JP2020105898A - 多条ねじ継手、継手付き鋼管、構造体、構造体の施工方法、多条ねじ継手の設計方法及び製造方法 - Google Patents

多条ねじ継手、継手付き鋼管、構造体、構造体の施工方法、多条ねじ継手の設計方法及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】嵌合間違いを排除できる多条ねじ継手、継手付き鋼管、構造体、構造体の施工方法、多条ねじ継手の設計方法及び製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る多条ねじ継手1は、鋼管3、9の端部に取り付けられ、雄ねじ5を有する内側継手管7と雌ねじ11を有する外側継手管13からなり、内側継手管7及び外側継手管13のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手1であって、内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なることを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、2条以上の雄ねじを有する内側継手管と、2条以上の雌ねじを有する外側継手管からなる多条ねじ継手、該多条ねじ継手を取り付けた継手付き鋼管、該継手付き鋼管が複数連結されてなる構造体、構造体の施工方法、及び多条ねじ継手の設計方法及び製造方法に関する。
構造物の基礎や地滑りの抑止などに利用される鋼管による構造体(例えば、鋼管杭、鋼管矢板、鋼管矢板を連結した鋼管矢板壁、鋼管柱、鋼管梁等)は、施工の条件により必要な長さが数十mに及ぶ場合がある。一方、これら鋼管による構造体を施工現場まで搬送する際は、交通制限により長尺のものを搬送できない。そのため、搬送可能な長さである数mづつ運び、施工現場において施工(打設を含む)途中で接合される。
鋼管による構造体を施工現場で接合する方法として、特許文献1に開示されたようなねじ継手が利用される。ねじ継手は接合対象となる鋼管のそれぞれの端部に取り付けられ、施工現場で回転嵌合させることによって鋼管を接合して鋼管による構造体を施工する。
特許文献1に開示のねじ継手は、ねじ部を多条ねじとすることで、嵌合に必要な回転量を低減させ、嵌合時間の低減や施工性の向上を実現できる。特に、隣接する鋼管同士を連結する連結継手を有する鋼管矢板用の鋼管にねじ継手を適用する場合、連結継手の回転半径内にある他の鋼管矢板が干渉することがあるため、嵌合に必要な回転量を低減することは有効である。
特開平10−311028号公報
ねじ継手を鋼管矢板用の鋼管に適用する場合、上側の鋼管と下側の鋼管の連結継手の位置が、上下の鋼管の嵌合完了時点で同じ位置にある必要がある。この点、多条ねじ継手の場合、ねじ条数分だけねじ山の先端部が存在し、ねじ条数と同数の嵌合開始位置が存在する。このため、嵌合完了時に正しい位置となる嵌合開始位置から嵌合を開始する必要がある。そこで、多条ねじ継手には正しい嵌合開始位置に位置合わせマークが設けられている。
ねじ継手を鋼管矢板用の鋼管に適用する場合、位置合わせマークに合わせて嵌合を開始することにより、嵌合完了時に上下の連結継手位置が一致する。
しかし、位置合わせマークを設けても、ヒューマンエラーによる嵌合開始位置の間違いを完全には排除できず、仮に、間違った嵌合開始位置から嵌合が開始されると、嵌合完了時点で上下の連結継手位置が不一致となり、嵌合開始位置が誤りであったことが分かる。
この場合、嵌合完了したものを、再度逆回転して嵌合を外して、嵌合位置合わせを行って再度嵌合することになり、工事の進行を遅らす原因やねじ部の傷つきによる嵌合不良の原因となる。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、嵌合間違いを排除できる多条ねじ継手、該多条ねじ継手を取り付けた継手付き鋼管、該継手付き鋼管が複数連結されてなる構造体、構造体の施工方法、及び多条ねじ継手の設計方法及び製造方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る多条ねじ継手は、鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手であって、
前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、ねじ山とねじ底の継手軸方向隙間が他のねじ山及びねじ底と同じであることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、その高さが異なることを特徴とするものである。
(4)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ねじ幅が異なることを特徴とするものである。
(5)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ねじ角度が異なることを特徴とするものである。
(6)本発明に係る継手付き鋼管は、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の多条ねじ継手における内側継手管と外側継手管を、一端と他端に取り付けてなることを特徴とするものである。
(7)本発明に係る構造体は、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の多条ねじ継手と、前記多条ねじ継手で連結された複数の鋼管とを備えることを特徴とするものである。
