以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、発明を明瞭化するために誇張または省略されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。また、上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、図面をわかりやすくするために、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
また、本明細書等において、「平行」とは、例えば、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」および「直交」とは、例えば、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」または「H電位」ともいう)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(以下、単に「VSS」または「L電位」ともいう)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
(実施の形態1)
本発明の一態様の乗員保護装置110について、図面を参照して説明する。図1(A)は、乗員保護装置110を有する車両100の外観を示す斜視図である。図1(B)は、車両100の上面図である。なお、図面をわかりやすくするため、図1(B)などでは車両100の構成要素の記載を一部省略している。図1(C)は、エアバッグ108が膨張した時の車両100の上面図である。また、図2に乗員保護装置110のブロック図を示す。
≪車両100および乗員保護装置110の構成例≫
車両100は、前方に撮像装置111aおよび撮像装置111bを有する。また、右側面に撮像装置112aおよび撮像装置112bを有する。また、左側面に撮像装置113aおよび撮像装置113bを有する。また、後方に撮像装置114aおよび撮像装置114bを有する。
また、車両100は、ステアリング101内にエアバッグ装置131を有し、ダッシュボード102にエアバッグ装置132を有する。また、ドア103a内にエアバッグ装置133aを有し、ドア103b内にエアバッグ装置133bを有する。また、ドア104a内にエアバッグ装置134aを有し、ドア104b内にエアバッグ装置134bを有する。また、車両100は、制御装置120を有する。
乗員保護装置110は、前述した撮像装置、前述したエアバッグ装置、および制御装置120を含んで構成される。具体的には、撮像装置111a、撮像装置111b、撮像装置112a、撮像装置112b、撮像装置113a、撮像装置113b、撮像装置114a、および撮像装置114bのそれぞれが制御装置120に接続され、エアバッグ装置131、エアバッグ装置132、エアバッグ装置133a、エアバッグ装置133b、エアバッグ装置134a、およびエアバッグ装置134bのそれぞれが制御装置120に接続される(図2(A)参照。)。
なお、各撮像装置および各エアバッグ装置と、制御装置120の接続は、有線接続方式であってもよいし、無線接続方式であってもよい。金属配線などを用いて直接接続する有線接続方式は、無線通信などを用いて接続する無線接続方式よりもノイズの影響を受けにくい。金属配線に換えて光ファイバーなどを用いてもよい。一方、無線接続方式を用いると、接続に用いる配線の使用量を減らすことができる。また、各撮像装置および各エアバッグ装置の設置自由度を高めることができる。よって、乗員保護装置110の設置を容易とすることができる。
また、制御装置120に、撮像装置以外のセンサ119を接続してもよい(図2(B)参照。)。センサ119としては、例えば、電磁波センサ、超音波センサ、赤外線センサ、または加速度センサなどがある。制御装置120に複数種類のセンサ119を接続してもよい。
撮像装置111aと撮像装置111bは、それぞれ車両100前方の外景を撮像する機能を有する。また、撮像装置112aと撮像装置112b、はそれぞれ車両100右側の外景を撮像する機能を有する。また、撮像装置113aと撮像装置113b、はそれぞれ車両100左側の外景を撮像する機能を有する。また、撮像装置114aと撮像装置114b、はそれぞれ車両100後方の外景を撮像する機能を有する。
例えば、撮像装置112aと撮像装置112bにより撮像された画像は制御装置120に送られ、制御装置120は、それぞれの画像を比較して、右側から車両100に接近する物体の位置や速度などを判断する。よって、撮像装置112aと撮像装置112bは、地上からの設置高さhが等しいことが好ましい。また、撮像装置112aと撮像装置112bの間の距離Lは、50cm以上、好ましくは1m以上、より好ましくは2m以上とする。距離Lが長いほど、車両100に接近する物体の位置や速度などの検出精度を高めることができる。上記事項は、撮像装置111aと撮像装置111b、撮像装置113aと撮像装置113b、撮像装置114aと撮像装置114bについても同様である。
また、それぞれの撮像装置を車両100のルーフ近傍に設置してもよい。撮像装置をより高い位置に設置することでより遠くまで撮像することができる。よって、車両100に接近する物体を早く検出することができる。図3(A)では、撮像装置111a、撮像装置111b、撮像装置112a、および撮像装置112bを車両100のルーフ近傍に設置する例を示している。
また、使用する撮像装置を増やすことで、車両100に接近する物体の位置や速度などの検出精度をより高めることができる。図3(B)および図3(C)では、撮像装置111aと撮像装置111bの間に撮像装置111cを設ける例と、撮像装置112aと撮像装置112bの間に撮像装置112cを設ける例を示している。
本実施の形態では、一方向に対して複数の撮像装置を設ける例を示しているが、本発明の一態様はこれに限定されない。目的や使用方法によって、一方向に対して1つの撮像装置を設ける場合もありうる。
≪乗員保護装置110の動作例≫
次に、乗員保護装置110の動作例について、図面を参照して説明する。
図4に、乗員保護装置110の動作を説明するフローチャートを示す。まず、特定の方向を撮像する複数の撮像装置それぞれを用いて外景を撮像する(ステップS310)。撮像されたそれぞれの画像は制御装置120に送信される。制御装置120は、当該画像と距離Lから、三角測量法などを用いて三次元画像を合成する。(ステップS320)。制御装置120は、前回合成した三次元画像から車両100に接近する物体があるか判断する(ステップS330)。車両100に接近する物体がない場合はステップS310にもどり、新たな三次元画像を合成する。
車両100に接近する物体がある場合は、当該物体を衝突予想対象と認定する。また、衝突予想対象の形状をデータベースと照合し、衝突予想対象の種別を特定する(ステップS340)。例えば、衝突予想対象が動物、人、二輪車、小型車両、大型車両、壁、電柱などのうち、どれであるかを特定する。衝突予想対象の種別により、衝突により衝突予想対象が車両100に与える衝撃の大きさが異なる。なお、衝突予想対象の種別の特定は、三次元画像に、電磁波センサ、超音波センサ、および/または赤外線センサなどを組み合わせることで、より正確な特定が可能となる。
続いて、制御装置120は、先に特定した衝突予想対象の種別と相対速度から、衝突時の衝撃の大きさを推定する(ステップS350)。
続いて、制御装置120は、衝突予想対象と車両100の距離および相対速度の変化から、衝突予想対象が車両100に衝突するかしないかを判断する(ステップS360)。衝突する可能性が低いと判断した場合は、ステップS310に戻る。衝突する可能性が高いと判断した場合、制御装置120は、エアバッグ装置を起動する信号をエアバッグ装置に送信エアバッグ装置を動作させる(ステップS370)。
エアバッグ内の到達圧力は、先に推定した衝突時の衝撃の大きさに応じて決定する。エアバッグ内の圧力を適切に制御することにより、最適な乗員の保護を実現することができる。また、加速度センサなどを用いて衝突直後の衝撃を検出して、エアバッグ内の圧力を調節してもよい。また、衝突前からエアバッグ装置を起動できるため、乗員を遅滞無く保護することができる。
また、本発明の一態様によれば、エアバッグ装置の起動から衝突まで時間的な余裕が得られるため、衝突前はポンプなどの機械的方法によりエアバッグを膨張させ、衝突以降にインフレータにより急激にエアバッグを膨張させることもできる。
また、エアバッグ装置に複数のインフレータを設け、該インフレータを順次に動作させるなどして、エアバッグの圧力や膨張速度などを調節してもよい。エアバッグ装置に複数のインフレータを設ける場合、それぞれのインフレータの爆発力は同じでもよいし、異なっていてもよい。
エアバッグ装置に複数のインフレータを設けると、インフレータ1つ当たりの火薬使用量を低減することができるため、エアバッグ装置の動作による二次災害発生の可能性を低減することができる。また、インフレータ動作時の爆発音を低減できるため、乗員の心理的負担などの軽減も可能である。
また、エアバッグ装置に複数のインフレータを搭載することにより、1つのインフレータに不具合が生じても、他のインフレータによってエアバッグ装置を確実に動作させることができる。よって、エアバッグ装置の冗長性を高めることができる。すなわち、乗員保護装置の冗長性を高めることができる。本発明の一態様によれば、確実に動作し、信頼性の高い乗員保護装置を実現することができる。
また、前述の、衝突前にポンプなどの機械的方法によりエアバッグを膨張させる方法を用いると、直前で衝突が回避された場合やインフレータを動作させる必要がない程度の軽微な衝突の場合は、エアバッグを収納して再び使用することができる。インフレータを複数搭載したエアバッグ装置においても、エアバッグ装置の動作後に未使用のインフレータが残っている場合はエアバッグを収納して再び使用することができる。エアバッグ装置を交換する必要が無いため、車両100の整備費用を低減することができる。
また、撮像装置を用いて衝突前に衝突時の衝撃の大きさを推定しておき、衝突を検出した後に、当該推定に応じた圧力や膨張速度などでエアバッグを膨張させてもよい。この時、複数のインフレータを同時に動作させてもよいし、連続して動作させてもよい。
この時の乗員保護装置110の動作を説明するフローチャートを図5に示す。図5のフローでは、ステップS350までは図4と同様に動作し、次に、衝突予想対象が車両100に衝突したのか、していないのかを判断する(ステップS365)。衝突していないと判断した場合は、ステップS310に戻る。衝突したと判断した場合は、制御装置120は、エアバッグ装置を起動する信号をエアバッグ装置に送信し、エアバッグ装置を動作させる(ステップS370)。
〔動作例1〕
図6乃至図8を用いて、車両100の前方に車両900が衝突する場合の乗員保護装置110の動作例を説明する。
まず、制御装置120が撮像装置111aおよび撮像装置111bで撮像した画像から、車両900が車両100に接近していることを検出する(図6参照。)。続いて、制御装置120は、車両900の形状から、車両900の種別が自動車であると推定する。また、車両900の種別と、車両100と車両900の相対速度などから、衝突時の衝撃の大きさを推定する。
制御装置120は衝突不可避と判断すると、衝突前からエアバッグ装置131とエアバッグ装置132を起動させる。すると、それぞれのエアバッグ108が膨張を始める(図7参照。)。衝突直後、それぞれのエアバッグ108の膨張が終了する(図8参照。)。それぞれのエアバッグ108内の圧力は、推定した衝撃の大きさにより決定される。
このようにして、車両衝突時に生じる衝撃から、乗員を遅滞無く保護することができる。
〔動作例2〕
図9乃至図11を用いて、車両100の右側方に車両900が衝突する場合の乗員保護装置110の動作例を説明する。
まず、制御装置120が撮像装置112aおよび撮像装置112bで撮像した画像から、車両900が車両100に接近していることを検出する(図9参照。)。続いて、制御装置120は、車両900の形状から、車両900の種別が自動車であると推定する。また、車両900の種別と、車両100と車両900の相対速度などから、衝突時の衝撃の大きさを推定する。
制御装置120は衝突不可避と判断すると、衝突前からエアバッグ装置133aとエアバッグ装置133bを起動させる。すると、それぞれのエアバッグ108が膨張を始める(図10参照。)。衝突直後、両者のエアバッグ108の膨張が終了する(図11参照。)。この時のそれぞれのエアバッグ108内の圧力は、推定した衝撃の大きさにより決定される。
このようにして、車両衝突時に生じる衝撃から、乗員を遅滞無く保護することができる。
〔動作例3〕
図12乃至図14を用いて、車両100の後方に車両900が衝突する場合の車両用乗員保護装置110の動作例を説明する。
まず、制御装置120が撮像装置114aおよび撮像装置114bで撮像した画像から、車両900が車両100に接近していることを検出する(図12参照。)。続いて、制御装置120は、車両900の形状から、車両900の種別が自動車であると推定する。また、車両900の種別と、車両100と車両900の相対速度などから、衝突時の衝撃の大きさを推定する。
制御装置120は衝突不可避と判断すると、衝突前からエアバッグ装置131、エアバッグ装置132、エアバッグ装置135a、およびエアバッグ装置135bを起動させる。すると、それぞれのエアバッグ108が膨張を始める(図13参照。)。衝突直後、それぞれのエアバッグ108の膨張が終了する(図14参照。)。この時のそれぞれのエアバッグ108内の圧力は、推定した衝撃の大きさにより決定される。
