JP2022159102A - ガスバリアフィルム、積層体および包装袋 - Google Patents

ガスバリアフィルム、積層体および包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】レトルトのような加熱殺菌に耐えうる、かつガスバリア層形成に最適な表面状態を有するポリプロピレンフィルムを用いた、ガスバリアフィルム、積層体、および、包装袋を提供すること。【解決手段】ポリプロピレンからなる基材の少なくとも一方の面に、厚さ5~100nmの無機酸化物蒸着層を積層したガスバリアフィルムであり、ポリプロピレン基材の蒸着層を積層する面をレーザー顕微鏡で観察(観察倍率50倍、観察面積250μm角)した時の最大山高さSpが1.5μm以下であり、かつ、原子間力顕微鏡(AFM)で測定(測定面積10μm角)した時の算術平均粗さSaが5nm以上であることを特徴とする、ガスバリアフィルムである。【選択図】図1

Description

本発明はボイル処理、レトルト処理などの加熱殺菌処理が可能で、かつ、リサイクル適性に優れたガスバリアフィルム、積層体、および、包装袋に関する。
ガスバリアフィルムは主にボイル処理、レトルト処理を含む食品や医療医薬品などの包装材料として広く用いられている。これらの内容物を包装するに当たっては、酸素透過率を小さくすることが特に重要視されてきた。このような加熱殺菌を行う包装材料に用いられるガスバリアフィルムとしては、基材として耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを使用するのが一般的である。
しかし、近年環境問題への意識の高まりから、包装材料にリサイクル適性を持たせるために、単一素材を使用した包装材料、いわゆるモノマテリアル包材への関心が高まっている。包装材料のシーラントフィルムとしては一般的にポリプロピレンなどのオレフィン系フィルムが使用されているため、そのようなシーラントフィルムを使用してモノマテリアル包材を作成するためには、ガスバリアフィルムにもポリプロピレンを基材として使用したフィルムを使用することが求められている。
特許文献1には、延伸ポリオレフィンフィルムに蒸着層とガスバリアコート層を設けたガスバリアフィルムと、このガスバリアフィルムと同一の素材からなるフィルムを積層し、同一の素材が80%以上からなる包装材料用積層体と、これを用いた包装材料が開示されている。しかしながら、加熱殺菌については、レトルト適性を考慮した接着剤例が挙げられているのみで、ガスバリアフィルムや包装材料の加熱殺菌に対する適性については、考慮されていない。
従来からポリプロピレンフィルムは透明性、機械的強度、耐熱性にすぐれているため包装材料などに広く使用されている。
一方、ポリプロピレンフィルムは、表面の肌理が細かく滑り性が悪いために、アンチブロッキング剤を多く入れることが一般的である。ポリプロピレンフィルム上に蒸着によるガスバリア層を設けると、このアンチブロキング剤上のガスバリア層が割れて、ガスバリアが劣化する場合があった。また、アンカーコート層や蒸着層との密着性が低くレトルト処理などの熱水処理によってガスバリアが低下する場合もあった。
上記のような問題を解決するために特許文献2に示すように、表面粗さを規定した発明もなされているが、アンチブロッキング剤の影響については記述がなく、また表面粗さの測定条件の記述がないため再現できない。
特開2020-40257号公報 特開2020-131676号公報
ポリプロピレンフィルムには上述したような表面粗さの問題があり、表面粗さはガスバリア性に影響を及ぼす。そこで、本発明は、レトルトのような加熱殺菌に耐えうる、かつガスバリア層形成に最適な表面状態を有するポリプロピレンフィルムを用いた、ガスバリ
アフィルム、積層体、および、包装袋を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、ポリプロピレンからなる基材の少なくとも一方の面に、厚さ5~100nmの無機酸化物蒸着層を積層したガスバリアフィルムであり、
ポリプロピレン基材の蒸着層を積層する面をレーザー顕微鏡で観察(観察倍率50倍、観察面積250μm角)した時の最大山高さSpが1.5μm以下であり、かつ、原子間力顕微鏡(AFM)で測定(測定面積10μm角)した時の算術平均粗さSaが5nm以上であることを特徴とする、ガスバリアフィルムである。
また、請求項2に記載の発明は、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素或いはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1記載のガスバリアフィルムである。
また、請求項3に記載の発明は、前記無機酸化物蒸着層の上に、ガスバリア層が積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリアフィルムである。
また、請求項4に記載の発明は、
前記ポリプロピレン基材と前記無機酸化物蒸着層の間にアンカーコート層が設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のガスバリアフィルムである。
また、請求項5に記載の発明は、
前記ガスバリアフィルムと他のフィルムを貼り合わせたことを特徴とする、積層体である。
また、請求項6に記載の発明は、
前記積層体を用いて包装体とした際の最内層に、ヒートシール性のポリプロピレンが積層されていることを特徴とする、請求項5に記載の積層体である。
また、請求項7に記載の発明は、
請求項5または6に記載の積層体の、ヒートシール面を対向させ、ヒートシールして得られたことを特徴とする、包装袋である。
また、請求項8に記載の発明は、
