JP2020111711A - 発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた自己消火性能を有すると共に、未反応のスチレン系モノマーの含有量が少なく、さらに、加熱減容した際の分子量低下が抑制されるスチレン系樹脂発泡粒子成形体を製造可能な発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法を提供する。【解決手段】臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合することにより発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する。臭素系難燃剤は、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び/又は2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物である。難燃助剤は、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)である。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃剤を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法に関する。
発泡性スチレン系樹脂粒子から得られるスチレン系樹脂発泡粒子成形体は、その優れた断熱性能により住宅用断熱材や自動車用内装材等に使用されている。住宅用断熱材等には、一般に難燃剤を含有させた自己消火性能を有するスチレン系樹脂発泡粒子成形体が使用されている。
前記スチレン系樹脂発泡粒子成形体に用いられる難燃剤としては、主に臭素系有機化合物からなる臭素系難燃剤が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、臭素系難燃剤を使用する場合、その難燃性能を高めるために、ジクミルパーオキサイド(DCP)のようなラジカル発生剤を難燃助剤として併用することが多い。
特開2007−9018号公報
スチレン系樹脂発泡粒子成形体は、用途によっては、使用後に加熱減容などの処理により再生利用が可能であることが求められている。しかし、DCPのような難燃助剤を含有するスチレン系樹脂発泡粒子成形体は、例えば再生処理のために加熱減容すると分子量低下が生じやすく、再生処理された樹脂の品質が低下しやすかった。
また、住宅用断熱材や自動車用内装材等の用途には、近年、スチレンモノマー、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの有機揮発性成分の発散量が少ないことが求められている。発泡性スチレン系樹脂粒子中のスチレンモノマー量を減少させる手法として、スチレン系樹脂粒子を懸濁重合により得る際に、重合後期の温度を高温にすることが挙げられる。しかしながら、高温で重合を行う場合、ジクミルパーオキサイドのような難燃助剤を使用すると、スチレン系樹脂粒子の分子量が低下しやすく、所望とする強度を有する成形体が得られなくなるおそれがあった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、優れた自己消火性能を有すると共に、未反応のスチレン系モノマーの含有量が少なく、さらに、加熱減容した際の分子量低下が抑制されるスチレン系樹脂発泡粒子成形体を製造可能な発泡性スチレン系樹脂粒子、及びその製造方法を提供するものである。
本発明の一態様は、臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合することによりスチレン系樹脂を得る重合工程を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
前記臭素系難燃剤が、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び/又は2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物であり、
前記難燃助剤が、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)である、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法にある。
本発明の他の態様は、臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合してなるスチレン系樹脂を基材樹脂とし、前記臭素系難燃剤、前記難燃助剤及び発泡剤を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
前記臭素系難燃剤が、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び/又は2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物であり、
前記難燃助剤が、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)である、発泡性スチレン系樹脂粒子にある。
前記発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法では、特定の臭素系難燃剤と特定の難燃助剤との存在下で懸濁重合を行っているため、高温で重合した場合であってもスチレン系樹脂の分子量の低下を抑制することができる。その結果、発泡性スチレン系樹脂粒子を用いて得られるスチレン系樹脂発泡粒子成形体の機械的強度を高く維持することができると共に、未反応のスチレン系モノマーの含有量を低減することができる。また、発泡性スチレン系粒子は、スチレン系樹脂発泡粒子成形体に優れた自己消火性能を発揮させることができると共に、スチレン系樹脂発泡粒子成形体の加熱減容によるスチレン系樹脂の分子量の低下を抑制することができる。