このようにして、車両衝突時に生じる衝撃から、乗員を遅滞無く保護することができる。
〔動作例4〕
図15乃至図17を用いて、車両100の前方に車両900が衝突する場合の乗員保護装置110の動作例を説明する。
まず、制御装置120が撮像装置111aおよび撮像装置111bで撮像した画像から、車両900が車両100に接近していることを検出する(図15参照。)。続いて、制御装置120は、車両900の形状から、車両900の種別が自動車であると推定する。また、車両900の種別と、車両100と車両900の相対速度などから、衝突時の衝撃の大きさを推定する。
ここで、エアバッグ装置131およびエアバッグ装置132はそれぞれが複数のインフレータを有しているものとする。また、制御装置120が、前述の推定から2段階の動作が最適であると判断したものとする。
制御装置120は車両100および車両900の衝突を検出すると、エアバッグ装置131が有する第1のインフレータを動作させる。また、エアバッグ装置132が有する第1のインフレータを動作させる(図16参照。)。
続いて、制御装置120は、エアバッグ装置131が有する第2のインフレータと、エアバッグ装置132が有する第2のインフレータを動作させる(図17参照。)。
エアバッグ108の膨張を複数回に分けて行なうことで、エアバッグ108の内圧や膨張速度を最適化することができる。よって、最適な乗員保護を実現することができる。
なお、制御装置120は、推定した衝撃の大きさや自車と衝突対象物との衝突角度などによって、動作させるエアバッグ装置を決定することができる。例えば、車両100の右側方からの衝突の場合、エアバッグ装置133aとエアバッグ装置133bに加えて、エアバッグ装置131やエアバッグ装置132なども動作させることができる。
また、車両100に天井側や床側にエアバッグが展開するエアバッグ装置を設けておき、推定した衝撃の大きさや自車と衝突対象物との衝突角度などによってこれらを動作させてもよい。例えば、制御装置120が車両100の横転または横転の可能性を検知した場合に、天井側や床側にエアバックを展開させてもよい。
また、車内にセンサを設置して、乗員の有無、着座状況、身長、体重などを推定し、動作させるエアバッグ装置や、展開するエアバッグの内圧や膨張速度などを決定してもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示した撮像装置に用いることができる撮像装置115について、図面を参照して説明する。
≪撮像装置115の構成例≫
図18(A)は、撮像装置115の構成例を示す平面図である。撮像装置115は、画素部140と、第1の回路260、第2の回路270、第3の回路280、及び第4の回路290を有する。なお、本明細書等において、第1の回路260乃至第4の回路290などを「周辺回路」もしくは「駆動回路」と呼ぶ場合がある。例えば、第1の回路260は周辺回路の一部と言える。
図18(B)は、画素部140の構成例を示す図である。画素部140は、p列q行(pおよびqは2以上の自然数)のマトリクス状に配置された複数の画素141(撮像素子)を有する。なお、図18(B)中のnは1以上p以下の自然数であり、mは1以上q以下の自然数である。
例えば、画素141を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、「2K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置115を実現することができる。また、例えば、画素141を4096×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置115を実現することができる。また、例えば、画素141を8192×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」などとも言われる。)の解像度で撮像可能な撮像装置115を実現することができる。画素141を増やすことで、16Kや32Kの解像度で撮像可能な撮像装置115を実現することも可能である。
第1の回路260および第2の回路270は、複数の画素141に接続し、複数の画素141を駆動するための信号を供給する機能を有する。また、第1の回路260は、画素141から出力されたアナログ信号を処理する機能を有していてもよい。また、第3の回路280は、周辺回路の動作タイミングを制御する機能を有していてもよい。例えば、クロック信号を生成する機能を有していてもよい。また、外部から供給されたクロック信号の周波数を変換する機能を有していてもよい。また、第3の回路280は、参照用電位信号(例えば、ランプ波信号など)を供給する機能を有していてもよい。
図19に第1の回路260の構成例を示す。図19に例示する第1の回路260は、信号処理回路261、列駆動回路262、出力回路263を有する。信号処理回路261は、列ごとに設けられた回路264を有する。また、回路264は、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)方式でノイズの除去を行なうことができる回路264a(「CDS回路」ともいう。)、カウンタ回路264b、ラッチ回路264cを有する。また、回路264は、アナログ−デジタル変換の機能を有する。信号処理回路261は列並列型(カラム型)アナログ−デジタル変換装置として機能することができる。
回路264aは、コンパレータ、スイッチ、および容量素子を有する。コンパレータの2つの入力端子はスイッチを介して接続されている。なお、当該スイッチとして、トランジスタやMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子などを用いてもよい。また、コンパレータの一方の端子は容量素子を介して配線267と接続されている。コンパレータの他方の端子は列ごとに設けられた配線123と接続される。なお、コンパレータの他方の端子と配線123は、容量素子を介して接続してもよい。
回路264aは、配線123から入力されるアナログ信号(撮像データ)と、配線267から入力される参照用電位信号(例えば、ランプ波信号)の電位を比較し、H電位またはL電位を出力する機能を有する。カウンタ回路264bには、配線268からクロック信号が入力され、回路264aから出力されるH電位またはL電位が入力される。カウンタ回路264bは、H電位またはL電位が入力されている期間を計測し、計測結果をNビットデジタル値のデジタル信号としてラッチ回路264cに出力する。また、カウンタ回路264bには、配線265からセット信号またはリセット信号が入力される。ラッチ回路264cは、該デジタル信号を保持する機能を有する。また、ラッチ回路264cには、配線266からセット信号またはリセット信号が入力される。
列駆動回路262は、列選択回路、水平駆動回路等とも呼ばれる。列駆動回路262は、ラッチ回路264cに保持された撮像データを読み出す列を選択する選択信号を生成する。列駆動回路262は、シフトレジスタなどで構成することができる。列駆動回路262により列が順次選択され、選択された列のラッチ回路264cから出力された撮像データが、配線269を介して出力回路263に入力される。配線269は水平転送線として機能することができる。
出力回路263に入力された撮像データは、出力回路263で処理されて、撮像装置115の外部に出力される。出力回路263は、例えばバッファ回路で構成することができる。また、出力回路263は、撮像装置115の外部に信号を出力するタイミングを制御できる機能を有していてもよい。
また、第2の回路270は、信号を読み出す画素141を選択する選択信号を生成して出力する機能を有する。なお、第2の回路270を、行選択回路、又は垂直駆動回路と呼ぶ場合がある。このようにして、アナログ信号である撮像データを、Nビットデジタル値のデジタル信号に変換して、外部に出力することができる。
周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変換回路の1つを有する。また、周辺回路に用いるトランジスタなどは、後述する画素駆動回路112を作製するために形成する半導体の一部を用いて形成してもよい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。
なお、周辺回路は、第1の回路260乃至第4の回路290のうち、少なくとも1つを省略してもよい。例えば、第1の回路260または第4の回路290の一方の機能を、第1の回路260または第4の回路290の他方に付加して、第1の回路260または第4の回路290の一方を省略してもよい。また、例えば、第2の回路270または第3の回路280の一方の機能を、第2の回路270または第3の回路280の他方に付加して、第2の回路270または第3の回路280の一方を省略してもよい。また、例えば、第1の回路260乃至第4の回路290のいずれか1つに、他の周辺回路の機能を付加することで、他の周辺回路を省略してもよい。
また、図20に示すように、第1の回路260乃至第4の回路290の上方に重ねて画素部140を設けてもよい。図20(A)は第1の回路260乃至第4の回路290の上方に重ねて画素部140を形成した撮像装置115の上面図である。また、図20(B)は、図20(A)に示した撮像装置115の構成を説明するための斜視図である。
第1の回路260乃至第4の回路290の上方に重ねて画素部140を設けることで、撮像装置115の大きさに対する画素部140の占有面積を大きくすることができる。よって、撮像装置115の受光感度を向上することができる。また、撮像装置115のダイナミックレンジを向上することができる。また、撮像装置115の解像度を向上することができる。また、撮像装置115で撮影した画像の品質を高めることができる。また、撮像装置115集積度を向上することができる。
≪画素141の回路構成例≫
画素114に用いることができる回路の一例を、回路610として図21(A)乃至図21(C)に示す。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。
〔画素回路例1〕
図21(A)に示す回路610は、光電変換素子601、トランジスタ602、トランジスタ604、および容量素子606を有する。トランジスタ602のソースまたはドレインの一方は光電変換素子601と電気的に接続され、トランジスタ602のソースまたはドレインの他方はノード607を介してトランジスタ604のゲートと電気的に接続されている。
トランジスタ602として、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)を用いることが好ましい。
OSトランジスタは、トランジスタがオフ状態のときにソースとドレインの間に流れる電流(「オフ電流」ともいう。)を極めて小さくすることができるため、容量素子606を小さくすることができる。または、図21(B)に示すように、容量素子606を省略することができる。また、トランジスタ602としてOSトランジスタを用いると、ノード607の電位が変動しにくい。よって、ノイズの影響を受けにくい撮像装置を実現することができる。
なお、トランジスタ602にOSトランジスタを用いてもよい。なお、本明細書等の回路図において、OSトランジスタを用いることが好ましいトランジスタであることを明示するために、当該トランジスタの回路記号に「OS」の記載を付す場合がある。
光電変換素子601には、シリコン基板においてpn型やpin型の接合が形成されたダイオード素子を用いることができる。または非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型のダイオード素子などを用いてもよい。または、ダイオード接続のトランジスタを用いてもよい。また、光電効果を利用した可変抵抗などをシリコン、ゲルマニウム、セレンなど用いて形成してもよい。
また、光電変換素子として、放射線を吸収して電荷を発生させることが可能な材料を用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させることが可能な材料としては、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ガリウムヒ素、CdTe、CdZnなどがある。
〔画素回路例2〕
図21(C)に示す回路610は、光電変換素子601としてフォトダイオードを用いる場合を示している。図21(C)に示す回路610は、光電変換素子601、トランジスタ602、トランジスタ603、トランジスタ604、トランジスタ605、および容量素子606を有する。トランジスタ602のソースまたはドレインの一方は光電変換素子601のカソードと電気的に接続され、他方はノード607(電荷蓄積部)と電気的に接続されている。光電変換素子601のアノードは、配線611と電気的に接続されている。トランジスタ603のソースまたはドレインの一方はノード607と電気的に接続され、他方は配線608と電気的に接続されている。トランジスタ604のゲートはノード607と電気的に接続され、ソースまたはドレインの一方はノード607と配線609と電気的に接続され、他方はトランジスタ605のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。トランジスタ605のソースまたはドレインの他方は配線608と電気的に接続されている。容量素子606の一方の電極はノード607と電気的に接続され、他方の電極は配線611と電気的に接続される。
