほぼ一定に(例えば、前述の第4の長さに)維持できるので、たるみ保持装置B及び発泡装置70の搬送速度を、印刷装置50の印刷速度と実質的に等しくなるよう設定すること、即ち、第3の長さを第2の長さと等しくなるように設定することが好ましい。
(発泡装置70)
発泡装置70は、発泡性被加工物10を加熱して発泡させ、図1(c)に示すような発泡済み被加工物10’を形成する。発泡装置70は、加熱機72を備える。
発泡装置70は、たるみ保持装置Bから送られ、発泡装置70用の搬送機構Cにより搬送される発泡性被加工物10を加熱し、発泡性被加工物10を発泡させる。搬送機構Cは、たるみ保持装置Bから送られてきた発泡性被加工物10を発泡装置70(後述の加熱機72により加熱される加熱領域H)内を通して定速で連続的に搬送する搬送装置である。搬送機構Cの搬送速度は、たるみ保持装置Bからの発泡性被加工物10の搬送速度と同じ(即ち、所定時間にわたって第3の長さ)である。搬送機構Cは、発泡性被加工物10を能動的に搬送する。例えば、搬送機構Cは、ガイドローラー36、37から構成され、少なくとも、ガイドローラー37は、駆動ローラーである。この場合、ガイドローラー36は、従動ローラーでも駆動ローラーでもよい。
加熱機72は、図3(a)に示すように、平面視において発泡性被加工物10の全幅に渡り長さdで広がる所定の加熱領域H内にある発泡性被加工物10を加熱し発泡させる、ロール・ツー・ロール方式の加熱機である。加熱機72は、その加熱領域Hの長さdを変更できるように構成されており、このための変更装置(図示せず)を備える。
例えば、加熱機72は、複数の(図2中では5つの)加熱装置73から構成されていてもよい。この場合、全ての加熱装置73を作動させれば図3(a)に示すような加熱領域Hが得られ、印刷装置50側の加熱装置73のいくつか(例えば、3つ)のみを作動させれば図3(b)に示すような加熱領域Hが得られる。動作させる加熱装置73の数は、手動で又は制御部90により各加熱装置73のスイッチを切り替えることで行うことができる。動作させる加熱装置73の数を変更する変更装置は、例えば、手動スイッチ又は制御部90により制御されるスイッチ回路である。
搬送機構Cの搬送速度をvとすると、発泡性被加工物10のある部分が長さdの加熱領域Hを通過する時間tは、t=d/vとなる。加熱機72により加熱領域Hに掛けられる単位時間単位面積あたりの熱エネルギーをi、発泡性被加工物10のある部分が受ける単位面積あたりの熱エネルギーQは、Q=id/vとなる。搬送速度vが変更された場合でも、熱エネルギーQを変えなければ、発泡性被加工物10の発泡の程度(発泡後の厚み)をおおよそ一定にでき、このためには、加熱領域Hの長さdを、d=Qv/iとすればよい。実際は、搬送にともなう発泡性被加工物10の放熱や熱エネルギーiのむらなどの要因のために、加熱領域Hの長さdと搬送機構Cの搬送速度vとの関係は前述の式から逸脱し得るが、両方のパラメーターが概ね比例関係にあるので、ルーチンワークにより、両者の関係式を予め求めることは容易である。
従って、当該関係式に基づき、発泡装置70の搬送機構Cの搬送速度(即ち、第3の長さ)に応じて加熱領域Hの長さを適宜変更することで(例えば、入口側(印刷装置50側)又は出口側から連続して適宜の個数の加熱装置73を作動させることで)、印刷装置50の印刷速度(即ち、第2の長さ)の変更に伴い発泡装置70の搬送機構Cの搬送速度を変更することとなった場合でも、発泡装置70による発泡性被加工物10の発泡程度をおおよそ一定に保つことができる。
加熱機72及び加熱装置73は、それらの加熱部位が発泡性被加工物10の表面(特に、発泡層12)と接触しない非接触式加熱装置である。非接触式加熱装置としては、輻射式加熱装置(例えば、赤外線ヒーターなどの赤外線加熱装置)、マイクロ波加熱装置などが挙げられる。
(制御部90)
制御部90は、搬送装置30、印刷装置50、及び発泡装置70が上記動作を行うよう、各装置を制御する。