以下、発泡性スチレン系樹脂粒子、その製造方法、スチレン系樹脂発泡粒子成形体の好ましい実施形態を説明するが、以下に記載する構成の説明は、本発明の実施形態の例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物理値を含む意味で用いることとする。また、「質量%」と「重量%」とは、実質的に同じ意味である。以降の説明において、発泡性スチレン系樹脂粒子のことを、適宜「発泡性粒子」という。発泡性粒子を発泡してなるスチレン系樹脂発泡粒子のことを、適宜「発泡粒子」という。発泡粒子を型内成形してなるスチレン系樹脂発泡粒子成形体のことを適宜「成形体」という。成形体は、多数の発泡粒子が相互に融着してなるものである。
前記製造方法は重合工程を含み、重合工程では、臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合する。臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーの懸濁重合を行うことにより、臭素系難燃剤及び難燃助剤が十分に含浸された発泡性粒子が得られる。これにより、成形体の難燃性が向上し、自己消火性能が高まる。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウムなどのスチレン化合物が挙げられる。スチレン系モノマーは、単独でも、2種類以上の組み合わせでも良い。スチレン系モノマーは、スチレンを90質量%以上含むことが好ましく、スチレンを95質量%以上含むことがより好ましい。なお、スチレン系モノマーがスチレンであることが特に好ましい。
また、スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーをスチレン系モノマーと併用することも可能である。このようなビニルモノマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、水酸基を含有するビニル化合物、ニトリル基を含有するビニル化合物、有機酸ビニル化合物、オレフィン化合物、ジエン化合物、ハロゲン化ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、マレイミド化合物などが挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。水酸基を含有するビニル化合物としては、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。ニトリル基を含有するビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。有機酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。オレフィン化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテンなどが挙げられる。ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。ハロゲン化ビニル化合物としては、例えば塩化ビニル、臭化ビニルなどが挙げられる。ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば塩化ビニリデンなどが挙げられる。マレイミド化合物としては、例えばN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミドなどが挙げられる。これらのビニルモノマーとしては、単独の物質を用いることもできるが、2種類以上の混合物を用いることもできる。
なお、前記ビニルモノマーを使用する場合、その含有量は、スチレン系モノマーとビニルモノマーとの合計100質量%に対して、概ね10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
一般に、スチレン系モノマーの懸濁重合によりスチレン系樹脂を製造する際には、その重合工程を、大部分のスチレン系モノマーを比較的低温にて重合させる前段重合工程と、残存するスチレン系モノマーを前段重合工程よりも高温にて重合させる後段重合工程との多段階に分けることにより、スチレン系樹脂中に残存する未反応のスチレン系モノマー(以下、適宜「RSM」という。)を効率的に減らすことができることが知られている。しかし、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物や、2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物等の従来使用されてきた臭素系難燃剤の存在下でスチレン系モノマーの重合を行う場合、難燃性を高めるために、臭素系難燃剤を多量に使用すると、臭素系難燃剤がスチレン系モノマーの重合を阻害し、臭素系難燃剤を用いずに重合を行った場合に比べて、発泡性粒子中のRSMの含有量が増大してしまう。この場合には、後段側の重合温度を高めても所望のレベルまでRSMを減らすことができなくなるばかりか、スチレン系樹脂の分子量が著しく低下してしまう。
他方、臭素系難燃剤を多量に使用せずに、成形体の難燃性を高める方法として、ジクミルパーオキサイド(DCP)のようなラジカル発生剤を難燃助剤として併用する方法が知られている。しかし、このような難燃助剤を使用した場合、RSMを低減するために高温で重合を行うと、一部の難燃助剤が分解し、重合開始剤として働くことによって、得られるスチレン系樹脂粒子の分子量が低下しやすくなり、所望とする強度を有する成形体が得られなくなるおそれがある。また、このような難燃助剤を使用して得られる成形体は、再生処理のため加熱減容させた場合、著しい分子量低下を生じ、再生処理された樹脂の品質が大きく悪化するおそれがあった。