トランジスタ602は転送トランジスタとして機能できる。トランジスタ602のゲートには、転送信号TXが供給される。トランジスタ603はリセットトランジスタとして機能できる。トランジスタ603のゲートには、リセット信号RSTが供給される。トランジスタ604は増幅トランジスタとして機能できる。トランジスタ605は選択トランジスタとして機能できる。トランジスタ605のゲートには、選択信号SELが供給される。また、配線608にVDDが供給され、配線611にはVSSが供給される。
次に、図21(C)に示す回路610の動作について説明する。まず、トランジスタ603をオン状態にして、ノード607にVDDを供給する(リセット動作)。その後、トランジスタ603をオフ状態にすると、ノード607にVDDが保持される。次に、トランジスタ602をオン状態とすると、光電変換素子601の受光量に応じて、ノード607の電位が変化する(蓄積動作)。その後、トランジスタ602をオフ状態にすると、ノード607の電位が保持される。次に、トランジスタ605をオン状態とすると、ノード607の電位に応じた電位が配線609から出力される(選択動作)。配線609の電位を検出することで、光電変換素子601の受光量を知ることができる。
トランジスタ602およびトランジスタ603には、OSトランジスタを用いることが好ましい。前述した通り、OSトランジスタはオフ電流を極めて小さくすることができるため、容量素子606を小さくすることができる。または、容量素子606を省略することができる。また、トランジスタ602およびトランジスタ603としてOSトランジスタを用いると、ノード607の電位が変動しにくい。よって、ノイズの影響を受けにくい撮像装置を実現することができる。
≪グローバルシャッタ方式、ローリングシャッタ方式≫
このように、撮像装置115は、画素141毎にリセット動作、蓄積動作、および選択動作を繰り返し行ない、画素部140全体を制御して撮像を行なう。画素部140全体を制御する撮像方法としては、グローバルシャッタ方式とローリングシャッタ方式が知られている。
グローバルシャッタ方式では、全ての画素141で略同時にリセット動作および蓄積動作が行われ、1行毎に順次読み出し動作が行われる。したがって、被写体が動体であっても、歪みの少ない良好な画像を取得することができる。
一方、ローリングシャッタ方式では、蓄積動作が全ての画素141では同時に行われず、行毎に順次行われる。したがって、一行目と最終行目では撮像のタイミングが異なるため、全ての画素141における撮像の同時性が確保されない。よって、動体が被写体である場合は歪の大きい画像となってしまう。
グローバルシャッタ方式を実現するためには、各画素からの信号の読み出しが順次終了するまで、電荷蓄積部の電位を長時間保つ必要がある。電荷蓄積部の電位の長時間の保持は、トランジスタ602およびトランジスタ603などにOSトランジスタを用いることで実現できる。一方、トランジスタ602およびトランジスタ603などにチャネル形成領域をシリコンなどで形成したトランジスタを適用した場合は、オフ電流が高いために電荷蓄積部の電位を長時間保持できず、グローバルシャッタ方式を用いることが困難となる。
以上のように、画素141にOSトランジスタを用いることでグローバルシャッタ方式を容易に実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した撮像装置115を固体撮像装置の一種であるCMOSイメージセンサで構成する場合の例について、図面を参照して説明する。図22に、撮像装置115が有する画素141の一部の断面図を示す。また、周辺回路領域252として、周辺回路の一部の断面図を示す。また、図23(A)にトランジスタ602の拡大図を示す。また、図23(B)に容量素子606の拡大図を示す。また、図25(A)にトランジスタ281の拡大図を示す。また、図25(B)にトランジスタ282の拡大図を示す。なお、本実施の形態に示すトランジスタ602の構造は、上記実施の形態に示す他のトランジスタに用いることができる。
本実施の形態で例示する撮像装置115は、基板401としてn型半導体を用いている。また、基板401中に光電変換素子601のp型半導体221が設けられている。また、基板401の一部が、光電変換素子601のn型半導体223として機能する。
また、トランジスタ281は基板401上に設けられている。トランジスタ281はpチャネル型のトランジスタとして機能できる。また、基板401の一部にp型半導体のウェル220が設けられている。ウェル220はp型半導体221の形成と同様の方法で設けることができる。ウェル220とp型半導体221は同時に形成することができる。また、トランジスタ282はウェル220上に設けられている。トランジスタ282はnチャネル型のトランジスタとして機能できる。トランジスタ281およびトランジスタ282のチャネルは、基板401に形成される。
また、光電変換素子601、トランジスタ281、およびトランジスタ282上に絶縁層403が形成され、絶縁層403上に絶縁層404が形成されている。
絶縁層403は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム及び酸化タンタルなどの酸化物材料や、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物材料などを、単層または多層で形成することができる。絶縁層403は、スパッタリング法やCVD法、熱酸化法、塗布法、印刷法等を用いて形成することが可能である。
絶縁層404は、絶縁層403と同様の材料および方法で形成することができる。なお、絶縁層403および絶縁層404は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物の拡散を防ぐ機能を有する絶縁材料を用いて形成することが好ましい。なお、絶縁層403と絶縁層404のどちらか一方を省略してもよいし、絶縁層をさらに積層してもよい。
また、本実施の形態に示す撮像装置115は、絶縁層404上に平坦な表面を有する絶縁層405を有する。絶縁層405は、絶縁層403と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層405として、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)などを用いてもよい。また、絶縁層405表面に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理(以下、「CMP処理」ともいう。)を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
また、絶縁層403乃至絶縁層405の基板401(n型半導体223)と重なる領域に開口224が形成され、絶縁層403乃至絶縁層405のp型半導体221と重なる領域に開口225が形成されている。また、開口224および開口225中に、コンタクトプラグ406が形成されている。コンタクトプラグ406は絶縁層に設けられた開口内に導電性材料を埋め込むことで形成される。導電性材料として、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い導電性材料を用いることができる。また、図示しないが、当該材料の側面および底面を、チタン層、窒化チタン層又はこれらの積層等からなるバリア層(拡散防止層)で覆うことができる。この場合、バリア膜も含めてコンタクトプラグという場合がある。なお、開口224および開口225は、その数や配置に特段の制約は無い。よって、レイアウトの自由度が高い撮像装置を実現できる。
また、絶縁層405の上に、配線421および配線429が形成されている。配線421は、開口224に設けられたコンタクトプラグ406を介してn型半導体223と電気的に接続されている。また、配線429は、開口225に設けられたコンタクトプラグ406を介してp型半導体221と電気的に接続されている。
また、配線421および配線429を覆って絶縁層407が形成されている。絶縁層407は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層407表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
配線421および配線429は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、マンガン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、マンガンを含む銅膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造、タングステン膜上に銅膜を積層し、さらにその上にタングステン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
なお、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、亜鉛酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの酸素を含む導電性材料、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。また、前述した金属元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造とすることもできる。
トランジスタ602、トランジスタ289、及び容量素子606は、絶縁層408及び絶縁層409を介して絶縁層407上に形成されている。図示しない他のトランジスタなども、トランジスタ602と同様に絶縁層408および絶縁層409を介して絶縁層407上に形成することができる。なお、本実施の形態では、トランジスタ602、およびトランジスタ289などをトップゲート構造のトランジスタとして例示しているが、ボトムゲート構造のトランジスタとしてもよい。
また、上記トランジスタとして、逆スタガ型のトランジスタや、順スタガ型のトランジスタを用いることも可能である。また、チャネルが形成される半導体層を2つのゲート電極で挟む構造の、デュアルゲート型のトランジスタを用いることも可能である。また、シングルゲート構造のトランジスタに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲート型トランジスタ、例えばダブルゲート型トランジスタとしてもよい。
また、上記トランジスタとして、プレーナ型、FIN型(フィン型)、TRI−GATE型(トライゲート型)などの、様々な構成のトランジスタを用いることが出来る。
上記トランジスタは、それぞれが同様の構造を有していてもよいし、異なる構造を有していてもよい。トランジスタのサイズ(例えば、チャネル長、およびチャネル幅)等は、各トランジスタで適宜調整すればよい。撮像装置115が有する複数のトランジスタを全て同じ構造とする場合は、それぞれのトランジスタを同じ工程で同時に作製することができる。
トランジスタ602は、ゲート電極として機能することができる電極243と、ソース電極またはドレイン電極の一方として機能することができる電極244と、ソース電極またはドレイン電極の他方として機能することができる電極245と、ゲート絶縁層として機能できる絶縁層117と、半導体層242と、を有する(図23(A)参照。)。
なお、図22では、トランジスタ602のソース電極またはドレイン電極の他方として機能する電極245と、容量素子606の一方の電極として機能することができる電極を、どちらも電極245を用いて形成している。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。トランジスタ602のソース電極またはドレイン電極の他方として機能する電極と、容量素子606の一方の電極として機能することができる電極を、それぞれ異なる電極を用いて形成してもよい。
また、容量素子606は、容量素子606の一方の電極として機能することができる電極245と、他方の電極として機能することができる電極273が、絶縁層277及び半導体層272cを介して重なる構成を有する(図23(B)参照。)。また、電極273は、電極243と同時に形成することができる。また、絶縁層277及び半導体層272cは、誘電体として機能できる。また、絶縁層277は絶縁層117と同時に形成することができる。また、半導体層272cは半導体層242cと同時に形成することができる。なお、絶縁層277と半導体層272cの一方は省略してもよい。
絶縁層408は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の不純物の拡散を防ぐ機能を有する絶縁材料を用いて形成することが好ましい。該絶縁材料としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、該絶縁材料として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用いることで、光電変換素子601側から拡散する不純物が、半導体層242へ到達することを抑制することができる。なお、絶縁層408は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、熱酸化法などにより形成することができる。絶縁層408は、これらの材料を単層で、もしくは積層して用いることができる。