ポリプロピレンの含有量が90重量%以上であることを特徴とする、請求項7に記載の包装袋。
本発明により、ポリプロピレン比率を高めつつ、レトルトのような加熱殺菌に耐えうるガスバリアフィルム、積層体、および、包装袋を提供することができる。
本発明に係る積層体の概略断面図である。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
<ガスバリアフィルム>
図1は、本発明に係る積層体の概略断面図である。基材1に用いられるポリプロピレンは、結晶性ポリプロピレンであり、加熱殺菌のための耐熱性を考慮すると、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンを用いるのが最も好ましい。但し耐熱性を損なわな
い範囲であれば、α-オレフィンを含んだポリプロピレン共重合体あるいは、ポリプロピレンとのブレンド物を使用することもできる。また、ポリプロピレンとポリプロピレン共重合体を共押出したフィルムを使用することも出来る。共押出しをする場合、ポリプロピレン共重合体を基材の両面、もしくは中間層に積層させても構わない。共押しフィルムを基材として使用する場合、ポリプロピレン共重合体面に蒸着層を積層させることも出来る。
本発明の基材1であるポリプロピレンフィルムは、上記のポリプロピレン樹脂をシート化して該シートを通常の手段により延伸し、一軸、あるいは二軸に配向したフィルムである。基材フィルムは、公知な添加剤、たとえば、酸化防止剤、安定剤、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸アミド、エルカ酸アミド等の滑剤、帯電防止剤などの有機添加剤、シリカ、ゼオライト、サイロイド、ハイドロタルサイト、シリコン粒子などの粒子状滑剤などが目的に応じて、添加されても良い。
ポリプロピレン樹脂およびポリプロピレン共重合体樹脂は、リサイクルされた樹脂を使用してもよく、また植物などのバイオマス由来の原料を重合して得られた樹脂を使用してもよい。これらの樹脂を使用する場合、単独で使用しても、通常の化石燃料から重合された樹脂と混合して使用しても構わない。
ポリプロピレン基材1の無機酸化物層を積層させる面は、レーザー顕微鏡で観察(観察倍率50倍、観察面積250μm角)した時の最大山高さSpが1.5μm以下、かつ、原子間力顕微鏡(AFM)で測定(測定面積10μm角)した時の算術平均粗さSaが5nm以上の両方の表面状態を満たしている必要がある。
レーザー顕微鏡で観察される最大山高さSpは、装置としてOlympus製LEXT
OLS4000を使用し、観察倍率50倍、観察面積250μm角、フィルタ:表面補正、モード:表面粗さの観察条件にて観察を行った画像より算出することができる。このようにして得られる最大山高さSpは基材表面に存在するアンチブロッキング剤などの大きなフィラーの大きさを表す。Spが1.5μmより大きい時、基材表面に大きなフィラーが存在しているため、ガスバリア層にクラックが生じ、ガスバリア性低下の原因となるため好ましくない。そのため、Spは1.5μm以下が好ましく、1.2μm以下がより好ましい。
基材表面層に混入させるフィラーの大きさ及び量を制御することで、レーザー顕微鏡で観察される最大山高さSpが1.5μm以下の表面粗さのポリプロピレン基材1を作成することが出来る。具体的には平均粒子径が2μm以下のフィラーを使用するもしくはバリア層形成面にはフィラーを使用しないといった方法がある。またバリア層と反対面側のフィラーの量が多すぎると、巻取時にバリア層形成面上に脱落する恐れがあり、結果としてSpが1.5μm以下にならないことがあるため、反対面側のフィラーの量も制御することが必要である。
原子間力顕微鏡(AFM)の測定には、装置として日立ハイテク製AFM5400Lを使用し、カンチレバーにはBRUKER社製MPP-11100-10を用いて行った。測定面積10μm角、試料凹凸:標準、軟らかさ:軟らかい、周波数:0.6傾き補正:3次の測定条件にて表面粗さの測定を行い、表面粗さ解析にて算術平均粗さSaを求めた。
特にレトルト処理などの熱水処理後に良好なガスバリア性を持たせるために、ポリプロピレン基材1表面はAFMで測定される算術平均粗さSaが5nm以上とする必要がある。Saが5nmより小さい場合、基材の表面の肌理が細かくなりすぎるために、その後に積層させる蒸着層3もしくはアンカーコート層2が基材1表面の中に入り込めず、密な層が形成出来にくくなる、もしくは基材1との密着力が低くなるということが起こるために、結果としてガスバリア性が劣化するため好ましくない。Saは5nm以上が好ましく、5.5nm以上がより好ましい。また上限は特に設けないが、粗くなりすぎるとガスバリア性が悪くなる可能性があるため、20nm以下とすることが好ましい。
上述したようなAFMで測定される算術平均粗さSaが5nm以上の表面粗さのポリプロピレン基材1を作成する方法としては、製膜時に樹脂を押出した後に触れる冷却ロールの表面形状、または押出後のフィルムの延伸倍率や熱固定温度などの加工条件といった、基材製膜の条件を最適化することが挙げられる。その他には、基材の表面にポリプロピレン以外の樹脂、例えばα-オレフィンを含んだポリプロピレン共重合体や、そのような樹脂とポリプロピレンとのブレンド物を使用するという方法もある。また、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を表面に配置する方法もある。
次に、ポリプロピレン共重合体層上に積層する無機酸化物蒸着層3について、詳しく説明する。無機酸化物からなる蒸着層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよい。各種殺菌耐性を配慮するとこれらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし本発明の蒸着層は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。