本発明においては、難燃助剤として、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)を用いる。ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)は、重合時等において、難燃助剤の熱分解に起因する分子量の低下を抑制できると共に、成形体の燃焼時において、熱分解によりラジカルを生成し、臭素系難燃剤による自己消火性能の発現を補助することができる。そのため、高温での重合による分子量の低下や、加熱時の著しい分子量の低下を抑制しつつ、難燃性が高く、未反応のスチレン系モノマーの含有量が少ない成形体を得ることができる。また、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)は、類似構造の難燃助剤に比べて長期保存による固化が起こり難く、取り扱いが容易であり、前記特定の臭素系難燃剤による難燃性に対する補助効果も高い。さらに、前記特定の臭素系難燃剤と共に、難燃助剤として、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)を用いることにより、加熱減容におけるスチレン系樹脂の分子量の低下が抑制される。したがって、加熱減容による再生処理後の品質の悪化が抑制される。
なお、本発明の目的、効果を阻害しない範囲であれば、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)以外の他の難燃助剤を用いてもよい。他の難燃助剤の含有量は、難燃助剤全体を100質量部としたときに、概ね20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
臭素系難燃剤としては、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物の少なくとも一方を用いる。2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールF−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)などが挙げられ、好ましくは、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)が挙げられる。2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールF−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)などが挙げられ、好ましくは、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)が挙げられる。
なお、本発明の目的、効果を阻害しない範囲であれば、上記臭素系難燃剤以外の他の難燃剤を用いてもよい。他の難燃剤の含有量は、難燃剤全体を100質量部としたときに、概ね20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
高い難燃性能を安定して発現させることができる観点から、臭素系難燃剤として、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)を用いることが好ましい。また、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)からなる臭素系難燃剤と、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)からなる難燃助剤とを併用することにより、臭素系難燃剤から臭素ラジカルの遊離が促進され、さらに臭素ラジカルが水素を引き抜くことで生成される臭化水素が、燃焼時の気相部に存在する活性なラジカルをトラップする難燃効果をさらに高めることができる。なお、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)は、別名で、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパンとも呼ばれる。
重合工程においては、前段重合工程後に、後段重合工程を行うことが好ましい。前段重合工程では、特定の臭素系難燃剤と特定の難燃助剤とを用い、110℃未満の温度でモノマー転化率が90質量%以上となるまでスチレン系モノマーの重合を行うことが好ましい。これにより、前段重合工程後、かつ後段重合工程前のスチレン系樹脂の重量平均分子量を例えば18万〜30万に調整することが可能になり、発泡性粒子の重量平均分子量を十分に高めることができる。後段重合工程では、110℃以上135℃以下の温度(最終重合温度)で、スチレン系樹脂中の未反応のスチレン系モノマーの含有量が300ppm以下となるまでスチレン系モノマーの重合を行うことが好ましい。ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)は、DCP等の難燃助剤と比べて、後段側の重合温度を高くしても、スチレン系樹脂の分子量の低下が生じにくい。そのため、前記の重合条件で前段重合工程及び後段重合工程を行うことにより、難燃性を有し、RSMが少なく、高い分子量を有する発泡性粒子が得られると共に、難燃性、RSM量、分子量のバラツキが小さくなる。
なお、前記重合工程においては、前記スチレン系樹脂の重量平均分子量が18万〜30万となるまで前記スチレン系モノマーの重合を行うことが好ましい。
RSMをより低減する観点から、後段重合工程において、スチレン系樹脂中の未反応のスチレン系モノマーの含有量が200ppm以下となるまでスチレン系モノマーの重合を行うことが好ましく、未反応のスチレン系モノマーの含有量が100ppm以下となるまでスチレン系モノマーの重合を行うことがより好ましい。
