JP2020110929A - ガスバリアフィルムおよび包装用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐ピンホール性に優れ、レトルト処理等の熱水処理を行っても優れたガスバリア性を発現し、ドライラミネート加工適性も良好なガスバリアフィルムおよび包装用フィルムを提供すること。【解決手段】ブチレンテレフタラート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するフィルム基材1上に、酸化ケイ素を含有する蒸着層3と、水溶性高分子と金属アルコキシドまたはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなるガスバリア性被膜層4を少なくとも積層してなるガスバリアフィルムであって、ガスバリアフィルムにおいて、フィルムにかかる張力を40N/mとし、70℃及び100℃の温度で1分加熱した後のフィルム端部の反り角度が、いずれもフィルム基材側へ0°以上60°以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリアフィルムに関するものであり、さらに詳しくは耐熱水性および耐ピンホール性が高くラミネート加工特性にも優れたガスバリアフィルム及びこれを用いた包装用フィルムに関する。
食品や医薬品等の包装には、気密性が高く、水分や酸素による内容物の劣化を防ぐために各種プラスチックフィルムや金属箔、紙などの材質を用いた包装用材料が開発されている。特に、食品・医薬品用途において長期間保存可能な包装形態として、レトルトやボイルなどの加熱殺菌処理を行ったレトルト包装やボイル包装が一般的に行われている。
レトルト・ボイル用包材に要求される特性として、各種ガスバリア性、耐熱水性、保香性、耐変色性、耐衝撃性、耐圧性、突き刺し耐性、屈曲耐性などが挙げられ、加熱処理条件や内容物に適したラミネート構成が設計される。
一例として、耐熱水性や保香性、印刷適性等を付与するために二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とし、ガスバリア層として蒸着層上に水溶性高分子と、(I)1種類以上の金属アルコキシドまたは金属アルコキシド加水分解物、あるいは(II)塩化錫を含む水溶液、または水アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱、乾燥してなるガスバリア性被膜層を第2層として順次積層したガスバリアフィルムを用いたボイル・レトルト包材の作成手法が記載されている(特許文献1)。
ボイル・レトルト包材の構成として、耐衝撃性、耐圧性、突き刺し耐性を付与するため、このガスバリアフィルムに、ナイロンフィルムとシーラントフィルムを、接着剤を介して積層される形態が一般的な構成として実用化されており、この場合は3層以上に多層化する必要がある。
また、前記ガスバリア性被膜層のようなゾル・ゲル法を用いて作製されるガスバリアフィルムは、一般にある一定温度以上の熱が加わると、ガスバリア性被膜層中の脱水縮合によりカールする特性がある。そのため、ドライラミネート工程において熱処理が加わる場合、フィルムがガスバリア性被膜面側に反り、一般フィルムより安定した加工が困難な場合がある。
特許第2790054号公報
既述のように、加熱処理、特にレトルト処理に関しての包装材構成としては、一般的にPETフィルムとONY(二軸延伸ナイロン)フィルムの両者が併用されている。これは、PETフィルムの耐熱水性が高い長所がある一方で突刺強度は低い短所があり、ONYフィルムは突刺強度が高い長所がある一方で耐熱水性は低い短所があるため、お互いに長所と短所を補完して用いるためである。
しかし、PETとONYの両者を用いるためラミネート工程が増えて、環境負荷への影響が懸念され、コスト面からも改善が求められている。また、ガスバリア性被膜層として
ゾル・ゲル法を用いて作製されるガスバリアフィルムが安定した加工適性を持つことも求められている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、本発明の課題とするところは、長所補完のためにPETとONYの両方の層を用いることなく、耐ピンホール性に優れた基材フィルムに、レトルト処理等の熱水処理を行っても優れたガスバリア性を発現し、さらには、ドライラミネート加工適性も良好なガスバリアフィルム、およびこれを用いた包装用フィルムを提供することである。
本発明に係る第一の発明は、
ブチレンテレフタラート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するフィルム基材上に、酸化ケイ素を含有する蒸着層と、水溶性高分子と金属アルコキシドまたはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなるガスバリア性被膜層を少なくとも積層してなるガスバリアフィルムであって、
前記ガスバリアフィルムにおいて、フィルムにかかる張力を40N/mとし、70℃及び100℃の温度で1分加熱した後のフィルム端部の反り角度が、いずれもフィルム基材側へ0°以上60°以下であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第二の発明は、