(8)本発明に係る構造体の施工方法、上記(7)に記載の構造体の施工方法であって、連結対象となる継手付き鋼管の一方の回転を拘束した状態で、他方の継手鋼管の多条ねじ継手を前記一方の継手付き鋼管の多条ねじ継手に位置合わせして回転嵌合することを特徴とするものである。
(9)本発明に係る多条ねじ継手の設計方法は、鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじの設計方法であって、
前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に設計することを特徴とするものである。
(10)本発明に係る多条ねじ継手の製造方法は、鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手の製造方法であって、
前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に形成することを特徴とするものである。
本発明に係る多条ねじ継手においては、内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なるので、特定の対応するねじ山とねじ底が嵌合可能な状態でないと嵌合することができない。このため、誤嵌合を確実に防止することができる。
本実施の形態に係る多条ねじ継手の嵌合前の状態の側面図である。 本実施の形態に係る多条ねじ継手の嵌合完了時の状態の側面を内部を透視して示す図である。 多条ねじ継手が正しい位置で嵌合している状態の一部を拡大して示す図であって、図3(a)はその他のねじ形状の嵌合状態であり、図3(b)は特定の1条のねじ形状の嵌合状態である。 図3に示した多条ねじ継手が誤った位置で嵌合しようとしたときに嵌合できなくなることを説明するための説明図である。 8条のねじ継手を上部から見た場合の雄ねじ、雌ねじの嵌合開始位置の概念図である。 ねじ形状の他の態様1を説明する説明図であって、図6(a)はその他のねじ形状の嵌合状態であり、図6(b)は特定の1条のねじ形状の嵌合状態である。 図6に示した多条ねじ継手が誤った位置で嵌合しようとしたときに嵌合できなくなることを説明するための説明図である。 ねじ形状の他の態様2を説明する説明図であって、図8(a)はその他のねじ形状の嵌合状態であり、図8(b)は特定の1条のねじ形状の嵌合状態である。 図8に示した多条ねじ継手が誤った位置で嵌合しようとしたときに嵌合できなくなることを説明するための説明図である。
本実施の形態に係る多条ねじ継手1は、図1、図2に示すように、上側の鋼管3の端部に取り付けられ、雄ねじ5を有する内側継手管7と、下側の鋼管9の端部に取り付けられ、雌ねじ11を有する外側継手管13からなり、内側継手管7及び外側継手管13のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手1であって、内側継手管7及び外側継手管13は、多条ねじのうちの特定の1条分(図1、図2で斜線で示した部分)のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsを備える。そして、このねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsは、他のねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状であることを特徴とするものである。
<鋼管>
鋼管3、9は、杭を構成するものであり、図中上側の鋼管3が上杭を、下側の鋼管9が下杭を構成する。
本実施の形態では、上側の鋼管3に雄ねじ5を有する内側継手管7が溶接により固定され、下側の鋼管9に雌ねじ11を有する外側継手管13が溶接により固定されている。
もっとも、内側継手管7を下側の鋼管9に固定し、外側継手管13を上側の鋼管3に固定するようにしてもよい。
<内側継手管、外側継手管>
内側継手管7は、2条以上の多条ねじからなる雄ねじ5が形成されている。また、外側継手管13は、内側継手管7と同じ条数の2条以上の多条ねじからなる雌ねじ11が形成されている。
そして、内側継手管7及び外側継手管13が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsは、他のねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ピッチは同じでねじ形状が異なっている。
そのため、内側継手管7と外側継手管13における、特定の1条同士の嵌合開始位置が一致していないと回転嵌合することができない。換言すれば、特定の1条同士の嵌合開始位置が一致する場合のみ、図2に示すように、回転嵌合することができる。
特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsのねじ形状の例としては、ねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsの高さが他と異なるものが挙げられ、これについて図3、図4に基づいて説明する。
図3(a)は、特定の1条分以外の他のねじ山5a、11a、ねじ底11b、5bを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この適切に嵌合する雌ねじ11のねじ山11aの高さhは4.0mmで、雄ねじ5のねじ底5bとの間の径方向のクリアランスc1は0.5mmとする。