絶縁層409は絶縁層403と同様の材料および方法で形成することができる。また、半導体層242として酸化物半導体を用いる場合、絶縁層409に化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層を用いて形成することが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、絶縁層の表面温度が100℃以上700℃以下、好ましくは100℃以上500℃以下の加熱処理で行われるTDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である絶縁層である。
また、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入装置、イオンドーピング装置またはプラズマ処理装置を用いて行うことができる。酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
トランジスタ602、トランジスタ289等の半導体層は、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、ナノクリスタル半導体、セミアモルファス半導体、非晶質半導体等を用いて形成することができる。例えば、非晶質シリコンや、微結晶ゲルマニウム等を用いることができる。また、炭化シリコン、ガリウム砒素、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体等を用いることができる。
本実施の形態では、半導体層242として酸化物半導体を用いる。また、半導体層242は、単層でもよいし、複数層の積層でもよい。なお、半導体層242を複数層の積層とする場合は、同一種類の半導体材料の積層でもよいし、異なる種類の半導体材料の積層でもよい。本実施の形態では、半導体層242を、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cの積層とする場合について説明する。
本実施の形態では、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cは、InもしくはGaの一方、または両方を含む材料で形成する。代表的には、In−Ga酸化物(InとGaを含む酸化物)、In−Zn酸化物(InとZnを含む酸化物)、In−M−Zn酸化物(Inと、元素Mと、Znを含む酸化物。元素Mは、Al、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHfから選ばれた1種類以上の元素で、Inよりも酸素との結合力が強い金属元素である。)がある。
半導体層242aおよび半導体層242cは、半導体層242bを構成する金属元素のうち、1種類以上の同じ金属元素を含む材料により形成されることが好ましい。このような材料を用いると、半導体層242aおよび半導体層242bとの界面、ならびに半導体層242cおよび半導体層242bとの界面に界面準位を生じにくくすることができる。よって、界面におけるキャリアの散乱や捕獲が生じにくく、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧のばらつきを低減することが可能となる。よって、良好な電気特性を有する半導体装置を実現することが可能となる。
半導体層242aおよび半導体層242cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、半導体層242bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
また、半導体層242bがIn−M−Zn酸化物であり、半導体層242aおよび半導体層242cもIn−M−Zn酸化物であるとき、半導体層242aおよび半導体層242cをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、半導体層242bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]とすると、y1/x1がy2/x2よりも大きくなるように半導体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも1.5倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。さらに好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも2倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242c、および半導体層242bを選択する。より好ましくは、y1/x1がy2/x2よりも3倍以上大きくなるように半導体層242a、半導体層242cおよび半導体層242bを選択する。このとき、半導体層242bにおいて、y1がx1以上であるとトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好ましい。ただし、y1がx1の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y1はx1の3倍未満であると好ましい。半導体層242aおよび半導体層242cを上記構成とすることにより、半導体層242aおよび半導体層242cを、半導体層242bよりも酸素欠損が生じにくい層とすることができる。
なお、半導体層242aおよび半導体層242cがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は、好ましくはInが50atomic%未満、元素Mが50atomic%以上、さらに好ましくはInが25atomic%未満、元素Mが75atomic%以上とする。また、半導体層242bがIn−M−Zn酸化物であるとき、ZnおよびOを除いてのInと元素Mの含有率は好ましくはInが25atomic%以上、元素Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、元素Mが66atomic%未満とする。
例えば、InまたはGaを含む半導体層242a、およびInまたはGaを含む半導体層242cとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、1:3:6、1:6:4、または1:9:6などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物や、In:Ga=1:9などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga酸化物や、酸化ガリウムなどを用いることができる。また、半導体層242bとしてIn:Ga:Zn=3:1:2、1:1:1、5:5:6、または4:2:4.1などの原子数比のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
半導体層242bを用いたトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、半導体層242b中の不純物および酸素欠損を低減して高純度真性化し、半導体層242bを真性または実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とすることが好ましい。また、少なくとも半導体層242b中のチャネル形成領域が真性または実質的に真性と見なせる半導体層とすることが好ましい。
なお、実質的に真性と見なせる酸化物半導体層とは、酸化物半導体層中のキャリア密度が、8×1011/cm3未満、または1×1011/cm3未満、1×10−9/cm3以上である酸化物半導体層をいう。
[酸化物半導体のエネルギーバンド構造]
ここで、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層242cの積層により構成される半導体層242の機能およびその効果について、図24に示すエネルギーバンド構造図を用いて説明する。図24は、図23(A)にC1−C2の一点鎖線で示す部位のエネルギーバンド構造図である。図24は、トランジスタ602のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造を示している。
図24中、Ec382、Ec383a、Ec383b、Ec383c、Ec386は、それぞれ、絶縁層409、半導体層242a、半導体層242b、半導体層242c、絶縁層117の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう。)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう。)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.4eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:6のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.3eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.9eV、電子親和力は約4.3eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:8のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.4eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:6:10のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.5eV、電子親和力は約4.5eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約3.2eV、電子親和力は約4.7eVである。また、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2のターゲットを用いて形成したIn−Ga−Zn酸化物のエネルギーギャップは約2.8eV、電子親和力は約5.0eVである。
絶縁層409と絶縁層117は絶縁物であるため、Ec382とEc386は、Ec383a、Ec383b、およびEc383cよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
また、Ec383aは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383aは、Ec383bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
また、Ec383cは、Ec383bよりも真空準位に近い。具体的には、Ec383cは、Ec383bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下真空準位に近いことが好ましい。
また、半導体層242aと半導体層242bとの界面近傍、および、半導体層242bと半導体層242cとの界面近傍では、混合領域が形成されるため、伝導帯下端のエネルギーは連続的に変化する。即ち、これらの界面において、準位は存在しないか、ほとんどない。
従って、当該エネルギーバンド構造を有する積層構造において、電子は半導体層242bを主として移動することになる。そのため、半導体層242aと絶縁層409との界面、または、半導体層242cと絶縁層117との界面に準位が存在したとしても、当該準位は電子の移動にほとんど影響しない。また、半導体層242aと半導体層242bとの界面、および半導体層242cと半導体層242bとの界面に準位が存在しないか、ほとんどないため、当該領域において電子の移動を阻害することもない。従って、上記酸化物半導体の積層構造を有するトランジスタ602は、高い電界効果移動度を実現することができる。
なお、図24に示すように、半導体層242aと絶縁層409の界面、および半導体層242cと絶縁層117の界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位390が形成され得るものの、半導体層242a、および半導体層242cがあることにより、半導体層242bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
また、例えば、半導体層242a上に形成された半導体層242bの上面と側面を半導体層242cで覆ってもよい。このように、半導体層242bを半導体層242aと半導体層242cで覆う構成とすることで、上記トラップ順位の影響をさらに低減することができる。
ただし、Ec383aまたはEc383cと、Ec383bとのエネルギー差が小さい場合、半導体層242bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。トラップ準位に電子が捕獲されることで、絶縁層の界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
従って、Ec383a、およびEc383cと、Ec383bとのエネルギー差を、それぞれ0.1eV以上、好ましくは0.15eV以上とすると、トランジスタのしきい値電圧の変動が低減され、トランジスタの電気特性を良好なものとすることができるため、好ましい。
また、半導体層242a、および半導体層242cのバンドギャップは、半導体層242bのバンドギャップよりも広いほうが好ましい。
