JP2020109379A - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属電極の異常箇所を容易に検出可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】半導体装置であるIGBTチップは、基板であるシリコン基板4と、金属電極であるエミッタ電極1とを備えている。金属電極であるエミッタ電極1は、基板であるシリコン基板4の表面に形成されている。さらに、半導体装置であるIGBTチップにおいて、金属電極であるエミッタ電極1の表面に、50μm以上の径を有する空孔11が存在している。【選択図】図7

Description

本発明は、パワー半導体装置およびパワー半導体装置の製造方法に関するものである。
パワー半導体装置である半導体チップをパッケージに封入してモジュール化する前に、半導体チップに電流を導通して検査を行っている。従来は半導体チップに電流を導通して検査する際に、通電プローブと半導体チップに良好な接触を得るなどして接触抵抗を小さくして大電流を通電していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−231626号公報
このような半導体装置の製造方法にあっては、半導体基板と金属電極との界面に異物などが混入し通電時の抵抗となって発熱し、金属電極にわずかな変質が生じても電気的な検査で検出できなかった。そのため、後工程の目視検査で検出する必要がある。しかしながら、変質の範囲が小さく、狭い視野で検査する必要があり生産性が低下するという問題点があった。
そこで、本発明は、金属電極の異常箇所を容易に検出可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体装置は、基板と、前記基板表面に形成される金属電極とを備え、前記金属電極の表面に50μm以上の径を有する空孔が存在するものである。
本発明によれば、金属電極の表面に50μm以上の径を有する空孔が存在するため、従来は検出しにくかった、金属電極の異常箇所を容易に検出することができる。
実施の形態1に係るIGBTチップにおいて空孔がない状態を示す平面図である。 IGBTチップにおいて空孔がない状態を示す断面図である。 エミッタ電極に異物がある状態を示すIGBTチップの断面図である。 エミッタ電極の形状異常箇所に組成異常が発生した状態を示すIGBTチップの断面図である。 エミッタ電極の形状異常箇所に空孔が発生した状態を示すIGBTチップの断面図である。 実施の形態1に係るIGBTチップの製造方法を示すフローチャートである。 空孔顕在化工程後のIGBTチップの断面図である。 空孔顕在化工程後のIGBTチップの平面図である。 実施の形態2に係るMOSFETチップにおいて空孔がない状態を示す平面図である。 MOSFETチップにおいて空孔がない状態を示す断面図である。 ソース電極に異物がある状態を示すMOSFETチップの断面図である。 ソース電極の形状異常箇所に空孔が発生した状態を示すMOSFETチップの断面図である。 実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法を示すフローチャートである。 空孔顕在化工程後のMOSFETチップの断面図である。 空孔顕在化工程後のMOSFETチップの平面図である。 関連技術に係るIGBTチップの製造方法を示すフローチャートである。
<実施の形態1>
本発明の実施の形態1について、図面を用いて以下に説明する。図1は、実施の形態1に係るIGBTチップにおいて空孔11がない状態を示す平面図である。
図1に示すように、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)チップは、シリコンウェハを材料に用いて形成されたパワー半導体装置である。IGBTチップは、シリコン基板4、エミッタ電極1、ゲートパッド2、およびガードリング3を備えている。
シリコン基板4の表面における4つの角部を除く領域に、金属であるアルミニウムからなるエミッタ電極1が形成されている。ゲートパッド2は、エミッタ電極1の端部の表面に配置され、オンとオフとを切り替えるゲート電極5(図2参照)に接続されている。ガードリング3は、エミッタ電極1の外周部を囲むように配置され、IGBTチップへの耐圧を保持する。ここで、エミッタ電極1が金属電極に相当する。
