JP2020112650A - キャリア及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を向上できるキャリアを提供する。【解決手段】本発明のキャリアは、キャリア粒子を含む。前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備える。前記被覆層は、シリコーン樹脂を含有するマトリックスと、前記マトリックスに分散するシリコーン樹脂粒子とを含み、かつ径方向内側の第1領域と径方向外側の第2領域とから構成される。前記シリコーン樹脂粒子は、99.9質量%が前記第1領域に含有され、かつ0.1質量%が前記第2領域に含有される。前記第1領域における前記シリコーン樹脂粒子の含有割合は、20質量%以上80質量%以下である。前記シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、キャリア及びその製造方法に関する。
2成分現像剤に用いるキャリアとしては、耐久性の観点から、キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備えるキャリアが用いられる場合がある。特許文献1では、アクリル樹脂と、アクリル樹脂中に分散するシリコーン樹脂粒子とを含有する被覆層を備えるキャリアが提案されている。また、特許文献2では、シリコーン樹脂と、シリコーン樹脂中に分散するシリコーン樹脂粒子とを含有する被覆層を備えるキャリアが提案されている。
特開2010−145471号公報 特開2016−180902号公報
しかし、特許文献1及び2に記載のキャリアを用いた2成分現像剤は、長期使用において、画像濃度の低下と、画像かぶりとを生じる傾向があることが本発明者の検討により判明した。この傾向は、使用時に印字率を変動させた場合に顕著であった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を向上できるキャリアを提供することである。
本発明のキャリアは、キャリア粒子を含む。前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備える。前記被覆層は、シリコーン樹脂を含有するマトリックスと、前記マトリックスに分散するシリコーン樹脂粒子とを含み、かつ径方向内側の第1領域と径方向外側の第2領域とから構成される。前記シリコーン樹脂粒子は、99.9質量%が前記第1領域に含有され、かつ0.1質量%が前記第2領域に含有される。前記第1領域における前記シリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下である。前記シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である。
本発明のキャリアの製造方法は、キャリア粒子を含むキャリアの製造方法であって、キャリアコアに第1被覆溶液を塗布する第1塗布工程と、前記第1被覆溶液が塗布された前記キャリアコアに第2被覆溶液を塗布する第2塗布工程と、前記第1被覆溶液及び前記第2被覆溶液が塗布された前記キャリアコアを加熱する加熱工程とを備える。前記第1被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂とシリコーン樹脂粒子とを含有する。前記第1被覆溶液の硬化残分における前記シリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下である。前記シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である。前記第2被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂を含有し、シリコーン樹脂粒子を含有しない。
本発明のキャリア及びその製造方法は、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を向上できるキャリアを提供できる。
本発明の第1実施形態に係るキャリアにおけるキャリア粒子の断面の一例を示す図である。 図1のキャリア粒子の拡大図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。キャリアは、キャリア粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体、キャリア粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて測定されたメディアン径である。
粉体の個数平均1次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:1次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均1次粒子径は、例えば100個の1次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均1次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均1次粒子径を指す。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、公知の帯電列などで確認できる。例えばトナーは、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電性トナー用標準キャリア:N−01、正帯電性トナー用標準キャリア:P−01)と混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば帯電量測定装置(Q/mメーター)で測定対象の帯電量を測定し、摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。以下に記載する各成分については、特に断りのない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<第1実施形態:キャリア>