制御部90は、プログラム、各種データを記憶する記憶装置(ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行し、各種データを用いることで前記印刷処理を実際に実行するプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)等)と、当該プロセッサのメインメモリと、各種インターフェースと、を含んで構成される。制御部90は、例えば、パーソナルコンピュータ等の各種のコンピュータにより構成されればよい。
(発泡物の製造処理)
制御部90が発泡物の製造を行うに先立ち、搬送装置30に発泡性被加工物10を配置する。発泡性被加工物10は、たるみ保持装置Bに、所定量のたるみがある状態で配置されてもよいし、たるみがない状態で配置されてもよい。発泡性被加工物10が、たるみ保持装置Bに、たるみがない状態で配置されている場合、制御部90は、例えば、第2の搬送機構B2及び/又は搬送機構Aの駆動ローラーを停止させつつ、第1の搬送機構B1及び/又は搬送機構Cの駆動ローラーを動作させることで、第1の搬送機構B1と第2の搬送機構B2との間に発泡性被加工物10のたるみを生じさせる。
その後、制御部90は、搬送装置30に発泡性被加工物10を搬送経路に沿って搬送させ、その過程で、印刷装置50に搬送経路の印刷領域において発泡性被加工物10に印刷を施させ、発泡装置70に搬送経路の加熱領域において発泡性被加工物10を加熱させて発泡性被加工物10を発泡させる。
印刷領域での発泡性被加工物10の搬送について、制御部90は、搬送機構Aの駆動ローラーであるガイドローラー33を制御して、印刷装置50による印刷の状況に合わせて印刷領域にある発泡性被加工物10を副走査方向(搬送方向)に沿って断続的に搬送する。例えば、制御部90は、印刷装置50でプリントヘッド(例えば、発泡促進インク及び発泡抑制インク吐出用プリントヘッド52、着色インク吐出用プリントヘッド54)が主走査方向に沿って走査されているときは、搬送機構Aのガイドローラー33を停止させ印刷領域での発泡性被加工物10の搬送を中断し、この走査及びそれに伴うインクの吐出が終了したときは、搬送機構Aのガイドローラー33を駆動させ印刷幅分だけ印刷領域にある発泡性被加工物10を副走査方向に沿って搬送する。
加熱領域での発泡性被加工物10の搬送について、制御部90は、搬送機構Cの駆動ローラーであるガイドローラー38を制御して、加熱領域にある発泡性被加工物10を搬送方向に沿って定速で連続的に搬送する。
たるみ保持装置Bによる発泡性被加工物10の搬送について、制御部90は、搬送装置30(特に、印刷装置50の搬送機構A、たるみ保持装置Bの第1の搬送機構B1及び第2の搬送機構B2、並びに発泡装置70用の搬送機構C)を制御して、たるみ保持装置B内で発泡性被加工物10のたるみを維持する。
具体的に、発泡物の製造開始時点で又は製造中のある時点において、たるみ保持装置B内で発泡性被加工物10が第1の長さだけたるませられており、当該時点以降の所定時間にわたって、印刷装置50からたるみ保持装置Bに発泡性被加工物10が第2の長さだけ断続的に送られ、たるみ保持装置Bから発泡装置70に発泡性被加工物10が第3の長さだけ定速で連続的に送られるとした場合、制御部90は、第3の長さを、第1の長さと第2の長さの合計以下となるように設定する。制御部90は、こうした第3の長さの設定を、発泡物の製造開始時点に行ってもよいし、発泡物の製造中に周期的に行ってもよいし、発泡物の製造中に連続的に行ってもよい。
この第3の長さの設定について、以下で具体例を挙げつつより詳細に説明する。上述したように、画像層15として印刷する画像の解像度に応じて必要なパス数も異なり、これにより画像の予定印刷速度(画像の印刷終了までの予定時間に対する印刷終了までに印刷装置50から搬送される発泡性被加工物10の長さ)も変わる。例えば、印刷装置50としてJV−300(ミマキエンジニアリング社製)を採用すれば、解像度の異なる画像A〜Cとこれら画像を印刷する際のパス数及び予定印刷速度との関係は以下のようになる。
Figure 2020114651
解像度が異なる画像A〜Cを同一の発泡性被加工物10に長さ方向(搬送方向)に沿って交互に連続して(例えば、A→B→C→A→B→C→A・・のように)印刷する場合、印刷装置50で画像A(又はB、C)を印刷する間、発泡装置70内に存在する発泡性被加工物10の領域に印刷されている画像の種類によらず、発泡装置70用の搬送機構Cの定速の搬送速度を画像A(又は、B、C)の予定印刷速度に等しくすれば、当該画像を印刷する期間内において、たるみ保持装置Bに送り込まれる発泡性被加工物10の長さとたるみ保持装置Bから送り出される発泡性被加工物10の長さとが釣り合うので、たるみ保持装置Bでのたるみの長さはほぼ一定に維持される。
