JP7293590B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、意匠性を付与したバリアフィルム用の積層体に関する。
従来から外観を美しく見せる、あるいは独創性を持たせるといった包装材料に意匠性を付与する目的で、包装材料の表面にマット層を塗工することが一般的に行われている。
この時、マット層はインキ樹脂にマット剤を混合したマットインキを包装材料の最外面に塗工する方法で形成される。
例えば、特許文献1では、プラスチックフィルムを表面基材とし、その表面の一部又は全面にマットコート層を有することが記されており、更にマットコート層が塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂/アクリルポリオール混合樹脂からなることが記されている。
実開平4-102840号公報
しかしながら、上記のように包装材料の最外面にマット層を形成した場合には、その後に包装袋を形成するにあたってヒートシール加工を施す際に、加熱するためのシールバーにマット層が熱融着して取られてしまうことで、頻繁な清掃が必要となる場合や、取られたマット層が異物として内容物などに混入する恐れがあるなどの問題点があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、本発明の課題とするところは、ヒートシール加工をする場合でも、シールバーに融着するなどして取られる事の無いマット層を有する意匠性に優れたバリアフィルム用の積層体を提供しようとするものである。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを備えたフィルム基材を含む積層体であって、前記第1の樹脂層がマット剤を含み、前記第2の樹脂層がマット剤を含まず、前記フィルム基材の前記第2の樹脂層側の面上に、厚さ5~100nmの無機酸化物蒸着層を積層したことを特徴とし、
第1の樹脂層の膜厚が、7μm以上であり、かつ前記フィルム基材の総厚の4/5(80%)以下の膜厚であり、
第2の樹脂層の表面が、白色干渉計測法にて測定した際に、算術平均粗さRaが250nm以下、最大高さRyが2μm以下となり、
マット剤が平均粒径2μm以上20μm以下の微粒子を含み、プラスチック材料100重量部に対して5重量部以上30重量部以下の範囲で添加されてなり、
かつマット剤が、シリカ、炭酸カルシウム、合成マイカ、酸化チタンから選ばれるいずれかの無機微粒子、ポリエチレン微粒子、アクリル微粒子、ウレタン微粒子から選ばれるいずれかの有機微粒子であることを特徴とする積層体である。
請求項2に係る発明は、前記無機酸化物蒸着層上に、水溶性高分子と、金属アルコキシド、その加水分解物、またはそれらの重合物の内、少なくとも1種類以上と、を成分に有する複合被膜層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
本発明の積層体をバリアフィルムとして使用することで、包装袋への製袋時に第1の樹脂層からなるマット層がシールバーへ取られる心配がなく、包装材料に意匠性を付与することが可能である。
本発明の積層体の一例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の説明において適宜図面を参照するが、図面に記載された態様は本発明の例示であり、本発明はこれらの図面に記載された態様に制限されない。
図1は、本発明の積層体の構成例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る積層体(1)に用いられるフィルム基材(10)は、一方の面にマット剤(13)を添加した第1の樹脂層(11)を設け、反対の面にマット剤を添加していない第2の樹脂層(12)を設けた多層の構成となっている。
更に、第2の樹脂層(12)上には、無機酸化物蒸着層(14)ならびに複合被膜層(15)が設けられている例が示されている。
ここで、第1の樹脂層(11)と第2の樹脂層(12)との間には、更に別の層を設けても何ら問題ない。
別の層としては、例えば、印刷層、接着層、中間層、印字層などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
フィルム基材(10)に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。さらに、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類等が挙げられる。
また、以上の材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に持つ材料も挙げられる。これらの中で、特に第1の樹脂層(11)に用いる材料としては、耐熱性を有し、シールバーによる加熱によっても張り付きや取られの発生しないものが望ましく、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。
フィルム基材(10)の各層の材料は、包装材料としての適性を考慮して異なる性質のものを使用することができるが、フィルム製膜や後加工のしやすさなどを考慮すると、同一の材料を使用するほうが好ましい。
また、フィルム基材(10)の各層中には周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防
止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを適宜添加してもよい。