前記酸化ケイ素を含有する蒸着層の膜厚が10nm以上50nm以下であり、かつ、前記ガスバリア性被膜層の膜厚が100nm以上1000nm以下であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第三の発明は、
前記酸化ケイ素のO/Si原子比が1.7以上2.0以下であることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第四の発明は、
前記フィルム基材と前記蒸着層との間に、アンカーコート剤を含有する密着層を備えることを特徴とするガスバリアフィルムである。
第五の発明は、
前記のガスバリアフィルムを用いてなることを特徴とする包装用フィルムである。
本発明に係るガスバリアフィルムは、耐熱水性、物理衝撃に耐ピンホール性が高く、レトルト処理、ボイル処理、加熱調理等を行っても優れたガスバリア性を維持することができ、さらに、ドライラミネート工程においても優れた加工適性を有したガスバリアフィルムが可能となった。
本発明に係るガスバリア性に優れたガスバリアフィルムの一様態を示した概略断面図である。 本発明に係るガスバリアフィルムを用いた包装フィルムの一様態を示した模式図である。
以下、本発明の実施の形態について図面をもって説明する。
図1は本実施形態に係るガスバリアフィルムの概略断面図である。図1のガスバリアフィルム10においては、基材フィルム1の上に、密着層2、無機蒸着層3、ガスバリア性被膜層4が順次積層されている。以下に順次、これらの各層について説明する。
(基材フィルム)
基材フィルム1は、ブチレンテレフタレート(PBT)単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するものである。
ここで、ブチレンテレフタレート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂とは、該樹脂のジカルボン酸成分とグリコール成分が結合してなる繰り返し単位の60質量%以上が、ブチレンテレフタレート単位からなることを意味している。
基材フィルム1に含まれる上記ポリエステル樹脂は、ポリブチレンテレフタレートを60質量%以上含む樹脂、もしくはポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの混合樹脂であることが好ましい。ポリブチレンテレフタレートが60質量%未満であるとインパクト強度及び耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。また、基材フィルム1は二軸延伸でも一軸延伸でもよいが、熱安定性を持たせるためには二軸延伸がより好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの混合材料であるポリエステル樹脂を用いることによって、突刺強度も向上する。例えば特開2002−179892号公報によると、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主とするポリエステル樹脂とポリブチレンテレフタレート(PBT)を主とするポリエステル樹脂のブレンドフィルムでありながら、PET相とPBT相が独立した結晶を有することで、耐熱水性を持ちながら、柔軟性も兼ね備えることで突刺強度が強いポリエステルフィルムを得ることができるとされている。
前記独立した結晶を得るためには、ポリエステルフィルムを作製するときに個別に融解することが必要であり、示差走査熱量計(DSC)にて個別に結晶融解ピークを検出することで確認することができる。PBT相の結晶ピークが低温側に出現し、続いてPET相の結晶ピークが出現する。この2つのポリエステル樹脂PETとPBTを用いることにより、ガラス転移が融合する程度の相溶性を確保しながら、個別に結晶融解が生じるためPET相、PBT相の利点を生かすことができる。
基材フィルム1の厚さは、特に限定されない。厚いほど突刺強度は向上するが、用途に応じて、厚さ6μm〜200μm程度のものを好適に使用することができる。この基材フィルム1には、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理、または易接着層などのアンカーコート層を設けてもよい。また別途、基材フィルム1の凹凸を低減するために平坦化層を設けても差し支えない。
(密着層)
密着層2は、前記ポリエステル樹脂からなる基材フィルム1上に設けられ、基材フィルム1と蒸着層3の密着性能向上と、平面を平滑にすることで次工程の蒸着層を欠陥なく均一に成膜し高いバリア性を発現すること、の二つの効果を得ることを目的とした層であって、アンカーコート剤を含有する層である。
このような密着層2としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらのアンカーコート剤の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