前段重合工程での重合による、スチレン系樹脂の重量平均分子量の低下を抑制する観点から、前段重合工程における重合温度は105℃以下であることが好ましい。一方、重合効率を高める観点から、前段重合工程における重合温度は概ね70℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上である。
また、後段重合工程においてRSMを十分に減らすことができる観点から、前段重合工程においてはスチレン系モノマーのモノマー転化率が90質量%以上となるまで重合を行うことが好ましく、95質量%以上となるまで重合を行うことがより好ましく、98質量%以上となるまで重合を行うことがさらに好ましい。また、スチレン系樹脂の分子量を大きく低下させることなく、RSMを低減できる観点から、後段重合工程における重合温度は、110℃以上130℃以下であることが好ましく、112℃以上125℃以下であることがより好ましい。
スチレン系モノマー100質量部に対する、臭素系難燃剤の添加量は0.4〜2質量部であることが好ましい。前記範囲とすることで、スチレン系樹脂の分子量の低下を抑制しつつ、成形体の難燃性を高めることができる。かかる観点から、臭素系難燃剤の添加量は、0.4〜1質量部であることが好ましく、0.4〜0.8質量部であることが好ましい。
成形体の難燃性能を効率的に、かつ安定して発現させる観点から、スチレン系モノマー100質量部に対する、難燃助剤の添加量は0.02〜1質量部であることが好ましく、0.03〜0.6質量部であることがより好ましく、0.05〜0.5質量部であることがさらに好ましい。なお、難燃性能を安定して発現させることにより、難燃性能のばらつきが小さくなる。
また、製造コストを低減しつつ、成形体の難燃性能を安定して発現させる観点から、臭素系難燃剤の添加量に対する、難燃助剤の添加量の比は、質量比で、0.05〜1であることが好ましく、0.06〜0.8であることがより好ましく、0.08〜0.6であることがさらに好ましく、0.1〜0.3であることが特に好ましい。
臭素系難燃剤の添加量、難燃助剤の添加量、及び臭素系難燃剤の添加量に対する難燃助剤の添加量の比を前記範囲で調整することにより、スチレン系樹脂の分子量の低下をより抑制しつつ、成形体の難燃性をより高め、難燃性能をより安定して発現させることができる。
発泡性粒子中の未反応のスチレン系モノマーの含有量をより低減する観点から、1時間半減期温度が80℃以上100℃未満の有機過酸化物Aと、1時間半減期温度が100℃以上130℃未満の有機過酸化物Bとを含む重合開始剤を用いると共に、未反応のスチレン系モノマーを効果的に低減することができるため、有機過酸化物Bとして、パーオキシモノカーボネート構造を有する有機過酸化物を用いることが好ましい。かかる観点から、有機過酸化物Bの1時間半減期温度は、110℃以上130℃未満であることがより好ましい。
有機過酸化物Aとしては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられ、これらの中でも過酸化ベンゾイルを好ましく用いることができる。
有機過酸化物Bとしては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられ、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを好ましく用いることができる。
スチレン系モノマー100質量部に対する、有機過酸化物Bの添加量は0.1〜0.3質量部であることが好ましい。前記範囲とすることで、未反応のスチレン系モノマーが少ないと共に、強度が良好な成形体を得ることができる。かかる観点から、有機過酸化物Bの添加量は0.15〜0.3質量部であることがより好ましい。
また、未反応のスチレン系モノマーが少なく、強度が良好であると共に、難燃性能に優れる成形体を得ることができる観点から、難燃助剤の添加量に対する、有機過酸化物Bの添加量の比は、質量比で、0.5〜5であることが好ましく、0.6〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
また、生産性を高めると共に、強度が良好な成形体を得ることができる観点から、有機過酸化物Aの添加量は0.1〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.3質量部であることがより好ましい。
発泡性粒子は、スチレン系樹脂を基材樹脂とし、臭素系難燃剤、難燃助剤、及び発泡剤を含有する。発泡剤としては、物理発泡剤を用いることができる。発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭素数が3〜6個の炭化水素を用いることができる。これらの発泡剤は、単独で、あるいは2種類以上を併用することができる。
発泡剤は、例えば懸濁重合が行われる密閉容器内に添加される。これにより、発泡性粒子を得ることができる。通常、懸濁重合は水等の水性媒体中で行われ、発泡剤は、水性媒体を収容する密閉容器内に圧入される。発泡剤の添加時期は、重合反応前、重合反応中、重合完了後のいずれでも良いが、スチレン系単量体のモノマー転化率が80質量%以上で発泡剤を添加することが好ましい。この場合には、RSMの量をより減らすことができる。同様の観点から、発泡剤は、スチレン系単量体のモノマー転化率が88質量%以上のタイミングで添加されることがより好ましい。
発泡性を十分に高め、気泡径のばらつきを抑制して成形体強度をより高めるという観点から、発泡性粒子中の発泡剤の含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましい。発泡剤の含有量は、ジメチルホルムアミド(DMF)に発泡性粒子を溶解させて得られる溶解物のガスクロマトグラフィ分析によって求められる。