フィルム基材(10)の全体の厚さは、とくに制限を受けるものではないが、無機酸化物蒸着層、複合皮膜層などを形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3~200μmの範囲が好ましく、特に6~30μmとすることが好ましい。
フィルム基材(10)を構成するマット剤(13)を添加した第1の樹脂層(11)について説明する。
第1の樹脂層(11)はバリアフィルム用の積層体(1)に意匠性を付与するために設けられ、上述のようなフィルム基材(10)を形成する樹脂材料中にマット剤(13)を添加した構成である。
マット剤(13)は、樹脂材料表面に凹凸を形成することにより、マット感を生じさせるための粒子である。
添加されるマット剤(13)としては、無機微粒子もしくは有機微粒子を例示することができる。無機微粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、合成マイカ、酸化チタンなど、有機微粒子としては、例えばポリエチレン微粒子、アクリル微粒子、ウレタン微粒子などが挙げられる。
樹脂材料への練りこみ易さ等を考慮すると無機微粒子が好ましく、またシリカが最も一般的に使用される。
マット剤(13)の添加量は特に制限はなく、必要に応じて適宜決めてよいが、少なすぎるとマットの質感が出ずに意匠性を付与できず、多すぎるとフィルム製膜時にフィルム割れ等が起きて均一なフィルムを作製することができない。このため、一般的にはプラスチック材料100重量部に対して5重量部以上30重量部以下の範囲で添加するとよい。
マット剤(13)の微粒子の大きさも適宜決めてよいが、小さすぎるとマットの効果が得られにくく、また大きすぎるとフィルム製膜が困難であるため、フィルムの厚みよりも小さい粒径にする必要がある。そこで、微粒子の平均粒径は2μm以上20μm以下とすることが好ましい。
このような第1の樹脂層(11)の上には、各種コーティング層や印刷層などを設けていてもよい。
次にフィルム基材(10)の第1の樹脂層(11)と反対側の面に設けるマット剤を添加していない第2の樹脂層(12)について説明する。第2の樹脂層(12)はマット剤を添加していない層であり、後述する無機酸化物蒸着層(14)を形成する面を構成する層である。
一般に、無機酸化物蒸着層(14)は薄膜で割れやすいため、マット剤(13)を含む第1の樹脂層(11)に直接積層した場合、表面の凹凸が大きすぎるため、無機酸化物蒸着層(14)の割れが発生して、十分なバリア性が発現しないという問題点がある。そこで、無機酸化物蒸着層(14)を形成する面にはマット剤(13)を添加していない第2の樹脂層(12)を形成して表面を平滑にする必要がある。
すなわち、本発明の第2の樹脂層(12)の表面を白色干渉計測法にて測定した時に、その表面の算術平均粗さRaが250nm以下、最大高さRyが2μm以下となることが
必要である。
Raが250nmより大きく、またRyが2μmより大きくなると、表面が粗くなるために、その上に無機酸化物蒸着層(14)を形成すると蒸着層に割れが入りバリア性が低下する原因となる。
RaおよびRyは上記の値より小さくなれば問題ないが、小さすぎるとフィルムの滑り性が悪くなるため、ロール加工時にフィルムに傷が入ったりフィルムが切れたりする原因となる。
そのため、Raは8nm以上250nm以下、Ryは50nm以上2μm以下の表面状態にすることが好ましい。このような表面状態にするために、第2の樹脂層(12)には滑剤あるいはアンチブロッキング剤を適宜添加することができる。
第2の樹脂層(12)の表面が、第1の樹脂層(11)の表面の凹凸の影響を受けにくくするため、各層の厚みを一定の割合の範囲に設定することが好ましく、各層の厚みの割合は、第2の樹脂層(12)の厚み1に対して第1の樹脂層(11)の厚みが4以下、あるいはフィルム基材(10)が、3層以上の多層とした場合を考慮すると、フィルム基材(10)の総厚に対して、第1の樹脂層(11)の厚みが4/5(80%)以下とすることが好ましい。
フィルム基材(10)の総厚に対する第1の樹脂層(11)の厚みが4/5より大きいと、第1の樹脂層(11)表面の凹凸の影響が第2の樹脂層(12)表面に出てしまい、目的の表面粗さを得ることが困難である。また、加工性を考慮すると第1の樹脂層(11)の厚みは7μm以上とすることが好ましい。
次に、無機酸化物蒸着層(14)について、詳しく説明する。無機酸化物蒸着層(14)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素や水蒸気等に対するガスバリア性を有する層であればよい。
本発明の積層体を用いて製袋した後、内容物のための各種殺菌処理に対する耐久性を考慮すると、これらの中では、特に酸化アルミニウムや酸化珪素を用いることがより好ましい。但し、本発明の無機酸化物蒸着層(14)は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば、いずれも用いることが可能である。
無機酸化物蒸着層(14)の膜厚は、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、5~100nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選定される。
膜厚が5nm未満であると、均一な膜が得られない場合や、膜厚が十分でないためにガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が100nmを超える場合には、無機酸化物蒸着膜(14)にフレキシビリティを保持させることができず、膜形成後の折り曲げや引っ張りなどの外的要因により、無機酸化物蒸着膜(14)に亀裂を生じるおそれがあるので問題となる。このため、より好ましくは、10~100nmの範囲内にあることである。