また、このような密着層2の厚さは特に限定されないが、この厚みが0.01〜5μmの範囲であることが好ましく、0.03〜3μmの範囲であることがより好ましく、0.05〜2μmの範囲であることが特に好ましい。密着層2の厚みが前記下限値未満では、層間接着強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超えると所望のガスバリア性が発現しない傾向にある。
また、密着層2を前記基材フィルム1上に塗工する方法としては、公知の塗工方法が特に制限なく使用可能であり、浸漬法(ディッピング法);スプレー、コーター、印刷機、刷毛等を用いる方法が挙げられる。また、これらの方法に用いられるコーター及び印刷機の種類並びにそれらの塗工方式としては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、チャンバードクター併用コーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
さらに、このような密着層2の塗布量としては、アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が0.01〜5g/mであることが好ましく、0.03〜3g/mであることがより好ましい。アンカーコート剤を塗工して乾燥した後の1mあたりの質量が前記下限未満では、成膜が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると乾燥が不十分で溶剤が残留しやすくなる傾向にある。
また、このような密着層2を乾燥させる方法としては、特に限定されないが、自然乾燥による方法や、所定の温度に設定したオーブン中で乾燥させる方法、前記コーター付属の乾燥機、例えばアーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤー等を用いる方法を挙げることができる。さらに、乾燥の条件としては、乾燥させる方法により適宜選択することでき、例えばオーブン中で乾燥させる方法においては、温度60〜100℃にて、1秒間〜2分間程度乾燥することが好ましい。
アンカーコート層や平坦化層のためのコーティング剤としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらのコーティング剤の中でも、耐熱性及び層間接着強度の観点から、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
(蒸着層)
本発明のガスバリアフィルム10で用いる無機酸化物からなる蒸着層3は、SiOx、AlOxで表わされる金属酸化物、もしくはその混合物を用いることができるが、特には酸化ケイ素である必要がある。
本発明のガスバリアフィルムを用いて印刷やラミネート等の次工程で使用する際、後述するゾル・ゲル法を用いて作製されるガスバリア性被膜層4は加熱により脱水縮合が起きるため応力が発生し、ガスバリア性被膜層側にフィルムが反り、印刷工程では巻取り外観不良、ラミネート工程ではラミネート面にフィルムが重なり加工が出来ない等の懸念がある。一方で、酸化ケイ素を含有する蒸着層3は、ガスバリア性被膜層4と反対のPBT基材層側に応力を生じるため、ガスバリア性被膜層4が加熱されたときのフィルムの反りを緩和する特徴があることから、蒸着層3は酸化ケイ素が好ましい。
酸化ケイ素のO/Si原子比は1.7以上であることが望ましい。1.7以下では金属Siが多く透明性を損なう。またO/Si原子比は2.0以下である必要がある。2.0以上ではSiOの結晶性が高くなり、蒸着膜が硬く、引張り耐性が劣るため、次工程のガ
スバリア性被膜層を積層する際にクラックが入る。
蒸着膜のO/Si原子比測定方法は、X線光電子分光法(XPS)により求める。測定装置は、たとえばX線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)にて、X線源は非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV−10mA)のX線出力で測定する。O/Si原子比を求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いて行う。
蒸着層3の膜厚は、10nm以上50nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm未満であると、フィルム基材側への応力が、加熱後のガスバリア性被膜層の応力より小さいため、ガスバリア性被膜層側へフィルムが反ってしまう。さらには、十分な水蒸気バリア性も得ることができない。また、50nmより大きいと、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生し、水蒸気バリア性が低下するおそれがある。さらに、材料使用量の増加、膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し、経済的観点からも好ましくない。
蒸着層3は、真空成膜で形成されることが必要である。真空成膜では、物理気相成長法あるいは化学気相成長法を用いることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記真空成膜では、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)等が特に好ましく用いられる。但し、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましい。