発泡性粒子を構成するスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、18万〜30万であることが好ましい。前記範囲とすることで、発泡性が良好な発泡性粒子となり、発泡性粒子を例えば50〜60倍の発泡倍率にまでより確実に発泡させることが可能になる。また、この場合には、型内成形時において発泡粒子同士が十分に融着し、機械的強度が良好な成形体を得ることができる。かかる観点から、発泡性粒子を構成するスチレン系樹脂のMwは、20万〜26万であることがより好ましい。なお、Mwは、発泡性粒子をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した溶解物の分子量を、標準ポリスチレンで校正した値である。
発泡性粒子における未反応のスチレン系モノマーの含有量は300ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。この場合には、RSMが十分に低減され、成形体は住宅用断熱材や自動車用内装材等の用途に好適になる。
発泡性粒子の重量平均分子量(Mw)が18万〜30万であり、未反応のスチレン系モノマーの含有量は300ppm以下である場合には、成形体の軽量性を向上させつつ機械的強度を向上でき、さらにRSMを低減できる。このような成形体は住宅用断熱材や自動車用内装材等の用途にさらに好適になる。
発泡性粒子を加熱して得られる発泡粒子の気泡の粗大化の抑制、気泡の大きさが均一化するまでの熟成期間の短縮を促進するという観点から、発泡性粒子の水分量は、0.01〜2.5質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%であることがより好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。なお、熟成期間は、例えば10℃以下の低温環境下で密閉容器内に発泡性粒子を保管する期間のことである。
軽量性と機械的強度とのバランスに優れる観点から、成形体の見掛け密度は、10〜100kg/m3であることが好ましく、15〜60kg/m3であることがより好ましい。
成形体の機械的強度を確保する観点から、成形体の曲げ強度は280kPa以上であることが好ましく、300kPa以上であることがより好ましい。
加熱減容による再生処理後の成形体の機械的強度などの物性の低下を抑制するという観点から、成形体を温度160℃で30分間加熱し、冷却した後のスチレン系樹脂の重量平均分子量の減少率が40%未満であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。スチレン系樹脂の重量平均分子量の減少率DMWは、成形体のスチレン系樹脂の重量平均分子量Mw1と、成形体の加熱、冷却後のスチレン系樹脂の重量平均分子量Mw2とから、下記の式Iにより算出される。
MW=100×(DMW−DMW)/DMW ・・・I
なお、成形体の重量平均分子量は、測定対象を成形体とする以外は、発泡性粒子と同様の方法により測定することができる。
以下に、本発明について、実施例により更に詳細に説明する。
(実施例1)
[重合]
撹拌装置の付いた内容積が3Lのオートクレーブに、脱イオン水786g、懸濁剤として第3リン酸カルシウム0.68g、電解質として酢酸ナトリウム1.2g、界面活性剤としてα-オレフィンスルホン酸ナトリウム0.027g(ライオン株式会社製『リポランLB−440』)とアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.009g(花王社製『ぺレックスSSH』)を投入すると共に、オートクレーブ内の撹拌を開始した。ついで、重合開始剤として過酸化ベンゾイル水希釈粉体品1.8g(日油社製『ナイパーBW』:過酸化ベンゾイル純度75重量%、1時間半減期温度:92℃)及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート1.8g(日油社製『パーブチルE』、1時間半減期温度:119℃)、臭素系難燃剤として2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン4.8g、難燃助剤としてポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)0.77g(United Initiators社製『Curox
CC−P3』)、可塑剤として流動パラフィン6.0g(三光化学工業社製『RCM―S』)、核剤としてポリエチレンワックス0.20g(Baker Petrolite社製『Polywax1000―80M』)を、スチレンモノマー754gに溶解させ、溶解物を400rpmで撹拌しながらオートクレーブに投入した。オートクレーブ内を窒素置換した後オートクレーブ内の昇温を開始し、1時間15分かけて90℃まで昇温し、90℃到達後、100℃まで6時間半かけて昇温した(前段重合工程)。
その後、115℃まで2時間かけて昇温し、その温度で4時間半保持した(後段重合工程)。次いで、70℃まで1時間半かけて冷却し、その後同様に1時間半ずつかけて50℃、40℃、35℃と段階的に冷却した。90℃から100℃への昇温途中、90℃に到達してから5時間半経過時に発泡剤としてペンタン(n−ペンタン80%とイソペンタン20%の混合物)19g、ブタン(n−ブタン70%とイソブタン30%の混合物)53gを30分かけてオートクレーブ内に圧入した。発泡剤の添加終了後にオートクレーブ内の撹拌速度を350rpmに下げた。冷却後、内容物を取り出し遠心分離機で脱水し、流動乾燥装置で表面に付着した水分を除去し、平均粒径が約1mmの発泡性粒子を得た。
[コーティング]
発泡性粒子を篩にかけて0.5〜1.4mmの粒子を取り出し、発泡性粒子100質量部に対して、帯電防止剤としてN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.005質量部を添加し、さらにステアリン酸亜鉛0.09質量部、グリセリントリステアレート0.07質量部、グリセリンモノステアレート0.05質量部の混合物で被覆した。その後、発泡性粒子を密閉容器に入れ、6℃の保冷庫内に保管することにより熟成を行った。