以上の方法を採用する場合、制御部90は、印刷対象の画像A〜Cの画像データ及び解像度を受け取ると、周知の方法で予定印刷速度を決定する。例えば、制御部90は、解像度と当該解像度での印刷に適したパス数とが対応付けられているテーブルを参照して、解像度からパス数を求め、その後、パス数と当該パス数を採用した場合の予定印刷速度とが対応付けられているテーブルを参照して、パス数から予定印刷速度を求めることで、解像度から予定印刷速度を決定する。その後、発泡物の製造を開始すると、制御部90は、印刷対象の画像A〜Cの画像データ及び解像度に応じた条件で印刷装置50及び搬送機構Aを制御し、印刷を行う。この結果、印刷領域では印刷中の画像に対応する上述の予定印刷速度と同じ平均搬送速度で断続的に発泡性被加工物10が搬送される。一方、制御部90は、発泡装置70及び搬送機構Cを制御して、加熱領域では、印刷中の画像の予定印刷速度と同じ定速の搬送速度で連続的に発泡性被加工物10を搬送する。この場合、たるみ保持装置Bに送り込まれる発泡性被加工物10の長さとたるみ保持装置Bから送り出される発泡性被加工物10の長さとが釣り合うので、たるみ保持装置Bでのたるみの長さはほぼ一定に維持される。また、所定時間をどのように設定しても、第2の長さ=第3の長さとなるので、第3の長さは、常に、第1の長さと第2の長さの合計以下となる。
また、画像A〜Cを上述のように交互に印刷するとして、画像A〜Cのそれぞれの印刷に30分掛かり、たるみ保持装置Bでのたるみの量(第1の長さ)が12m、発泡装置70用の搬送機構Cの搬送速度が20m/hとする場合、最初の画像Aの印刷では、搬送機構Aから約1.7mの印刷済みの発泡性被加工物10が送り出され、搬送機構Cに10mの発泡性被加工物10が送り込まれるので、たるみの量は3.7mになる。次の画像Bの印刷では、搬送機構Aから5mの印刷済みの発泡性被加工物10が送り出され、搬送機構Cに10mの発泡性被加工物10が送り込まれることになるが、たるみ保持装置Bに送り込まれる長さとたるみの長さの合計(5+3.7=8.7m)がたるみ保持装置Bから送り出される長さ(10m)よりも小さくなるので、そのままでは搬送に不具合が生じる。ここで、発泡装置70用の搬送機構Cの搬送速度を、画像Bの予定印刷速度に等しくすれば、搬送の不具合は解消できる。このとき、画像Bの印刷では、搬送機構Aから5mの印刷済みの発泡性被加工物10が送り出され、搬送機構Cに5mの発泡性被加工物10が送り込まれるので、たるみの量は3.7mのままである。その後、画像Cの印刷では、搬送機構Aから15mの印刷済みの発泡性被加工物10が送り出され、搬送機構Cに5mの発泡性被加工物10が送り込まれるので、たるみの量は13.3mになる。以上のように周期的に、たるみの消費量を監視し、発泡装置70用の搬送機構Cの搬送速度を調節することでも、たるみ保持装置Bでのたるみを維持できる。
以上の方法を採用する場合、制御部90は、所定時間t毎に及び印刷対象の画像が変わる毎に、現在のたるみの長さa、印刷中の画像の予定印刷速度b、発泡装置70用の搬送機構Cの現在の搬送速度cから、c×t>a+b×tであるかを判定する。ここで、aは第1の長さ、b×tは第2の長さ、c×tは第3の長さに対応する。c×t>a+b×tであれば、cをa÷t+b以下(例えば、b)に設定する。一方、c×t≦a+b×tなら現在のcを維持する。以上のようにすれば、少なくとも所定時間tが経過するまでは、たるみ保持装置Bでたるみの長さaが0以上となり、たるみが維持できる。
また、所定時間tを短くすれば、例えば、10秒又は1秒などにすれば、第3の長さの設定を実質的に連続的に行うことができる。
以上により、発泡性被加工物10から発泡済み被加工物10’からなる発泡物をロール・ツー・ロール方式で製造できる。
(第1の実施形態に係る効果)