(ガスバリア性被膜層)
ガスバリア性被膜層4は、蒸着層3上に形成された透明な膜であり、透明樹脂と無機酸化物などの無機物とを含んだ混合物からなる。ガスバリア性被膜層4を設けると、より高いガスバリア性を有する透明ガスバリアフィルム10を得ることができる。
ガスバリア性被膜層4は、たとえば、酸化ケイ素を含有する蒸着層3上に水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解生成物を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主成分としたコーティング液を塗布、乾燥することで得ることができる。
水溶性高分子としては、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、またはそれらの混合物を使用することができる。特に、PVAを使用した場合、最もガスバリア性に優れたガスバリア性被膜層4を形成することができる。なお、ここでいうPVAとは、典型的には、ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られるものである。
このPVAとしては、アセチル基が数10%残存している部分鹸化PVAからアセチル基が数%しか残存していない完全PVAまで、様々な鹸化PVAを使用することができる。
PVAの分子量に制限はなく、たとえば、重合度が300から数千の範囲内にあるものを使用することができる。なお、一般に鹸化度が高く、かつ重合度が高い高分子量のPVAは優れた耐水性を得ることができる。
金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物である。ここで、MはTi,Al,Zr等の金属またはSiを示し、Rは、CH基,C基等のアルキル基を示している。また、nは、元素Mの価数を示している。
金属アルコキシドとしては、たとえば、テトラエトキシシラン〔Si(OC
〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムは加水分解後、水を含んだ溶液中で比較的安定に存在することができる。
金属アルコキシドとしてアルコキシシランを使用する場合、このアルコキシシランとしては、たとえば、Si(ORまたはRSi(ORで表される化合物またはそれらの混合物を使用することができる。
ここで、RおよびRはCH基,C基,COCH基などの加水分解性基を示し、Rは有機官能基を示している。
なお、金属アルコキシドを加水分解および縮合させることにより得られる金属酸化物膜は、硬いため外力や縮合時の体積縮小によるひずみに起因してクラックが生じ易い。それゆえ、クラックなどを生じることなく、この金属酸化物膜を均一な厚さに形成することは非常に困難である。
これに対し、高分子と金属アルコキシド及び/またはその加水分解物と水とを含有したコーティング液を用いて形成した膜は、金属酸化物膜と比較して柔軟性が高いため、クラックを発生しがたい。但し、この膜は、微視的には金属酸化物が均一に分散しておらず、高いガスバリア性が得られないことがある。
この高分子として、水溶性高分子を使用した場合には、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、縮合の際に金属酸化物を高分子中に均一に分散させることができる。それゆえ、金属酸化物膜に近いガスバリア性を達成することができる。したがって、このようなガスバリア性被膜層4を蒸着層3上に形成すると、それらを単独で使用した場合と比較して、はるかに高いガスバリア性を達成することができる。
しかしながら、上述の金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水酸基を有する水溶性高分子と水とを含有したコーティング液を用いて得られるガスバリア性被膜層4は、水素結合を形成しているため、苛酷な環境で使用した場合に、水の浸入により膨潤して、最終的には溶解を生じることがある。そのため、このガスバリア積層体10は、蒸着層3とガスバリア性被膜層4とを積層することにより、高いガスバリア性を達成することができたとしても、高温多湿環境などの過酷な条件下では、密着性やガスバリア性が容易に劣化する可能性がある。
これに対し、金属アルコキシドとして、たとえば、RSi(ORで示されるアルコキシシランを使用すると、水が浸入した場合でも膨潤しがたく、耐水性に優れたガスバリア性被膜層4を得ることができる。特に、有機官能基Rが、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、およびイソシアネート基などの非水溶性官能基である場合、より高い耐水性を達成できる。有機官能基Rが、ビニル、メタクリロキシである場合は製造過程で紫外線または電子線等の電離放射線の照射を行なう。また、金属アルコキシドの加水分解の反応促進剤として、一般に水と触媒(酸、アルカリ)を用いる。
また、金属アルコキシドとして、たとえば、Si(ORで示されるテトラアルコキシシランを使用すると、水が浸入した場合でも膨潤しがたく、耐水性に優れ、非常に高