無機酸化物蒸着層(14)をフィルム基材(10)の第2の樹脂層(12)上に形成する方法としては、従来公知の方法をいずれも用いることができ、例えば、通常の真空蒸着法などにより、形成することができる。
また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し、生産性を考慮すれば、現時点では、真空蒸着法が最も優れている。
真空蒸着法の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。
また、無機酸化物蒸着層(14)と第2の樹脂層(12)との密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト方を用いて蒸着することも可能である。
また、無機酸化物蒸着層(14)の透明性を向上させるために、蒸着に際して、酸素等の各種ガスなどを吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
フィルム基材(10)と無機酸化物蒸着層(14)の間に、両者の密着性を改善するために、処理層もしくはアンカーコート層を設けることも可能である。
次いで、複合被膜層(15)を説明する。複合被膜層(15)は、ガスバリア性を有する被膜層であり、水溶性高分子と、1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物あるいはそれらの重合物を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。
コーティング剤は、例えば、水溶性高分子を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなどの処理を行なったものを混合してコーティング剤とする。
このコーティング剤を無機酸化物蒸着層(14)上にコーティングした後、加熱乾燥することによって、複合被覆層(15)が形成される。コーティング剤に含まれる各成分について、更に詳細に説明する。
本発明で複合被覆層(15)に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
中でもポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を用いた場合に、ガスバリア性が最も優れるので好ましい。
ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAをはじめ、酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等までをいずれも用いることができ、これ以外のものを用いても何ら問題ない。
金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(MはSi、Ti、Al、Zr等の金属、RはCH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的には、テトラエトキシシラン[Si(OC]、トリイソプロポキシアルミニウム[Al(O-2’-C]などが挙げられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
また、金属アルコキシドとしてアルコキシシランを使用する場合、このアルコキシシラ
ンとしては、たとえば、Si(ORまたはRSi(ORで表される化合物またはそれらの混合物を使用することができる。ここで、(OR)や(OR)におけるRおよびRはCH基、C基、COCH基などを表しており、それぞれ加水分解性基を示し、Rは有機官能基を示している。
なお、金属アルコキシドを加水分解および縮合させることにより得られる金属酸化物膜は硬いため、外力や縮合時の体積縮小によるひずみに起因してクラックが生じ易い。それゆえ、クラックなどを生じることなく、この金属酸化物膜を均一な厚さに形成することは非常に困難である。
これに対し、高分子と金属アルコキシドやその加水分解物などと水とを含有したコーティング剤を用いて形成した膜は、金属酸化物膜と比較して柔軟性が高いため、クラックを発生しがたい。但し、この膜は、微視的には金属酸化物が均一に分散しておらず、高いガスバリア性が得られないことがある。
この高分子として、水溶性高分子を使用した場合には、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、縮合の際に金属酸化物を高分子中に均一に分散させることができる。それゆえ、金属酸化物膜に近いガスバリア性を達成することができる。したがって、このような複合被膜層(15)を無機酸化物蒸着層(14)上に形成すると、それらを単独で使用した場合と比較して、はるかに高いガスバリア性を達成することができる。
しかしながら、上述の金属アルコキシドやその加水分解物、あるいはそれらの重合物と水酸基を有する水溶性高分子と水とを含有したコーティング剤を用いて得られる複合被膜層(15)は、水素結合を形成しているため、苛酷な環境で使用した場合に、水の浸入により膨潤して、最終的には溶解を生じることがある。そのため、積層体(1)は、無機酸化物蒸着層(14)と複合被膜層(15)とを積層することにより、高いガスバリア性を達成することができたとしても、高温多湿環境などの過酷な条件下では、密着性やガスバリア性が容易に劣化する可能性がある。