本発明の一態様によれば、電気特性のばらつきが少ないトランジスタを実現することができる。よって、電気特性のばらつきが少ない半導体装置を実現することができる。本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。よって、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を極めて小さくすることができる。具体的には、チャネル幅1μm当たりのオフ電流を室温下において1×10−20A未満、好ましくは1×10−22A未満、さらに好ましくは1×10−24A未満とすることができる。すなわち、オンオフ比を20桁以上150桁以下とすることができる。
本発明の一態様によれば、消費電力が少ないトランジスタを実現することができる。よって、消費電力が少ない撮像装置や半導体装置を実現することができる。
また、OSトランジスタはオフ電流が著しく低いため、トランジスタ602にOSトランジスタを用いることで、容量素子606を小さくすることができる。よって、光電変換素子601の受光可能面積を大きくすることができる。また、トランジスタ602にOSトランジスタを用いることで、ソースとドレインの間に意図せず流れる電流(「漏れ電流」または「リーク電流」ともいう。)を低減することができる。よって、撮像装置115の消費電力を低減することができる。また、電極244および電極245へのノイズの混入を低減することができ、撮像装置115で撮像された画像の品質を向上させることができる。また、信頼性の高い撮像装置115を提供することができる。
本発明の一態様によれば、受光感度の高い撮像装置や半導体装置を実現することができる。また、本発明の一態様によれば、ダイナミックレンジの広い撮像装置や半導体装置を実現することができる。
また、酸化物半導体はバンドギャップが広いため、酸化物半導体を用いた半導体装置は使用できる環境の温度範囲が広い。本発明の一態様によれば、動作温度範囲が広い撮像装置や半導体装置を実現することができる。
なお、上述の3層構造は一例である。例えば、半導体層242aまたは半導体層242cの一方を形成しない2層構造としても構わない。
[酸化物半導体について]
ここで、半導体層242に適用可能な酸化物半導体について詳細に説明しておく。
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous like Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、nc−OSなどがある。
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であって不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a−like OSは、微小な領域において周期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
<CAAC−OS>
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
以下では、TEMによって観察したCAAC−OSについて説明する。図38(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって行うことができる。
図38(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図38(B)に示す。図38(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層の配列は、CAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
図38(B)に示すように、CAAC−OSは特徴的な原子配列を有する。図38(C)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図38(B)および図38(C)より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあり、ペレットとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC−OSのペレット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造となる(図38(D)参照。)。図38(C)で観察されたペレットとペレットとの間で傾きが生じている箇所は、図38(D)に示す領域5161に相当する。
また、図39(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図39(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図39(B)、図39(C)および図39(D)に示す。図39(B)、図39(C)および図39(D)より、ペレットは、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
次に、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図40(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSの結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、CAAC−OSのout−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。より好ましいCAAC−OSは、out−of−plane法による構造解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
一方、CAAC−OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。CAAC−OSの場合は、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図40(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに対し、InGaZnO4の単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図40(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図41(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図41(B)に示す。図41(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図41(B)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図41(B)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
上述したように、CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をするとCAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合がある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャリア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップとなる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
不純物および酸素欠損の少ないCAAC−OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体である。具体的には、8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上のキャリア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC−OSは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
<nc−OS>
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OSに対し、ペレットよりも大きい径のX線を用いた場合、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークは検出されない。また、nc−OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
<a−like OS>
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
a−like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
電子照射を行う試料として、a−like OS(試料Aと表記する。)、nc−OS(試料Bと表記する。)およびCAAC−OS(試料Cと表記する。)を準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図42は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさ(average crystal size)を調査した例である。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図42より、a−like OSは、電子の累積照射量(cumulative electron dose)に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体的には、図42中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×108e−/nm2においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、図42中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度であることがわかる。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られないことがわかる。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
また、半導体層242a、半導体層242b、および半導体層108cに適用可能な酸化物半導体の一例として、インジウムを含む酸化物を挙げることができる。酸化物は、例えば、インジウムを含むと、キャリア移動度(電子移動度)が高くなる。また、酸化物半導体は、元素Mを含むと好ましい。元素Mは、好ましくは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。元素Mは、例えば、酸素との結合エネルギーが高い元素である。元素Mは、例えば、酸化物のエネルギーギャップを大きくする機能を有する元素である。また、酸化物半導体は、亜鉛を含むと好ましい。酸化物が亜鉛を含むと、例えば、酸化物を結晶化しやすくなる。
ただし、酸化物半導体は、インジウムを含む酸化物に限定されない。酸化物半導体は、例えば、亜鉛スズ酸化物、ガリウムスズ酸化物、ガリウム酸化物であっても構わない。
また酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きい酸化物を用いる。酸化物半導体のエネルギーギャップは、例えば、2.5eV以上4.2eV以下、好ましくは2.8eV以上3.8eV以下、さらに好ましくは3eV以上3.5eV以下とする。
以下では、酸化物半導体中における不純物の影響について説明する。なお、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、低キャリア密度化および高純度化することが有効である。酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。
例えば、酸化物半導体中のシリコンは、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。そのため、酸化物半導体中のシリコン濃度を、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)において、1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは2×1018atoms/cm3未満とする。
また、酸化物半導体中に水素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体中に窒素が含まれると、キャリア密度を増大させてしまう場合がある。酸化物半導体の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体の水素濃度を低減するために、半導体層242と接する絶縁層409および絶縁層117の水素濃度を低減すると好ましい。絶縁層409および絶縁層117の水素濃度はSIMSにおいて、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体の窒素濃度を低減するために、絶縁層409および絶縁層117の窒素濃度を低減すると好ましい。絶縁層409および絶縁層117の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