本発明の第1実施形態は、キャリアに関する。本実施形態に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備える。被覆層は、シリコーン樹脂を含有するマトリックスと、マトリックスに分散するシリコーン樹脂粒子とを含み、かつ径方向内側の第1領域と径方向外側の第2領域とから構成される。シリコーン樹脂粒子は、99.9質量%が第1領域に含有され、かつ0.1質量%が第2領域に含有される。第1領域におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下である。シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である。
本実施形態に係るキャリアは、例えば、トナーと混合することで2成分現像剤として用いることができる。2成分現像剤は、例えば電子写真装置(画像形成装置)において画像の形成に用いることができる。2成分現像剤は、現像装置内においてキャリア及びトナーが攪拌されることで、トナーが帯電する。
本実施形態に係るキャリアは、上述の構成を備えることにより、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を向上できる。その理由を以下に説明する。本実施形態に係るキャリアが含むキャリア粒子は、被覆層を備える。この被覆層は、マトリックスであるシリコーン樹脂に、適量の補強材(特定サイズのシリコーン樹脂粒子)が分散しているため強度に優れ、キャリアコアの露出を抑制できる。ここで、一般的に、キャリア粒子の被覆層に補強材を添加した場合、被覆層の摩耗等によってキャリア粒子の表面に補強材が露出する傾向がある。キャリア粒子の表面に補強材が露出した場合、キャリア粒子の表面の材質が変化し、キャリア粒子がトナーに付与する帯電量が変動する傾向がある。また、キャリア粒子の表面に補強材が露出した場合、キャリア粒子の表面に凹凸が生じ、キャリアの流動性が低下する傾向がある。これらの結果、画像濃度の低下及びかぶりが生じる可能性がある。これに対し、本実施形態に係るキャリアは、シリコーン樹脂粒子が被覆層の径方向内側(第1領域)に偏在し、被覆層が摩耗してもシリコーン樹脂粒子が表面に露出し難いため、優れた流動性を長期に渡って維持できる。また、被覆層の含有するマトリックス及び補強材は、何れもシリコーン樹脂であり、同程度の帯電性を有する傾向がある。そのため、キャリア粒子は、仮に被覆層の摩耗等によってシリコーン樹脂粒子が表面に露出した場合においても、トナーの帯電量を変動させ難い。このように、本実施形態に係るキャリアは、優れた流動性を長期に渡って維持でき、かつ被覆層が摩耗してもトナーの帯電量が変動し難いため、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を向上できる。
図1は、キャリアが含むキャリア粒子1の断面の一例を示す。キャリア粒子1は、キャリアコア11と、キャリアコア11の表面を被覆する被覆層12とを備える。被覆層12は、キャリアコア11の表面の全面を被覆している。
図2は、図1のキャリア粒子1の表面付近の拡大図である。被覆層12は、径方向内側の第1領域12a及び径方向外側の第2領域12bにより構成されている。被覆層12は、シリコーン樹脂を含有するマトリックス13と、マトリックス13に分散するシリコーン樹脂粒子14とにより主に構成されている。シリコーン樹脂粒子14は、被覆層12において、第1領域12aに偏在している。具体的には、シリコーン樹脂粒子14のうち、99.9質量%は第1領域12aに含有され、0.1質量%が第2領域12bに含有される。
被覆層12において、第1領域12a及び第2領域12bの境界線Aの位置は、例えば以下の方法により求めることができる。まず、キャリア粒子1の断面を電子顕微鏡により観察し、長方形状の測定領域を定める。測定領域には、被覆層12の表面と、キャリアコア11及び被覆層12の界面とが含まれるようにする。また、測定領域は、その幅方向がキャリアコア11及び被覆層12の界面と平行であり、かつ幅方向の長さが100nm以上の領域とする。なお、キャリアコア11及び被覆層12の界面が曲線状である場合、その平均線を界面と見なすことができる。測定領域において、被覆層12に存在するシリコーン樹脂粒子14の総面積S1を算出する。次に、キャリアコア11及び被覆層12の界面と平行する仮想直線を、測定領域における被覆層12の任意の位置に設定し、界面及び仮想直線の間に存在するシリコーン樹脂粒子14の面積S2を求める。仮想直線の位置をキャリアコア11から離間させるほど、仮想直線及び界面の間に存在するシリコーン樹脂粒子14の面積S2は増大する。100×S2/S1が99.9%となる位置の仮想直線を、第1領域12a及び第2領域12bの境界線Aとする。
以上、図1及び図2に基づいてキャリア粒子1について説明した。但し、本実施形態に係るキャリアにおけるキャリア粒子は、図1及び図2に示すキャリア粒子に限定されない。具体的には、キャリアコアの表面は、一部が被覆層で被覆されずに露出していてもよい。また、被覆層は、1又は複数の界面が存在する多層構造を有していてもよい。但し、被覆層は、界面を起点とした剥離を抑制する観点から、単層構造を有することが好ましい。更に、シリコーン樹脂粒子の含有割合が高い場合、マトリックスはシリコーン樹脂粒子間を充填するバインダーとして機能していてもよい。以下、キャリア粒子の各構成について詳細を説明する。