いバリア性を有するガスバリア性被膜層4を得ることができる。特に、加水分解性基Rが、CH基,C基である場合、より高い耐水性・優れたバリア性を達成できる。また、金属アルコキシドの加水分解の反応促進剤として、一般に水と触媒(酸、アルカリ)を用いる。
金属アルコキシドが、一般式Si(ORで表されるテトラアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるトリアルコキシシランの2種を使用する場合、これらのアルコキシシランの比は、たとえば、Si(ORのSiO換算質量とRSi(ORのRSi(OH)換算質量との和に対するRSi(ORのRSi(OH)換算質量の割合が、1%から50%の範囲内となるように設定してもよい。この割合が1%より小さくすると耐水性が低くなり、50%を超えると有機官能基Rがガスバリアの孔となり、ガスバリア性が低下する。
一般式Si(ORで表されるテトラアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるトリアルコキシシランとの混合比は、上述の割合が、5%から30%の範囲内となるように設定してもよい。この場合、液体内容物または水分含有内容物を煮沸殺菌処理や加圧・加熱殺菌処理し、さらに高温多湿環境中で長期保存するのに十分な耐水性およびハイバリア性を達成することができる。
一般式Si(ORで表されるアルコキシシランのうち、テトラエトキシシランは加水分解生成物が水系の溶媒中で比較的安定に存在しうるため、これを使用した場合、製造条件の制御が比較的容易である。
ガスバリア性被膜層4を形成するコーティング液の各成分である、一般式Si(ORで表されるアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるアルコキシシランと水溶性高分子は、どの順番で混合してもよい。たとえば、一般式Si(ORで表されるアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるアルコキシシランとを別々に加水分解し、その後、水溶性高分子を含んだ溶液中にこれらを添加してもよい。この方法は、シリコン酸化物の分散性や加水分解の効率の点で優れている。
ガスバリア性被膜層4を形成するためのコーティング液には、ガスバリア性被膜層4のインキまたは接着剤に対する濡れ性の向上や密着性の向上、ガスバリア性被膜4の収縮によるクラック発生の防止などを考慮して、添加物を添加してもよい。この添加物としては、たとえば、イソシアネート化合物、コロイダルシリカ、スメクタイトなどの粘土鉱物、安定化剤、着色剤、レオロジー調整剤、及びそれらの混合物を使用することができる。
ガスバリア性被膜層4の厚みは、厚みが薄い場合ガスバリア性被膜層4を均一な連続膜として形成することが難しく、十分なガスバリア性が得られない。厚みが厚い場合は膜に亀裂を生じ易い。ガスバリア性被膜層4の厚さは、たとえば、100nmから5000nmの範囲内とする。
さらに、ガスバリア性被膜層は膜厚が厚いほど、加熱時に脱水縮合が起きガスバリア性被膜層側にフィルムが反りやすい。この加熱時の反りを防止するため、発明者が鋭意検討した結果、厚みが10nm以上50nm以下の酸化ケイ素を含有する蒸着層上に積層するガスバリア性被膜層4の厚みは、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。
膜厚が1000nm以上の場合、蒸着層のフィルム基材側にかかる応力よりもガスバリア性被膜層の被膜面側にかかる応力が優勢となり、ドライラミネート時に加工不具合が生じる場合があるため好ましくない。
ガスバリア性被膜層4を形成するためのコーティング液は、たとえば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。このコーティング液を塗布してなる塗膜は、たとえば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、またはそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。
(包装用フィルム)
図2は本実施形態に係る包装用フィルムの概略断面図である。図2の包装用フィルム100においては、ガスバリアフィルム10のガスバリア性被膜層上に、印刷層20、接着剤剤層30、シーラントフィルム40が順次積層されている。なお、本発明では以下の実施形態には限定されず、これら以外の機能層を付加してもよい。
(印刷層)
ガスバリアフィルム10のガスバリア性被膜層面側に印刷層20を設けることができる。印刷は、内容物に対する情報を表示したり、識別のため、あるいは意匠性向上を目的として、包装用フィルムの外側から見える層に設ける。印刷方法および印刷インキには特に制約を設けるものではないが、既知の印刷方法の中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮すれば適宜選択してよく、たとえばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は生産性や絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