本実施の形態では、まず、絶縁層409上に半導体層242aを形成し、半導体層242a上に半導体層242bを形成する。
なお、酸化物半導体層の成膜には、スパッタリング法を用いることが好ましい。スパッタリング法としては、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、ACスパッタリング法等を用いることができる。DCスパッタリング法、またはACスパッタリング法は、RFスパッタリング法よりも均一性良く成膜することができる。
本実施の形態では、半導体層242aとして、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:2)を用いて、スパッタリング法により厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。なお、半導体層242aに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。
また、半導体層242a形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、半導体層242a上に、半導体層242bを形成する。本実施の形態では、半導体層242bとして、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1)を用いて、スパッタリング法により厚さ30nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。なお、半導体層242bに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。
また、半導体層242b形成後に酸素ドープ処理を行ってもよい。
次に、半導体層242aおよび半導体層242bに含まれる水分または水素などの不純物をさらに低減して、半導体層242aおよび半導体層242bを高純度化するために、加熱処理を行ってもよい。
例えば、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、半導体層242aおよび半導体層242bに加熱処理を施す。なお、酸化性雰囲気とは、酸素、オゾンまたは窒化酸素などの酸化性ガスを10ppm以上含有する雰囲気をいう。また、不活性雰囲気とは、前述の酸化性ガスが10ppm未満であり、その他、窒素または希ガスで充填された雰囲気をいう。
また、加熱処理を行うことにより、不純物の放出と同時に絶縁層409に含まれる酸素を半導体層242aおよび半導体層242bに拡散させ、半導体層242aおよび半導体層242bの酸素欠損を低減することができる。なお、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。なお、加熱処理は、半導体層242bの形成後であれば、いつ行ってもよい。例えば、半導体層242bの選択的なエッチング後に加熱処理を行ってもよい。
加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下で行えばよい。処理時間は24時間以内とする。24時間を超える加熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
次に、半導体層242b上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクを用いて、半導体層242aおよび半導体層242bの一部を選択的にエッチングする。この時、絶縁層409の一部がエッチングされ、絶縁層409に凸部が形成される場合がある。
半導体層242aおよび半導体層242bのエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。エッチング終了後、レジストマスクを除去する。
また、トランジスタ602は、半導体層242b上に、半導体層242bの一部と接して、電極244および電極245を有する。電極244および電極245(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)は、配線421と同様の材料および方法で形成することができる。
また、トランジスタ602は、半導体層242b、電極244、および電極245上に半導体層242cを有する。半導体層242cは、半導体層242b、電極244、および電極245の、それぞれの一部と接する。
本実施の形態では、半導体層242cを、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:3:2)を用いたスパッタリング法により形成する。なお、半導体層242cに適用可能な構成元素および組成はこれに限られるものではない。例えば、半導体層242cとして酸化ガリウムを用いてもよい。また、半導体層242cに酸素ドープ処理を行ってもよい。
また、トランジスタ602は、半導体層242c上に絶縁層117を有する。絶縁層117はゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層117は、絶縁層409と同様の材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層117に酸素ドープ処理を行ってもよい。
半導体層242cおよび絶縁層117の形成後、絶縁層117上にマスクを形成し、半導体層242cおよび絶縁層117の一部を選択的にエッチングして、島状の半導体層242c、および島状の絶縁層117としてもよい。
また、トランジスタ602は、絶縁層117上に電極243を有する。電極243(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)は、配線421と同様の材料および方法で形成することができる。
本実施の形態では、電極243を電極243aと電極243bの積層とする例を示している。例えば、電極243aを窒化タンタルで形成し、電極243bを銅で形成する。電極243aがバリア層として機能し、銅元素の拡散を防ぐことができる。よって、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
また、トランジスタ602は、電極243を覆う絶縁層418を有する。絶縁層418は、絶縁層409と同様の材料及び方法で形成することができる。また、絶縁層418に酸素ドープ処理を行ってもよい。また、絶縁層418表面にCMP処理を行ってもよい。
また、絶縁層418上に絶縁層439を有し、絶縁層439上に絶縁層419を有する。絶縁層439および絶縁層419は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層419表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。また、絶縁層419、絶縁層439、および絶縁層418の一部に開口が形成されている。また、該開口中に、コンタクトプラグが形成されている。
また、絶縁層419の上に、配線427、及び配線444(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)が形成されている。配線444は、絶縁層419及び絶縁層418に設けられた開口において、コンタクトプラグを介して電極273と電気的に接続されている。また、配線427は、絶縁層419及び絶縁層418に設けられた開口において、コンタクトプラグを介して電極243と電気的に接続されている。
また、撮像装置115は、配線427、及び配線444(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)を覆って絶縁層415を有する。絶縁層415は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層415表面にCMP処理を行ってもよい。CMP処理を行うことにより、試料表面の凹凸を低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。また、絶縁層415の一部に開口が形成されている。
また、絶縁層415の上に、配線422、配線423、及び配線266(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)が形成されている。
なお、配線422、配線423、及び配線266(これらと同じ層で形成される他の電極または配線を含む)は、それぞれが絶縁層中に形成された開口およびコンタクトプラグを介して、他層の配線または他層の電極と電気的に接続することができる。
また、配線422、配線423、及び配線266を覆って絶縁層416を有する。絶縁層416は、絶縁層405と同様の材料および方法で形成することができる。また、絶縁層416表面にCMP処理を行ってもよい。
[トランジスタ281、トランジスタ282]
周辺回路を構成するトランジスタの一例として、図22に示したトランジスタ281の拡大断面図を図25(A)に示す。また、図22に示したトランジスタ282の拡大断面図を図25(B)に示す。本実施の形態では、一例として、トランジスタ281がpチャネル型のトランジスタ、トランジスタ282がnチャネル型のトランジスタである場合について説明する。
トランジスタ281は、チャネルが形成領域283、高濃度p型不純物領域285、絶縁層286、電極287、側壁288を有する。また、絶縁層286を介して側壁288と重なる領域に低濃度p型不純物領域284を有する。絶縁層286はゲート絶縁層として機能できる。電極287はゲート電極として機能できる。
低濃度p型不純物領域284は、電極287形成後、側壁288形成前に、電極287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。すなわち、低濃度p型不純物領域284は、自己整合方式により形成することができる。側壁288の形成後、高濃度p型不純物領域285を形成する。また、高濃度p型不純物領域285は、光電変換素子601が有するp型半導体221と同一工程で同時に形成することができる。なお、低濃度p型不純物領域284は高濃度p型不純物領域285と同じ導電型を有し、導電型を付与する不純物の濃度が高濃度p型不純物領域285よりも低い。また、低濃度p型不純物領域284は、状況に応じて設けなくてもよい。
トランジスタ282は、チャネル形成領域1283がウェル220に形成される。また、トランジスタ282は、チャネル形成領域1283、高濃度n型不純物領域1285、絶縁層286、電極287、側壁288を有する。また、絶縁層286を介して側壁288と重なる領域に低濃度n型不純物領域1284を有する。
低濃度n型不純物領域1284は、電極287形成後、側壁288形成前に、電極287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。すなわち、低濃度n型不純物領域1284は、自己整合方式により形成することができる。側壁288の形成後、高濃度n型不純物領域1285を形成する。なお、低濃度n型不純物領域1284は高濃度n型不純物領域1285と同じ導電型を有し、導電型を付与する不純物の濃度が高濃度n型不純物領域1285よりも低い。また、低濃度n型不純物領域1284は、状況に応じて設けなくてもよい。
トランジスタ281およびトランジスタ282は、素子分離層414により電気的に分離されている。素子分離領域の形成は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法や、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。
[変形例1]
図22とは異なる撮像装置の構成例を図26に示す。図26に示すように、nチャネル型のトランジスタ282を設けない構成としてもよい。周辺回路で必要なCMOS回路は、nチャネル型のトランジスタ289とpチャネル型のトランジスタ281を組み合わせて実現することができる。nチャネル型のトランジスタ282を設けないことで、撮像装置115の作製工程を低減することができる。よって、生産性の良好な撮像装置を実現できる。また、製造コストが低減された撮像装置を実現できる。
[変形例2]
図22および図26とは異なる撮像装置の構成例を図27に示す。図27に示すトランジスタ602およびトランジスタ289は、絶縁層409を介して半導体層242と重なる領域に、バックゲートとして機能する電極213を設けている。また、容量素子606を構成する電極273を、絶縁層409を介して電極245と重なる領域に設けている。
トランジスタ602およびトランジスタ289にバックゲートとして機能する電極213を設ける場合は、電極213を形成するための導電層の一部を用いて電極273を形成することができる。電極213と電極273は、同じ層上に、同じ作製方法および材料を用いて同時に作製することができる。すなわち、電極213と電極273は、同一の成膜工程および同一のエッチング工程を経て島状に加工された層である。
また、電極213および電極273は、電極243と同様の材料および方法で形成することができる。ただし、容量素子606に透光性を付与する場合は、電極245および電極273として透光性を有する導電性材料を用いることが好ましい。容量素子606に透光性を付与することで、有効開口率を高めることができる。また、別途、電極273を形成するための工程を設ける必要がないため、撮像装置の生産性を高めることができる。