[キャリアコア]
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアは、磁性材料の粒子であってもよく、結着樹脂と、結着樹脂中に分散した磁性材料の粒子とを備える粒子(以下、樹脂キャリアコアと記載することがある)であってもよい。
キャリアコアに含有される磁性材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、及びこれら金属の1種以上を含む合金等)、並びに強磁性金属酸化物が挙げられる。強磁性金属酸化物としては、フェライトと、スピネルフェライトの1種であるマグネタイトとが挙げられる。フェライトとしては、例えば、Baフェライト、Mnフェライト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Ca−Mgフェライト、Liフェライト、Cu−Znフェライト、及びMn−Mg−Srフェライトが挙げられる。キャリアコアの製造方法としては、例えば、磁性材料を粉砕及び焼成する工程を含む方法が挙げられる。キャリアコアの製造において、磁性材料の添加量(特に、強磁性材料の割合)を変更することで、キャリアの飽和磁化を調整することができる。また、キャリアコアの製造において、焼成温度を変更することで、キャリアコアの円形度を調整することができる。なお、キャリアコアは、市販品を使用してもよい。
キャリアコアとして用いる磁性材料の粒子としては、例えば、フェライト粒子が挙げられる。フェライト粒子は、2成分現像剤による画像形成のために十分な磁性を有する傾向がある。なお、一般的な製法により製造されたフェライト粒子は、真球にはならず、表面に適度な凹凸を有する傾向がある。キャリアコアがフェライト粒子(フェライトコア)である場合、フェライトコアの表面と被覆層との密着性を向上させる観点から、フェライトコアの表面の算術平均粗さ(詳しくは、JIS(日本工業規格)B0601−2013で規定される算術平均粗さRa)としては、0.3μm以上2.0μm以下が好ましい。
樹脂キャリアコアにおける結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、又はフェノール樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。樹脂キャリアコアにおける磁性材料の粒子としては、例えば上記磁性材料において例示した磁性材料のうち1種以上の磁性材料を含む粒子が挙げられる。
キャリア粒子において、キャリアコア及び被覆層の合計質量に対するキャリアコアの質量割合としては、70質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上97質量%以下がより好ましい。
良好な現像性を得るためには、キャリアコアの体積中位径(D50)としては、20μm以上70μm以下が好ましい。
キャリアコアの飽和磁化としては、例えば、50emu/g以上90emu/g以下とすることができる。
[被覆層]
被覆層は、マトリックス及びシリコーン樹脂粒子を含む。被覆層の厚さとしては、1.0μm以上7.5μm以下が好ましい。同様の観点から、キャリアコア100質量部に対する被覆層の質量としては、1.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上10.0質量部以下がより好ましい。
被覆層の第1領域の厚さとしては、0.5μm以上5.0μm以下が好ましい。第1領域の厚さを0.5μm以上とすることで、キャリアコアの露出を抑制できる。第1領域の厚さを5.0μm以下とすることで、トナーを適度に帯電させ易くなる。
被覆層の第2領域の厚さとしては、0.5μm以上2.5μm以下が好ましい。第2領域の厚さを0.5μm以上とすることで、シリコーン樹脂粒子に由来するキャリア粒子表面の凹凸を軽減し、キャリアの流動性を向上できる。第2領域の厚さを2.5μm以下とすることで、トナーを適度に帯電し易くなる。
被覆層の合計厚さにおける第1領域の厚さの割合(100×第1領域の厚さ/(第1領域の厚さ+第2領域の厚さ))としては、40%以上70%以下が好ましく、55%以上70%以下がより好ましい。
被覆層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてキャリア粒子の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。キャリア粒子の断面は、例えば、断面試料作製装置(日本電子株式会社製「クロスセクションポリッシャ(登録商標)」)を用いて作製できる。キャリア粒子の断面は染色されていてもよい。特定の1個のキャリア粒子において被覆層の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、キャリア粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線が被覆層と交差する4箇所)の各々で被覆層の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのキャリア粒子の評価値(被覆層の厚さ)とする。
キャリアコアの表面において、被覆層で被覆された領域の面積割合(被覆層の被覆率)としては、90%以上100%以下が好ましく、95%以上100%以下がより好ましい。