さらにはガスバリア性被膜層とインキとの密着性を上げるため、ガスバリア性被膜層層の上に、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理、易接着層などのコート層を設けても構わない。
(接着剤層)
接着剤層30を介して、シーラントフィルム40を積層することができる。接着剤の材料としては、たとえば、ポリエステル−イソシアネート形樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂、などを用いることができる。レトルト用途に使用するには、レトルト耐性のある2液硬化型のウレタン系接着剤が好ましく用いることができる。
(シーラントフィルム)
シーラントフィルム40の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができ、使用用途やボイル、レトルト処理などの温度条件によって適宜、選択できる。
シーラントフィルム40の厚さは、内容物の重量や、包装袋の形状などにより定められるが、概ね30〜150μmの厚さが好ましい。
シーラント層の形成方法としては、上述の樹脂からなるフィルム状となるものを一液硬化型もしくは二液硬化型ウレタン系接着剤で貼り合わせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼り合わせるノンソルベントドライラミネート法、上述した樹脂を加熱溶融
させ、カーテン状に押し出し、貼り合わせるエキストルージョンラミネート法等いずれも公知の積層方法により形成することができる。
(ドライラミネート加工)
レトルト処理、特に120℃以上の高温熱水処理に対して好ましいのはドライラミネート法である。
ドライラミネート加工では、当該フィルムに張力をかけながらオーブンで加熱し加工する。加熱温度としては、加工速度にもよるが、60℃〜100℃の範囲が一般的で、残留溶剤量やフィルムの収縮度合いを確認しながら加工温度は設定される。また、ガスバリアフィルムを加工するときの張力は、10N/m〜70N/mの範囲で加工するのが好ましい。張力が70N/mより高いと、バリア層にクラックが入りバリア劣化する恐れがあるため好ましくない。
ドライラミネートで使用されるガスバリアフィルムは、加熱によりフィルム端部が反らないことが最も好ましいが、加熱によりフィルム端部が反る場合、装置のガイドロールが設置されているフィルム基材側へ0°以上60°以下で反ることが好ましく、この範囲であればガイドロールによってフィルム端部の反りを抑制することが可能である。一方で、フィルム端部がガスバリア被膜層側に反る場合は、ガイドロールによる反りの抑制が出来ず、加工に不具合を生じる場合がある。
包装フィルムの加熱殺菌処理方法として、レトルト処理、ボイル処理などが挙げられる。レトルト処理は、一般に食品等を保存するために、カビ、酵母、細菌などの微生物を加圧殺菌する方法である。通常は、食品を包装したガスバリア積層体包装材を、105〜140℃、0.15〜0.30MPaで10〜120分の条件で加圧殺菌処理をする。
レトルト装置は、加熱蒸気を利用する蒸気式と加圧加熱水を利用する熱水式があり、内容物となる食品等の殺菌条件に応じて適宜使い分ける。ボイル処理は、食品等を保存するため湿熱殺菌する方法である。
通常は、内容物にもよるが、食品等の包装したガスバリア積層体包装材を、60〜100℃、大気圧下で、10〜120分の条件で湿熱殺菌処理を行う。ボイル処理は、通常、熱水槽を用いて行うが、一定温度の熱水槽の中に浸漬し一定時間後に取り出すバッチ式と、熱水槽の中をトンネル式に通して殺菌する連続式がある。
以下に本発明に係る実施例及び比較例を示す。
まず、密着層の塗液1は以下の手順で調製した。
塗液1:
三井化学(株)製接着剤溶液(ポリエステル系ポリウレタン樹脂)。
(主剤:タケラックA−525(うちウレタン樹脂の前駆体50質量%、酢酸エチル50質量%)/硬化剤:タケネートA−52(うちウレタン樹脂の硬化剤55質量%、酢酸エチル45質量%)/溶媒:酢酸エチル)
これをA−525:A−52:酢酸エチル=9:1:165(固形分濃度3質量%)で配合した。
次に、ガスバリア性被膜層の塗液2は以下の手順で調整した。
塗液2:
(a)テトラエトキシシラン(Si(OC;以下、TEOSと略記)17.9
gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた固形分5%(重量比SiO換算)の加水分解溶液。
(b)ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記)の5%(重量比)、水/メタノール=95/5(重量比)溶液。
(c)1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコ−ル=1/1溶液で固形分5%(重量比RSi(OH)換算)に調整した加水分解溶液。
上記(a)〜(c)溶液の配合比率を、a液/b液/c液=70/20/10(固形分重量比率)となるように混合し、実施例1に使用する塗液2を得た。
以下、各実施例及び比較例について示す。
(実施例1)