また、図3(b)は、特定の1条分のねじ山5as、11as、ねじ底11bs、5bsを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この特定の1条分の雌ねじ11のねじ山11as高さHは2.0mmで、雄ねじ5のねじ底5bsとの間のクリアランスC1は0.5mmとする。
なお、ねじピッチPは他のねじ形状のもの、及び特定の1条のねじ形状のものも共に10mmである。ねじピッチPとは、ある1条における雄ねじ5のねじ底の端から次の1条の雄ねじ5のねじ底の始まる位置までの軸方向の距離、あるいは、ある1条の雌ねじ11のねじ山の端から次の1条のねじ山の始まる位置までの軸方向の距離である。
1条ねじの場合には、ねじピッチは、1回転したときにねじが進む距離を意味するが、多条ねじにおいては、ねじの条数によって1回転したときの進む距離が異なることから、一定の距離としてのねじピッチを定義できないので、上記のように定義している。
図3(b)に示すように、特定の1条についても、雄ねじ5と雌ねじ11が特定の1条同士であればあれば嵌合開始することができ、雄ねじ5を有する内側継手管7と雌ねじ11を有する外側継手管13を回転嵌合することができる。
しかし、特定の1条のねじとその他のねじが嵌合しようとすると、図4に示すように、特定の1条である雄ねじ5のクリアランスC1を含めて2.5mmのねじ底5bs(H+C1)のところに、他の雌ねじ11であるねじ高さhが4.0mmの雌ねじ11のねじ山11aが位置することになり、干渉して嵌合を開始することができない。
なお、特定の1条のねじとその他のねじが嵌合できないようにするには、ねじ山の高さの差がクリアランスc1以上ある必要がある。例えば、特定の1条のねじ山5as、11asの高さH、その他のねじ山5a、11aの高さh、その他のねじ底5b、11bとねじ山11a、5aのクリアランスc1との関係は、h>H+c1又はH>h+c1の関係となる。
図5は、8条のねじ継手を上部から見た場合の雄ねじ5及び雌ねじ11のねじ開始位置の概念図である。図中、黒丸印は特定の1条以外のねじの嵌合開始位置を示し、星印は特定の1条のねじの嵌合開始位置を示している。
図5(a)は、特定の1条が形成されていない全てのねじが通常のものであり、雄ねじ5と雌ねじ11は黒丸印の位置が一致していれば嵌合を開始することができる。図5(b)は特定の1条が形成されたものであり、この場合、図5(b)に示すように、雄ねじ5と雌ねじ11の星印の位置が一致していれば、嵌合を開始することができる。図5(b)に示す状態は、黒丸同士の関係は、図3(a)の状態であり、星印同士の関係は、図3(b)の状態となる。
図5(c)は、図5(b)と同様に、特定の1条が形成されたものであるが、雄ねじ5の嵌合開始位置と雌ねじ11の嵌合開始位置が対応していないので、嵌合を開始することができない。図5(c)における星印と黒丸との関係が、図4に示す状態となる。
このように、特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsを、他のねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ピッチは同じでねじ形状は異なるようにすることで、対応する位置でないと嵌合開始できないので、誤嵌合を確実に防止することができる。
すなわち、特定の1条同士の嵌合開始位置が一致する位置に、位置合わせマークを付けておけば、正しい嵌合位置であれば回転嵌合することができ、仮に、ヒューマンエラーによって位置合わせが誤った場合には、嵌合開始ができない。このため、嵌合開始位置が誤りであることが直ぐに分かり、誤嵌合によって、回転嵌合をやり直す場合に比較すると施工効率を向上させることができる。
なお、上記の説明では、特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsの高さを他と異なるように設定したものであったが、本発明はこれに限られるものではなく、要するにその他のねじと嵌合できないねじ形状の特定のねじを1条分形成すればよく、特定の1条のねじ形状を他のねじ形状と異なるようにする態様は、例えば、以下に説明する他の態様1、2等が挙げられる。
<他の態様1>
他の態様1は、特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsが、他のねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ねじピッチは同じであり、ねじ幅が異なるものであり、これについて図6、図7に基づいて説明する。
図6(a)は、他のねじ山5a、11a、ねじ底11b、5bを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この適切に嵌合する雌ねじ11のねじ幅wは3.4mmで、雄ねじ5のねじ底5bとの間の軸方向のクリアランスc2は0.5mmとする。
また、図6(b)は、特定の1条分のねじ山5as、11as、ねじ底11bs、5bsを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この特定の1条分の雌ねじ11のねじ幅Wは2.4mmで、雄ねじ5のねじ底5bsとの間の軸方向のクリアランスC2は0.7mmとする。
なお、ねじピッチPは他のものも特定の1条も共に10mmである。