なお、本例では、前段重合工程終了時のモノマー転化率を、以下のようにして測定した。
[前段重合工程終了時のモノマー転化率]
発泡性粒子の作製時に行った前段重合工程と同じ条件で、別途前段重合工程を行った。この前段重合工程が終了すると同時にオートクレーブの内容物の温度を10分以内で30℃以下にまで急冷し、重合反応を停止させた。冷却後、オートクレーブから重合途中のスチレン系樹脂粒子を取り出し、遠心分離機で脱水し、流動乾燥装置で表面に付着した水分を除去した。このようにして、前段重合工程終了時のスチレン系樹脂粒子を得た。得られたスチレン系樹脂粒子中のRSMの含有量をガスクロマトグラフィにより求めた。ガスクロマトグラフィによるRSMの含有量の測定方法は後述する。そして、下式IIより、モノマー転化率を求めた。
モノマー転化率(質量%)=100−RSM(質量%) ・・・II
[発泡成形]
発泡性粒子500gを常圧バッチ発泡機(社製)内で、スチームによる加熱で発泡させ、乾燥させて嵩密度が約20kg/m3(発泡倍率約50倍)の発泡粒子を得た。次いで、発泡粒子を室温で1日熟成後、DABO(株)社製の型物成形機の金型に充填し、0.07MPa(ゲージ圧)のスチームで10秒間加熱し、所定時間冷却後、金型から取り出した。このようにして、見掛け密度20kg/m3の成形体を得た。
(実施例2)
難燃助剤ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)の添加量を1.2g、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を1.5gとし、後段重合工程における重合温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例3)
難燃助剤ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)の添加量を1.2g、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を1.2gとし、後段重合工程における重合温度を125℃とした以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例4)
臭素系難燃剤の添加量を3.6g、難燃助剤ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)の添加量を1.2g、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を1.2gとした以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例5)
重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を1.2gとした以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(実施例6)
難燃助剤ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)の添加量を2.4g、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの添加量を1.2gとし、後段重合工程における重合温度を120℃とした以外は実施例1と同様にして成形体を得た。
(比較例1)
難燃助剤としてジクミルパーオキサイド2.4g(日油社製『パークミルD』)を用いた以外は実施例3と同様にして成形体を得た。
(比較例2)
難燃助剤を用いなかったこと以外は実施例5と同様にして成形体を得た。
(測定・評価)
実施例1〜6、比較例1、2の主な重合条件を表1、表2に示す。実施例1〜6、比較例1、比較例2の発泡性粒子、成形体について、以下の測定、評価を行った。その結果を表1、表2に示す。
[スチレン系モノマーの含有量]
ヘッドスペース法ガスクロマトグラフ質量分析計にて発泡性粒子中の未反応スチレン系モノマーの含有量を測定した。試料としては、発泡性粒子をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて得られる溶解物を用いた。具体的には、まず、DMF中のスチレン濃度が5質量ppm、50質量ppm、500質量ppmとなるように標準溶液を調製する。次に、容積20mLのバイアル瓶に標準溶液0.2gを精秤し、DMF1mLを入れて密封した。ヘッドスペースサンプラーにて保温し、気相部をガスクロマトグラフ質量分析計により測定することにより標準溶液のクロマトグラムを得て、このクロマトグラムから検量線を作成した。次に、20mLのバイアル瓶に試料0.2gを精秤し、DMF1mLを入れて密封し、室温で1日保持して完全に溶解させた。ヘッドスペースサンプラーにて保温し、気相部をガスクロマトグラフ質量分析計により測定して、試料のクロマトグラムを得た。このクロマトグラムとあらかじめ作成した検量線から、未反応のスチレン系モノマーの含有量を求めた。なお、ガスクロマトグラフ質量分析の条件は以下の通りとした。
ガスクロマトグラフ質量分析計:(株)島津製作所製GCMS―QP2020
ヘッドスペースサンプラー:(株)島津製作所製HS―20
キャピラリーカラム:ジーエルサイエンス(株)Stabilwax、内径0.32mm、長さ30mm
ヘッドスペースサンプラー保温条件:90℃、1時間
カラム温度:50℃×2分→(10℃/分)→90℃→(5℃/分)→120℃→(20℃/分)→230℃×2分
イオン源温度:200℃
キャリヤーガス:ヘリウム、カラム流量 2mL/分
スプリット比:1/10