なお、本明細書等で開示された、金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜はスパッタリング法やプラズマCVD法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成してもよい。熱CVD法の例としてMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を使っても良い。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
熱CVD法は、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行ってもよい。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブとも呼ぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFET(Field Effect Transistor)を作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、及びジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いる。また、これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)などのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。他の材料としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。また、他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次繰り返し導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合酸化物層を形成しても良い。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスで水をバブリングして得られたH2Oガスを用いても良いが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いても良い。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いても良い。
[変形例3]
図22、図26および図27とは異なる撮像装置115の構成例を図28に示す。
図28に示す撮像装置115は、絶縁層415上に光電変換素子601が設けられている。図28に示す光電変換素子601は、金属材料などで形成された電極686と透光性導電層682との間に光電変換層681を有する。図28では、セレン系材料を光電変換層681に用いた形態を示している。セレン系材料を用いた光電変換素子601は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層681を薄くしやすい利点を有する。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
なお、光電変換層681は単層として図示しているが、セレン系材料の受光面側に正孔注入阻止層として酸化ガリウムまたは酸化セリウムなどを設け、電極686側に電子注入阻止層として酸化ニッケルまたは硫化アンチモンなどを設ける構成とすることもできる。
また、光電変換層681は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するためにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とすることができる。
透光性導電層682には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電層682は単層に限らず、異なる膜の積層であっても良い。
なお、図28では、光電変換層681および透光性導電層682を画素ごとに分離しない構成としているが、図29(A)に示すように画素ごとに分離する構成としてもよい。また、隣接する画素間の電極686を有さない領域には、絶縁体で隔壁477を設け、光電変換層681および透光性導電層682に亀裂が入らないようにすることが好ましいが、図29(B)に示すように隔壁477を設けない構成としてもよい。また、図28では、透光性導電層682と配線487が、配線488およびコンタクトプラグ489を介して電気的に接続する構成を図示しているが、図29(C)、図29(D)に示すように透光性導電層682と配線487が直接接してもよい。
また、電極686および配線487などは、複数の導電層を積層した構成であってもよい。例えば、図29(E)に示すように、電極686を導電層686a、導電層686bの二層とし、配線487を導電層487a、導電層487bの二層とすることができる。図29(E)の構成においては、例えば、導電層686aおよび導電層487aを低抵抗の金属等を選択して形成し、導電層686bおよび導電層487bを光電変換層681とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は透光性導電層682と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を導電層487aに用いた場合でも導電層487bを介することによって電蝕を防止することができる。
導電層686bおよび導電層487bには、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。また、導電層686aおよび導電層487aには、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。
また、絶縁層442が多層である構成であってもよい。隔壁477は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁477は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
なお、図28において、トランジスタ289、トランジスタ602はバックゲートを有する形態を例示しているが、バックゲートを有さない形態であってもよい。また、一部のトランジスタ、例えばトランジスタ289のみにバックゲートを有するような形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。なお、当該バックゲート有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他の撮像装置の形態にも適用することができる。
また、光電変換素子601には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型のダイオード素子などを用いてもよい。当該フォトダイオードは、n型の半導体層、i型の半導体層、およびp型の半導体層が順に積層された構成を有している。i型の半導体層には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、p型の半導体層およびn型の半導体層には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
なお、pn型やpin型のダイオード素子は、p型の半導体層が受光面となるように設けることが好ましい。p型の半導体層を受光面とすることで、光電変換素子601の出力電流を高めることができる。
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子601は、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半導体作製工程を用いて作製するこができる。また、セレン系材料は高抵抗であり、図28に示すように、光電変換層681を画素間で分離しない構成とすることもできる。
また、撮像装置は、図30(A1)及び図30(B1)に示すように湾曲させてもよい。図30(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1−X2の方向に湾曲させた状態を示している。図30(A2)は、図30(A1)中の二点鎖線X1−X2で示した部位の断面図である。図30(A3)は、図30(A1)中の二点鎖線Y1−Y2で示した部位の断面図である。
図30(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3−X4の方向に湾曲させ、かつ、同図中の二点鎖線Y3−Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図30(B2)は、図30(B1)中の二点鎖線X3−X4で示した部位の断面図である。図30(B3)は、図30(B1)中の二点鎖線Y3−Y4で示した部位の断面図である。
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態に示したトランジスタに用いることができるトランジスタの構成例について、図面を参照して説明する。
〔ボトムゲート型トランジスタ〕
図31(A1)に例示するトランジスタ410は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ410は、絶縁層409上にゲート電極として機能できる電極246を有する。また、電極246上に絶縁層216を介して半導体層242を有する。電極246は電極243と同様の材料及び方法で形成することができる。絶縁層216は絶縁層117と同様の材料及び方法で形成することができる。
また、トランジスタ410は、半導体層242のチャネル形成領域上に、チャネル保護層として機能できる絶縁層209を有する。絶縁層209は、絶縁層216と同様の材料および方法により形成することができる。また、半導体層242の一部と接して、絶縁層216上に電極244および電極245を有する。電極244の一部、および電極245の一部は、絶縁層209上に形成される。
チャネル形成領域上に絶縁層209を設けることで、電極244および電極245の形成時に生じる半導体層242の露出を防ぐことができる。よって、電極244および電極245の形成時に、半導体層242のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタ410は、電極244、電極245および絶縁層209上に絶縁層418を有し、絶縁層418の上に絶縁層439を有する。
図31(A2)に示すトランジスタ411は、絶縁層439上にバックゲート電極として機能できる電極213を有する点が、トランジスタ410と異なる。電極213は、電極243と同様の材料および方法で形成することができる。
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位や、任意の電位などとしてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を制御することができる。
電極246および電極213は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層216、絶縁層209、絶縁層418、および絶縁層439は、それぞれがゲート絶縁層として機能することができる。
なお、電極246または電極213の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という場合がある。例えば、トランジスタ411において、電極213を「ゲート電極」と言う場合、電極246を「バックゲート電極」と言う。また、電極213を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ411をトップゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。
半導体層242を挟んで電極246および電極213を設けることで、更には、電極246および電極213を同電位とすることで、半導体層242においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ411のオン電流が大きくなると共に、電界効果移動度が高くなる。
したがって、トランジスタ411は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ411の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
電極246および電極213は、それぞれが外部からの電界を遮蔽する機能を有するため、電極246の下方および電極213の上方に生じる荷電粒子等の電荷が半導体層242のチャネル形成領域に影響しない。この結果、ストレス試験(例えば、ゲートに負の電荷を印加する−GBT(Gate Bias−Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制される。また、電極246および電極213は、ドレイン電極から生じる電界が半導体層に作用しないように遮断することができる。よって、ドレイン電圧の変動に起因する、オン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。なお、この効果は、電極246および電極213に電位が供給されている場合において顕著に生じる。