発泡性被加工物に印刷を施した後に当該被加工物を発泡させて発泡物を製造する従来のロール・ツー・ロール方式の製造装置では、ロール・ツー・ロール方式で発泡性被加工物に印刷処理と発泡処理とを施すために、両方の処理で発泡性被加工物を同じ速度で連続的に搬送する必要がある。印刷処理を走査型プリンタで行う場合、走査型プリンタでは被加工物を断続的に搬送することになるので、印刷処理に続く発泡処理でも同様に被加工物が断続的に搬送される。この場合、被加工物を断続的に搬送しながら発泡処理を行うと、被加工物の長さ方向における一様な加熱が困難となり、発泡にむらなどの不具合が生じるおそれがあった。
一方、第1の実施形態に係る製造装置100では、たるみ保持装置Bでの発泡性被加工物10のたるみの形成又は発泡装置70の加熱領域Hの長さの調節により、印刷を走査型プリンタで行いつつも、発泡のための加熱を発泡性被加工物10を定速で連続的に搬送しながら行うことが可能となる。これにより、被加工物の長さ方向における一様な加熱が確保され、発泡のむらなどの不具合を防止できる。
また、走査型プリンタでは、低解像度で構わない場合は低パス数(例えば、1パス)で印刷し、高解像度が必要な場合は高パス数(例えば、24パス)で印刷するといったように、解像度に応じてパス数を変更することで、解像度と印刷速度とを最適化できる。第1の実施形態に係る製造装置100では、画像の解像度に応じて印刷速度(搬送速度)を変更しても、その影響が、たるみ保持装置Bでの発泡性被加工物10のたるみの形成又は発泡装置70の加熱領域Hの長さの調節により、相殺されるので、低解像度なら印刷速度を早くするといったように、解像度と印刷速度とを最適化することができる。これは、例えば、同一の発泡性被加工物10において高解像度の画像と低解像度の画像とを混在させて(例えば、搬送経路に沿って交互に)印刷する場合に、各画像の解像度に合わせて印刷速度を最適化することで、製造工程全体に掛かる時間を短縮できる点で有利である。そのため、製造装置100によれば、複数種の画像の印刷を、ロール・ツー・ロール方式で、1つの原料ロールで連続してまとめて効率よく行うことができるので、複数種の小ロットの発泡物を効率的に製造できる。
(変形例1)
第1の実施形態では、発泡性被加工物10を用いたが、製造装置100で発泡させる被加工物はこれに限らず、発泡層12を備え、一連の処理工程(例えば、印刷及び発泡)の搬送経路にわたり連続したシート状の発泡性被加工物であれば任意である。
例えば、発泡性被加工物10において基材11が省略されてもよい。また、発泡層12の表面に、液体ラミネートなどにより保護層が形成されていてもよい。
また、発泡性被加工物10は、原料ロールから供給されずともよいし、製品ロールとして巻き上げられずともよい。
(変形例2)
第1の実施形態では、たるみ保持装置Bでの発泡性被加工物10のたるみの形成及び発泡装置70の加熱領域Hの長さの調節の両方を用いて、解像度と印刷速度とを最適化するが、いずれか一方のみでもこうした最適化を行える。
例えば、たるみ保持装置Bにおいてたるみの長さを十分に長くとれるのであれば、発泡装置70の代わりにロール・ツー・ロール方式の従来の発泡装置を用いた上で、たるみ保持装置Bでの発泡性被加工物10のたるみの形成により、印刷装置50の印刷速度が変動しても当該印刷速度とは無関係に発泡装置70の搬送速度を一定に維持できる。このため、第1の実施形態と同様に、解像度に合わせて印刷速度を最適化することが可能となる。
また、例えば、印刷装置50による発泡性被加工物10の断続的な搬送における停止期間が十分に短ければ、小さなたるみしかできず、小さなたるみであれば、たるみ保持装置Bの代わりにロール・ツー・ロール方式の従来の搬送装置(例えば、2つのガイドローラー)を用いても、たるみ保持装置Bと同様に支障なく小さなたるみを維持できる。換言すれば、従来の搬送装置も、小さなたるみに対しては、たるみ保持装置Bと同様に機能する。従って、この場合、たるみ保持装置Bを省略しても、発泡装置70の加熱領域Hの長さの調節により、印刷装置50の印刷速度と発泡装置70の搬送速度とを実質的に等しくできる。このため、第1の実施形態と同様に、解像度に合わせて印刷速度を最適化することが可能となる。
(変形例3)