以上のように試験を行い、未反応のスチレン系モノマーの含有量が300ppm未満を合格値とした。
[発泡剤の含有量]
発泡性粒子中の発泡剤の含有量は、試料をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、ガスクロマトグラフィにて測定した。具体的には以下の手順で行った。まず、100mLのメスフラスコにシクロペンタノール約5gを小数点以下第3位まで精秤し、DMFを加えて全体を100mLとした。このDMF溶液をさらにDMFで100倍に希釈し内部標準溶液とした。次いで、測定対象となる発泡性粒子約1gを小数点以下第3位まで精秤した。精秤した発泡性粒子の試料を約18mLのDMFに溶解させ、さらに内部標準溶液をホールピペットにて正確に2mL加えた。この溶液1μLをマイクロシリンジにて採集し、ガスクロマトグラフィに導入し、クロマトグラムを得た。得られたクロマトグラムから発泡剤成分、および、内部標準のピーク面積を求め、式IIIにより各成分濃度を求めた。
成分濃度(重量%)=(Wi/10000)2×(An/Ai)×Fn÷Ws×100・・・III
ここで、
Wi:内部標準溶液を作成したときのシクロペンタノール重量(g)
Ws:DMFに溶解させた試料重量(g)
An:ガスクロマトグラフ測定時の各成分のピーク面積
Ai:ガスクロマトグラフ測定時の内部標準物質のピーク面積
Fn:あらかじめ作成した検量線より求めた各成分の補正係数
また、ガスクロマトグラフ分析の条件は以下の通りとした。
使用機器:(株)島津製作所製のガスクロマトグラフGC−6AM
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
カラム材質:内径3mm、長さ5000mmのガラスカラム
カラム充填剤:[液相名]FFAP(遊離脂肪酸)、[液相含浸率]10質量%、[担体名]ガスクロマトグラフ用珪藻土Chomasorb W、[担体粒度]60/80メッシュ、[担体処理方法]AW−DMCS(水洗・焼成・酸処理・シラン処理)、[充填量]90mL
注入口温度:100℃
カラム温度:40℃
検出部温度:100℃
キャリヤーガス:N2、流量40ml/分
[水分量]
発泡性粒子の水分量は、カールフィッシャー水分計により測定した。具体的には、試料約0.28gを精秤し、京都電子工業社製の水分気化装置CHK−501により、温度160℃で試料を加熱して水分を気化させ、京都電子工業社製のカールフィッシャー水分計(電量滴定方式)MKC−610を用いて水分量を測定した。
[分子量]
スチレン系樹脂の分子量(数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量)を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。具体的には、東ソー(株)製のHLC―8320GPC EcoSECを用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、THF流量:0.6mL/分、試料濃度:0.1wt%という測定条件で測定した。カラムとしては、TSKguardcolumn SuperH−H×1本、TSK―GEL SuperHM−H×2本を直列に接続したカラムを用いた。 そして、測定値を標準ポリスチレンで校正して、数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量をそれぞれ求めた。
また、測定対象を成形体とする以外は、発泡性粒子と同様の方法により、成形体の重量平均分子量を測定した。
[発泡性]
熟成の完了した発泡性粒子を棚式発泡器内で、270秒間、3kPa(ゲージ圧力)の蒸気により加熱して発泡させることにより、発泡粒子を得た。次いで、発泡粒子を24時間風乾させた。発泡粒子を1Lのメスシリンダー内の1Lの標線位置まで充填し、発泡粒子の重量(=WP)を0.1gの位まで秤量した。発泡粒子の重量WP(g)から以下の式IVにより発泡粒子の嵩密度(kg/m3)を求め、発泡性を評価した。
発泡粒子の嵩密度(kg/m3)=WP(g)÷1(L) ・・・IV
発泡粒子の嵩密度が20kg/m3以下の場合を合格とした。
[成形体の見かけ密度]
成形体の見かけ密度DA(kg/m3)は、成形体の重量WM(g)を成形体の外形寸法から求められる体積VM(cm3)で割り算し、単位換算することにより求めた。つまり、見掛け密度DA(kg/m3)は、成形体の重量WM(g)と体積VM(cm3)とから、下記式Vにより求められる。
A=WM/VM×1000 ・・・V
[曲げ強度]
成形体から縦300mm×横75mm×厚さ25mmの試験片を切り出し、JIS K 7221−2:2006に準拠して、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10R、加圧くさびの降下速度10mm/分の条件で、3点曲げ試験を行い、曲げ強度を測定した。なお、曲げ応力の最大点を曲げ強度として扱い、評価を行った。曲げ強度が280kPa以上である場合を合格とした。
[熱安定性]
成形体から、縦10mm×横10mm×厚さ10mmの試験片を切り出した。この試験片をアルミ製の皿に乗せ、160℃のオーブン内に30分保持した後、オーブンから試験片を取り出し室温まで冷却した。ついで、加熱後の試験片に対して、GPC測定を行い、その重量平均分子量を算出した。以上のように試験を行い、加熱前の重量平均分子量に対する、加熱後の重量平均分子量の減少率を算出した。減少率が40%未満であった場合を合格とした。
[燃焼性]
JIS A 9521(B法)に準拠して測定を行った。なお、測定には、成形体から切り出した、厚さ10mm、長さ200mm、幅25mmの試験片を5個用いた。5個の試験片すべてが、3秒以内に消火し、残塵がなく、燃焼限界指示線を越えて燃焼が継続しなかった場合、燃焼性試験合格とした。また、試験片5個の消炎時間の平均値を求めた。この燃焼性は、自己消火性能の評価指標となる。