被覆層におけるマトリックス及びシリコーン樹脂粒子の合計含有割合としては、90質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
(シリコーン樹脂)
被覆層のマトリックスが含有するシリコーン樹脂としては、アルキル基及びアリール基のうち少なくとも一方を側鎖に有するシリコーン樹脂が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、鎖状若しくは分岐状のブチル基、又は鎖状若しくは分岐状のペンチル基)が好ましく、メチル基がより好ましい。アリール基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基又はアントラセニル基)が好ましく、フェニル基がより好ましい。シリコーン樹脂としては、メチル基及びフェニル基のうち少なくとも一方を有するシリコーン樹脂が好ましい。また、キャリア粒子の製造を容易にする観点から、シリコーン樹脂としては、熱硬化型シリコーン樹脂の硬化物が好ましい。
第1領域のマトリックスが含有するシリコーン樹脂と、第2領域のマトリックスが含有するシリコーン樹脂とは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
(シリコーン樹脂粒子)
シリコーン樹脂粒子が含有するシリコーン樹脂としては、例えば、SiH基を有するポリシロキサン化合物とオレフィン性二重結合を有するシロキサン化合物とに由来するシリコーン樹脂が好ましい。SiH基を有するシロキサン化合物としては、メチルハイドロジェンシロキサンが好ましい。オレフィン性二重結合を有するシロキサン化合物としては、メチルビニルポリシロキサンが好ましい。シリコーン樹脂粒子におけるシリコーン樹脂の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径としては、0.08μm以上2.20μm以下であり、0.50μm以上1.50μm以下が好ましい。シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径を0.08μm以上2.20μm以下とすることで、被覆層の強度を向上できる。
被覆層の第1領域におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合としては、15質量%以上85質量%以下であり、30質量%以上65質量%以下が好ましい。第1領域におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合を15質量%以上85質量%以下とすることで、被覆層の強度を向上できる。
被覆層におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合としては、5質量%以上65質量%以下であり、15質量%以上30質量%以下が好ましい。被覆層におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合を5質量%以上65質量%以下とすることで、被覆層の強度を向上できる。
(2成分現像剤)
本実施形態に係るキャリアの用途の一例について説明する。本実施形態に係るキャリアは、2成分現像剤の成分として用いることができる。2成分現像剤は、キャリア及びトナーを含む。2成分現像剤は、例えば混合機(より具体的には、ボールミル、ロッキングミキサ(登録商標)等)を用いて、キャリアと、トナーとを攪拌しながら混合することで得られる。キャリア100質量部に対するトナーの配合量としては、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がより好ましい。
トナー粒子は、トナー母粒子のみを備えてもよい。また、トナー粒子は、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えてもよい。トナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子であってもよく、シェル層を備えるトナー粒子(以下、カプセルトナー粒子と記載することがある)であってもよい。カプセルトナー粒子は、例えば結着樹脂を含有するトナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備える。シェル層は、樹脂を含む。カプセルトナー粒子は、例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。
画像形成に適したトナーを得るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)としては、4μm以上9μm以下が好ましい。
トナー母粒子は、例えば主成分として結着樹脂を含有する。トナー母粒子は、結着樹脂に加え、必要に応じて内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。
結着樹脂としては、トナーの低温定着性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。トナー母粒子における結着樹脂の含有割合としては、60質量%以上95質量%以下が好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。