図6(b)に示すように、特定の1条についても、対応するねじ山5as、11asとねじ底11bs、5bs同士であれば嵌合することができ、雄ねじ5を有する内側継手管7と雌ねじ11を有する外側継手管13を嵌合させることができる。
しかし、特定の1条のねじとその他のねじが嵌合しようとすると、図7に示すように、特定の1条である雄ねじ5のクリアランスC2を含めて3.1mm(W+C2)のねじ底5bsのところに、他の雌ねじ11であるねじ幅wが3.4mmの雌ねじ11のねじ山11aが位置することになり、干渉して内側継手管7と外側継手管13の嵌合を開始することができない。
なお、特定の1条のねじとその他のねじが嵌合できないようにするには、ねじ山の幅の差がクリアランスc2以上ある必要がある。例えば、特定のねじ山5as、11asの幅W、その他のねじ山5a、11aの幅w、その他のねじ底5b、11bとねじ山11a、5aのクリアランスc2との関係は、w>W+c2又はW>w+c2の関係となる。
<他の態様2>
他の態様2は、特定の1条分のねじ山5as、11as及びこれに対応するねじ底11bs、5bsは、他のねじ山5a、11a及びねじ底11b、5bと、ピッチは同じであり、ねじ角度が異なるものでありこれについて図8、図9に基づいて説明する。なお、ねじ角度が異なるとは、ねじ山における両側のフランク角が異なる場合、片側のフランク角が異なる場合の両方を含む意味である。
図8(a)は、他のねじ山5a、11a、ねじ底11b、5bを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この適切に嵌合する雌ねじ11のねじ山11a及び雄ねじ5のねじ底5bの図中下側のフランク角αは略10°とする。その結果、雌ねじ11のねじ幅wは3.4mmで、雄ねじ5のねじ底5bとの間の軸方向のクリアランスc2は0.5mmになっている。
また、図8(b)は、特定の1条分のねじ山5as、11as、ねじ底11bs、5bsを示しており、適切に嵌合している状態である。一例として、この特定の1条分の雌ねじ11のねじ山11as及び雄ねじ5のねじ底5bsの図中下側のフランク角βは約20°とする。その結果、雌ねじ11のねじ幅Wは2.2mmで、雄ねじ5のねじ底5bsとの間の軸方向のクリアランスC2は0.6mmとなっている。
なお、ねじピッチPは他のものも特定の1条も共に10mmである。
図8(b)に示すように、特定の1条についても、対応するねじ山5as、11asとねじ底11bs、5bs同士であれば嵌合することができ、雄ねじ5を有する内側継手管7と雌ねじ11を有する外側継手管13を嵌合させることができる。
しかし、特定の1条のねじとその他のねじが嵌合しようとすると、図9に示すように、特定の1条の雄ねじ5のねじ底5bsのところに、他の雌ねじ11のねじ山11aが位置すると、フランク角の違いから、両者が干渉して嵌合することができず、内側継手管7と外側継手管13を嵌合させることができない。
なお、本発明においても、嵌合開始の目安がある方がよく、位置合わせマークを設けることが好ましい。位置合わせマークを設けていても、ヒューマンエラーにより誤嵌合が生ずる場合があるが、本発明を適用することで、このようなヒューマンエラーを確実に防止できる。
また、本発明における特定の1条分のねじ形状の変更は、切削刃や切削プログラムの変更により、従来の切削工程を大幅に増やすことなく製作することができるので、本発明は低コストでねじの誤嵌合を防止できるものであると言える。
なお、上記の例では平行ねじを対象としていたが、テーパーネジの場合にも適用可能であり、テーパーネジにおいても問題なく誤嵌合を防止することができる。
なお、大径で上部から手前側を覗かなければ外側継手管13側の嵌合位置を確認できないような場合には、外側継手管13のねじ山を他と異なるようにすることで上部から目視的な嵌合位置の判別がしやすくなる。
なお、上記の他の形態1において、特定の1条分のねじ山とこれに対応するねじ底の軸方向クリアランス(隙間)Cが0.7mmで、他のねじ山とこれに対応するねじ底の継手軸方向隙間cが0.5mmの例を示し、また、他の形態2においては、特定の1条分のねじ山とこれに対応するねじ底の軸方向クリアランス(隙間)Cが0.6mmで、他のねじ山とこれに対応するねじ底の継手軸方向隙間cが0.5mmの例を示した。
しかしながら、本発明の多条ねじ継手は構造体を構成する鋼管の端部に取り付けられるものであり、荷重が作用した際に、軸方向で全てのねじ山が均等に当接して荷重伝達できるのがより好ましい。
そのため、特定の1条分のねじ山とこれに対応するねじ底の軸方向クリアランス(隙間)Cと、他のねじ山とこれに対応するねじ底の継手軸方向隙間cが同じであることがより好ましい。
また、上記の実施の形態では、平行ねじ(ねじ山が円筒の外面又は内面にあるねじ)を用いて説明を行ったが、本発明の範囲は平行ねじに限定されない。本発明は、テーパねじ(ねじ山が円すいの外面又は内面にあるねじ)の場合でも、同様の効果を得ることができる。
また、上記の実施の形態では、鋼管の端部に取り付ける多条ねじ継手を説明したが、この多条ねじ継手は予め工場等において、鋼管杭、鋼管矢板、鋼管柱、鋼管梁等を構成する鋼管の端部に溶接等によって取り付けることで、継手付き鋼管を構成することができる。
そして、施工現場等において、複数の継手付き鋼管の多条ねじ継手を連結することで、鋼管杭、鋼管矢板、鋼管矢板を連結した鋼管矢板壁、鋼管柱、鋼管梁等の構造体を形成することができる。つまり、これら構造体は、上記の実施の形態で説明した多条ねじ継手とこれら多条ねじ継手で連結された複数の鋼管とを備えている。