なお、図1では、ゲートパッド2はエミッタ電極1の表面の端部に配置された例を示しているが、必要に応じてエミッタ電極1の表面の中央部に配置されていても問題はない。また、図1では、図示していないが電流または温度をセンシングするためのセンス用パッドが設けられることもあり、センス用パッドの位置も必要に応じて好適な場所に配置される。
図2は、IGBTチップにおいて空孔11がない状態を示す断面図である。一般的にIGBTチップには数万個以上、数百万個以下のトランジスタが形成されており、図2はその一部を切り出して拡大した模式図である。図3は、エミッタ電極1に異物がある状態を示すIGBTチップの断面図である。図4は、エミッタ電極1の形状異常箇所に組成異常10が発生した状態を示すIGBTチップの断面図である。図5は、エミッタ電極1の形状異常箇所に空孔11が発生した状態を示すIGBTチップの断面図である。
図2に示すように、シリコン基板4の表面には酸化膜とポリシリコンで構成されるゲート電極5が形成されている。ゲート電極5とエミッタ電極1との間にはこれらの電極間を絶縁するための層間絶縁膜6が形成されている。エミッタ電極1がシリコン基板4からオン時に導通される電流を取り出す領域をコンタクト7と呼ぶ。
次に、図16を用いて、関連技術に係るIGBTチップの製造方法について説明する。図16は、関連技術に係るIGBTチップの製造方法を示すフローチャートである。
図16に示すように、高電圧および大電流をスイッチ駆動するIGBTチップでは、電流を裏面から表面に向けて縦方向に導通するため、ウェハ製造工程において大きく表側と裏側に分かれる(ステップS1,S2)。シリコンウェハにIGBTチップを形成した後、ウェハ状態で電気特性を測定して試験し(ステップS3)、良品と不良品を選別する。その後、シリコンウェハからIGBTチップを切り出して個片化し(ステップS4)、IGBTチップ毎に電気特性を測定する(ステップS5)。
このとき、ウェハ状態で試験できない高電圧または大電流を測定する。電気試験に合格したIGBTチップの外観を実体顕微鏡で目視して検査し(ステップS6)、異常がないIGBTチップを後工程へ出荷する(ステップS7)。
ここで、例えばウェハ表面製造工程において、図2と図3に示すように、ゲート電極5と層間絶縁膜6を作り込んだ後、エミッタ電極1をスパッタリング法または蒸着法で成膜する際に、成膜前または成膜中に装置を構成する鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、人体から発塵する有機物、またはそれらの酸化物などの異物8がコンタクト7の領域に堆積する場合がある。
図3に示すように、エミッタ電極1の中に異物8が取り込まれ、エミッタ電極1の表面に形状異常9として現れる。このように異物8がコンタクト7に接触した状態で定格電流を導通すると形状異常9の領域で局所的に発熱する。そして、図4に示すように、形状異常9の箇所で局所的に酸化アルミニウムが形成され、変質および変色することにより組成異常10が発生する。
例えば、エミッタ電極1が銅で形成されている場合は、酸化銅が形成され同様に変質および変色することにより組成異常10が発生する。または、異物8がコンタクト7に接触した状態で定格電圧を印加した際に電流が集中し、図5に示すように、形状異常9のエミッタ電極部が局所的に溶融し空孔11が生じる。このような組成異常10および空孔11は、シリコン基板4、ゲート電極5、およびコンタクト7に与える影響が小さく、IGBTチップの電気特性として検出しにくいことが多い。
しかしながら、複数のIGBTチップを組み合わせて作るパワーモジュールの出荷検査で不良となるため、チップ目視検査工程で検出する必要がある。
IGBTチップ内には数万個以上、数百万個以下のトランジスタが形成されるため、図4で示した組成異常10、および図5で示した空孔11は最大径が数μm以上、十数μm以下の小さなサイズとなる。このような微小な異常箇所を実体顕微鏡で目視して検出するには100倍程度の倍率が必要となるため、一辺が10mm程度あるIGBTチップの場合、狭い視野で広い範囲を目視する必要がある。このような異常箇所の検出を容易にするため、本願の発明者は、異常箇所を50μm以上の大きな空孔として顕在化する技術を発明した。