トナー母粒子は、着色剤を含有することが好ましい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができるが、例えば、黒色着色剤及びカラー着色剤を用いることができる。トナー母粒子が着色剤を含有する場合、その含有量としては、トナーにより形成される画像の画質を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下がより好ましい。
トナー母粒子は、離型剤を含有することが好ましい。離型剤は、例えば、トナーに耐ホットオフセット性を付与する目的で使用される。トナー母粒子が離型剤を含有する場合、その含有量としては、トナーの耐ホットオフセット性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
トナー母粒子は、電荷制御剤を含有することが好ましい。電荷制御剤は、例えば、トナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩が好ましい。電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
トナー粒子は、トナー母粒子の表面に付着する外添剤を備えることが好ましい。外添剤は、外添剤粒子を含む。外添剤粒子としては、無機粒子が好ましい。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウム)の粒子が挙げられる。無機粒子としては、酸化チタン粒子又はシリカ粒子が好ましい。無機粒子の個数平均1次粒子径としては、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上40nm以下がより好ましい。
トナー粒子が外添剤を備える場合、その含有量としては、トナー母粒子100質量部に対して、0.01質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下がより好ましい。
<第2実施形態:キャリアの製造方法>
本発明の第2実施形態は、キャリア粒子を含むキャリアの製造方法であって、キャリアコアに第1被覆溶液を塗布する第1塗布工程と、第1被覆溶液が塗布されたキャリアコアに第2被覆溶液を塗布する第2塗布工程と、第1被覆溶液及び第2被覆溶液が塗布されたキャリアコアを加熱する加熱工程とを備える。第1被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂とシリコーン樹脂粒子とを含有する。第1被覆溶液の硬化残分におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下である。シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である。第2被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂を含有し、シリコーン樹脂粒子を含有しない。ここで、「第2被覆溶液がシリコーン樹脂粒子を含有しない」とは、第2被覆溶液の固形分におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合が0.1質量%未満であることを示す。
本実施形態に係るキャリアの製造方法は、上述した第1実施形態に係るキャリアの好適な製造方法の一例である。第1被覆溶液及び第2被覆溶液が含有する未硬化のシリコーン樹脂としては、未硬化の熱硬化型シリコーン樹脂が好ましい。以下、第1実施形態と重複する構成要素については、説明を省略する。
[第1塗布工程]
本工程では、キャリアコアに第1被覆溶液を塗布する。第1被覆溶液をキャリアコアに塗布する方法としては、例えば、第1被覆溶液にキャリアコアを浸漬させる方法、又は流動層中のキャリアコアに第1被覆溶液を噴霧する方法が挙げられる。
第1被覆溶液の硬化残分におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下であり、30質量%以上65質量%以下が好ましい。シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下であり、0.50μm以上1.50μm以下が好ましい。
第1被覆溶液の塗布量としては、キャリアコア100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以上8.0質量部以下がより好ましい。
第1被覆溶液は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤(より具体的には、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、環状エーテル系溶剤(より具体的には、テトラヒドロフラン及びテトラヒドロピラン等)、アルコール系溶剤(より具体的には、ノルマルブタノール及びイソブタノール等)、エステル系溶剤(より具体的には、酢酸エチル及び酢酸イソブチル等)又は芳香族炭化水素溶剤(より具体的には、トルエン及びキシレン等)が挙げられる。第1被覆溶液の溶剤としては、メチルエチルケトンが好ましい。
なお、キャリアの製造方法は、第1被覆溶液及び第2被覆溶液の混和を抑制するため、第1塗布工程後に第1被覆溶液を塗布したキャリアコアを加熱する工程を更に備えてもよい。但し、第1被覆溶液及び第2被覆溶液の粘度が十分に高い場合、このような工程は不要である。
[第2塗布工程]
本工程では、第1被覆溶液が塗布されたキャリアコアに第2被覆溶液を塗布する。第2被覆溶液の塗布方法としては、例えば、上述の第1被覆溶液の塗布方法と同様の方法を採用することができる。
第2被覆溶液は、溶剤を含有することが好ましい。第2被覆溶液における未硬化のシリコーン樹脂及び溶剤としては、第1被覆溶液において例示した未硬化のシリコーン樹脂及び溶剤と同様とすることができる。