第1の実施形態において、印刷装置50の代わりに、発泡性被加工物10を断続的に搬送しつつ印刷を行う任意の印刷装置を用いてもよい。
例えば、印刷装置50は、発泡促進インク、発泡抑制インク、及び着色インクを印刷するが、これらのうち一種類又は二種類のみしか印刷しない印刷装置を用いてもよいし、これらのインクの代わりに又はこれらのインクに加えて、他の機能性インクを印刷する印刷装置を用いてもよい。こうした機能性インクとしては、抗菌剤、消臭剤、防カビ剤、撥水剤、防汚剤、難燃剤などを含むインクが挙げられる。
また、例えば、印刷装置50の代わりに、インクジェットプリンタ以外の印刷装置、例えば、サーマルプリント印刷装置、スクリーン印刷装置、ディスペンサ印刷装置などを用いてもよい。こうした印刷装置でも、断続的に搬送しつつ印刷を行うのであれば、上述のたるみ保持装置B又は発泡装置70による利益がある。
(変形例4)
第1の実施形態において、印刷以外の加工を行う他の加工装置を印刷装置50の代わりに配置してもよいし、当該加工装置を印刷装置50の下流でたるみ保持装置Bの上流に配置してもよいし、当該加工装置を印刷装置50の上流に配置してもよい。
こうした加工装置としては、前処理装置、後処理装置、コーティング装置(例えば、液体ラミネーション装置)、カッティング装置、追加の発泡装置(例えば、予備発泡装置)などが挙げられる。
加工装置は、印刷装置50の代わりに配置する場合は、発泡性被加工物10を断続的に搬送しながら処理を行う装置であり、印刷装置50の上流又は下流に配置する場合は、発泡性被加工物10を定速で連続的に搬送しながら処理を行う装置でもよいし、発泡性被加工物10を断続的に搬送しながら処理を行う装置でもよい。
断続的に搬送を行う加工装置を印刷装置50の上流又は下流に配置する場合、印刷装置50と加工装置との間にたるみ保持装置Bを追加で配置することが好ましい。
さらに、断続的に搬送を行う加工装置を印刷装置50の下流に配置する場合、印刷装置50の代わりに発泡性被加工物10を定速で連続的に搬送しながら印刷を行う印刷装置(例えば、ラインインクジェットプリンタ)を用いてもよい。
本変形例によれば、印刷処理及び他の処理の両方又は他の処理のみを施された発泡性被加工物10が、たるみ保持装置Bに向けて断続的に搬送され、第1の実施形態と同様に、この断続的な搬送が、たるみ保持装置Bにより、発泡装置70に向かう定速で連続的な搬送へと変換される。これにより、カッティングなどの断続的な搬送を伴う加工を被加工物に施しながらも被加工物の発泡を連続的に行うことができる。
(変形例5)
第1の実施形態では、加熱領域Hは長方形だが、加熱領域Hの形状は所望の意匠性に応じて他の形状であってもよい。この場合も、加熱領域Hの長さを発泡装置70の搬送機構Cの搬送速度(所定時間にわたる第3の長さ)に応じて適宜変更することで、印刷装置50の印刷速度(所定時間にわたる第2の長さ)の変更に伴い発泡装置70の搬送機構Cの搬送速度を変更することとなった場合でも、発泡装置70による発泡性被加工物10の発泡程度をおおよそ一定に保つことができる。
例えば、加熱領域Hの形状は、図3(c)に示すように、発泡性被加工物10の一縁(図3(c)では紙面上方にある発泡性被加工物10の縁)付近で長く、他縁(図3(c)では紙面下方にある発泡性被加工物10の縁)付近では短い台形であってもよい。この加熱領域Hでは、発泡性被加工物10の一縁付近は厚く発泡し、他縁付近は薄く発泡するという発泡の厚みのグラデーションが形成される。また、この場合でも、図3(d)に示すように、加熱領域Hの形状を搬送方向に沿って一定の割合で縮小したり、あるいは、反対に、拡大したりすることで、印刷装置50の印刷速度が変動しても前述の発泡の厚みのグラデーションを保つことができる。こうした加熱領域Hの形状の変更は、例えば、当該形状と相似な形状の穴を有するフィルタなどの変更装置を手動で又は制御部90の制御により自動的に加熱機72(特に、輻射式加熱装置)の熱照射面に配置することで(例えば、異なる形状の穴を有する複数のフィルタを備える回転板を手動で又は制御部90により制御されたモーターにより回転させることで)行うことができる。