これに対し、金属アルコキシドとして、たとえば、RSi(ORで示されるアルコキシシランを使用すると、水が浸入した場合でも膨潤しがたく、耐水性に優れた複合被膜層(15)を得ることができる。特に、有機官能基Rが、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、およびイソシアネート基などの非水溶性官能基である場合、より高い耐水性を達成できる。有機官能基Rが、ビニル、メタクリロキシである場合は製造過程で紫外線または電子線等の電離放射線の照射を行なう。また、金属アルコキシドの加水分解の反応促進剤として、一般に水と触媒(酸、アルカリ)を用いる。
金属アルコキシドが、一般式Si(ORで表されるテトラアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるトリアルコキシシランの2種を使用する場合、これらのアルコキシシランの比は、たとえば、Si(ORのSiO2換算質量とRSi(ORのRSi(OH)換算質量との和に対するRSi(ORのRSi(OH)換算質量の割合が、1%から50%の範囲内となるように設定してもよい。1%より小さくすると耐水性が低くなり、50%を超えると有機官能基Rがガスバリアの孔となり、ガスバリア性が低下する。
一般式Si(ORで表されるテトラアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるトリアルコキシシランとの混合比は、上述の割合が、5%から30%の範囲内となるように設定してもよい。この場合、液体内容物または水分含有内容物を煮沸殺菌処理や加圧・加熱殺菌処理し、さらに高温多湿環境中で長期保存するのに十分な耐水性
およびハイバリア性を達成することができる。
一般式Si(ORで表されるアルコキシシランのうち、テトラエトキシシランは加水分解生成物が水系の溶媒中で比較的安定に存在しうるため、これを使用した場合、製造条件の制御が比較的容易である。
複合被膜層(15)を形成するコーティング剤の各成分である、一般式Si(ORで表されるアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるアルコキシシランと水溶性高分子は、どの順番で混合してもよい。たとえば、一般式Si(ORで表されるアルコキシシランと一般式RSi(ORで表されるアルコキシシランとを別々に加水分解し、その後、水溶性高分子を含んだ溶液中にこれらを添加してもよい。この方法は、シリコン酸化物の分散性や加水分解の効率の点で優れている。
複合被膜層(15)を形成するためのコーティング剤には、複合被膜層(15)のインキまたは接着剤に対する濡れ性の向上や密着性の向上、複合被膜層(15)の収縮によるクラック発生の防止などを考慮し、ガスバリア性を損なわない範囲で、添加物を添加してもよい。この添加物としては、たとえば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、スメクタイトなどの粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤、及びそれらの混合物を使用することができる。
複合被膜層(15)の厚みは、厚みが薄い場合複合被膜層(15)を均一な連続膜として形成することが難しく、十分なガスバリア性が得られない。厚みが厚い場合は膜に亀裂を生じ易い。複合被膜層(15)の厚さは、たとえば、0.01μmから50μmの範囲内とすることができる。
複合被膜層(15)を形成するためのコーティング剤は、たとえば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。このコーティング剤を塗布してなる塗膜は、たとえば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、またはそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。
上記の無機酸化物蒸着層(14)および複合被覆層(15)は、それぞれ2層以上積層させても何ら問題ない。また、フィルム基材(10)の両面に積層させることも可能であるが、マット剤(13)を有する第1の樹脂層(11)側に積層させた際には、ガスバリア性が低下する可能性がある。
以下に、本発明の積層体の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム中に、マット剤として平均粒径10μmのシリカ粒子をポリエチレンテレフタレート100重量部に対して、マット剤10重量部になるように添加し、第の樹脂層を形成した。
の樹脂層には、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。フィルム基材全体の厚みが12μm、第の樹脂層/第の樹脂層の厚み比が3.8/1(フィルム基材の総厚に対する第の樹脂層厚比=79%)となるようにして、フィルム基材を得た。
このフィルム基材の第の樹脂層側に、電子線加熱方式による真空蒸着法により、厚さ10nmの酸化アルミニウムを蒸着して、無機酸化物蒸着層を形成して積層体を得た。
(実施例2)
の樹脂層に添加するマット剤として、平均粒径15μmのシリカ粒子をポリエチレンテレフタレートに対して5重量%添加し、第の樹脂層/第の樹脂層の厚み比を2.5/1(フィルム基材の総厚に対する第の樹脂層厚比=71%)とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
(実施例3)