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することができる。特に、BTストレス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、信頼性が高いトランジスタであるといえる。
また、電極246および電極213を有し、且つ電極246および電極213を同電位とすることで、しきい値電圧の変動量が低減される。このため、複数のトランジスタ間における電気特性のばらつきも同時に低減される。
また、バックゲート電極を有するトランジスタは、ゲートに正の電荷を印加する+GBTストレス試験前後におけるしきい値電圧の変動も、バックゲート電極を有さないトランジスタより小さい。
また、バックゲート電極側から光が入射する場合に、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
また、電極213は、絶縁層418と絶縁層439の間に設けてもよい。また、電極213と絶縁層439の間に絶縁層を有していてもよい。
本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
図31(B1)に例示するトランジスタ420は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネル保護型のトランジスタである。トランジスタ420は、トランジスタ410とほぼ同様の構造を有しているが、絶縁層209が半導体層242を覆っている点が異なる。また、半導体層242と重なる絶縁層209の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層242と電極244が電気的に接続している。また、半導体層242と重なる絶縁層209の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層242と電極245が電気的に接続している。絶縁層209の、チャネル形成領域と重なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
図31(B2)に示すトランジスタ424は、絶縁層439上にバックゲート電極として機能できる電極213を有する点が、トランジスタ420と異なる。
絶縁層209を設けることで、電極244および電極245の形成時に生じる半導体層242の露出を防ぐことができる。よって、電極244および電極245の形成時に半導体層242の薄膜化を防ぐことができる。
また、トランジスタ420およびトランジスタ424は、トランジスタ410およびトランジスタ411よりも、電極244と電極246の間の距離と、電極245と電極246の間の距離が長くなる。よって、電極244と電極246の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極245と電極246の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
図31(C1)に示すトランジスタ425は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネルエッチング型のトランジスタである。トランジスタ425は、絶縁層209を用いずに電極244および電極245を形成する。このため、電極244および電極245の形成時に露出する半導体層242の一部がエッチングされる場合がある。一方、絶縁層209を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
図31(C2)に示すトランジスタ426は、絶縁層439上にバックゲート電極として機能できる電極213を有する点が、トランジスタ420と異なる。
〔トップゲート型トランジスタ〕
図32(A1)に例示するトランジスタ430は、トップゲート型のトランジスタの一種である。トランジスタ430は、絶縁層409の上に半導体層242を有し、半導体層242および絶縁層409上に、半導体層242の一部に接する電極244および半導体層242の一部に接する電極245を有し、半導体層242、電極244、および電極245上に絶縁層216を有し、絶縁層216上に電極246を有する。
トランジスタ430は、電極246および電極244、並びに、電極246および電極245が重ならないため、電極246および電極244の間に生じる寄生容量、並びに、電極246および電極245の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極246を形成した後に、電極246をマスクとして用いて不純物元素255を半導体層242に導入することで、半導体層242中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる(図32(A3)参照)。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
なお、不純物元素255の導入は、イオンドーピング装置、イオン注入装置、またはプラズマ処理装置を用いて行うことができる。
不純物元素255としては、例えば、第13族元素または第15族元素のうち、少なくとも一種類の元素を用いることができる。また、半導体層242に酸化物半導体を用いる場合は、不純物元素255として、希ガス、水素、および窒素のうち、少なくとも一種類の元素を用いることも可能である。
図32(A2)に示すトランジスタ431は、電極213および絶縁層217を有する点がトランジスタ430と異なる。トランジスタ431は、絶縁層409の上に形成された電極213を有し、電極213上に形成された絶縁層217を有する。前述した通り、電極213は、バックゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層217は、ゲート絶縁層として機能することができる。絶縁層217は、絶縁層216と同様の材料および方法により形成することができる。
トランジスタ411と同様に、トランジスタ431は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ431の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
図32(B1)に例示するトランジスタ440は、トップゲート型のトランジスタの1つである。トランジスタ440は、電極244および電極245を形成した後に半導体層242を形成する点が、トランジスタ430と異なる。また、図32(B2)に例示するトランジスタ441は、電極213および絶縁層217を有する点が、トランジスタ440と異なる。トランジスタ440およびトランジスタ441において、半導体層242の一部は電極244上に形成され、半導体層242の他の一部は電極245上に形成される。
トランジスタ411と同様に、トランジスタ441は、占有面積に対して大きいオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ441の占有面積を小さくすることができる。本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
トランジスタ440およびトランジスタ441も、電極246を形成した後に、電極246をマスクとして用いて不純物元素255を半導体層242に導入することで、半導体層242中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一態様によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
〔s−channel型トランジスタ〕
図33に、半導体層242として酸化物半導体を用いたトランジスタ構造の一例を示す。図33に例示するトランジスタ450は、半導体層242aの上に半導体層242bが形成され、半導体層242bの上面および側面、並びに半導体層242aの側面が半導体層242cに覆われた構造を有する。図33(A)はトランジスタ450の上面図である。図33(B)は、図33(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル長方向の断面図)である。図33(C)は、図33(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル幅方向の断面図)である。
図33に示すトランジスタ450は、絶縁層409に設けた凸部上に半導体層242bを設けている。絶縁層409の凸部上に半導体層242bを設けることによって、半導体層242bの側面を電極243で覆うことができる。すなわち、トランジスタ450は、電極243の電界によって、半導体層242bを電気的に取り囲むことができる構造を有している。このように、導電膜の電界によって、チャネルが形成される半導体層を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。また、s−channel構造を有するトランジスタを、「s−channel型トランジスタ」もしくは「s−channelトランジスタ」ともいう。
s−channel構造では、半導体層242bの全体(バルク)にチャネルが形成される場合がある。s−channel構造では、トランジスタのドレイン電流を大きくすることができ、さらに大きいオン電流を得ることができる。また、電極243の電界によって、半導体層242bに形成されるチャネル形成領域の全領域を空乏化することができる。したがって、s−channel構造では、トランジスタのオフ電流をさらに小さくすることができる。
なお、絶縁層409の凸部を高くし、また、チャネル幅を小さくすることで、s−channel構造によるオン電流の増大効果、オフ電流の低減効果などをより高めることができる。また、半導体層242bの形成時に、露出する半導体層242aを除去してもよい。この場合、半導体層242aと半導体層242bの側面が揃う場合がある。
また、図34に示すトランジスタ451のように、半導体層242の下方に、絶縁層を介して電極213を設けてもよい。図34(A)はトランジスタ451の上面図である。図34(B)は、図34(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図である。図34(C)は、図34(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図である。
図35にs−channel構造を有するトランジスタの他の一例を示す。図35に例示するトランジスタ452は、電極244および電極245が半導体層242b上に設けられ、半導体層242bおよび半導体層242aの側面に接していない。電極244は、絶縁層418、絶縁層439、および絶縁層419に設けられた開口において、コンタクトプラグを介して電極434と電気的に接続されている。電極245は、絶縁層418、絶縁層439、および絶縁層419に設けられた開口において、コンタクトプラグを介して電極435と電気的に接続されている。
本発明の一態様によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
図36にs−channel構造を有するトランジスタの他の一例を示す。図36に例示するトランジスタ453は、半導体層242aの上に半導体層242bが形成されている。トランジスタ453は、バックゲート電極を有するボトムゲート型のトランジスタの一種である。図36(A)はトランジスタ453の上面図である。図36(B)は、図36(A)中のX1−X2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル長方向の断面図)である。図36(C)は、図36(A)中のY1−Y2の一点鎖線で示した部位の断面図(チャネル幅方向の断面図)である。
絶縁層439上に設けられた電極213は、絶縁層216、絶縁層418、および絶縁層439に設けられた開口247aおよび開口247bにおいて、電極246と電気的に接続されている。よって、電極213と電極246には、同じ電位が供給される。また、開口247aおよび開口247bは、どちらか一方を設けなくてもよい。また、開口247aおよび開口247bの両方を設けなくてもよい。開口247aおよび開口247bの両方を設けない場合は、電極213と電極246に異なる電位を供給することができる。
なお、トランジスタ453では、半導体層242を半導体層242aと半導体層242bの2層構造とする例を示している。
図36(B)にC3−C4の一点鎖線で示す部位のエネルギーバンド構造図を図37に示す。図37は、トランジスタ453のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造を示している。
図37中、Ec387は、絶縁層418の伝導帯下端のエネルギーを示している。半導体層242を半導体層242aと半導体層242bの2層とすることで、トランジスタの生産性を高めることができる。なお、半導体層242cを設けない分、トラップ準位390の影響を受けやすくなるが、半導体層242を単層構造とした場合よりも高い電界効果移動度を実現することができる。
本発明の一態様によれば、消費電力が少ないトランジスタを実現することができる。よって、消費電力が少ない撮像装置などを実現することができる。本発明の一態様によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。よって、信頼性の良好な撮像装置などを実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。