また、例えば、加熱領域Hの形状は、図3(e)に示すように、複数(図3(e)では5個)の副加熱領域h1〜h5からなるものでもよい。この場合、各副加熱領域h1〜h5の長さd1〜d5を、図3(f)に示すように、搬送経路に沿って縮小したり、あるいは、反対に、拡大したりすることで、発泡装置70による発泡性被加工物10の発泡程度をおおよそ一定に保つことができる。こうした副加熱領域h1〜h5の長さd1〜d5の変更は、例えば、加熱装置73として赤外線ヒーターを採用し、各赤外線ヒーターの輻射幅を変更することで行える。輻射幅の変更は、変更装置である輻射板の形状又は傾きを、手動で、又は、制御部90により輻射板の形状又は傾きを変更する駆動部を制御することで、行える。
さらに、副加熱領域h1〜h5の長さd1〜d5を変更する代わりに、図3(g)に示すように副加熱領域を1つおきに有効にする、又は、図3(h)に示すように副加熱領域の一部のみを連続して有効にするなどにより、有効な副加熱領域h1〜h5の数を減らしたり、あるいは、反対に、増やしたりすることでも、発泡装置70による発泡性被加工物10の発泡程度をおおよそ一定に保つことができる。こうした有効な副加熱領域h1〜h5の数の増減は、動作させる加熱装置73の数を増減することで行える。動作させる加熱装置73の数の変更は、第1の実施形態でも説明したように、例えば、手動スイッチ又は制御部90により制御されるスイッチ回路などの変更装置により行える。
放熱による影響を抑制するため、副加熱領域h1〜h5の間隔は短いことが好ましい。また、放熱による影響を抑制するため、各副加熱領域h1〜h5の長さd1〜d5を変更したり、有効な副加熱領域h1〜h5の数を増減したりするときに、副加熱領域h1〜h5の間隔を維持することが好ましい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る発泡物の製造方法について説明する。本製造方法は、発泡性被加工物10に印刷を施した後に当該被加工物を発泡させて発泡物を製造する製造方法である。本製造方法では、加熱により発泡するシート状の被加工物を搬送経路に沿って搬送する過程で、図4に示すように、印刷工程S1、搬送工程S2、発泡工程S3を主に行う。
(被加工物)
加熱により発泡するシート状の被加工物は、印刷工程S1から発泡工程S3までの搬送経路にわたり連続しており、一枚の被加工物に対して印刷工程S1から発泡工程S3が同時に行われている。当該被加工物は、発泡温度以上に加熱された層内の発泡成分が発泡することで当該層が膨張し発泡前よりも厚みが増加する熱可塑性樹脂層を備える。例えば、こうした被加工物として、第1の実施形態に記載の発泡性被加工物10が挙げられる。
(印刷工程S1)
印刷工程S1では、加熱により発泡するシート状の被加工物を断続的に搬送しながら当該被加工物に印刷を施す。
印刷工程S1は、加熱により発泡するシート状の被加工物を断続的に搬送しながら印刷を行う任意の印刷装置を用いて行える。例えば、こうした印刷装置として、第1の実施形態に記載の印刷装置50や、変形例3に記載の種々の印刷装置が挙げられる。
(搬送工程S2)
搬送工程S2では、印刷工程S1で印刷が施された被加工物をたるませた状態で搬送する。
搬送工程S2で第1の長さだけ被加工物をたるませた状態から所定時間にわたって、印刷工程S1、搬送工程S2、及び発泡工程S3を行い、印刷工程S1では、被加工物を前述の所定時間にわたって第2の長さだけ搬送し、発泡工程S3では、被加工物を前述の所定時間にわたって第3の長さだけ搬送する場合、たるみが存在するようにするためには、第3の長さは第1の長さと第2の長さとの合計以下である必要がある。
このようなたるみをもった被加工物の搬送は、例えば、第1の実施形態に記載のたるみ保持装置Bにより行える。また、印刷工程S1、搬送工程S2、及び発泡工程S3での被加工物の搬送速度の制御は、例えば、第1の実施形態に記載の制御部90により行える。
印刷工程S1で被加工物の搬送が停止したり搬送速度が変更されたりしても、その影響はたるみに吸収されるので、搬送工程S2では、たるみが存在する限り、印刷工程S1の搬送状況によらず、発泡工程S3に向けて被加工物を定速で連続的に搬送できる。このため、印刷工程S1での断続的な搬送を発泡工程S3での連続的な搬送につなげることができる。
(発泡工程S3)