Figure 2020111711
Figure 2020111711
表1より知られるように、実施例では、特定の臭素系難燃剤と、難燃助剤のポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)との存在下で懸濁重合を行うことにより発泡性粒子を製造している。これにより、実施例では、優れた自己消火性能を有すると共に、未反応のスチレン系モノマーの含有量が少ない成形体を得られている。また、実施例の成形体は、熱安定性に優れ、加熱後の分子量の減少率が低いため、加熱減容での再生処理による樹脂の品質の悪化を抑制できる。さらに、実施例の発泡性粒子は、発泡性に優れると共に、曲げ強度に優れた成形体の製造を可能にしている。
一方、表2より知られるように、比較例1では、難燃助剤としてジクミルパーオキサイドを用いている。その結果、比較例1では、発泡性粒子のスチレン系樹脂の重量平均分子量が低下し、成形体の曲げ強度が低い。さらに、比較例1では、成形体の熱安定性が低く、加熱後の分子量の減少率が高い。そのため、比較例1の成形体を、加熱減容により再生処理すると、樹脂の品質が悪化する。また、比較例2では、難燃助剤を用いていない。したがって、燃焼性が不十分である。

Claims (10)

  1. 臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合することによりスチレン系樹脂を得る重合工程を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
    前記臭素系難燃剤が、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び/又は2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物であり、
    前記難燃助剤が、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)である、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記重合工程が、110℃未満の温度で、モノマー転化率が90質量%以上となるまで前記スチレン系モノマーの重合を行う前段重合工程と、110℃以上135℃以下の温度で、未反応のスチレン系モノマーの含有量が300ppm以下となるまで、前記スチレン系モノマーの重合を行う後段重合工程とを有し、前記重合工程においては、前記スチレン系樹脂の重量平均分子量が18万〜30万となるまで前記スチレン系モノマーの重合を行う、請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記スチレン系モノマー100質量部に対する、前記臭素系難燃剤の添加量が0.4〜2質量部であり、前記難燃助剤の添加量が0.02〜1質量部であり、
    前記臭素系難燃剤の添加量に対する、前記難燃助剤の添加量の比が、質量比で、0.05〜1である、請求項1又は2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記スチレン系モノマーを重合させる重合開始剤が、1時間半減期温度が80℃以上100℃未満の有機過酸化物Aと、1時間半減期温度が100℃以上130℃未満の有機過酸化物Bとを含む重合開始剤であり、
    前記有機過酸化物Bが、パーオキシモノカーボネート構造を有する有機過酸化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記スチレン系モノマー100質量部に対する、前記有機過酸化物Bの添加量が、0.1〜0.3質量部である、請求項4に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記臭素系難燃剤が、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  7. 臭素系難燃剤及び難燃助剤の存在下でスチレン系モノマーを懸濁重合してなるスチレン系樹脂を基材樹脂とし、前記臭素系難燃剤、前記難燃助剤及び発泡剤を含む、発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
    前記臭素系難燃剤が、2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物及び/又は2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物であり、
    前記難燃助剤が、ポリ−(1,4−ジイソプロピルベンゼン)である、発泡性スチレン系樹脂粒子。
  8. 前記スチレン系樹脂の重量平均分子量が18万〜30万であり、
    前記発泡性スチレン系樹脂粒子における、未反応の前記スチレン系モノマーの含有量が300ppm以下である、請求項7に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  9. 前記基材樹脂における、前記臭素系難燃剤の配合量が0.4〜2質量%、前記難燃助剤の配合量が0.02〜1質量%であり、
    前記臭素系難燃剤の配合量に対する、前記難燃助剤の配合量の比が0.05〜1である、請求項7又は8に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
  10. 前記臭素系難燃剤が、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパンである、請求項7〜9のいずれか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子。
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