次に、図6を用いて、実施の形態1に係るIGBTチップの製造方法について説明する。図6は、実施の形態1に係るIGBTチップの製造方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、ウェハ表面製造工程においてシリコンウェハの表面にトランジスタ構造を形成し(ステップS1)、ウェハ裏面製造工程においてシリコンウェハの裏面にコレクタ構造を形成し(ステップS2)、シリコンウェハ上にIGBTチップを製造する。続くウェハ電気試験工程においてシリコンウェハ上のIGBTチップの良否を選別し(ステップS3)、チップ個片化工程においてシリコンウェハから個々のIGBTチップを切り出して個片化する(ステップS4)。
次に、ウェハ電気試験工程を合格したIGBTチップに対してチップ電気試験工程を行う(ステップS5)。チップ電気試験工程では、IGBTチップに対して定格電圧以上の高電圧を印加する、または、定格電流以上の大電流を通電し、モジュール組み立てに資するIGBTチップを抽出する。
この際、一部のIGBTチップにおいて、ウェハ表面製造工程においてコンタクト7に堆積した異物8がエミッタ電極1に取り込まれ、チップ電気試験工程の高電圧印加時に、図5に示すように、直径が10μm程度の空孔11が生じている。チップ電気試験工程では異常が検出されず、良品と判定された全てのIGBTチップに対して空孔顕在化工程を実施する。
空孔顕在化工程では、微細な空孔11を拡大するために高電圧を印加する(ステップS10)。具体的にはIGBTチップに最大限印加できるアバランシェ電圧を印加する。その際、良品のIGBTチップを破壊せず、かつ、異物8が存在する箇所に電界を集中させられるようにdV/dt=2kV/μ秒以上、3kV/μ秒以下で昇圧したのち、過剰なエネルギーを印加して良品のIGBTチップを破壊しないように5μ秒以内で遮断する。これをIGBTチップの定格電流およびサイズに応じて複数回繰り返す。
例えば定格電圧3300V、定格電流80AのIGBTチップの場合、1.5μ秒のアバランシェ電圧の印加を10回繰り返すことで、チップ電気試験工程後に直径が10μm程度であった空孔11は、図7に示すように、直径が60μmを超えるサイズになる。空孔11は、チップサイズが1辺5mmのもので最大径が65μm程度、1辺10mmのもので64μm程度あり、おおむねIGBTチップのサイズによらず同様の傾向を示す。図7は、空孔顕在化工程後のIGBTチップの断面図である。
繰り返しのアバランシェ電圧の印加により、異物8があるエミッタ電極1の温度が局所的に上昇することで、異物8がエミッタ電極1の内部に拡散するため、エミッタ電極1はアルミニウムと酸素と異物8の組成が不規則に混合したものになる。また、エミッタ電極1の形状は波うち大きく変形し、元の反射率の50%以下の反射率になる。
次に、IGBTチップの外観を実体顕微鏡で目視して検査し(ステップS6)、異常がないIGBTチップを後工程へ出荷する(ステップS7)。なお、図6のフローチャートでは、チップ電気試験工程(ステップS5)の後に空孔顕在化工程(ステップS10)を実施するとして説明したが、これに限定されることはない。空孔顕在化工程(ステップS10)の後にチップ電気試験工程(ステップS5)を実施してもよい。
実施の形態1では、異物8がコンタクト7に接触している例について説明したが、必ずしもコンタクト7に接触している必要はない。エミッタ電極1の内部、層間絶縁膜6の内部、または層間絶縁膜6の表面と接触している場合でも同様の効果を得ることができる。これにより、図8に示すように、目視にて容易に識別可能な空孔11をIGBTチップの表面に形成することが可能になる。図8は、空孔顕在化工程後のIGBTチップの平面図である。
以上のように、実施の形態1に係るIGBTチップの製造方法は、エミッタ電極1に形成された空孔11を目視可能なように顕在化する空孔顕在化工程を備える。また、この製造方法により製造された実施の形態1に係るIGBTチップでは、エミッタ電極1の表面に50μm以上の径を有する空孔11が存在する。
したがって、従来は検出しにくかった、エミッタ電極1の異常箇所を容易に検出することができる。
空孔顕在化工程は、IGBTチップにアバランシェ電圧を繰り返し印加する工程であるため、エミッタ電極1の表面に50μm以上の空孔11を形成することができる。
空孔11は、エミッタ電極1を構成する金属元素とは異なる金属元素を含むため、空孔11は、エミッタ電極1とは色および表面状態に違いが生じることから、エミッタ電極1の異常箇所を一層容易に検出することができる。
また、実施の形態1に係るIGBTチップの製造方法は、空孔顕在化工程の前または後に実施するチップ電気試験工程と、チップ電気試験工程および空孔顕在化工程の後に実施するチップ目視検査工程とをさらに備える。