発泡工程S3では、搬送工程S2で搬送された被加工物を連続的に搬送しながら加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる。
発泡工程S3は、例えば、第1の実施形態に記載の発泡装置70により行える。
以上により、加熱により発泡するシート状の被加工物から発泡層が発泡した発泡済み被加工物からなる発泡物を製造できる。
(第2の実施形態の効果)
発泡性被加工物に印刷を施した後に当該被加工物を発泡させて発泡物を製造する従来の製造方法では、第1の実施形態の効果でも述べたように、印刷処理をラインプリンタの代わりに走査型プリンタで行う場合、走査型プリンタでは被加工物を断続的に搬送することになるので、印刷処理に続く発泡処理でも同様に被加工物を断続的に搬送する必要がある。また、印刷処理の代わりに被加工物のカッティング処理を行ったりする場合も同様である。しかし、被加工物を断続的に搬送しながら発泡処理を行うと発泡にむらなどの不具合が生じるおそれがあった。
一方、第2の実施形態に係る製造方法では、搬送工程S2でのたるみにより、印刷工程S1での断続的な搬送を発泡工程S3での連続的な搬送につなげることができる。
また、第1の実施形態でも説明したように、従来の製造方法では、どのような解像度でも一定の速度で印刷する必要があるため、低解像度なら印刷速度を早くするといったように、解像度と印刷速度とを最適化することができなかった。
一方、第2の実施形態に係る製造方法では、印刷工程S1での印刷速度(所定時間にわたる第2の長さ)が変動しても、当該変動がたるみに吸収されるので、当該印刷速度とは無関係に発泡工程S3の搬送速度(所定時間にわたる第3の長さ)を調節できる。このため、発泡に必要な搬送速度を維持しつつ、画像の印刷に必要な解像度に応じて印刷速度を変更できる。これにより、解像度と印刷速度とを最適化することができる。
(変形例6)
第2の実施形態において、変形例4と同様に、印刷工程S1の代わりに印刷以外の加工を行う加工工程を行ってもよいし、当該加工工程を印刷工程S1の後で搬送工程S2の前に行ってもよいし、当該加工工程を印刷工程S1の前に行ってもよい。
加工工程で行う加工としては、前処理、後処理、コーティング(例えば、液体ラミネート)、カッティングなどが挙げられる。
印刷工程S1の代わりに行う場合、加工工程において、被加工物は断続的に搬送される。一方、印刷工程S1の前後に行う場合、加工工程において、被加工物は、定速で連続的に搬送されてもよいし、断続的に搬送されてもよい。
また、印刷工程S1の後で搬送工程S2の前に、被加工物を断続的に搬送しながら他処理工程を行う場合、印刷工程S1において、ラインプリンタなどを用いて被加工物を定速で連続的に搬送しながら当該被加工物に印刷を施してもよい。
本変形例によれば、印刷及び加工の両方又は加工のみを施された被加工物が断続的に搬送されながら搬送工程S2に送られ、第2の実施形態同様に、この断続的な搬送が、搬送工程S2において、発泡工程S3に送られる定速で連続的な搬送へと変換される。これにより、カッティングなどの断続的な搬送を伴う加工を被加工物に施しながらも被加工物の発泡を連続的に行うことができる。
(変形例7)
第2の実施形態において、印刷する画像が変更され印刷に必要なパス数が変わるなどして印刷工程S1の印刷速度が変更された場合など、発泡工程S3での搬送速度(即ち、第3の長さ)を変更する場合に、被加工物の搬送経路に沿った加熱領域の長さを当該搬送速度(即ち、第3の長さ)に応じて変更する発泡条件変更工程を行ってもよい。
例えば、発泡工程S3を第1の実施形態に記載の発泡装置70で行っている場合、加熱領域の長さの変更は、動作させる加熱装置73の数を、手動で又は発泡装置70の制御部(例えば、内蔵又は外付けの演算処理装置)により各加熱装置73のスイッチを切り替えることで行うことができる。
本変形例によれば、印刷工程S1での印刷速度(所定時間にわたる第2の長さ)が変動に応じて発泡工程S3の搬送速度(所定時間にわたる第3の長さ)を変更でき、例えば、第2の長さと第3の長さを実質的に等しくできる。このため、必要な解像度に応じて印刷速度を最適化することができる。
(変形例8)