PBTを主材料としたPETとの混合樹脂をキャスト法で製膜後、加熱しながらMD方向、TD方向に二軸延伸し、さらに熱固定を行って厚み15μmの二軸延伸PBTフィルムを得た。この二軸延伸フィルムの片面にコロナ処理を行い、処理面に上記塗液1の液をグラビアロールコート法にて塗工し、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を0.1g/m硬化させた。
次に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、厚さ20nmの酸化ケイ素からなる蒸着層を形成した。さらに上記塗液2の液をグラビアロールコート法により塗工し、オーブンにより加熱乾燥させ300nmのガスバリア性被膜層を積層し、本発明のガスバリアフィルムを作成した。
<シリカ蒸着>
蒸着層の成膜は、蒸着材料種を変更し、O/Si原子比が1.8の蒸着膜をつけた。このシリカ蒸着膜をつけるために、事前に蒸着材料種および蒸着条件を振って条件を出した。O/Si原子比はX線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)にて、X線源は非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV−10mA)のX線出力で測定した。O/Si原子比を求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いて行った。
(実施例2)
基材フィルムを、PBT材料100%を用いてチューブラー方式で延伸製膜を行ったフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(実施例3)
蒸着層を厚み40nmのSiOx蒸着膜とした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(実施例4)
ガスバリア性被膜層を厚み800nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例1)
酸化ケイ素からなる蒸着層を設けなかった以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例2)
蒸着層を酸化アルミニウムからなる層とした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例3)
蒸着層を厚み5nmのSiOx蒸着膜とした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例4)
ガスバリア性被膜層を厚み3000nmとした以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例5)
ガスバリアフィルムの基材層にPETフィルム(東レ社製 P60)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
(比較例6)
ガスバリアフィルムの基材層にONY(二軸延伸ナイロン)フィルム(ユニチカ社製 ONM)を用いた以外は実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを得た。
[実験1]
<ガスバリアフィルムのドライラミネート加工性評価>
ドライラミネーターを用いて、ガスバリアフィルムのガスバリア性被膜層の上に、2液型の接着剤(三井化学 A525/A52)をグラビアロールコート法にて塗工し、乾燥温度70℃、張力40N/mで1分加熱して接着剤4g/mを硬化させ、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工製トレファンNO ZK207、厚さ60μm)とラミネートし、[透明ガスバリア積層体/接着剤層/CPP(60μm)の構成を有する包装用ラミネートフィルムを得た。
また、乾燥温度を100℃として、それ以外は同様の方法でドライラミネートし、同構成を有する包装用ラミネートフィルムを得た。
<反り角度評価>
ドライラミネートにおいて、各温度・張力条件で1分加熱した後のフィルムの反り角度を測定した。なお、測定方法としては、フィルム端部が水平状態のときを0°として、フィルム水平面からフィルムがめくれあがった端部の角度を測定し、フィルムがPBT基材層側に反ったときを+(プラス)、フィルムがガスバリア性被膜層側に反ったときを−(マイナス)とした。
<加工適性評価>
加工適性評価について、ラミネート加工時のガスバリアフィルムを以下の基準で判断した。
○:ガスバリアフィルムとCPPフィルムが所定の加工幅でラミネート可能である。
×:ガスバリアフィルムがカールした状態でラミネートされ、所定の加工幅が得られない。
表1に実施例1〜4および比較例1〜6のドライラミネート加工性評価結果を示す。
Figure 2020110929
表1より、実施例1〜4と比較例5、6のガスバリアフィルムは、ドライラミネート加工において、一般的なドライラミネート時の張力である40N/mにおいて加熱温度が70℃と100℃で1分加熱後のフィルム端部の反り角度が、いずれもフィルム基材側へ0°から+60°以内であり、ガイドロールでカールが抑制されるため安定したラミネート加工が可能であった。
しかし、比較例1は蒸着層がなく、加熱によるガスバリア性被膜層の脱水縮合の応力が強くかかったためフィルム端部が耳折れしてしまい加工不可であった。