無機酸化物蒸着層3の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5~300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10~150nmの範囲内にあることである。
無機酸化物蒸着層3をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
基材1と無機酸化物蒸着層3との密着を強化するために、基材1の表面にプラズマ処理、コロナ処理等の表面処理を行ってもよく、また基材と無機酸化物蒸着層3の間にアンカーコート層2を設けても構わない。これらの層を設けることで、加熱殺菌後の密着性やガスバリア性などの性能が向上する。
無機酸化物蒸着層3上に、蒸着層を保護し、ガスバリア性を補完する目的でガスバリア層4を設けることもできる。ガスバリア層4は目的を達成するためであれば、特に限定されないが、最も適当な例について以下に説明する。
ガスバリア層4は水溶性高分子と無機化合物で形成される。水溶性高分子としては、ポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。
ガスバリア層4を形成している無機化合物は、1種以上のSi(ORもしくはRSi(OR(OR、ORは加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物である。Si(ORとしては、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕が加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましく用いられる。また、RSi(OR中のRとしてはビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、イソシアネート基の中から選択されることが好ましい。
ガスバリア層4は、水溶性高分子を水或いは水/アルコール混合溶媒で溶解させたものに珪素化合物を直接或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合し、この混合溶液を無機酸化物蒸着層上にコーティング後、加熱乾燥して形成される。この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
ガスバリア層4上には、印刷層を設けることができる。印刷層は、内容物に関する情報の表示、内容物の識別、あるいは包装袋の意匠性向上を目的として、積層体の外側から見える位置に設けられる。印刷方法及び印刷インキは特に制限されず、既知の印刷方法及び印刷インキの中からフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、食品容器としての安全性などを考慮して適宜選択される。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。中でもグラビア印刷法は生産性や絵柄の高精細度の観点から、好ましく用いることができる。
<積層体>
ガスバリアフィルム7と、ヒートシール性を有するポリプロピレンフィルム層6は、接着層5を介して積層される。一液硬化型もしくは二液硬化型ウレタン系接着剤等の接着剤で貼りあわせるドライラミネート法、無溶剤接着剤を用いて貼りあわせるノンソルベントドライラミネート法、ポリプロピレン等の樹脂を加熱溶融させ、カーテン状に押し出し、貼りあわせるエクストルージョンラミネート法等、いずれも公知の積層方法を採用することができる。また、エポキシ系接着剤、ポリエステル・ポリウレタン系接着剤等のガスバリア性を有する接着剤を用いることも可能である。
ヒートシール性を有するポリプロピレンとしては、公知の未延伸ポリプロピレンフィルムが使用できる。ヒートシール性を有する未延伸ポリプロピレンフィルムのなかでも、エチレン-プロピレンコポリマーを主成分とし、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体等の樹脂から製膜したフィルムを使用することが好ましい。さらには、レトルト処理を行う場合には、耐熱性を考慮し、プロピレン-エチレンブロック共重合体から製膜された未延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。
本発明の積層体10は、本発明のガスバリアフィルム7を備える積層体である。具体的には、本発明の積層体10は、本発明のガスバリアフィルム7の蒸着層側に他の部材が積層された積層体である。本発明の積層体10は、内容物を収容する包装袋等に特に好適に使用できる。
<包装袋>
本発明の積層体10を、ヒートシール性を有するポリプロピレン6を内側にして重ね合わせて熱接着することで、包装袋を容易に形成することができる。
以下に本発明のガスバリアフィルムの実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<レーザー顕微鏡観察>
装置名:LEXT OLS4000(Olympus製)
観察条件:観察倍率50倍、観察面積250μm角
フィルタ:表面補正
モード:表面粗さ
以上の条件で算出された解析パラメータから最大山高さSpを得た。
<原子間力顕微鏡(AFM)>
装置名:AFM5400L(日立ハイテク製)
使用針:MPP-11100-10
測定条件:測定面積10μm角、試料凹凸:標準、軟らかさ:軟らかい、周波数:0.6
傾き補正:3次
以上の条件で測定し、表面粗さ解析で算術平均粗さSaを得た。
<ガスバリアフィルムの作成方法>