第1の実施形態及び変形例1〜5に係る製造装置100の、印刷装置50、たるみ保持装置B、及び発泡装置70は、それぞれ、独立モジュールとして設けられてもよい。
上述の実施形態及び変形例に記載の特徴は、矛盾しない限り、任意に組み合わせることができる。
100 製造装置
10 発泡性被加工物
11 基材
12 発泡層
13 発泡促進層
14 発泡抑制層
15 画像層
30 搬送装置
31 繰り出しローラー
31〜39 ガイドローラー
40 巻き取りローラー
50 印刷装置
52 発泡促進インク及び発泡抑制インク吐出用プリントヘッド
53 駆動装置
53a キャリッジ
53b ガイドレール
54 着色インク吐出用プリントヘッド
55 駆動装置
55a キャリッジ
55b ガイドレール
70 発泡装置
71 搬送機構
72 加熱機
73 加熱装置
90 制御部
A 搬送機構
B たるみ保持装置
B1 第1の搬送機構
B2 第2の搬送機構
C 搬送機構

Claims (7)

  1. 加熱により発泡し且つ搬送経路にわたって連続するシート状の被加工物を当該搬送経路に沿って搬送する過程において当該被加工物を加工し且つ発泡させる発泡物の製造方法であって、
    前記被加工物を断続的に搬送しながら当該被加工物を加工する加工工程と、
    前記加工工程で加工された前記被加工物をたるませた状態で搬送する搬送工程と、
    前記搬送工程で搬送された前記被加工物を連続的に搬送しながら加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡工程と、
    を備える、発泡物の製造方法。
  2. 前記搬送工程で第1の長さだけ前記被加工物をたるませた状態から所定時間にわたって前記加工工程、前記搬送工程、及び前記発泡工程を行い、前記加工工程では、前記被加工物を前記所定時間にわたって第2の長さだけ搬送し、前記発泡工程では、前記被加工物を前記所定時間にわたって第3の長さだけ搬送する場合に、
    前記第3の長さは前記第1の長さと前記第2の長さとの合計以下である、
    請求項1に記載の発泡物の製造方法。
  3. 前記発泡工程における前記被加工物の搬送速度を変更し、且つ、前記被加工物の搬送経路に沿った前記加熱領域の長さを変更後の前記搬送速度に応じて変更する発泡条件変更工程をさらに備える、
    請求項1又は2に記載の発泡物の製造方法。
  4. 加熱により発泡し且つ搬送経路にわたって連続するシート状の被加工物を当該搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、
    前記搬送経路の途中に設けられた加工領域において前記被加工物を加工する加工装置と、
    前記搬送経路の途中且つ前記加工領域の下流に設けられた加熱領域において、前記加工装置で加工された前記被加工物を加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡装置と、を備え、
    前記搬送装置は、
    前記加工領域において前記被加工物を断続的に搬送し、
    前記加熱領域において前記被加工物を連続的に搬送し、且つ、
    前記加工装置と前記発泡装置との間で前記被加工物をたるませる、
    発泡物の製造装置。
  5. 前記搬送装置は、前記加熱領域における前記被加工物の搬送速度を変更可能に構成されており、
    前記発泡装置は、前記搬送速度に応じて前記加熱領域の長さを変更可能に構成されている、
    請求項4に記載の発泡物の製造装置。
  6. 連続的に搬送される、加熱により発泡するシート状被加工物を加熱領域にて加熱することで当該被加工物を発泡させる発泡装置であって、
    前記加熱領域における加熱を行う加熱手段と、
    前記加熱領域における前記被加工物の搬送速度に応じて前記加熱領域の長さを変更する変更手段と、
    を備える、発泡装置。
  7. 前記加熱手段は、前記被加工物の搬送経路に沿って並んで配置された複数個の加熱装置を備え、
    前記変更手段は、動作させる前記加熱装置の数を変更することで、前記加熱領域の前記長さを変更する、
    請求項6に記載の発泡装置。
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