また比較例2、3、4は、加熱温度が70℃であればラミネート可能であったが、加熱温度を100℃にすると耳折れしてしまい、加工不可であった。
[実験2]
<包装用ラミネートフィルムの物性評価>
実験1で、ラミネート加工可能な温度(表2に記載)で得られたラミネートフィルムを15cm×10cmのパウチ状に3方インパルスシールし、内容物に200mlの水道水を入れ、残り一辺をインパルスシールして、4方パウチを作成した。このパウチをレトルト装置にて0.2MPa、121℃で30分レトルト処理を行った。
レトルト処理後、バリア性の評価を行うパウチは、中身の水道水を捨て、十分に乾燥させた状態でガスバリア性の評価をおこなった。
<1>ガスバリア性の評価:[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度測定装置(Modern Control社製OXTRAN2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[cc/m・day・MPa]で表記した(n=3平均値)。
<2>ガスバリア性の評価:[水蒸気透過度の測定方法]
水蒸気透過度測定装置(Modern Control社製 PERMATRAN3/33)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)に準拠し、測定値は単位[g/m・day]で表記した(n=3平均値)。
<3>突刺強度の評価:
レトルト処理後のガスバリア積層体を5cm四方に切り出し、突刺し測定用治具に固定し、基材面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±0.5mmの速度で突刺し、針が貫通するまでの荷重[N]の測定を行った。(n=3平均値)
表2に実施例1〜4および比較例2〜6のレトルト処理後の各物性評価結果を示す。
なお右端の総合評価の項目については後述する。
Figure 2020110929
表2より、実施例1〜4、比較例4のガスバリアフィルムは、レトルト処理後において高いバリア性を示し、突刺強度も比較例5のPET基材より強く、実施例2については比較例6のONY基材と同等の強度を示している。
しかし、比較例2は実施例1〜4と基材は同一種であるが、蒸着層が酸化アルミニウムのため酸化ケイ素よりもレトルト耐性が劣る。
また比較例3は蒸着層の膜厚が5nmと薄いために、水蒸気バリア性が発現していない。
比較例5は、PET基材でバリア性は良好だが、突刺強度がPBTやONY基材に劣る。
比較例6は、ONY基材のため突刺強度は良好であるが、レトルトの耐性が低くバリア性は大きく劣化した。
<総合評価>
さらに上述の結果より、表1のガスバリアフィルムの加工性および表2の物性評価の双方を踏まえて、表2中に総合評価を以下の基準で判定した。
○:加工性・物性ともに優れている。
△:物性は優れているものの、加工性に一部課題がある。
×:加工性あるいは物性が劣っており、実用上で問題になる項目が1つ以上ある。
総合評価では、実施例1〜4は加工性・物性ともに優れているという結果であった。
しかし比較例2、3、4は加工性で劣り、比較例2、3、6はバリア性が劣り、さらに比較例5は突刺強度で劣るため、比較例はいずれも○は得られなかった。
以上の表1および表2に示すように、本発明のガスバリアフィルムは、PETとONYの双方の特徴を補完するバリア性・耐ピンホール性を有し、なおかつ、包装用フィルム作製時のドライラミネート加工適性も良好なフィルムとして利用可能である。
1 基材フィルム
2 密着層
3 蒸着層
4 ガスバリア性被膜層
10 ガスバリアフィルム
20 印刷層
30 接着剤層
40 シーラントフィルム
100 包装用フィルム

Claims (5)

  1. ブチレンテレフタラート単位を主たる構成単位とするポリエステル樹脂を含有するフィルム基材上に、酸化ケイ素を含有する蒸着層と、水溶性高分子と金属アルコキシドまたはそれらの加水分解物の少なくとも1種類以上を含む組成物からなるガスバリア性被膜層を少なくとも積層してなるガスバリアフィルムであって、
    前記ガスバリアフィルムにおいて、フィルムにかかる張力を40N/mとし、70℃及び100℃の温度で1分加熱した後のフィルム端部の反り角度が、いずれもフィルム基材側へ0°以上60°以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記酸化ケイ素を含有する蒸着層の膜厚が10nm以上50nm以下であり、かつ、前記ガスバリア性被膜層の膜厚が100nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記酸化ケイ素のO/Si原子比が1.7以上2.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記フィルム基材と前記蒸着層との間に、アンカーコート剤を含有する密着層を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いてなることを特徴とする、包装用フィルム。
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