第2被覆溶液の塗布量としては、キャリアコア100質量部に対して、0.5質量部以上15.0質量部以下が好ましく、2.0質量部以上5.0質量部以下がより好ましい。
[加熱工程]
本工程では、第1被覆溶液及び第2被覆溶液が塗布されたキャリアコアを加熱する。これにより、第1被覆溶液及び第2被覆溶液に含まれる未硬化のシリコーン樹脂が硬化する。その結果、第1被覆溶液は、第1実施形態において説明した被覆層の第1領域を実質的に形成する。また、第2被覆溶液は、第1実施形態において説明した被覆層の第2領域を実質的に形成する。
本工程における加熱条件としては、例えば、加熱温度を200℃以上300℃以下、加熱時間を30分以上90分以下とすることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<キャリアの製造>
以下の方法により、キャリアコアに被覆層を形成することでキャリアを製造した。まず、被覆層の形成に用いた各材料を以下に示す。
(シリコーン樹脂粒子の調製)
メチルビニルポリシロキサン100質量部と、メチルハイドロジェンシロキサン10質量部とを混合した。得られた混合物に、個数平均1次粒子径1.0μmの炭酸カルシウム粒子(奥多摩工業株式会社製「タマパール(登録商標)TP−123」)と、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル1質量部と、水200質量部とを添加し、ミキサーにより6,000rpm、3分間の乳化処理を行った。得られた反応液に、塩化白金酸−オレフィン錯塩を、白金換算で0.001質量部添加した。その後、窒素雰囲気下、80℃、10時間の条件で反応液を重合反応させた。反応後、反応液に塩酸を投入して炭酸カルシウムを分解し、その後、反応により生じた粒子を水で洗浄した。その後、洗浄した粒子を湿式分級して、目的とする個数平均1次粒子径(0.07μm、0.10μm、1.00μm、2.00μm又は2.40μm)を有する粒子を選別した後、100度で12時間真空乾燥を行った。これにより、シリコーン樹脂粒子1(0.07μm)、シリコーン樹脂粒子2(0.10μm)、シリコーン樹脂粒子3(1.00μm)、シリコーン樹脂粒子4(2.00μm)及びシリコーン樹脂粒子5(2.40μm)を得た。
(キャリアコアの調製)
MnO(40質量部)と、MgO(9質量部)と、Fe23(50質量部)と、SrO(1質量部)とを、ボールミルにて2時間の混合粉砕処理を行った。得られた造粒物を1000℃で5時間焼成した。これにより、個数平均1次粒子径が40μm、飽和磁化が65Am2/kg(3000×103/4π・A/m印加時)であるキャリアコア(マンガン系フェライトキャリアコア)を得た。
(樹脂溶液)
・シリコーン樹脂溶液1:未硬化の熱硬化型メチルシリコーン樹脂を含有する溶液(東レダウコーニング株式会社製「SR2400」、溶剤:トルエン、固形分:50質量%)
・シリコーン樹脂溶液2:未硬化の熱硬化型メチル/フェニル系シリコーン樹脂を含有する溶液(信越化学工業株式会社製「KR−271」、溶剤:キシレン、固形分:50質量%)
・アクリル樹脂溶液:アクリル樹脂を含有する溶液(DIC株式会社製「アクリディック(登録商標)53−580」、固形分:50質量%)
[実施例1]
シリコーン樹脂溶液1(8質量部)と、シリコーン樹脂粒子2(2質量部)とを、メチルエチルケトン(100質量部)に分散させることで第1被覆溶液を調製した。流動コーティング装置を用い、上述のキャリアコアに第1被覆溶液をスプレーコートで塗布した(第1塗布工程)。第1塗布工程において、キャリアコア100質量部に対する未硬化のシリコーン樹脂の塗布量(固形分換算)及びシリコーン樹脂粒子2の塗布量は、各々、0.8質量部及び0.2質量部とした。第1被覆溶液の硬化残分(未硬化のシリコーン樹脂及びシリコーン樹脂粒子2)における未硬化のシリコーン樹脂の含有割合は、20質量%であった。
シリコーン樹脂溶液1(10質量部)をメチルエチルケトン100質量部に分散させることで第2被覆溶液を調製した。流動コーティング装置を用い、第1被覆溶液を塗布したキャリアコアに、第2被覆溶液をスプレーコートで塗布した(第2塗布工程)。第2塗布工程において、キャリアコア100質量部に対する未硬化のシリコーン樹脂の塗布量(固形分換算)は、1.0質量部とした。その後、第1被覆溶液及び第2被覆溶液を塗布したキャリアコアについて、流動層にて280℃、1時間の熱処理を行った(加熱工程)。これにより、第1被覆溶液及び第2被覆溶液に含まれる未硬化のシリコーン樹脂を硬化させた。その結果、実施例1のキャリアを得た。
実施例1のキャリアの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製「JSM−7900F」)を用いて倍率30,000倍で撮影した。実施例1のキャリアの被覆層において、シリコーン樹脂粒子2は、被覆層の径方向内側に偏在していた。被覆層の断面画像において、シリコーン樹脂粒子2の総面積のうち99.9%が含まれる径方向内側の領域を第1領域、シリコーン樹脂粒子2の総面積のうち0.1%が含まれる径方向外側の領域を第2領域とした。第1領域の厚さと、第2領域の厚さとの比は、1:1であった。また、第1領域におけるシリコーン樹脂粒子2の面積割合は、20%であった。以上から、第1領域は実質的に第1被覆溶液から形成され、第2領域は実質的に第2被覆溶液から形成されたと判断される。
[実施例2〜10及び比較例1〜7]