これら構造体を形成するに際して、連結対象となる一方の継手付き鋼管の回転を拘束した状態で、他方の継手鋼管の多条ねじ継手を前記一方の継手付き鋼管の多条ねじ継手に位置合わせして回転嵌合するようにすればよい。
例えば、構造体が鋼管杭又は鋼管矢板の場合には、一方の継手付き鋼管を先に地中に打設して、他方の継手付き鋼管を接合し、さらに打設することを繰り返せばよい。
また例えば、構造体が鋼管矢板壁の場合には、一方の連結継手を備える継手付き鋼管を、既に地中にある別の継手付き鋼管の隣に連結継手で接続しながら、先ず地中に打設して、他方の継手付き鋼管を接合し、連結継手の位置を合わせてから、さらに打設することを繰り返せばよい。
このとき、継手付き鋼管を地中に打設する方法については特に限定されず、中堀り杭工法、鋼管ソイルセメント杭工法、回転杭工法、振動工法、打撃工法等のいずれの工法も適用できる。
そして、本発明の多条ねじ継手は、誤嵌合を確実に防止できるので、鋼管矢板等のように回転嵌合完了時に上下の鋼管矢板の連結継手位置が異なることがなく、回転嵌合のやり直し等がなくなり、施工効率が向上する。
また、上記の説明では、物の発明として多条ねじ継手を説明したが、当該多条ねじ継手は以下のような設計方法によって設計される。
鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手の設計方法であって、
前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に設計する。
また、物の発明として説明した多条ねじ継手は以下のような製造方法によって製造される。
鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手の製造方法であって、
前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に形成する。
1 多条ねじ継手
3 上側の鋼管
5 雄ねじ
5a ねじ山(その他)
5b ねじ底(その他)
5as ねじ山(特定)
5bs ねじ底(特定)
7 内側継手管
9 下側の鋼管
11 雌ねじ
11a ねじ山(その他)
11b ねじ底(その他)
11as ねじ山(特定)
11bs ねじ底(特定)
13 外側継手管

Claims (10)

  1. 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手であって、
    前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なることを特徴とする多条ねじ継手。
  2. 前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、ねじ山とねじ底の継手軸方向隙間が他のねじ山及びねじ底と同じであることを特徴とする請求項1に記載の多条ねじ継手。
  3. 前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、その高さが異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の多条ねじ継手。
  4. 前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ねじ幅が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の多条ねじ継手。
  5. 前記特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ねじ角度が異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の多条ねじ継手。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の多条ねじ継手における内側継手管と外側継手管を、一端と他端に取り付けてなることを特徴とする継手付き鋼管。
  7. 請求項1乃至5のいずれかに記載の多条ねじ継手と、前記多条ねじ継手で連結された複数の鋼管とを備えることを特徴とする構造体。
  8. 請求項7に記載の構造体の施工方法であって、連結対象となる継手付き鋼管の一方の回転を拘束した状態で、他方の継手鋼管の多条ねじ継手を前記一方の継手付き鋼管の多条ねじ継手に位置合わせして回転嵌合することを特徴とする構造体の施工方法。
  9. 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手の設計方法であって、
    前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に設計することを特徴とする多条ねじ継手の設計方法。
  10. 鋼管の端部に取り付けられ、雄ねじを有する内側継手管と雌ねじを有する外側継手管からなり、前記内側継手管及び前記外側継手管のねじが、2条以上の多条ねじである多条ねじ継手の製造方法であって、
    前記内側継手管及び前記外側継手管が備えた、多条ねじのうちの特定の1条分のねじ山及びこれに対応するねじ底は、他のねじ山及びねじ底と、ピッチは同じでねじ形状が異なる形状に形成することを特徴とする多条ねじ継手の製造方法。
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