したがって、チップ電気試験工程を空孔顕在化工程の前に実施する場合は、チップ電気試験工程で生じた微細な空孔11を空孔顕在化工程において拡大することができるため、空孔顕在化工程の後に実施するチップ目視検査工程においてエミッタ電極1の異常箇所を容易に検出することができる。また、チップ電気試験工程を空孔顕在化工程の後に実施する場合は、空孔顕在化工程において、空孔11の発生だけではなく、シリコン基板4、ゲート電極5、またはコンタクト7に応力歪みまたは熱破壊などのダメージを与えることができれば、チップ電気試験工程で容易にエミッタ電極1の異常を検出することができる。
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。図9は、実施の形態2に係るMOSFETチップにおいて空孔11がない状態を示す平面図である。なお、実施の形態2において、実施の形態1で説明したものと同一の構成要素については同一符号を付して説明は省略する。
図9に示すように、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)チップは、炭化シリコンウェハを材料に用いて形成されたパワー半導体装置である。MOSFETチップは、炭化シリコン基板14、ソース電極12、はんだ接合用金属電極13、ゲートパッド2、およびガードリング3を備えている。
炭化シリコン基板14の表面における4つの角部を除く領域に、金属であるアルミニウムシリコン合金からなるソース電極12が形成されている。ゲートパッド2は、ソース電極12の端部の表面に配置され、オンとオフとを切り替えるゲート電極5(図10参照)に接続されている。はんだ接合用金属電極13は金からなり、ソース電極12の表面の大部分の領域に配置され、はんだ接合用金属電極13の表面に配置される銅板(図示省略)とソース電極12とをはんだ接合する。ガードリング3は、ソース電極12の外周部を囲むように配置され、MOSFETチップへの耐圧を保持する。ここで、ソース電極12が金属電極に相当する。
なお、図9では、ゲートパッド2はソース電極12の表面の端部に配置された例を示しているが、必要に応じてソース電極12の表面の中央部に配置されていても問題はない。また、図9では、図示していないが電流または温度をセンシングするためのセンス用パッドが設けられることもあり、センス用パッドの位置も必要に応じて好適な場所に配置される。
図10は、MOSFETチップにおいて空孔11がない状態を示す断面図である。一般的にMOSFETチップには数万個以上、数百万個以下のトランジスタが形成されており、図10はその一部を切り出して拡大した模式図である。
図10に示すように、シリコン基板4の表面には酸化膜とポリシリコンで構成されるゲート電極5が形成されている。ゲート電極5とソース電極12との間にはこれらの電極間を絶縁するための層間絶縁膜6が形成されている。ソース電極12が炭化シリコン基板14からオン時に導通される電流を取り出す領域をコンタクト7と呼ぶ。
次に、関連技術に係るMOSFETチップの製造方法と、実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法との違いについて説明する。図11は、ソース電極12に異物がある状態を示すMOSFETチップの断面図である。図12は、ソース電極12の形状異常箇所に空孔11が発生した状態を示すMOSFETチップの断面図である。図13は、実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法を示すフローチャートである。図14は、空孔顕在化工程後のMOSFETチップの断面図である。図15は、空孔顕在化工程後のMOSFETチップの平面図である。
関連技術に係るMOSFETチップの製造方法は、関連技術に係るIGBTチップの製造方法とほぼ同様であるため、図16を用いて説明する。図16に示すように、ステップS1からステップS4の工程を実施した後、MOSFETチップ毎に電気特性を測定する(ステップS5)。このとき、ウェハ状態で試験できない高電圧または大電流を測定する。ステップS5のチップ電気試験工程に合格したMOSFETチップの外観を実体顕微鏡で目視して検査し(ステップS6)、異常がないMOSFETチップを後工程へ出荷する(ステップS7)。
例えばウェハ表面製造工程において、図10に示すように、ゲート電極5と層間絶縁膜6を形成した後、ソース電極12をスパッタリング法または蒸着法で成膜する際に、成膜前、または、成膜中に異物8がコンタクト7の領域に堆積すると、図11に示すように、ソース電極12の内部に異物8が取り込まれ、ソース電極12の表面に形状異常9として現れる。