(実施例1~3、比較例1~3)
厚み20μmのポリプロピレン基材上に、アクリル系プライマー溶液をグラビアコートにより塗布乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成した。次にアンカーコート層上に、減圧下の酸素雰囲気中で高周波励起イオンプレーティングによる反応性蒸着により、厚さ30nmの酸化ケイ素の薄膜を蒸着し、無機酸化物蒸着層を形成した。更に酸化ケイ素蒸着層上に、下記に示すA液とB液とC液を配合比(wt%)で70/20/10に混合した溶液をグラビアコート法により塗布した後、80℃20秒の条件下にて乾燥し、厚さ0.3μmのガスバリア層を形成した。このようにしてガスバリアフィルムを得た。
A液:テトラエトキシシラン(以下TEOSとする)17.9gとメタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分5wt.%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5wt.%水/メタノール溶液(水/メタノール重量比=95/5)。
C液:β-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt.%(RSi(OH)換算)に調整した加水分解溶液。
(実施例4、比較例4)
上記の実施例1~3、比較例1~3のガスバリアフィルム作成において、アンカーコート層を形成しなかった以外は、同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(実施例5、比較例5)
上記の実施例1~3、比較例1~3のガスバリアフィルム作成において、無機酸化物蒸着層を厚さ12nmのアルミナとした以外は、同様にしてガスバリアフィルムを得た。
<積層体評価>
実施例および比較例で作成したガスバリアフィルムに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネート法により順に積層し、積層体を作製した。
上記積層体を用いて4辺をシール部とするパウチを作製し、内容物として水を充填した。その後、120℃30分および130℃60分のレトルト殺菌処理を行った。
<酸素透過度測定>
ガスバリアフィルムおよびレトルト処理後の積層体の酸素透過度測定を行った。測定は酸素透過度測定装置(Modern Control社製 OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K-7126、B法(等圧法)、およびASTM D3985-81に準拠し、測定値は単位[cm(STP)/m・day・MPa]で表記した。結果を表1に示す。
<ラミネート強度測定>
130℃60分レトルト処理後の積層体に対し、ガスバリアフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム間のラミネート強度測定を行った。測定はJIS K6854に準拠し、試験幅15mm、剥離速度300mm/min.、剥離角度180°にて行った。測定値は単位[N/15mm]で表記した。結果を表1に示す。
Figure 2022159102000002
表1の結果からわかるように、実施例1~5は、レトルト後の積層体の酸素透過度が低く、ガスバリア性が確保されていることがわかる。本発明に係る積層体は、レトルト処理後のガスバリア性に優れると共に、その構成フィルムが実質的にポリプロピレンからなる。この積層体を用いた本発明の包装袋は、全体として90%のポリプロピレンを含み、単一素材からなる(モノマテリアルの)包装体と言うことができ、優れたリサイクル性が期待される。
1・・・基材(ポリプロピレン)
2・・・アンカーコート層
3・・・無機酸化物蒸着層
4・・・ガスバリア層
5・・・接着層
6・・・ヒートシール性のポリプロピレン層
7・・・ガスバリアフィルム
10・・・積層体

Claims (8)

  1. ポリプロピレンからなる基材の少なくとも一方の面に、厚さ5~100nmの無機酸化物蒸着層を積層したガスバリアフィルムであり、ポリプロピレン基材の蒸着層を積層する面をレーザー顕微鏡で観察(観察倍率50倍、観察面積250μm角)した時の最大山高さSpが1.5μm以下であり、かつ、原子間力顕微鏡(AFM)で測定(測定面積10μm角)した時の算術平均粗さSaが5nm以上であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。
  2. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素或いはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記無機酸化物蒸着層の上に、ガスバリア層が積層されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記ポリプロピレン基材と前記無機酸化物蒸着層の間にアンカーコート層が設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記ガスバリアフィルムと他のフィルムを貼り合わせたことを特徴とする積層体。
  6. 包装袋とした際に内側となる最外層に、ヒートシール性のポリプロピレンが積層されていることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
  7. 請求項5または6に記載の積層体の、ヒートシール面を対向させ、ヒートシールして得られたことを特徴とする包装袋。
  8. ポリプロピレンの含有量が90重量%以上であることを特徴とする請求項7に記載の包装袋。
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