以下の点を変更した以外は、実施例1のキャリアの製造と同様の方法により、実施例2〜10及び比較例1〜7のキャリアを製造した。具体的には、実施例2〜10、及び比較例1〜7のキャリアの製造では、第1被覆溶液及び第2被覆溶液に用いた樹脂溶液の種類及び塗布量(固形分換算)と、第1被覆溶液に用いたシリコーン樹脂粒子の種類及び塗布量とを、下記表1に示す通りに変更した。なお、下記表1において、「質量部」は、キャリアコア100質量部に対する各成分の質量部を示す。また、「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。更に、比較例6では、第2塗布工程(第2被覆溶液の塗布)を省略した。
Figure 2020112650
[2成分現像剤の調製]
以下の方法により、評価用トナーを調製した。そして、評価用トナーと、実施例1〜10及び比較例1〜7の何れかのキャリアとを混合し、評価用2成分現像剤を得た。
(トナー母粒子の調製)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて、ポリエステル樹脂(三井化学株式会社製「XPE258」)100質量部と、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)5質量部と、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)5質量部と、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)1質量部とを、攪拌速度2400rpmで5分間混合した。
続けて、得られた混合物を、材料投入量5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度範囲80℃以上110℃以下の条件で、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融し、混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて混練物を粗粉砕した。更に、得られた粗粉砕物を、ジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径7μmのトナー母粒子を得た。
(外添剤の外添)
上述のトナー母粒子100質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」)1.0質量部と、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」)0.7質量部とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて攪拌速度3500rpmで5分間混合した。その結果、トナー母粒子の表面に外添剤(導電性酸化チタン粒子及び疎水性シリカ粒子)が付着した。これにより、トナー粒子を含む評価用トナーを得た。
(評価用トナー及びキャリアの混合)
粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサ(登録商標)」)に、評価対象となるキャリア(実施例1〜10及び比較例1〜7のキャリアの何れか)100質量部と評価用トナー10質量部とを投入した。この粉体混合機を用いて内容物を1時間にわたって攪拌速度70rpmにて攪拌した。このようにして、評価用2成分現像剤を得た。
<評価>
以下の方法により、評価用2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を評価した。評価結果を下記表2に示す。
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa500ci」)を用いた。評価機のブラック用現像装置に評価用2成分現像剤(実施例1〜10及び比較例1〜7の何れかのキャリアを含む2成分現像剤)を投入した。また、評価機のブラック用トナーコンテナに補給用トナー(評価用トナー)を投入した。
評価機を用いて、常温常湿環境(20℃、相対湿度50%)にて、印字率20.0%の画像を1万枚の印刷用紙に連続印刷した。得られた印刷物のうち、1枚目の印刷物と、1万枚目の印刷物とを評価用印刷物とした。その後、同環境にて、印字率5.0%の画像を10万枚の印刷用紙に更に連続印刷した。得られた印刷物のうち、10万枚目の印刷物を評価用印刷物とした。印刷した印字率20.0%の画像及び印字率5.0%の画像には、何れもソリッド画像が含まれていた。
[画像濃度安定性]
得られた3種類の評価用印刷物について、それぞれのソリッド画像の画像濃度(ID)を、マクベス反射濃度計(X−Rite社製「RD914」)を用いて測定した。画像濃度は、以下の評価基準に沿って判定した。2成分現像剤の画像濃度安定性は、全ての評価用印刷物の画像濃度がA又はBである場合に良好と評価できる。
A:IDが1.3以上
B:IDが1.0以上1.3未満
C:IDが1.0未満
[耐かぶり性]
得られた3種類の評価用印刷物について、それぞれの白地部(非印字部)の画像濃度Aを、カラー反射濃度計(伊原電子工業株式会社製「R710」)を用いて測定した。また、未印刷の印刷用紙の画像濃度Bを、上述のカラー反射濃度計を用いて測定した。そして、「画像濃度A−画像濃度B」をかぶり濃度(FD)とした。かぶり濃度は、以下の評価基準に沿って判定した。2成分現像剤の耐かぶり性は、全ての評価用印刷物のかぶり濃度がA又はBである場合に良好と評価できる。
A:FDが0.005以下
B:FDが0.005超0.010以下
C:FDが0.010超
Figure 2020112650