しかしながら、ソース電極12の表面にはんだ接合用金属電極13が存在するため、MOSFETチップの表面から形状異常9を確認することが難しい。
このように異物8がコンタクト7に接触した状態で定格電流を導通すると形状異常9の領域で局所的に発熱し、図12に示すように、形状異常9の箇所で局所的に溶融し空孔11が生じる。
しかしながら、ソース電極12の表面にはんだ接合用金属電極13が存在するため、微小な空孔11ではMOSFETチップの表面から空孔11を確認することは難しい。そのうえ、このような空孔11は炭化シリコン基板14、ゲート電極5、およびコンタクト7に与える影響が小さく、MOSFETチップの電気特性として検出しにくいことが多い。しかしながら、複数のMOSFETチップを組み合わせて構成するパワーモジュールの出荷検査で不良となるため、チップ目視検査工程で検出する必要がある。
MOSFETチップ内には数万万個以上、数百万個以下のトランジスタが形成されるため、図12に示すように、空孔11は数μm以上、十数μm以下の小さなサイズとなる。このような微小な異常箇所を実体顕微鏡で目視して検出するには100倍程度の倍率が必要となり、一辺が10mm程度あるMOSFETチップの場合、狭い視野で広い範囲を目視する必要がある。さらに、ソース電極12の表面にはんだ接合用金属電極13が存在することから、わずかな光の反射の違いをとらえる必要があり、照明の増加、およびレンズが大きくなるなどの問題があった。このような異常箇所の検出を容易にするため、本願の発明者は、異常箇所を50μm以上の大きな空孔11として顕在化する技術を発明した。
次に、図13を用いて、実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法について説明する。
図13に示すように、ウェハ表面製造工程において炭化シリコンウェハの表面にトランジスタ構造を形成し(ステップS1)、ウェハ裏面製造工程において炭化シリコンウェハの裏面にドレイン電極を形成し、炭化シリコンウェハ上にMOSFETチップを製造する(ステップS2)。続くウェハ電気試験工程において炭化シリコンウェハ上のMOSFETチップの良否を選別し(ステップS3)、チップ個片化工程において炭化シリコンウェハから個々のMOSFETチップを切り出して個片化する(ステップS4)。
ここで、ウェハ表面製造工程において、一部のMOSFETチップにおけるコンタクト7に堆積した異物8がソース電極12に取り込まれている。
そこで、チップ電気試験工程を実施する前に空孔顕在化工程を実施する。実施の形態2の空孔顕在化工程においては、高電圧を印加することではなく大電流である定格電流の1.2倍の電流を1秒間通電する。例えば定格電圧3300V、定格電流80AのMOSFETチップの場合、96Aの電流を1秒間通電することで、図11に示した異物8が局所的に発熱し、チップ電気試験工程後では直径が10μm程度にしかならない空孔11が、図14に示すように、直径が60μmを超えるサイズとなる。
さらに、はんだ接合用金属電極13を構成する金がソース電極12の内部に拡散することで、はんだ接合用金属電極13により覆われる空孔11を露出させることができる。金が拡散した空孔11に見られるソース電極12は、アルミニウムとシリコンと酸素と金と異物8の組成が不規則に混合したものになる。
また、ソース電極12の形状は波うち大きく変形する。これにより、図15に示すように、目視にて容易に識別可能な空孔11をMOSFETチップの表面に形成することが可能になる。
さらに、空孔顕在化工程で通電時に炭化シリコン基板14、ゲート電極5、またはコンタクト7に応力歪みまたは熱破壊などのダメージを与えることができれば、次工程のチップ電気試験で容易にソース電極12の異常を検出することができる。
なお、図13のフローチャートでは、空孔顕在化工程(ステップS10)の後にチップ電気試験工程(ステップS5)を実施するとして説明したが、これに限定されることはない。チップ電気試験工程(ステップS5)の後に空孔顕在化工程(ステップS10)を実施してもよい。