の樹脂層に添加するマット剤として、平均粒径5μmのシリカ粒子をポリエチレンテレフタレートに対して20重量%添加し、第の樹脂層/第の樹脂層の厚み比を3/1(フィルム基材の総厚に対する第の樹脂層厚比=75%)とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
(比較例1)
フィルム基材の第の樹脂層側に、無機酸化物蒸着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。(フィルム基材の総厚に対する第の樹脂層厚比=79%)
(比較例2)
の樹脂層/第の樹脂層の厚み比を7/1(フィルム基材の総厚に対する第の樹脂層厚比=88%)とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
<表面粗さの測定>
無機酸化物蒸着層を形成する面の表面粗さを、白色干渉計(三菱ケミカルシステム株式会社製 VertScan)を使用して、観察倍率5倍にて測定し、算術平均粗さRaおよび最大高さRyの値を算出した。
<酸素透過度測定>
酸素透過度は、酸素透過度測定装置(MOCON社製 OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K-7126、B法(等圧法)、およびASTM D3985-81に準拠し、測定値は単位[cm(STP)/m・day・MPa](但し、STP=標準状態)で表記した。
実施例1~3、比較例1~2で試作した積層体に対し、それぞれ測定した結果を表1に示した。
Figure 0007293590000001
実施例1~3、及び比較例1の結果より、無機酸化物蒸着層(14)を第2の樹脂層(12)側に設けた場合には、酸素透過度が低い値を示しており、十分なガスバリア性を示しているが、第1の樹脂層(11)側に無機酸化物蒸着層(14)を設けた比較例1では、酸素透過度が上昇、すなわちガスバリア性が低下していることが判る。
これは、無機酸化物蒸着層(14)を設けた面が、表面に凹凸を有する第1の樹脂層(11)側であり、無機酸化物蒸着層(14)に亀裂などが発生したことにより、ガスバリア性が低下したと考えることができる。
また、実施例1~3および比較例1~2の結果より、無機酸化物蒸着層(14)を設ける面の算術平均粗さRaが250nm以下、最大高さRyが2μm以下の場合には、酸素透過度が低い値を示しており、十分なガスバリア性を有しているのに対し、それぞれの値
が大きい場合には、ガスバリア性が低下していることが判る。
これは、算術平均粗さRaが250nmよりも大きく、最大高さRyが2μmを超えるような場合には、無機酸化物蒸着層(14)を設ける面の凹凸が大きく、無機酸化物蒸着層(14)に亀裂などが発生したことにより、ガスバリア性が低下したと考えることができる。
また、比較例2の結果より、無機酸化物蒸着層(14)を、第2の樹脂層(12)側に設けた場合であっても、第2の樹脂層(12)の厚み1に対して第1の樹脂層(11)の厚みが4より大きい、あるいはフィルム基材(10)の総厚に対して、第1の樹脂層(11)の厚みが4/5(80%)より大きい場合には、酸素透過度も高い値を示しており、ガスバリア性が低下することが判る。
これは、第1の樹脂層(11)の厚みに比べて、第2の樹脂層(12)の厚みが十分に設けられていない場合には、第1の樹脂層(11)表面の凹凸が、第2の樹脂層(12)表面に影響し、算術平均粗さRaが250nmよりも大きく、最大高さRyが2μmを超える値を示しており、このために無機酸化物蒸着層(14)に亀裂などが入ることで、ガスバリア性が低下したと考えることができる。
本発明の積層体をバリアフィルムとして使用することで、包装材料の外面側にマットコート層を設けることなく、包装材料に意匠性を付与することが可能である。これにより、包装袋への製袋時における、ヒートシール加工によるマット層取られを防ぐことができ、更にはマット層を形成する工程を削減できるという効果もある。
1 … 積層体
10 … フィルム基材
11 … 第1の樹脂層
12 … 第2の樹脂層
13 … マット剤
14 … 無機酸化物蒸着層
15 … 複合被膜層

Claims (2)

  1. 第1の樹脂層と第2の樹脂層とを備えたフィルム基材を含む積層体であって、
    前記第1の樹脂層がマット剤を含み、前記第2の樹脂層がマット剤を含まず、
    前記フィルム基材の前記第2の樹脂層側の面上に、厚さ5~100nmの無機酸化物蒸着層を積層したことを特徴とし、
    第1の樹脂層の膜厚が、7μm以上であり、かつ前記フィルム基材の総厚の4/5(80%)以下の膜厚であり、
    第2の樹脂層の表面が、白色干渉計測法にて測定した際に、算術平均粗さRaが250nm以下、最大高さRyが2μm以下となり、
    マット剤が平均粒径2μm以上20μm以下の微粒子を含み、プラスチック材料100重量部に対して5重量部以上30重量部以下の範囲で添加されてなり、
    かつマット剤が、シリカ、炭酸カルシウム、合成マイカ、酸化チタンから選ばれるいずれかの無機微粒子、ポリエチレン微粒子、アクリル微粒子、ウレタン微粒子から選ばれるいずれかの有機微粒子であることを特徴とする積層体。
  2. 前記無機酸化物蒸着層上に、水溶性高分子と、
    金属アルコキシド、その加水分解物、またはそれらの重合物の内、少なくとも1種類以上と、を成分に有する複合被膜層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
JP2018166787A 2018-09-06 2018-09-06 積層体 Active JP7293590B2 (ja)

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