実施例1〜10のキャリアは、各々、キャリア粒子を含んでいた。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備えていた。被覆層は、シリコーン樹脂を含有するマトリックスと、マトリックスに分散するシリコーン樹脂粒子とを含み、かつ径方向内側の第1領域と径方向外側の第2領域とから構成されていた。シリコーン樹脂粒子は、99.9質量%が第1領域に含有され、かつ0.1質量%が第2領域に含有されていた。第1領域におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下であった。シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下であった。表2に示すように、実施例1〜10のキャリアを用いた2成分現像剤は、各々、画像濃度安定性及び耐かぶり性が良好であった。
一方、比較例1〜7のキャリアは、各々、上述の構成を備えていなかった。その結果、比較例1〜7のキャリアを用いた2成分現像剤は、画像濃度安定性及び耐かぶり性が不十分であった。以下、比較例1〜7のキャリアについて、それぞれ詳細に説明する。
[比較例1]
比較例1のキャリアは、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を十分に向上できなかった。比較例1のキャリアは、被覆層がシリコーン樹脂粒子を含有しないため、被覆層の強度が不十分だったと判断される。
[比較例2及び3]
比較例2及び3のキャリアは、2成分現像剤の耐かぶり性を十分に向上できなかった。比較例2及び3のキャリアは、被覆層が含有するシリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径が0.08μm未満又は2.20μm超と適切ではないため、被覆層の強度を十分に向上できなかったと判断される。
[比較例4及び5]
比較例4及び5のキャリアは、2成分現像剤の画像濃度安定性又は耐かぶり性を十分に向上できなかった。比較例4及び5のキャリアは、被覆層の第1領域におけるシリコーン樹脂粒子の含有割合が15質量%未満又は85質量%超と適切ではないため、被覆層の強度を十分に向上できなかったと判断される。
[比較例6]
比較例6のキャリアは、2成分現像剤の画像濃度安定性及び耐かぶり性を十分に向上できなかった。比較例6のキャリアは、シリコーン樹脂粒子が被覆層の径方向外側にも存在するため、表面に凹凸が生じ、流動性が十分でなかったと判断される。
[比較例7]
比較例7のキャリアは、2成分現像剤の耐かぶり性を十分に向上できなかった。比較例7のキャリアは、被覆層のマトリックスが含有する樹脂がシリコーン樹脂以外の樹脂(アクリル樹脂)であるため、被覆層が摩耗してシリコーン樹脂粒子が露出した際にトナーに付与する帯電量が大きく変化したと判断される。
本発明に係るキャリアは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
1 キャリア粒子
11 キャリアコア
12 被覆層
12a 第1領域
12b 第2領域
13 マトリックス
14 シリコーン樹脂粒子

Claims (5)

  1. キャリア粒子を含むキャリアであって、
    前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を被覆する被覆層とを備え、
    前記被覆層は、シリコーン樹脂を含有するマトリックスと、前記マトリックスに分散するシリコーン樹脂粒子とを含み、かつ径方向内側の第1領域と径方向外側の第2領域とから構成され、
    前記シリコーン樹脂粒子は、99.9質量%が前記第1領域に含有され、かつ0.1質量%が前記第2領域に含有され、
    前記第1領域における前記シリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下であり、
    前記シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下である、キャリア。
  2. 前記被覆層の合計厚さにおける前記第1領域の厚さの割合は、40%以上70%以下である、請求項1に記載のキャリア。
  3. 前記キャリアコア100質量部に対する前記被覆層の質量は、1.5質量部以上20.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のキャリア。
  4. 前記マトリックスが含有する前記シリコーン樹脂は、メチル基及びフェニル基のうち少なくとも1つを有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のキャリア。
  5. キャリア粒子を含むキャリアの製造方法であって、
    キャリアコアに第1被覆溶液を塗布する第1塗布工程と、
    前記第1被覆溶液が塗布された前記キャリアコアに第2被覆溶液を塗布する第2塗布工程と、
    前記第1被覆溶液及び前記第2被覆溶液が塗布された前記キャリアコアを加熱する加熱工程とを備え、
    前記第1被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂とシリコーン樹脂粒子とを含有し、
    前記第1被覆溶液の硬化残分における前記シリコーン樹脂粒子の含有割合は、15質量%以上85質量%以下であり、
    前記シリコーン樹脂粒子の個数平均1次粒子径は、0.08μm以上2.20μm以下であり、
    前記第2被覆溶液は、未硬化のシリコーン樹脂を含有し、シリコーン樹脂粒子を含有しない、キャリアの製造方法。
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