以上のように、実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法は、ソース電極12に形成された空孔11を目視可能なように顕在化する空孔顕在化工程を備える。また、この製造方法により製造された実施の形態2に係るMOSFETチップでは、はんだ接合用金属電極13が形成されていないソース電極12の表面に50μm以上の径を有する空孔11が存在し、はんだ接合用金属電極13が形成されていないソース電極12の表面は、はんだ接合用金属電極13を構成する金属元素を含む。
したがって、従来は検出しにくかった、ソース電極12の異常箇所を容易に検出することができる。さらに、空孔11はソース電極12とは色および表面状態に違いが生じるため、ソース電極12の異常箇所を一層容易に検出することができる。
空孔顕在化工程は、MOSFETチップに定格電流の1.2倍以上の電流を1秒以上連続して通電することで、はんだ接合用金属電極13の一部を焼失させる工程である。したがって、ソース電極12の表面に50μm以上の空孔11を形成することができる。
また、実施の形態2に係るMOSFETチップの製造方法は、空孔顕在化工程の前または後に実施するチップ電気試験工程と、チップ電気試験工程および空孔顕在化工程の後に実施するチップ目視検査工程とをさらに備える。
したがって、チップ電気試験工程を空孔顕在化工程の前に実施する場合は、チップ電気試験工程で生じた微細な空孔11を空孔顕在化工程において拡大することができるため、空孔顕在化工程の後に実施するチップ目視検査工程においてソース電極12の異常箇所を容易に検出することができる。また、チップ電気試験工程を空孔顕在化工程の後に実施する場合は、空孔顕在化工程において、空孔11の発生だけではなく、炭化シリコン基板14、ソース電極12、またはコンタクト7に応力歪みまたは熱破壊などのダメージを与えることができれば、チップ電気試験工程において容易にソース電極12の異常を検出することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 エミッタ電極、4 シリコン基板、11 空孔、12 ソース電極、13 はんだ接合用金属電極、14 炭化シリコン基板。

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板表面に形成される金属電極と、
    を備え、
    前記金属電極の表面に50μm以上の径を有する空孔が存在する、半導体装置。
  2. 前記空孔は、前記金属電極を構成する金属元素とは異なる金属元素を含む、請求項1に記載の半導体装置。
  3. 基板と、
    前記基板表面に形成される金属電極と、
    前記金属電極の一部を覆うはんだ接合用金属電極と、
    を備え、
    前記はんだ接合用金属電極が形成されていない前記金属電極の表面に50μm以上の径を有する空孔が存在し、
    前記はんだ接合用金属電極が形成されていない前記金属電極の表面は、前記はんだ接合用金属電極を構成する金属元素を含む、半導体装置。
  4. 基板と、前記基板表面に形成される金属電極とを備える半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    前記金属電極には空孔が形成されており、
    前記空孔を目視可能なように顕在化する空孔顕在化工程を備える、半導体装置の製造方法。
  5. 前記空孔顕在化工程は、前記半導体装置にアバランシェ電圧を繰り返し印加する工程である、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 基板と、前記基板表面に形成される金属電極と、前記金属電極を覆うはんだ接合用金属電極とを備える半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    前記金属電極には空孔が形成されており、
    前記空孔を目視可能なように顕在化する空孔顕在化工程を備える、半導体装置の製造方法。
  7. 前記空孔顕在化工程は、前記半導体装置に定格電流の1.2倍以上の電流を1秒以上連続して通電することで、前記はんだ接合用金属電極の一部を焼失させる工程である、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記空孔顕在化工程の前または後に実施するチップ電気試験工程と、前記チップ電気試験工程および前記空孔顕在化工程の後に実施するチップ目視検査工程とをさらに備える、請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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